論点1第396条民法
弁済期到来前にした抵当権の実行と競落人の所有権の取得。
裁判要旨抵当権者が債権の履行期の到来前に抵当権を実行した場合であつても、競落許可決定により競落代金が支払われて競売手続が完了した以上、競落人は有効に競落不動産の所有権を取得する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和40年4月16日 昭和39(オ)1230
- 登載
- 民集 第19巻3号658頁
- 参照法条
- 民法396条1項,民訴法686条,競売法2条1項,競売法32条
論点2第396条民法
物上保証人が債務者の承認により被担保債権について生じた消滅時効中断の効力を否定することの許否
裁判要旨物上保証人は、債務者の承認により被担保債権について生じた消滅時効中断の効力を否定することができない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成7年3月10日 平成6(オ)2325
- 登載
- 集民 第174号811頁
- 参照法条
- 民法147条3号,民法148条,民法396条
論点3第396条民法
抵当権の被担保債権が免責許可の決定の効力を受ける場合における当該抵当権自体の消滅時効
裁判要旨抵当権の被担保債権が免責許可の決定の効力を受ける場合には,民法
396条〈抵当権の消滅時効〉は適用されず,債務者及び抵当権設定者に対する関係においても,当該抵当権自体が,同法
167条2項〈人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効〉所定の20年の消滅時効にかかる。
(補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成30年2月23日 平成29(受)468
- 登載
- 民集 第72巻1号1頁
- 参照法条
- 民法167条2項,民法396条,破産法253条1項本文
論点4第397条民法
抵当不動産の占有と民法第一六二条第二項にいう善意・無過失
裁判要旨民法
第一六二条第二項〈所有権の取得時効〉にいう占有者の善意・無過失とは、自己に所有権があるものと信じ、かつ、そのように信ずるにつき過失のないことをいい、占有者において、占有の目的不動産に抵当権が設定されていることを知り、または、不注意により知らなかつた場合でも、ここにいう善意・無過失の占有者ということを妨げない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和43年12月24日 昭和41(オ)837
- 登載
- 民集 第22巻13号3366頁
- 参照法条
- 民法162条2項,民法397条
論点5第397条民法
不動産の取得時効の完成後,所有権移転登記がされることのないまま,第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了した場合における,再度の取得時効の完成と上記抵当権の消長
裁判要旨不動産の取得時効の完成後,所有権移転登記がされることのないまま,第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了した場合において,上記不動産の時効取得者である占有者が,その後引き続き時効取得に必要な期間占有を継続し,その期間の経過後に取得時効を授用したときは,上記占有者が上記抵当権の存在を容認していたなど抵当権の消滅を妨げる特段の事情がない限り,上記占有者が,上記不動産を時効取得する結果,上記抵当権は消滅する。
(補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成24年3月16日 平成22(受)336
- 登載
- 民集 第66巻5号2321頁
- 参照法条
- 民法162条,民法177条,民法397条
論点6第397条民法
取得時効の援用により不動産の所有権を取得してその旨の登記を有する者が当該取得時効の完成後に設定された抵当権に対抗するためその設定登記時を起算点とする再度の取得時効を援用することの可否
裁判要旨取得時効の援用により不動産の所有権を取得してその旨の登記を有する者は,当該取得時効の完成後に設定された抵当権に対抗するため,その設定登記時を起算点とする再度の取得時効の完成を主張し,援用をすることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成15年10月31日 平成12(受)1589
- 登載
- 集民 第211号313頁
- 参照法条
- 民法144条,民法145条,民法162条,民法177条,民法397条
論点7第398条民法
不動産の譲渡担保権者が先順位の抵当権又は根抵当権の被担保債権を代位弁済したことによつて取得する求償債権と譲渡担保権の被担保債権の範囲
裁判要旨不動産の譲渡担保権者がその不動産に設定された先順位の抵当権又は根抵当権の被担保債権を代位弁済したことによつて取得する求償債権は、譲渡担保設定契約に特段の定めのない限り、譲渡担保権によつて担保されるべき債権の範囲に含まれないものと解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和61年7月15日 昭和58(オ)1110
- 登載
- 集民 第148号307頁
- 参照法条
- 民法346条,民法369条(譲渡担保),民法374条,民法398条ノ3
論点8第398条民法
地上権者が地上権設定契約の合意解除をもつて地上権者からの当該土地の賃借人に対抗しうる場合
裁判要旨地上権者が地上権の目的土地を第三者に賃貸したのちに地上権設定者と地上権者とが合意で地上権設定契約を解除した場合、地上権設定者は、原則として、右第三者(賃借人)に対し、右合意解除により地上権者と賃借人との間の賃貸借契約が終了したと主張することはできないが、地上権設定者が、地上権者の債務不履行を理由として民法二六六条一項、二七六条所定の地上権の消滅請求又は法定の解除権を行使する旨の意思表示をし、これによつて地上権設定契約及びこれを基礎とする右賃貸借契約が既に終了しているといえる事実関係のあるときには、合意解除されても、地上権設定者が、これに応ずるに当たつて、右の賃貸借契約の終了によつて受けうべき利益を放棄したといえる事情のあるときは格別、そうでない限り、地上権設定者は、合意解除により地上権者と賃借人との間の賃貸借契約も終了した旨主張することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和59年10月8日 昭和58(オ)513
