民事訴訟法 / テーマ別まとめ

管轄権

公的資料に現れる論点です。条文と判例から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

民事訴訟法3条の2から3条の12は、渉外的な要素を含む訴えについて日本の裁判所が管轄権を持つかどうかを定める規定です。被告の住所や契約・消費者・労働関係といった訴えの類型ごとの基準に加え、会社訴訟や登記・登録、知的財産権の訴えのように日本の裁判所に専属させる場合、当事者の合意や応訴による発生、併合請求の扱い、そして管轄権を判断する時点(標準時)までを一体として整理しています。

管轄権
類型判断基準効果
被告の住所等(3条の2)住所・居所が日本国内管轄権あり
契約上の債務等(3条の3)各号の定める場合日本に提訴可
消費者契約(3条の4)消費者の住所が日本消費者から提訴可
労働関係(3条の4)労務提供地が日本労働者から提訴可
専属管轄(3条の5)会社訴訟・登記登録・知財日本裁判所に専属
併合請求(3条の6)一請求と密接関連日本に提訴可
管轄の合意(3条の7)当事者間の書面合意合意国で提訴可
応訴(3条の8)異議なく本案弁論管轄権が生じる
標準時(3条の12)訴え提起時その時点で判定
  • 専属管轄がある訴えには3条の2~3条の4・3条の6~3条の9は適用されない(3条の10)
  • 消費者契約・労働関係の将来の紛争に関する管轄の合意は、条文が定める場合に限り効力を持つ(3条の7第5項・第6項)
  • 外国の裁判所にのみ訴えを提起できる旨の合意は、その裁判所が裁判権を行使できないときは援用できない(3条の7第4項)
  • 併合請求で数人からの又は数人に対する訴えは、38条前段の場合に限り日本に提訴できる(3条の6ただし書)
  • 事業者から消費者への訴え、事業主から労働者への訴えには3条の3は適用されない(3条の4第3項)
1

管轄権

管轄権について、条文は何を定めているか。

第3_5条管轄権の専属会社訴訟等は日本の専属管轄3項判例 10件
  • 会社法上の訴え(一部を除く)は日本の裁判所に専属
  • 登記・登録の訴えは登記地が日本なら専属
  • 設定登録で生じる知的財産権の訴えも日本登録なら専属
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第3_12条管轄権の標準時管轄権は訴え提起時を基準に判断1項判例 8件
  • 日本の裁判所の管轄権は訴えを提起した時点で判定する
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第3_8条応訴による管轄権異議を述べず応訴すると管轄権が生じる1項判例 2件
  • 被告が管轄権の抗弁を出さず本案弁論・申述をすると管轄権が生じる
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第3_7条管轄権に関する合意当事者は合意で管轄裁判所を定められる6項・4号判例 6件
  • 一定の法律関係に基づく訴えについて書面で合意する
  • 電磁的記録による合意も書面とみなす
  • 消費者契約・労働関係の将来紛争は合意の効力に条件あり
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第3_6条併合請求における管轄権一部の請求に管轄権があれば併合可1項判例 1件
  • 一請求に管轄権があり他請求と密接関連なら併合提訴可
  • 数人からの・数人への訴えは38条〈共同訴訟の要件〉前段の場合に限る
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第3_2条被告の住所等による管轄権被告の住所地などで判断する3項判例なし
  • 住所が日本国内にあれば管轄権あり(居所→提訴前の住所の順に判断)
  • 外国勤務の大使・公使など日本人にも管轄権が及ぶ
  • 法人は主たる事務所・営業所の所在地で判断
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第3_10条管轄権が専属する場合の適用除外専属管轄があるときは他の規定を適用しない1項判例なし
  • 専属管轄がある訴えには3条の2〈被告の住所等による管轄権〉~4・3条の6〈併合請求における管轄権〉~9は適用されない
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第3_3条契約上の債務に関する訴え等の管轄権契約に関する訴えの管轄権を定める1項判例なし
  • 各号に定める訴えは日本の裁判所に提訴できる
  • 具体的な要件は各号ごとに定められている
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第3_4条消費者契約及び労働関係に関する訴えの管轄権消費者・労働者側からの訴えの管轄権3項判例 1件
  • 消費者契約は消費者の住所が日本なら提訴可
  • 労働関係は労務提供地(なければ雇入れ事業所)が日本なら提訴可
  • 事業者・事業主からの訴えには前条(3条の3〈契約上の債務に関する訴え等の管轄権〉)は適用されない
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第3_5条民事訴訟法

