論点1第45条民事執行法
連帯保証債務の物上保証人に対する抵当権の実行と主債務の消滅時効の中断
裁判要旨甲の債務者乙の連帯保証人である丙の債務を担保するため、丁が物上保証人となった場合において、甲が丁に対して競売を申し立て、その手続が進行することは、乙の主債務の消滅時効の中断事由に該当しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成8年9月27日 平成7(オ)1914
- 登載
- 民集 第50巻8号2395頁
- 参照法条
- 民法147条,民法148条,民法149条,民法153条,民法155条,民法434条,民法458条,民事執行法45条2項,民事執行法188条
論点2第45条民事執行法
物上保証人に対する不動産競売において被担保債権の時効中断の効力が生ずる時期
裁判要旨物上保証人に対する不動産競売において、被担保債権の時効中断の効力は、競売開始決定正本が債務者に送達された時に生ずる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成8年7月12日 平成5(オ)1788
- 登載
- 民集 第50巻7号1901頁
- 参照法条
- 民法147条,民法148条,民法155条,民事執行法45条2項,民事執行法188条
論点3第45条民事執行法
物上保証人に対する不動産競売の開始決定の債務者への送達がいわゆる付郵便送達によりされた場合における被担保債権の消滅時効の中断
裁判要旨物上保証人に対する不動産競売において、開始決定の債務者への送達がいわゆる付郵便送達によりされた場合には、決定正本が郵便に付して発送されたことによっては被担保債権の消滅時効の中断の効力を生ぜず、右正本の到達によって初めて時効中断の効力を生ずる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成7年9月5日 平成7(オ)374
- 登載
- 民集 第49巻8号2784頁
- 参照法条
- 民法147条,民法148条,民法155条,民訴法172条,民訴法173条,民事執行法45条2項,民事執行法188条
論点4第45条民事執行法
物上保証人所有の不動産を目的とする競売の開始決定の債務者への送達が債務者の所在が不明であるため公示送達によりされた場合における被担保債権の消滅時効の中断
裁判要旨物上保証人所有の不動産を目的とする競売手続において,債務者の所在が不明であるため,開始決定の債務者への送達が公示送達によりされた場合には,民訴法111条の規定による掲示を始めた日から2週間を経過した時に,被担保債権について消滅時効の中断の効力を生ずる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成14年10月25日 平成14(許)11
- 登載
- 民集 第56巻8号1942頁
- 参照法条
- 民法147条,民法155条,民訴法110条1項,民訴法111条,民訴法113条,民事執行法45条2項,民事執行法188条
論点5第49条民事執行法
不動産競売手続において交付要求書の延滞税の欄に法律による金額の交付を求める旨のみを記載してした交付要求の効力の及ぶ範囲
裁判要旨滞納に係る国税の本税の金額が法定納期限後における一部納付等により減少した場合において、税務署長が、不動産競売の執行裁判所に対し、交付要求書の本税の欄に交付要求時に存在する本税の金額を記載し、延滞税の欄には具体的金額を記載せず法律による金額の交付を求める旨のみを記載して交付要求をしたときは、その効力は、交付要求時以前に消滅した本税部分の金額に対応して計算される延滞税の金額には及ばない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成9年11月13日 平成6(オ)2037
- 登載
- 民集 第51巻10号4107頁
- 参照法条
- 民事執行法49条2項,民事執行法51条1項,民事執行法87条1項,国税徴収法82条,国税徴収法施行令36条1項,国税徴収法施行規則3条1項,国税通則法60条
論点6第49条民事執行法
不動産競売手続において国税徴収法二二条五項の交付要求をすべき時期
裁判要旨不動産競売手続において、国税徴収法二二条五項に基づく交付要求により配当を受けるためには、配当要求の終期までにこれをしなければならない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成2年6月28日 昭和63(オ)35
- 登載
- 民集 第44巻4号785頁
- 参照法条
- 国税徴収法22条,国税徴収法82条,民事執行法49条,民事執行法87条1項,民事執行法188条
論点7第50条民事執行法
不動産強制競売手続において抵当権者がする債権の届出と時効の中断
裁判要旨不動産強制競売手続において催告を受けた抵当権者がする債権の届出は、その届出に係る債権に関する裁判上の請求、破産手続参加又はこれらに準ずる時効中断事由に該当しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成元年10月13日 平成1(オ)653
