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契約/寄託

寄託の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

寄託は、当事者の一方がある物の保管を相手方に委託し、相手方が承諾することで成立する契約です。受寄者の注意義務や使用・再委託の制限、返還の時期・場所、寄託者による損害賠償責任といった基本ルールに加え、複数人の物をまとめて保管する混合寄託、預金などの消費寄託といった特殊な形態も定めています。無報酬か有償か、書面の有無によって解除できる範囲や注意義務の程度が変わる点が実務上のポイントです。

寄託の種類
類型保管方法返還するもの根拠条文
通常の寄託そのまま保管預けた物そのもの657条
混合寄託複数人の物を混ぜて保管同じ数量の物665条の2
消費寄託受寄者が消費できる同じ種類・品質・数量の物666条
  • 混合寄託は各寄託者の承諾がある場合に限り認められる。
  • 混合寄託で一部が滅失した場合は保管割合に応じた数量の返還を請求でき、損害賠償請求も妨げられない。
  • 消費寄託には消費貸借の規定(第590条・第592条)を準用する。
  • 預金・貯金契約による金銭の消費寄託には第591条2項・3項も準用する。
  • 寄託には委任の規定(第646条から648条、649条、650条1項・2項)を準用する。
1

寄託

寄託について、条文は何を定めているか。

第657条寄託保管を頼み承諾すれば成立する契約1項判例 1件
  • 寄託は当事者の合意だけで成立する契約(書面は不要)
  • 一方が保管を委託し、相手方が承諾すれば効力が生じる
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第657_2条寄託物受取り前の寄託者による寄託の解除等物を受け取る前なら解除できる3項判例なし
  • 寄託者は受寄者が受け取るまで解除でき、受寄者に損害が出れば賠償請求される
  • 無報酬の受寄者も受取り前なら解除できる(書面による寄託を除く)
  • 受寄者は相当期間を定めて催告し引渡しがなければ解除できる
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第658条寄託物の使用及び第三者による保管承諾なければ使用も再委託もできない3項判例 1件
  • 受寄者は寄託者の承諾なく寄託物を使用できない
  • 第三者に保管させるには承諾かやむを得ない事由が必要
  • 再受寄者は権限の範囲内で受寄者と同じ権利義務を負う
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第659条無報酬の受寄者の注意義務無報酬なら自分の物と同じ注意でよい1項判例なし
  • 無報酬の受寄者は自己の財産と同一の注意で保管すればよい
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第660条受寄者の通知義務等第三者が権利主張したら寄託者に通知3項判例 1件
  • 第三者が訴え提起や差押え等をしたら遅滞なく寄託者に通知する(既に知っていれば不要)
  • 指図がない限り、受寄者は寄託者に寄託物を返還しなければならない
  • 確定判決で第三者に引渡した場合以外、寄託者への返還で生じた損害の責任は負わない
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第661条寄託者による損害賠償物の性質・欠陥による損害は寄託者が賠償1項判例なし
  • 寄託物の性質や瑕疵で生じた損害は寄託者が受寄者に賠償する
  • 寄託者が過失なく知らなかった場合や受寄者が知っていた場合は賠償不要
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第662条寄託者による返還請求等返還時期を決めても寄託者はいつでも請求可2項判例 1件
  • 返還の時期を定めていても、寄託者はいつでも返還を請求できる
  • 期限前の請求で受寄者に損害が出たら、寄託者に賠償請求できる
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第663条寄託物の返還の時期受寄者からの返還時期のルール2項判例なし
  • 返還時期の定めがなければ、受寄者はいつでも返還できる
  • 返還時期の定めがあれば、やむを得ない事由がない限り期限前に返還できない
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第664条寄託物の返還の場所返還は保管場所で行うのが原則1項判例なし
  • 寄託物の返還は保管すべき場所で行う
  • 正当な事由で保管場所を変更した場合は現在の場所で返還できる
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第664_2条損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限返還から1年以内に賠償・費用を請求2項判例なし
  • 一部滅失・損傷の損害賠償と受寄者の費用償還は、返還を受けた時から1年以内に請求
  • 損害賠償請求権は、返還を受けた時から1年経過するまで時効が完成しない
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第665条委任の規定の準用委任の一部規定を寄託に準用1項判例 1件
  • 第646条〈受任者による受取物の引渡し等〉から648条〈受任者の報酬〉、649条〈受任者による費用の前払請求〉、650条1項〈受任者による費用等の償還請求等〉・2項の委任規定を寄託に準用する
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第665_2条混合寄託同じ種類の物なら混ぜて保管できる3項判例なし
  • 種類・品質が同じ寄託物は、各寄託者の承諾があれば混合保管できる
  • 混合保管した場合、寄託者は預けたのと同じ数量の返還を請求できる
  • 一部滅失時は保管割合に応じた数量を返還、損害賠償請求も可能
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第666条消費寄託消費できる寄託は同種同等の物で返還3項判例 21件
  • 受寄者が寄託物を消費できる場合、同じ種類・品質・数量の物で返還する
  • 消費貸借の規定(590条〈貸主の引渡義務等〉・592条〈価額の償還〉)を準用する
  • 預金・貯金契約による金銭寄託には591条2項〈返還の時期〉・3項も準用する
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第657条民法

