国税徴収法 / テーマ別まとめ

財産の換価/代金納付及び権利移転

代金納付及び権利移転の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

この項目は、公売などで財産を換価した後、買受人が代金をいつまでにどのように納付するか、納付によって財産の取得や担保権がどう扱われるかを定めています。あわせて、売却決定通知書の交付、動産・有価証券の引渡し、登記の嘱託など、権利移転を実務上どう完了させるかの手続も整理しています。

代金納付及び権利移転
場面内容期限・要件など
代金納付の期限現金納付、延長可(上限30日)期限徒過で売却決定取消し可
代金納付の効果納付時に財産取得、国税徴収とみなす―
完納による取消し代金納付前の完納証明で取消し義務―
売却決定通知書納付後に交付(動産は省略可)―
動産等の引渡し納付後に引渡し(通知書交付でも可)―
有価証券の裏書等滞納者に裏書等させ、不履行なら代行―
登記の嘱託買受人の請求で登記を嘱託―
債権等の権利移転納付後に第三債務者等へ通知書交付―
費用負担登録免許税等は買受人負担―
担保権の消滅・引受け原則消滅、要件満たせば引受け可弁済期限が6月以内に未到来等
消滅権利の登記抹消権利移転登記とあわせて抹消嘱託―
担保責任民法の競売における担保責任を準用―
法定地上権土地建物の所有者が別れたら地上権存続期間・地代は裁判所が決定
  • 特定参加差押不動産の場合、完納の対象は特定参加差押えに係る国税等を含む特則がある(117条)
  • 有価証券は売却決定通知書交付の対象外(118条は「有価証券を除く」)
  • 登記の嘱託は不動産登記法その他の法令に別段の定めがある場合を除く(121条)
  • 担保権の引受けは不動産・船舶・航空機・自動車・建設機械の換価に限られ、3号の要件すべてに該当する必要がある(124条2項)
  • 譲渡担保財産に滞納処分を執行した場合の再売買予約の仮登記に係る請求権も、通常の担保権と同様に納付時に消滅する(124条1項後段)
  • 法定地上権の存続期間・地代は当事者間の協議ではなく裁判所が定める(127条3項)
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代金納付及び権利移転

代金納付及び権利移転について、条文は何を定めているか。

第115条買受代金の納付の期限等代金は期限内に現金で納付する4項判例なし
  • 納付期限は売却決定の日(次順位買受人は7日経過後の日)
  • 税務署長は必要なら延長できるが、期間は30日が上限
  • 期限までに納付しないと売却決定を取り消せる
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第116条買受代金の納付の効果納付時に財産取得、国税も徴収とみなす2項判例なし
  • 買受人は代金を納付した時点で換価財産を取得する
  • 徴収職員が受領した額の限度で滞納者の国税を徴収したとみなす
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第117条国税等の完納による売却決定の取消し納付前に完納が証明されたら取消し必須1項判例なし
  • 換価財産に係る国税の完納が代金納付前に証明されたとき
  • 税務署長は売却決定を取り消さなければならない(義務)
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第118条売却決定通知書の交付納付後に売却決定通知書を交付1項判例なし
  • 有価証券以外の財産で買受人が納付したら通知書を交付する
  • 動産については通知書を交付しないことができる
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第119条動産等の引渡し動産等は納付後に買受人へ引渡し2項判例なし
  • 換価した動産・有価証券・自動車等(徴収職員が占有)は納付後に引渡し
  • 滞納者等に保管させている場合は通知書交付で引渡しに代えられる
  • その場合、税務署長は滞納者等にその旨を通知する
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第120条有価証券の裏書等有価証券は裏書等の手続をさせる2項判例なし
  • 権利移転に裏書・名義変更・流通回復が必要なら期限を指定して滞納者にさせる
  • 滞納者が期限までにしないときは税務署長が代わって行える
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第121条権利移転の登記の嘱託登記が必要な財産は移転登記を嘱託1項判例なし
  • 買受人が代金を納付し、請求したら関係機関に登記を嘱託する
  • 不動産登記法その他の法令に別段の定めがある場合は除く
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第122条債権等の権利移転の手続債権等は第三債務者等に通知書を交付2項判例なし
  • 換価した債権等の買受人が納付したら第三債務者等に通知書を交付する
  • 取り上げていた証書があれば買受人に引き渡す
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第123条権利移転に伴う費用の負担権利移転の費用は買受人負担1項判例なし
  • 有価証券の裏書等を税務署長が代わって行う費用は買受人負担
  • 登記嘱託に係る登録免許税その他の費用も買受人負担
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第124条担保権の消滅又は引受け差押え後の担保権は納付時に消滅2項・3号判例 1件
  • 質権・抵当権・先取特権等は買受人の代金納付時に消滅する
  • 譲渡担保財産の再売買予約の仮登記に係る請求権も同様に消滅
  • 一定の要件を満たせば税務署長は担保権の負担を買受人に引き受けさせられる
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第125条換価に伴い消滅する権利の登記のまつ消の嘱託消滅する権利の登記も抹消嘱託1項判例なし
  • 移転登記の嘱託とあわせて、消滅する権利の登記の抹消も嘱託する
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第126条担保責任等民法の競売における担保責任を準用1項判例なし
  • 民法568条(競売における担保責任等)が換価の場合に準用される
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第127条法定地上権等の設定土地建物の所有者が分かれたら地上権発生3項判例なし
  • 差押え・換価で土地と建物等の所有者が別々になると地上権が設定されたとみなす
  • 地上権とその土地上の建物等が滞納者にある場合は土地賃貸借とみなす
  • 存続期間・地代は当事者の請求により裁判所が定める
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第124条国税徴収法