- 登載
- 民集 第43巻9号985頁
- 参照法条
- 民法147条,民法149条,民法152条,民事執行法50条
論点8第50条民事執行法
第三者の申立てに係る不動産競売手続において抵当権者が債権の一部に対する配当を受けたことと右債権の残部についての時効の中断
裁判要旨第三者の申立てに係る不動産競売手続において、抵当権者が、債権の届出をし、その届出に係る債権の一部に対する配当を受けたとしても、右配当を受けたことは、右債権の残部について、差押えその他の消滅時効の中断事由に該当せず、これに準ずる消滅時効中断の効力も有しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成8年3月28日 平成4(オ)2107
- 登載
- 民集 第50巻4号1172頁
- 参照法条
- 民法147条,民事執行法50条,民事執行法84条1項
論点9第51条民事執行法
不動産競売手続において建物の区分所有等に関する法律66条〈買受けの申出の保証〉で準用される同法7条1項の先取特権を有する債権者が配当要求をしたことにより配当要求債権について差押え(平成29年法律第44号による改正前の民法147条2号)に準ずるものとして消滅時効の中断の効力が生ずるための要件
裁判要旨不動産競売手続において建物の区分所有等に関する法律
66条〈買受けの申出の保証〉で準用される同法7条1項の先取特権を有する債権者が配当要求をしたことにより,上記配当要求における配当要求債権について,差押え(平成29年法律第44号による改正前の民法147条2号)に準ずるものとして消滅時効の中断の効力が生ずるためには,民事執行法
181条1項〈不動産担保権の実行の開始〉各号に掲げる文書により上記債権者が上記先取特権を有することが上記手続において証明されれば足り,債務者が上記配当要求債権についての配当異議の申出等をすることなく売却代金の配当又は弁済金の交付が実施されるに至ったことを要しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 令和2年9月18日 平成31(受)310
- 登載
- 民集 第74巻6号1762頁
- 参照法条
- 民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)147条2号,民法148条1項2号,民法306条1号,民事執行法51条1項,民事執行法181条1項,建物の区分所有等に関する法律7条1項,建物の区分所有等に関する法律7条2項,建物の区分所有等に関する法律66条
論点10第57条民事執行法
一 不動産の現況調査を行うに当たっての執行官の注意義務
二 執行官が現況調査を行うに当たり目的不動産の現況をできる限り正確に調査すべき注意義務に違反したと認められた事例
裁判要旨一 執行官は、現況調査を行うに当たり、通常行うべき調査方法を採らず、あるいは、調査結果の十分な評価、検討を怠るなど、その調査及び判断の過程が合理性を欠き、その結果、現況調査報告書の記載内容と目的不動産の実際の状況との間に看過し難い相違が生じた場合には、目的不動産の現況をできる限り正確に調査すべき注意義務に違反したものというべきである。
二 執行官が、山林の現況調査を行うに当たり、自ら案内を申し出た町役場職員の指示した土地が現況調査の対象ではなかったにもかかわらず、右職員に対する質問や他の調査結果との照合により右職員の指示説明の正確性を検討することを怠り、また、携行していた不動産登記法一七条所定の登記所備付地図の写しと現地の状況との照合を十分に行わなかったために両者の相違に気付かず、その結果、右職員の指示した土地を現況調査の対象と誤認して、右土地の現況を現況調査報告書に記載したなど判示の事実関係の下においては、右執行官は、目的不動産の現況をできる限り正確に調査すべき注意義務に違反したものと認められる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成9年7月15日 平成6(オ)548
- 登載
- 民集 第51巻6号2645頁
- 参照法条
- 国家賠償法1条1項,民事執行法57条
論点11第59条民事執行法
通行地役権者が承役地の担保不動産競売による買受人に対し地役権設定登記がなくとも通行地役権を主張することができる場合
裁判要旨通行地役権の承役地が担保不動産競売により売却された場合において,最先順位の抵当権の設定時に,既に設定されている通行地役権に係る承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置,形状,構造等の物理的状況から客観的に明らかであり,かつ,上記抵当権の抵当権者がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは,通行地役権者は,特段の事情がない限り,登記がなくとも,買受人に対し,当該通行地役権を主張することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成25年2月26日 平成23(受)1644
