論点1第258条刑法
違法な取調のもとで作成中の供述録取書と刑法二五八条にいう「公務所ノ用ニ供スル文書」
裁判要旨違法な取調のもとに作成されつつあつた供述録取書であつても、既に文書としての意味、内容を備えるに至つているものであるときは、刑法
二五八条〈公用文書等毀棄〉にいう「公務所ノ用ニ供スル文書」にあたる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和57年6月24日 昭和54(あ)1647
- 登載
- 刑集 第36巻5号646頁
- 参照法条
- 刑法258条,刑訴法198条,刑訴法223条
論点2第258条刑法
捜索差押令状による差押物件について公文書毀棄罪の成立を認めたことが憲法二一条、三五条に違反する旨の主張が欠前提とされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和56年9月18日 昭和55(あ)300
- 登載
- 集刑 第223号321頁
- 参照法条
- 憲法21条,憲法35条,刑法258条
論点3第258条刑法
公務員の作成中の文書と刑法二五八条にいう「公務所ノ用ニ供スル文書」
裁判要旨公務員が公務所の作用として職務権限に基づいて作成中の文書は、それが文書としての意味、内容を備えるに至つた以上、刑法
二五八条〈公用文書等毀棄〉にいう「公務所ノ用ニ供スル文書」にあたる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和52年7月14日 昭和51(あ)1202
- 登載
- 刑集 第31巻4号713頁
- 参照法条
- 刑法258条
論点4第258条刑法
上告審において真犯人が別にいることを検察官が認めたことにより原判決に事実誤認の疑いがあるとして破棄自判(無罪)された事例
裁判要旨公文書毀棄の公訴事実を肯認しうる証拠として犯行を目撃したとするYの証言しかなく、被告人は一貫として犯行を否認し、被告人にとって有利なFほか四名の証言も存在する場合に、上告審になって、真犯人が別におり起訴猶予処分に付された旨の検察官の答弁書が提出されたときは、前記Yの証言を信用して被告人に対し有罪の言渡をした一、二審判決には重大な事実誤認の疑いがあるものとしてこれを破棄すべきものである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和47年2月10日 昭和46(あ)1136
- 登載
- 集刑 第183号111頁
- 参照法条
- 刑訴法411条3号,刑法258条
論点5第258条刑法
未完成の供述録取書は刑法第二五八条にいう公務所の用に供する文書にあたるか
裁判要旨司法警察員が被疑者の供述を録取した調書は、いまだ被疑者および司法警察員の署名押印がなくても、刑法
第二五八条〈公用文書等毀棄〉にいう公務所の用に供する文書にあたるものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和43年5月15日 昭和42(あ)2694
- 登載
- 集刑 第167号167頁
- 参照法条
- 刑法258条,刑訴法198条
論点6第258条刑法
一 刑法第二五八条〈公用文書等毀棄〉にいう「公務所ノ用ニ供スル文書」の意義
二 公文書毀棄罪にあたるとされた事例
裁判要旨一 刑法
第二五八条〈公用文書等毀棄〉にいう「公務所ノ用ニ供スル文書」とは、公務所において現に使用し又は使用に供する目的で保管している文書を総称しその文書が証明の用に供せられるべき性質を有することを要するものではない。
二 日本国有鉄道の駅職員が列車の遅延、運転中止を告げ、これを詫びる旨白墨で記載して駅待合室に提示した急告板を勝手に取りはずし、その記載文言を抹消する行為は、公文書毀棄罪を構成する。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和38年12月24日 昭和37(あ)1191
- 登載
- 刑集 第17巻12号2485頁
- 参照法条
- 刑法258条
論点7第258条刑法
公文書毀棄罪の成立する事例。
