会社法 / テーマ別まとめ

持分会社

企業法の出題範囲にある論点です。条文と判例から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)の社員が会社の債務についてどのような責任を負うかを定めた規定群です。原則として社員は会社財産で完済できない場合などに連帯して債務を弁済する責任を負い、有限責任社員は出資額を限度とします。責任の種類の変更、持分の譲渡、加入・退社、誤認行為、違法な払戻しなど場面ごとに責任の範囲と消滅時期(多くは登記後2年)が定められています。

持分会社
場面責任を負う人責任の内容消滅時期
原則(無限責任社員)社員会社財産で完済不能なら連帯弁済―
原則(有限責任社員)有限責任社員出資額(既履行分除く)が限度―
有限→無限に変更変更後の無限責任社員変更前の債務も無限責任で弁済―
出資額を減少(合同会社除く)有限責任社員登記前債務は従前責任のまま登記後2年
無限→有限に変更変更後の有限責任社員登記前債務は無限責任として弁済登記後2年
持分の全部譲渡譲渡した社員登記前債務を従前責任範囲で弁済登記後2年
加入新たに加入した社員加入前の債務も弁済―
退社退社した社員登記前債務を従前責任範囲で弁済登記後2年
無限責任社員と誤認させた有限責任社員(合資会社)無限責任社員と同一の責任―
責任限度を誤認させた有限責任社員誤認させた範囲内で弁済―
出資の払戻し違反業務執行社員払戻額を連帯して支払う義務―
持分の払戻し違反業務執行社員払戻額を連帯して支払う義務―
  • 588条2項の責任は合資会社・合同会社の有限責任社員による誤認行為に適用され、1項の行為(無限責任社員と誤認させる行為)は除く
  • 633条・636条の義務は原則免除できず、払戻し時点の剰余金額を限度に総社員の同意がある場合のみ免除できる
  • 633条・636条の業務執行社員は、職務に注意を怠らなかったことを証明すれば責任を免れる
  • 580条1項2号の強制執行不奏功による責任は、社員が弁済資力と執行の容易性を証明すれば除外される
  • 583条2項の出資額減少に関する規定は合同会社の社員には適用されない
  • 登記後2年以内に請求または請求の予告がない債権者に対しては、当該責任は登記後2年経過時に消滅する(583・586・612条)
1

持分会社

持分会社について、条文は何を定めているか。

第588条無限責任社員であると誤認させる行為等をした有限責任社員の責任誤認させた有限責任社員も相手に責任を負う2項判例なし
  • 合資会社の有限責任社員が無限責任社員と誤認させたら、無限責任社員と同じ責任
  • 責任の限度を誤認させた場合は、誤認させた範囲内で会社の債務を弁済
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第586条持分の全部の譲渡をした社員の責任持分を全部譲渡した社員の残存責任を定める2項判例なし
  • 持分の全部譲渡後も、登記前に生じた債務は従前の責任範囲で弁済
  • その責任は、登記後2年以内に請求等がなければ消滅
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第583条社員の責任を変更した場合の特則責任の種類が変わった時の債務の扱いを定める4項判例なし
  • 有限責任→無限責任になると、変更前の債務も無限責任で弁済
  • 出資額の減少(合同会社除く)や無限→有限への変更も、登記前債務は従前責任のまま
  • これらの責任は、登記後2年以内に請求等がなければ消滅
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第633条出資の払戻しに関する社員の責任違法な出資の払戻しをした業務執行社員の責任2項判例なし
  • 合同会社が違法に出資を払い戻すと、業務執行社員が払戻額を連帯して支払う義務
  • 注意を怠らなかったことを証明すれば免れる
  • この義務は原則免除できないが、払戻し日の剰余金額を限度に総社員の同意で免除可
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第636条業務を執行する社員の責任違法な持分の払戻しをした業務執行社員の責任2項判例なし
  • 合同会社が違法に持分を払い戻すと、業務執行社員が払戻額を連帯して支払う義務
  • 注意を怠らなかったことを証明すれば免れる
  • この義務は原則免除できないが、払戻し時の剰余金額を限度に総社員の同意で免除可
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第605条加入した社員の責任加入前の債務も新入社員が負担する1項判例なし
  • 持分会社の成立後に加入した社員は、加入前の債務も弁済する責任を負う
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第612条退社した社員の責任退社した社員も一定期間は責任を負う2項判例なし
  • 退社した社員は、登記前に生じた債務を従前の責任範囲で弁済
  • その責任は、登記後2年以内に請求等がなければ消滅
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第580条社員の責任社員が連帯して債務を弁済する場合を定める2項・2号判例なし
  • 会社財産で完済できない場合に社員が連帯責任を負う
  • 強制執行が不奏功でも連帯責任を負う(資力等証明で除外)
  • 有限責任社員は出資額(既履行分除く)を限度に責任を負う
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

