国税徴収法 / テーマ別まとめ

財産の差押/通則

通則の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

財産の差押について、個々の財産の種類に関わらず共通して適用される基本ルールをまとめています。いつ差押えなければならないか、差し押さえてよい財産の範囲、第三者の権利との調整方法を定めるとともに、差押えの効力が果実や保険金にどこまで及ぶか、差押え時に徴収職員が行うべき調書作成・通知の事務も定めています。

通則
条文論点内容
47条差押の要件督促後10日で完納なしは差押
47条2項繰上請求時の差押要件該当なら直ちに差押可
48条1項超過差押の禁止必要な財産以外は差押不可
48条2項無益な差押の禁止価額が先順位債権超なし見込みなら不可
49条第三者の権利の尊重支障ない限り権利を害さぬよう努める
50条差押換の請求公売公告日まで請求可
51条相続時の差押まず相続財産を差押えるよう努める
52条果実への効力天然果実に及ぶ、法定果実は原則及ばず
52条の2仮登記担保財産への効力仮登記担保契約に関する法律を準用
53条保険財産への効力保険金請求権に及ぶ、通知で対抗
54条差押調書動産等は謄本を滞納者に交付
55条第三者への通知知れている権利者に通知
  • 第二次納税義務者・保証人については「督促状」を「納付催告書」と読み替える
  • 差押換の請求は公売公告日(随意契約による売却の場合はその売却の日)までに行う
  • 差押換の申立てから2月以内に差押え・換価しないと差押えを解除する(換価不可の法令適用時を除く)
  • 相続人の差押換の請求にも、新たに滞納処分の執行ができないとする規定にかかわらず差押えできる旨を準用する
  • 仮登記担保契約に関する法律第15条は「その決定」を「その差押え」等と読み替えて準用する
  • 差押調書の謄本交付は動産・有価証券、取立てできる債権、電話加入権等の財産に限る
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通則

通則について、条文は何を定めているか。

第47条差押の要件督促後10日で完納なければ差押える3項・2号判例 2件
  • 督促状発送日から10日経過しても完納なしなら差押える
  • 繰上請求の国税は納期限までに完納なしで差押える
  • 繰上請求事由が生じたら直ちに差押できる
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第48条超過差押及び無益な差押の禁止超過差押・無益な差押は禁止2項判例なし
  • 徴収に必要な財産以外は差押できない
  • 財産の価額が滞納処分費や先順位の債権額を超えない見込みなら差押できない
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第49条差押財産の選択に当つての第三者の権利の尊重第三者の権利をできる限り尊重1項判例なし
  • 差押財産の選択では第三者の権利をなるべく害さないよう努める
  • 滞納処分の執行に支障がない範囲内という条件がある
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第50条第三者の権利の目的となつている財産の差押換第三者は差押換を請求できる5項判例なし
  • 換価が容易な他の財産があれば公売公告日までに差押換を請求できる
  • 請求を認めない場合、税務署長はその旨を通知する
  • 通知から7日以内の申立てで、2月以内に差押・換価しないと解除
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第51条相続があつた場合の差押相続時はまず相続財産を差押3項判例なし
  • 相続人の財産差押ではまず相続財産を差押えるよう努める
  • 相続人固有財産が差押られた場合、換価容易な相続財産があれば差押換を請求できる
  • 請求を認めないときはその旨を相続人に通知する
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第52条果実に対する差押の効力差押の効力は天然果実に及ぶ2項判例 1件
  • 天然果実には差押の効力が及ぶ
  • 滞納者等が使用収益できる場合は換価による権利移転までに収取されない天然果実を除く
  • 法定果実には及ばないが債権差押後の利息には及ぶ
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第52_2条担保のための仮登記がある財産に対する差押えの効力仮登記担保財産への差押の効力1項判例なし
  • 担保のための仮登記がある財産の差押には仮登記担保契約に関する法律の規定を準用する
  • 「その決定」は「その差押え」、「申立てに基づく」は「ものである」と読み替える
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第53条保険に付されている財産に対する差押えの効力保険付き財産は保険金請求権に及ぶ2項判例なし
  • 損害保険や共済の目的物なら保険金・共済金請求権に効力が及ぶ
  • 保険者等への通知がなければ差押を対抗できない
  • 徴収職員が保険金等を受領した場合、事故時に先取特権等があれば支払前差押とみなす
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第54条差押調書差押調書を作成し謄本を交付1項・3号判例なし
  • 差押えたら差押調書を作成する
  • 動産・有価証券、取立てできる債権、電話加入権等は謄本を滞納者に交付する
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第55条質権者等に対する差押えの通知第三者の権利者等に差押を通知1項・3号判例なし
  • 質権者・抵当権者・仮登記権利者等に通知する
  • 仮差押え・仮処分をした裁判所や執行官にも通知する
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第47条国税徴収法

破産宣告後は破産財団に属する財産に対し新たに国税徴収法による差押をすることができるか

裁判要旨破産宣告後は、破産財団に属する財産に対し、財団債権である国税債権をもつて新たに国税徴収法による差押をすることはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和45年7月16日 昭和39(行ツ)47
登載
民集 第24巻7号879頁
参照法条
破産法47条2号,破産法71条,国税徴収法47条
論点2第47条国税徴収法

