民法 / テーマ別まとめ

総則/契約の成立

契約の成立の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

総則の「契約の成立」は、契約が申込みと承諾によっていつ・どのように成立するかを定める規律です。申込みの撤回可否や失効のタイミング、遅れた承諾や条件付き承諾の扱い、懸賞広告における報酬請求権のルールが含まれます。実務担当者は、申込みを出す・受ける際に撤回や失効の条件をこの規律で確認します。

契約の成立
場面撤回の可否効力・成否への影響
承諾期間ありの申込み原則不可(留保時のみ可)期間内に承諾なければ失効
承諾期間なし・隔地者への申込み相当期間経過まで不可(留保時可)規定なし
対話者に対する申込み(期間なし)対話継続中はいつでも撤回可対話終了で失効(存続表示時は除く)
懸賞広告(期間の定めあり)原則不可(留保時のみ可)期間内に完了者なしで失効
懸賞広告(期間の定めなし)完了者が出るまで撤回可撤回しない旨の表示時は撤回不可
遅延した承諾—新たな申込みとみなせる
条件を付けた承諾—拒絶+新たな申込みとみなす
  • 「留保時」とは、申込者や懸賞広告者があらかじめ撤回する権利を残していた場合を指す。
  • 契約の成立には書面など特別な方式は不要(法令に別段の定めがある場合を除く)。
  • 承諾期間なし・隔地者への申込みには、条文上「失効する」旨の規定はない。
  • 対話者への申込みは、対話終了後も効力を保つ旨を表示すれば失効しない。
  • 懸賞広告の報酬は、同時に複数人が行為をした場合は等分、分割になじまない場合や広告で一人のみと定めた場合は抽選で決める。
  • 優等懸賞広告の判定は、広告で定めた者が行い、定めがなければ懸賞広告者が行う。
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契約の成立

契約の成立について、条文は何を定めているか。

第521条契約の締結及び内容の自由契約するか・内容も自由に決められる2項判例 3件
  • 契約を結ぶかどうかは自分で自由に決められる(法令に定めがある場合を除く)
  • 契約の内容も、法令の範囲内なら自由に決めてよい
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第522条契約の成立と方式申込みへの承諾で契約は成立する2項判例なし
  • 契約は、内容を示した申込みに相手が承諾した時点で成立する
  • 契約の成立に書面などの方式は原則不要(法令に定めがある場合を除く)
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第523条承諾の期間の定めのある申込み期間を定めた申込みは原則撤回できない2項判例なし
  • 承諾期間を定めた申込みは、その期間中は撤回できないのが原則
  • 撤回する権利を留保していれば撤回できる
  • 期間内に承諾の通知が届かなければ、申込みは効力を失う
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第524条遅延した承諾の効力遅れた承諾は新たな申込みとみなせる1項判例 1件
  • 承諾が期限に遅れて届いても、申込者はそれを新しい申込みとして扱える
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第525条承諾の期間の定めのない申込み期間の定めがない申込みの撤回ルール3項判例なし
  • 隔地者への申込みは、相当な期間が過ぎるまで撤回できない(留保時は可)
  • 対話中の相手への申込みは、対話が続く間はいつでも撤回できる
  • 対話継続中に承諾がなければ原則失効するが、終了後も有効である旨を示せば失効しない
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第526条申込者の死亡等申込み後の死亡等で申込みが失効する場合1項判例 1件
  • 申込み発信後に申込者が死亡・意思能力喪失・行為能力の制限を受けた場合が対象
  • 申込者があらかじめ失効する旨を示していたときは申込みは失効する
  • 相手方が承諾通知を発するまでにその事実を知ったときも失効する
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第527条承諾の通知を必要としない場合における契約の成立時期承諾の通知が不要なら事実で契約成立1項判例なし
  • 申込者の意思表示や取引上の慣習で承諾の通知が不要な場合がある
  • その場合は、承諾の意思表示と認められる事実があった時に契約が成立する
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第528条申込みに変更を加えた承諾条件を付けた承諾は新たな申込みになる1項判例なし
  • 申込みに条件を付けたり内容を変えて承諾すると、元の申込みへの拒絶とみなされる
  • 同時に、変更後の内容で新たな申込みをしたものとみなされる
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第529条懸賞広告懸賞広告は行為をした人に報酬を与える1項判例なし
  • 広告どおりの行為をした人には、広告を知らなかった人にも報酬を与える義務がある
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第529_2条指定した行為をする期間の定めのある懸賞広告期間を定めた懸賞広告は撤回できない2項判例なし
  • 行為をする期間を定めた懸賞広告は、原則撤回できない
  • 撤回する権利を留保していれば撤回できる
  • 期間内に指定行為を完了する人がいなければ広告は効力を失う
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第529_3条指定した行為をする期間の定めのない懸賞広告期間の定めがない懸賞広告は撤回できる1項判例なし
  • 期間を定めない懸賞広告は、指定行為を完了する人が出るまでは撤回できる
  • 広告中に撤回しない旨を示していれば撤回できない
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第530条懸賞広告の撤回の方法懸賞広告の撤回は同じ方法なら誰にも有効2項判例なし
  • 前の広告と同じ方法で撤回すれば、それを知らない人にも撤回の効力が及ぶ
  • 違う方法で撤回することもできるが、その場合は撤回を知った人にしか効力がない
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第531条懸賞広告の報酬を受ける権利最初に行為をした人だけが報酬を受ける3項判例なし
  • 広告どおりの行為をした人が複数いても、最初の一人だけが報酬を受け取れる
  • 同時に複数人が行為をした場合は、原則各自が等しい割合で報酬を受ける
  • 分割になじまない報酬や広告で一人のみと定めた場合は抽選で決める
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第532条優等懸賞広告優等懸賞広告は応募期間の定めが必要4項判例なし
  • 優等者のみに報酬を与える懸賞広告は、応募期間を定めた場合に限り有効
  • 優等かどうかは広告で定めた人が判定し、定めがなければ懸賞広告者が判定する
  • 応募者はその判定に異議を述べることができない
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第521条民法