- 登載
- 民集 第67巻2号297頁
- 参照法条
- 民事執行法59条2項,民事執行法188条,民法177条,民法280条
論点12第59条民事執行法
民法258条2項所定の競売を命ずる判決に基づく不動産競売と民事執行法59条及び63条の準用の有無
裁判要旨民法258条2項所定の競売を命ずる判決に基づく不動産競売については,民事執行法
59条〈売却に伴う権利の消滅等〉及び
63条〈剰余を生ずる見込みのない場合等の措置〉が準用される。
(補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成24年2月7日 平成23(許)31
- 登載
- 集民 第240号1頁
- 参照法条
- 民事執行法59条,民事執行法63条,民事執行法188条,民事執行法195条,民法258条2項
論点13第59条民事執行法
抵当権設定登記後に賃借権の時効取得に必要な期間不動産を用益した者が賃借権の時効取得を当該不動産の競売又は公売による買受人に対抗することの可否
裁判要旨不動産につき賃借権を有する者がその対抗要件を具備しない間に,当該不動産に抵当権が設定されてその旨の登記がされた場合,上記の者は,上記登記後,賃借権の時効取得に必要とされる期間,当該不動産を継続的に用益したとしても,競売又は公売により当該不動産を買い受けた者に対し,賃借権を時効により取得したと主張して,これを対抗することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成23年1月21日 平成21(受)729
- 登載
- 集民 第236号27頁
- 参照法条
- 民法163条,民法601条,民法605条,民事執行法59条1項,民事執行法59条2項,国税徴収法124条1項
論点14第60条民事執行法
借地権付き建物に対する強制競売において借地権が存在しなかった場合と民法五六八条一項、二項及び五六六条一項、二項の類推適用
裁判要旨建物に対する強制競売において、借地権の存在を前提として売却が実施されたことが明らかであるにもかかわらず、代金納付の時点において借地権が存在しなかった場合、買受人は、そのために建物買受けの目的を達することができず、かつ、債務者が無資力であるときは、民法五六八条一項、二項及び五六六条一項、二項の類推適用により、強制競売による建物の売買契約を解除した上、売却代金の配当を受けた債権者に対し、その返還を請求することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成8年1月26日 平成5(オ)1054
- 登載
- 民集 第50巻1号155頁
- 参照法条
- 民法566条1項2項,民法568条1項2項,民事執行法60条,民事執行法62条,民事執行法79条
論点15第63条民事執行法
一 仮登記担保権者が仮登記担保契約に関する法律五条一項〈審尋〉所定の通知をしなかつた場合における当該後順位担保権者に対する仮登記に基づく本登記承諾請求の許否
二 仮登記担保の目的不動産の競売による売却代金で後順位担保権者の被担保債権に優先する債権等を弁済すれば剰余を生ずる見込みのない場合と右後順位担保権者に対する仮登記担保契約に関する法律五条一項所定の通知
裁判要旨一 仮登記担保権者は、仮登記担保契約に関する法律
二条一項〈執行機関〉所定の債務者又は第三者に対する通知をし、その到達の日から二月の清算期間を経過したのちであつても、同法五条一項所定の通知をしていない後順位担保権者に対しては仮登記に基づく本登記の承諾請求をすることはできない。
二 仮登記担保の目的不動産の競売による売却代金で共益費用たる執行費用、仮登記担保権者の被担保債権及び後順位担保権者の被担保債権に優先する債権を弁済すれば剰余を生ずる見込みのない場合であつても、右後順位担保権者に対する仮登記担保契約に関する法律
五条一項〈審尋〉所定の通知は不要とはならない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和61年4月11日 昭和58(オ)1202
- 登載
- 民集 第40巻3号584頁
- 参照法条
- 仮登記担保契約に関する法律2条1項,仮登記担保契約に関する法律5条1項,不動産登記法105条1項,不動産登記法146条1項,民事執行法63条1項
論点16第64条民事執行法
不動産強制競売事件の期間入札において,執行官が無効な入札をした者を最高価買受申出人と定めたとして売却不許可決定がされ,これが確定した場合に,当初の入札までの手続を前提に再度の開札期日を開くこととした執行裁判所の判断に違法がないとされた事例