- 登載
- 集民 第143号29頁
- 参照法条
- 民法266条1項,民法276条,民法398条,民法545条1項
論点9第398条民法
いわゆる根仮登記担保権の極度額
裁判要旨一定の継続的取引から発生する不特定の債権を担保するためのいわゆる根仮登記担保権の極度額は、設定契約上、特段の定めがない場合には、目的不動産の適正な評価額をその額とした趣旨であると解すべきであり、このことは、特段の事情がない限り、根仮登記担保権が根抵当権と併用された場合でも異ならない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和52年3月25日 昭和48(オ)403
- 登載
- 民集 第31巻2号320頁
- 参照法条
- 民法398条ノ2,民法482条,不動産登記法2条
論点10第398条民法
後順位担保権者など第三者がいない場合における根抵当権者の配当受領金額
裁判要旨根抵当権者は、後順位担保権者など配当をうけることのできる第三者がなく、競売代金に余剰が生じた場合においても、極度額を越える部分について、当該競売手続においては、その交付をうけることができない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和48年10月4日 昭和46(オ)954
- 登載
- 集民 第110号153頁
- 参照法条
- 民法398条ノ3第1項,競売法33条2項
論点11第398条民法
一 債務者複数の根抵当権についての配当金が被担保債権のすべてを消滅させるに足りない場合における被担保債権への充当方法
二 債務者複数の根抵当権についての配当金を各債務者に対する債権を担保するための部分に案分する場合において同一の目的を有する複数の被担保債権があるときの案分の基礎となる被担保債権額の算出方法
裁判要旨一 不動産競売手続における債務者複数の根抵当権についての配当金が被担保債権のすべてを消滅させるに足りない場合においては、配当金を各債務者に対する債権を担保するための部分に被担保債権額に応じて案分した上、右案分額を民法四八九条ないし
四九一条〈数個の給付をすべき場合の充当〉の規定に従って各債務者に対する被担保債権に充当すべきである。
二 不動産競売手続における債務者複数の根抵当権についての配当金を各債務者に対する債権を担保するための部分に案分する場合には、ある債務者に対する債権の弁済によって他の債務者に対する債権も消滅するという関係にある複数の被担保債権があるときにおいても、いずれの債権もその全額を案分の基礎となる各債務者の被担保債権額に算入すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成9年1月20日 平成6(オ)2122
- 登載
- 民集 第51巻1号1頁
- 参照法条
- 民法398条ノ2,民法398条ノ14,民法489条,民法490条,民法491条,民事執行法85条
論点12第398条民法
被担保債権の範囲を「信用金庫取引による債権」として設定された根抵当権の被担保債権と保証債権
裁判要旨被担保債権の範囲を「信用金庫取引による債権」として設定された根抵当権の被担保債権には、信用金庫の根抵当債務者に対する保証債権も含まれる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成5年1月19日 平成1(オ)1468
- 登載
- 民集 第47巻1号41頁
- 参照法条
- 民法398条ノ2第2項,信用金庫法53条3項
論点13第398条民法
信用保証協会を債権者とし被担保債権の範囲を保証委託取引により生ずる債権として設定された根抵当権の被担保債権に,信用保証協会の根抵当債務者に対する保証債権は含まれるか
裁判要旨信用保証協会を債権者とし被担保債権の範囲を保証委託取引により生ずる債権として設定された根抵当権の被担保債権に,信用保証協会の根抵当債務者に対する保証債権は含まれない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成19年7月5日 平成18(受)597
- 登載
- 集民 第225号1頁
- 参照法条
- 民法398条の2第2項,民法446条,民法643条,信用保証協会法20条1項
論点14第398条民法
根抵当権者が競売の申立ての際に提出した当該根抵当権の登記のほかに譲渡担保を原因とする同人への所有権移転登記が記載されている登記簿謄本とみなされる登記事項証明書と民事執行法(平成16年法律第124号による改正前のもの)181条1項3号の文書
裁判要旨根抵当権者が競売の申立ての際に提出した登記簿謄本とみなされる登記事項証明書に,当該根抵当権の登記のほかに譲渡担保を原因とする同人への所有権移転登記が記載されていても,同登記事項証明書は,民事執行法(平成16年法律第124号による改正前のもの)181条1項3号の文書に当たる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成17年11月11日 平成17(許)22
- 登載
- 集民 第218号433頁
- 参照法条
- 民事執行法(平成16年法律第124号による改正前のもの)181条1項3号,民法179条1項,民法369条(譲渡担保),民法398条の2,旧不動産登記法(平成16年法律第123号による改正前のもの)151条ノ4
論点15第398条民法
一 極度額を超える金額の被担保債権を請求債権とする根抵当権の実行がされた場合に被担保債権について消滅時効中断の効力が生じる範囲
二 不動産競売の申立ての取下げがされた場合における被担保債権の消滅時効中断の効力の帰すう
裁判要旨一 債権者が、根抵当権の極度額を超える金額の被担保債権を請求債権として当該根抵当権の実行としての不動産競売の申立てをし、競売開始決定がされて同決定正本が債務者に送達された場合、被担保債権の消滅時効中断の効力は、当該極度額の範囲にとどまらず、請求債権として表示された当該被担保債権の全部について生じる。
二 物上保証人に対する不動産競売において、債務者に対する被担保債権の消滅時効中断の効力が生じた後、債権者が右競売の申立てを取り下げたときは、時効中断の効力は、初めから生じなかったことになる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成11年9月9日 平成8(オ)2422
- 登載
- 集民 第193号685頁
- 参照法条
- 民法147条2号,民法154条,民法398条ノ2第1項,民事執行規則170条