会社法 / テーマ別まとめ

社債の発行

社債を出すときに決めること。社債原簿と社債券の扱い。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

このページは、会社が社債を発行するときに募集のたびに決めなければならない事項と、申込み・割当て・払込みという一連の手続の流れをまとめたものです。あわせて、社債発行後に作成する社債原簣と社債券の取り扱い、社債原簣の備置き・閲覧のルールも扱います。

社債発行の流れ(株式発行との対比)
段階社債(募集社債)株式(募集株式)
決定事項総額・利率・償還等を決定発行数・払込金額等を決定
申込み商号等を通知し申込書提出同様に通知し申込書提出
割当て会社が割当先と口数を決定会社が割当先と株数を決定
総額引受契約契約なら申込み・割当て不要総数引受契約も可能
権利発生の時期割当てで社債権者に払込みで株主に
  • 募集社債を引き受けようとする者が総額の引受けを行う契約を締結する場合は、申込み(677条)・割当て(678条)の規定は適用されない
  • 社債券を発行する旨の定めがある場合、社債原簿記載事項の書面交付・電磁的記録提供の請求(682条)はできない
  • 無記名社債の社債権者は、社債原簿への氏名等の記載や682条の書面交付請求の対象から除かれる
  • 社債原簿の閲覧・謄写請求は、権利の確保・行使の調査以外の目的など一定の場合に会社が拒める
  • 親会社社員が社債原簿を閲覧・謄写するには裁判所の許可が必要
  • 株式(募集株式)の欄は一般的な手続構造の参考であり、本ページの典拠は社債に関する条文のみ
1

募集事項を決める

何を決議するか

第676条募集社債に関する事項の決定募集のたびに社債の条件をまとめて決める1項・14号判例なし
  • 総額・各社債の金額・利率・償還方法と期限・利息の支払方法と期限を決定
  • 社債券を発行するか、社債管理者や社債管理補助者を置くかも決定
  • 払込金額(または最低金額)と払込期日、全額割当てできない場合の不発行条件も決められる
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第677条募集社債の申込み申込希望者に条件を通知し、書面で申込みを受ける7項・6号判例なし
  • 会社は商号と676条〈募集社債に関する事項の決定〉各号の事項を申込希望者に通知する
  • 申込者は氏名・名称・住所、引き受けたい金額と数などを書面で会社に交付
  • 676条〈募集社債に関する事項の決定〉の事項に変更があれば直ちに申込者へ通知する
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2

申込みと割当て

打切発行と社債の成立

第678条募集社債の割当て会社が申込者の中から割当先と数量を決める2項判例なし
  • 会社が割当先と、割り当てる社債の金額・金額ごとの数を決定
  • 申込みより少ない数に減らして割り当てることもできる
  • 払込期日の前日までに割り当てる金額・数を申込者に通知
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第679条募集社債の申込み及び割当てに関する特則総額を一括で引き受ける契約なら申込み・割当ては不要1項判例なし
  • 募集社債の総額を引き受ける契約を結ぶ場合は677条〈募集社債の申込み〉・678条〈募集社債の割当て〉を適用しない
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第680条募集社債の社債権者割当てや契約によって社債権者になる1項・2号判例なし
  • 割り当てられた申込者は、その割り当てられた社債の社債権者になる
  • 総額を引き受ける契約をした者は、引き受けた社債の社債権者になる
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3

社債原簿

記載事項と備置き

第681条社債原簿発行後遅滞なく社債原簿を作成する1項・7号判例なし
  • 種類、種類ごとの総額と各社債の金額を記載・記録
  • 各社債の払込金額と払込日、社債権者の氏名・住所・取得日を記載
  • 社債券を発行したときは番号・発行日・記名式か無記名式かも記載
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第682条社債原簿記載事項を記載した書面の交付等社債権者は原簿記載事項を書面で交付請求できる4項判例なし
  • 無記名社債の社債権者はこの請求ができない
  • 書面には社債発行会社の代表者の署名または記名押印が必要
  • 社債券を発行する旨の定めがある場合はこの請求権自体が適用されない
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第684条社債原簿の備置き及び閲覧等社債原簿は本店に備え置き、閲覧・謄写を請求できる5項・5号判例なし
  • 社債発行会社は社債原簿を本店(社債原簿管理人があればその営業所)に備置き
  • 社債権者等は営業時間内いつでも理由を明らかにして閲覧・謄写を請求できる
  • 調査以外の目的など一定の事由があれば会社は請求を拒める。親会社社員は裁判所の許可があれば請求可
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原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