裁判要旨A委員会議事録が未だ所定の署名者の署名押印を終つていない場合においても、既に会長の押印を終つて一般の閲覧に供せられるようになつた以上、その一部の除去は公文書毀棄罪になる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和33年9月5日 昭和33(あ)1155
- 登載
- 刑集 第12巻13号2858頁
- 参照法条
- 刑法258条
論点8第258条刑法
一 未完成の弁解録取書は刑法第二五八条の「公務所ノ用ニ供スル文書」にあたるか
二 公文書毀棄罪の成立する一事例
裁判要旨司法警察員が刑訴
二〇三条〈未遂罪〉に基き被疑者に対し被疑事実の要旨および弁護人を選任し得る旨を告げ、被疑者がこれに対する供述をしたので、その旨を記載した弁解録取書原本を執筆し、これを読み聞かせ誤の有無を問うたところ被疑者が黙秘したため、司法警察員がその旨の文言の一部を末尾に記載した場合においては、いまだ被疑者および司法警察員の署名押印がなくても、右弁解録取書は、刑法
第二五八条〈公用文書等毀棄〉にいわゆる「公務所ノ用ニ供スル文書」と解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和32年1月29日 昭和29(あ)2424
- 登載
- 刑集 第11巻1号325頁
- 参照法条
- 刑法258条,刑訴法203条,刑訴規則58条
論点9第258条刑法
一 刑法第二五八条〈公用文書等毀棄〉にいわゆる「公務所ノ用ニ供スル文書」にあたる事例
二 封印破毀罪と公文書毀棄罪とは牽連犯となるか
裁判要旨一 収税官吏が所得税法反則事件につきその必要ありと認めて差し押えた帳簿書類は、公文書毀棄罪にいわゆる公務所の用に供する文書にあたる。
二 封印破毀罪と公文書毀棄罪とはいわゆる牽連犯にあたらない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和28年7月24日 昭和27(あ)1647
- 登載
- 刑集 第7巻7号1638頁
- 参照法条
- 刑法96条,刑法258条,刑法54条1項
論点10第259条刑法
一 刑法二五九条〈私用文書等毀棄〉の「権利、義務ニ関スル他人ノ文書」には小切手も含まれるか
二 同条の罪が成立するためには文書を有形的に毀損することを要するか
裁判要旨一 刑法
二五九条〈私用文書等毀棄〉の「権利、義務ニ関スル他人ノ文書」には、有価証券である小切手も含まれる。
二 同条にいわゆる文書を毀棄したというためには、必ずしもこれを有形的に毀損することを要せず、隠匿その他の方法によつて、その文書を利用することができない状態におくことをもつて足りる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和44年5月1日 昭和43(あ)429
- 登載
- 刑集 第23巻6号907頁
- 参照法条
- 刑法259条
論点11第260条刑法
刑法二六〇条〈建造物等損壊及び同致死傷〉の「他人ノ」建造物に当たるとされた事例
裁判要旨被告人所有の建物につき根抵当権の設定を受けた甲が抵当権実行の結果自らこれを競落して、同人に対する所有権移転登記が経由された後、執行官が右建物につき不動産引渡命令の執行をしようとした際、被告人が同建物の損壊に及んだ等の判示の事実関係の下では、たとえ被告人が右根抵当権設定の意思表示は甲の側の詐欺によるものとしてこれを取り消したから同建物は依然として自己所有の物であると主張し、将来民事訴訟等において右詐欺の主張が認められる可能性を否定し去ることができないとしても、同建物は刑法260条の「他人ノ」建造物に当たるというべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和61年7月18日 昭和58(あ)1072
- 登載
- 刑集 第40巻5号438頁
- 参照法条
- 刑法260条
論点12第260条刑法
いわゆる東北電々ビルビラ貼り事件
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和57年3月18日 昭和55(あ)559
- 登載
- 集刑 第225号915頁
- 参照法条
- 刑法260条
論点13第260条刑法