一、国際的裁判の合意の方式
二、外国の裁判所を専属管轄裁判所与る国際的専属的裁判管轄の合意
三、船荷証券に基づく国際的専属的裁判管轄の合意が公序違反として無効とはいえないとされた事例

裁判要旨一、国際的裁判管轄の合意は、両当事者の署名のある書面によつてされることを要せず、特定国の裁判所を管轄裁判所として明示的に指定する当事者の一方が作成した書面に基づいて締結されれば足りる。
二、ある訴訟事件についてわが国の裁判権を排除し特定の外国の裁判所を第一審の専属的管轄裁判所と指定する国際的専属的裁判管轄の合意は、当該事件がわが国の裁判権に専属的に服するものではなく、かつ指定された外国の裁判所がその外国法上当該事件につき管轄権を有する場合には、原則として有効であり、その外国法上右合意が有効とされること又は当該外国裁判所の判決につき相互の保証のあることを要しない。
三、国際海上物品運送契約に基づく荷主の運送人に対する損害賠償請求訴訟につき、国際的海運業者である被告の本店のあるオランダ国の裁判所を第一審の専属的管轄裁判所と指定する国際的専属的裁判管轄の合意は、たとえそれが被告の発行した船荷証券上の管轄約款に基づくものであり、また、右合意に従うとき荷主の負うこととなる費用及び手数が増大するとしても、それだけでは公序違反として無効とはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和50年11月28日 昭和45(オ)297
登載
民集 第29巻10号1554頁
参照法条
民法1条,民法90条,民法521条,民訴法25条,民訴法200条4号,民訴法515条,1924年8月25日にブラツセルで署名された船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約3条8項,国際海上物運送法15条1項
論点2第521条民法

仲裁契約が黙示的に成立したと認められた事例

裁判要旨紛争につき仲裁手続を申し立てられた者が、仲裁手続の意味を理解したうえ、期日に出頭し、仲裁人の面前で、仲裁契約の不存在を主張することなく本案の陳述をしたときは、仲裁手続の申立人と被申立人との間に、右紛争についての仲裁契約が黙示的に成立したものと認めるべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年10月12日 昭和47(オ)372
登載
民集 第26巻8号448頁
参照法条
民訴法786条,民訴法797条,民法521条
論点3第521条民法

国が当事者となり、売買等の契約を競争入札の方法によつて締結する場合における契約の成立時期。

裁判要旨国が当事者となり売買等の契約を競争入札の方法によつて締結する場合に、落札者があつたときは、国および落札者は、互に相手方に対し契約を結ぶ義務を負うにいたるが、この段階では予約が成立するにとどまり、本契約は、契約書の作成によりはじめて成立すると解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和35年5月24日 昭和28(オ)515
登載
民集 第14巻7号1154頁
参照法条
民法555条,民法521条,民法526条,会計法29条,予算決算及び会計令68条,予算決算及び会計令83条
論点4第524条民法

