刑事訴訟法 / テーマ別まとめ

総則/訴訟能力

訴訟能力の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

被告人・被疑者が法人であったり、意思能力を欠いていたりする場合に、誰が本人に代わって訴訟行為を行うかを定めた規定です。代表者・法定代理人がいないときの特別代理人選任の仕組みも含まれます。

訴訟能力
対象誰が行うか根拠
被告人・被疑者が法人代表者が代表27条1項
代表者が複数いる法人各自が単独で代表27条2項
意思能力を欠く場合法定代理人が代理28条
法定代理人が複数各自が単独で代理28条
代表者・代理人がいない被告人検察官請求or職権で特別代理人29条1項
代表者・代理人がいない被疑者検察官・司法警察員・利害関係人の請求で特別代理人29条2項
  • 28条は刑法39条(心神喪失等)・41条(刑事未成年)の適用がない罪の事件に限られる
  • 特別代理人の任務は、本人を代表・代理して訴訟行為をする者が現れるまで続く
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訴訟能力

訴訟能力について、条文は何を定めているか。

第27条法人が当事者のときは代表者が訴訟行為を行う2項判例 4件
  • 被告人・被疑者が法人の場合、その代表者が訴訟行為について代表する
  • 代表者が複数いる場合は、各自が単独で代表できる
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第28条意思能力がない被告人・被疑者は法定代理人が代理1項判例 1件
  • 刑法39条・41条の適用がない罪の事件が対象
  • 被告人・被疑者に意思能力がないとき、法定代理人が代理する
  • 法定代理人が複数いるときは、各自が単独で代理する
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第29条代表者・代理人がいなければ特別代理人を選ぶ3項判例 1件
  • 被告人に代表者・代理人がいないとき、検察官の請求または職権で選任
  • 被疑者の場合は検察官・司法警察員・利害関係人の請求で選任
  • 特別代理人は、代表・代理する者が現れるまで任務を行う
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第27条刑事訴訟法

一 会社と同時に破産宣告を受けた合名会社の社員の破産と商法第八五条第四号〈勾留の理由の開示は、合議体の構成員にこれをさせることができる。〉。
二 醸造元および銘柄を明記した酒瓶用胴張紙は刑法第一五九条第一項〈裁判所は、検察官、被告人又は弁護人が前条の証人尋問に立ち会わなかつたときは、立ち会わなかつた者に、証人の供述の内容を知る…〉にいわゆる事実証明に関する文書にあたるか。

裁判要旨一 合名会社の社員が会社と同時に破産宣告を受けたときは、右社員の破産は、商法第八五条第四号所定の退社原因にあたらない。
二 醸造元および銘柄を明記した酒瓶用胴張紙は刑法第一五九条第一項〈裁判所は、検察官、被告人又は弁護人が前条の証人尋問に立ち会わなかつたときは、立ち会わなかつた者に、証人の供述の内容を知る…〉にいわゆる「事実証明に関する文書」にあたる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年3月12日 昭和38(あ)1580
登載
集刑 第155号17頁
参照法条
商法85条4号,刑訴法27条,刑法159条1項
論点2第27条刑事訴訟法

一 会社の代表者でない者の作成提出にかかり本来無効な上告趣意書がいわゆる瑕疵の治癒により有効と認められた事例。
二 現行刑事訴訟法の施行と国税犯則取締法第一五条〈検察官は、左の場合には、関係のある第一審裁判所に共通する直近上級の裁判所に管轄指定の請求をしなければならない。〉の効力。

裁判要旨一 上告趣意書作成日附当時にはすでに死亡していた合資会社の代表社員名義で提出された上告趣意書につき、その提出当時においてはこれを適式、有効と認めるだけの余地がなかつた場合でも、当該会社の有限責任社員であつた者が右趣意書の作成、提出に関与したものと認められ、かつ、その者が無限責任社員となり会社代表資格を取得するのに至つた等の事情の変化(判文参照)があつたときには、これを有効と認めるのが相当である。
二 国税犯則取締法第一五条〈検察官は、左の場合には、関係のある第一審裁判所に共通する直近上級の裁判所に管轄指定の請求をしなければならない。〉の公訴時効中断の規定は、公訴時効中断の制度を廃し公訴時効停止の制度だけを採用している現行刑事訴訟法の施行により当然に廃止されたものと解することはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年10月16日 昭和38(あ)2860
登載
集刑 第152号1029頁
参照法条
刑訴法27条1項,刑訴法29条1項,刑訴法254条,商法151条,商法156条,商法162条1項,商法147,商法76条,商法85条3号,刑訴規則266条,刑訴規則238条,国税犯則取締法15条,国税犯則取締法14条
論点3第27条刑事訴訟法

一 株式会社の代表取締役がその任期満了後、新たに会社を代表する取締役の選任就職前になした告訴の効力
二 資本金の一部が未払込であり、且つ、株主総会が長期間に亘り開催されなかつた会社は架空の会社といえるか

裁判要旨一 株式会社の代表取締役は、たといその任期が満了した場合においても、新たに会社を代表する取締役が選任就職するまでは、なお右会社を代表して告訴をすることができるものである。
二 株式会社の資本金の一部が未払込であり、また株主総会が長期間に亘り開催されなかつたからといつて、その会社を目して架空の会社であるということはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和31年7月3日 昭和30(あ)885
登載
刑集 第10巻7号999頁
参照法条
商法(昭和25年法律167号による改正前)258条1項,商法(昭和25年法律167号による改正前)261条1項,刑訴法230条,刑訴法27条,商法第4章株式会社(165条の前)
論点4第27条刑事訴訟法