民訴法三五条六号〈特別代理人〉にいう「不服ヲ申立テラレタル前審ノ裁判」の意義

裁判要旨民訴法三五条六号〈特別代理人〉にいう「不服ヲ申立テラレタル前審ノ裁判」とは、当該事件について下級審のした裁判をいうものである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和47年4月12日 昭和47(マ)16
登載
集民 第105号557頁
参照法条
民訴法35条6号
論点2第3_5条民事訴訟法

裁判上の和解の条項にもとづいて成立すべき契約の履行を求める訴において、その裁判上の解に関与した裁判官は民訴法第三五条第六号にいう前審の裁判に関与したものに当るか

裁判要旨裁判上の和解の条項にもとづいて成立すべき契約の履行を求める訴において、その裁判上の和解に関与した裁判官は民訴法第三五条第六号にいう前審の裁判に関与したものに当らない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和42年6月15日 昭和42(オ)235
登載
集民 第87号1041頁
参照法条
民訴法35条6号
論点3第3_5条民事訴訟法

再審の対象である裁判に関与した裁判官が再審の裁判に関与することは除斥原因事由となるか。

裁判要旨再審の請求をもつて不服を申し立てられた裁判に関与した裁判官が再審の裁判に関与することは、民事訴訟法第三五条第六号〈特別代理人〉にいう前審関与にあたらない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年9月4日 昭和39(行ナ)4
登載
集民 第75号175頁
参照法条
民訴法35条
論点4第3_5条民事訴訟法

一民法第八一四条第一項第三号の法意。
二縁組を継続し難い重大な事由があると認められた事例。
三民訴法第三五条第六号〈特別代理人〉にいわゆる「不服ヲ申立テラレタル前審の裁判」の意義。

裁判要旨一民法第八一四条第一項第三号にいわゆる「縁組を継続し難い重大な事由」は、当事者双方又は一方の有責事由に限られない。
二原審認定に係る事実関係(原判決理由参照)の下においては、民法第八一四条第一項第三号にいわゆる「縁組を継続し難い重大な事由」があると認めるのを相当とする。
三 民訴法第三五条第六号〈特別代理人〉にいわゆる「不服ヲ申立テラレタル前審ノ裁判」とは、当該事件における直接又は間接の下級審の裁判を指すものと解すべきものである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和36年4月7日 昭和34(オ)59
登載
民集 第15巻4号706頁
参照法条
民法814条1項3号,民訴法35条6号
論点5第3_5条民事訴訟法

日本弁護士連合会の懲戒委員会は弁護士懲戒処分に対する不服の訴訟事件の前審か。

裁判要旨日本弁護士連合会の懲戒委員会は弁護士懲戒処分に対する不服の訴訟事件において民訴第三五条第六号〈特別代理人〉の前審にあたらない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和34年8月7日 昭和34(ヤ)16
登載
民集 第13巻10号1273頁
参照法条
弁護士法59条,民訴法35条6号
論点6第3_5条民事訴訟法

民訴法第四四条〈補助参加についての異議等〉による第三五条第六号〈特別代理人〉の準用の有無。

裁判要旨民訴第三五条第六号〈特別代理人〉の「裁判官が不服ヲ申立テラレタル前審ノ裁判ニ関与シタルトキ」という規定は、裁判所書記官には準用されないと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和34年7月17日 昭和33(オ)473
登載
民集 第13巻8号1095頁
参照法条
民訴法35条6号,民訴法44条
論点7第3_5条民事訴訟法

一 前審関与にあたらない場合
二 遡及買収基準日当時における住所の所在の認定につき爾後の事実をしんしやくすることの許否
三 遡及買収基準日当時在村地主であつたと認められた事例

