論点1第23条所得税法
所得税法二三条二項〈利子所得〉と憲法一四条一項、二九条
裁判要旨所得税法
二三条二項〈利子所得〉は、憲法一四条一項、二九条に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成3年4月11日 平成2(行ツ)191
- 登載
- 集民 第162号461頁
- 参照法条
- 憲法14条1項,憲法29条,所得税法23条2項
論点2第25条所得税法
所得税法二五条二項二号〈配当等とみなす金額〉の規定の合憲性
裁判要旨所得税法
二五条二項二号〈配当等とみなす金額〉の規定は、憲法二九条、八四条に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和57年12月21日 昭和56(行ツ)167
- 登載
- 集民 第137号653頁
- 参照法条
- 憲法29条,憲法84条,所得税法25条2項2号
論点3第26条所得税法
一 所得の申告と憲法第三八条第一項〈譲渡所得の金額の計算上控除する取得費〉にいう「自己に不利益な供述」。
二 所得税逋脱額の算定に関する第一審判決の違法が、判決に影響を及ぼすこと明らかである場合にあたらないとされ、また、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認められないとされた事例。
裁判要旨一 申告納税制度の下における所得の申告の如く、憲法の規定する納税義務を前提とし、その税額を決定するために所得の申告を求めるが如きは、憲法第三八条第一項にいう「自己に不利益な供述」に当らない(昭和二七年(あ)第八三八号同三二年二月二〇日大法廷判決、刑集一一巻二号八〇二頁参照)。
二 原判決が、被告人と共謀して所得税を逋脱したとされている者が、組合員として組合から支給されていた給与所得に対し源泉徴収により納付した税額を逋脱額の算定に際し差し引かなかつた第一審判決は違法であると認めながら、右の差し引かれるべき額が逋脱額に比し些少であるから、判決に影響を及ぼすこと明らかである場合に当らないと判断したことは、相当であり、仮りに、右違法が判決に影響を及ぼすべきものとしても、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものとは認められないから、論旨は理由がない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和39年6月30日 昭和36(あ)1638
- 登載
- 集刑 第151号547頁
- 参照法条
- 所得税法(昭和28年法律91号による改正前のもの)26条1項,所得税法(昭和28年法律91号による改正前のもの)69条1項,憲法38条1項,刑訴法397条,刑訴法411条
論点4第26条所得税法
確定申告にかかる所得金額と所得の推定。
裁判要旨申告納税の所得税にあつては、納税義務者において一旦申告書を提出した以上、その申告書に記載された所得金額が真実の所得金額に反するものであるとの主張・立証がない限り、その確定申告にかかる所得金額をもつて正当のものと認めるのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和39年2月7日 昭和37(オ)215
- 登載
- 集民 第72号91頁
- 参照法条
- 所得税法26条,民訴法257条
論点5第26条所得税法
一 所得税法第二条第一項〈定義〉にいう所得の帰属する「個人」の意義。
二 所得税法第二六条第一項〈不動産所得〉(申告義務の規定)の合憲性。
裁判要旨一 所得税法
二条〈定義〉所定の課税対家となつている個人の所得とは、当該個人に帰属する所得を指称するものであることは勿論であるが、その所得の外見上又は法律形式上の帰属者が単なる名義人に過ぎずして、他にその終局的実質的享受者が存在する場合、そのいずれを所得の帰属者として課税すべきであるかについて問題を生ずる。思うに、国家経費の財源である租税は専ら担税能力に即応して負担させることが、税法の根本理念である負担公平の原理に合し且つは社会正義の要請に適うものであると共に、租税徴収を確保し実効あらしめる所以であつて、各種税法はこの原則に基いて組み立てられており、又これを指導理念として解釈運用すべきものと云わねばならない。さすれば、所得の帰属者と目される者が外見上の単なる名義人にしてその経済的利益を実質的、終局的に取得しない場合において、該名義人に課税することは収益のない者に対して不当に租税を負担せしめる反面、実質的の所得者をして不当にその負担を免れしめる不公平な結果を招来するのみならず、租税徴収の実効を確保し得ない結果を来す虞があるから、かかる場合においては所得帰属の外形的名義に拘ることなく、その経済的利益の実質的享受者を以つて所得税法所定の所得の帰属者として租税を負担せしむべきである。これがすなわちいわゆる実質所得者に対する課税(略して実質課税)の原則と称せられるものにして、該原則は吾国の税法上早くから内在する条理として是認されてきた基本的指導理念であると解するのが相当である。
二 所得税法の申告義務の規定が憲法
三八条一項〈譲渡所得の金額の計算上控除する取得費〉に反するものでないことは当裁判所の判例の趣旨(昭和二七年(あ)第八三八号、同三二年二月二〇日大法廷判決、刑集一一巻二号八〇二頁参照)に照らし明らかである。それ故所論違憲の主張は採るを得ない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和37年6月29日 昭和34(あ)1220
- 登載
- 集刑 第143号247頁
- 参照法条
- 所得税法2条,所得税法3条の2,所得税法26条1項,憲法38条1項
論点6第26条所得税法
1 外国法に基づいて設立された組織体が所得税法2条1項7号〈定義 外国法人内国法人以外の法人をいう。〉及び法人税法2条4号に定める外国法人に該当するか否かの判断の方法
