国税徴収法 / テーマ別まとめ

滞納処分/交付要求

交付要求の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

交付要求と参加差押えは、滞納者の財産についてすでに強制換価手続や滞納処分による差押えが行われている場合に、国税を回収するために税務署長が執行機関へ働きかける手続です。誰に対して何の書面で要求するか、いつ制限され、いつ解除されるかを条文ごとに整理します。

交付要求
区分対象財産使う書類制限解除
交付要求強制換価手続に係る滞納者の財産交付要求書他に換価容易な財産があれば行わない国税消滅で解除
参加差押え既に滞納処分で差押済みの財産参加差押書交付要求と同じ制限を準用国税消滅等で解除
  • 破産事件で交付要求する国税は、執行機関ではなくその破産事件を扱う裁判所が相手方になる
  • 交付要求・その解除・参加差押えは、いずれも滞納者への通知が必要
  • 交付要求の解除請求は、自己の債権が回収できないことと他に換価容易な財産があることの両方を満たす場合のみ認められる
  • 参加差押えの効力発生時点は財産の種類ごとに異なる(動産・有価証券、不動産等、鉱業権、電話加入権)
  • 参加差押えの登記をした財産を解除したときは登記抹消の嘱託が必要
  • 電話加入権を参加差押え・解除したときは第三債務者への通知も必要
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交付要求

交付要求について、条文は何を定めているか。

第82条交付要求の手続交付要求は書面で行い滞納者に通知する3項判例 7件
  • 強制換価手続中の財産について執行機関へ交付要求書で要求する
  • 破産事件の国税は執行機関でなくその破産事件を扱う裁判所に対して行う
  • 交付要求をしたときは滞納者に通知しなければならない
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第83条交付要求の制限他に換価容易な財産があれば行わない1項判例 1件
  • 第三者の権利の目的になっていない換価容易な財産で国税全額を徴収できるときは交付要求しない
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第84条交付要求の解除国税が消滅したら交付要求を解除する3項判例なし
  • 納付・充当・更正の取消などで国税が消滅すれば解除しなければならない
  • 解除は執行機関への通知によって行う
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第85条交付要求の解除の請求配当を受ける他の債権者は解除を請求できる2項・2号判例なし
  • 交付要求で自己の債権の全部か一部を回収できないことが要件の一つ
  • 他に換価容易な財産で国税全額を徴収できることも要件の一つ
  • 相当と認めれば解除、認めないときは請求者に通知する
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第86条参加差押えの手続既に差押済みの財産には参加差押書で行う4項・3号判例なし
  • 動産・有価証券、不動産等、電話加入権が対象になる
  • 参加差押えは参加差押通知書で滞納者に通知する
  • 対象が電話加入権のときは第三債務者にも通知する
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第87条参加差押えの効力差押解除後は参加差押えが差押えの効力を持つ3項・4号判例 1件
  • 動産・有価証券は参加差押書が交付された時に遡って効力が生じる
  • 不動産等は参加差押通知書送達時(登記が先ならその登記時)に効力が生じる
  • 電話加入権は第三債務者への送達時に効力が生じる
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第88条参加差押えの制限、解除等参加差押えにも交付要求の制限・解除を準用4項判例なし
  • 交付要求の制限・解除・解除請求の規定を参加差押えに準用する
  • 登記した財産を解除したときは登記抹消を嘱託する
  • 電話加入権を解除したときは第三債務者に通知する
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第82条国税徴収法

破産法人の清算中の事業年度の所得に係る法人税についてされた交付要求と抗告訴訟の対象

裁判要旨破産法人の清算中の事業年度の所得に係る法人税について国税徴収法八二条の規定により税務署長がした交付要求は、抗告訴訟の対象となる行政処分にはあたらない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和59年3月29日 昭和58(行ツ)10
登載
集民 第141号523頁
参照法条
行政事件訴訟法3条2項,国税徴収法82条
論点2第82条国税徴収法

国税徴収法八三条〈交付要求の制限〉に違反した交付要求の効力

裁判要旨国税徴収法八三条〈交付要求の制限〉違反の有無は、同法八二条〈交付要求の手続〉に基づく交付要求の効力を左右しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和49年8月6日 昭和47(オ)451
登載
集民 第112号425頁
参照法条
国税徴収法82条,国税徴収法83条
論点3第82条国税徴収法

所有者が土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後に建て替えた新建物に土地の抵当権と同順位の共同抵当権を設定した場合に右抵当権の被担保債権に優先する国税について執行裁判所に対し交付要求がされたときの法定地上権の成否

裁判要旨所有者が、土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後、建物を取り壊し、土地上に新たに建物を建築し、新建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権を設定した場合であっても、新建物についての抵当権の被担保債権に優先する国税について執行裁判所に対し交付要求がされたときには、新建物のために法定地上権は成立しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成9年6月5日 平成5(オ)2172
登載
民集 第51巻5号2116頁
参照法条
民法388条,国税徴収法8条,国税徴収法16条,国税徴収法82条
論点4第82条国税徴収法