一 使途を定められて寄託された金銭と横領罪
二 旧刑訴法第四〇四条〈法定利率〉と憲法第三七条第一項

裁判要旨一 使途を定められて寄託された金銭については特別の事情のないかぎり受託者は刑法第二五二条〈共有物の管理〉にいわゆる「他人ノ物」を占有するものと解すべきであつて、受託者がその金銭について擅に委託の本旨に違つた処分をしたときは横領罪を構成する。
二 旧刑訴法第四〇四条〈法定利率〉は、憲法第三七条第一項に違反しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和26年5月25日 昭和25(れ)1661
登載
刑集 第5巻6号1186頁
参照法条
刑法252条,民法657条,憲法37条1項,旧刑訴法404条
論点2第658条民法

受寄者の復受寄者に対する出荷停止の指図がその間の定めによれば無効である場合に復受寄者のした出荷と寄託者に対する債務不履行の成否

裁判要旨受寄者が復受寄者に対してした電話による出荷停止の指図がその間の寄託契約に適用される復受寄者の倉庫寄託約款の定めによれば方式違背として無効である場合には、復受寄者が右指図に反してした出荷は、寄託者に対する関係においても債務不履行とはならない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和61年4月18日 昭和58(オ)1199
登載
集民 第147号557頁
参照法条
民法107条2項,民法658条2項
論点3第660条民法

一 寄託物について仮処分がされた場合と民法第六六〇条〈受寄者の通知義務等〉の適用。
二 受寄者の寄託者に対する通知義務の範囲。

裁判要旨一 受寄者は、寄託物について仮処分がされた場合でも、民法第六六〇条〈受寄者の通知義務等〉により通知義務を負うものと解すべきである。
二 受寄者は、寄託物につき仮処分がされたときは、寄託者に対し、その旨を通知すれば足り、その後の経過(点検、保管換え)まで遂一報告する義務はないと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和40年10月19日 昭和38(オ)1119
登載
民集 第19巻7号1876頁
参照法条
民法660条
論点4第662条民法

寄託動産の保管者と民法第一七八条

裁判要旨動産の寄託をうけ一時これを保管しているにすぎない者は民法第一七八条の第三者に該当しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和29年8月31日 昭和27(オ)1197
登載
民集 第8巻8号1567頁
参照法条
民法178条,民法662条
論点5第665条民法

売主が売買契約の合意解除により買主に代金を返還した後右代金額につき財産税を徴収された場合における買主に対する右税額の償還請求権の有無

裁判要旨売主が売買契約の合意解除により代金を買主に返還した後、右代金額につき財産税を徴収された場合においても、売主は、民法第六六五条〈委任の規定の準用〉および第六五〇条〈受任者による費用等の償還請求等〉または第一九六条〈占有者による費用の償還請求〉の規定に基き、買主に対し右税額の償還を請求することはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和28年1月8日 昭和24(オ)46
登載
民集 第7巻1号1頁
参照法条
財産税法(昭和21年法律52号)1条,財産税法(昭和21年法律52号)22条,民法196条,民法650条,民法665条
論点6第666条民法

貨幣価値の下落と軍事郵便貯金の預金金額の払戻

裁判要旨昭和一九年五月から昭和二一年四月までの間に預入れられた軍事郵便貯金については、国は、払戻時に貨幣価値が著しく下落していても、払戻当時の貨幣で預金金額を払戻すことにより免責される。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和57年10月15日 昭和57(オ)439
登載
集民 第137号343頁
参照法条
民法1条2項,民法402条,民法666条
論点7第666条民法

