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契約/使用貸借

使用貸借の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

使用貸借は、対価を伴わずに物を貸し借りする契約について、成立から終了までを定めています。借主の使用方法や第三者への転貸の制限、費用負担、期間・目的の有無による終了と解除の条件、返還時の収去・原状回復義務、損害賠償や費用償還請求の期間制限までを扱います。

使用貸借
場面終了事由貸主の解除借主の解除
期間を定めた場合期間満了で終了規定なしいつでも可
期間なし・目的を定めた場合目的に従い使用収益終了目的達成に足る期間経過後に可いつでも可
期間・目的とも定めない場合規定なし(下記解除による)いつでも可いつでも可
借主が死亡した場合当然に終了――
  • 書面による使用貸借は、借主が受け取る前でも貸主は解除できない(593条の2)
  • 借主は契約や物の性質で定まった用法を守り、無断で第三者に使わせると貸主は解除できる(594条)
  • 借主は通常の必要費を負担し、それ以外の費用は583条2項を準用して処理する(595条)
  • 貸主の引渡義務等は贈与に関する551条を準用する(596条)
  • 借主は附属させた物の収去義務と、生じた損傷の原状回復義務を負う(599条)
  • 契約違反の使用による損害賠償・借主の費用償還は返還を受けた時から1年以内に請求する(600条)
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使用貸借

使用貸借について、条文は何を定めているか。

第593条使用貸借無償で貸し借りする契約1項判例 9件
  • 物を渡し、無償で使用・収益させる約束で成立する
  • 契約終了時に借主が返還する約束も成立の要件
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第593_2条借用物受取り前の貸主による使用貸借の解除受け取り前なら貸主は解除できる1項判例なし
  • 借主が借用物を受け取るまでは、貸主は解除できる
  • 書面による使用貸借は受取り前でも解除できない
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第594条借主による使用及び収益借主は決まった用法を守る義務3項判例 12件
  • 契約や物の性質で定まった用法に従い使用・収益する
  • 貸主の承諾なしに第三者へ使用・収益させられない
  • 用法違反や無断使用・収益があれば貸主は解除できる
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第595条借用物の費用の負担通常の必要費は借主が負担2項判例なし
  • 借主が借用物の通常の必要費を負担する
  • それ以外の費用は583条2項〈買戻しの実行〉を準用して処理する
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第596条貸主の引渡義務等引渡義務は贈与の規定を準用1項判例なし
  • 貸主の引渡義務等は551条〈贈与者の引渡義務等〉(贈与)を準用する
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第597条期間満了等による使用貸借の終了期間満了・目的達成・死亡で終了3項判例 13件
  • 期間を定めた場合は期間満了で終了する
  • 期間の定めなく目的を定めた場合は目的達成で終了する
  • 借主が死亡すると使用貸借は終了する
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第598条使用貸借の解除貸主・借主の解除権を定める3項判例 2件
  • 目的だけ定めた場合、目的達成に足る期間経過後は貸主が解除できる
  • 期間・目的とも定めがなければ貸主はいつでも解除できる
  • 借主はいつでも契約を解除できる
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第599条借主による収去等収去義務と原状回復義務を定める3項判例なし
  • 附属させた物は使用貸借終了時に借主が収去する義務を負う
  • 分離不能・過分費用を要する物は収去義務がない
  • 生じた損傷は原状回復。借主の責めに帰せない事由は除く
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第600条損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限損害賠償・費用償還は1年以内に請求2項判例 1件
  • 契約違反の使用による損害賠償・借主の費用償還請求は返還時から1年以内
  • その1年間は損害賠償請求権の時効が完成しない
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第593条民法

土地使用借権の取得時効の要件

裁判要旨土地に対する使用貸借上の借主の権利の時効取得が成立するためには、土地の継続的な使用収益という外形的事実が存在し、かつ、その使用収益が土地の借主としての権利の行使の意思に基づくものであることが客観的に表現されていることを必要とする。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和48年4月13日 昭和47(オ)1191
登載
集民 第109号93頁
参照法条
民法163条,民法593条
論点2第593条民法

