会社法 / テーマ別まとめ

検査役による調査

裁判所が選ぶ検査役の3つの場面。設立時の現物出資、総会の手続、会社の業務財産。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

検査役は裁判所が選任し、会社の特定の事項を調査させる制度です。設立時の現物出資等の価額調査、株主総会の招集手続・決議方法の調査、会社の業務及び財産状況の調査という3つの場面で使われ、検査役は調査結果を裁判所に報告し、裁判所がその内容を踏まえて是正等の判断を行います。

検査役の種類の対比(申立権者・要件・調査対象・報告先)
場面申立権者要件調査の対象報告先
設立時(33条)発起人(申立て義務あり)現物出資等の記載がある場合定款記載の現物出資財産等裁判所
総会(306条)会社又は1%以上の議決権株主招集手続・決議方法の調査目的総会の招集手続と決議の方法裁判所
業務財産(358条)議決権又は株式の3%以上の株主不正行為等を疑う事由がある会社(子会社含む)の業務・財産の状況裁判所
  • 33条:現物出資等の総額が500万円を超えない場合などは検査役調査が不要
  • 33条:弁護士等の証明(不動産は鑑定評価も)を受けた財産は調査を省略できる
  • 306条:公開会社の取締役会設置会社は6か月前から株式を保有している必要がある
  • 316条:総会決議で選任する調査者は、裁判所選任の検査役とは別の制度
  • 358条:検査役は必要があれば子会社の業務・財産状況も調査できる
  • 359条:裁判所は報告を踏まえ、取締役に総会招集等を命じることができる
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設立時の現物出資

調査が省ける場合

第33条定款の記載又は記録事項に関する検査役の選任現物出資等の内容を検査役が調査する11項・8号判例なし
  • 発起人は現物出資等の記載があれば検査役選任を申し立てる
  • 検査役は調査結果を裁判所に報告し、発起人に書面の写しを交付する
  • 裁判所が価額を不当と認めれば変更でき、発起人は決定確定後1週間以内に引受けを取消せる
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2

株主総会の手続

招集と決議の方法を調べる

第306条株主総会の招集手続等に関する検査役の選任総会の招集・決議方法を検査役が調べる7項判例なし
  • 総議決権の1%以上を持つ株主または会社が検査役選任を申し立てられる
  • 検査役は招集手続と決議方法を調査し、結果を裁判所に報告する
  • 報告後、会社(申立人が別なら申立人にも)に書面の写しが交付される
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第316条株主総会に提出された資料等の調査総会決議で資料や業務財産を調べる人を選べる2項判例なし
  • 総会決議で、取締役等が総会に提出した資料を調査する者を選任できる
  • 297条〈株主による招集の請求〉により招集された総会では、会社の業務・財産状況を調査する者も選任できる
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3

会社の業務と財産

少数株主が調査を求める

第358条業務の執行に関する検査役の選任業務執行の不正を疑い検査役が調査する7項・2号判例なし
  • 総株主の議決権3%以上、または発行済株式(自己株式除く)3%以上の株主が申し立てられる
  • 不正行為や法令・定款違反の重大事実を疑う事由が要件
  • 検査役は子会社の業務・財産状況も調査でき、結果を裁判所に報告する
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第359条裁判所による株主総会招集等の決定裁判所が総会招集や結果通知を命じる3項・2号判例なし
  • 358条〈業務の執行に関する検査役の選任〉の報告後、必要なら裁判所は取締役に総会招集などを命じる
  • 招集が命じられた総会では、取締役が調査結果の内容を開示する
  • 取締役(監査役設置会社では取締役・監査役)が調査し、その総会に報告する
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原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