1 破産手続開始の決定を受けた株式会社を被告人とする刑事事件が係属している場合における破産手続の終了と刑訴法339条1項4号〈左の場合には、決定で公訴を棄却しなければならない。 被告人が死亡し、又は被告人たる法人が存続しなくなつたとき。〉にいう「被告人たる法人が存続しなくなつたとき」
2 破産手続開始当時の会社を代表する権限を有する取締役と当該会社を被告人とする刑事事件に係る訴訟手続についての代表権の有無
3 破産手続開始の決定を受けた株式会社を被告人とする刑事事件が係属している場合における破産手続の終了と当該刑事事件に係る訴訟手続についての取締役の代表権の消長
4 汚水を下水道に放流する行為が下水道法(令和3年法律第31号による改正前のもの)の罰則の対象となり得ることと廃棄物の処理及び清掃に関する法律(令和4年法律第68号による改正前のもの)16条〈法律による管轄裁判所がないとき、又はこれを知ることができないときは、検事総長は、最高裁判所に管轄指定の請求をしなければな…〉違反の罪の成否

裁判要旨1 破産手続開始の決定を受けた株式会社を被告人とする刑事事件が係属している場合には、破産手続が終了したとしても、刑訴法339条1項4号〈左の場合には、決定で公訴を棄却しなければならない。 被告人が死亡し、又は被告人たる法人が存続しなくなつたとき。〉にいう「被告人たる法人が存続しなくなつたとき」に当たらない。
2 破産手続開始当時の会社を代表する権限を有する取締役は、破産手続開始によりその地位を当然には失わず、破産手続が終了するまでの間、当該会社を被告人とする刑事事件に係る訴訟手続について当該会社を代表する。
3 破産手続開始の決定を受けた株式会社を被告人とする刑事事件に係る訴訟手続について当該会社を代表する取締役は、会社法478条1項2号又は3号に掲げる者がある場合を除き、破産手続の終了後は、当該刑事事件に係る訴訟手続について清算人の立場で当該会社を代表する。
4 汚水を下水道に放流する行為は、下水道法(令和3年法律第31号による改正前のもの)によって基準に適合しない下水の排除として規制され、同法の罰則の対象となり得るとしても、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(令和4年法律第68号による改正前のもの)16条〈法律による管轄裁判所がないとき、又はこれを知ることができないときは、検事総長は、最高裁判所に管轄指定の請求をしなければな…〉違反の罪が成立し得る。
裁判
最高裁判所第三小法廷 令和8年4月7日 令和6(あ)1479
登載
―
参照法条
(1、3につき)会社法475条1号、会社法476条、会社法481条1号 (1につき)刑訴法339条1項4号 (2、3につき)刑訴法27条1項 (2につき)会社法330条、会社法349条1項、民法653条2号、破産法78条1項 (3につき)会社法478条1項、会社法483条1項 (4につき)廃棄物の処理及び清掃に関する法律(令和4年法律第68号による改正前のもの)1条、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(令和4年法律第68号による改正前のもの)16条、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(令和4年法律第68号による改正前のもの)25条1項14号、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(令和4年法律第68号による改正前のもの)32条1項、下水道法(令和3年法律第31号による改正前のもの)1条、下水道法(令和3年法律第31号による改正前のもの)12条の2第1項、下水道法(令和3年法律第31号による改正前のもの)38条1項1号、下水道法(令和3年法律第31号による改正前のもの)45条、下水道法(令和3年法律第31号による改正前のもの)46条1項1号
論点5第28条刑事訴訟法

被害者の法定代理人たる親権者が二人ある場合の法定代理人の告訴。

裁判要旨被害者の親権者が二人あるときは、その各自が刑訴第二三一条第一項〈被害者の法定代理人は、独立して告訴をすることができる。〉の被害者の法定代理人として、告訴をすることができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和34年2月6日 昭和31(あ)3265
登載
刑集 第13巻1号49頁
参照法条
刑訴法231条1項,刑訴法28条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

刑事訴訟法 第27条 詳細ページ
第二十七条被告人又は被疑者が法人であるときは、その代表者が、訴訟行為についてこれを代表する。
2数人が共同して法人を代表する場合にも、訴訟行為については、各自が、これを代表する。
刑事訴訟法 第28条 詳細ページ
第二十八条刑法(明治四十年法律第四十五号)第三十九条又は第四十一条の規定を適用しない罪に当たる事件について、被告人又は被疑者が意思能力を有しないときは、その法定代理人(二人以上あるときは、各自。以下同じ。)が、訴訟行為についてこれを代理する。
刑事訴訟法 第29条 詳細ページ
第二十九条前二条の規定により被告人を代表し、又は代理する者がないときは、検察官の請求により又は職権で、特別代理人を選任しなければならない。
2前二条の規定により被疑者を代表し、又は代理する者がない場合において、検察官、司法警察員又は利害関係人の請求があつたときも、前項と同様である。
3特別代理人は、被告人又は被疑者を代表し又は代理して訴訟行為をする者ができるまで、その任務を行う。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。