会社法 / テーマ別まとめ

社債/社債管理者

社債管理者の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

社債を発行する会社は原則として社債管理者を定め、社債権者のために弁済の受領や債権の保全などの管理を委託しなければならない。社債管理者になれる資格、負うべき義務、単独でできる行為と社債権者集会の決議が必要な行為、そして責任・辞任・解任・事務承継の手続を会社法が定めている。

社債管理者
項目内容
設置義務原則必須(1億円以上等は不要)
資格銀行・信託会社等に限定
基本義務公平誠実義務・善管注意義務
単独の権限弁済受領・保全の一切の行為
集会決議が必要な行為支払猶予・免除・和解・訴訟等
責任法令・決議違反で連帯賠償責任
辞任発行会社と集会の同意等が必要
解任義務違反等で裁判所が解任
事務承継資格喪失等で承継者を選定
  • 各社債の金額が1億円以上の場合等、社債権者保護に欠けるおそれがないときは設置不要
  • 訴訟・倒産手続行為(706条1号の行為を除く)は、社債権者集会での定めがあれば決議不要
  • 二以上の社債管理者があるときは共同で権限行使し、弁済受領額は連帯して支払う義務を負う
  • 支払停止前後3か月内の担保供与受領等の責任は、誠実に管理を怠らなかった等の証明で免責
  • 辞任の要件は発行会社・集会の同意、契約所定の事由、裁判所許可のいずれかで異なる
  • 事務承継のための招集・許可申立てを該当日から2か月以内にしないと社債総額の期限の利益を喪失
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社債管理者

社債管理者について、条文は何を定めているか。

第702条社債管理者の設置社債発行時は原則、管理者設置が必須1項判例なし
  • 社債権者のため弁済受領や保全等の管理を委託する義務がある
  • 各社債1億円以上の場合等は設置不要(法務省令に例外あり)
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第703条社債管理者の資格管理者になれるのは銀行・信託会社等のみ1項・3号判例なし
  • 銀行、信託会社が対象
  • これらに準ずる者として法務省令で定める者も可
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第704条社債管理者の義務公平誠実義務と善管注意義務を負う2項判例なし
  • 社債権者のため公平かつ誠実に管理する義務がある
  • 善良な管理者の注意をもって管理する義務がある
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第705条社債管理者の権限等弁済の受領や保全に必要な行為を単独でできる4項判例 1件
  • 裁判上・裁判外を問わず弁済受領等の行為ができる
  • 弁済受領後、社債権者は管理者に償還・利息を請求できる(請求権は10年で時効消滅)
  • 業務財産の調査には裁判所の許可が必要
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第706条支払猶予や訴訟等は集会決議が必要4項・2号判例なし
  • 全社債の支払猶予・免除・和解には集会決議が必要
  • 全社債の訴訟・倒産手続行為も原則集会決議が必要
  • 決議によらず行為をしたときは遅滞なく公告・通知
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第707条特別代理人の選任利益相反時は裁判所が特別代理人を選任1項判例なし
  • 社債権者集会の申立てにより裁判所が選任する
  • 利益相反の場合の裁判上・裁判外行為のため
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第708条社債管理者等の行為の方式行為の際に個々の社債権者名は不要1項判例なし
  • 管理者や特別代理人は社債権者を個別表示しなくてよい
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第709条二以上の社債管理者がある場合の特則管理者が複数のときは共同で行動2項判例なし
  • 権限行使は共同で行う必要がある
  • 弁済受領時は社債権者に連帯して支払う義務を負う
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第710条社債管理者の責任法令・決議違反や利益相反行為で賠償責任2項・4号判例なし
  • 法令・決議違反行為は連帯して損害賠償責任を負う
  • 支払停止前後3か月内の担保供与受領等も賠償責任(証明で免責あり)
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第711条社債管理者の辞任辞任には発行会社と集会の同意等が必要3項判例なし
  • 原則、発行会社・集会の同意があれば辞任できる
  • 契約所定の事由があれば辞任可(承継者の定めが必要)
  • やむを得ない事由なら裁判所の許可で辞任できる
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第712条社債管理者が辞任した場合の責任契約事由での辞任も一定期間は責任が残る1項判例なし
  • 支払停止前後3か月内の辞任には710条2項〈社債管理者の責任〉を準用する
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第713条社債管理者の解任義務違反等があれば裁判所が解任できる1項判例なし
  • 発行会社または社債権者集会の申立てで裁判所が解任する
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第714条社債管理者の事務の承継資格喪失等の際は承継管理者を選定4項・4号判例なし
  • 資格喪失・辞任・解任・解散の場合に承継者を選定する
  • 集会同意を得られなければ裁判所の許可を申立てる
  • 該当日後2か月以内に招集等をしないと期限の利益喪失
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第705条会社法