一、生前相続による不動産所有権の取得と同一不動産の遺贈を受けた遺産相続人に対する対抗
二、夫婦間の土地利用関係が地上権の設定とは認められないとされた事例

裁判要旨一、旧民法(明治三一年法律第九号)施行当時において生前相続により不動産所有権を承継した家督相続人は、その登記を経なければ所有権取得をもつて第三者に対抗することができず、被相続人から同一不動産の遺贈を受けた者は、同時に被相続人の遺産相続人である場合でも、右第三者にあたる。
二、夫がその所有の土地を無償で使用することを妻に対して許諾し、妻がその地上に建築した建物に、夫婦で同居しているなど判示の事情がある場合でも、他に特段の事情がないときは、右土地の利用関係をもつて、建物所有を目的とする地上権が設定されたものと認めることはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和47年7月18日 昭和46(オ)922
登載
集民 第106号475頁
参照法条
民法177条,民法265条,民法593条
論点3第593条民法

土地使用関係が賃貸借ではなく使用貸借であると認められた事例

裁判要旨土地の借主が、約三年の間に礼金または賃料として三回にわたつて一万円ないし一万五〇〇〇円を支払い、貸主が特段の異議を留めることなく受領していた場合であつても、右金額が適正賃料額に比してかなり低額であり、かつ、その金額は借主において一方的に定めたものであつて、貸主との協議に基づくものでないうえに、必ずしも定期的に支払われたものでない等、原判示の事情(原判決理由参照)のもとにおいては、借主の土地使用関係は、賃貸借ではなく使用貸借と認めるのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和42年9月7日 昭和42(オ)498
登載
集民 第88号357頁
参照法条
民法593条,民法601条
論点4第593条民法

一 同一所有者に属する土地およびその地上の建物のうち建物のみが任意譲渡された場合と建物敷地の使用関係
二 前項の場合に設定された敷地使用権が使用借権と解された事例

裁判要旨一 同一所有者に属する土地およびその地上の建物のうち建物のみが任意譲渡された場合には、当該建物の敷地に対する使用権の設定を特に留保するとか、譲渡の目的が建物収去のためである等特段の事情がないかぎり、右敷地の使用権を設定する合意があつたものと解するのが相当である。
二 甲と乙とが甲所有地上に存する各所有建物について交換をし、その際、乙のために敷地使用権が設定されたと解される場合において、乙は交換前の建物を甲の亡父贈与を受けたものであり、甲は、亡父の妾であつた乙を身内の者同様に扱い、乙に無償で土地を使用させる意思であつた等判示の事情があるときは、右敷地使用権は使用借権と解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和41年1月20日 昭和39(オ)489
登載
民集 第20巻1号22頁
参照法条
民法第1編第4章第2節,民法593条
論点5第593条民法

建物の貸借関係が使用貸借であると認められた事例

裁判要旨建物の借主が該建物を含む貸主所有の不動産に賦課された固定資産税等の公租公課の支払を負担する等原判示事実(原判決理由参照)があるとしても、右負担が建物の使用収益に対する対価の意味をもつものと認めるに足りる特段の事情のないかぎり、当該貸借関係は使用貸借であると認めるのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和41年10月27日 昭和41(オ)527
登載
民集 第20巻8号1649頁
参照法条
民法593条,民法601条
論点6第593条民法

間借人の毎月一、〇〇〇円の支払いを賃料でなく謝礼であるとし、使用貸借の成立を認めた事例

裁判要旨一畳あたり月一、〇〇〇円で貸しうる六畳七畳二室を借り受け使用(ただし七畳の方は家主と共用)する間借人が毎月室代名義で一、〇〇〇円ずつを家主に支払つていても、間借人が家主の妻の伯父という関係にあるときは、右金員は室使用の対価というよりは右関係に基づく謝礼とみるのが相当で、右使用契約は賃貸借でなく使用貸借である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和35年4月12日 昭和33(オ)485
登載
民集 第14巻5号817頁
参照法条
民法593条,民法601条
論点7第593条民法