定期預金の期限前払戻につき民法四七八条による免責が認められた事例

裁判要旨定期預金の期限前払戻を請求した者が、預金証書と届出印鑑を所持しているほか、年末資金として預金の一部を必要とすることと残額を再び預け入れることを申し入れ、払戻請求書に預金者の住所をほぼ正確に記載したなど原判示の事実関係のもとでは、払戻しをした銀行の係員に過失がなく、払戻は債権の準占有者に対する弁済として有効である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和54年9月25日 昭和54(オ)296
登載
集民 第127号475頁
参照法条
民法478条,民法666条
論点8第666条民法

記名式定期預金の債権者の判定

裁判要旨他人から定期預金として預入れることを依頼されて交付を受けた金銭を銀行に預入れた者が、預入れに際し、自己の所有する依頼者名義の印章を使用し、銀行に預金者の住所を適宜に定めて記載することを任せたが、預入資金を横領する意思がなく、これを依頼者名義で預入れ、その預金証書を依頼者に手交していた場合には、右依頼者を預金者と認めるべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和53年2月28日 昭和52(オ)139
登載
集民 第123号149頁
参照法条
民法666条
論点9第666条民法

預入行為者名義でされた記名式定期預金の預金者が出捐者であるとされた事例

裁判要旨記名式定期預金が預入行為者名義のものであり、その名義の使用が出捐者の意思に基づく場合であつても、出捐者が預入行為者に対し、自己の預金とするために金員を出捐して預入行為者の名義による記名式定期預金の預入手続を一任し、預入行為者が出捐者の使者又は代理人として預金契約を締結したものであり、かつ、預金証書及び届出印章は出捐者が所持しているなど、判示のような事情があるときは、その預金者は出捐者である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和52年8月9日 昭和52(オ)343
登載
民集 第31巻4号742頁
参照法条
民法666条
論点10第666条民法

信用組合の内規に反し職員外の者が職員を通じてした職員定期預金の払戻に関する右職員の行為と民法七一五条〈使用者等の責任〉の事業の執行

裁判要旨信用組合が職員に対して職員外の者に職員定期預金を利用させることを禁止しているのを知りながら職員外の者が右組合の営業部預金課員の勧誘により同人を通じて右定期預金をした場合でも、職員定期預金でなければ預金をしないことが明らかであつた等特段の事情のないかぎり、右預金契約は一般定期預金として有効に成立し、右預金の払戻に関する右職員の行為は、その限度において組合の事業の執行にあたると解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和50年1月30日 昭和48(オ)270
登載
民集 第29巻1号1頁
参照法条
民法666条,民法715条
論点11第666条民法

他行小切手による当座預金への入金と預金の成立

裁判要旨他行小切手による当座預金への入金は、当該小切手の取立委任と、その取立完了を停止条件とする当座預金契約であるから、受入金融機関は、特別の約定がないかぎり、他行小切手の取立完了前においては、当該小切手の金額に見合う当座支払の義務を負わないものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和46年7月1日 昭和43(オ)33
登載
集民 第103号327頁
参照法条
民法666条
論点12第666条民法

定期預金の期限前払戻に民法第四七八条の適用があるとされた事例

裁判要旨定期預金契約の締結に際し、当該預金の期限前払戻の場合における弁済の具体的内容が契約当事者の合意により確定されているときは、右預金の期限前の払戻であつても、民法第四七八条〈受領権者としての外観を有する者に対する弁済〉の適用をうける。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和41年10月4日 昭和38(オ)1006
登載
民集 第20巻8号1565頁
参照法条
民法478条,民法666条
論点13第666条民法

預金契約の当事者の認定。

裁判要旨原判決の認定した事実関係(大阪高裁昭和三八年三月一八日判決、金融法務事情三六二号二九頁所収)のもとでは、本件預金契約は、上告人と被上告人との間に成立したものと認めるのが相当である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和40年2月23日 昭和38(オ)681
登載
集民 第77号525頁
参照法条
民法666条
論点14第666条民法

無記名定期預金債権者の判定の事例

裁判要旨甲が乙に案内されて銀行に赴き、係員に対し、預金の金員および自己の印鑑(第三者名義)を提出して、無記名定期預金をする旨の申出をなし、係員から該銀行発行の無記名定期預金証書の交付を受け、右印鑑とともに保管していた等原判示事実関係(原判決理由参照)のもとにおいては、たとい乙において右銀行係員に対し、右預金を暗に自己の預金であるかのように装つた疑があるとしても、右預金の債権者は甲であると認めるを相当とする。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年12月10日 昭和39(オ)288
登載
集民 第81号381頁
参照法条
民法666条
論点15第666条民法