解体材料を領得する目的で建造物を解体しその材料を領得した場合と建造物損壊罪の成否
裁判要旨建造物の解体材料を領得する目的で、他人の工場を解体し、その材料を領得した場合には、窃盗罪のほかに、建造物損壊罪が成立する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和43年5月24日 昭和42(あ)1530
- 登載
- 集刑 第167号365頁
- 参照法条
- 刑法260条,刑法235条
論点14第260条刑法
いわゆる闘争手段としてのビラ貼り行為が刑法第二六〇条の建造物損壊および同法第二六一条の器物損壊に該当するとされた事例
裁判要旨会社の労働組合執行委員長等の地位にある被告人らが、多数の労働組合員と共謀のうえ、会社当局に対するいわゆる闘争手段として、四つ切大の新聞紙等に要求事項を記載したビラを、会社本社の二階事務室に至る階段の壁、同事務室の壁、社長室の扉の外側、同室内部の壁に約五〇枚、同事務室の窓ガラス、入口引戸、書棚、社長室の窓ガラス、衝立に約三〇枚、それぞれ糊を用いて貼りつけ、これらのビラの大部分を会社側がはがしたあとに合計五〇枚の同様のビラを貼りつけ、更にその大部分を会社側がはがしたあとに合計六〇枚の同様のビラを貼りつけ、更にその一部分を会社側がはがしただけで相当数が残存しているところに重複して合計約八〇枚の同様のビラを貼りつけた行為は、原審の認定した事実関係(原判文参照)のもとにおいては、刑法
第二六〇条〈建造物等損壊及び同致死傷〉の建造物損壊および同法第二六一条の器物損壊に該当する。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和43年1月18日 昭和42(あ)1078
- 登載
- 刑集 第22巻1号32頁
- 参照法条
- 刑法260条,刑法261条
論点15第260条刑法
いわゆる闘争手段としてのビラ貼り行為が刑法第二六〇条にいう建造物の損壊に該当するとされた事例
裁判要旨A公社職員をもつて構成するB労働組合東海地方本部副執行委員長等の地位にある被告人らが、多数の者と共謀の上、闘争手段として、当局に対する要求事項を記載したビラを、建造物またはその構成部分たる同公社東海電気通信局庁舎の壁、窓ガラス戸、ガラス扉、シヤツター等に、三回にわたり糊で貼付した所為は、ビラの枚数が一回に約四、五百枚ないし約二五〇〇枚という多数であり、貼付方法が同一場所一面に数枚、数十枚または数百枚を密接集中させて貼付したこと等原審の認定した事実関係(原判文参照)のもとにおいては、右建造物の効用を減損するものであり、刑法
第二六〇条〈建造物等損壊及び同致死傷〉にいう建造物の損壊に該当する。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和41年6月10日 昭和40(あ)137
- 登載
- 刑集 第20巻5号374頁
- 参照法条
- 刑法260条
論点16第260条刑法
一 いわゆる闘争手段としてのビラ貼り行為が建造物損壊罪、器物損壊罪を構成しないものとされた事例。
二 建造物損壊罪並びに暴力行為等処罰ニ関スル法律違反の罪(器物損壊を内容とする)として起訴された事実を軽犯罪法第一条第三三号に該当する事実と認定する場合と公訴の時効。
裁判要旨一 駅長室の一部である室内の板壁や、白壁の下部の腰板に国鉄当局に対する要求事項等を墨書ないし印刷したビラ三四枚を、室内硝子窓、出入口の硝子戸、木製衝立等に同様のビラ三〇米を、メリケン粉製の糊でそれぞれ貼り付けた行為は、いまだ刑法上の建造物損壊罪ないし器物破損罪を構成するものでないと解するものを相当する。
二 検察官が犯行後一年一月余を経過したときに建造物損壊罪並びに暴力行為等処罰ニ関スル法律違反の罪(器物損害を内容とする)として公訴を提起いた公訴事実を、裁判所が軽犯罪法第一条第三三号に該当する事実と認めるときは、被告人に対し公訴時効が完成したものとして免訴の言渡をすべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和39年11月24日 昭和37(あ)468
- 登載
- 刑集 第18巻9号610頁
- 参照法条