裁判要旨一 裁判官が、前審において口頭弁論に列席し、当事者の陳述・証拠の申出・証人の供述を聴き、証拠決定をし、その他訴訟指揮に関する決定に関与したというだけでは、民事訴訟法第三五条第六号〈特別代理人〉にいう裁判官が前審の裁判に関与した場合に当らない。
二 遡及買収基準日当時における住所の所在の認定につき爾後の事実をしんしやくすることは違法ではない。
三 原審認定の事実関係(原判決参照)の下では、被買収者は、遡及買収基準日当時在村地主であつたと認むべきものである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和33年2月28日 昭和30(オ)518
登載
民集 第12巻2号363頁
参照法条
民訴法35条6号,民訴法185条,自作農創設特別措置法3条
論点8第3_5条民事訴訟法

前審の証拠調に関与した裁判官と除斥原因

裁判要旨前審の証拠調に関与したが裁判自体には関与しない裁判官は職務の執行から除斥されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和32年6月7日 昭和30(オ)458
登載
民集 第11巻6号983頁
参照法条
民訴法35条6号
論点9第3_5条民事訴訟法

調停関与と除斥原因

裁判要旨調停に関与した裁判官は、その後の訴訟事件の判決に関与することを妨げない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和30年3月29日 昭和28(オ)801
登載
民集 第9巻3号395頁
参照法条
民訴法35条6号,民訴法395条1項2号
論点10第3_5条民事訴訟法

除斥原因としての「前審ノ裁判ニ関与シタルトキ」の意義

裁判要旨民訴第三五条第六号〈特別代理人〉にいわゆる「前審ノ裁判ニ関与シタルトキ」とは、前審の裁判の評決に加わつたときの意であつて、裁判官は、たとえ前審において口頭弁論を指揮し証拠調をした事実があつても、該事件の上訴審において職務の執行から除斥されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和28年6月26日 昭和26(オ)759
登載
民集 第7巻6号783頁
参照法条
民訴法35条,民訴法395条1項2号,刑訴法20条7号
論点11第3_12条民事訴訟法

適法な抗告理由とは認められないとして特別抗告が却下された事例

裁判要旨抗告人と相手方との間には、抗告人が相手方の著作に対する検定という方式を通して相手方の有する表現の自由を制限したという法律関係が存在する旨の原決定の判示は、抗告人および相手方の判示主張事実を前提とすれば右法律関係が存在することとなるとしているものにすぎず、本件検定が相手方の表現の自由を侵害している旨を原審みずからが判断したものではないから、原審が右のような判断をしたものであるとして原決定の違憲をいう抗告理由は、その前提を欠くに帰し、特別抗告適法の理由とは認められず、右抗告は不適法として却下すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和46年12月17日 昭和44(ク)375
登載
集民 第104号725頁
参照法条
民訴法312条,民訴法419条ノ2
論点12第3_12条民事訴訟法

文書提出の申立に対する裁判は明示的にすることを要するか

裁判要旨文書提出の申立については、必ずしも明示的に裁判しなければならないものではなく、黙示的にすることも許されると解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年2月1日 昭和42(オ)549
登載
集民 第90号173頁
参照法条
民訴法312条,民訴法314条
論点13第3_12条民事訴訟法

「文書の所持者」の意義。

裁判要旨民訴法第三一二条〈上告の理由〉にいわゆる文書の所持者とは、文書の直接占有者を意味し、間接占有者を含まない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年3月24日 昭和38(オ)383
登載
集民 第72号627頁
参照法条
民訴法312条
論点14第3_12条民事訴訟法

賃料領収証の提出命令の申立とその許否の裁判

裁判要旨家屋の明渡を請求された者が、占有の正権原を立証するため、一旦相手方から交付を受けたが現に相手方が所持していると主張して資料領収証の提出命令を申し立てたときは、裁判所は該申立の許否につき裁判をしなければならない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和30年3月24日 昭和27(オ)1019
登載
民集 第9巻3号357頁
参照法条
民訴法312条,民訴法314条
論点15第3_12条民事訴訟法

