会社法 / テーマ別まとめ

役員の選任・解任・任期

誰が役員になれるか、どう選び、いつまで務め、どう辞めさせるか。累積投票と欠員の扱いまで。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

役員(取締役・会計参与・監査役)と会計監査人は、株主総会の決議によって選任され、また解任される。選任・解任の決議には出席・賛成の割合について通常より重い要件があり、取締役の任期は原則2年、監査役は原則4年など機関ごとに任期の定めが異なる。2人以上の取締役を選ぶときに使える累積投票や、役員が欠けたときの取扱いもあわせて整理する。

役員等の選任・任期・解任比較
区分選任機関任期解任の決議要件欠員時の扱い
取締役株主総会の決議原則2年(定款で10年まで可)出席3分の1以上・過半数の賛成退任者が後任就任まで権利義務
監査役株主総会の決議原則4年(定款で10年まで可)出席3分の1以上・過半数の賛成退任者が後任就任まで権利義務
会計参与株主総会の決議対象条文に規定なし出席3分の1以上・過半数の賛成退任者が後任就任まで権利義務
会計監査人株主総会の決議対象条文に規定なし341条の対象外(339条のみ)監査役等が一時会計監査人選任
  • 定款で定足数を3分の1以上の範囲・賛成割合を過半数超に加重できる(341条括弧書き)。
  • 監査等委員会設置会社は監査等委員である取締役とそれ以外を区別して選任する(329条2項)。
  • 取締役会設置会社は取締役3人以上、監査等委員会設置会社の監査等委員は3人以上でその過半数が社外取締役(331条5項・6項)。
  • 監査等委員会設置会社の取締役(監査等委員を除く)と指名委員会等設置会社の取締役の任期は1年、監査等委員である取締役は任期短縮不可(332条3項・4項・6項)。
  • 監査等委員会等の設置・廃止や譲渡制限規定廃止の定款変更があると、取締役・監査役の任期はその時点で満了する(332条7項・336条4項)。
  • 累積投票で選任された取締役の解任には341条の決議要件は適用されない(342条6項)。
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どう選ぶか

選任の決議と累積投票

第329条選任役員と会計監査人は株主総会で選ぶ3項判例なし
  • 取締役・会計参与・監査役・会計監査人は株主総会の決議で選任
  • 監査等委員会設置会社は監査等委員の取締役とそれ以外を分けて選任
  • 欠員に備えて補欠の役員をあらかじめ選んでおける
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第341条役員の選任及び解任の株主総会の決議選任・解任は定足数と賛成割合に注意1項判例なし
  • 出席は議決権の過半数が原則、定款で3分の1以上まで軽減可
  • 出席株主の議決権の過半数の賛成が必要(定款で割合を上げることも可)
  • 選任と解任のどちらにも同じ決議要件が適用される
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第342条累積投票による取締役の選任2人以上選任時は累積投票を請求できる6項判例なし
  • 定款に別段の定めがなければ、総会の5日前までに請求できる
  • 請求後は1株(1単元)につき選任人数分の議決権を持てる
  • 得票数の多い順に取締役が選任される
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2

誰がなれるか、いつまでか

欠格事由と任期

第331条取締役の資格等法人や一定の前科がある人は取締役になれない6項・4号判例なし
  • 法人や、会社法等違反で処罰され執行後2年未満の人はなれない
  • 他の法令違反で拘禁刑以上の執行中の人もなれない(執行猶予中を除く)
  • 取締役会設置会社は取締役3人以上、監査等委員は3人以上・過半数社外
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第332条取締役の任期取締役の任期は原則2年、定款で伸縮も7項・3号判例なし
  • 選任後2年以内に終了する事業年度の定時株主総会終結時まで
  • 非公開会社(監査等委員会等設置会社を除く)は定款で10年まで伸長可
  • 監査等委員会・指名委員会等設置会社の取締役(監査等委員除く)は任期1年
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第336条監査役の任期監査役の任期は原則4年、非公開会社は伸長可4項・4号判例なし
  • 選任後4年以内に終了する事業年度の定時株主総会終結時まで
  • 非公開会社は定款で任期を10年まで伸長できる
  • 補欠監査役の任期は前任者の任期満了時までとできる
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どう辞めさせるか