- 刑法260条,刑法261条,暴力行為等処罰ニ関スル法律(昭和39年法律114号による改正前のもの)1条1項,軽犯罪法1条33号,刑訴法250条,刑訴法337条4号,刑訴法411条1号
論点17第260条刑法
自己所有にかかる建物につき根抵当権の設定されていることを知りながら、右建物を完全に解体した所為と擬律。
裁判要旨原判決が挙示の証拠により確定した事実関係の下において、被告人が自己所有にかかる判示建物につき債権者甲のために根抵当権の設定されていることを知りながら(右根抵当権は被告人に抵抗できる関係にあつた)、人夫十数名を使役して右建物を完全に解体した所為を刑法第二六二条、同
第二六〇条〈建造物等損壊及び同致死傷〉前段に該当するものとした原判決の判断は正当として是認すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和38年10月3日 昭和37(あ)589
- 登載
- 集刑 第148号675頁
- 参照法条
- 刑法262条,刑法260条前段
論点18第260条刑法
建造物損壊罪の成立する事例。
裁判要旨他人所有の土蔵の構成部分たる屋根の一部を所有者の承諾なくして切断するときは、建造物損壊罪が成立するとした原判示は正当である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和36年6月22日 昭和33(あ)1779
- 登載
- 集刑 第138号531頁
- 参照法条
- 刑法260条
論点19第260条刑法
建造物損壊と自救行為
裁判要旨被告人がその所有家屋(店舗)を増築する必要上、自己の借地内につきでていたA所有家屋の玄関の軒先を間口八尺奥行一尺にわたりAの承諾をえないで切り取つた場合において、右玄関はAが建築許可を受けないで不法に増築したものであり、また被告人の店舗増築は経営の危機を打開するため遷延を許さない事情にあつて、右軒先の切除によりAのこうむる損害に比しこれを放置することにより被告人の受ける損害は甚大であつてとしても、被告人の右建造物損壊行為が自救行為としてその違法性を阻却されるものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和30年11月11日 昭和28(あ)5224
- 登載
- 刑集 第9巻12号2438頁
- 参照法条
- 刑法35条,刑法260条
論点20第260条刑法
1 建造物に取り付けられた物が建造物損壊罪の客体に当たるか否かの判断基準
2 住居の玄関ドアが建造物損壊罪の客体に当たるとされた事例
裁判要旨1 建造物に取り付けられた物が建造物損壊罪の客体に当たるか否かは,当該物と建造物との接合の程度のほか,当該物の建造物における機能上の重要性をも総合考慮して決すべきである。
2 住居の玄関ドアとして,外壁と接続し,外界とのしゃ断,防犯,防風,防音等の重要な役割を果たしている物(判文参照)は,適切な工具を使用すれば損壊せずに取り外しが可能であるとしても,建造物損壊罪の客体に当たる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成19年3月20日 平成18(あ)2197
- 登載
- 刑集 第61巻2号66頁
- 参照法条
- (1,2につき)刑法260条前段
論点21第260条刑法
公園内の公衆便所の外壁にラッカースプレーでペンキを吹き付け「反戦」等と大書した行為が刑法260条前段にいう建造物の「損壊」に当たるとされた事例
裁判要旨公園内の公衆便所の白色外壁に,ラッカースプレーで赤色及び黒色のペンキを吹き付け,「反戦」,「戦争反対」及び「スペクタクル社会」と大書し,その建物の外観ないし美観を著しく汚損し,原状回復に相当の困難を生じさせた行為は,刑法
260条〈建造物等損壊及び同致死傷〉前段にいう建造物の「損壊」に当たる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成18年1月17日 平成16(あ)2154
- 登載
- 刑集 第60巻1号29頁
- 参照法条
- 刑法260条
論点22第261条刑法
一 街頭に掲示された政党の演説会告知用ポスターに表示された政党幹部の肖像写真や氏名の部分などに「殺人者」などと刷られたシールを貼りつけた所為が暴力行為等処罰に関する法律一条〈国内犯〉(刑法二六一条〈器物損壊等〉)の罪にあたるとされた事例