外国国家が発行した円建て債券に係る償還等請求訴訟につき,当該債券の管理会社が任意的訴訟担当の要件を満たすものとして原告適格を有するとされた事例

裁判要旨外国国家Yが発行したいわゆるソブリン債である円建て債券に係る償還等請求訴訟について,当該債券の管理会社であるXらは,次の⑴~⑷など判示の事情の下では,当該債券の債権者Aらのための任意的訴訟担当の要件を満たし,原告適格を有する。
⑴ XらとYとの間において,Xらが債券の管理会社として,Aらのために当該債券に基づく弁済を受け,又は債権の実現を保全するために必要な一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する旨の条項を含む管理委託契約が締結された。
⑵ 上記⑴の授権に係る条項は,Xら,Y及びAらの間の契約関係を規律する「債券の要項」の内容を構成し,Aらに交付される目論見書等にも記載されていた。
⑶ 当該債券は多数の一般公衆に対して発行される点で社債に類似するところ,上記⑴の授権に係る条項を設けるなどしてXらに訴訟追行権を認める仕組みは,社債に関する商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)の規定に倣ったものである。
⑷ Xらは,いずれも銀行であって銀行法に基づく規制や監督に服するとともに,上記⑴の管理委託契約上,Aらに対して公平誠実義務や善管注意義務を負うものとされている。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成28年6月2日 平成26(受)949
登載
民集 第70巻5号1157頁
参照法条
民訴法第1編第3章 当事者,商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)309条1項,会社法705条1項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