遺産である建物の相続開始後の使用について被相続人と相続人との間に使用貸借契約の成立が推認される場合

裁判要旨共同相続人の一人が相続開始前から被相続人の許諾を得て遺産である建物において被相続人と同居してきたときは、特段の事情のない限り、被相続人と右の相続人との間において、右建物について、相続開始時を始期とし、遺産分割時を終期とする使用貸借契約が成立していたものと推認される。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成8年12月17日 平成5(オ)1946
登載
民集 第50巻10号2778頁
参照法条
民法249条,民法593条,民法703条,民法898条,民訴法185条
論点8第593条民法

建物の賃借人の失火により右建物が全焼してその敷地の使用借権を喪失した賃貸人が賃借人に請求することのできる損害

裁判要旨建物の賃借人の失火により右建物が全焼してその敷地の使用借権を喪失した賃貸人は、賃借人に対し、右建物の焼失による損害として、焼失時の建物の本体の価格と土地使用に係る経済的利益に相当する額とを請求することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成6年10月11日 平成3(オ)825
登載
集民 第173号133頁
参照法条
民法416条,民法593条
論点9第593条民法

道路法施行法五条一項に基づく使用貸借による権利と地方自治法二三八条一項四号にいう「地上権、地役権、鉱業権その他これらに準ずる権利」

裁判要旨道路法施行法五条一項に基づく使用貸借による権利は、地方自治法二三八条一項四号にいう「地上権、地役権、鉱業権その他これらに準ずる権利」に当たらない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成2年10月25日 平成2(行ツ)130
登載
集民 第161号51頁
参照法条
道路法施行法5条1項,民法593条,地方自治法238条1項4号,地方自治法242条1項,地方自治法242条の2第1項
論点10第594条民法

土地賃貸借契約につき無断増改築禁止の特約違反を理由とする解除権の行使が信義則上許されないとされた事例

裁判要旨(省略)(最高裁昭和三九年(オ)第一四五〇号同四一年四月二一日第一小法廷判決・民集二〇巻四号七二〇頁参照)
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和51年6月3日 昭和47(オ)90
登載
集民 第118号1頁
参照法条
民法540条,民法594条,民法601条
論点11第594条民法

借地上に存する建物の賃借人の敷地利用が敷地の使用収益権の範囲を逸脱したものとされた事例

裁判要旨借地上に存する建物の賃借人が地主及び家主に無断で該建物の下屋部分を取り殿し、その跡地及び国道から建物に至る通路として利用していた敷地部分に賃借建物の床面積の約三分の二に達する木造瓦葺二階建店舗を築造する目的で角柱、支え材等を設置することは、建物賃借人の敷地の使用収益権の範囲を逸脱したものである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和50年7月10日 昭和49(オ)454
登載
集民 第115号269頁
参照法条
民法594条1項,民法616条
論点12第594条民法

一、賃貸借契約における信義則上の義務違反と契約解除
二、用方違反または信義則上の義務違反を理由とする賃貸借契約の解除が認められなかつた事例

裁判要旨一、賃貸借契約の当事者の一方が、右契約に基づき信義則上当事者に要求される義務に違反して、その信頼関係を破壊することにより、賃貸借関係の継続を著しく困離ならしめたときは、他方の当事者は、催告なくして賃貸借契約を解除することができる。
二、建物所有を目的とする土地賃貸借契約の賃借人が、借地の約半分にあたる空地をトラツク置場とし、無免許で自動車運送事業を営み、また、そのトラツクが完全に格納できずに公道上に約一メートルはみ出し公衆の通行を妨害している場合においても、格納を完全にするための工事が比較的容易であり、近隣や歩行者から苦情が出たこともない等原判示の事情(原判決理由参照)のもとにおいては、賃貸人は、用法違反または信義則上の義務違反を理由として、賃貸借契約を解除することはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年11月16日 昭和45(オ)942
登載
民集 第26巻9号1603頁
参照法条
民法541条,民法594条1項,民法601条,民法616条
論点13第594条民法

