会社法 / テーマ別まとめ

会社の設立手続

定款に何を書き、誰の認証を受け、いつ会社が成立するか。現物出資の検査役調査まで。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

会社設立では、発起人が作成する定款に何を記載するかによって絶対的記載事項・相対的記載事項・任意的記載事項に分かれ、定款は発起人全員の署名等と公証人の認証を経て初めて効力を生じる。現物出資等を定款に記載した場合は原則として検査役の調査が必要となり、発行可能株式総数は会社成立までに確定させなければならない。募集設立では創立総会の招集・決議を経て、設立時募集株式の引受人は会社成立時に株主となる。

定款の記載事項の区分(絶対的・相対的・任意的)
区分該当する内容根拠条文欠けた場合の効果成立前の変更
絶対的記載事項目的・商号・本店等5項目27条記載なければ定款無効原則不可(30条2項)
相対的記載事項現物出資・発行可能株式総数等29条定めなければ効力を生じない33条7-9項/37条のみ可
任意的記載事項法に反しない他の事項29条記載なくても影響なし原則不可(30条2項)
  • 定款変更(認証後・成立前)は33条7項・9項または37条1項・2項の場合に限られる(30条2項)
  • 現物出資財産等の総額が500万円を超えない場合は検査役調査が不要(33条10項1号)
  • 市場価格のある有価証券は市場価格を超えない範囲なら調査不要(33条10項2号)
  • 弁護士・公認会計士等の証明を受けた財産(不動産は鑑定評価も)も調査不要(33条10項3号)
  • 設立時発行株式の総数は発行可能株式総数の4分の1を下回れない。非公開会社は除く(37条3項)
  • 創立総会は67条1項3号・4号の事項を定めた場合、招集手続の省略はできない(69条)
表

定款の絶対的記載事項の全一覧

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号対象となる株主総会(条文原文)関連条文
定款に必ず記載しなければならない事項会社法 第27条第1項株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。該当 5 号
一目的―
二商号―
三本店の所在地―
四設立に際して出資される財産の価額又はその最低額―
五発起人の氏名又は名称及び住所―
1

定款に何を書くか

必ず書く事項と、書かないと効力がない事項

第26条定款の作成発起人全員が定款に署名・押印する2項判例なし
  • 定款は発起人全員が署名または記名押印して作成する
  • 電磁的記録での作成も可能(法務省令の代替措置が必要)
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第27条定款の記載又は記録事項定款に必ず書く5つの事項を定める1項・5号判例なし
  • 目的・商号・本店所在地を記載する
  • 設立時に出資される財産の価額または最低額を記載する
  • 発起人全員の氏名・名称と住所を記載する
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第29条定めがないと効力がない事項も記載できる1項判例なし
  • 定款の定めがなければ効力を生じない事項を記載できる
  • 法に反しない他の事項も自由に記載できる
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第30条定款の認証公証人の認証がなければ定款は無効2項判例なし
  • 定款は公証人の認証を受けて初めて効力を生じる
  • 成立前は原則、認証後の定款を変更できない
  • 変更できるのは33条7項〈定款の記載又は記録事項に関する検査役の選任〉・9項、37条1項〈発行可能株式総数の定め等〉・2項の場合のみ
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2

お金以外を出資するとき

現物出資に検査役の調査が要るのはどんな場合か

第33条定款の記載又は記録事項に関する検査役の選任現物出資は原則、検査役の調査が必要11項・8号判例なし
  • 現物出資等の記載があれば認証後に検査役選任を申し立てる
  • 総額500万円以下や有価証券の市場価格内なら調査不要
  • 専門家証明を受けた財産も調査不要(不動産は鑑定評価も要)
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第37条発行可能株式総数の定め等発行可能株式総数は成立までに定める3項判例なし
  • 定めがなければ成立までに全員同意で定款に追加する
  • 定めがあっても全員同意で成立までに変更できる
  • 設立時発行株式は総数の4分の1未満にできない(非公開会社除く)
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3