2 米国デラウェア州の法律に基づいて設立されたリミテッド・パートナーシップが行う不動産賃貸事業に係る投資事業に出資した者につき,当該賃貸事業に係る損失の金額を同人の所得の金額から控除することができないとされた事例
裁判要旨1 外国法に基づいて設立された組織体が所得税法
2条1項7号〈定義 外国法人内国法人以外の法人をいう。〉及び法人税法2条4号に定める外国法人に該当するか否かは,まず,①当該組織体に係る設立根拠法令の規定の文言や法制の仕組みから,当該組織体が当該外国の法令において日本法上の法人に相当する法的地位を付与されていること又は付与されていないことが疑義のない程度に明白であるか否かを検討して判断し,これができない場合には,②当該組織体が権利義務の帰属主体であると認められるか否かについて,当該組織体の設立根拠法令の規定の内容や趣旨等から,当該組織体が自ら法律行為の当事者となることができ,かつ,その法律効果が当該組織体に帰属すると認められるか否かという点を検討して判断すべきである。
2 米国デラウェア州改正統一リミテッド・パートナーシップ法に基づいて設立されたリミテッド・パートナーシップが所得税法
2条1項7号及び法人税法2条4号に定める外国法人に該当し,上記リミテッド・パートナーシップが行う不動産賃貸事業に係る所得が上記リミテッド・パートナーシップに帰属するものと認められるという判示の事情の下においては,当該賃貸事業に係る投資事業に出資した者は,同人の総所得金額を計算するに当たり,当該賃貸事業に係る所得の金額の計算上生じた損失の金額を同人の所得の金額から控除することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成27年7月17日 平成25(行ヒ)166
- 登載
- 民集 第69巻5号1253頁
- 参照法条
- (1,2につき)所得税法2条1項7号,法人税法2条4号 (2につき)所得税法26条,所得税法69条1項
論点7第26条所得税法
1 匿名組合契約に基づき匿名組合員が受ける利益の分配と所得区分の判断
2 匿名組合契約に基づき航空機のリース事業に出資をした匿名組合員が,当該契約に基づく損失の分配を不動産所得に係るものとして所得税の申告をしたことにつき,国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があるとされた事例
裁判要旨1 匿名組合契約に基づき匿名組合員が営業者から受ける利益の分配に係る所得は,①当該契約において,匿名組合員に営業者の営む事業に係る重要な意思決定に関与するなどの権限が付与されており,匿名組合員が実質的に営業者と共同して事業を営む者としての地位を有するものと認められる場合には,当該事業の内容に従って事業所得又はその他の各種所得に該当し,②それ以外の場合には,当該事業の内容にかかわらず,その出資が匿名組合員自身の事業として行われているため事業所得となる場合を除き,雑所得に該当する。
2 匿名組合契約に基づき航空機のリース事業に出資をした匿名組合員が,当該事業につき生じた損失のうち当該契約に基づく同人への損失の分配として計上された金額を不動産所得に係る損失に該当するものとして所得税の申告をしたところ,これに該当しないとして更正がされた場合において,匿名組合契約に基づき匿名組合員が受ける利益の分配に係る所得区分に関する課税庁の公的見解が上記申告後の通達改正によって変更されたが,変更前の公的見解によれば上記の金額は不動産所得に係る損失に該当するとされるものであったなど判示の事情の下では,上記申告をしたことにつき,国税通則法65条4項にいう「正当な理由」がある。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成27年6月12日 平成24(行ヒ)408
- 登載
- 民集 第69巻4号1121頁
- 参照法条
- (1,2につき) 商法535条 (1につき) 所得税法27条1項,所得税法35条1項,商法536条,商法539条 (2につき) 国税通則法65条4項,所得税法26条1項
論点8第27条所得税法
所得税の確定申告において租税特別措置法(昭和六三年法律第一〇九号による改正前のもの)二六条一項に基づくいわゆる概算経費により事業所得金額を計算していた場合に修正申告においていわゆる実額経費に変更することが許されるとした事例
裁判要旨歯科医師が、所得税の確定申告において、租税特別措置法(昭和六三年法律第一〇九号による改正前のもの)二六条一項に基づくいわゆる概算経費により事業所得金額を計算していた場合に、診療経費総額を自由診療収入分と社会保険診療報酬分に振り分ける計算を誤り、自由診療収入分の必要経費を正しく計算した場合よりも多額に、社会保険診療報酬分の実額経費を正しく計算した場合よりも少額に算出したため、右実額経費によるよりも概算経費による方が有利であると判断して後者を選択したものであり、診療総収入から控除されるべき必要経費の計算には誤りがあるなど判示の事実関係の下においては、修正申告をするに当たり、確定申告における必要経費の計算の誤りを是正する一環として、概算経費選択の意思表示を撤回し、実額経費を社会保険診療報酬の必要経費として計上することが許される。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成2年6月5日 昭和63(行ツ)152
- 登載
- 民集 第44巻4号612頁
- 参照法条
- 国税通則法19条1項,所得税法27条,所得税法(昭和62年法律第96号による改正前のもの)37条1項,租税特別措置法(昭和63年法律第109号による改正前のもの)26条1項,租税特別措置法(昭和63年法律第109号による改正前のもの)26条3項
論点9第27条所得税法
山林に係る事業所得の必要経費と財産増減法
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成2年3月30日 昭和62(あ)101
- 登載
- 集刑 第254号319頁
- 参照法条