裁判要旨不動産強制競売事件の期間入札において,最高の価額で買受けの申出をしたAの入札が無効であるのに,執行官がこれを誤って有効と判断しAを最高価買受申出人と定めたため,執行裁判所がAに対する売却不許可決定をし,これが確定した場合に,①上記期間入札において入札をしたのはAとBのみであった,②Bは,上記売却不許可決定の確定後,なお買受けを希望し,既に返還を受けた買受けの申出の保証につき執行裁判所の定める期間内に再度提供する旨を明らかにしていた,③他にBの入札を無効とすべき事情があったことはうかがわれないなど判示の事情の下においては,当初の入札までの手続を前提に再度の開札期日を開くこととした執行裁判所の判断に違法はない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成26年11月4日 平成26(許)15
- 登載
- 集民 第248号39頁
- 参照法条
- 民事執行法64条,民事執行法69条,民事執行法71条7号,民事執行規則46条
論点17第64条民事執行法
1 担保不動産競売事件の期間入札において,執行官が,最高の価額で買受けの申出をした入札人の入札を誤って無効と判断し,他の者を最高価買受申出人と定めて開札期日を終了した場合に,執行裁判所等が執るべき措置
2 担保不動産競売事件の期間入札において,自らが最高の価額で買受けの申出をしたにもかかわらず,執行官の誤りにより当該入札が無効と判断されて他の者が最高価買受申出人と定められたため,買受人となることができなかったことを主張する入札人が,この者の受けた売却許可決定に対し執行抗告をすることの許否
3 担保不動産競売事件の期間入札において,入札書を封入した封筒に記載された事件番号が,これと共に提出された入札保証金振込証明書に記載されたそれと一致しなくても,当該入札が無効であるということはできないとされた事例
裁判要旨1 担保不動産競売事件の期間入札において,執行官が,最高の価額で買受けの申出をした入札人の入札を誤って無効と判断し,他の者を最高価買受申出人と定めて開札期日を終了した場合には,執行裁判所は,誤って最高価買受申出人と定められた者に対する売却を不許可とした上で,当初の入札までの手続を前提に改めて開札期日及び売却決定期日を定め,これを受けて執行官が再び開札期日を開き,最高価買受申出人を定め直すべきである。
2 担保不動産競売事件の期間入札において,自らが最高の価額で買受けの申出をしたにもかかわらず,執行官の誤りにより当該入札が無効と判断されて他の者が最高価買受申出人と定められたため,買受人となることができなかったことを主張する入札人は,この者が受けた売却許可決定に対し執行抗告をすることができる。
3 担保不動産競売事件の期間入札において,入札書を封入した封筒に記載された事件番号が,これと共に提出された入札保証金振込証明書に記載されたそれと一致しなくても,次の(1)〜(3)の事実関係の下では,当該入札が無効であるということはできない。
(1) 上記封筒に記載された開札期日の日時には,年の記載を除き,上記封筒に記載された事件番号と一致する事件番号の担保不動産競売事件の開札期日が指定されていた。
(2) 上記入札保証金振込証明書に記載された事件番号,物件番号及び開札期日は,いずれも上記(1)の担保不動産競売事件のそれと一致していた。
(3) 上記封筒に記載された事件番号に対応する担保不動産競売事件の開札期日が上記封筒に記載された開札期日又はこれに近接する日に指定されていたことはうかがわれない。
(1につき補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成22年8月25日 平成22(許)2
- 登載
- 民集 第64巻5号1482頁
- 参照法条
- (1〜3につき)民事執行法64条,民事執行法188条(1につき)民事執行法69条,民事執行規則46条,民事執行規則173条1項(2につき)民事執行法74条1項(3につき)民事執行規則47条,民事執行規則173条1項
論点18第64条民事執行法
1 不動産競売の入札書の入札価額欄の記載の不備と入札の効力
2 不動産競売の入札が入札書の入札価額欄の記載の不備により無効であるとされた事例
裁判要旨1 不動産競売の入札の手続において,入札書の入札価額欄の記載に不備があり,同欄の記載内容からみて,入札価額が一義的に明確であると認められないときは,その入札書による入札は無効である。
2 不動産競売の入札の手続において,位ごとに区切られた入札価額欄の枠内に各位の数字を記載するものとされた入札書が用いられ,その千万から十までの各位にはそれぞれ数字が記載されているが,一の位には何も記載がされていないときは,当該入札書による入札は無効である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成15年11月11日 平成15(許)23
- 登載
- 民集 第57巻10号1524頁
- 参照法条
- 民事執行法64条,民事執行法188条,民事執行規則38条2項4号,民事執行規則49条,民事執行規則173条1項