発起人以外から株主を募る

募集設立の創立総会は何を決めるか

第65条創立総会の招集発起人が設立時株主の総会を招集する2項判例なし
  • 募集をした場合は期日・期間の末日以降遅滞なく創立総会を招集する
  • 発起人は必要があればいつでも創立総会を招集できる
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第66条創立総会の権限創立総会は設立に関する事項だけ決議できる1項判例なし
  • 決議事項は設立の廃止・総会の終結など設立関連に限られる
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第68条創立総会の招集の通知招集通知は原則2週間前までに発する7項・2号判例なし
  • 非公開会社は1週間前、取締役会非設置なら定款でさらに短縮可
  • 決議事項が重大な場合や取締役会設置会社は書面通知が必要
  • 通知は27条5号〈定款の記載又は記録事項 発起人の氏名又は名称及び住所〉等の住所にあてて発すれば足りる
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第69条招集手続の省略全員同意があれば招集手続を省略できる1項判例なし
  • 設立時株主全員の同意で招集手続なしに開催できる
  • ただし67条1項3号〈創立総会の招集の決定 創立総会に出席しない設立時株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨〉・4号の事項を定めた場合は省略不可
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第102条設立手続等の特則設立時募集株式の引受人の権利義務を定める6項判例なし
  • 引受人は成立時に払込みを行った株式の株主となる
  • 払込みを仮装した場合は支払い後でなければ権利行使できない
  • 成立後や議決権行使後は錯誤・詐欺・強迫による取消しができない
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原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

