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罪/礼拝所及び墳墓に関する罪

礼拝所及び墳墓に関する罪の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

礼拝所及び墳墓に関する罪は、神祠・仏堂・墓所などの礼拝所や、葬儀・墳墓・死体を対象とする行為を処罰する刑法の規定群です。礼拝所への不敬行為や説教等の妨害(188条)、墳墓の発掘(189条)、死体等の損壊・遺棄・領得(190条・191条)、変死者の無届埋葬(192条)を定めています。実務では、対象(礼拝所か遺体・遺骨か)と行為態様の組み合わせによって適用条文と法定刑が異なる点を押さえておく必要があります。

礼拝所及び墳墓に関する罪
条文客体行為法定刑
188条1項神祠・仏堂・墓所等の礼拝所公然と不敬な行為をする6月以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金
188条2項説教・礼拝・葬式妨害する1年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金
189条墳墓発掘する2年以下の拘禁刑
190条死体・遺骨・遺髪・棺内の物損壊・遺棄・領得する3年以下の拘禁刑
191条発掘した上での死体等発掘の上、損壊・遺棄・領得する3月以上5年以下の拘禁刑
192条変死者検視を経ずに葬る10万円以下の罰金又は科料
  • 188条1項の対象は「神祠、仏堂、墓所その他の礼拝所」であり、条文上の例示3類型に限られない。
  • 191条は189条(墳墓発掘)の罪を犯した者が死体・遺骨・遺髪・棺内の物を損壊・遺棄・領得した場合の類型。
  • 192条は「検視を経ないで」葬った点が要件であり、対象は変死者である。
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礼拝所及び墳墓に関する罪

礼拝所及び墳墓に関する罪について、条文は何を定めているか。

第188条礼拝所不敬及び説教等妨害礼拝所への不敬と儀式妨害を処罰する2項判例 1件
  • 礼拝所への公然の不敬行為は6月以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金
  • 説教・礼拝・葬式の妨害は1年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金
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第189条墳墓発掘墳墓の発掘を処罰する1項判例 2件
  • 墳墓を発掘すると2年以下の拘禁刑
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第190条死体損壊等死体等の損壊・遺棄・領得を処罰する1項判例 7件
  • 死体・遺骨・遺髪・棺に納めてある物の損壊・遺棄・領得は3年以下の拘禁刑
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第191条墳墓発掘死体損壊等墳墓発掘に伴う死体損壊等は刑が重くなる1項判例なし
  • 189条〈墳墓発掘〉の罪を犯して死体等を損壊・遺棄・領得すると3月以上5年以下の拘禁刑
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第192条変死者密葬変死者を検視前に葬ると処罰される1項判例なし
  • 検視を経ずに変死者を葬ると10万円以下の罰金又は科料
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第188条刑法

深夜墓碑を押し倒した行為が刑法第一八八条第一項にいう公然の行為にあたるとされた事例

裁判要旨県道につながる村道に近接し、他人の住家も遠からぬ位置に散在する場所にある共同墓地において、墓碑を押し倒した被告人らの行為は、たまたま、その行為が午前二時ごろに行なわれたもので、当時通行人などがなかつたとしても、刑法第一八八条第一項〈礼拝所不敬及び説教等妨害〉にいう公然の行為にあたる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年6月5日 昭和42(あ)3064
登載
刑集 第22巻6号427頁
参照法条
刑法188条1項
論点2第189条刑法

刑法第一八九条〈墳墓発掘〉の「発掘」の意義。

裁判要旨刑法第一八九条〈墳墓発掘〉の「発掘」とは、墳墓の覆土の全部または一部を除去し、もしくは墓石等を破壊解体して、墳墓を損壊する行為をいい、必ずしも墳墓内の棺桶、遺骨、死体等を外部に露出させることを要しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年3月11日 昭和38(あ)2502
登載
刑集 第18巻3号99頁
参照法条
刑法189条
論点3第189条刑法

無縁墓地の解釈

裁判要旨無縁墓地の解釈に関する原判決の判示は、相当である。

(原判示の要旨)無縁墓地とは、これに葬られた死者を弔うべき縁故者等がいなくなつた墓のある土地の意と解すべく、墓地、埋葬等に関する法律施行規則第三条の無縁墳墓改葬に関する規定の趣旨に鑑みてもかく解するのが相当である。単に墓地の管理寺院と墓地の使用者又はその縁故者とが無関係であるという事だけでは、これを無縁墓地と断ずることはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年7月30日 昭和36(あ)842
登載
集刑 第147号897頁
参照法条
刑法189条,墓地、埋葬等に関する法律2条,墓地、埋葬等に関する法律5条2項,同法施行規則2条,同法施行規則3条
論点4第190条刑法