- 所得税法21条1項,所得税法27条,所得税法32条1項,所得税法32条2項,所得税法37条
論点10第27条所得税法
民法上の組合の組合員が組合の事業に係る作業に従事して支払を受けた収入に係る所得が給与所得に該当するとされた事例
裁判要旨りんご生産等の事業を営むことを目的とする民法上の組合の組合員がりんご生産作業の専従者として同作業に従事して労務費名目で金員の支払を受けた場合において,上記金員は作業時間を基礎として日給制でその金額が決定され原則として毎月所定の給料日に現金を手渡す方法で支払われ,専従者は同作業の管理者の指示に従って作業に従事し,その作業時間がタイムカードによって記録されており,その作業内容を含めこれらの点において専従者と一般作業員との間に基本的に異なるところがなく,他方,組合員に対する出資口数に応じた現金配当は1度行われたことがあるにすぎないなど判示の事実関係の下においては,専従者が一般作業員とは異なり組合員の中から組合の総会において選任されりんご生産作業においては管理者と一般作業員との間にあって管理者を補助する立場にあったことなどを考慮しても,上記金員に係る収入をもって労務出資をした組合員に対する組合の利益の分配であるとみるのは困難であり,当該収入に係る所得は給与所得に該当する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成13年7月13日 平成12(行ツ)13
- 登載
- 集民 第202号673頁
- 参照法条
- 所得税法27条1項,所得税法28条1項,民法667条,民法674条
論点11第28条所得税法
違憲の主張がその前提を欠くとして排斥された事例
裁判要旨所得税法
二八条三項〈給与所得〉が憲法一四条に違反する旨の主張は、同項所定の給与所得控除額を超える必要経費の支出があつたのに同項の適用上右超過額の控除が認められないとされた場合においてのみ問題となりうるものであるところ、本件において、上告人は、単に、研究費の名目で支給された分はすべて研究費として支出したから所得がなかつた旨を主張するにとどまるから、所論違憲の主張は、その前提を欠く。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和54年12月20日 昭和53(行ツ)130
- 登載
- 集民 第128号277頁
- 参照法条
- 裁判所法10条1号,所得税法28条3項
論点12第28条所得税法
権利能力のない社団の理事長及び専務理事の地位にあった者が当該社団からの借入金債務の免除を受けることにより得た利益が,所得税法28条1項〈給与所得〉にいう賞与又は賞与の性質を有する給与に当たるとされた事例
裁判要旨権利能力のない社団の理事長及び専務理事の地位にあった者が当該社団から借入金債務の免除を受けることにより得た利益は,① 同人が当該社団から長年にわたり多額の金員を繰り返し借り入れていたところ,当該社団がこのような貸付けを行ったのは同人が上記の地位にある者としてその職務を行っていたことによるものとみるのが相当であること,② 当該社団が同人の申入れを受けて上記借入金債務の免除に応ずるに当たっては当該社団に対する同人の貢献についての評価が考慮されたことがうかがわれることなど判示の事情の下においては,所得税法
28条1項〈給与所得〉にいう賞与又は賞与の性質を有する給与に該当する。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成27年10月8日 平成26(行ヒ)167
- 登載
- 集民 第251号1頁
- 参照法条
- 所得税法28条1項
論点13第28条所得税法
納税者が平成12年分の所得税の確定申告において勤務先の日本法人の親会社である外国法人から付与されたストックオプションの権利行使益を一時所得として申告したことにつき,国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があるとされた事例
裁判要旨納税者が平成12年分の所得税の確定申告において勤務先の日本法人の親会社である外国法人から付与されたストックオプションの権利行使益を一時所得として申告したところ,同権利行使益が給与所得に当たるとして増額更正がされた場合において,次の(1)〜(3)などの判示の事情の下では,納税者が同権利行使益を一時所得として申告し,同権利行使益が給与所得に当たるものとしては税額の計算の基礎とされていなかったことについて,国税通則法65条4項にいう「正当な理由」がある。
(1) 外国法人である親会社から日本法人である子会社の従業員等に付与されたストックオプションに係る課税上の取扱いに関しては,法令上特別の定めが置かれていないところ,課税庁においては,かつて,上記ストックオプションの権利行使益を一時所得として取り扱い,課税庁の職員が監修等をした公刊物でもその旨の見解が述べられていた。
(2) 課税庁においては,平成10年分の所得税の確定申告の時期以降,上記の課税上の取扱いを変更し,給与所得として統一的に取り扱うようになったが,その変更をした時点では通達によりこれを明示することなく,平成14年6月の所得税基本通達の改正によって初めて変更後の取扱いを通達に明記した。
(3) 上記ストックオプションの権利行使益の所得区分に関する所得税法の解釈問題については,一時所得とする見解にも相応の論拠があった。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成19年7月6日 平成18(行ヒ)295
- 登載
- 集民 第225号39頁
- 参照法条
- 国税通則法(平成18年法律第10号による改正前のもの)65条1項,国税通則法65条4項,所得税法28条1項,所得税法34条1項
論点14第28条所得税法
納税者が平成11年分の所得税の確定申告において勤務先の日本法人の親会社である外国法人から付与されたストックオプションの権利行使益を一時所得として申告したことにつき国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があるとされた事例