解任の決議要件と欠員の補充

第339条解任役員・会計監査人はいつでも解任できる2項判例なし
  • 株主総会の決議があればいつでも解任できる
  • 正当な理由がない解任は損害賠償を請求されることがある
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第346条役員等に欠員を生じた場合の措置役員が欠けても後任就任まで権利義務が続く8項判例 1件
  • 任期満了・辞任で退任した役員は新任者就任まで役員の権利義務を持つ
  • 裁判所は利害関係人の申立てで一時役員の職務代行者を選べる
  • 会計監査人が欠け遅滞なく選任されない時は監査役等が一時会計監査人を選任
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第346条会社法

会社法346条1項〈役員等に欠員を生じた場合の措置〉に基づき退任後もなお会社の役員としての権利義務を有する者に対する解任の訴えの許否

裁判要旨会社法346条1項〈役員等に欠員を生じた場合の措置〉に基づき退任後もなお会社の役員としての権利義務を有する者の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があった場合において,同法854条を適用又は類推適用して株主が訴えをもって上記の者の解任請求をすることは許されない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成20年2月26日 平成19(受)1443
登載
民集 第62巻2号638頁
参照法条
会社法346条1項,会社法346条2項,会社法854条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

会社法 第329条(選任) 詳細ページ
(選任)
第三百二十九条役員(取締役、会計参与及び監査役をいう。以下この節、第三百七十一条第四項及び第三百九十四条第三項において同じ。)及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任する。
2監査等委員会設置会社においては、前項の規定による取締役の選任は、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別してしなければならない。
3第一項の決議をする場合には、法務省令で定めるところにより、役員(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役又は会計参与。以下この項において同じ。)が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数を欠くこととなるときに備えて補欠の役員を選任することができる。
会社法 第341条(役員の選任及び解任の株主総会の決議) 詳細ページ
(役員の選任及び解任の株主総会の決議)
第三百四十一条第三百九条第一項の規定にかかわらず、役員を選任し、又は解任する株主総会の決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行わなければならない。
会社法 第342条(累積投票による取締役の選任) 詳細ページ
(累積投票による取締役の選任)
第三百四十二条株主総会の目的である事項が二人以上の取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役。以下この条において同じ。)の選任である場合には、株主(取締役の選任について議決権を行使することができる株主に限る。以下この条において同じ。)は、定款に別段の定めがあるときを除き、株式会社に対し、第三項から第五項までに規定するところにより取締役を選任すべきことを請求することができる。
2前項の規定による請求は、同項の株主総会の日の五日前までにしなければならない。
3第三百八条第一項の規定にかかわらず、第一項の規定による請求があった場合には、取締役の選任の決議については、株主は、その有する株式一株(単元株式数を定款で定めている場合にあっては、一単元の株式)につき、当該株主総会において選任する取締役の数と同数の議決権を有する。この場合においては、株主は、一人のみに投票し、又は二人以上に投票して、その議決権を行使することができる。
4前項の場合には、投票の最多数を得た者から順次取締役に選任されたものとする。
5前二項に定めるもののほか、第一項の規定による請求があった場合における取締役の選任に関し必要な事項は、法務省令で定める。
6前条の規定は、前三項に規定するところにより選任された取締役の解任の決議については、適用しない。
会社法 第331条(取締役の資格等) 詳細ページ
(取締役の資格等)
第三百三十一条次に掲げる者は、取締役となることができない。
一法人
二削除
三この法律若しくは一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)の規定に違反し、又は金融商品取引法第百九十七条第一項第一号から第四号の二まで、第五号若しくは第六号若しくは第二項、第百九十七条の二第一項第一号から第十号の三まで若しくは第十三号から第十五号まで、第百九十八条第一項第八号、第百九十九条、第二百条第一号から第十二号の二まで、第二十号若しくは第二十一号、第二百三条第三項若しくは第二百五条第一号から第六号まで、第十九号若しくは第二十号の罪、民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第二百五十五条、第二百五十六条、第二百五十八条から第二百六十条まで若しくは第二百六十二条の罪、外国倒産処理手続の承認援助に関する法律(平成十二年法律第百二十九号)第六十五条、第六十六条、第六十八条若しくは第六十九条の罪、会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第二百六十六条、第二百六十七条、第二百六十九条から第二百七十一条まで若しくは第二百七十三条の罪若しくは破産法(平成十六年法律第七十五号)第二百六十五条、第二百六十六条、第二百六十八条から第二百七十二条まで若しくは第二百七十四条の罪を犯し、刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
