論点1第657条民法
一 使途を定められて寄託された金銭と横領罪
二 旧刑訴法第四〇四条〈法定利率〉と憲法第三七条第一項
裁判要旨一 使途を定められて寄託された金銭については特別の事情のないかぎり受託者は刑法
第二五二条〈共有物の管理〉にいわゆる「他人ノ物」を占有するものと解すべきであつて、受託者がその金銭について擅に委託の本旨に違つた処分をしたときは横領罪を構成する。
二 旧刑訴法
第四〇四条〈法定利率〉は、憲法第三七条第一項に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和26年5月25日 昭和25(れ)1661
- 登載
- 刑集 第5巻6号1186頁
- 参照法条
- 刑法252条,民法657条,憲法37条1項,旧刑訴法404条
論点2第658条民法
受寄者の復受寄者に対する出荷停止の指図がその間の定めによれば無効である場合に復受寄者のした出荷と寄託者に対する債務不履行の成否
裁判要旨受寄者が復受寄者に対してした電話による出荷停止の指図がその間の寄託契約に適用される復受寄者の倉庫寄託約款の定めによれば方式違背として無効である場合には、復受寄者が右指図に反してした出荷は、寄託者に対する関係においても債務不履行とはならない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和61年4月18日 昭和58(オ)1199
- 登載
- 集民 第147号557頁
- 参照法条
- 民法107条2項,民法658条2項
論点3第660条民法
一 寄託物について仮処分がされた場合と民法第六六〇条〈受寄者の通知義務等〉の適用。
二 受寄者の寄託者に対する通知義務の範囲。
裁判要旨一 受寄者は、寄託物について仮処分がされた場合でも、民法
第六六〇条〈受寄者の通知義務等〉により通知義務を負うものと解すべきである。
二 受寄者は、寄託物につき仮処分がされたときは、寄託者に対し、その旨を通知すれば足り、その後の経過(点検、保管換え)まで遂一報告する義務はないと解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和40年10月19日 昭和38(オ)1119
- 登載
- 民集 第19巻7号1876頁
- 参照法条
- 民法660条
論点4第662条民法
寄託動産の保管者と民法第一七八条
裁判要旨動産の寄託をうけ一時これを保管しているにすぎない者は民法第一七八条の第三者に該当しない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和29年8月31日 昭和27(オ)1197
- 登載
- 民集 第8巻8号1567頁
- 参照法条
- 民法178条,民法662条
論点5第665条民法
売主が売買契約の合意解除により買主に代金を返還した後右代金額につき財産税を徴収された場合における買主に対する右税額の償還請求権の有無
裁判要旨売主が売買契約の合意解除により代金を買主に返還した後、右代金額につき財産税を徴収された場合においても、売主は、民法
第六六五条〈委任の規定の準用〉および
第六五〇条〈受任者による費用等の償還請求等〉または
第一九六条〈占有者による費用の償還請求〉の規定に基き、買主に対し右税額の償還を請求することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和28年1月8日 昭和24(オ)46
- 登載
- 民集 第7巻1号1頁
- 参照法条
- 財産税法(昭和21年法律52号)1条,財産税法(昭和21年法律52号)22条,民法196条,民法650条,民法665条
論点6第666条民法
貨幣価値の下落と軍事郵便貯金の預金金額の払戻
裁判要旨昭和一九年五月から昭和二一年四月までの間に預入れられた軍事郵便貯金については、国は、払戻時に貨幣価値が著しく下落していても、払戻当時の貨幣で預金金額を払戻すことにより免責される。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和57年10月15日 昭和57(オ)439
- 登載
- 集民 第137号343頁
- 参照法条
- 民法1条2項,民法402条,民法666条
論点7第666条民法
定期預金の期限前払戻につき民法四七八条による免責が認められた事例
裁判要旨定期預金の期限前払戻を請求した者が、預金証書と届出印鑑を所持しているほか、年末資金として預金の一部を必要とすることと残額を再び預け入れることを申し入れ、払戻請求書に預金者の住所をほぼ正確に記載したなど原判示の事実関係のもとでは、払戻しをした銀行の係員に過失がなく、払戻は債権の準占有者に対する弁済として有効である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和54年9月25日 昭和54(オ)296