裁判要旨納税者が平成11年分の所得税の確定申告において勤務先の日本法人の親会社である外国法人から付与されたストックオプションの権利行使益を一時所得として申告したところ,同権利行使益が給与所得に当たるとして増額更正がされた場合において,(1)外国法人である親会社から日本法人である子会社の従業員等に付与されたストックオプションに係る課税上の取扱いに関しては,法令上特別の定めが置かれていないところ,課税庁においては,かつて,上記ストックオプションの権利行使益を一時所得として取り扱い,課税庁の職員が監修等をした公刊物でもその旨の見解が述べられていたこと,(2)課税庁においては,平成10年分の所得税の確定申告の時期以降,上記の課税上の取扱いを変更し,給与所得として統一的に取り扱うようになったが,その変更をした時点では通達によりこれを明示することなく,平成14年6月の所得税基本通達の改正によって初めて変更後の取扱いを通達に明記したこと,(3)上記ストックオプションの権利行使益の所得区分に関する所得税法の解釈問題については,一時所得とする見解にも相応の論拠があったことなど判示の事情の下では,納税者が前記権利行使益を一時所得として申告し,同権利行使益が給与所得に当たるものとしては税額の計算の基礎とされていなかったことについて,国税通則法65条4項にいう「正当な理由」がある。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成18年11月16日 平成17(行ヒ)96
- 登載
- 集民 第222号243頁
- 参照法条
- 国税通則法65条1項,国税通則法65条4項,所得税法28条1項,所得税法34条1項
論点15第28条所得税法
納税者が平成11年分の所得税の確定申告において勤務先の日本法人の親会社である外国法人から付与されたストックオプションの権利行使益を一時所得として申告したことにつき国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があるとされた事例
裁判要旨納税者が平成11年分の所得税の確定申告において勤務先の日本法人の親会社である外国法人から付与されたストックオプションの権利行使益を一時所得として申告したところ,同権利行使益が給与所得に当たるとして増額更正がされた場合において,(1)外国法人である親会社から日本法人である子会社の従業員等に付与されたストックオプションに係る課税上の取扱いに関しては,法令上特別の定めが置かれていないところ,課税庁においては,かつて,上記ストックオプションの権利行使益を一時所得として取り扱い,課税庁の職員が監修等をした公刊物でもその旨の見解が述べられていたこと,(2)課税庁においては,平成10年分の所得税の確定申告の時期以降,上記の課税上の取扱いを変更し,給与所得として統一的に取り扱うようになったが,その変更をした時点では通達によりこれを明示することなく,平成14年6月の所得税基本通達の改正によって初めて変更後の取扱いを通達に明記したこと,(3)上記ストックオプションの権利行使益の所得区分に関する所得税法の解釈問題については,一時所得とする見解にも相応の論拠があったことなど判示の事情の下では,納税者が前記権利行使益を一時所得として申告し,同権利行使益が給与所得に当たるものとしては税額の計算の基礎とされていなかったことについて,国税通則法65条4項にいう「正当な理由」がある。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成18年10月24日 平成17(行ヒ)20
- 登載
- 民集 第60巻8号3128頁
- 参照法条
- 国税通則法65条1項,国税通則法65条4項,所得税法28条1項,所得税法34条1項
論点16第28条所得税法
米国法人の子会社である日本法人の代表取締役が親会社である米国法人から付与されたいわゆるストックオプションを行使して得た利益が所得税法28条1項〈給与所得〉所定の給与所得に当たるとされた事例
裁判要旨米国法人の子会社である日本法人の代表取締役が,親会社である米国法人から親会社の株式をあらかじめ定められた権利行使価格で取得することができる権利(いわゆるストックオプション)を付与されてこれを行使し,権利行使時点における親会社の株価と所定の権利行使価格との差額に相当する経済的利益を得た場合において,上記権利は,親会社が同社及びその子会社の一定の執行役員及び主要な従業員に対する精勤の動機付けとすることなどを企図して設けた制度に基づき付与されたものであること,親会社は,上記代表取締役が勤務する子会社の発行済み株式の100%を有してその役員の人事権等の実権を握り,同代表取締役は親会社の統括の下に子会社の代表取締役としての職務を遂行していたものということができ,親会社は同代表取締役が上記のとおり職務を遂行しているからこそ上記権利を付与したものであること,上記制度に基づき付与された権利については,被付与者の生存中は,その者のみがこれを行使することができ,その権利を譲渡し,又は移転することはできないものとされていることなど判示の事情の下においては,同代表取締役が上記権利を行使して得た利益は,所得税法
28条1項〈給与所得〉所定の給与所得に当たる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成17年1月25日 平成16(行ヒ)141
- 登載
- 民集 第59巻1号64頁
- 参照法条
- 所得税法28条1項,所得税法34条1項
論点17第28条所得税法
昭和62年の非上場株式の取引に係る個人の所得金額の計算に当たり同株式を1株当たりの純資産価額を基に評価する場合に資産の時価と帳簿価額との評価差額に対する法人税額等相当額を控除して純資産価額を計算すべきであるとされた事例
