手形法 / テーマ別まとめ

為替手形/引受拒絶又ハ支払拒絶ニ因ル遡求

引受拒絶又ハ支払拒絶ニ因ル遡求の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

為替手形の引受又は支払が拒絶されたとき、所持人が裏書人・振出人などに遡求(手形金の返還請求)できる要件と、その証明方法・通知義務・請求できる金額・失権期間などを定めた規定です。満期前でも遡求できる場合や、拒絶証書の作成が不要・簡略化される場合、不可抗力で期限が延びる場合なども含まれます。実務担当者が手形の不渡り対応を進める際に確認すべき手続と期限をまとめています。

引受拒絶又ハ支払拒絶ニ因ル遡求
場面必要な手続期間・数値
満期に支払なし支払呈示+拒絶証書支払日から2取引日内
引受拒絶(満期前も可)引受拒絶証書引受呈示期間内
支払人の破産手続開始決定の裁判書提出のみ期間の定めなし
支払人の支払停止・強制執行不奏功呈示+拒絶証書必要―
拒絶の通知裏書人・振出人へ通知拒絶証書作成日翌日から4取引日内
遡求権の失権呈示・拒絶証書作成期間の徒過期間経過で消滅(引受人除く)
  • 無費用償還文句がある場合の通知期限は呈示日の翌日から4取引日以内
  • 支払人の支払停止・強制執行不奏功では呈示・拒絶証書作成後でなければ遡求権を行使できない
  • 拒絶証書不要の文言があっても法定期間内の呈示・通知義務は免除されない
  • 振出人が定めた引受呈示期間内に呈示しないと支払拒絶・引受拒絶による遡求権を失う(但し書きあり)
  • 不可抗力が満期から30日を超えて継続するときは呈示・拒絶証書作成なしで遡求できる
  • 所持人等の単純な人的事由は不可抗力に当たらない
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引受拒絶又ハ支払拒絶ニ因ル遡求

引受拒絶又ハ支払拒絶ニ因ル遡求について、条文は何を定めているか。

第43条満期前でも遡求できる場合を定める1項・3号判例 7件
  • 満期に支払がなければ遡求権を行使できる
  • 引受の全部・一部拒絶があれば満期前でも遡求できる
  • 支払人の破産・支払停止・強制執行不奏功や、呈示禁止手形の振出人破産でも満期前遡求可
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第44条拒絶は拒絶証書で証明すると定める6項判例 2件
  • 引受拒絶・支払拒絶は拒絶証書(公正証書)で証明する
  • 支払人の支払停止・強制執行不奏功では呈示と拒絶証書作成後でなければ遡求できない
  • 支払人等が破産手続開始決定を受けた場合は決定の裁判書提出で足りる
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第45条拒絶を裏書人・振出人に通知すると定める6項判例 1件
  • 所持人は拒絶証書作成日の翌日から4取引日内に裏書人・振出人へ通知する
  • 無費用償還文句がある場合は呈示日の翌日から4取引日内に通知する
  • 通知を怠っても権利は失わないが、過失による損害は手形金額の範囲内で賠償責任を負う
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第46条拒絶証書作成を免除する文言を定める3項判例 2件
  • 「無費用償還」「拒絶証書不要」等の文言で拒絶証書作成を免除できる
  • この文言があっても法定期間内の呈示・通知義務は免除されない
  • 振出人が記載すれば全署名者に、裏書人・保証人が記載すればその者にのみ効力が生じる
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第47条手形債務者は所持人に合同して責任を負う4項判例 3件
  • 振出・引受・裏書・保証をした者は所持人に対し合同して責任を負う
  • 所持人は債務を負った順序に関係なく各別に又は共同して請求できる
  • 手形を受け戻した署名者も同一の権利を持ち、一人への請求は他の債務者への請求を妨げない
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第48条遡求できる金額の範囲を定める2項・3号判例 2件
  • 手形金額・約定利息、満期以後の利息、拒絶証書等の費用を請求できる
  • 国内以外の手形では満期以後の利息は年6分の法定利率による
  • 満期前に遡求するときは手形金額から割引を差し引く(所持人住所地の公定歩合による)
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第49条手形を受け戻した者の請求権を定める1項・3号判例 3件
  • 支払った総金額を前者に請求できる
  • 支払日以後の利息を法定利率で請求できる
  • 支出した費用も請求できる
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第50条遡求される者は手形等の交付を求められる2項判例 2件
  • 遡求を受ける債務者は支払と引換えに拒絶証書・計算書・手形の交付を請求できる
  • 手形を受け戻した裏書人は自己及び後者の裏書を抹消できる
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第51条一部引受後の遡求での手続を定める1項判例なし
  • 一部引受後に遡求する場合、支払者は手形へ支払の旨の記載と受取証書交付を請求できる
  • 所持人は爾後の遡求のため手形の証明謄本と拒絶証書を交付しなければならない
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第52条戻手形で遡求できることを定める3項判例なし
  • 反対の記載がなければ前者宛の一覧払・その者の住所地払の新手形(戻手形)で遡求できる
  • 戻手形の金額には48条〈所持人ハ遡求ヲ受クル者ニ対シ左ノ金額ヲ請求スルコトヲ得〉・49条〈為替手形ヲ受戻シタル者ハ其ノ前者ニ対シ左ノ金額ヲ請求スルコトヲ得〉の金額のほか仲立料・印紙税を含む
  • 戻手形の金額は本手形の支払地から前者の住所地宛の一覧払手形相場により定める
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第53条遡求権が失われる期間を定める3項・3号判例 5件
  • 呈示期間・拒絶証書作成期間等を過ぎると裏書人等への遡求権を失う(引受人を除く)
  • 振出人が定めた引受呈示期間内に呈示しないと支払拒絶・引受拒絶による遡求権を失う
  • 裏書に呈示期間の記載があるときはその裏書人のみが援用できる
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第54条不可抗力による期間の伸長を定める6項判例なし
  • 不可抗力で呈示・拒絶証書作成ができないときは期間を伸長する
  • 所持人は裏書人へ遅滞なく通知し、不可抗力消滅後は遅滞なく呈示・拒絶証書作成をする
  • 不可抗力が満期から30日を超えて継続するときは呈示・拒絶証書作成なしで遡求できる
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第43条手形法