会社法 第26条(定款の作成) 詳細ページ
(定款の作成)
第二十六条株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
2前項の定款は、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)をもって作成することができる。この場合において、当該電磁的記録に記録された情報については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
会社法 第27条(定款の記載又は記録事項) 詳細ページ
(定款の記載又は記録事項)
第二十七条株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一目的
二商号
三本店の所在地
四設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
五発起人の氏名又は名称及び住所
会社法 第29条 詳細ページ
第二十九条第二十七条各号及び前条各号に掲げる事項のほか、株式会社の定款には、この法律の規定により定款の定めがなければその効力を生じない事項及びその他の事項でこの法律の規定に違反しないものを記載し、又は記録することができる。
会社法 第30条(定款の認証) 詳細ページ
(定款の認証)
第三十条第二十六条第一項の定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。
2前項の公証人の認証を受けた定款は、株式会社の成立前は、第三十三条第七項若しくは第九項又は第三十七条第一項若しくは第二項の規定による場合を除き、これを変更することができない。
会社法 第33条(定款の記載又は記録事項に関する検査役の選任) 詳細ページ
(定款の記載又は記録事項に関する検査役の選任)
第三十三条発起人は、定款に第二十八条各号に掲げる事項についての記載又は記録があるときは、第三十条第一項の公証人の認証の後遅滞なく、当該事項を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをしなければならない。
2前項の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。
3裁判所は、前項の検査役を選任した場合には、成立後の株式会社が当該検査役に対して支払う報酬の額を定めることができる。
4第二項の検査役は、必要な調査を行い、当該調査の結果を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録(法務省令で定めるものに限る。)を裁判所に提供して報告をしなければならない。
5裁判所は、前項の報告について、その内容を明瞭にし、又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは、第二項の検査役に対し、更に前項の報告を求めることができる。
6第二項の検査役は、第四項の報告をしたときは、発起人に対し、同項の書面の写しを交付し、又は同項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供しなければならない。
7裁判所は、第四項の報告を受けた場合において、第二十八条各号に掲げる事項(第二項の検査役の調査を経ていないものを除く。)を不当と認めたときは、これを変更する決定をしなければならない。
8発起人は、前項の決定により第二十八条各号に掲げる事項の全部又は一部が変更された場合には、当該決定の確定後一週間以内に限り、その設立時発行株式の引受けに係る意思表示を取り消すことができる。
9前項に規定する場合には、発起人は、その全員の同意によって、第七項の決定の確定後一週間以内に限り、当該決定により変更された事項についての定めを廃止する定款の変更をすることができる。
10前各項の規定は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める事項については、適用しない。
一第二十八条第一号及び第二号の財産(以下この章において「現物出資財産等」という。)について定款に記載され、又は記録された価額の総額が五百万円を超えない場合同条第一号及び第二号に掲げる事項
二現物出資財産等のうち、市場価格のある有価証券(金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項に規定する有価証券をいい、同条第二項の規定により有価証券とみなされる権利を含む。以下同じ。)について定款に記載され、又は記録された価額が当該有価証券の市場価格として法務省令で定める方法により算定されるものを超えない場合当該有価証券についての第二十八条第一号又は第二号に掲げる事項
三現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人、公認会計士(外国公認会計士(公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第十六条の二第五項に規定する外国公認会計士をいう。)を含む。以下同じ。)、監査法人、税理士又は税理士法人の証明(現物出資財産等が不動産である場合にあっては、当該証明及び不動産鑑定士の鑑定評価。以下この号において同じ。)を受けた場合第二十八条第一号又は第二号に掲げる事項(当該証明を受けた現物出資財産等に係るものに限る。)
11次に掲げる者は、前項第三号に規定する証明をすることができない。
一発起人
二第二十八条第二号の財産の譲渡人
三設立時取締役(第三十八条第一項に規定する設立時取締役をいう。)又は設立時監査役(同条第三項第二号に規定する設立時監査役をいう。)
四業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者
五弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人、監査法人又は税理士法人であって、その社員の半数以上が第一号から第三号までに掲げる者のいずれかに該当するもの
会社法 第37条(発行可能株式総数の定め等) 詳細ページ
(発行可能株式総数の定め等)
第三十七条発起人は、株式会社が発行することができる株式の総数(以下「発行可能株式総数」という。)を定款で定めていない場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。
2発起人は、発行可能株式総数を定款で定めている場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、発行可能株式総数についての定款の変更をすることができる。
3設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の四分の一を下ることができない。ただし、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。
会社法 第65条(創立総会の招集) 詳細ページ
(創立総会の招集)
第六十五条第五十七条第一項の募集をする場合には、発起人は、第五十八条第一項第三号の期日又は同号の期間の末日のうち最も遅い日以後、遅滞なく、設立時株主(第五十条第一項又は第百二条第二項の規定により株式会社の株主となる者をいう。以下同じ。)の総会(以下「創立総会」という。)を招集しなければならない。
2発起人は、前項に規定する場合において、必要があると認めるときは、いつでも、創立総会を招集することができる。
会社法 第66条(創立総会の権限) 詳細ページ
(創立総会の権限)
第六十六条創立総会は、この節に規定する事項及び株式会社の設立の廃止、創立総会の終結その他株式会社の設立に関する事項に限り、決議をすることができる。
会社法 第68条(創立総会の招集の通知) 詳細ページ
(創立総会の招集の通知)
第六十八条創立総会を招集するには、発起人は、創立総会の日の二週間(前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めたときを除き、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合にあっては、一週間(当該設立しようとする株式会社が取締役会設置会社以外の株式会社である場合において、これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間))前までに、設立時株主に対してその通知を発しなければならない。
2次に掲げる場合には、前項の通知は、書面でしなければならない。
一前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めた場合
二設立しようとする株式会社が取締役会設置会社である場合
3発起人は、前項の書面による通知の発出に代えて、政令で定めるところにより、設立時株主の承諾を得て、電磁的方法により通知を発することができる。この場合において、当該発起人は、同項の書面による通知を発したものとみなす。
4前二項の通知には、前条第一項各号に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
5発起人が設立時株主に対してする通知又は催告は、第二十七条第五号又は第五十九条第三項第一号の住所(当該設立時株主が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を発起人に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
6前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
7前二項の規定は、第一項の通知に際して設立時株主に書面を交付し、又は当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供する場合について準用する。この場合において、前項中「到達したもの」とあるのは、「当該書面の交付又は当該事項の電磁的方法による提供があったもの」と読み替えるものとする。
会社法 第69条(招集手続の省略) 詳細ページ
(招集手続の省略)
第六十九条前条の規定にかかわらず、創立総会は、設立時株主の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。ただし、第六十七条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めた場合は、この限りでない。
会社法 第102条(設立手続等の特則) 詳細ページ
(設立手続等の特則)
第百二条設立時募集株式の引受人は、発起人が定めた時間内は、いつでも、第三十一条第二項各号に掲げる請求をすることができる。ただし、同項第二号又は第四号に掲げる請求をするには、発起人の定めた費用を支払わなければならない。
2設立時募集株式の引受人は、株式会社の成立の時に、第六十三条第一項の規定による払込みを行った設立時発行株式の株主となる。
3設立時募集株式の引受人は、第六十三条第一項の規定による払込みを仮装した場合には、次条第一項又は第百三条第二項の規定による支払がされた後でなければ、払込みを仮装した設立時発行株式について、設立時株主及び株主の権利を行使することができない。
4前項の設立時発行株式又はその株主となる権利を譲り受けた者は、当該設立時発行株式についての設立時株主及び株主の権利を行使することができる。ただし、その者に悪意又は重大な過失があるときは、この限りでない。
5民法第九十三条第一項ただし書及び第九十四条第一項の規定は、設立時募集株式の引受けの申込み及び割当て並びに第六十一条の契約に係る意思表示については、適用しない。
6設立時募集株式の引受人は、株式会社の成立後又は創立総会若しくは種類創立総会においてその議決権を行使した後は、錯誤、詐欺又は強迫を理由として設立時発行株式の引受けの取消しをすることができない。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。