論点1第280条民法
共有に属する要役地のために地役権設定登記手続を求める訴えと固有必要的共同訴訟
裁判要旨共有に属する要役地のために地役権設定登記手続を求める訴えは、固有必要的共同訴訟に当たらない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成7年7月18日 平成3(オ)1684
- 登載
- 民集 第49巻7号2664頁
- 参照法条
- 民訴法62条,民法252条,民法280条
論点2第280条民法
通行地役権者が承役地の担保不動産競売による買受人に対し地役権設定登記がなくとも通行地役権を主張することができる場合
裁判要旨通行地役権の承役地が担保不動産競売により売却された場合において,最先順位の抵当権の設定時に,既に設定されている通行地役権に係る承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置,形状,構造等の物理的状況から客観的に明らかであり,かつ,上記抵当権の抵当権者がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは,通行地役権者は,特段の事情がない限り,登記がなくとも,買受人に対し,当該通行地役権を主張することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成25年2月26日 平成23(受)1644
- 登載
- 民集 第67巻2号297頁
- 参照法条
- 民事執行法59条2項,民事執行法188条,民法177条,民法280条
論点3第280条民法
通行地役権者が承役地の一部に車両を恒常的に駐車させている者に対しその禁止を求めることができるとされた事例
裁判要旨宅地分譲に際し分譲業者が公道から各分譲地に至る通路として開設した土地の幅員全部につき,分譲業者と宅地の分譲を受けた者との間の合意に基づいて自動車による通行を目的とする通行地役権が設定されたこと,同土地の現況が舗装されたいわゆる位置指定道路であり,通路以外の利用が考えられないことなど判示の事情の下においては,上記地役権の内容は,通行の目的の限度において,同土地全体を自由に使用できるというものであって,地役権者は,同土地に車両を恒常的に駐車させている者に対し,残余の幅員が3m余りあるとしても,そのような行為により車両の通行を妨害することの禁止を求めることができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成17年3月29日 平成15(受)1590
- 登載
- 集民 第216号421頁
- 参照法条
- 民法280条
論点4第280条民法
設定登記のされていない通行地役権について承役地の譲受人が登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者に当たらないと解すべき場合
裁判要旨通行地役権の承役地が譲渡された場合において、譲渡の時に、右承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、かつ、譲受人がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは、譲受人は、通行地役権が設定されていることを知らなかったとしても、特段の事情がない限り、地役権設定登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成10年2月13日 平成9(オ)966
- 登載
- 民集 第52巻1号65頁
- 参照法条
- 民法177条,民法280条
論点5第280条民法
通行地役権の承役地の譲受人が地役権設定登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらない場合に地役権者が譲受人に対して地役権設定登記手続を請求することの可否
裁判要旨通行地役権の承役地の譲受人が地役権設定登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらない場合には、地役権者は、譲受人に対し、同権利に基づいて地役権設定登記手続を請求することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成10年12月18日 平成8(オ)2343
- 登載
- 民集 第52巻9号1975頁
- 参照法条
- 民法177条,民法280条
論点6第283条民法
通行地役権時効取得における「継続」の要件
裁判要旨民法
第二八三条〈地役権の時効取得〉にいう「継続」の要件をみたすには、承役地たるべき土地の上に通路の開設があつただけでは足りず、その開設が要役地所有者によつてなされたことを要する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和33年2月14日 昭和31(オ)311
- 登載
- 民集 第12巻2号268頁
- 参照法条
- 民法283条
論点7第283条民法
通行地役権の時効取得の「継続」の要件
裁判要旨通行地役権の時効取得に関する「継続」の要件としては、承役地たるべき他人所有の土地の上に通路の開設を要し、その開設は要役地所有者によつてなされることを要するものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和30年12月26日 昭和28(オ)1178
- 登載
- 民集 第9巻14号2097頁
- 参照法条
- 民法283条
論点8第283条民法
要役地の所有者によって通路が開設されたとして通行地役権の時効取得が認められた事例
裁判要旨公道に接する土地を所有する甲が、乙に対して右公道の拡幅のためにその所有地の一部を提供するよう働きかける一方、自らも所有地の一部を提供する等の負担をし、甲のこれらの行為の結果として、右公道全体が拡幅され、乙の右所有地も拡幅部分の一部として通行の用に供されるようになったなど判示の事実関係の下においては、乙の右所有地については、要役地の所有者である甲によって通路が開設されたものとして、通行地役権の時効取得が認められる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成6年12月16日 平成6(オ)414
- 登載
- 集民 第173号517頁
- 参照法条
- 民法283条
論点9第294条民法