裁判要旨昭和62年に個人が非上場株式を低額で譲り受けたことによる給与所得に係る収入金額とすべき金額,同年に個人が法人に対し非上場株式を低額で譲渡したことによる譲渡所得に係る総収入金額に算入すべき金額及び同年に個人が有利な発行価額による非上場の新株を取得する権利を与えられたことによる一時所得に係る総収入金額に算入すべき金額の各計算に当たり,上記各株式を発行会社の1株当たりの純資産価額を基に評価する場合において,発行会社の資産の時価と帳簿価額との評価差額に対する法人税額等に相当する金額を控除して計算した1株当たりの純資産価額による上記各株式の評価が,当時,一般に通常の取引における当事者の合理的意思に合致しており,著しく不合理な結果を生じさせるなど課税上の弊害をもたらすことがうかがわれないなど判示の事情の下では,発行会社が当時順調に営業を行っていたとしても,上記控除をして純資産価額を計算すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成17年11月8日 平成14(行ヒ)112
- 登載
- 集民 第218号211頁
- 参照法条
- 所得税法28条2項,所得税法33条3項,所得税法34条2項,所得税法36条1項,2項,所得税法59条1項,所得税法施行令(平成10年政令第104号による改正前のもの)84条1項,所得税法施行令169条
論点18第28条所得税法
源泉徴収による所得税につき自動的に確定していた税額に包含される金額でされた納税の告知が適法とされた事例
裁判要旨会社がその代表者に代わって同人の借入金の利息を支払ったことにより,その経済的利益に相当する同人に対する給与等(賞与)の支払があったことになって会社に源泉徴収による所得税の納税義務が客観的に成立したが,実際にされた納税の告知は,会社が同人に上記利息相当額を無利息で貸し付け,この貸付けに係る得べかりし利息相当額の経済的利益に相当する同人に対する給与等(役員報酬)の支払があったものとしてされたという場合につき,客観的に成立した納税義務及び自動的に確定していた税額の内容は会社に自明であったこと,強制調査に際して会社から要請があったため,上記賞与に当たる経済的利益のうち上記得べかりし利息相当額の限度で納税義務の履行を請求するものとして上記納税の告知がされたものであること,上記納税の告知により請求された金額は,納税義務が客観的に成立し自動的に確定していた税額に包含されるものであり,納税告知書に記載された所得の種類に食い違いがみられないことなど判示の事実関係の下においては,上記納税の告知は,適法である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成16年9月7日 平成10(行ツ)77
- 登載
- 集民 第215号13頁
- 参照法条
- 所得税法28条1項,183条1項,国税通則法(平成9年法律第89号による改正前のもの)36条1項,国税通則法36条2項,国税通則法施行令(平成12年政令第307号による改正前のもの)43条,国税通則法施行規則(平成14年財務省令第20号による改正前のもの)5条1項,国税通則法施行規則(平成14年財務省令第20号による改正前のもの)別紙第2号書式
論点19第30条所得税法
所得税法三〇条一項〈退職所得〉にいう退職所得にあたらないとされた事例
裁判要旨従業員の勤務年数が満五年に達するごとに退職金を支給する旨及び右退職金の算定にあたつては既に支給した退職金の算定の基礎とされた勤務年数は算入しない旨を定めた給与規程に基づき、勤務年数が満五年に達した者に退職金名義の金員を支給した場合において、右金員の支給を受けた者が再雇用のためのなんらの手続を経ることなく従来のままの就労を継続しており、賃金その他の労働条件にも全く変化がなく、また、就業規則中には、勤務年数が満五年に達したときは従業員たる身分を失う旨を定めた規定がなく、従業員の定年を満五五歳とする旨の規定があるなど、判示のような事実関係があるときは、右金員に係る所得は、所得税法
三〇条一項〈退職所得〉にいう退職所得にあたらない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和58年9月9日 昭和53(行ツ)72
- 登載
- 民集 第37巻7号962頁
- 参照法条
- 所得税法30条1項
論点20第30条所得税法
所得税法三〇条一項〈退職所得〉にいう退職所得にあたるかどうかの認定判断につき法令の解釈適用の誤り及び審理不尽の違法があるとされた事例
裁判要旨従業員が満五五歳又は勤続満一〇年に達したときに定年となる旨の就業規則の定め及び退職金規程に基づき、勤続満一〇年に達したことを理由として退職金名義の金員の支給を受けた従業員の大部分が、その役職、給与、有給休暇の日数の算定等の労働条件に変化がないまま引き続き勤務しているなど判示のような事実関係があるときは、右就業規則の客観的な運用として従業員が勤続満一〇年に達したときは退職するのを原則的取扱いとしており、その後継続している勤務関係が単なる従前の勤務関係の延長ではなく新たな雇用契約に基づくものであるとの実質を有すること、又は右金員が定年延長若しくは退職年金制度の採用等の合理的な理由による退職金支給制度の実質的改変により精算の必要があつて支給されたものであること、若しくは継続している勤務関係がその性質内容、労働条件等において重大な変動を受け実質的には単なる従前の勤務関係の延長とはみられないこと等の特別の事実関係がないにもかかわらず、右金員を所得税法三〇条一項にいう退職所得にあたると認定判断することには、法令の解釈適用の誤り及び審理不尽の違法がある。
(反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和58年12月6日 昭和54(行ツ)35
- 登載
- 集民 第140号589頁
- 参照法条
- 所得税法30条1項,民訴法394条
論点21第30条所得税法