約束手形の満期前に遡求の要件を満たすためにすべき呈示の場所

裁判要旨約束手形の満期前に遡求の要件を満たすためにすべき呈示の場所は、振出人の営業所又は住所である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和57年11月25日 昭和57(オ)755
登載
集民 第137号509頁
参照法条
手形法43条後段2号,手形法44条5項,手形法77条1項4号
論点2第43条手形法

手形割引依頼人に対する買戻請求権の行使と手形債務者に対する権利の行使との関係

裁判要旨割引手形の買戻請求権行使後の手形所持人は、割引依頼人の買戻債務が発生しても現実に履行されるまでは同時履行の抗弁権によりその手形を保有することができ、現実に支払を受けるまでは手形の正当な所持人として一切の権利を行使することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和53年3月28日 昭和49(オ)583
登載
集民 第123号289頁
参照法条
手形法43条,手形法77条
論点3第43条手形法

偽造手形の取得者の損害賠償請求権と手形法上の遡求権との関係

裁判要旨対価を支払つて偽造手形を取得した手形所持人は、その出捐と手形偽造行為との間に相当因果関係が認められるかぎり、その出捐額につき、ただちに損害賠償請求権を行使することができ、手形の所持人としてその前者に対し手形法上の遡求権を有することによつては、損害賠償の請求を妨げられることはない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和45年5月22日 昭和44(オ)260
登載
集民 第99号215頁
参照法条
民法709条,民法715条,手形法43条
論点4第43条手形法

振出日白地の確定日払手形による呈示の効力

裁判要旨確定日払の手形の所持人は、振出日白地のまま満期に支払のため呈示したとしても、裏書人に対する手形上の権利を行使することができない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和41年10月13日 昭和39(オ)960
登載
民集 第20巻8号1632頁
参照法条
手形法1条,手形法38条,手形法43条
論点5第43条手形法

一 約束手形の裏書人たる破産者が被裏書人から手形を受け戻すにつき手形金額の支払をした場合と破産法第七三条第一項の類推適用の有無
二 破産法第七三条第一項にいう「手形ノ支払」と「債務者ノ一人又ハ数人ニ対スル手形上ノ権利」の意義