判決の基本となる口頭弁論に関与していない裁判官が判決をした裁判官として署名押印していることを理由に上告裁判所が原判決を破棄する場合における口頭弁論の要否

裁判要旨上告裁判所は,判決の基本となる口頭弁論に関与していない裁判官が判決をした裁判官として署名押印していることを理由として原判決を破棄する場合には,必ずしも口頭弁論を経ることを要しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成19年1月16日 平成18(オ)1598
登載
集民 第223号1頁
参照法条
民訴法87条,民訴法140条,民訴法297条,民訴法312条2項1号,民訴法313条,民訴法319条
論点16第3_12条民事訴訟法

判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があることを理由として最高裁判所に上告をすることを許容しない民訴法312条〈上告の理由〉及び318条〈上告受理の申立て〉と憲法32条

裁判要旨判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があることを理由として最高裁判所に上告をすることを許容しない民訴法312条〈上告の理由〉及び318条〈上告受理の申立て〉の規定は,憲法32条に違反しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成13年2月13日 平成12(行ツ)302
登載
集民 第201号95頁
参照法条
民訴法312条,民訴法318条,憲法32条
論点17第3_12条民事訴訟法

再抗弁に対する判断の遺脱が上告理由としての理由不備に当たらないとされた事例

裁判要旨抗弁をいれながらこれに対する再抗弁を摘示せずその判断を遺脱した原判決の違法は、上告理由としての理由不備に当たらない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成11年6月29日 平成10(オ)2189
登載
集民 第193号411頁
参照法条
民訴法312条2項6号
論点18第3_12条民事訴訟法

上告の理由が理由の不備をいうが明らかに民訴法三一二条一項及び二項に規定する事由に該当しないときに原裁判所が上告を却下することの可否

裁判要旨上告の理由が、理由の不備をいうがその実質は事実誤認を主張するものであって、明らかに民訴法三一二条一項及び二項に規定する事由に該当しないときでも、原裁判所が同法三一六条一項一号によって上告を却下することはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成11年3月9日 平成10(ク)646
登載
集民 第192号99頁
参照法条
民訴法312条,民訴法316条1項,民訴法317条
論点19第3_8条民事訴訟法

民訴法38条〈共同訴訟の要件〉後段の要件を満たす共同訴訟につき同法7条ただし書により同法9条の適用が排除されるか

裁判要旨民訴法38条〈共同訴訟の要件〉後段の要件を満たす共同訴訟であって,いずれの共同訴訟人に係る部分も受訴裁判所が土地管轄権を有しているものについて,同法7条〈併合請求における管轄〉ただし書により同法9条の適用が排除されることはない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成23年5月30日 平成23(許)13
登載
集民 第237号1頁
参照法条
民訴法7条,民訴法9条,民訴法16条1項,民訴法38条後段
論点20第3_8条民事訴訟法

民訴法38条〈共同訴訟の要件〉後段の要件を満たす共同訴訟につき同法7条ただし書により同法9条の適用が排除されるか

裁判要旨民訴法38条〈共同訴訟の要件〉後段の要件を満たす共同訴訟であって,いずれの共同訴訟人に係る部分も受訴裁判所が土地管轄権を有しているものについて,同法7条〈併合請求における管轄〉ただし書により同法9条の適用が排除されることはない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成23年5月18日 平成23(許)4
登載
民集 第65巻4号1755頁
参照法条
民訴法7条,民訴法9条,民訴法16条1項,民訴法38条後段
論点21第3_7条民事訴訟法

忌避の申立を受けた裁判官が退官した場合と右申立を排斥する決定に対する特別抗告の利益

裁判要旨忌避の申立を受けた裁判官が退官したときは、忌避申立却下決定に対する抗告を棄却する旨の決定に対する特別抗告は、原決定を取り消す利益を欠き、不適法である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和53年5月29日 昭和53(ク)157
登載
集民 第124号103頁
参照法条
民訴法37条,民訴法419条ノ2
論点22第3_7条民事訴訟法

忌避申立の利益がないとして申立を却下した決定と憲法三二条

裁判要旨忌避を申し立てられた裁判官が退官したことを理由とし、忌避申立を利益がないとして却下した決定は、申立の実質的理由につき判断を示さなかつたからといつて、憲法三二条に違反するものではない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年9月7日 昭和47(ク)216
登載
集民 第106号707頁
参照法条
憲法32条,民訴法37条
論点23第3_7条民事訴訟法