無記名定期預金の債権者の判定

裁判要旨原判決確定の事実関係のもとにおいては(原判決理由参照)、被上告人(控訴人)を債権無記名定期預金の債権者であると解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和40年10月12日 昭和38(オ)600
登載
集民 第80号719頁
参照法条
民法666条
論点16第666条民法

雇客の証券会社に対する名義貸契約と呼ばれる株券寄託契約の性質

裁判要旨顧客が自己の株券を証券会社名義にして寄託する、いわゆる名義貸契約は、受寄者たる証券会社としては寄託を受けた特定の株券そのものを保管すべき義務を負うことなく、寄託者たる顧客の請求ありしだい同銘柄、同株数の株券を返還すべき義務を負うにすぎず、一種の消費寄託の性質を有する無名契約であり、証券会社は、新株割当のあつた株数の株券について寄託の責に任ずるものである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年1月16日 昭和35(オ)791
登載
集民 第58号109頁
参照法条
民法666条,証券取引法51条
論点17第666条民法

一 いわゆる無記名定期預金債権の性質
二 無記名定期預金の債権者の判定
三 無記名定期預金の債権者でない者が単に届出印鑑を使用してなした相殺の効力

裁判要旨一 いわゆる無記名定期預金債権は無記名債権でなく氏名債権に属する。
二 甲が乙に金員を交付して甲のため無記名定期預金の預入れを依頼し、よつて乙がその金員を無記名定期預金として預入れた場合、乙において右金員を横領し自己の預金としたものでない以上、その預入れにあたり、乙が、届出印鑑として乙の氏を刻した印鑑を使用し、相手方の銀行が、かねて乙を知つており、届出印鑑を判読して預金者を乙と考え、預金元帳にも乙を預金者と記載した事実があつたとしても、右無記名定期預金の債権者は乙でなく、甲と認めるのが相当である。
三 右無記名定期預金において、相手方の銀行は、無記名定期預金証書と届出印鑑を呈示した者に支払をすることにより免責される旨の特約がなされている場合、届出印鑑のみを提出した乙との間に、右無記名定期預金と乙の銀行に対する債務と相殺する旨の合意をしても、右銀行はこれによつて、甲に対する無記名定期預金払戻債務につき、免責を得るものではない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和32年12月19日 昭和29(オ)485
登載
民集 第11巻13号2278頁
参照法条
民法666条,民法86条3項,民法467条1項,民法505条
論点18第666条民法

振込依頼人と受取人との間に振込みの原因となる法律関係が存在しない場合における振込みに係る普通預金契約の成否

裁判要旨振込依頼人から受取人の銀行の普通預金口座に振込みがあったときは、両者の間に振込みの原因となる法律関係が存在するか否かにかかわらず、受取人と銀行との間に振込金額相当の普通預金契約が成立する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成8年4月26日 平成4(オ)413
登載
民集 第50巻5号1267頁
参照法条
民法91条,民法666条
論点19第666条民法

1 金融機関の預金者に対する預金口座の取引経過開示義務の有無
2 共同相続人の一人が被相続人名義の預金口座の取引経過開示請求権を単独で行使することの可否

裁判要旨1 金融機関は,預金契約に基づき,預金者の求めに応じて預金口座の取引経過を開示すべき義務を負う。
2 預金者の共同相続人の一人は,共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき,被相続人名義の預金口座の取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成21年1月22日 平成19(受)1919
登載
民集 第63巻1号228頁
参照法条
(1,2につき)民法645条,民法656条,民法666条 (2につき)民法252条,民法264条,民法898条
論点20第666条民法

振込依頼人と受取人との間に振込みの原因となる法律関係が存在しない場合における受取人による当該振込みに係る預金の払戻請求と権利の濫用

裁判要旨受取人の普通預金口座への振込みを依頼した振込依頼人と受取人との間に振込みの原因となる法律関係が存在しない場合において,受取人が当該振込みに係る預金の払戻しを請求することについては,払戻しを受けることが当該振込みに係る金員を不正に取得するための行為であって,詐欺罪等の犯行の一環を成す場合であるなど,これを認めることが著しく正義に反するような特段の事情があるときは,権利の濫用に当たるとしても,受取人が振込依頼人に対して不当利得返還義務を負担しているというだけでは,権利の濫用に当たるということはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成20年10月10日 平成19(受)152
登載
民集 第62巻9号2361頁
参照法条
民法1条3項,民法666条
論点21第666条民法