裁判要旨一 約束手形の裏書人たる破産者が被裏書人から手形を受け戻すにつき手形金額の支払をした場合には破産法第七三条第一項は類推適用のされない。
二 破産法第七三条第一項にいう「手形ノ支払」とは、約束手形にあつては振出人の支払を指し、「債務者ノ一人又ハ数人ニ対スル手形上ノ権利」とは、手形所持人の前者に対する遡及権を指すにほかならない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年11月20日 昭和33(オ)689
登載
民集 第16巻11号2293頁
参照法条
破産法73条,破産法72条,手形法43条,手形法53条,手形法777条1項,手形法77条1項
論点6第43条手形法

白地裏書人が手形を受戻した後、さきの白地裏書に記載した裏書を利用して右手形を第三者に譲渡した場合と裏書人としての責任の有無

裁判要旨甲から白地裏書により乙に、乙から記名裏書により丙に、順次交付された手形が甲に返還され、かつ乙のなした裏書が適法に抹消された後において、甲がさきの白地裏書の記載をそのまま利用して、右手形を丁に譲渡したときは、甲は丁に対し、裏書人としての手形上の責任を負担する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和31年7月12日 昭和30(オ)207
登載
民集 第10巻7号845頁
参照法条
手形法14条2項,手形法16条1項,手形法43条前段,手形法77条
論点7第43条手形法

約束手形の振出人に対する満期前の手形金請求訴訟の提起ないし訴状の送達と遡求権行使の要件である支払のための呈示としての効力の有無

裁判要旨約束手形の振出人に対する満期前の手形金請求訴訟の提起ないし訴状の送達は、裏書人に対する満期後の遡求権行使の要件である支払のための呈示としての効力を有しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成5年10月22日 平成3(オ)1476
登載
民集 第47巻8号5136頁
参照法条
手形法43条,手形法77条1項4号
論点8第44条手形法

約束手形の満期の変造と裏書人の遡及義務

裁判要旨約束手形の満期が裏書後裏書人の同意を得ないで変造された場合、所持人が右裏書人に対して遡及権を行使するためには変造前の満期にしたがつてその保全手続をとらなければならない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和50年8月29日 昭和50(オ)439
登載
集民 第115号643頁
参照法条
手形法44条,手形法46条,手形法69条,手形法77条1項4号,手形法77条1項7号
論点9第45条手形法

手形買戻請求権に関する事実たる慣習の存否について審理不尽の違法があるとされた事例

裁判要旨銀行と手形割引依頼人との間の取引約定書に、割引手形の振出人の信用悪化の場合には右割引依頼人において割引手形を買い戻す規定をおきながら、割引依頼人の関係においては、単に手形割引の都度右手形と同額の貸金債務を負担したものとする旨、および同人の信用悪化の場合に、同人の銀行に対する一切の債務について期限の利益を失う旨の規定をおくに止まり、手形の買戻しについては何の規定もおいていないとしても、右約款の趣旨、銀行の行なう手形割引の性格、および昭和三七年公表された銀行取引約定書ひな型の成立した経緯等からすれば、銀行が、割引依頼人の信用悪化の場合にも、同人に対して手形買戻請求権を有する旨の事実たる慣習が存在していなかつたものとは断じ難く、その点について審理をなさず、右の場合における手形買戻請求権を否定した原判には、審理不尽の違法があるものというべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和46年6月29日 昭和43(オ)934
登載
集民 第103号293頁
参照法条
手形法77条,手形法45条,民法92条
論点10第46条手形法

拒絶証書作成不要文句の記載方法。

裁判要旨約束手形の裏書欄に、拒絶証書作成不要の文句を記載する場合には、必ずしも特別の署名をする必要はなく、裏書自体に署名するをもつて足りると解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和34年2月6日 昭和32(オ)669
登載
民集 第13巻1号81頁
参照法条
手形法77条,手形法46条
論点11第47条手形法

約束手形の第一裏書人及び第二裏書人がいずれも保証の趣旨で裏書したものである場合に手形を受戻した第二裏書人に対し第一裏書人が負うべき遡求義務の範囲

裁判要旨約束手形の第一裏書人及び第二裏書人がいずれも振出人の手形債務を保証する趣旨で裏書したものである場合において、第二裏書人が所持人から手形を受戻したうえ第一裏書人に対し遡求したときは、第一裏書人は民法四六五条一項の規定の限度においてのみ遡求に応じれば足り、右の遡求義務の範囲の基準となる裏書人間の負担部分につき特約がないときは、負担部分は平等である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和57年9月7日 昭和56(オ)851
登載
民集 第36巻8号1607頁
参照法条
民法427条,民法442条,民法465条1項,手形法17条,手形法30条1項,手形法47条1項,手形法47条3項,手形法49条,手形法77条1項1号,手形法77条1項4号,手形法77条3項
論点12第47条手形法