民訴第三七条第一項〈法人の代表者等への準用〉の裁判の公正を妨ぐべき事情にあたらない事例

裁判要旨裁判長たる裁判官が、当事者の一方の訴訟代理人の女婿であるからといつて、民訴第三七条第一項〈法人の代表者等への準用〉にいわゆる裁判の公正を妨ぐべき事情があるものとはいえない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和30年1月28日 昭和28(オ)277
登載
民集 第9巻1号83頁
参照法条
民訴法37条1項
論点24第3_7条民事訴訟法

最高裁判所規則の制定に関する裁判官会議への参加を理由とする忌避申立ての許否

裁判要旨最高裁判所規則の制定をめぐる訴訟において、右制定に関する裁判官会議に参加したことを理由に、最高裁判所の裁判官につき忌避の申立てをすることはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成3年2月25日 平成2(行ニ)42
登載
民集 第45巻2号117頁
参照法条
憲法76条1項,憲法76条2項,憲法77条1項,裁判所法12条,民訴法37条1項
論点25第3_7条民事訴訟法

1 原告として確定されるべき者が訴訟提起当時その国名を「中華民国」としていたが昭和47年9月29日の日中共同声明に伴って「中華人民共和国」に国名が変更された国家としての中国であるとされた事例
2 訴訟当事者を代表していた者の代表権の消滅が公知の事実である場合における代表権の消滅の効力発生時期
3 外国国家を代表して外交使節が我が国で訴訟を提起した後に我が国政府が当該外国国家の政府として上記外交使節を派遣していた政府に代えて新たな政府を承認したために上記外交使節の我が国における当該外国国家の代表権が消滅した場合における訴訟手続の中断
4 上告審が職権探知事項に当たる中断事由の存在を確認して原判決を破棄する場合における口頭弁論の要否

裁判要旨1 (1)本件訴訟は昭和42年9月6日に提起されたが,その訴状には,原告の表示として「中華民国」と,原告代表者の表示として「中華民国駐日本国特命全権大使」とそれぞれ記載されていたこと,(2)原告の訴訟代理人に訴訟代理権を授与したのは,中華民国駐日本国特命全権大使であったこと,(3)「中華民国」は,国家としての中国(中国国家)の国名として用いられてきたものであること,(4)我が国政府は,中国国家の政府として中華民国政府を承認し,昭和27年4月28日,同政府との間で,「日本国と中華民国との間の平和条約」を締結しており,訴訟提起当時,中国国家の我が国における代表権は,中華民国駐日本国特命全権大使が有していたこと,(5)中華民国政府は,訴訟提起当時,自らが中国国家の唯一の政府であると主張していたこと,(6)我が国政府が,昭和47年9月29日,「日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明」(日中共同声明)において,中国国家の政府として,中華民国政府に代えて中華人民共和国政府を承認したことに伴って,中国国家の国名が「中華民国」から「中華人民共和国」に変更されたことなど判示の事実関係の下では,原告として確定されるべき者は,訴訟提起当時その国名を「中華民国」としていたが,日中共同声明に伴って「中華人民共和国」に国名が変更された中国国家というべきである。
2 訴訟当事者を代表していた者の代表権の消滅は,それが公知の事実である場合には,相手方に通知されなくても直ちにその効力を生ずる。
3 外国国家を代表して外交使節が我が国で訴訟を提起した後に,我が国政府が,当該外国国家の政府として,上記外交使節を派遣していた政府に代えて新たな政府を承認したため,上記外交使節の我が国における当該外国国家の代表権が消滅した場合には,上記外交使節から訴訟代理権の授与を受けた訴訟代理人がいるとしても,上記代表権の消滅の時点で,訴訟手続は中断する。
4 上告審は,職権探知事項に当たる中断事由が存在することを確認して原判決を破棄する場合には,必ずしも口頭弁論を経ることを要しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成19年3月27日 昭和62(オ)685
登載
民集 第61巻2号711頁
参照法条
(1につき)民訴法第1編第3章 当事者,民訴法133条2項1号 (2,3につき)民訴法37条 (2につき)民訴法36条1項 (3,4につき)民訴法124条1項3号 (3につき)民訴法58条1項4号,民訴法124条2項,外交関係に関するウィーン条約3条1(a) (4につき)民訴法87条,民訴法140条,民訴法297条,民訴法313条,民訴法319条,旧民訴法395条1項4号
論点26第3_7条民事訴訟法

