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相続/財産分離

財産分離の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

相続財産を相続人自身の財産と切り離し、相続債権者・受遺者や相続人の債権者がそこから優先的に弁済を受けられるようにする制度です。相続債権者・受遺者からの請求(941条)と相続人の債権者からの請求(950条)の2種類があり、請求できる期間や弁済の優先順位、相続財産の管理・公示方法が定められています。

財産分離
請求類型請求権者請求期間効果
相続債権者・受遺者の請求相続債権者、受遺者相続開始から3か月以内相続人の債権者に先立ち弁済
相続人の債権者の請求相続人の債権者限定承認可能な間または混合前相続債権者等の規定を準用
  • 相続財産が相続人の固有財産と混合しない間は、3か月経過後も請求できる(941条1項後段)
  • 財産分離の命令後は5日以内に官報で公告し、配当加入の期間は2か月以上必要(941条2項・3項)
  • 財産分離は不動産については登記がなければ第三者に対抗できない(945条)
  • 相続人は941条の期間満了前は相続債権者・受遺者への弁済を拒める(947条1項)
  • 相続人は固有財産での弁済や担保提供で請求を防止・消滅させられるが、相続人の債権者が損害を証明して異議を述べた場合は不可(949条)
  • 相続人の債権者による財産分離では、927条の公告・催告は請求した債権者自身が行う(950条2項ただし書)
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財産分離

財産分離について、条文は何を定めているか。

第941条相続債権者又は受遺者の請求による財産分離相続財産と相続人の財産を分ける請求ができる3項判例 1件
  • 相続債権者・受遺者は相続開始から3か月以内に家裁へ請求できる
  • 相続財産が固有財産と混合していなければ期間経過後も請求可能
  • 命令後は5日以内に他の債権者等へ公告し、期間は2か月以上必要
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第942条財産分離の効力請求者は相続人の債権者より先に弁済を受ける1項判例なし
  • 財産分離を請求した者と配当加入を申し出た者が対象
  • 相続財産から相続人の債権者に先立って弁済を受けられる
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第943条財産分離の請求後の相続財産の管理家裁が相続財産管理に必要な処分を命じられる2項判例なし
  • 財産分離の請求があれば家裁は管理に必要な処分を命じられる
  • 選任された相続財産管理人には27条〈管理人の職務〉〜29条〈管理人の担保提供及び報酬〉の規定を準用
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第944条財産分離の請求後の相続人による管理相続人は固有財産並みの注意で管理する義務2項判例 1件
  • 単純承認後でも財産分離請求後は固有財産と同一の注意義務を負う
  • 家裁が管理人を選任した場合はこの義務を負わない
  • 委任に関する645条〈受任者による報告〉〜647条〈受任者の金銭の消費についての責任〉、650条1項〈受任者による費用等の償還請求等〉・2項を準用
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第945条不動産についての財産分離の対抗要件不動産の財産分離は登記なしで対抗できない1項判例なし
  • 不動産についての財産分離は登記をしないと第三者に対抗できない
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第946条物上代位の規定の準用先取特権の物上代位の規定を財産分離にも適用1項判例なし
  • 304条〈物上代位〉(物上代位)の規定を財産分離の場合に準用する
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第947条相続債権者及び受遺者に対する弁済期間満了前は弁済拒否、満了後は割合で弁済3項判例なし
  • 941条〈相続債権者又は受遺者の請求による財産分離〉の期間満了前は相続人は弁済を拒める
  • 満了後は請求・加入した各債権者へ債権額の割合で弁済する
  • ただし優先権を持つ債権者の権利は害せない
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第948条相続人の固有財産からの弁済相続財産で足りなければ相続人の固有財産へ1項判例なし
  • 相続財産で全部の弁済を受けられなかった場合に限り請求できる
  • 相続人の固有財産についても権利行使できる
  • その場合も相続人の債権者が先に弁済を受けられる
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第949条財産分離の請求の防止等相続人は弁済・担保提供で分離請求を防げる1項判例 1件
  • 固有財産での弁済や相当の担保提供で請求を防止・消滅できる
  • 相続人の債権者が損害を証明して異議を述べたときは不可
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第950条相続人の債権者の請求による財産分離相続人の債権者も財産分離を請求できる2項判例なし
  • 限定承認できる間、または財産が混合しない間に家裁へ請求できる
  • 304条〈物上代位〉・925条〈限定承認をしたときの権利義務〉・927条〈相続債権者及び受遺者に対する公告及び催告〉〜934条〈不当な弁済をした限定承認者の責任等〉・943条〈財産分離の請求後の相続財産の管理〉〜945条〈不動産についての財産分離の対抗要件〉・948条〈相続人の固有財産からの弁済〉を準用
  • 927条〈相続債権者及び受遺者に対する公告及び催告〉の公告・催告は請求した債権者自身が行う
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第941条民法