約束手形の振出人の弁済と裏書人の償還義務の一部免除

裁判要旨約束手形の振出人が当該手形上の債務を弁済した場合において、強制和議により右弁済前の時点にさかのぼつて右手形の裏書人の償還義務のみが一部免除されたときは、右償還義務は、右振出人の弁済により、右弁済額から右免除された債務額を控除した残額について消滅する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年12月6日 昭和43(オ)451
登載
集民 第93号553頁
参照法条
手形法77条1項4号,手形法47条1項
論点13第47条手形法

組合の代表者名義で提出された約束手形に対する組合員の責任の有無。

裁判要旨民法上の組合の代表者が、組合のために、その組合代表者名義で約束手形を振出した場合には、同組合の組合員は、共同振出人として、同手形について合同してその責を負うものと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和36年7月31日 昭和32(オ)693
登載
民集 第15巻7号1982頁
参照法条
手形法75条7号,手形法47条
論点14第48条手形法

約束手形の支払呈示期間内に適法な呈示がなかつた場合と手形法所定の利息

裁判要旨約束手形の支払呈示期間内に適法な呈示がなかつたときは、その後に呈示されても、振出人は、手形法所定の利息の支払義務を負わない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和55年3月27日 昭和54(オ)1375
登載
集民 第129号359頁
参照法条
手形法28条2項,手形法48条1項2号,手形法49条2号,手形法78条1項
論点15第48条手形法

手形法第四八条第一項第二号〈所持人ハ遡求ヲ受クル者ニ対シ左ノ金額ヲ請求スルコトヲ得 法定利率(国内ニ於テ振出シ且支払フベキ為替手形以外ノ為替手形ニ在リテハ年六分ノ率次条第二号ニ於テ同ジ)ニ依ル満期以後ノ利息〉の利息は満期当日の利息を含むか。

裁判要旨手形法第四八条第一項第二号〈所持人ハ遡求ヲ受クル者ニ対シ左ノ金額ヲ請求スルコトヲ得 法定利率(国内ニ於テ振出シ且支払フベキ為替手形以外ノ為替手形ニ在リテハ年六分ノ率次条第二号ニ於テ同ジ)ニ依ル満期以後ノ利息〉の「満期以後の利息」は満期当日の利息を含む。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和35年10月25日 昭和33(オ)841
登載
民集 第14巻12号2775頁
参照法条
手形法48条1項2号
論点16第49条手形法

権利の承継人として民訴法七四条一項の第三者にあたる場合

裁判要旨約束手形の被裏書人丙が、適法な遡及条件を具備することなく、所持人として、振出人甲に対し手形金請求訴訟を提起し、その係属中に、前裏書人乙が丙から右約束手形の返還を受けたときは、乙は訴訟の目的たる手形金債権の承継人として民訴法七四条一項の第三者にあたる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和52年3月18日 昭和50(オ)1011
登載
集民 第120号295頁
参照法条
手形法14条,手形法16条,手形法49条,民訴法73条,民訴法74条
論点17第50条手形法

約束手形の裏書人が振出人の手形金支払義務の時効による消滅に伴い自己の所持人に対する償還義務も消滅したとしてその履行を免れようとすることが信義則に反し許されないとされた事例

裁判要旨約束手形の裏書人が、その所持人に対して、自己の償還義務について消滅時効の利益の放棄ないし債務の承認をしたうえ、専ら自己に対する信頼に基づいて右手形を取得した所持人本人及びその代理人である弁護士に対して、再三にわたり、しかも振出人の債務とは必ずしも関係なく自己固有の債務として手形金の支払義務があることを認めるような態度を示し、同人らに確実にその履行がされるものとの期待を抱かせながら、のちに右態度をひるがえし、その信頼を裏切つて償還義務を履行しようとせず、やむなく右所持人より提起された手形金請求訴訟においても当該手形の裏書自体を否認したりその他種々の主張を提出して引延しとみられる抗争をすることによりその審理に長期間を費やさせ、その間に所持人が専ら裏書人を信頼してその義務履行が確実にされるものと期待する余り振出人に対する手形金請求権についての消滅時効中断の措置を怠つたがために振出人の手形金支払義務が消滅したのに乗じ、これに伴い自己の償還義務も当然消滅するに至つたとしてその履行を免れようとする所為に出ることは、信義則に反し許されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和57年7月15日 昭和53(オ)728
登載
民集 第36巻6号1113頁
参照法条
手形法50条1項,手形法70条1項,手形法77条1項4号,手形法77条1項8号,民法1条2項
論点18第50条手形法