1 弁護士である破産管財人は,自らの報酬の支払について,所得税法204条1項2号〈源泉徴収義務 弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、測量士、建築士、不動産鑑定士、技術士その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金〉所定の源泉徴収義務を負うか
2 弁護士である破産管財人の報酬に係る源泉所得税の債権は,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条2号ただし書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権に当たるか
3 破産管財人は,破産債権である所得税法199条所定の退職手当等の債権に対する配当について,同条所定の源泉徴収義務を負うか
裁判要旨1 弁護士である破産管財人は,所得税法
204条1項2号〈源泉徴収義務 弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、測量士、建築士、不動産鑑定士、技術士その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金〉の規定に基づき,自らの報酬の支払の際にその報酬について所得税を徴収し,これを国に納付する義務を負う。
2 弁護士である破産管財人の報酬に係る源泉所得税の債権は,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条2号ただし書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権に当たる。
3 破産管財人は,破産債権である所得税法199条所定の退職手当等の債権に対する配当の際にその退職手当等について所得税を徴収し,これを国に納付する義務を負うものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成23年1月14日 平成20(行ツ)236
- 登載
- 民集 第65巻1号1頁
- 参照法条
- (1〜3につき)所得税法6条 (1,2につき)所得税法204条1項2号,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)166条,破産法87条1項 (2につき)旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条2号,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条3号,破産法148条1項2号 (3につき)所得税法30条1項,所得税法199条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)256条,破産法193条1項
論点22第33条所得税法
財産分与としての資産の譲渡と譲渡所得課税
裁判要旨財産分与としてされた夫婦の一方の特有財産の他方への譲渡は、譲渡所得課税の対象になる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和53年2月16日 昭和51(行ツ)27
- 登載
- 集民 第123号71頁
- 参照法条
- 所得税法33条1項,所得税法36条1項,所得税法36条2項,所得税法(昭和44年法律第14号による改正前のもの)33条3項
論点23第33条所得税法
財産分与としての不動産の譲渡と譲渡所得課税
裁判要旨財産分与としてされた不動産の譲渡は、譲渡所得課税の対象となる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和50年5月27日 昭和47(行ツ)4
- 登載
- 民集 第29巻5号641頁
- 参照法条
- 所得税法33条1項,所得税法33条3項,所得税法36条1項,所得税法36条2項,所得税法(昭和44年法律第14号による改正前のもの)33条3項
論点24第33条所得税法
協議離婚に伴う財産分与契約をした分与者の課税負担の錯誤に係る動機が意思表示の内容をなしたとされた事例
裁判要旨協議離婚に伴い夫が自己の不動産全部を妻に譲渡する旨の財産分与契約をし、後日夫に二億円余の譲渡所得税が課されることが判明した場合において、右契約の当時、妻のみに課税されるものと誤解した夫が心配してこれを気遣う発言をし、妻も自己に課税されるものと理解していたなど判示の事実関係の下においては、他に特段の事情がない限り、夫の右課税負担の錯誤に係る動機は、妻に黙示的に表示されて意思表示の内容をなしたものというべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成元年9月14日 昭和63(オ)385
- 登載
- 集民 第157号555頁
- 参照法条
- 民法95条,民法768条,所得税法33条
論点25第33条所得税法
他の相続人に代償金を交付して単独で相続した不動産を売却した場合の譲渡所得の計算上右代償金を取得費に算入することの可否
裁判要旨相続人の一人が遺産分割協議に従い他の相続人に対し代償金を交付して単独で相続した不動産を売却した場合、譲渡所得の計算上、右代償金を右不動産の取得費に算入することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成6年9月13日 平成6(行ツ)78
- 登載
- 集民 第173号79頁
- 参照法条
- 所得税法33条3項,所得税法60条,民法909条
論点26第33条所得税法
1 資産の譲渡に当たって支出された費用が所得税法33条3項〈譲渡所得〉にいう「資産の譲渡に要した費用」に当たるかどうかの判断基準
2 土地改良区の組合員が同区内の農地を転用目的で譲渡するに当たり土地改良法42条2項〈国庫補助金等の総収入金額不算入〉に基づき同区に支払った決済金が所得税法33条3項にいう「資産の譲渡に要した費用」に当たるとされた事例