- 登載
- 集民 第127号475頁
- 参照法条
- 民法478条,民法666条
論点8第666条民法
記名式定期預金の債権者の判定
裁判要旨他人から定期預金として預入れることを依頼されて交付を受けた金銭を銀行に預入れた者が、預入れに際し、自己の所有する依頼者名義の印章を使用し、銀行に預金者の住所を適宜に定めて記載することを任せたが、預入資金を横領する意思がなく、これを依頼者名義で預入れ、その預金証書を依頼者に手交していた場合には、右依頼者を預金者と認めるべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和53年2月28日 昭和52(オ)139
- 登載
- 集民 第123号149頁
- 参照法条
- 民法666条
論点9第666条民法
預入行為者名義でされた記名式定期預金の預金者が出捐者であるとされた事例
裁判要旨記名式定期預金が預入行為者名義のものであり、その名義の使用が出捐者の意思に基づく場合であつても、出捐者が預入行為者に対し、自己の預金とするために金員を出捐して預入行為者の名義による記名式定期預金の預入手続を一任し、預入行為者が出捐者の使者又は代理人として預金契約を締結したものであり、かつ、預金証書及び届出印章は出捐者が所持しているなど、判示のような事情があるときは、その預金者は出捐者である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和52年8月9日 昭和52(オ)343
- 登載
- 民集 第31巻4号742頁
- 参照法条
- 民法666条
論点10第666条民法
信用組合の内規に反し職員外の者が職員を通じてした職員定期預金の払戻に関する右職員の行為と民法七一五条〈使用者等の責任〉の事業の執行
裁判要旨信用組合が職員に対して職員外の者に職員定期預金を利用させることを禁止しているのを知りながら職員外の者が右組合の営業部預金課員の勧誘により同人を通じて右定期預金をした場合でも、職員定期預金でなければ預金をしないことが明らかであつた等特段の事情のないかぎり、右預金契約は一般定期預金として有効に成立し、右預金の払戻に関する右職員の行為は、その限度において組合の事業の執行にあたると解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和50年1月30日 昭和48(オ)270
- 登載
- 民集 第29巻1号1頁
- 参照法条
- 民法666条,民法715条
論点11第666条民法
他行小切手による当座預金への入金と預金の成立
裁判要旨他行小切手による当座預金への入金は、当該小切手の取立委任と、その取立完了を停止条件とする当座預金契約であるから、受入金融機関は、特別の約定がないかぎり、他行小切手の取立完了前においては、当該小切手の金額に見合う当座支払の義務を負わないものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和46年7月1日 昭和43(オ)33
- 登載
- 集民 第103号327頁
- 参照法条
- 民法666条
論点12第666条民法
定期預金の期限前払戻に民法第四七八条の適用があるとされた事例
裁判要旨定期預金契約の締結に際し、当該預金の期限前払戻の場合における弁済の具体的内容が契約当事者の合意により確定されているときは、右預金の期限前の払戻であつても、民法
第四七八条〈受領権者としての外観を有する者に対する弁済〉の適用をうける。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和41年10月4日 昭和38(オ)1006
- 登載
- 民集 第20巻8号1565頁
- 参照法条
- 民法478条,民法666条
論点13第666条民法
預金契約の当事者の認定。
裁判要旨原判決の認定した事実関係(大阪高裁昭和三八年三月一八日判決、金融法務事情三六二号二九頁所収)のもとでは、本件預金契約は、上告人と被上告人との間に成立したものと認めるのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和40年2月23日 昭和38(オ)681
- 登載
- 集民 第77号525頁
- 参照法条
- 民法666条
論点14第666条民法
無記名定期預金債権者の判定の事例
裁判要旨甲が乙に案内されて銀行に赴き、係員に対し、預金の金員および自己の印鑑(第三者名義)を提出して、無記名定期預金をする旨の申出をなし、係員から該銀行発行の無記名定期預金証書の交付を受け、右印鑑とともに保管していた等原判示事実関係(原判決理由参照)のもとにおいては、たとい乙において右銀行係員に対し、右預金を暗に自己の預金であるかのように装つた疑があるとしても、右預金の債権者は甲であると認めるを相当とする。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和40年12月10日 昭和39(オ)288