破産者の財産に対する滞納処分手続における交付要求に係る配当金を交付すべき相手方

裁判要旨破産者の財産に対する滞納処分手続において交付要求がされたときは、交付要求に係る請求権に基づき破産宣告前に国税徴収法又は国税徴収の例による差押え又は参加差押えがされている場合を除き、交付要求に係る配当金は、破産管財人に交付すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成9年12月18日 平成8(行ツ)111
登載
集民 第186号685頁
参照法条
国税徴収法82条,国税徴収法129条1項,国税徴収法133条1項,破産法47条2号,破産法49条,破産法51条1項,破産法71条1項
論点5第82条国税徴収法

破産者所有の不動産に対する競売手続における交付要求に係る配当金を交付すべき相手方

裁判要旨破産者所有の不動産に対する競売手続において交付要求がされたときは、交付要求に係る請求権に基づき破産宣告前に国税徴収法又は国税徴収の例による差押え又は参加差押えがされている場合を除き、交付要求に係る配当金は、破産管財人に交付すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成9年11月28日 平成7(オ)1937
登載
民集 第51巻10号4172頁
参照法条
民事執行法84条,民事執行法87条1項,民事執行法188条,破産法47条2号,破産法49条,破産法51条1項,破産法71条1項,破産法95条,国税徴収法82条
論点6第82条国税徴収法

不動産競売手続において交付要求書の延滞税の欄に法律による金額の交付を求める旨のみを記載してした交付要求の効力の及ぶ範囲

裁判要旨滞納に係る国税の本税の金額が法定納期限後における一部納付等により減少した場合において、税務署長が、不動産競売の執行裁判所に対し、交付要求書の本税の欄に交付要求時に存在する本税の金額を記載し、延滞税の欄には具体的金額を記載せず法律による金額の交付を求める旨のみを記載して交付要求をしたときは、その効力は、交付要求時以前に消滅した本税部分の金額に対応して計算される延滞税の金額には及ばない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成9年11月13日 平成6(オ)2037
登載
民集 第51巻10号4107頁
参照法条
民事執行法49条2項,民事執行法51条1項,民事執行法87条1項,国税徴収法82条,国税徴収法施行令36条1項,国税徴収法施行規則3条1項,国税通則法60条
論点7第82条国税徴収法

不動産競売手続において国税徴収法二二条五項の交付要求をすべき時期

裁判要旨不動産競売手続において、国税徴収法二二条五項〈担保権付財産が譲渡された場合の国税の徴収〉に基づく交付要求により配当を受けるためには、配当要求の終期までにこれをしなければならない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成2年6月28日 昭和63(オ)35
登載
民集 第44巻4号785頁
参照法条
国税徴収法22条,国税徴収法82条,民事執行法49条,民事執行法87条1項,民事執行法188条
論点8第87条国税徴収法

一 担保仮登記がされている不動産に対する参加差押えが清算金支払債務の弁済前にされた場合と担保仮登記の権利者の本登記請求の可否
二 担保仮登記の権利者が仮登記担保契約に関する法律一五条一項〈法定納期限等以前に設定された質権の優先〉の規定により本登記請求をすることができない場合と目的不動産の引渡請求の可否

裁判要旨一 担保仮登記がされている不動産について、参加差押えが清算金の支払債務の弁済前(清算金がないときは、清算期間の経過前)にされた場合においては、先行してされていた国税の滞納処分による差押えが解除されていないときであつても、担保仮登記の権利者は、その仮登記に基づく本登記の請求をすることができない。
二 担保仮登記の権利者は、仮登記担保契約に関する法律一五条一項〈法定納期限等以前に設定された質権の優先〉の規定によりその仮登記に基づく本登記の請求をすることができない場合においても、同法二条所定の通知をし、その到達の日から二月を経過すれば、債務者に対し所有権に基づき目的不動産の引渡しを請求することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成3年4月19日 昭和63(オ)68
登載
民集 第45巻4号456頁
参照法条
仮登記担保契約に関する法律15条1項,国税徴収法52条の2,国税徴収法87条1項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