農業協同組合が退任した理事に対して提起する訴えについての組合の代表理事の代表権の有無

裁判要旨農業協同組合の代表理事は,過去において組合の理事であったが訴え提起時においてその地位にない者に対して組合が提起する訴えについて,組合を代表する権限を有する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成15年12月16日 平成14(オ)545
登載
民集 第57巻11号2265頁
参照法条
商法78条1項,商法261条3項,商法275条ノ4,農業協同組合法39条2項,民訴法37条
論点27第3_4条民事訴訟法

業務停止の懲戒処分を受けた弁護士により当該懲戒処分に違反してされた即時抗告が補正を命ずることなく不適法として却下すべきものとされた事例

裁判要旨業務停止の懲戒処分を受けた弁護士が当該懲戒処分に違反して即時抗告をした場合において、当該即時抗告が、裁判所が当該懲戒処分を知った後にされたものであるときは、次の⑴~⑶など判示の事情の下においては、当該即時抗告は、補正を命ずることなく、不適法として却下すべきである。
⑴ 上記即時抗告は、上記弁護士が、上記懲戒処分に違反する意図をもってしたものである。
⑵ 上記弁護士が上記懲戒処分の効力が生じた後に弁護士として裁判所に提出した裁判を求める旨の書面は、相当多数に上る。
⑶ 上記即時抗告の抗告状には、抗告人本人の上記弁護士に対する委任状の添付はなく、抗告の理由の記載も、事案に即した実質的な記載が乏しい。
裁判
最高裁判所第一小法廷 令和7年12月18日 令和7(マ)490
登載
―
参照法条
家事事件手続法22条1項本文、家事事件手続法26条、民訴法34条1項、2項、弁護士法57条1項2号
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民事訴訟法 第3_5条(管轄権の専属) 詳細ページ
(管轄権の専属)
第三条の五会社法第七編第二章に規定する訴え(同章第四節及び第六節に規定するものを除く。)、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第六章第二節に規定する訴えその他これらの法令以外の日本の法令により設立された社団又は財団に関する訴えでこれらに準ずるものの管轄権は、日本の裁判所に専属する。
2登記又は登録に関する訴えの管轄権は、登記又は登録をすべき地が日本国内にあるときは、日本の裁判所に専属する。
3知的財産権(知的財産基本法(平成十四年法律第百二十二号)第二条第二項に規定する知的財産権をいう。)のうち設定の登録により発生するものの存否又は効力に関する訴えの管轄権は、その登録が日本においてされたものであるときは、日本の裁判所に専属する。
民事訴訟法 第3_12条(管轄権の標準時) 詳細ページ
(管轄権の標準時)
第三条の十二日本の裁判所の管轄権は、訴えの提起の時を標準として定める。
民事訴訟法 第3_8条(応訴による管轄権) 詳細ページ
(応訴による管轄権)
第三条の八被告が日本の裁判所が管轄権を有しない旨の抗弁を提出しないで本案について弁論をし、又は弁論準備手続において申述をしたときは、裁判所は、管轄権を有する。
民事訴訟法 第3_7条(管轄権に関する合意) 詳細ページ
(管轄権に関する合意)
第三条の七当事者は、合意により、いずれの国の裁判所に訴えを提起することができるかについて定めることができる。
2前項の合意は、一定の法律関係に基づく訴えに関し、かつ、書面でしなければ、その効力を生じない。
3第一項の合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。
4外国の裁判所にのみ訴えを提起することができる旨の合意は、その裁判所が法律上又は事実上裁判権を行うことができないときは、これを援用することができない。
5将来において生ずる消費者契約に関する紛争を対象とする第一項の合意は、次に掲げる場合に限り、その効力を有する。
一消費者契約の締結の時において消費者が住所を有していた国の裁判所に訴えを提起することができる旨の合意(その国の裁判所にのみ訴えを提起することができる旨の合意については、次号に掲げる場合を除き、その国以外の国の裁判所にも訴えを提起することを妨げない旨の合意とみなす。)であるとき。