会社法 第702条(社債管理者の設置) 詳細ページ
(社債管理者の設置)
第七百二条会社は、社債を発行する場合には、社債管理者を定め、社債権者のために、弁済の受領、債権の保全その他の社債の管理を行うことを委託しなければならない。ただし、各社債の金額が一億円以上である場合その他社債権者の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合は、この限りでない。
会社法 第703条(社債管理者の資格) 詳細ページ
(社債管理者の資格)
第七百三条社債管理者は、次に掲げる者でなければならない。
一銀行
二信託会社
三前二号に掲げるもののほか、これらに準ずるものとして法務省令で定める者
会社法 第704条(社債管理者の義務) 詳細ページ
(社債管理者の義務)
第七百四条社債管理者は、社債権者のために、公平かつ誠実に社債の管理を行わなければならない。
2社債管理者は、社債権者に対し、善良な管理者の注意をもって社債の管理を行わなければならない。
会社法 第705条(社債管理者の権限等) 詳細ページ
(社債管理者の権限等)
第七百五条社債管理者は、社債権者のために社債に係る債権の弁済を受け、又は社債に係る債権の実現を保全するために必要な一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
2社債管理者が前項の弁済を受けた場合には、社債権者は、その社債管理者に対し、社債の償還額及び利息の支払を請求することができる。この場合において、社債券を発行する旨の定めがあるときは、社債権者は、社債券と引換えに当該償還額の支払を、利札と引換えに当該利息の支払を請求しなければならない。
3前項前段の規定による請求権は、これを行使することができる時から十年間行使しないときは、時効によって消滅する。
4社債管理者は、その管理の委託を受けた社債につき第一項の行為をするために必要があるときは、裁判所の許可を得て、社債発行会社の業務及び財産の状況を調査することができる。
会社法 第706条 詳細ページ
第七百六条社債管理者は、社債権者集会の決議によらなければ、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第二号に掲げる行為については、第六百七十六条第八号に掲げる事項についての定めがあるときは、この限りでない。
一当該社債の全部についてするその支払の猶予、その債務若しくはその債務の不履行によって生じた責任の免除又は和解(次号に掲げる行為を除く。)
二当該社債の全部についてする訴訟行為又は破産手続、再生手続、更生手続若しくは特別清算に関する手続に属する行為(前条第一項の行為を除く。)
2社債管理者は、前項ただし書の規定により社債権者集会の決議によらずに同項第二号に掲げる行為をしたときは、遅滞なく、その旨を公告し、かつ、知れている社債権者には、各別にこれを通知しなければならない。
3前項の規定による公告は、社債発行会社における公告の方法によりしなければならない。ただし、その方法が電子公告であるときは、その公告は、官報に掲載する方法でしなければならない。
4社債管理者は、その管理の委託を受けた社債につき第一項各号に掲げる行為をするために必要があるときは、裁判所の許可を得て、社債発行会社の業務及び財産の状況を調査することができる。
会社法 第707条(特別代理人の選任) 詳細ページ
(特別代理人の選任)
第七百七条社債権者と社債管理者との利益が相反する場合において、社債権者のために裁判上又は裁判外の行為をする必要があるときは、裁判所は、社債権者集会の申立てにより、特別代理人を選任しなければならない。
会社法 第708条(社債管理者等の行為の方式) 詳細ページ
(社債管理者等の行為の方式)
第七百八条社債管理者又は前条の特別代理人が社債権者のために裁判上又は裁判外の行為をするときは、個別の社債権者を表示することを要しない。
会社法 第709条(二以上の社債管理者がある場合の特則) 詳細ページ
(二以上の社債管理者がある場合の特則)
第七百九条二以上の社債管理者があるときは、これらの者が共同してその権限に属する行為をしなければならない。
2前項に規定する場合において、社債管理者が第七百五条第一項の弁済を受けたときは、社債管理者は、社債権者に対し、連帯して、当該弁済の額を支払う義務を負う。
会社法 第710条(社債管理者の責任) 詳細ページ
(社債管理者の責任)
第七百十条社債管理者は、この法律又は社債権者集会の決議に違反する行為をしたときは、社債権者に対し、連帯して、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
2社債管理者は、社債発行会社が社債の償還若しくは利息の支払を怠り、若しくは社債発行会社について支払の停止があった後又はその前三箇月以内に、次に掲げる行為をしたときは、社債権者に対し、損害を賠償する責任を負う。ただし、当該社債管理者が誠実にすべき社債の管理を怠らなかったこと又は当該損害が当該行為によって生じたものでないことを証明したときは、この限りでない。
一当該社債管理者の債権に係る債務について社債発行会社から担保の供与又は債務の消滅に関する行為を受けること。
二当該社債管理者と法務省令で定める特別の関係がある者に対して当該社債管理者の債権を譲り渡すこと(当該特別の関係がある者が当該債権に係る債務について社債発行会社から担保の供与又は債務の消滅に関する行為を受けた場合に限る。)。
三当該社債管理者が社債発行会社に対する債権を有する場合において、契約によって負担する債務を専ら当該債権をもってする相殺に供する目的で社債発行会社の財産の処分を内容とする契約を社債発行会社との間で締結し、又は社債発行会社に対して債務を負担する者の債務を引き受けることを内容とする契約を締結し、かつ、これにより社債発行会社に対し負担した債務と当該債権とを相殺すること。
四当該社債管理者が社債発行会社に対して債務を負担する場合において、社債発行会社に対する債権を譲り受け、かつ、当該債務と当該債権とを相殺すること。
会社法 第711条(社債管理者の辞任) 詳細ページ
(社債管理者の辞任)
第七百十一条社債管理者は、社債発行会社及び社債権者集会の同意を得て辞任することができる。この場合において、他に社債管理者がないときは、当該社債管理者は、あらかじめ、事務を承継する社債管理者を定めなければならない。
2前項の規定にかかわらず、社債管理者は、第七百二条の規定による委託に係る契約に定めた事由があるときは、辞任することができる。ただし、当該契約に事務を承継する社債管理者に関する定めがないときは、この限りでない。
3第一項の規定にかかわらず、社債管理者は、やむを得ない事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。
会社法 第712条(社債管理者が辞任した場合の責任) 詳細ページ
(社債管理者が辞任した場合の責任)
第七百十二条第七百十条第二項の規定は、社債発行会社が社債の償還若しくは利息の支払を怠り、若しくは社債発行会社について支払の停止があった後又はその前三箇月以内に前条第二項の規定により辞任した社債管理者について準用する。
会社法 第713条(社債管理者の解任) 詳細ページ
(社債管理者の解任)
第七百十三条裁判所は、社債管理者がその義務に違反したとき、その事務処理に不適任であるときその他正当な理由があるときは、社債発行会社又は社債権者集会の申立てにより、当該社債管理者を解任することができる。
会社法 第714条(社債管理者の事務の承継) 詳細ページ
(社債管理者の事務の承継)
第七百十四条社債管理者が次のいずれかに該当することとなった場合において、他に社債管理者がないときは、社債発行会社は、事務を承継する社債管理者を定め、社債権者のために、社債の管理を行うことを委託しなければならない。この場合においては、社債発行会社は、社債権者集会の同意を得るため、遅滞なく、これを招集し、かつ、その同意を得ることができなかったときは、その同意に代わる裁判所の許可の申立てをしなければならない。
一第七百三条各号に掲げる者でなくなったとき。
二第七百十一条第三項の規定により辞任したとき。
三前条の規定により解任されたとき。
四解散したとき。
2社債発行会社は、前項前段に規定する場合において、同項各号のいずれかに該当することとなった日後二箇月以内に、同項後段の規定による招集をせず、又は同項後段の申立てをしなかったときは、当該社債の総額について期限の利益を喪失する。
3第一項前段に規定する場合において、やむを得ない事由があるときは、利害関係人は、裁判所に対し、事務を承継する社債管理者の選任の申立てをすることができる。
4社債発行会社は、第一項前段の規定により事務を承継する社債管理者を定めた場合(社債権者集会の同意を得た場合を除く。)又は前項の規定による事務を承継する社債管理者の選任があった場合には、遅滞なく、その旨を公告し、かつ、知れている社債権者には、各別にこれを通知しなければならない。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。