民事訴訟法 / テーマ別まとめ

証拠/鑑定

鑑定の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

鑑定は、専門的な学識経験を要する事項について、裁判所が指定した鑑定人に意見を述べさせる証拠調べの手続です。民事訴訟法第212条から第218条は、鑑定人の資格・指定・忌避、意見の陳述方法や鑑定人への質問、官公署・法人への鑑定の嘱託までを定めています。実務担当者は、証人尋問と似ているようで手続が異なる点に注意が必要です。

鑑定
場面内容条文
鑑定人になる義務学識経験があれば拒否できない212条
鑑定人になれない人証言・宣誓拒絶者と同様の者212条2項
鑑定人の指定裁判所が指定する213条
忌避誠実な鑑定を妨げる事情で申立て214条
鑑定拒絶正当理由があれば拒める216条
陳述の方法書面又は口頭215条
鑑定人質問陳述後に質問できる215条の2
通話での陳述映像・音声通話でも可215条の3
鑑定の嘱託官公署・法人に嘱託可218条
鑑定証人証人尋問の規定による217条
  • 忌避の申立ては受訴裁判所・受命裁判官・受託裁判官に対して行う(214条2項)
  • 忌避を理由ありとする決定には不服申立てができず、理由なしとする決定には即時抗告ができる(214条3項・4項)
  • 鑑定人質問の順序は裁判長→鑑定の申出をした当事者→他の当事者で、裁判長は当事者の意見を聴いて変更できる(215条の2)
  • 裁判所は意見を明瞭にし根拠を確認する必要があるときは、申立てまたは職権で鑑定人に更に意見を述べさせられる(215条3項)
  • 書面の意見に代えて、最高裁判所規則で定める方法で電子的に意見を提出することもできる(215条2項)
  • 鑑定拒絶・宣誓拒絶・不出頭等には証人尋問に関する規定(192・193・197〜199・201条等)が準用される(216条)
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鑑定

鑑定について、条文は何を定めているか。

第212条鑑定義務学識経験があれば鑑定を断れない2項判例 2件
  • 鑑定に必要な学識経験がある人は鑑定を行う義務を負う
  • 証言・宣誓拒絶できる立場と同じ人は鑑定人になれない
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第213条鑑定人の指定鑑定人は裁判所が指定する1項判例 3件
  • 受訴裁判所・受命裁判官・受託裁判官が鑑定人を指定する
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第214条忌避誠実に鑑定できない事情があれば忌避できる4項判例 2件
  • 鑑定事項の陳述前であれば忌避を申し立てられる
  • 陳述後でも忌避の原因発生・判明後なら申立て可
  • 忌避を認める決定に不服申立てはできず、認めない決定には即時抗告できる
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第215条鑑定人の陳述の方式等意見は書面か口頭で述べさせる4項判例なし
  • 裁判長は鑑定人に書面又は口頭で意見を述べさせられる
  • 書面に代えて電子データでの提出も認められる
  • 裁判所は書面等の記載事項を当事者に提示しなければならない
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第215_2条鑑定人質問陳述後に鑑定人へ質問できる4項判例なし
  • 口頭陳述の後、鑑定人に質問できる
  • 質問順は裁判長→申出当事者→他の当事者の順
  • 裁判長は当事者の意見を聴いて順序を変更でき、異議には裁判所が決定で判断
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第215_3条映像等の送受信による通話の方法による陳述映像・音声通話で意見を述べさせられる1項判例なし
  • 相当と認めるときは映像と音声の送受信による通話方法で陳述させられる
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第215_4条受命裁判官等の権限受命裁判官等が裁判所の職務を行う1項判例なし
  • 受命・受託裁判官が鑑定人陳述時の裁判所・裁判長の職務を行う
  • ただし質問順序の異議についての裁判は受訴裁判所が行う
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第216条証人尋問の規定の準用証人尋問の規定を鑑定人にも準用1項判例なし
  • 公務員の職務上秘密に関する規定を準用する
  • 鑑定拒絶の場面に証言拒絶の規定を準用する
  • 宣誓や不出頭・拒絶時の規定も準用される
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第217条鑑定証人特別知識で知った事実は証人扱い1項判例なし
  • 特別の学識経験によって知った事実の尋問は証人尋問の規定による
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第218条鑑定の嘱託官公署や法人に鑑定を嘱託できる3項判例 2件
  • 必要があれば官庁・公署や外国官公署、相当設備のある法人に嘱託できる
  • 嘱託先の指定した者に鑑定結果の説明をさせられる
  • 裁判所は嘱託に係る鑑定結果を当事者に提示しなければならない
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第212条民事訴訟法

一、権利能力なき社団の資産たる不動産についての登記方法
二、権利能力なき社団の資産たる不動産につき登記簿上所有名義人となつていた代表者が交替した場合における新代表者の旧代表者に対する登記請求権