会社法 第33条(定款の記載又は記録事項に関する検査役の選任) 詳細ページ
(定款の記載又は記録事項に関する検査役の選任)
第三十三条発起人は、定款に第二十八条各号に掲げる事項についての記載又は記録があるときは、第三十条第一項の公証人の認証の後遅滞なく、当該事項を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをしなければならない。
2前項の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。
3裁判所は、前項の検査役を選任した場合には、成立後の株式会社が当該検査役に対して支払う報酬の額を定めることができる。
4第二項の検査役は、必要な調査を行い、当該調査の結果を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録(法務省令で定めるものに限る。)を裁判所に提供して報告をしなければならない。
5裁判所は、前項の報告について、その内容を明瞭にし、又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは、第二項の検査役に対し、更に前項の報告を求めることができる。
6第二項の検査役は、第四項の報告をしたときは、発起人に対し、同項の書面の写しを交付し、又は同項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供しなければならない。
7裁判所は、第四項の報告を受けた場合において、第二十八条各号に掲げる事項(第二項の検査役の調査を経ていないものを除く。)を不当と認めたときは、これを変更する決定をしなければならない。
8発起人は、前項の決定により第二十八条各号に掲げる事項の全部又は一部が変更された場合には、当該決定の確定後一週間以内に限り、その設立時発行株式の引受けに係る意思表示を取り消すことができる。
9前項に規定する場合には、発起人は、その全員の同意によって、第七項の決定の確定後一週間以内に限り、当該決定により変更された事項についての定めを廃止する定款の変更をすることができる。
10前各項の規定は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める事項については、適用しない。
一第二十八条第一号及び第二号の財産(以下この章において「現物出資財産等」という。)について定款に記載され、又は記録された価額の総額が五百万円を超えない場合同条第一号及び第二号に掲げる事項
二現物出資財産等のうち、市場価格のある有価証券(金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項に規定する有価証券をいい、同条第二項の規定により有価証券とみなされる権利を含む。以下同じ。)について定款に記載され、又は記録された価額が当該有価証券の市場価格として法務省令で定める方法により算定されるものを超えない場合当該有価証券についての第二十八条第一号又は第二号に掲げる事項
三現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人、公認会計士(外国公認会計士(公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第十六条の二第五項に規定する外国公認会計士をいう。)を含む。以下同じ。)、監査法人、税理士又は税理士法人の証明(現物出資財産等が不動産である場合にあっては、当該証明及び不動産鑑定士の鑑定評価。以下この号において同じ。)を受けた場合第二十八条第一号又は第二号に掲げる事項(当該証明を受けた現物出資財産等に係るものに限る。)
11次に掲げる者は、前項第三号に規定する証明をすることができない。
一発起人
二第二十八条第二号の財産の譲渡人
三設立時取締役(第三十八条第一項に規定する設立時取締役をいう。)又は設立時監査役(同条第三項第二号に規定する設立時監査役をいう。)
四業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者
五弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人、監査法人又は税理士法人であって、その社員の半数以上が第一号から第三号までに掲げる者のいずれかに該当するもの
会社法 第306条(株主総会の招集手続等に関する検査役の選任) 詳細ページ
(株主総会の招集手続等に関する検査役の選任)
第三百六条株式会社又は総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の百分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主は、株主総会に係る招集の手続及び決議の方法を調査させるため、当該株主総会に先立ち、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができる。
2公開会社である取締役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「株主総会において決議をすることができる事項」とあるのは「第二百九十八条第一項第二号に掲げる事項」と、「有する」とあるのは「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とし、公開会社でない取締役会設置会社における同項の規定の適用については、同項中「株主総会において決議をすることができる事項」とあるのは、「第二百九十八条第一項第二号に掲げる事項」とする。
3前二項の規定による検査役の選任の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。
4裁判所は、前項の検査役を選任した場合には、株式会社が当該検査役に対して支払う報酬の額を定めることができる。
5第三項の検査役は、必要な調査を行い、当該調査の結果を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録(法務省令で定めるものに限る。)を裁判所に提供して報告をしなければならない。
6裁判所は、前項の報告について、その内容を明瞭にし、又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは、第三項の検査役に対し、更に前項の報告を求めることができる。
7第三項の検査役は、第五項の報告をしたときは、株式会社(検査役の選任の申立てをした者が当該株式会社でない場合にあっては、当該株式会社及びその者)に対し、同項の書面の写しを交付し、又は同項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供しなければならない。
会社法 第316条(株主総会に提出された資料等の調査) 詳細ページ
(株主総会に提出された資料等の調査)
第三百十六条株主総会においては、その決議によって、取締役、会計参与、監査役、監査役会及び会計監査人が当該株主総会に提出し、又は提供した資料を調査する者を選任することができる。
2第二百九十七条の規定により招集された株主総会においては、その決議によって、株式会社の業務及び財産の状況を調査する者を選任することができる。
会社法 第358条(業務の執行に関する検査役の選任) 詳細ページ
(業務の執行に関する検査役の選任)
第三百五十八条株式会社の業務の執行に関し、不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを疑うに足りる事由があるときは、次に掲げる株主は、当該株式会社の業務及び財産の状況を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができる。
一総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主
二発行済株式(自己株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を有する株主
2前項の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。
3裁判所は、前項の検査役を選任した場合には、株式会社が当該検査役に対して支払う報酬の額を定めることができる。
4第二項の検査役は、その職務を行うため必要があるときは、株式会社の子会社の業務及び財産の状況を調査することができる。
5第二項の検査役は、必要な調査を行い、当該調査の結果を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録(法務省令で定めるものに限る。)を裁判所に提供して報告をしなければならない。
6裁判所は、前項の報告について、その内容を明瞭にし、又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは、第二項の検査役に対し、更に前項の報告を求めることができる。
7第二項の検査役は、第五項の報告をしたときは、株式会社及び検査役の選任の申立てをした株主に対し、同項の書面の写しを交付し、又は同項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供しなければならない。
会社法 第359条(裁判所による株主総会招集等の決定) 詳細ページ
(裁判所による株主総会招集等の決定)
第三百五十九条裁判所は、前条第五項の報告があった場合において、必要があると認めるときは、取締役に対し、次に掲げる措置の全部又は一部を命じなければならない。
一一定の期間内に株主総会を招集すること。
二前条第五項の調査の結果を株主に通知すること。
2裁判所が前項第一号に掲げる措置を命じた場合には、取締役は、前条第五項の報告の内容を同号の株主総会において開示しなければならない。
3前項に規定する場合には、取締役(監査役設置会社にあっては、取締役及び監査役)は、前条第五項の報告の内容を調査し、その結果を第一項第一号の株主総会に報告しなければならない。
出

一次情報

原文ママ

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