滞納者と他の者との共有に係る不動産の滞納者の持分に対する差押処分の取消訴訟と他の共有者の原告適格

裁判要旨滞納者と他の者との共有に係る不動産につき滞納者の持分が国税徴収法47条1項に基づいて差し押さえられた場合における他の共有者は,その差押処分の取消訴訟の原告適格を有する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成25年7月12日 平成24(行ヒ)156
登載
集民 第244号43頁
参照法条
行政事件訴訟法9条1項,国税徴収法47条1項,国税徴収法69条1項ただし書,国税徴収法69条2項
論点3第52条国税徴収法

一 担保仮登記がされている不動産に対する参加差押えが清算金支払債務の弁済前にされた場合と担保仮登記の権利者の本登記請求の可否
二 担保仮登記の権利者が仮登記担保契約に関する法律一五条一項〈法定納期限等以前に設定された質権の優先〉の規定により本登記請求をすることができない場合と目的不動産の引渡請求の可否

裁判要旨一 担保仮登記がされている不動産について、参加差押えが清算金の支払債務の弁済前(清算金がないときは、清算期間の経過前)にされた場合においては、先行してされていた国税の滞納処分による差押えが解除されていないときであつても、担保仮登記の権利者は、その仮登記に基づく本登記の請求をすることができない。
二 担保仮登記の権利者は、仮登記担保契約に関する法律一五条一項〈法定納期限等以前に設定された質権の優先〉の規定によりその仮登記に基づく本登記の請求をすることができない場合においても、同法二条所定の通知をし、その到達の日から二月を経過すれば、債務者に対し所有権に基づき目的不動産の引渡しを請求することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成3年4月19日 昭和63(オ)68
登載
民集 第45巻4号456頁
参照法条
仮登記担保契約に関する法律15条1項,国税徴収法52条の2,国税徴収法87条1項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