抵当権設定登記後に賃借権の時効取得に必要な期間不動産を用益した者が賃借権の時効取得を当該不動産の競売又は公売による買受人に対抗することの可否

裁判要旨不動産につき賃借権を有する者がその対抗要件を具備しない間に,当該不動産に抵当権が設定されてその旨の登記がされた場合,上記の者は,上記登記後,賃借権の時効取得に必要とされる期間,当該不動産を継続的に用益したとしても,競売又は公売により当該不動産を買い受けた者に対し,賃借権を時効により取得したと主張して,これを対抗することはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成23年1月21日 平成21(受)729
登載
集民 第236号27頁
参照法条
民法163条,民法601条,民法605条,民事執行法59条1項,民事執行法59条2項,国税徴収法124条1項

関連する会計・監査の基準

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原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

国税徴収法 第115条(買受代金の納付の期限等) 詳細ページ
(買受代金の納付の期限等)
第百十五条換価財産の買受代金の納付の期限は、売却決定の日(買受人が次順位買受申込者である場合にあつては、同日から起算して七日を経過した日)とする。
2税務署長は、必要があると認めるときは、前項の期限を延長することができる。ただし、その期間は、三十日を超えることができない。
3買受人は、買受代金を第一項の期限までに現金で納付しなければならない。
4税務署長は、買受人が買受代金を第一項の期限までに納付しないときは、その売却決定を取り消すことができる。
国税徴収法 第116条(買受代金の納付の効果) 詳細ページ
(買受代金の納付の効果)
第百十六条買受人は、買受代金を納付した時に換価財産を取得する。
2徴収職員が買受代金を受領したときは、その限度において、滞納者から換価に係る国税を徴収したものとみなす。
国税徴収法 第117条(国税等の完納による売却決定の取消し) 詳細ページ
(国税等の完納による売却決定の取消し)
第百十七条税務署長は、換価財産に係る国税(特定参加差押不動産を換価する場合にあつては、特定参加差押えに係る国税又は換価同意行政機関等の滞納処分による差押えに係る国税、地方税若しくは公課)の完納の事実が買受人の買受代金の納付前に証明されたときは、その売却決定を取り消さなければならない。
国税徴収法 第118条(売却決定通知書の交付) 詳細ページ
(売却決定通知書の交付)
第百十八条税務署長は、換価財産(有価証券を除く。)の買受人がその買受代金を納付したときは、売却決定通知書を買受人に交付しなければならない。ただし、動産については、その交付をしないことができる。
国税徴収法 第119条(動産等の引渡し) 詳細ページ
(動産等の引渡し)
第百十九条税務署長は、換価した動産、有価証券又は自動車、建設機械若しくは小型船舶(徴収職員が占有したものに限る。)の買受人が買受代金を納付したときは、その財産を買受人に引き渡さなければならない。
2税務署長は、前項の場合において、その財産を滞納者又は第三者に保管させているときは、売却決定通知書を買受人に交付する方法によりその財産の引渡をすることができる。この場合において、その引渡をした税務署長は、その旨を滞納者又は第三者に通知しなければならない。
国税徴収法 第120条(有価証券の裏書等) 詳細ページ
(有価証券の裏書等)
第百二十条税務署長は、換価した有価証券を買受人に引き渡す場合において、その証券に係る権利の移転につき滞納者に裏書、名義変更又は流通回復の手続をさせる必要があるときは、期限を指定して、これらの手続をさせなければならない。
2税務署長は、前項の場合において、滞納者がその期限までに同項の手続をしないときは、滞納者に代つてその手続をすることができる。
国税徴収法 第121条(権利移転の登記の嘱託) 詳細ページ
(権利移転の登記の嘱託)