3 土地改良区の組合員が同区内の農地を転用目的で譲渡するに当たり土地改良施設の目的外使用に関する同区の規程に基づき同区に支払った使用負担金が所得税法33条3項にいう「資産の譲渡に要した費用」に当たるとされた事例
裁判要旨1 資産の譲渡に当たって支出された費用が所得税法
33条3項〈譲渡所得〉にいう「資産の譲渡に要した費用」に当たるかどうかは,現実に行われた資産の譲渡を前提として,客観的に見てその譲渡を実現するために当該費用が必要であったかどうかによって判断すべきである。
2 土地改良区の組合員が同区内の農地を転用目的で譲渡するに当たり土地改良法
42条2項〈国庫補助金等の総収入金額不算入〉に基づき同区に対し決済金を支払った場合において,上記組合員が上記農地を転用目的で譲渡するためには同項の規定を受けて定められた同区の規程により上記決済金を支払わなければならなかったという事実関係の下では,上記決済金は,上記農地を転用目的で譲渡するか否かにかかわらず決済の時点で既に支払義務が発生していた賦課金等の未納入金に係るものを除き,上記農地の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上控除されるべき所得税法
33条3項にいう「資産の譲渡に要した費用」に当たる。
3 土地改良区の組合員が同区内の農地を転用目的で譲渡するに当たり土地改良施設の目的外使用に関する同区の規程に基づき同区に対し使用負担金を支払った場合において,上記使用負担金の支払により,転用された土地のために土地改良施設を将来にわたり使用することができることになり,上記農地の譲渡価額の増額がもたらされるものであるという事情の下では,上記使用負担金は,上記農地の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上控除されるべき所得税法
33条3項にいう「資産の譲渡に要した費用」に当たる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成18年4月20日 平成15(行ヒ)217
- 登載
- 集民 第220号141頁
- 参照法条
- (1〜3につき)所得税法33条3項 (2につき)土地改良法42条2項
論点27第33条所得税法
1 受贈者が贈与者から資産を取得するために要した付随費用の額と所得税法38条1項〈譲渡所得の金額の計算上控除する取得費〉にいう「資産の取得に要した金額」
2 ゴルフ会員権の受贈者が贈与を受けた際に支払った名義書換手数料の額と,所得税法38条1項にいう「資産の取得に要した金額」
裁判要旨1 受贈者が贈与者から資産を取得するために要した付随費用の額は,受贈者が同資産を譲渡した場合に所得税法60条1項に基づいてされる譲渡所得の金額の計算において,同法38条1項にいう「資産の取得に要した金額」に当たる。
2 ゴルフ会員権の受贈者が贈与を受けた際に支払った名義書換手数料の額は,受贈者が同会員権を譲渡した場合に所得税法60条1項に基づいてされる譲渡所得の金額の計算において,同法38条1項にいう「資産の取得に要した金額」に算入される。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成17年2月1日 平成13(行ヒ)276
- 登載
- 集民 第216号279頁
- 参照法条
- 所得税法33条3項,所得税法38条1項,所得税法60条1項,民法第3編第2章 契約
論点28第34条所得税法
1 競馬の当たり馬券の払戻金が所得税法35条1項〈雑所得〉にいう雑所得に当たるとされた事例
2 競馬の外れ馬券の購入代金が雑所得である当たり馬券の払戻金を得るため直接に要した費用として所得税法37条1項〈必要経費〉にいう必要経費に当たるとされた事例
裁判要旨1 予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従い,年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入することを目標として,年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら,6年間にわたり,1節当たり数百万円から数千万円,1年当たり合計3億円から21億円程度となる多数の馬券を購入し続けたこと,上記のいずれの年についても年間を通じての収支で利益を得ていた上,その金額も,少ない年で約1800万円,多い年では約2億円に及んでおり,回収率が総体として100%を超えるように馬券を選別して購入し続けてきたといえることなど判示の事情の下においては,上記の購入により得た当たり馬券の払戻金は,所得税法
35条1項〈雑所得〉にいう雑所得に当たる。
節 :競馬開催日又はこれが連続する場合における当該連続する競馬開催日を併せたもの等
回収率:全ての有効馬券の購入代金の合計額に対する当たり馬券の払戻金の合計額の比率
2 偶然性の影響を減殺するために長期間にわたって多数の馬券を頻繁に購入することにより,年間を通じての収支で利益が得られるように継続的に馬券を購入しており,そのような一連の馬券の購入により利益を得るためには,外れ馬券の購入は不可避であったという事情の下においては,外れ馬券の購入代金は,雑所得である当たり馬券の払戻金を得るため直接に要した費用として,所得税法
37条1項〈必要経費〉にいう必要経費に当たる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成29年12月15日 平成28(行ヒ)303
- 登載
- 民集 第71巻10号2235頁
- 参照法条
- (1につき) 所得税法34条1項,所得税法35条1項 (2につき) 所得税法35条2項,所得税法37条1項
論点29第34条所得税法
1 競馬の当たり馬券の払戻金が所得税法上の一時所得ではなく雑所得に当たるとされた事例
2 競馬の外れ馬券の購入代金について,雑所得である当たり馬券の払戻金から所得税法上の必要経費として控除することができるとされた事例