二 公職選挙法一二九条、一四三条一項に違反するポスターと暴力行為等処罰に関する法律一条(刑法二六一条)の罪の客体
裁判要旨一 被告人らが共同して街頭に掲示された政党の演説会告知用ポスターに表示された政党幹部の肖像写真や氏名の部分などに「殺人者」などと刷られたシールを貼りつけた所為(原判文参照)は、右ポスターの効用を滅却したものとして暴力行為等処罰に関する法律
一条〈国内犯〉(刑法
二六一条〈器物損壊等〉)の罪にあたる。
二 ポスターの掲示が公職選挙法一二九条、一四三条一項に違反するものであつても、そのことから直ちに右ポスターが暴力行為等処罰に関する法律
一条(刑法
二六一条)の罪の客体として保護されないものとはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和55年2月29日 昭和54(あ)809
- 登載
- 刑集 第34巻2号56頁
- 参照法条
- 暴力行為等処罰に関する法律1条,刑法261条,公職選挙法129条,公職選挙法143条1項
論点23第261条刑法
いわゆる闘争手段としてのビラ貼り行為について、暴力行為等処罰に関する法律一条〈国内犯〉(刑法二六一条〈器物損壊等〉)の罪が成立するとされた事例
裁判要旨多数の者とともに、会社当局に対する争議手段として、一頁大の新聞紙に、「犬と社長の通用口」「吸血ババA」「社長生かすも殺すもなまず舌三寸」「ナマズ釣つてもオカズナラヌ見れば見るほど胸が悪」等主として、会社社長らを誹謗する文言などを墨書したビラ約六一枚を、会社事務所の窓や扉のガラスに洗濯糊をもつて乱雑に貼りつけた行為は、原審の認定した事実関係(原判文参照)のもとにおいては、右窓ガラスや扉のガラスとしての効用を著しく減損するものであり、争議行為の手段として相当ではなく、暴力行為等処罰に関する法律
一条〈国内犯〉(刑法
二六一条〈器物損壊等〉)の罪が成立する。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和46年3月23日 昭和44(あ)1876
- 登載
- 刑集 第25巻2号239頁
- 参照法条
- 暴力行為等処罰に関する法律1条,刑法261条,刑法35条,労働組合法1条2項
論点24第261条刑法
タクシー会社の労働争議において組合側が会社のタクシーの車検およびキーを抑留保管しあるいはタクシーの車輪を取りはずすなどする行為の正当性
裁判要旨組合員の多数の者が暴力によつて会社のタクシーの車検およびキーを奪取し、あるいは多衆共同してその車輪を取りはずすなどする行為、ならびに会社社長の返還要求にもかかわらず、人の意思を制圧する勢力を示して、非組合員の乗務する車両を含め会社のタクシーの車検およびキーの返還を拒絶し組合側において抑留保管する行為は、正当な争議行為の範囲を超えるものであつて、威力業務妨害罪および暴力行為等処罰に関する法律違反の罪を構成する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和45年12月17日 昭和44(あ)446
- 登載
- 集刑 第178号897頁
- 参照法条
- 刑法234条,刑法261条,刑法35条,暴力行為等処罰に関する法律1条1項,労働組合法1条2項
論点25第261条刑法
刑訴法第四一一条にあたらないとされた事例。―器物損壊罪において第一審が被害者を誤認しかつ訴訟条件を欠くのに有罪とした場合の控訴審の処置―
裁判要旨記録によれば、一審判決が、本件器物損壊の被害者はAであると認定し、同人からの適法な告訴がないのに、被告人らを有罪としたのに対し、原判決は、被害者はBであり、同人からの適法な告訴があつたことが認められるから、一審判決の右事実誤認は、犯罪の成否に影響を及ぼさない事項に属するとして、被告人らの控訴を棄却したことが認められる。しかし、一審判決の認定した事実を基礎とすれば、本件は訴訟条件を欠き、公訴棄却の裁判がなされるべき場合であつたのであるから、これを目して犯罪の成否に影響を及ぼさない事実誤認として、そのまま控訴を棄却した原審の処置は、相当ではなかつたといわなければならない。しかしながら、原審の認定するところによれば、本件被害者はBであり、また、その認定を肯認するに足りる証拠も存在する。そうだとすれば、訴訟条件も完備しているのであるから、原判決の前記判断のあやまりも、未だ判決に影響を及ぼすべき法令違反とはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和40年12月14日 昭和39(あ)1778