- 登載
- 集民 第81号381頁
- 参照法条
- 民法666条
論点15第666条民法
無記名定期預金の債権者の判定
裁判要旨原判決確定の事実関係のもとにおいては(原判決理由参照)、被上告人(控訴人)を債権無記名定期預金の債権者であると解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和40年10月12日 昭和38(オ)600
- 登載
- 集民 第80号719頁
- 参照法条
- 民法666条
論点16第666条民法
雇客の証券会社に対する名義貸契約と呼ばれる株券寄託契約の性質
裁判要旨顧客が自己の株券を証券会社名義にして寄託する、いわゆる名義貸契約は、受寄者たる証券会社としては寄託を受けた特定の株券そのものを保管すべき義務を負うことなく、寄託者たる顧客の請求ありしだい同銘柄、同株数の株券を返還すべき義務を負うにすぎず、一種の消費寄託の性質を有する無名契約であり、証券会社は、新株割当のあつた株数の株券について寄託の責に任ずるものである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和37年1月16日 昭和35(オ)791
- 登載
- 集民 第58号109頁
- 参照法条
- 民法666条,証券取引法51条
論点17第666条民法
一 いわゆる無記名定期預金債権の性質
二 無記名定期預金の債権者の判定
三 無記名定期預金の債権者でない者が単に届出印鑑を使用してなした相殺の効力
裁判要旨一 いわゆる無記名定期預金債権は無記名債権でなく氏名債権に属する。
二 甲が乙に金員を交付して甲のため無記名定期預金の預入れを依頼し、よつて乙がその金員を無記名定期預金として預入れた場合、乙において右金員を横領し自己の預金としたものでない以上、その預入れにあたり、乙が、届出印鑑として乙の氏を刻した印鑑を使用し、相手方の銀行が、かねて乙を知つており、届出印鑑を判読して預金者を乙と考え、預金元帳にも乙を預金者と記載した事実があつたとしても、右無記名定期預金の債権者は乙でなく、甲と認めるのが相当である。
三 右無記名定期預金において、相手方の銀行は、無記名定期預金証書と届出印鑑を呈示した者に支払をすることにより免責される旨の特約がなされている場合、届出印鑑のみを提出した乙との間に、右無記名定期預金と乙の銀行に対する債務と相殺する旨の合意をしても、右銀行はこれによつて、甲に対する無記名定期預金払戻債務につき、免責を得るものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和32年12月19日 昭和29(オ)485
- 登載
- 民集 第11巻13号2278頁
- 参照法条
- 民法666条,民法86条3項,民法467条1項,民法505条
論点18第666条民法
振込依頼人と受取人との間に振込みの原因となる法律関係が存在しない場合における振込みに係る普通預金契約の成否
裁判要旨振込依頼人から受取人の銀行の普通預金口座に振込みがあったときは、両者の間に振込みの原因となる法律関係が存在するか否かにかかわらず、受取人と銀行との間に振込金額相当の普通預金契約が成立する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成8年4月26日 平成4(オ)413
- 登載
- 民集 第50巻5号1267頁
- 参照法条
- 民法91条,民法666条
論点19第666条民法
1 金融機関の預金者に対する預金口座の取引経過開示義務の有無
2 共同相続人の一人が被相続人名義の預金口座の取引経過開示請求権を単独で行使することの可否
裁判要旨1 金融機関は,預金契約に基づき,預金者の求めに応じて預金口座の取引経過を開示すべき義務を負う。
2 預金者の共同相続人の一人は,共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき,被相続人名義の預金口座の取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成21年1月22日 平成19(受)1919
- 登載
- 民集 第63巻1号228頁
- 参照法条
- (1,2につき)民法645条,民法656条,民法666条 (2につき)民法252条,民法264条,民法898条
論点20第666条民法
振込依頼人と受取人との間に振込みの原因となる法律関係が存在しない場合における受取人による当該振込みに係る預金の払戻請求と権利の濫用