家屋賃借人の敷地利用が賃借家屋およびその敷地の使用収益権の範囲を逸脱しその保管義務に反することはないとされた事例

裁判要旨家屋賃借人がその敷地に家屋を無断築造した場合であつても、現在の家主が賃貸人となつた当時、すでに右賃借人が地主の承諾をえて敷地の一部に約三坪の居宅兼物置を築造しており、その後約一二年をへて、右賃借人が右居宅兼物置を撤去した跡にそれと面積、位置をほぼ同じくして、木造トタン葺板壁の簡単な構造の作業場を新築したにすぎず、右新築による賃借家屋の損傷の程度や作業場の利用状況等が判示のとおりであるときには、右作業場の設置をもつて、家屋賃借人の敷地利用が賃借家屋およびその敷地の使用収益権の範囲を逸脱し、その保管義務に反するものということはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和46年7月1日 昭和44(オ)508
登載
集民 第103号335頁
参照法条
民法400条,民法594条1項,民法616条
論点14第594条民法

信頼関係の破壊を理由とする無催告の賃貸借契約解除が許容された事例

裁判要旨家屋の一室を除く部分の賃借人が、賃借外の右一室につき、賃貸人の承諾なく判示のような改造を施し、これを賃借部分とあわせて使用している場合には、賃借人の右行為は、賃貸借契約の継続を困難ならしめる著しい不信行為に該当し、賃貸人は、催告なしに賃貸借契約を解除することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和44年6月17日 昭和44(オ)78
登載
集民 第95号509頁
参照法条
民法541条,民法616条,民法594条1項
論点15第594条民法

借地上の建物についてした工事が無断増改築禁止の特約違反を理由とする借地契約解除の原因とならないとされた事例

裁判要旨(省略)
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和44年12月16日 昭和44(オ)948
登載
集民 第97号775頁
参照法条
民法540条,民法616条,民法594条,借地法11条
論点16第594条民法

建物の一部の賃借人が他の部分を不法に占拠して賃借部分と併用している行為が著しい不信行為であるとして無催告の賃貸借契約の解除が許容された事例。

裁判要旨賃貸人の所有建物の一部の賃借人が、他の部分について賃貸人から賃貸の交渉を受けたにかかわらず、これに対する諾否を明らかにしないまま、五ケ月あまりの間、当該部分を不法に占拠して賃借部分と併用している等原判示の事情(原判決理由参照)がある場合には、賃借人の右行為は賃貸借契約の継続を著しく困難ならしめる不信行為に該当し、賃貸人は、催告なしに賃貸借契約を解除することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年8月2日 昭和39(オ)822
登載
民集 第19巻6号1368頁
参照法条
民法616条,民法594条1項,民法541条
論点17第594条民法

賃貸家屋の無断改造工事が賃貸借の目的物保管義務に違反しないとされた事例。

裁判要旨賃借人が賃借家屋の無断改造工事をした場合でも、それが容易に復元できる簡易なものであり、もしくは浸水を防止するため必要であつた等、原判示の事情(原判決理由参照)がある場合には賃貸借の目的物保管義務に違反しないものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和40年3月11日 昭和39(オ)1310
登載
集民 第78号267頁
参照法条
民法400条,民法594条
論点18第594条民法

借家人の無断増改築が著しい不信行為であるとして無催告の賃貸借契約解除を有効とした事例

裁判要旨二階建家屋の賃借人が、無断で賃借家屋の階下の店舗部分の柱一本を切除して一畳半の床部分を落間とし、賃借家屋の廂の下からトタン葺の下屋をさげて約三畳の間を増築する等判示の増改築をした場合には、賃貸人は著しい不信行為のなされたことを理由として催告なしに賃貸借契約を解除することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和40年11月16日 昭和39(オ)1035
登載
集民 第81号57頁
参照法条
民法541条,民法616条,民法594条
論点19第594条民法

借家人の無断増築が著しい不信行為であるとして無催告の賃貸借契約解除が有効とされた事例。

裁判要旨土蔵造り瓦葺二階建家屋(建坪六坪)の賃借人が賃貸人所有の右敷地またはこれに隣接する同人所有地上に木造瓦葺二階建居宅一棟(建坪約六坪)を無断で建増ししたような場合においては、賃貸人は著しい不信行為のなれたことを理由として催告なしに賃貸借契約を解除することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和38年9月27日 昭和37(オ)588
登載
民集 第17巻8号1069頁
参照法条
民法541条,民法543条,民法616条,民法594条1項
論点20第594条民法