民法第五四二条〈催告によらない解除〉にいう定期行為にあたらないとされた事例。

裁判要旨米国に移住のため在日財産処分の必要に迫られた者が渡米の日とにらみ合せて売買代金支払および登記手続履行の日時を定めて建物の売買契約をした場合でも、右期日までに代金支払がなされなければ相当の不便を感じることが推測されるだけで売買の目的を達しえない事情までは認められない以上、これを定期行為とみることはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和38年3月28日 昭和37(オ)1110
登載
集民 第65号307頁
参照法条
民法524条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民法 第521条(契約の締結及び内容の自由) 詳細ページ
(契約の締結及び内容の自由)
第五百二十一条何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる。
2契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。
民法 第522条(契約の成立と方式) 詳細ページ
(契約の成立と方式)
第五百二十二条契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
2契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。
民法 第523条(承諾の期間の定めのある申込み) 詳細ページ
(承諾の期間の定めのある申込み)
第五百二十三条承諾の期間を定めてした申込みは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。
2申込者が前項の申込みに対して同項の期間内に承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。
民法 第524条(遅延した承諾の効力) 詳細ページ
(遅延した承諾の効力)
第五百二十四条申込者は、遅延した承諾を新たな申込みとみなすことができる。
民法 第525条(承諾の期間の定めのない申込み) 詳細ページ
(承諾の期間の定めのない申込み)
第五百二十五条承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。
2対話者に対してした前項の申込みは、同項の規定にかかわらず、その対話が継続している間は、いつでも撤回することができる。
3対話者に対してした第一項の申込みに対して対話が継続している間に申込者が承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。ただし、申込者が対話の終了後もその申込みが効力を失わない旨を表示したときは、この限りでない。
民法 第526条(申込者の死亡等) 詳細ページ
(申込者の死亡等)
第五百二十六条申込者が申込みの通知を発した後に死亡し、意思能力を有しない常況にある者となり、又は行為能力の制限を受けた場合において、申込者がその事実が生じたとすればその申込みは効力を有しない旨の意思を表示していたとき、又はその相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったときは、その申込みは、その効力を有しない。
民法 第527条(承諾の通知を必要としない場合における契約の成立時期) 詳細ページ
(承諾の通知を必要としない場合における契約の成立時期)
第五百二十七条申込者の意思表示又は取引上の慣習により承諾の通知を必要としない場合には、契約は、承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に成立する。
民法 第528条(申込みに変更を加えた承諾) 詳細ページ
(申込みに変更を加えた承諾)
第五百二十八条承諾者が、申込みに条件を付し、その他変更を加えてこれを承諾したときは、その申込みの拒絶とともに新たな申込みをしたものとみなす。
民法 第529条(懸賞広告) 詳細ページ
(懸賞広告)
第五百二十九条ある行為をした者に一定の報酬を与える旨を広告した者(以下「懸賞広告者」という。)は、その行為をした者がその広告を知っていたかどうかにかかわらず、その者に対してその報酬を与える義務を負う。
民法 第529_2条(指定した行為をする期間の定めのある懸賞広告) 詳細ページ
(指定した行為をする期間の定めのある懸賞広告)
第五百二十九条の二懸賞広告者は、その指定した行為をする期間を定めてした広告を撤回することができない。ただし、その広告において撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。
2前項の広告は、その期間内に指定した行為を完了する者がないときは、その効力を失う。
民法 第529_3条(指定した行為をする期間の定めのない懸賞広告) 詳細ページ
(指定した行為をする期間の定めのない懸賞広告)
第五百二十九条の三懸賞広告者は、その指定した行為を完了する者がない間は、その指定した行為をする期間を定めないでした広告を撤回することができる。ただし、その広告中に撤回をしない旨を表示したときは、この限りでない。
民法 第530条(懸賞広告の撤回の方法) 詳細ページ
(懸賞広告の撤回の方法)
第五百三十条前の広告と同一の方法による広告の撤回は、これを知らない者に対しても、その効力を有する。
2広告の撤回は、前の広告と異なる方法によっても、することができる。ただし、その撤回は、これを知った者に対してのみ、その効力を有する。
民法 第531条(懸賞広告の報酬を受ける権利) 詳細ページ
(懸賞広告の報酬を受ける権利)
第五百三十一条広告に定めた行為をした者が数人あるときは、最初にその行為をした者のみが報酬を受ける権利を有する。
2数人が同時に前項の行為をした場合には、各自が等しい割合で報酬を受ける権利を有する。ただし、報酬がその性質上分割に適しないとき、又は広告において一人のみがこれを受けるものとしたときは、抽選でこれを受ける者を定める。
3前二項の規定は、広告中にこれと異なる意思を表示したときは、適用しない。
民法 第532条(優等懸賞広告) 詳細ページ
(優等懸賞広告)
第五百三十二条広告に定めた行為をした者が数人ある場合において、その優等者のみに報酬を与えるべきときは、その広告は、応募の期間を定めたときに限り、その効力を有する。
2前項の場合において、応募者中いずれの者の行為が優等であるかは、広告中に定めた者が判定し、広告中に判定をする者を定めなかったときは懸賞広告者が判定する。
3応募者は、前項の判定に対して異議を述べることができない。
4前条第二項の規定は、数人の行為が同等と判定された場合について準用する。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。