第百二十一条税務署長は、換価財産で権利の移転につき登記を要するものについては、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の法令に別段の定めがある場合を除き、その買受代金を納付した買受人の請求により、その権利の移転の登記を関係機関に嘱託しなければならない。
国税徴収法 第122条(債権等の権利移転の手続) 詳細ページ
(債権等の権利移転の手続)
第百二十二条税務署長は、換価した債権又は第七十三条第一項(電話加入権等の差押手続)若しくは第七十三条の二第一項(振替社債等の差押手続)に規定する財産の買受人がその買受代金を納付したときは、売却決定通知書を第三債務者等に交付しなければならない。
2前項の場合において、第六十五条(債権証書の取上げ)(第七十三条第五項(権利証書の取上げ)において準用する場合を含む。)の規定により取り上げた証書があるときは、これを買受人に引き渡さなければならない。
国税徴収法 第123条(権利移転に伴う費用の負担) 詳細ページ
(権利移転に伴う費用の負担)
第百二十三条第百二十条第二項(有価証券の裏書等の代位)の規定による手続に関する費用及び第百二十一条(権利移転の登記の嘱託)の規定による嘱託に係る登記の登録免許税その他の費用は、買受人の負担とする。
国税徴収法 第124条(担保権の消滅又は引受け) 詳細ページ
(担保権の消滅又は引受け)
第百二十四条換価財産上の質権、抵当権、先取特権、留置権、担保のための仮登記に係る権利及び担保のための仮登記に基づく本登記(本登録を含む。)でその財産の差押え後にされたものに係る権利は、その買受人が買受代金を納付した時に消滅する。第二十四条(譲渡担保権者の物的納税責任)の規定により譲渡担保財産に対し滞納処分を執行した場合において、滞納者がした再売買の予約の仮登記があるときは、その仮登記により保全される請求権についても、同様とする。
2税務署長は、不動産、船舶、航空機、自動車又は建設機械を換価する場合において、次の各号のいずれにも該当するときは、その財産上の質権、抵当権又は先取特権(登記がされているものに限る。以下この条において同じ。)に関する負担を買受人に引き受けさせることができる。この場合において、その引受けがあつた質権、抵当権又は先取特権については、前項の規定は、適用しない。
一差押えに係る国税(特定参加差押不動産を換価する場合にあつては、換価同意行政機関等の滞納処分による差押えに係る地方税又は公課を含む。)がその質権、抵当権又は先取特権により担保される債権に次いで徴収するものであるとき。
二その質権、抵当権又は先取特権により担保される債権の弁済期限がその財産の売却決定期日から六月以内に到来しないとき。
三その質権、抵当権又は先取特権を有する者から申出があつたとき。
国税徴収法 第125条(換価に伴い消滅する権利の登記のまつ消の嘱託) 詳細ページ
(換価に伴い消滅する権利の登記のまつ消の嘱託)
第百二十五条税務署長は、第百二十一条(権利移転の登記の嘱託)の規定により権利の移転の登記を嘱託する場合において、換価に伴い消滅する権利に係る登記があるときは、あわせてそのまつ消を関係機関に嘱託しなければならない。
国税徴収法 第126条(担保責任等) 詳細ページ
(担保責任等)
第百二十六条民法第五百六十八条(競売における担保責任等)の規定は、差押財産等の換価の場合について準用する。
国税徴収法 第127条(法定地上権等の設定) 詳細ページ
(法定地上権等の設定)
第百二十七条土地及びその上にある建物又は立木(以下この条において「建物等」という。)が滞納者の所有に属する場合において、その土地又は建物等の差押があり、その換価によりこれらの所有者を異にするに至つたときは、その建物等につき、地上権が設定されたものとみなす。
2前項の規定は、地上権及びその目的となる土地の上にある建物等が滞納者に属する場合について準用する。この場合において、同項中「地上権が設定された」とあるのは、「地上権の存続期間内において土地の賃貸借をした」と読み替えるものとする。
3前二項の場合において、その権利の存続期間及び地代は、当事者の請求により裁判所が定める。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。