会社法 / テーマ別まとめ

内部統制システムの構築義務

どの会社が体制の整備を決議しなければならないか。機関設計による違い。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

会社法は、取締役の職務執行が法令・定款に適合すること等を確保するための体制の整備(実務上「内部統制システム」と呼ばれることが多い)について、どの機関がその内容を決定するかを機関設計ごとに定めている。取締役会を置かない会社では取締役が、取締役会設置会社では取締役会が決定するのが原則で、大会社ではその決定自体が義務となる。指名委員会等設置会社では会社の規模にかかわらず取締役会が必ず決定しなければならない。

機関設計別:体制整備の決定機関と大会社での義務
機関設計体制整備の決定機関大会社での義務
取締役会設置会社取締役会が決定大会社なら義務あり
取締役会非設置会社取締役の過半数で決定大会社なら義務あり
監査等委員会設置会社取締役会が決定大会社なら義務あり
指名委員会等設置会社取締役会が決定規模問わず常に義務
  • 348条2項の決定は定款に別段の定めがある場合を除く原則
  • 取締役会非設置会社では体制整備の決定を各取締役に丸投げできない(348条3項)
  • 取締役会設置会社でも体制整備の決定を取締役に委任できない(362条4項)
  • 指名委員会等設置会社では体制整備の決定を執行役等に委任できない(416条3項)
  • 大会社の判定基準そのものはこれらの条文には規定されていない
1

誰が決めるか

取締役会か取締役か

第348条業務の執行取締役会がない会社の業務執行ルール4項・5号判例なし
  • 取締役会を置かない会社では取締役が業務を執行する(原則)
  • 取締役が複数の場合は過半数で意思決定する
  • 体制整備の決定は各取締役に委任できず、大会社は決定必須
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第362条取締役会の権限等取締役会設置会社の権限と体制整備5項・10号判例 2件
  • 取締役会は業務執行の決定・監督・代表取締役の選定を行う
  • 体制整備の決定は取締役に委任できない
  • 大会社である取締役会設置会社は体制整備を必ず決定
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
2

委員会型の会社では

決定機関が変わる

第416条指名委員会等設置会社の取締役会の権限指名委員会等設置会社は体制整備が必須4項・26号判例なし
  • 取締役会が経営方針や執行役の体制整備を決定する
  • 体制整備を含む項目は取締役に委任できない
  • 大会社かどうかを問わず必ず決定しなければならない
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
3

決めたことを開示する

事業報告での記載

第435条計算書類等の作成及び保存計算書類等の作成と10年間の保存義務4項判例なし
  • 成立日の貸借対照表と各事業年度の計算書類・事業報告を作成する
  • 計算書類等は電磁的記録でも作成できる
  • 作成した計算書類とその附属明細書は10年間保存する
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第362条会社法

取締役会設置会社である非公開会社における,取締役会の決議によるほか株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款の定めの効力

裁判要旨取締役会設置会社である非公開会社における,取締役会の決議によるほか株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款の定めは有効である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成29年2月21日 平成28(許)24
登載
民集 第71巻2号195頁
参照法条
会社法295条2項,会社法362条2項3号
論点2第362条会社法

株式会社の代表取締役が取締役会の決議を経ないで重要な業務執行に該当する取引をしたことを理由に同取引の無効を会社以外の者が主張することの可否

裁判要旨株式会社の代表取締役が取締役会の決議を経ないで重要な業務執行に該当する取引をした場合,当該会社以外の者が取締役会の決議を経ていないことを理由にその無効を主張することは,当該会社の取締役会が上記無効を主張する旨の決議をしているなどの特段の事情がない限り,許されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成21年4月17日 平成19(受)1219
登載
民集 第63巻4号535頁
参照法条
会社法362条4項,会社法349条4項