いわゆる自動継続特約付きの定期預金契約における預金払戻請求権の消滅時効の起算点

裁判要旨いわゆる自動継続特約付きの定期預金契約における預金払戻請求権の消滅時効は,自動継続の取扱いがされることのなくなった満期日が到来した時から進行する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成19年6月7日 平成17(受)1519
登載
集民 第224号479頁
参照法条
民法91条,民法166条1項,民法666条
論点22第666条民法

いわゆる自動継続特約付きの定期預金契約における預金払戻請求権の消滅時効の起算点

裁判要旨いわゆる自動継続特約付きの定期預金契約における預金払戻請求権の消滅時効は,それ以降自動継続の取扱いがされることのなくなった満期日が到来した時から進行する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成19年4月24日 平成17(受)844
登載
民集 第61巻3号1073頁
参照法条
民法91条,民法166条1項,民法666条
論点23第666条民法

債務整理事務の委任を受けた弁護士が委任事務処理のため委任者から受領した金銭を預け入れるために弁護士の個人名義で開設した普通預金口座に係る預金債権の帰属

裁判要旨債務整理事務の委任を受けた弁護士甲が,委任事務処理のため委任者乙から受領した金銭を預け入れるために甲の名義で普通預金口座を開設し,これに上記金銭を預け入れ,その後も預金通帳及び届出印を管理して,預金の出し入れを行っていた場合には,当該口座に係る預金債権は,甲に帰属する。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成15年6月12日 平成13(行ヒ)274
登載
民集 第57巻6号563頁
参照法条
民法649条,民法666条
論点24第666条民法

誤った振込みがあることを知った受取人がその情を秘して預金の払戻しを受けた場合と詐欺罪の成否

裁判要旨誤った振込みがあることを知った受取人が,その情を秘して預金の払戻しを請求し,その払戻しを受けた場合には,詐欺罪が成立する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成15年3月12日 平成10(あ)488
登載
刑集 第57巻3号322頁
参照法条
刑法(平成7年法律第91号による改正前のもの)246条1項,民法666条
論点25第666条民法

損害保険代理店が保険契約者から収受した保険料のみを入金する目的で開設した普通預金口座の預金債権が損害保険会社にではなく損害保険代理店に帰属するとされた事例

裁判要旨損害保険会社甲の損害保険代理店である乙が,保険契約者から収受した保険料のみを入金する目的で金融機関に「甲代理店乙」名義の普通預金口座を開設したが,甲が乙に金融機関との間での普通預金契約締結の代理権を授与しておらず,同預金口座の通帳及び届出印を乙が保管し,乙のみが同預金口座への入金及び同預金口座からの払戻し事務を行っていたという判示の事実関係の下においては,同預金口座の預金債権は,甲にではなく,乙に帰属する。
(反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成15年2月21日 平成11(受)1172
登載
民集 第57巻2号95頁
参照法条
民法666条
論点26第666条民法