土地賃借人が借地に隣接する賃貸人所有地に越境建築したことが借地自体の用方違反になるとされた事例。

裁判要旨建物所有を目的とする土地賃借人が借地に隣接する賃貸人所有地にまで越境して建物を建築した場合、右越境建築が当該隣地における賃貸人の店舗経営上以上な支障をきたすなど判示のような事実関係のもとでは、右越境建築により、借地自体の用方違反があるということができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和38年11月14日 昭和36(オ)361
登載
民集 第17巻11号1346頁
参照法条
民法541条,民法616条,民法594条1項
論点21第594条民法

賃借建物の無断増築が契約解除原因に当らないとされた事例。

裁判要旨借地上の建物の賃借人が空地に建物を無断で増築した場合でも、増築部分が賃借建物の構造を変更しないでこれに附属せしめられた一日で撤去できる程度の仮建築であり、しかも賃借建物は賃借人が自己の費用で適宜改造して使用すべく家主において修理しない約定で借受けた等の経緯であるときは、賃借人の右増築行為は、建物の賃貸借契約を解除しうる背信行為に当らない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和36年7月21日 昭和33(オ)719
登載
民集 第15巻7号1939頁
参照法条
民法541条,民法616条,民法594条1項
論点22第597条民法

借主及びその家族の長期間の居住を目的とする建物の使用貸借契約と右目的に従つた使用収益をなすに足るべき期間

裁判要旨建物の使用貸借契約が借主及びその家族の長期間の居住を目的とするものであつても、借主が右建物の使用を始めてから約三二年四月を経過したときは、特段の事情のない限り、右目的に従つた使用収益をなすに足るべき期間は、経過したものと認めるべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和59年11月22日 昭和58(オ)170
登載
集民 第143号177頁
参照法条
民法597条2項
論点23第597条民法

借地契約の終了に伴う土地返還請求訴訟と地上建物の所有権の帰属

裁判要旨土地賃貸借の終了を原因として原状回復義務の履行を求める訴訟において、地上建物の所有権の帰属いかんは、被告の右建物の収去による該土地の明渡義務を定めるについて影響を及ぼすものではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和53年2月14日 昭和52(オ)1002
登載
集民 第123号43頁
参照法条
民法616条,民法597条
論点24第597条民法

建物の所有を目的とし、かつ返還の時期を定めない土地使用賃借契約の終了が認められた事例

裁判要旨省略(判決理由参照)
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和48年11月16日 昭和48(オ)277
登載
集民 第110号475頁
参照法条
民法597条2項
論点25第597条民法

礼拝堂の建築所有を目的とする土地の使用貸借が相当の期間の経過により終了した旨の判断に審理不尽・理由不備の違法があるとされた事例

裁判要旨省略(判文参照)
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和45年10月16日 昭和44(オ)375
登載
集民 第101号77頁
参照法条
民法597条,民訴法395条1項6号
論点26第597条民法

民法第五九七条第二項〈期間満了等による使用貸借の終了〉但書の類推適用により土地使用貸借の解約が有効とされた事例

裁判要旨父母を貸主とし、子を借主として成立した返還時期の定めがない土地の使用貸借であつて、使用の目的は、建物を所有して会社の経営をなし、あわせて、右経営から生ずる収益により老父母を扶養する等判示内容のものである場合において、借主は、さしたる理由もなく老父母に対する扶養をやめ、兄弟とも往来をたち、使用貸借当事者間における信頼関係は地を払うにいたつた等原判決確定の事実関係(原判決理由参照)があるときは、民法第五九七条第二項〈期間満了等による使用貸借の終了〉但書を類推適用して、貸主は借主に対し使用貸借を解約できるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年11月24日 昭和42(オ)821
登載
民集 第21巻9号2460頁
参照法条
民法597条2項
論点27第597条民法

使用者の一方的通告による解雇に原因する社宅使用貸借の終了と明渡義務の発生時期

裁判要旨社宅の使用貸借の終了が使用者の一方的通告による解雇に起因する場合であつても、当事者間に明渡猶予の合意が成立するなど特別の事情のないかぎり、被用者は、使用貸借の終了したことを認識した時から明渡義務を負うべきものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和41年4月19日 昭和40(オ)209
登載
集民 第83号239頁
参照法条
民法597条,民法412条
論点28第597条民法