金融機関が手形貸付債権又は手形買戻請求権をもつて転付された預金債権を相殺した場合と手形の返還先

裁判要旨金融機関が預金者から第三者に転付された預金債権を右預金者に対する手形貸付債権又は手形買戻請求権をもつて相殺した結果預金債権が転付前に遡つて消滅した場合には、金融機関は、手形貸付けについて振り出された手形又は買戻の対象となつた手形を右預金者に返還すべきであり、預金債権の転付を受けた第三者に返還すべきではない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和50年9月25日 昭和46(オ)1110
登載
民集 第29巻8号1287頁
参照法条
民法468条,民法511条,民訴法601条,手形法39条,手形法50条,手形法77条
論点19第53条手形法

約束手形の呈示期間の徒過と裏書人の遡求義務の消滅

裁判要旨約束手形が法定の呈示期間内に呈示されなかつたときは、裏書人の遡求義務は、右呈示期間の徒過によつて消滅する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和47年2月22日 昭和44(オ)673
登載
集民 第105号165頁
参照法条
手形法53条,手形法77条
論点20第53条手形法

受取人欄白地の手形による支払のための呈示の効力

裁判要旨白地手形による支払のための呈示は無効であつてその呈示期間経過後の補充により右呈示が遡つて有効になるものでないことは当裁判所の判例であり(昭三三年三月七日第二小法廷判決、民集一二巻三号五一一頁)、右につき、受取人欄白地の手形を別異に解することはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和43年10月8日 昭和43(オ)679
登載
集民 第92号501頁
参照法条
手形法38条,手形法53条,手形法10条,手形法77条
論点21第53条手形法

約束手形の振出人のための保証人に対する所持人の権利は遡求手続の懈怠によつて失われるか。

裁判要旨約束手形の振出人のための保証人に対する所持人の権利は、所持人が遡求手続を懈怠したからといつて、失われることはない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年5月28日 昭和39(オ)1283
登載
集民 第79号235頁
参照法条
手形法77条3項,手形法32条1項,手形法53条
論点22第53条手形法

白地手形による支払のための呈示の効力

裁判要旨白地手形による支払のための呈示は無効であり、その呈示期間経過後の補充により右呈示が遡つて有効になるものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和33年3月7日 昭和31(オ)529
登載
民集 第12巻3号511頁
参照法条
手形法38条,手形法53条,手形法10条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