国税徴収法 第82条(交付要求の手続) 詳細ページ
(交付要求の手続)
第八十二条滞納者の財産につき強制換価手続が行われた場合には、税務署長は、執行機関(破産法(平成十六年法律第七十五号)第百十四条第一号(租税等の請求権の届出)に掲げる請求権に係る国税の交付要求を行う場合には、その交付要求に係る破産事件を取り扱う裁判所。第八十四条第二項(交付要求の解除)において同じ。)に対し、滞納に係る国税につき、交付要求書により交付要求をしなければならない。
2税務署長は、交付要求をしたときは、その旨を滞納者に通知しなければならない。
3第五十五条(質権者等に対する差押の通知)の規定は、交付要求をした場合について準用する。
国税徴収法 第83条(交付要求の制限) 詳細ページ
(交付要求の制限)
第八十三条税務署長は、滞納者が他に換価の容易な財産で第三者の権利の目的となつていないものを有しており、かつ、その財産によりその国税の全額を徴収することができると認められるときは、交付要求をしないものとする。
国税徴収法 第84条(交付要求の解除) 詳細ページ
(交付要求の解除)
第八十四条税務署長は、納付、充当、更正の取消その他の理由により交付要求に係る国税が消滅したときは、その交付要求を解除しなければならない。
2交付要求の解除は、その旨をその交付要求に係る執行機関に通知することによつて行う。
3第五十五条(質権者等に対する差押の通知)及び第八十二条第二項(交付要求の通知)の規定は、交付要求を解除した場合について準用する。
国税徴収法 第85条(交付要求の解除の請求) 詳細ページ
(交付要求の解除の請求)
第八十五条強制換価手続により配当を受けることができる債権者は、交付要求があつたときは、税務署長に対し、次の各号のいずれにも該当することを理由として、その交付要求を解除すべきことを請求することができる。
一その交付要求により自己の債権の全部又は一部の弁済を受けることができないこと。
二滞納者が他に換価の容易な財産で第三者の権利の目的となつていないものを有しており、かつ、その財産によりその交付要求に係る国税の全額を徴収することができること。
2税務署長は、前項の請求があつた場合において、その請求を相当と認めるときは、交付要求を解除しなければならないものとし、その請求を相当と認めないときは、その旨をその請求をした者に通知しなければならない。
国税徴収法 第86条(参加差押えの手続) 詳細ページ
(参加差押えの手続)
第八十六条税務署長は、第四十七条(差押えの要件)の規定により差押えをすることができる場合において、滞納者の財産で次に掲げるものにつき既に滞納処分による差押えがされているときは、当該財産についての交付要求は、第八十二条第一項(交付要求の手続)の交付要求書に代えて参加差押書を滞納処分をした行政機関等に交付してすることができる。
一動産及び有価証券
二不動産、船舶、航空機、自動車、建設機械及び小型船舶
三電話加入権
2税務署長は、前項の交付要求(以下「参加差押え」という。)をしたときは、参加差押通知書により滞納者に通知しなければならない。この場合において、参加差押えをした財産が電話加入権であるときは、あわせて第三債務者にその旨を通知しなければならない。
3税務署長は、第一項第二号に掲げる財産につき参加差押えをしたときは、参加差押えの登記を関係機関に嘱託しなければならない。
4第五十五条(質権者等に対する差押えの通知)の規定は、参加差押えをした場合について準用する。
国税徴収法 第87条(参加差押えの効力) 詳細ページ
(参加差押えの効力)
第八十七条参加差押えをした場合において、その参加差押えに係る財産につきされていた滞納処分による差押えが解除されたときは、その参加差押え(前条第一項第二号に掲げる財産について二以上の参加差押えがあるときは、そのうち最も先に登記されたものとし、その他の財産について二以上の参加差押えがあるときは、そのうち最も先にされたものとする。)は、次の各号に掲げる財産の区分に応じ、当該各号に定める時に遡つて差押えの効力を生ずる。
一動産及び有価証券参加差押書が滞納処分による差押えをした行政機関等に交付された時
二不動産(次号に掲げる財産を除く。)、船舶、航空機、自動車、建設機械及び小型船舶参加差押通知書が滞納者に送達された時(参加差押えの登記がその送達前にされた場合には、その登記がされた時)
三鉱業権参加差押えの登録がされた時
四電話加入権参加差押通知書が第三債務者に送達された時
2税務署長は、差し押さえた動産又は有価証券につき参加差押書の交付を受けた場合において、その動産又は有価証券の差押えを解除すべきときは、その動産又は有価証券を前項の規定により差押えの効力を生ずべき参加差押えをした行政機関等に引き渡さなければならない。差し押さえた自動車、建設機械又は小型船舶で第七十一条第三項(自動車、建設機械又は小型船舶の差押え)の規定により徴収職員が占有しているものについても、同様とする。
3参加差押えをした税務署長は、その参加差押えに係る滞納処分による差押財産が相当期間内に換価に付されないときは、速やかにその換価をすべきことをその滞納処分をした行政機関等に催告することができる。
国税徴収法 第88条(参加差押えの制限、解除等) 詳細ページ
(参加差押えの制限、解除等)
第八十八条第八十三条から第八十五条まで(交付要求の制限、解除等)の規定は、参加差押えについて準用する。
2税務署長は、参加差押えの登記をした財産の参加差押えを解除したときは、その登記の抹消を関係機関に嘱託しなければならない。
3税務署長は、電話加入権の参加差押えを解除したときは、その旨を第三債務者に通知しなければならない。
4前二条及び前三項に定めるもののほか、参加差押えに関する手続について必要な事項は、政令で定める。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。