傷害致死後における死体遺棄の罪責。

裁判要旨身体傷害により人を死に致した後、さらに死体を遺棄するにおいては、傷害致死罪のほかに死体遺棄罪を構成する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和34年2月19日 昭和33(あ)742
登載
刑集 第13巻2号161頁
参照法条
刑法205条,刑法190条,刑法45条
論点5第190条刑法

一 鑑定の目的物を破壊するについて刑訴第一六八条〈未遂罪〉所定の裁判所の許可を受けなかつた場合と当該鑑定の証拠能力
二 軽犯罪法第一条第一九号の法意

裁判要旨一 鑑定の目的物を破壊するについて、刑訴第一六八条〈未遂罪〉所定の裁判所の許可を受けなかつた場合でも、右処置に対し当該強制処分の対象となつた者から異議がなされていない以上、その鑑定の証拠能力を否定すべき理由はない。
二 軽犯罪法第一条第一九号は、正当の理由なくして変死体又は死胎の現場を変える行為を取り締ろうとする法意であつて、故意に死体を放棄する行為を処罰の対象とする死体遺棄罪とはその罪質を異にする。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和29年4月15日 昭和27(あ)3156
登載
刑集 第8巻4号471頁
参照法条
刑訴法168条,刑訴法317条,刑訴法318条,軽犯罪法1条19号,刑法190条
論点6第190条刑法

死体遺棄後の死体損壊と罪数

裁判要旨一旦死体を埋没遺棄し、数月後更にこれを発掘して損壊する如き場合は、死体損壊罪と同遺棄罪との併合罪が成立する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和27年6月24日 昭和25(あ)3396
登載
刑集 第6巻6号804頁
参照法条
刑法190条
論点7第190条刑法

殺害現場の床下に死体を秘匿する行為と死体遺棄罪

裁判要旨旅館の客室で人を殺した者がその死体を右客室の床下に投棄秘匿する場合には、殺人罪の外に死体遺棄罪が成立する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和26年6月7日 昭和26(れ)426
登載
集刑 第47号405頁
参照法条
刑法199条,刑法190条
論点8第190条刑法

共犯者の供述に信用性を認めた原判決が破棄された事例

裁判要旨殺人、死体遺棄の公訴事実に関し、被告人と犯行とを結びつける唯一の直接証拠である共犯者の供述の信用性について幾多の疑問点があるのに、それらを解明することなく被告人を有罪と認めた原判決は、刑訴法四一一条一号、三号により破棄を免れない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成元年6月22日 昭和57(あ)223
登載
刑集 第43巻6号427頁
参照法条
刑法190条,刑法199条,刑訴法317条,刑訴法411条1号,刑訴法411条3号,刑訴法413条本文
論点9第190条刑法

被告人を死刑に処した裁判員裁判による第1審判決を量刑不当として破棄し無期懲役に処した原判決の量刑が維持された事例

裁判
最高裁判所第一小法廷 令和元年7月1日 平成29(あ)605
登載
集刑 第326号63頁
参照法条
刑法199条,刑法225条,刑法190条,刑訴法411条2号
論点10第190条刑法

1 刑法190条〈死体損壊等〉にいう「遺棄」の意義
2 死亡後間もないえい児の死体を隠匿した行為が刑法190条にいう「遺棄」に当たらないとされた事例

裁判要旨1 刑法190条〈死体損壊等〉にいう「遺棄」とは、習俗上の埋葬等とは認められない態様で死体等を放棄し又は隠匿する行為をいう。
2 被告人の居室で、出産し、死亡後間もないえい児の死体をタオルに包んで段ボール箱に入れ、同段ボール箱を棚の上に置くなどして、他者が死体を発見することが困難な状況を作出したという被告人の隠匿行為は、それが行われた場所、死体のこん包及び設置の方法等に照らすと、刑法190条にいう「遺棄」に当たらない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 令和5年3月24日 令和4(あ)196
登載
刑集 第77巻3号41頁
参照法条
(1、2につき)刑法190条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

刑法 第188条(礼拝所不敬及び説教等妨害) 詳細ページ
(礼拝所不敬及び説教等妨害)
第百八十八条神祠、仏堂、墓所その他の礼拝所に対し、公然と不敬な行為をした者は、六月以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
2説教、礼拝又は葬式を妨害した者は、一年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
刑法 第189条(墳墓発掘) 詳細ページ
(墳墓発掘)
第百八十九条墳墓を発掘した者は、二年以下の拘禁刑に処する。
刑法 第190条(死体損壊等) 詳細ページ
(死体損壊等)
第百九十条死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の拘禁刑に処する。
刑法 第191条(墳墓発掘死体損壊等) 詳細ページ
(墳墓発掘死体損壊等)
第百九十一条第百八十九条の罪を犯して、死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三月以上五年以下の拘禁刑に処する。
刑法 第192条(変死者密葬) 詳細ページ
(変死者密葬)
第百九十二条検視を経ないで変死者を葬った者は、十万円以下の罰金又は科料に処する。
出

一次情報

原文ママ

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