- 登載
- 集刑 第157号433頁
- 参照法条
- 刑訴法411条,刑法261条,刑法264条
論点26第261条刑法
一 器物毀棄罪を構成する事例
二 右の場合乙の告訴は適法か
裁判要旨一 登記簿上被告人の所有名義なるも、その承諾を得て甲が耕作し、後甲老齢のため長男乙が事実上耕作してきた水田につき、その所有権の帰属、耕作権の有無に関して係争中、被告人がほしいままに、乙が植付け所有する稲苗を抜き取り土中に埋めるなどする所為は、器物毀棄罪を構成する。
二 右の場合乙は器物毀棄罪の被害者にあたり、乙のした告訴は適法である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和35年3月22日 昭和32(あ)276
- 登載
- 集刑 第132号613頁
- 参照法条
- 刑法261条,刑法264条,刑訴法230条
論点27第261条刑法
一 応訴して自己の所有権を主張・抗争する所為は横領罪を構成するか
二 器物損壊罪を構成する事例
三 右の場合地方公共団体(長)の告訴は適法か
裁判要旨一 登記簿上自己が所有名義人となつて預り保管中の不動産につき所有権移転登記手続請求の訴を提起された場合に、右不動産に対する不法領得意思の確定的発現として、右訴訟において自己の所有権を主張・抗争する所為は、不動産の横領罪を構成する。
二 土地の持分に対し貸借権の設定登記を受けた者が、すでに右土地に対し貸借権の設定を受けていた地方公共団体において、その設置かつ管理る高等学校の工程として使用していた場合に、実力をもつて工程にアパート建築現場と墨書した立札を掲げ、巾六間長さ約二〇間の範囲で二箇所にわたり地中に杭を打込み板付けをして、もつて保健体育の授業その他生徒の課外活動に支障を生ぜしめたときは、器物損壊罪を構成する。
三 右の場合、告訴権者は地方公共団体に設けられている教育委員会であるが、地方公共団体(長)も適法な告訴権を有する。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和35年12月27日 昭和34(あ)2368
- 登載
- 刑集 第14巻14号2229頁
- 参照法条
- 刑法252条,刑法261条,教育委員会法(昭和31年9月30日廃止前のもの)48条,教育委員会法(昭和31年9月30日廃止前のもの)49条,地方教育行政の組織及び運営に関する法律23条,地方教育行政の組織及び運営に関する法律24条,地方教育行政の組織及び運営に関する法律28条,地方教育行政の組織及び運営に関する法律30条
論点28第261条刑法
刑法第二六一条〈器物損壊等〉の器物毀棄罪と告訴権者。
裁判要旨地方裁判所支部庁舎の玄関扉のガラス等を破壊した器物毀棄の罪については、当該地方裁判所長が適法な告訴権を有する。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和33年7月10日 昭和33(あ)380
- 登載
- 刑集 第12巻11号2500頁
- 参照法条
- 刑法261条,刑法264条,刑訴法230条,国有財産法2条1項,国有財産法3条,国有財産法5条,下級裁判所会計事務規程2条,下級裁判所会計事務規程87条
論点29第261条刑法
一 刑法第二六一条〈器物損壊等〉の器物損壊罪が成立する事例
二 刑法第一三〇条〈住居侵入等〉にいう「人ノ看守スル邸宅」と認められる事例
裁判要旨一 労働争議中、労組組合員が、某会社の二階庇に掲げてあつた第二組合の木製看板を取り外し、これを同所から一四〇米離れた他家の板塀内に投げ棄てた場合および同会社の事務所土間に置いてある第二組合員家族より同組合員宛ての輸送小荷物に取りつけてあつた荷札を剥ぎ取り、これを持ち去つた場合には、いずれも刑法第二六一条の器物損壊罪が成立する。