裁判要旨1 馬券を自動的に購入するソフトを使用して独自の条件設定等に基づいてインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に網羅的な購入をして,当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げるなどしていた本件事実関係(判文参照)の下では,払戻金は所得税法上の一時所得ではなく雑所得に当たる。
2 外れ馬券を含む全ての馬券の購入代金という費用が当たり馬券の払戻金という収入に対応するなどの本件事実関係(判文参照)の下では,外れ馬券の購入代金は,雑所得である当たり馬券の払戻金から所得税法上の必要経費として控除することができる。
(1,2につき意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成27年3月10日 平成26(あ)948
- 登載
- 刑集 第69巻2号434頁
- 参照法条
- (1につき) 所得税法34条1項, 所得税法35条1項 (2につき) 所得税法37条1項
論点30第34条所得税法
1 所得税法34条2項〈一時所得〉にいう「その収入を得るために支出した金額」の支出の主体
2 法人が保険料を支払った養老保険契約に係る満期保険金を当該法人の代表者が受け取った場合において,上記満期保険金に係る当該代表者の一時所得の金額の計算上,上記保険料のうち当該法人における保険料として損金経理がされた部分が所得税法34条2項にいう「その収入を得るために支出した金額」に当たらないとされた事例
3 国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があるとした原審の判断に違法があるとされた事例
裁判要旨1 一時所得に係る支出が所得税法34条2項にいう「その収入を得るために支出した金額」に該当するためには,それが当該収入を得た個人において自ら負担して支出したものといえることを要する。
2 死亡保険金の受取人を法人とし,満期保険金の受取人を当該法人の代表者とする養老保険契約の保険料を当該法人が支払い,満期保険金を当該代表者が受け取った場合において,上記保険料のうち当該代表者に対する役員報酬として損金経理がされその給与として課税された部分がその2分の1である一方,その余の部分が当該法人における保険料として損金経理がされたものであるなど判示の事情の下では,上記満期保険金に係る当該代表者の一時所得の金額の計算上,後者の部分は所得税法34条2項にいう「その収入を得るために支出した金額」に当たらない。
3 一時所得に係る支出が所得税法34条2項にいう「その収入を得るために支出した金額」に該当するためにはそれが当該収入を得た個人において自ら負担して支出したものといえることを要するにもかかわらず,これと異なる法令解釈に基づいて行われた過少申告について,課税実務上の運用や税務当局等の示した見解の有無などの点につき十分に審理することなく,関係する通達の文言の一部や上記の法令解釈と同旨の見解を採る市販の解説書の記載のみをもって,国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があるとした原審の判断には,違法がある。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成24年1月16日 平成23(行ヒ)104
- 登載
- 集民 第239号555頁
- 参照法条
- (1〜3につき)所得税法34条2項,所得税法施行令(平成23年政令第195号による改正前のもの)183条2項2号 (3につき)国税通則法65条4項
論点31第34条所得税法
1 所得税法34条2項〈一時所得〉にいう「その収入を得るために支出した金額」の支出の主体
2 会社が保険料を支払った養老保険契約に係る満期保険金を当該会社の代表者らが受け取った場合において,上記満期保険金に係る当該代表者らの一時所得の金額の計算上,上記保険料のうち当該会社における保険料として損金経理がされた部分が所得税法34条2項にいう「その収入を得るために支出した金額」に当たらないとされた事例
裁判要旨1 一時所得に係る支出が所得税法34条2項にいう「その収入を得るために支出した金額」に該当するためには,それが当該収入を得た個人において自ら負担して支出したものといえることを要する。
2 死亡保険金の受取人を会社とし,満期保険金の受取人を当該会社の代表者らとする養老保険契約の保険料を当該会社が支払い,満期保険金を当該代表者らが受け取った場合において,上記保険料のうち当該代表者らに対する貸付金として経理処理がされた部分がその2分の1である一方,その余の部分が当該会社における保険料として損金経理がされたものであるなど判示の事情の下では,上記満期保険金に係る当該代表者らの一時所得の金額の計算上,後者の部分は所得税法34条2項にいう「その収入を得るために支出した金額」に当たらない。
(1,2につき補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成24年1月13日 平成21(行ヒ)404
- 登載
- 民集 第66巻1号1頁
- 参照法条
- (1,2につき)所得税法34条2項,所得税法施行令(平成23年政令第195号による改正前のもの)183条2項2号
論点32第35条所得税法
不動産競売についての予納金及び登録免許税の納付による支出と所得税法上の必要経費
裁判要旨不動産競売についての予納金及び登録免許税の納付による支出は、所得税法上の必要経費にあたらない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和59年3月6日 昭和57(あ)166
- 登載
- 刑集 第38巻5号1921頁
- 参照法条
- 所得税法35条,所得税法37条1項,競売法33条2項(昭和54年法律4号により廃止),民事執行法14条,民事執行法42条,民事執行法194条