いわゆる自動継続特約付きの定期預金債権に対する仮差押えの執行と同特約に基づく自動継続の成否

裁判要旨いわゆる自動継続特約付きの定期預金債権に対する仮差押えの執行がされても,同特約に基づく自動継続の効果は妨げられない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成13年3月16日 平成11(受)320
登載
集民 第201号441頁
参照法条
民法91条,民法666条,民事保全法50条1項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民法 第657条(寄託) 詳細ページ
(寄託)
第六百五十七条寄託は、当事者の一方がある物を保管することを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
民法 第657_2条(寄託物受取り前の寄託者による寄託の解除等) 詳細ページ
(寄託物受取り前の寄託者による寄託の解除等)
第六百五十七条の二寄託者は、受寄者が寄託物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。この場合において、受寄者は、その契約の解除によって損害を受けたときは、寄託者に対し、その賠償を請求することができる。
2無報酬の受寄者は、寄託物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による寄託については、この限りでない。
3受寄者(無報酬で寄託を受けた場合にあっては、書面による寄託の受寄者に限る。)は、寄託物を受け取るべき時期を経過したにもかかわらず、寄託者が寄託物を引き渡さない場合において、相当の期間を定めてその引渡しの催告をし、その期間内に引渡しがないときは、契約の解除をすることができる。
民法 第658条(寄託物の使用及び第三者による保管) 詳細ページ
(寄託物の使用及び第三者による保管)
第六百五十八条受寄者は、寄託者の承諾を得なければ、寄託物を使用することができない。
2受寄者は、寄託者の承諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、寄託物を第三者に保管させることができない。
3再受寄者は、寄託者に対して、その権限の範囲内において、受寄者と同一の権利を有し、義務を負う。
民法 第659条(無報酬の受寄者の注意義務) 詳細ページ
(無報酬の受寄者の注意義務)
第六百五十九条無報酬の受寄者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管する義務を負う。
民法 第660条(受寄者の通知義務等) 詳細ページ
(受寄者の通知義務等)
第六百六十条寄託物について権利を主張する第三者が受寄者に対して訴えを提起し、又は差押え、仮差押え若しくは仮処分をしたときは、受寄者は、遅滞なくその事実を寄託者に通知しなければならない。ただし、寄託者が既にこれを知っているときは、この限りでない。
2第三者が寄託物について権利を主張する場合であっても、受寄者は、寄託者の指図がない限り、寄託者に対しその寄託物を返還しなければならない。ただし、受寄者が前項の通知をした場合又は同項ただし書の規定によりその通知を要しない場合において、その寄託物をその第三者に引き渡すべき旨を命ずる確定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む。)があったときであって、その第三者にその寄託物を引き渡したときは、この限りでない。
3受寄者は、前項の規定により寄託者に対して寄託物を返還しなければならない場合には、寄託者にその寄託物を引き渡したことによって第三者に損害が生じたときであっても、その賠償の責任を負わない。
民法 第661条(寄託者による損害賠償) 詳細ページ
(寄託者による損害賠償)
第六百六十一条寄託者は、寄託物の性質又は瑕疵によって生じた損害を受寄者に賠償しなければならない。ただし、寄託者が過失なくその性質若しくは瑕疵を知らなかったとき、又は受寄者がこれを知っていたときは、この限りでない。
民法 第662条(寄託者による返還請求等) 詳細ページ
(寄託者による返還請求等)
第六百六十二条当事者が寄託物の返還の時期を定めたときであっても、寄託者は、いつでもその返還を請求することができる。
2前項に規定する場合において、受寄者は、寄託者がその時期の前に返還を請求したことによって損害を受けたときは、寄託者に対し、その賠償を請求することができる。
民法 第663条(寄託物の返還の時期) 詳細ページ
(寄託物の返還の時期)
第六百六十三条当事者が寄託物の返還の時期を定めなかったときは、受寄者は、いつでもその返還をすることができる。
2返還の時期の定めがあるときは、受寄者は、やむを得ない事由がなければ、その期限前に返還をすることができない。
民法 第664条(寄託物の返還の場所) 詳細ページ
(寄託物の返還の場所)
第六百六十四条寄託物の返還は、その保管をすべき場所でしなければならない。ただし、受寄者が正当な事由によってその物を保管する場所を変更したときは、その現在の場所で返還をすることができる。
民法 第664_2条(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限) 詳細ページ
(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)
第六百六十四条の二寄託物の一部滅失又は損傷によって生じた損害の賠償及び受寄者が支出した費用の償還は、寄託者が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない。
2前項の損害賠償の請求権については、寄託者が返還を受けた時から一年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
民法 第665条(委任の規定の準用) 詳細ページ
(委任の規定の準用)
第六百六十五条第六百四十六条から第六百四十八条まで、第六百四十九条並びに第六百五十条第一項及び第二項の規定は、寄託について準用する。
民法 第665_2条(混合寄託) 詳細ページ
(混合寄託)
第六百六十五条の二複数の者が寄託した物の種類及び品質が同一である場合には、受寄者は、各寄託者の承諾を得たときに限り、これらを混合して保管することができる。
2前項の規定に基づき受寄者が複数の寄託者からの寄託物を混合して保管したときは、寄託者は、その寄託した物と同じ数量の物の返還を請求することができる。
3前項に規定する場合において、寄託物の一部が滅失したときは、寄託者は、混合して保管されている総寄託物に対するその寄託した物の割合に応じた数量の物の返還を請求することができる。この場合においては、損害賠償の請求を妨げない。
民法 第666条(消費寄託) 詳細ページ
(消費寄託)
第六百六十六条受寄者が契約により寄託物を消費することができる場合には、受寄者は、寄託された物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還しなければならない。
2第五百九十条及び第五百九十二条の規定は、前項に規定する場合について準用する。
3第五百九十一条第二項及び第三項の規定は、預金又は貯金に係る契約により金銭を寄託した場合について準用する。
出

一次情報

原文ママ

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