国税徴収法 第47条(差押の要件) 詳細ページ
(差押の要件)
第四十七条次の各号の一に該当するときは、徴収職員は、滞納者の国税につきその財産を差し押えなければならない。
一滞納者が督促を受け、その督促に係る国税をその督促状を発した日から起算して十日を経過した日までに完納しないとき。
二納税者が国税通則法第三十七条第一項各号(督促)に掲げる国税をその納期限(繰上請求がされた国税については、当該請求に係る期限)までに完納しないとき。
2国税の納期限後前項第一号に規定する十日を経過した日までに、督促を受けた滞納者につき国税通則法第三十八条第一項各号(繰上請求)の一に該当する事実が生じたときは、徴収職員は、直ちにその財産を差し押えることができる。
3第二次納税義務者又は保証人について第一項の規定を適用する場合には、同項中「督促状」とあるのは、「納付催告書」とする。
国税徴収法 第48条(超過差押及び無益な差押の禁止) 詳細ページ
(超過差押及び無益な差押の禁止)
第四十八条国税を徴収するために必要な財産以外の財産は、差し押えることができない。
2差し押えることができる財産の価額がその差押に係る滞納処分費及び徴収すべき国税に先だつ他の国税、地方税その他の債権の金額の合計額をこえる見込がないときは、その財産は、差し押えることができない。
国税徴収法 第49条(差押財産の選択に当つての第三者の権利の尊重) 詳細ページ
(差押財産の選択に当つての第三者の権利の尊重)
第四十九条徴収職員は、滞納者(譲渡担保権者を含む。第七十五条、第七十六条及び第七十八条(差押禁止財産)を除き、以下同じ。)の財産を差し押えるに当つては、滞納処分の執行に支障がない限り、その財産につき第三者が有する権利を害さないように努めなければならない。
国税徴収法 第50条(第三者の権利の目的となつている財産の差押換) 詳細ページ
(第三者の権利の目的となつている財産の差押換)
第五十条質権、抵当権、先取特権(第十九条第一項各号(不動産保存の先取特権等)又は第二十条第一項各号(不動産賃貸の先取特権等)に掲げる先取特権に限る。この項を除き、以下同じ。)、留置権、賃借権その他第三者の権利(これらの先取特権以外の先取特権を除く。以下同じ。)の目的となつている財産が差し押えられた場合には、その第三者は、税務署長に対し、滞納者が他に換価の容易な財産で他の第三者の権利の目的となつていないものを有し、かつ、その財産によりその滞納者の国税の全額を徴収することができることを理由として、その財産の公売公告の日(随意契約による売却をする場合には、その売却の日)までに、その差押換を請求することができる。
2税務署長は、前項の請求があつた場合において、その請求を相当と認めるときは、その差押換をしなければならないものとし、その請求を相当と認めないときは、その旨をその第三者に通知しなければならない。
3前項の通知があつた場合において、その通知を受けた第三者が、その通知を受けた日から起算して七日を経過した日までに、第一項の規定により差し押えるべきことを請求した財産の換価をすべきことを申し立てたときは、その財産が換価の著しく困難なものであり、又は他の第三者の権利の目的となつているものであるときを除き、これを差し押え、かつ、換価に付した後でなければ、同項に規定する第三者の権利の目的となつている財産を換価することができない。
4税務署長は、前項の場合において、同項の申立があつた日から二月以内にその申立に係る財産を差し押え、かつ、換価に付さないときは、第一項に規定する第三者の権利の目的となつている財産の差押を解除しなければならない。ただし、国税に関する法律の規定で換価をすることができないこととするものの適用があるときは、この限りでない。
5第二項又は前項の差押は、国税に関する法律の規定で新たに滞納処分の執行をすることができないこととするものにかかわらず、することができる。
国税徴収法 第51条(相続があつた場合の差押) 詳細ページ
(相続があつた場合の差押)
第五十一条徴収職員は、被相続人の国税につきその相続人の財産を差し押える場合には、滞納処分の執行に支障がない限り、まず相続財産を差し押えるように努めなければならない。
2被相続人の国税につき相続人の固有財産が差し押えられた場合には、その相続人は、税務署長に対し、他に換価が容易な相続財産で第三者の権利の目的となつていないものを有しており、かつ、その財産により当該国税の全額を徴収することができることを理由として、その差押換を請求することができる。
3税務署長は、前項の請求があつた場合において、その請求を相当と認めるときは、その差押換をしなければならないものとし、その請求を相当と認めないときは、その旨を当該相続人に通知しなければならない。この場合においては、前条第五項の規定を準用する。
国税徴収法 第52条(果実に対する差押の効力) 詳細ページ
(果実に対する差押の効力)
第五十二条差押の効力は、差し押えた財産(以下「差押財産」という。)から生ずる天然果実に及ぶ。ただし、滞納者又は第三者が差押財産の使用又は収益をすることができる場合には、その財産から生ずる天然果実(その財産の換価による権利の移転の時までに収取されない天然果実を除く。)については、この限りでない。
2差押の効力は、差押財産から生ずる法定果実に及ばない。ただし、債権を差し押えた場合における差押後の利息については、この限りでない。
国税徴収法 第52_2条(担保のための仮登記がある財産に対する差押えの効力) 詳細ページ
(担保のための仮登記がある財産に対する差押えの効力)
第五十二条の二仮登記担保契約に関する法律第十五条(強制競売等の場合の担保仮登記)(同法第二十条(土地等の所有権以外の権利を目的とする契約への準用)において準用する場合を含む。)の規定は、担保のための仮登記がある財産が差し押さえられた場合について準用する。この場合において、同法第十五条中「その決定」とあるのは「その差押え」と、「申立てに基づく」とあるのは「ものである」と読み替えるものとする。
国税徴収法 第53条(保険に付されている財産に対する差押えの効力) 詳細ページ
(保険に付されている財産に対する差押えの効力)
第五十三条差押財産が損害保険に付され、又は中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の七の二第一項(火災共済事業)の規定による共済その他法律の規定による共済でこれに類するものの目的となつているときは、その差押えの効力は、保険金又は共済金の支払を受ける権利に及ぶ。ただし、財産を差し押さえた旨を保険者又は共済事業者に通知しなければ、その差押えをもつてこれらの者に対抗することができない。
2徴収職員が差押に係る前項の保険金又は共済金の支払を受けた場合において、その財産がその保険又は共済に係る事故が生じた時に先取特権、質権又は抵当権の目的となつていたときは、その先取特権者、質権者又は抵当権者は、民法第三百四条第一項ただし書(先取特権の物上代位)その他これらの権利の行使のためその保険金又は共済金の支払を受ける権利をその支払前に差し押えることを必要とする規定の適用については、その支払前にその差押をしたものとみなす。
国税徴収法 第54条(差押調書) 詳細ページ
(差押調書)
第五十四条徴収職員は、滞納者の財産を差し押さえたときは、差押調書を作成し、その財産が次に掲げる財産であるときは、その謄本を滞納者に交付しなければならない。
一動産又は有価証券
二債権(電話加入権、賃借権、第七十三条の二(振替社債等の差押え)の規定の適用を受ける財産その他取り立てることができない債権を除く。以下この章において同じ。)
三第七十三条(電話加入権等の差押え)又は第七十三条の二(振替社債等の差押え)の規定の適用を受ける財産
国税徴収法 第55条(質権者等に対する差押えの通知) 詳細ページ
(質権者等に対する差押えの通知)
第五十五条次の各号に掲げる財産を差し押さえたときは、税務署長は、当該各号に掲げる者のうち知れている者に対し、その旨その他必要な事項を通知しなければならない。
一質権、抵当権、先取特権、留置権、賃借権その他の第三者の権利(担保のための仮登記に係る権利を除く。)の目的となつている財産これらの権利を有する者
二仮登記がある財産仮登記の権利者
三仮差押え又は仮処分がされている財産仮差押え又は仮処分をした保全執行裁判所又は執行官
出

一次情報

原文ママ

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