二消費者が当該合意に基づき合意された国の裁判所に訴えを提起したとき、又は事業者が日本若しくは外国の裁判所に訴えを提起した場合において、消費者が当該合意を援用したとき。
6将来において生ずる個別労働関係民事紛争を対象とする第一項の合意は、次に掲げる場合に限り、その効力を有する。
一労働契約の終了の時にされた合意であって、その時における労務の提供の地がある国の裁判所に訴えを提起することができる旨を定めたもの(その国の裁判所にのみ訴えを提起することができる旨の合意については、次号に掲げる場合を除き、その国以外の国の裁判所にも訴えを提起することを妨げない旨の合意とみなす。)であるとき。
二労働者が当該合意に基づき合意された国の裁判所に訴えを提起したとき、又は事業主が日本若しくは外国の裁判所に訴えを提起した場合において、労働者が当該合意を援用したとき。
民事訴訟法 第3_6条(併合請求における管轄権) 詳細ページ
(併合請求における管轄権)
第三条の六一の訴えで数個の請求をする場合において、日本の裁判所が一の請求について管轄権を有し、他の請求について管轄権を有しないときは、当該一の請求と他の請求との間に密接な関連があるときに限り、日本の裁判所にその訴えを提起することができる。ただし、数人からの又は数人に対する訴えについては、第三十八条前段に定める場合に限る。
民事訴訟法 第3_2条(被告の住所等による管轄権) 詳細ページ
(被告の住所等による管轄権)
第三条の二裁判所は、人に対する訴えについて、その住所が日本国内にあるとき、住所がない場合又は住所が知れない場合にはその居所が日本国内にあるとき、居所がない場合又は居所が知れない場合には訴えの提起前に日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く。)は、管轄権を有する。
2裁判所は、大使、公使その他外国に在ってその国の裁判権からの免除を享有する日本人に対する訴えについて、前項の規定にかかわらず、管轄権を有する。
3裁判所は、法人その他の社団又は財団に対する訴えについて、その主たる事務所又は営業所が日本国内にあるとき、事務所若しくは営業所がない場合又はその所在地が知れない場合には代表者その他の主たる業務担当者の住所が日本国内にあるときは、管轄権を有する。
民事訴訟法 第3_10条(管轄権が専属する場合の適用除外) 詳細ページ
(管轄権が専属する場合の適用除外)
第三条の十第三条の二から第三条の四まで及び第三条の六から前条までの規定は、訴えについて法令に日本の裁判所の管轄権の専属に関する定めがある場合には、適用しない。
民事訴訟法 第3_3条(契約上の債務に関する訴え等の管轄権) 詳細ページ
(契約上の債務に関する訴え等の管轄権)
第三条の三次の各号に掲げる訴えは、それぞれ当該各号に定めるときは、日本の裁判所に提起することができる。
民事訴訟法 第3_4条(消費者契約及び労働関係に関する訴えの管轄権) 詳細ページ
(消費者契約及び労働関係に関する訴えの管轄権)
第三条の四消費者(個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう。以下同じ。)と事業者(法人その他の社団又は財団及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう。以下同じ。)との間で締結される契約(労働契約を除く。以下「消費者契約」という。)に関する消費者からの事業者に対する訴えは、訴えの提起の時又は消費者契約の締結の時における消費者の住所が日本国内にあるときは、日本の裁判所に提起することができる。
2労働契約の存否その他の労働関係に関する事項について個々の労働者と事業主との間に生じた民事に関する紛争(以下「個別労働関係民事紛争」という。)に関する労働者からの事業主に対する訴えは、個別労働関係民事紛争に係る労働契約における労務の提供の地(その地が定まっていない場合にあっては、労働者を雇い入れた事業所の所在地)が日本国内にあるときは、日本の裁判所に提起することができる。
3消費者契約に関する事業者からの消費者に対する訴え及び個別労働関係民事紛争に関する事業主からの労働者に対する訴えについては、前条の規定は、適用しない。
出

一次情報

原文ママ

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