共有の性質を有しない入会地上の天然の樹木の所有権が土地の所有者に属するとされた事例
裁判要旨付近住民の採草放牧や薪炭材採取等に利用されていた入会地が、入会住民全員の同意のもとに、入会権を存続させ入会住民の保育した天然の樹木を売却する際にはその保育に対する報償として売却代金の一部を入会住民に交付することを条件として村に贈与され、右条件の趣旨に沿つて村が制定した条例に従つて、入会住民が造林組合を結成して組合名義で村に対し入会地の天然の樹木の伐採申請をし、これを受けた村が右樹木を売却してその代金の一部を組合に交付してきたなど判示の事実関係のもとにおいては、右入会地上に生育する天然の樹木は、共有の性質を有しない右入会地の所有者である村の所有に属する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和63年1月18日 昭和59(オ)1447
- 登載
- 集民 第153号1頁
- 参照法条
- 民法86条,民法242条,民法294条
論点10第294条民法
入会権の確認を求める訴えが原告側について通常訴訟と認められる場合
裁判要旨入会団体に個別的に加入を認められたと主張する者が入会権者に対し入会権を有することの確認を請求する場合には、右主張者が各自単独で訴えを提起することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和58年2月8日 昭和55(オ)936
- 登載
- 集民 第138号79頁
- 参照法条
- 民訴法62条,民法263条,民法294条
論点11第294条民法
山林原野の管理利用について部落による共同体的統制が認められないとして右山林原野に対する住民の入会権が否定された事例
裁判要旨山林原野が代議制をとつた村議会等の多数決による議決に基づいて村有財産として管理処分され、あるいは村当局の監督下において村民に利用されて来たなど、右山林原野の管理利用について部落による共同体的統制の存在を認めるに由ない判示の事実関係のもとにおいては、これに対する共有の性質を有する入会権及び共有の性質を有しない入会権は、ともに認められない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和57年1月22日 昭和53(オ)861
- 登載
- 集民 第135号83頁
- 参照法条
- 民法263条,民法294条
論点12第294条民法
一、入会権確認訴訟における入会権者の死亡と訴訟承継人
二、明治初年の官民有区分処分による官有地編入と入会権の帰すう
裁判要旨一、入会権確認訴訟において、入会権者が死亡した場合には、入会慣行に従つて死亡者に代わり入会権を取得した者が、その訴訟手続を承継する。
二、従前入会権の対象となつていた土地が、明治初年の官民有区分処分によつて官有地に編入されたとしても、その入会権は、右処分によつて当然には消滅しなかつたものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和48年3月13日 昭和42(オ)531
- 登載
- 民集 第27巻2号271頁
- 参照法条
- 民法263条,民法294条,民訴法208条
論点13第294条民法
地役の性質を有する入会権が解体消滅したと認められた事例
裁判要旨明治二一年町村制の施行後、区の所有であつて当該区の部落民の入り会つていた入会地について、その後六五年間に、部落の統制が次第に当該区会の統制に移行し、区が従前の入会地の一部を処分し、全入会地を管理して使用収益方法を定め、部落民も異議なくこの方法に従つて当該土地の使用収益をするにいたり、また従前部落の入会権行使の統制機関であつた「春寄合」は区会に対する意見具申の機関になつた等慣行の変化があつた場合には、部落民が右土地につき有していた地役の性質を有する入会権は、漸次解体して消滅したと認めるのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和42年3月17日 昭和37(オ)1365
- 登載
- 民集 第21巻2号388頁
- 参照法条
- 民法294条
論点14第294条民法
入会権確認の訴は固有必要的共同訴訟か
裁判要旨入会権確認の訴は、入会権が共有の性質を有するかどうかを問わず、入会権者全員で提起することを要する固有必要的共同訴訟である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和41年11月25日 昭和34(オ)650
- 登載
- 民集 第20巻9号1921頁
- 参照法条
- 民法263条,民法294条,民訴法62条
論点15第294条民法
入会部落団体の構成員たる地位の取得原因。
裁判要旨いかなる者が、部落民として、入会権を有する部落団体の構成員となるかは、もつぱら、部落の慣習によつて定まる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和37年11月2日 昭和35(オ)1244
- 登載
- 集民 第63号23頁
- 参照法条
- 民法263条,民法294条
論点16第294条民法
1 入会部落の慣習に基づく入会集団の会則のうち入会権者の資格要件を一家の代表者としての世帯主に限定する部分が公序良俗に反しないとされた事例
2 入会部落の慣習に基づく入会集団の会則のうち入会権者の資格を原則として男子孫に限定し同入会部落の部落民以外の男性と婚姻した女子孫は離婚して旧姓に復しない限り入会権者の資格を認めないとする部分が民法90条の規定により無効とされた事例
裁判要旨1 A入会部落の慣習に基づく入会集団の会則のうち入会権者の資格要件を一家の代表者としての世帯主に限定する部分は,現在においても,公序良俗に反するものということはできない。
2 A入会部落の慣習に基づく入会集団の会則のうち,入会権者の資格を原則として男子孫に限定し,同入会部落の部落民以外の男性と婚姻した女子孫は離婚して旧姓に復しない限り入会権者の資格を認めないとする部分は,遅くとも平成4年以降においては,性別のみによる不合理な差別として民法90条の規定により無効である。
(2につき補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成18年3月17日 平成16(受)1968
- 登載
- 民集 第60巻3号773頁
- 参照法条
- (1,2につき)民法2条,民法90条,民法92条,民法263条,民法294条,憲法14条1項