会社法 第676条(募集社債に関する事項の決定) 詳細ページ
(募集社債に関する事項の決定)
第六百七十六条会社は、その発行する社債を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集社債(当該募集に応じて当該社債の引受けの申込みをした者に対して割り当てる社債をいう。以下この編において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。
一募集社債の総額
二各募集社債の金額
三募集社債の利率
四募集社債の償還の方法及び期限
五利息支払の方法及び期限
六社債券を発行するときは、その旨
七社債権者が第六百九十八条の規定による請求の全部又は一部をすることができないこととするときは、その旨
七の二社債管理者を定めないこととするときは、その旨
八社債管理者が社債権者集会の決議によらずに第七百六条第一項第二号に掲げる行為をすることができることとするときは、その旨
八の二社債管理補助者を定めることとするときは、その旨
九各募集社債の払込金額(各募集社債と引換えに払い込む金銭の額をいう。以下この章において同じ。)若しくはその最低金額又はこれらの算定方法
十募集社債と引換えにする金銭の払込みの期日
十一一定の日までに募集社債の総額について割当てを受ける者を定めていない場合において、募集社債の全部を発行しないこととするときは、その旨及びその一定の日
十二前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
会社法 第677条(募集社債の申込み) 詳細ページ
(募集社債の申込み)
第六百七十七条会社は、前条の募集に応じて募集社債の引受けの申込みをしようとする者に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
一会社の商号
二当該募集に係る前条各号に掲げる事項
三前二号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
2前条の募集に応じて募集社債の引受けの申込みをする者は、次に掲げる事項を記載した書面を会社に交付しなければならない。
一申込みをする者の氏名又は名称及び住所
二引き受けようとする募集社債の金額及び金額ごとの数
三会社が前条第九号の最低金額を定めたときは、希望する払込金額
3前項の申込みをする者は、同項の書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、会社の承諾を得て、同項の書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該申込みをした者は、同項の書面を交付したものとみなす。
4第一項の規定は、会社が同項各号に掲げる事項を記載した金融商品取引法第二条第十項に規定する目論見書を第一項の申込みをしようとする者に対して交付している場合その他募集社債の引受けの申込みをしようとする者の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には、適用しない。
5会社は、第一項各号に掲げる事項について変更があったときは、直ちに、その旨及び当該変更があった事項を第二項の申込みをした者(以下この章において「申込者」という。)に通知しなければならない。
6会社が申込者に対してする通知又は催告は、第二項第一号の住所(当該申込者が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を当該会社に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
7前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
会社法 第678条(募集社債の割当て) 詳細ページ
(募集社債の割当て)
第六百七十八条会社は、申込者の中から募集社債の割当てを受ける者を定め、かつ、その者に割り当てる募集社債の金額及び金額ごとの数を定めなければならない。この場合において、会社は、当該申込者に割り当てる募集社債の金額ごとの数を、前条第二項第二号の数よりも減少することができる。
2会社は、第六百七十六条第十号の期日の前日までに、申込者に対し、当該申込者に割り当てる募集社債の金額及び金額ごとの数を通知しなければならない。
会社法 第679条(募集社債の申込み及び割当てに関する特則) 詳細ページ
(募集社債の申込み及び割当てに関する特則)
第六百七十九条前二条の規定は、募集社債を引き受けようとする者がその総額の引受けを行う契約を締結する場合には、適用しない。
会社法 第680条(募集社債の社債権者) 詳細ページ
(募集社債の社債権者)
第六百八十条次の各号に掲げる者は、当該各号に定める募集社債の社債権者となる。
一申込者会社の割り当てた募集社債
二前条の契約により募集社債の総額を引き受けた者その者が引き受けた募集社債
会社法 第681条(社債原簿) 詳細ページ
(社債原簿)
第六百八十一条会社は、社債を発行した日以後遅滞なく、社債原簿を作成し、これに次に掲げる事項(以下この章において「社債原簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。
一第六百七十六条第三号から第八号の二までに掲げる事項その他の社債の内容を特定するものとして法務省令で定める事項(以下この編において「種類」という。)
二種類ごとの社債の総額及び各社債の金額
三各社債と引換えに払い込まれた金銭の額及び払込みの日
四社債権者(無記名社債(無記名式の社債券が発行されている社債をいう。以下この編において同じ。)の社債権者を除く。)の氏名又は名称及び住所
五前号の社債権者が各社債を取得した日
六社債券を発行したときは、社債券の番号、発行の日、社債券が記名式か、又は無記名式かの別及び無記名式の社債券の数
七前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
会社法 第682条(社債原簿記載事項を記載した書面の交付等) 詳細ページ
(社債原簿記載事項を記載した書面の交付等)
第六百八十二条社債権者(無記名社債の社債権者を除く。)は、社債を発行した会社(以下この編において「社債発行会社」という。)に対し、当該社債権者についての社債原簿に記載され、若しくは記録された社債原簿記載事項を記載した書面の交付又は当該社債原簿記載事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。
2前項の書面には、社債発行会社の代表者が署名し、又は記名押印しなければならない。
3第一項の電磁的記録には、社債発行会社の代表者が法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
4前三項の規定は、当該社債について社債券を発行する旨の定めがある場合には、適用しない。
会社法 第684条(社債原簿の備置き及び閲覧等) 詳細ページ
(社債原簿の備置き及び閲覧等)
第六百八十四条社債発行会社は、社債原簿をその本店(社債原簿管理人がある場合にあっては、その営業所)に備え置かなければならない。
2社債権者その他の法務省令で定める者は、社債発行会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
一社債原簿が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二社債原簿が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
3社債発行会社は、前項の請求があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、これを拒むことができない。
一当該請求を行う者がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
二当該請求を行う者が社債原簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。
三当該請求を行う者が、過去二年以内において、社債原簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
4社債発行会社が株式会社である場合には、当該社債発行会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該社債発行会社の社債原簿について第二項各号に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
5前項の親会社社員について第三項各号のいずれかに規定する事由があるときは、裁判所は、前項の許可をすることができない。
出

一次情報

原文ママ

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