裁判要旨受取人の普通預金口座への振込みを依頼した振込依頼人と受取人との間に振込みの原因となる法律関係が存在しない場合において,受取人が当該振込みに係る預金の払戻しを請求することについては,払戻しを受けることが当該振込みに係る金員を不正に取得するための行為であって,詐欺罪等の犯行の一環を成す場合であるなど,これを認めることが著しく正義に反するような特段の事情があるときは,権利の濫用に当たるとしても,受取人が振込依頼人に対して不当利得返還義務を負担しているというだけでは,権利の濫用に当たるということはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成20年10月10日 平成19(受)152
- 登載
- 民集 第62巻9号2361頁
- 参照法条
- 民法1条3項,民法666条
論点21第666条民法
いわゆる自動継続特約付きの定期預金契約における預金払戻請求権の消滅時効の起算点
裁判要旨いわゆる自動継続特約付きの定期預金契約における預金払戻請求権の消滅時効は,自動継続の取扱いがされることのなくなった満期日が到来した時から進行する。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成19年6月7日 平成17(受)1519
- 登載
- 集民 第224号479頁
- 参照法条
- 民法91条,民法166条1項,民法666条
論点22第666条民法
いわゆる自動継続特約付きの定期預金契約における預金払戻請求権の消滅時効の起算点
裁判要旨いわゆる自動継続特約付きの定期預金契約における預金払戻請求権の消滅時効は,それ以降自動継続の取扱いがされることのなくなった満期日が到来した時から進行する。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成19年4月24日 平成17(受)844
- 登載
- 民集 第61巻3号1073頁
- 参照法条
- 民法91条,民法166条1項,民法666条
論点23第666条民法
債務整理事務の委任を受けた弁護士が委任事務処理のため委任者から受領した金銭を預け入れるために弁護士の個人名義で開設した普通預金口座に係る預金債権の帰属
裁判要旨債務整理事務の委任を受けた弁護士甲が,委任事務処理のため委任者乙から受領した金銭を預け入れるために甲の名義で普通預金口座を開設し,これに上記金銭を預け入れ,その後も預金通帳及び届出印を管理して,預金の出し入れを行っていた場合には,当該口座に係る預金債権は,甲に帰属する。
(補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成15年6月12日 平成13(行ヒ)274
- 登載
- 民集 第57巻6号563頁
- 参照法条
- 民法649条,民法666条
論点24第666条民法
誤った振込みがあることを知った受取人がその情を秘して預金の払戻しを受けた場合と詐欺罪の成否
裁判要旨誤った振込みがあることを知った受取人が,その情を秘して預金の払戻しを請求し,その払戻しを受けた場合には,詐欺罪が成立する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成15年3月12日 平成10(あ)488
- 登載
- 刑集 第57巻3号322頁
- 参照法条
- 刑法(平成7年法律第91号による改正前のもの)246条1項,民法666条
論点25第666条民法
損害保険代理店が保険契約者から収受した保険料のみを入金する目的で開設した普通預金口座の預金債権が損害保険会社にではなく損害保険代理店に帰属するとされた事例
裁判要旨損害保険会社甲の損害保険代理店である乙が,保険契約者から収受した保険料のみを入金する目的で金融機関に「甲代理店乙」名義の普通預金口座を開設したが,甲が乙に金融機関との間での普通預金契約締結の代理権を授与しておらず,同預金口座の通帳及び届出印を乙が保管し,乙のみが同預金口座への入金及び同預金口座からの払戻し事務を行っていたという判示の事実関係の下においては,同預金口座の預金債権は,甲にではなく,乙に帰属する。
(反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成15年2月21日 平成11(受)1172
- 登載
- 民集 第57巻2号95頁
- 参照法条
- 民法666条
論点26第666条民法
いわゆる自動継続特約付きの定期預金債権に対する仮差押えの執行と同特約に基づく自動継続の成否
裁判要旨いわゆる自動継続特約付きの定期預金債権に対する仮差押えの執行がされても,同特約に基づく自動継続の効果は妨げられない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成13年3月16日 平成11(受)320
- 登載
- 集民 第201号441頁
- 参照法条
- 民法91条,民法666条,民事保全法50条1項