家庭裁判所が民法941条1項の規定に基づき財産分離を命ずることができる場合

裁判要旨家庭裁判所は,相続人がその固有財産について債務超過の状態にあり又はそのような状態に陥るおそれがあることなどから,相続財産と相続人の固有財産とが混合することによって相続債権者又は受遺者がその債権の全部又は一部の弁済を受けることが困難となるおそれがあると認められる場合に,民法941条1項〈相続債権者又は受遺者の請求による財産分離〉の規定に基づき,財産分離を命ずることができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成29年11月28日 平成29(許)14
登載
集民 第257号23頁
参照法条
民法941条1項,家事事件手続法39条,家事事件手続法別表第1の96の項
論点2第944条民法

裁判所が親族会招集の日時を誤つて告知した場合において親族会員の一人が別に日時を定めて招集した親族会の決議の効力

裁判要旨裁判所が親族会召集の日時を誤つて告知した場合において、親族会員の一人が勝手に他の日時を定めて招集した親族会の決議は、親族会員全員に異議のない場合を除き無効である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和24年8月9日 昭和23(オ)2
登載
民集 第3巻9号317頁
参照法条
旧民法944条,旧民法949条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民法 第941条(相続債権者又は受遺者の請求による財産分離) 詳細ページ
(相続債権者又は受遺者の請求による財産分離)
第九百四十一条相続債権者又は受遺者は、相続開始の時から三箇月以内に、相続人の財産の中から相続財産を分離することを家庭裁判所に請求することができる。相続財産が相続人の固有財産と混合しない間は、その期間の満了後も、同様とする。
2家庭裁判所が前項の請求によって財産分離を命じたときは、その請求をした者は、五日以内に、他の相続債権者及び受遺者に対し、財産分離の命令があったこと及び一定の期間内に配当加入の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、二箇月を下ることができない。
3前項の規定による公告は、官報に掲載してする。
民法 第942条(財産分離の効力) 詳細ページ
(財産分離の効力)
第九百四十二条財産分離の請求をした者及び前条第二項の規定により配当加入の申出をした者は、相続財産について、相続人の債権者に先立って弁済を受ける。
民法 第943条(財産分離の請求後の相続財産の管理) 詳細ページ
(財産分離の請求後の相続財産の管理)
第九百四十三条財産分離の請求があったときは、家庭裁判所は、相続財産の管理について必要な処分を命ずることができる。
2第二十七条から第二十九条までの規定は、前項の規定により家庭裁判所が相続財産の管理人を選任した場合について準用する。
民法 第944条(財産分離の請求後の相続人による管理) 詳細ページ
(財産分離の請求後の相続人による管理)
第九百四十四条相続人は、単純承認をした後でも、財産分離の請求があったときは、以後、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産の管理をしなければならない。ただし、家庭裁判所が相続財産の管理人を選任したときは、この限りでない。
2第六百四十五条から第六百四十七条まで並びに第六百五十条第一項及び第二項の規定は、前項の場合について準用する。
民法 第945条(不動産についての財産分離の対抗要件) 詳細ページ
(不動産についての財産分離の対抗要件)
第九百四十五条財産分離は、不動産については、その登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
民法 第946条(物上代位の規定の準用) 詳細ページ
(物上代位の規定の準用)
第九百四十六条第三百四条の規定は、財産分離の場合について準用する。
民法 第947条(相続債権者及び受遺者に対する弁済) 詳細ページ
(相続債権者及び受遺者に対する弁済)
第九百四十七条相続人は、第九百四十一条第一項及び第二項の期間の満了前には、相続債権者及び受遺者に対して弁済を拒むことができる。
2財産分離の請求があったときは、相続人は、第九百四十一条第二項の期間の満了後に、相続財産をもって、財産分離の請求又は配当加入の申出をした相続債権者及び受遺者に、それぞれその債権額の割合に応じて弁済をしなければならない。ただし、優先権を有する債権者の権利を害することはできない。
3第九百三十条から第九百三十四条までの規定は、前項の場合について準用する。
民法 第948条(相続人の固有財産からの弁済) 詳細ページ
(相続人の固有財産からの弁済)
第九百四十八条財産分離の請求をした者及び配当加入の申出をした者は、相続財産をもって全部の弁済を受けることができなかった場合に限り、相続人の固有財産についてその権利を行使することができる。この場合においては、相続人の債権者は、その者に先立って弁済を受けることができる。
民法 第949条(財産分離の請求の防止等) 詳細ページ
(財産分離の請求の防止等)
第九百四十九条相続人は、その固有財産をもって相続債権者若しくは受遺者に弁済をし、又はこれに相当の担保を供して、財産分離の請求を防止し、又はその効力を消滅させることができる。ただし、相続人の債権者が、これによって損害を受けるべきことを証明して、異議を述べたときは、この限りでない。
民法 第950条(相続人の債権者の請求による財産分離) 詳細ページ
(相続人の債権者の請求による財産分離)
第九百五十条相続人が限定承認をすることができる間又は相続財産が相続人の固有財産と混合しない間は、相続人の債権者は、家庭裁判所に対して財産分離の請求をすることができる。
2第三百四条、第九百二十五条、第九百二十七条から第九百三十四条まで、第九百四十三条から第九百四十五条まで及び第九百四十八条の規定は、前項の場合について準用する。ただし、第九百二十七条の公告及び催告は、財産分離の請求をした債権者がしなければならない。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。