四前号に規定する法律の規定以外の法令の規定に違反し、拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)
2株式会社は、取締役が株主でなければならない旨を定款で定めることができない。ただし、公開会社でない株式会社においては、この限りでない。
3監査等委員である取締役は、監査等委員会設置会社若しくはその子会社の業務執行取締役若しくは支配人その他の使用人又は当該子会社の会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)若しくは執行役を兼ねることができない。
4指名委員会等設置会社の取締役は、当該指名委員会等設置会社の支配人その他の使用人を兼ねることができない。
5取締役会設置会社においては、取締役は、三人以上でなければならない。
6監査等委員会設置会社においては、監査等委員である取締役は、三人以上で、その過半数は、社外取締役でなければならない。
会社法 第332条(取締役の任期) 詳細ページ
(取締役の任期)
第三百三十二条取締役の任期は、選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。ただし、定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することを妨げない。
2前項の規定は、公開会社でない株式会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)において、定款によって、同項の任期を選任後十年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することを妨げない。
3監査等委員会設置会社の取締役(監査等委員であるものを除く。)についての第一項の規定の適用については、同項中「二年」とあるのは、「一年」とする。
4監査等委員である取締役の任期については、第一項ただし書の規定は、適用しない。
5第一項本文の規定は、定款によって、任期の満了前に退任した監査等委員である取締役の補欠として選任された監査等委員である取締役の任期を退任した監査等委員である取締役の任期の満了する時までとすることを妨げない。
6指名委員会等設置会社の取締役についての第一項の規定の適用については、同項中「二年」とあるのは、「一年」とする。
7前各項の規定にかかわらず、次に掲げる定款の変更をした場合には、取締役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。
一監査等委員会又は指名委員会等を置く旨の定款の変更
二監査等委員会又は指名委員会等を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更
三その発行する株式の全部の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを廃止する定款の変更(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社がするものを除く。)
会社法 第336条(監査役の任期) 詳細ページ
(監査役の任期)
第三百三十六条監査役の任期は、選任後四年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
2前項の規定は、公開会社でない株式会社において、定款によって、同項の任期を選任後十年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することを妨げない。
3第一項の規定は、定款によって、任期の満了前に退任した監査役の補欠として選任された監査役の任期を退任した監査役の任期の満了する時までとすることを妨げない。
4前三項の規定にかかわらず、次に掲げる定款の変更をした場合には、監査役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。
一監査役を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更
二監査等委員会又は指名委員会等を置く旨の定款の変更
三監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更
四その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを廃止する定款の変更
会社法 第339条(解任) 詳細ページ
(解任)
第三百三十九条役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。
2前項の規定により解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。
会社法 第346条(役員等に欠員を生じた場合の措置) 詳細ページ
(役員等に欠員を生じた場合の措置)
第三百四十六条役員(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役又は会計参与。以下この条において同じ。)が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。
2前項に規定する場合において、裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、一時役員の職務を行うべき者を選任することができる。
3裁判所は、前項の一時役員の職務を行うべき者を選任した場合には、株式会社がその者に対して支払う報酬の額を定めることができる。
4会計監査人が欠けた場合又は定款で定めた会計監査人の員数が欠けた場合において、遅滞なく会計監査人が選任されないときは、監査役は、一時会計監査人の職務を行うべき者を選任しなければならない。
5第三百三十七条及び第三百四十条の規定は、前項の一時会計監査人の職務を行うべき者について準用する。
6監査役会設置会社における第四項の規定の適用については、同項中「監査役」とあるのは、「監査役会」とする。
7監査等委員会設置会社における第四項の規定の適用については、同項中「監査役」とあるのは、「監査等委員会」とする。
8指名委員会等設置会社における第四項の規定の適用については、同項中「監査役」とあるのは、「監査委員会」とする。
出

一次情報

原文ママ

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