使用貸借の解約告知に基づく家屋明渡訴訟の口頭弁論により新たな解約告知をしたものと認められた事例

裁判要旨使用貸借の解約告知に基づく家屋明渡訴訟を維持し口頭弁論を行なつた場合には、もしさきの解約告知の効力が認められないとすればあらためて解約告知をなす意思を、弁論の都度表示したものと解すべきであり、告知の時期を異にすることにより、明渡請求権が別個の権利となるものではない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和41年10月20日 昭和39(オ)12
登載
集民 第84号607頁
参照法条
民法597条,民訴法186条
論点29第597条民法

使用貸借において使用および収益をなすに足りる期間を経過したものと認められた事例。

裁判要旨原判示認定の事実関係のもとにおいては、本件建物の使用収益の目的を達するに十分の期間を経過したものと認めるのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和39年4月23日 昭和38(オ)786
登載
集民 第73号383頁
参照法条
民法597条2項
論点30第597条民法

建物敷地の使用貸借と使用目的の黙示の約定。

裁判要旨親が子の建築居住する建物の敷地として宅地を貸与する使用貸借関係にあつては、特段の反対事情の認められない限り、少くとも黙示的に使用の目的を右建物所有のためと定めたものと認定するのが経験法則に合する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年9月17日 昭和34(オ)578
登載
集民 第67号567頁
参照法条
民法597条
論点31第597条民法

内縁関係の解消と内縁の妻の所有土地に対する夫の占有権原。

裁判要旨内縁の夫が妻の所有地上に共同生活維持のための住居および物置を所有して右土地を無償で占有している場合、その占有権原は、特段の事情のないかぎり、内縁関係の解消とともに消滅するものと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和35年11月10日 昭和34(オ)74
登載
民集 第14巻13号2813頁
参照法条
民法597条,民法752条
論点32第597条民法

土地の無断転貸をした賃借人が賃貸人に対し転借人が不法に投棄した産業廃棄物を賃貸借契約終了時に撤去すべき義務を負うとされた事例

裁判要旨土地の賃借人が同土地を無断で転貸し,転借人が同土地に産業廃棄物を不法に投棄したという事実関係の下では,賃借人は,賃貸借契約の終了に基づく原状回復義務として,上記産業廃棄物を撤去すべき義務を負う
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成17年3月10日 平成14(受)1565
登載
集民 第216号379頁
参照法条
民法597条1項,民法612条1項,民法616条
論点33第597条民法

1 賃借建物の通常の使用に伴い生ずる損耗について賃借人が原状回復義務を負う場合
2 賃借建物の通常の使用に伴い生ずる損耗について賃借人が原状回復義務を負う旨の特約が成立していないとされた事例

裁判要旨1 賃借建物の通常の使用に伴い生ずる損耗について賃借人が原状回復義務を負うためには,賃借人が補修費用を負担することになる上記損耗の範囲につき,賃貸借契約書自体に具体的に明記されているか,賃貸人が口頭により説明し,賃借人がその旨を明確に認識して,それを合意の内容としたものと認められるなど,その旨の特約が明確に合意されていることが必要である。
2 建物賃貸借契約書の原状回復に関する条項には,賃借人が補修費用を負担することになる賃借建物の通常の使用に伴い生ずる損耗の範囲が具体的に明記されておらず,同条項において引用する修繕費負担区分表の賃借人が補修費用を負担する補修対象部分の記載は,上記損耗を含む趣旨であることが一義的に明白であるとはいえず,賃貸人が行った入居説明会における原状回復に関する説明でも,上記の範囲を明らかにする説明はなかったという事情の下においては,賃借人が上記損耗について原状回復義務を負う旨の特約が成立しているとはいえない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成17年12月16日 平成16(受)1573
登載
集民 第218号1239頁
参照法条
(1,2につき) 民法597条1項,民法598条,民法616条
論点34第597条民法