会社法 第588条(無限責任社員であると誤認させる行為等をした有限責任社員の責任) 詳細ページ
(無限責任社員であると誤認させる行為等をした有限責任社員の責任)
第五百八十八条合資会社の有限責任社員が自己を無限責任社員であると誤認させる行為をしたときは、当該有限責任社員は、その誤認に基づいて合資会社と取引をした者に対し、無限責任社員と同一の責任を負う。
2合資会社又は合同会社の有限責任社員がその責任の限度を誤認させる行為(前項の行為を除く。)をしたときは、当該有限責任社員は、その誤認に基づいて合資会社又は合同会社と取引をした者に対し、その誤認させた責任の範囲内で当該合資会社又は合同会社の債務を弁済する責任を負う。
会社法 第586条(持分の全部の譲渡をした社員の責任) 詳細ページ
(持分の全部の譲渡をした社員の責任)
第五百八十六条持分の全部を他人に譲渡した社員は、その旨の登記をする前に生じた持分会社の債務について、従前の責任の範囲内でこれを弁済する責任を負う。
2前項の責任は、同項の登記後二年以内に請求又は請求の予告をしない持分会社の債権者に対しては、当該登記後二年を経過した時に消滅する。
会社法 第583条(社員の責任を変更した場合の特則) 詳細ページ
(社員の責任を変更した場合の特則)
第五百八十三条有限責任社員が無限責任社員となった場合には、当該無限責任社員となった者は、その者が無限責任社員となる前に生じた持分会社の債務についても、無限責任社員としてこれを弁済する責任を負う。
2有限責任社員(合同会社の社員を除く。)が出資の価額を減少した場合であっても、当該有限責任社員は、その旨の登記をする前に生じた持分会社の債務については、従前の責任の範囲内でこれを弁済する責任を負う。
3無限責任社員が有限責任社員となった場合であっても、当該有限責任社員となった者は、その旨の登記をする前に生じた持分会社の債務については、無限責任社員として当該債務を弁済する責任を負う。
4前二項の責任は、前二項の登記後二年以内に請求又は請求の予告をしない持分会社の債権者に対しては、当該登記後二年を経過した時に消滅する。
会社法 第633条(出資の払戻しに関する社員の責任) 詳細ページ
(出資の払戻しに関する社員の責任)
第六百三十三条合同会社が前条の規定に違反して出資の払戻しをした場合には、当該出資の払戻しに関する業務を執行した社員は、当該合同会社に対し、当該出資の払戻しを受けた社員と連帯して、当該出資払戻額に相当する金銭を支払う義務を負う。ただし、当該業務を執行した社員がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。
2前項の義務は、免除することができない。ただし、出資の払戻しをした日における剰余金額を限度として当該義務を免除することについて総社員の同意がある場合は、この限りでない。
会社法 第636条(業務を執行する社員の責任) 詳細ページ
(業務を執行する社員の責任)
第六百三十六条合同会社が前条の規定に違反して持分の払戻しをした場合には、当該持分の払戻しに関する業務を執行した社員は、当該合同会社に対し、当該持分の払戻しを受けた社員と連帯して、当該持分払戻額に相当する金銭を支払う義務を負う。ただし、持分の払戻しに関する業務を執行した社員がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。
2前項の義務は、免除することができない。ただし、持分の払戻しをした時における剰余金額を限度として当該義務を免除することについて総社員の同意がある場合は、この限りでない。
会社法 第605条(加入した社員の責任) 詳細ページ
(加入した社員の責任)
第六百五条持分会社の成立後に加入した社員は、その加入前に生じた持分会社の債務についても、これを弁済する責任を負う。
会社法 第612条(退社した社員の責任) 詳細ページ
(退社した社員の責任)
第六百十二条退社した社員は、その登記をする前に生じた持分会社の債務について、従前の責任の範囲内でこれを弁済する責任を負う。
2前項の責任は、同項の登記後二年以内に請求又は請求の予告をしない持分会社の債権者に対しては、当該登記後二年を経過した時に消滅する。
会社法 第580条(社員の責任) 詳細ページ
(社員の責任)
第五百八十条社員は、次に掲げる場合には、連帯して、持分会社の債務を弁済する責任を負う。
一当該持分会社の財産をもってその債務を完済することができない場合
二当該持分会社の財産に対する強制執行がその効を奏しなかった場合(社員が、当該持分会社に弁済をする資力があり、かつ、強制執行が容易であることを証明した場合を除く。)
2有限責任社員は、その出資の価額(既に持分会社に対し履行した出資の価額を除く。)を限度として、持分会社の債務を弁済する責任を負う。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。