一 特別法であつても、罰金の寡額が刑法第一五条によつて定められる場合には、その寡額の引上は、罰金等臨時措置法第四条によるのではなく、同法第二条第一項の規定によるものである。
二 検察官が供述調書を作成する際にこれを供述者に読み聞けなかつたとしても、その一事のみによつて供述調書がただちに証拠能力を失うことにはならない。
三 債務の一部弁済があつた場合に特段の規定または合意のないかぎりは、公法関係においても民法第四八九条の規定に従うものと解するのが相当である。
四 民法
第四八九条第二号〈元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当〉の弁済の利益は、財産上の利益を指称し、刑事上の責任の有無を含まない。
五 失業保険法第五三条第三号は、自ら保険料を控除した者が、これを所定期日までに納付しなかつた場合はもとより、その前任者が控除したことを知りながら、所定期日までに納付しなかつた者をも処罰するものと解すべきである。
六 自ら失業保険料を控除した者であつても、所定の納付期日にはこれを納付すべき地位を去つた者については、失業保険法第五三条第三号の罪は成立しない。
七 失業保険法第三四条(改正前のもの)、同法施行令第一〇条にいわゆる翌月末日とは、それが前月の遅延分であつても、実際に失業保険料を控除した日から起算して翌月末日と解すべきである。
八 失業保険法第五五条の規定により会社が従業者等の違反行為につき責任を負うべき場合において、責任を負うべき従業者等が異る場合においては、会社についても公訴事実を異にするものと解すべきである。