関連する会計・監査の基準

原文整理本文は各団体のサイトで確認してください

これらの基準は著作権者が転載に許諾を求めているため、当サイトは基準名・番号・公表日とリンクのみを掲載しています(原文・要約は置いていません)。

原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

会社法 第348条(業務の執行) 詳細ページ
(業務の執行)
第三百四十八条取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社(取締役会設置会社を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する。
2取締役が二人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する。
3前項の場合には、取締役は、次に掲げる事項についての決定を各取締役に委任することができない。
一支配人の選任及び解任
二支店の設置、移転及び廃止
三第二百九十八条第一項各号(第三百二十五条において準用する場合を含む。)に掲げる事項
四取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
五第四百二十六条第一項の規定による定款の定めに基づく第四百二十三条第一項の責任の免除
4大会社においては、取締役は、前項第四号に掲げる事項を決定しなければならない。
会社法 第362条(取締役会の権限等) 詳細ページ
(取締役会の権限等)
第三百六十二条取締役会は、すべての取締役で組織する。
2取締役会は、次に掲げる職務を行う。
一取締役会設置会社の業務執行の決定
二取締役の職務の執行の監督
三代表取締役の選定及び解職
3取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない。
4取締役会は、次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない。
一重要な財産の処分及び譲受け
二多額の借財
三支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
四支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
五第六百七十六条第一号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
六取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
七第四百二十六条第一項の規定による定款の定めに基づく第四百二十三条第一項の責任の免除
5大会社である取締役会設置会社においては、取締役会は、前項第六号に掲げる事項を決定しなければならない。
会社法 第416条(指名委員会等設置会社の取締役会の権限) 詳細ページ
(指名委員会等設置会社の取締役会の権限)
第四百十六条指名委員会等設置会社の取締役会は、第三百六十二条の規定にかかわらず、次に掲げる職務を行う。
一次に掲げる事項その他指名委員会等設置会社の業務執行の決定
イ経営の基本方針
ロ監査委員会の職務の執行のため必要なものとして法務省令で定める事項
ハ執行役が二人以上ある場合における執行役の職務の分掌及び指揮命令の関係その他の執行役相互の関係に関する事項
ニ次条第二項の規定による取締役会の招集の請求を受ける取締役
ホ執行役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
二執行役等の職務の執行の監督
2指名委員会等設置会社の取締役会は、前項第一号イからホまでに掲げる事項を決定しなければならない。
3指名委員会等設置会社の取締役会は、第一項各号に掲げる職務の執行を取締役に委任することができない。
4指名委員会等設置会社の取締役会は、その決議によって、指名委員会等設置会社の業務執行の決定を執行役に委任することができる。ただし、次に掲げる事項については、この限りでない。
一第百三十六条又は第百三十七条第一項の決定及び第百四十条第四項の規定による指定
二第百六十五条第三項において読み替えて適用する第百五十六条第一項各号に掲げる事項の決定
四第二百九十八条第一項各号に掲げる事項の決定
五株主総会に提出する議案(取締役、会計参与及び会計監査人の選任及び解任並びに会計監査人を再任しないことに関するものを除く。)の内容の決定
六第三百四十八条の二第二項の規定による委託
七第三百六十五条第一項において読み替えて適用する第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において読み替えて準用する場合を含む。)の承認
八第三百六十六条第一項ただし書の規定による取締役会を招集する取締役の決定
九第四百条第二項の規定による委員の選定及び第四百一条第一項の規定による委員の解職
十第四百二条第二項の規定による執行役の選任及び第四百三条第一項の規定による執行役の解任
十一第四百八条第一項第一号の規定による指名委員会等設置会社を代表する者の決定
十二第四百二十条第一項前段の規定による代表執行役の選定及び同条第二項の規定による代表執行役の解職
十三第四百二十六条第一項の規定による定款の定めに基づく第四百二十三条第一項の責任の免除
十四補償契約の内容の決定
十五役員等賠償責任保険契約の内容の決定
十七第四百五十四条第五項において読み替えて適用する同条第一項の規定により定めなければならないとされる事項の決定
十八第四百六十七条第一項各号に掲げる行為に係る契約(当該指名委員会等設置会社の株主総会の決議による承認を要しないものを除く。)の内容の決定
十九合併契約(当該指名委員会等設置会社の株主総会の決議による承認を要しないものを除く。)の内容の決定
二十吸収分割契約(当該指名委員会等設置会社の株主総会の決議による承認を要しないものを除く。)の内容の決定
二十一新設分割計画(当該指名委員会等設置会社の株主総会の決議による承認を要しないものを除く。)の内容の決定
二十二株式交換契約(当該指名委員会等設置会社の株主総会の決議による承認を要しないものを除く。)の内容の決定
二十三株式移転計画の内容の決定
二十四株式交付計画(当該指名委員会等設置会社の株主総会の決議による承認を要しないものを除く。)の内容の決定
会社法 第435条(計算書類等の作成及び保存) 詳細ページ
(計算書類等の作成及び保存)
第四百三十五条株式会社は、法務省令で定めるところにより、その成立の日における貸借対照表を作成しなければならない。
2株式会社は、法務省令で定めるところにより、各事業年度に係る計算書類(貸借対照表、損益計算書その他株式会社の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして法務省令で定めるものをいう。以下この章において同じ。)及び事業報告並びにこれらの附属明細書を作成しなければならない。
3計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書は、電磁的記録をもって作成することができる。
4株式会社は、計算書類を作成した時から十年間、当該計算書類及びその附属明細書を保存しなければならない。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。