裁判要旨一、権利能力なき社団の資産たる不動産については、社団の代表者が、社団の構成員全員の受託者たる地位において、個人の名義で所有権の登記をすることができるにすぎず、社団を権利者とする登記をし、または、社団の代表者である旨の肩書を付した代表者個人名義の登記をすることは、許されないものと解すべきである。
二、権利能力なき社団の資産たる不動産につき、登記簿上所有名義人となつた代表者がその地位を失い、これに代わる新代表者が選任されたときは、新代表者は、旧代表者に対して、当該不動産につき自己の個人名義に所有権移転登記手続をすることを求めることができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和47年6月2日 昭和45(オ)232
登載
民集 第26巻5号957頁
参照法条
民法43条,民法177条,民訴法46条,民訴法208条1項,民訴法211条,民訴法212条,民訴法384条,不動産登記法26条,不動産登記法36条,不動産登記法110条の3
論点2第212条民事訴訟法

更生会社の管財人を当事者とする訴訟の係属中に管財人が追加選任された場合と訴訟手続の中断

裁判要旨更生会社の管財人を当事者とする訴訟の係属中に、新たに管財人が追加選任されたときは、民訴法二一二条一項〈鑑定義務〉の類推適用により訴訟手続は中断し、従来の管財人と新管財人とが共同してその訴訟手続を受け継ぐことを要する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和45年10月27日 昭和45(オ)577
登載
民集 第24巻11号1655頁
参照法条
民訴法212条1項,会社更生法96条,会社更生法97条
論点3第213条民事訴訟法

訴訟代理人があるため訴訟手続が中断しない場合と当事者の表示

裁判要旨当事者が死亡したが、訴訟代理人があるため、訴訟手続を中断しないまま口頭弁論を終結した場合には、相続人が何人であるか明らかであるかぎり、判決には当事者として新当事者を表示するを相当とし、旧当事者を表示しているときは、民訴法第一九四条〈勾引〉によつて更正することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年8月25日 昭和41(オ)369
登載
集民 第88号293頁
参照法条
民訴法213条,民訴法194条
論点4第213条民事訴訟法

訴訟承継の場合における訴訟代理人の地位。

裁判要旨被相続人の訴訟代理人であつた者は、被相続人の死亡による訴訟承継の結果、新たに当事者となつた相続人の訴訟代理人として訴訟行為をなすことができるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和33年9月19日 昭和32(オ)563
登載
民集 第12巻13号2062頁
参照法条
民訴法213条,民訴法85条
論点5第213条民事訴訟法

上告提起の特別委任を受けた訴訟代理人がある場合と当事者の死亡による訴訟手続中断の有無

裁判要旨当事者より上告提起の特別委任を受けた訴訟代理人がある場合には、第二審判決の送達後上告提起の期間内にその当事者が死亡しても訴訟手続は中断しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和23年12月24日 昭和23(オ)104
登載
民集 第2巻14号500頁
参照法条
民訴法81条2項,民訴法85条,民訴法208条,民訴法213条
論点6第214条民事訴訟法

建物収去土地明渡請求及び賃料相当損害金請求訴訟の係属中に被告が破産宣告を受けた場合と破産宣告までに発生した賃料相当損害金請求部分の訴訟の受継の手続

裁判要旨建物収去土地明渡請求及び賃料椙当損害金請求訴訟の係属中に被告が破産宣告を受けた場合、破産宣告の前日までに発生した賃料相当損害金請求部分の訴訟は、破産法六九条所定の破産財団に属する財産に関する訴訟ではなく、同法二四六条所定の破産債権の確定を求める訴訟であつて、その受継は、同法二四六条、二四四条二項、二四七条の定める手続によつてすることを要する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和59年5月17日 昭和58(オ)333
登載
集民 第142号1頁
参照法条
破産法69条,破産法244条,破産法246条,破産法247条,民訴法214条,民訴法218条
論点7第214条民事訴訟法

上告人が上告理由書提出期間経過後に破産宣告を受けた場合に受継手続を経ることなく民訴法四〇一条により上告棄却の判決をすることの可否

裁判要旨上告裁判所は、上告を理由なしと認める場合には、上告理由書提出期間の経過後に上告人が破産宣告を受けたときであっても、受継手続を経ることなく、口頭弁論を経ずに上告棄却の判決をすることができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成9年9月9日 平成5(オ)747
登載
集民 第185号189頁
参照法条
民訴法214条,民訴法222条1項,民訴法401条,破産法69条,破産法246条
論点8第218条民事訴訟法