木造建物の所有を目的とする土地の使用貸借につき使用収益をするのに足りるべき期間の経過を否定することができないとされた事例

裁判要旨木造建物の所有を目的とする土地の使用貸借について、契約締結後約三八年八箇月を経過し、この間に貸主と借主の間の人的つながりの状況が著しく変化しているという事実関係の下では、借主には右建物以外に居住する所がなく、貸主には右土地を使用する必要等特別の事情が生じていないというだけでは、使用収益をするのに足りるべき期間の経過を否定することができない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成11年2月25日 平成10(オ)513
登載
集民 第191号391頁
参照法条
民法597条2項
論点35第598条民法

賃借家屋の改造と賃借人の原状回復義務

裁判要旨賃貸借の目的たる家屋を工場に改造して使用することが、特に賃貸借契約の内容となつているときは、特約なきかぎり、賃借人には改造家屋につき原状回復義務はない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和29年2月2日 昭和26(オ)727
登載
民集 第8巻2号321頁
参照法条
民法616条,民法598条
論点36第600条民法

一 家屋賃貸借における賃料の取立債務の約定と新所有者たる賃貸人による承継の有無。
二 催告金額以下の金額では賃貸人において受領しないことが明確であることを理由として催告が効力を生じないとされた事例。

裁判要旨一 家屋賃貸借における賃料の取立債務の約定は、賃借人と前賃貸人との間の特殊事情に基づいて成立したものであつても、新所有者たる賃貸人に承継される。
二 賃貸人が適正賃料である月三、九八九円を一、〇一一円しかこれない賃料月五、〇〇〇円の割合による賃料債務の支払を催告した場合であつても、賃貸人が右催告金額以下の金員ではこれを受領しないことが明確であるときには、右催告は、その効力を生じない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年6月26日 昭和38(オ)1071
登載
民集 第18巻5号968頁
参照法条
民法600条,民法614条,民法541条,借家法1条

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民法 第593条(使用貸借) 詳細ページ
(使用貸借)
第五百九十三条使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。
民法 第593_2条(借用物受取り前の貸主による使用貸借の解除) 詳細ページ
(借用物受取り前の貸主による使用貸借の解除)
第五百九十三条の二貸主は、借主が借用物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による使用貸借については、この限りでない。
民法 第594条(借主による使用及び収益) 詳細ページ
(借主による使用及び収益)
第五百九十四条借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない。
2借主は、貸主の承諾を得なければ、第三者に借用物の使用又は収益をさせることができない。
3借主が前二項の規定に違反して使用又は収益をしたときは、貸主は、契約の解除をすることができる。
民法 第595条(借用物の費用の負担) 詳細ページ
(借用物の費用の負担)
第五百九十五条借主は、借用物の通常の必要費を負担する。
2第五百八十三条第二項の規定は、前項の通常の必要費以外の費用について準用する。
民法 第596条(貸主の引渡義務等) 詳細ページ
(貸主の引渡義務等)
第五百九十六条第五百五十一条の規定は、使用貸借について準用する。
民法 第597条(期間満了等による使用貸借の終了) 詳細ページ
(期間満了等による使用貸借の終了)
第五百九十七条当事者が使用貸借の期間を定めたときは、使用貸借は、その期間が満了することによって終了する。
2当事者が使用貸借の期間を定めなかった場合において、使用及び収益の目的を定めたときは、使用貸借は、借主がその目的に従い使用及び収益を終えることによって終了する。
3使用貸借は、借主の死亡によって終了する。
民法 第598条(使用貸借の解除) 詳細ページ
(使用貸借の解除)
第五百九十八条貸主は、前条第二項に規定する場合において、同項の目的に従い借主が使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、契約の解除をすることができる。
2当事者が使用貸借の期間並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも契約の解除をすることができる。
3借主は、いつでも契約の解除をすることができる。
民法 第599条(借主による収去等) 詳細ページ
(借主による収去等)
第五百九十九条借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物がある場合において、使用貸借が終了したときは、その附属させた物を収去する義務を負う。ただし、借用物から分離することができない物又は分離するのに過分の費用を要する物については、この限りでない。
2借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物を収去することができる。
3借主は、借用物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合において、使用貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が借主の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
民法 第600条(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限) 詳細ページ
(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)
第六百条契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない。
2前項の損害賠償の請求権については、貸主が返還を受けた時から一年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
出

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