二 石垣や煉瓦塀で囲まれて一般民家とは区劃せられ、責任者があつて看守し、三方に門があつて、その門にはいずれも木製観音開きの戸がついており、内側から閂で閉めるような仕組になつていて、毎晩定時に責任者がこれ等の門を閉めることになつており、内に社宅約二〇戸がある区劃内は刑法第一三〇条にいう「人ノ看守スル邸宅」にあたる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和32年4月4日 昭和31(あ)2696
- 登載
- 刑集 第11巻4号1327頁
- 参照法条
- 刑法261条,刑法130条,軽犯罪法1条33号,軽犯罪法1条32号,労働組合法1条
論点30第261条刑法
器物損壊罪における告訴権者 ―法廷の椅子の管理者―
裁判要旨所論告訴状名義者はいずれも本件器物の管理者であつて、告訴権を有するものであることは裁判所会計事務に関する規定上明らかである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和29年7月14日 昭和29(あ)1287
- 登載
- 集刑 第97号365頁
- 参照法条
- 刑法261条,刑訴法230条,下級裁判所会計事務規程
論点31第261条刑法
毀棄並びに窃盗罪について犯意を欠く一事例(非刑罰放棄の錯誤は犯意を阻却するか)
裁判要旨被告人が飼犬証票なく且つ飼主分明ならざる犬は無主犬と看做す旨の警察規則を誤解した結果鑑札をつけていない犬は他人の飼犬であつても直ちに無主の犬と看做されるものと誤信し他人所有の犬を撲殺し、その皮を剥いだ場合は器物毀棄並びに窃盗罪の犯意を欠く。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和26年8月17日 昭和25(れ)1242
- 登載
- 刑集 第5巻9号1789頁
- 参照法条
- 刑法38条1項,刑法38条3項,刑法235条,刑法261条
論点32第261条刑法
一 削除又は挿入の部分に裁判所書記の捺印を欠いた調書の効力
二 法の不知と毀棄罪の成立
裁判要旨一 調書中削除又は挿入の部分に裁判所書記の捺印を欠いても、これがために右調書の無効を来たすものではない。
二 耕作権があるから法律上許されるものと信じていたとしても、いやしくも他人の植えつけた稲苗であることを認識しながらこれを抜き取つた行為は、毀棄の罪に該当する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和25年5月26日 昭和24(オ)54
- 登載
- 民集 第4巻5号191頁
- 参照法条
- 民訴法143条,刑法38条,刑法261条
論点33第262条刑法
境界標を損壊しても境界が不明にならない場合と境界毀損罪の成否
裁判要旨境界標を損壊しても、いまだ境界が不明にならない場合には、境界毀損罪は成立しないものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和43年6月28日 昭和42(あ)2891
- 登載
- 刑集 第22巻6号569頁
- 参照法条
- 刑法262条ノ2
論点34第262条刑法
封印又は差押の標示された物自体を損壊する場合と刑法第九六条及び第二六二条の両罪の成立
裁判要旨論旨引用の大審院大正五年(れ)第二八七七号同六年二月六日宣告の判決は執達吏が強制執行のため差押をなし封印を施した穀類の一部を窃取し封印を破棄した事案に関するものであるが、別段刑法九六条の罪の成立を否定したものではなく、却つて同罪と窃盗罪の両罪の成立を認めた趣旨である。そして、原判決も封印又は差押の標示された物自体を損壊することによつて他人の権利を害し同時に封印又は差押の標示を無効ならしめた場合には刑法九六条の罪と同法二六二条の罪の両罪が成立する旨判決していることは判文上極めて明かであつて、前記大審院の判決と何ら相牴触するものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和27年6月3日 昭和25(あ)1624
- 登載
- 集刑 第65号13頁
- 参照法条
- 刑法96条,刑法262条