控訴審の終局判決言渡後判決正本の送達前における訴訟当事者の死亡による訴訟手続の中断と受継決定のみの破棄を求める新当事者の上告の適否

裁判要旨控訴審の終局判決言渡後判決正本の送達前に訴訟当事者が死亡したため訴訟手続が中断した場合において、相手方当事者の受継の申立に基づき、新当事者に対し訴訟手続を受継すべきことを命ずる決定があつたときは、右受継決定に不服のある新当事者は、終局判決に対する上告をもつて適法に右受継決定のみの破棄を求めることができるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和48年3月23日 昭和46(オ)748
登載
民集 第27巻2号365頁
参照法条
民訴法208条,民訴法218条,民訴法362条,民訴法393条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民事訴訟法 第212条(鑑定義務) 詳細ページ
(鑑定義務)
第二百十二条鑑定に必要な学識経験を有する者は、鑑定をする義務を負う。
2第百九十六条又は第二百一条第四項の規定により証言又は宣誓を拒むことができる者と同一の地位にある者及び同条第二項に規定する者は、鑑定人となることができない。
民事訴訟法 第213条(鑑定人の指定) 詳細ページ
(鑑定人の指定)
第二百十三条鑑定人は、受訴裁判所、受命裁判官又は受託裁判官が指定する。
民事訴訟法 第214条(忌避) 詳細ページ
(忌避)
第二百十四条鑑定人について誠実に鑑定をすることを妨げるべき事情があるときは、当事者は、その鑑定人が鑑定事項について陳述をする前に、これを忌避することができる。鑑定人が陳述をした場合であっても、その後に、忌避の原因が生じ、又は当事者がその原因があることを知ったときは、同様とする。
2忌避の申立ては、受訴裁判所、受命裁判官又は受託裁判官にしなければならない。
3忌避を理由があるとする決定に対しては、不服を申し立てることができない。
4忌避を理由がないとする決定に対しては、即時抗告をすることができる。
民事訴訟法 第215条(鑑定人の陳述の方式等) 詳細ページ
(鑑定人の陳述の方式等)
第二百十五条裁判長は、鑑定人に、書面又は口頭で、意見を述べさせることができる。
2前項の鑑定人は、同項の規定により書面で意見を述べることに代えて、最高裁判所規則で定めるところにより、当該書面に記載すべき事項を最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してファイルに記録する方法又は当該書面に記載すべき事項に係る電磁的記録を記録した記録媒体を提出する方法により意見を述べることができる。この場合において、鑑定人は、同項の規定により書面で意見を述べたものとみなす。
3裁判所は、鑑定人に意見を述べさせた場合において、当該意見の内容を明瞭にし、又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、鑑定人に更に意見を述べさせることができる。
4裁判所は、当事者に対し、第一項の書面に記載された事項又は第二項の規定によりファイルに記録された事項若しくは同項の記録媒体に記録された事項の提示をしなければならない。
民事訴訟法 第215_2条(鑑定人質問) 詳細ページ
(鑑定人質問)
第二百十五条の二裁判所は、鑑定人に口頭で意見を述べさせる場合には、鑑定人が意見の陳述をした後に、鑑定人に対し質問をすることができる。
2前項の質問は、裁判長、その鑑定の申出をした当事者、他の当事者の順序でする。
3裁判長は、適当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、前項の順序を変更することができる。
4当事者が前項の規定による変更について異議を述べたときは、裁判所は、決定で、その異議について裁判をする。
民事訴訟法 第215_3条(映像等の送受信による通話の方法による陳述) 詳細ページ
(映像等の送受信による通話の方法による陳述)
第二百十五条の三裁判所は、鑑定人に口頭で意見を述べさせる場合において、相当と認めるときは、最高裁判所規則で定めるところにより、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、意見を述べさせることができる。
民事訴訟法 第215_4条(受命裁判官等の権限) 詳細ページ
(受命裁判官等の権限)
第二百十五条の四受命裁判官又は受託裁判官が鑑定人に意見を述べさせる場合には、裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。ただし、第二百十五条の二第四項の規定による異議についての裁判は、受訴裁判所がする。
民事訴訟法 第216条(証人尋問の規定の準用) 詳細ページ
(証人尋問の規定の準用)
第二百十六条第百九十一条の規定は公務員又は公務員であった者に鑑定人として職務上の秘密について意見を述べさせる場合について、第百九十七条から第百九十九条までの規定は鑑定人が鑑定を拒む場合について、第二百一条第一項の規定は鑑定人に宣誓をさせる場合について、第百九十二条及び第百九十三条の規定は鑑定人が正当な理由なく出頭しない場合、鑑定人が宣誓を拒む場合及び鑑定拒絶を理由がないとする裁判が確定した後に鑑定人が正当な理由なく鑑定を拒む場合について準用する。
民事訴訟法 第217条(鑑定証人) 詳細ページ
(鑑定証人)
第二百十七条特別の学識経験により知り得た事実に関する尋問については、証人尋問に関する規定による。
民事訴訟法 第218条(鑑定の嘱託) 詳細ページ
(鑑定の嘱託)
第二百十八条裁判所は、必要があると認めるときは、官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は相当の設備を有する法人に鑑定を嘱託することができる。この場合においては、宣誓に関する規定を除き、この節の規定を準用する。
2前項の場合において、裁判所は、必要があると認めるときは、官庁、公署又は法人の指定した者に鑑定の結果を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録の説明をさせることができる。
3第一項の場合において、裁判所は、当事者に対し、同項の嘱託に係る鑑定の結果の提示をしなければならない。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。