手形法 第43条 詳細ページ
第四十三条満期ニ於テ支払ナキトキハ所持人ハ裏書人、振出人其ノ他ノ債務者ニ対シ其ノ遡求権ヲ行フコトヲ得左ノ場合ニ於テハ満期前ト雖モ亦同ジ
一引受ノ全部又ハ一部ノ拒絶アリタルトキ
二引受ヲ為シタル若ハ為サザル支払人ガ破産手続開始ノ決定ヲ受ケタル場合、其ノ支払停止ノ場合又ハ其ノ財産ニ対スル強制執行ガ効ヲ奏セザル場合
三引受ノ為ノ呈示ヲ禁ジタル手形ノ振出人ガ破産手続開始ノ決定ヲ受ケタル場合
手形法 第44条 詳細ページ
第四十四条引受又ハ支払ノ拒絶ハ公正証書(引受拒絶証書又ハ支払拒絶証書)ニ依リ之ヲ証明スルコトヲ要ス
2引受拒絶証書ハ引受ノ為ノ呈示期間内ニ之ヲ作ラシムルコトヲ要ス第二十四条第一項ニ規定スル場合ニ於テ期間ノ末日ニ第一ノ呈示アリタルトキハ拒絶証書ハ其ノ翌日之ヲ作ラシムルコトヲ得
3確定日払、日附後定期払又ハ一覧後定期払ノ為替手形ノ支払拒絶証書ハ為替手形ノ支払ヲ為スベキ日又ハ之ニ次グ二取引日内ニ之ヲ作ラシムルコトヲ要ス一覧払ノ手形ノ支払拒絶証書ハ引受拒絶証書ノ作成ニ関シテ前項ニ規定スル条件ニ従ヒ之ヲ作ラシムルコトヲ要ス
4引受拒絶証書アルトキハ支払ノ為ノ呈示及支払拒絶証書ヲ要セズ
5引受ヲ為シタル若ハ為サザル支払人ガ支払ヲ停止シタル場合又ハ其ノ財産ニ対スル強制執行ガ効ヲ奏セザル場合ニ於テハ所持人ハ支払人ニ対シ手形ノ支払ノ為ノ呈示ヲ為シ且拒絶証書ヲ作ラシメタル後ニ非ザレバ其ノ遡求権ヲ行フコトヲ得ズ
6引受ヲ為シタル若ハ為サザル支払人ガ破産手続開始ノ決定ヲ受ケタル場合又ハ引受ノ為ノ呈示ヲ禁ジタル手形ノ振出人ガ破産手続開始ノ決定ヲ受ケタル場合ニ於テ所持人ガ其ノ遡求権ヲ行フニハ破産手続開始ノ決定ノ裁判書ヲ提出スルヲ以テ足ル
手形法 第45条 詳細ページ
第四十五条所持人ハ拒絶証書作成ノ日ニ次グ又ハ無費用償還文句アル場合ニ於テハ呈示ノ日ニ次グ四取引日内ニ自己ノ裏書人及振出人ニ対シ引受拒絶又ハ支払拒絶アリタルコトヲ通知スルコトヲ要ス各裏書人ハ通知ヲ受ケタル日ニ次グ二取引日内ニ前ノ通知者全員ノ名称及宛所ヲ示シテ自己ノ受ケタル通知ヲ自己ノ裏書人ニ通知シ順次振出人ニ及ブモノトス此ノ期間ハ各其ノ通知ヲ受ケタル時ヨリ進行ス
2前項ノ規定ニ従ヒ為替手形ノ署名者ニ通知ヲ為ストキハ同一期間内ニ其ノ保証人ニ同一ノ通知ヲ為スコトヲ要ス
3裏書人ガ其ノ宛所ヲ記載セズ又ハ其ノ記載ガ読ミ難キ場合ニ於テハ其ノ裏書人ノ直接ノ前者ニ通知スルヲ以テ足ル
4通知ヲ為スベキ者ハ如何ナル方法ニ依リテモ之ヲ為スコトヲ得単ニ為替手形ヲ返付スルニ依リテモ亦之ヲ為スコトヲ得
5通知ヲ為スベキ者ハ適法ノ期間内ニ通知ヲ為シタルコトヲ証明スルコトヲ要ス此ノ期間内ニ通知ヲ為ス書面ヲ郵便ニ付シ又ハ民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項ニ規定スル一般信書便事業者若ハ同条第九項ニ規定スル特定信書便事業者ノ提供スル同条第二項ニ規定スル信書便ノ役務ヲ利用シテ発送シタル場合ニ於テハ其ノ期間ヲ遵守シタルモノト看做ス
6前項ノ期間内ニ通知ヲ為サザル者ハ其ノ権利ヲ失フコトナシ但シ過失ニ因リテ生ジタル損害アルトキハ為替手形ノ金額ヲ超エザル範囲内ニ於テ其ノ賠償ノ責ニ任ズ
手形法 第46条 詳細ページ
第四十六条振出人、裏書人又ハ保証人ハ証券ニ記載シ且署名シタル「無費用償還」、「拒絶証書不要」ノ文句其ノ他之ト同一ノ意義ヲ有スル文言ニ依リ所持人ニ対シ其ノ遡求権ヲ行フ為ノ引受拒絶証書又ハ支払拒絶証書ノ作成ヲ免除スルコトヲ得
2前項ノ文言ハ所持人ニ対シ法定期間内ニ於ケル為替手形ノ呈示及通知ノ義務ヲ免除スルコトナシ期間ノ不遵守ハ所持人ニ対シ之ヲ援用スル者ニ於テ其ノ証明ヲ為スコトヲ要ス
3振出人ガ第一項ノ文言ヲ記載シタルトキハ一切ノ署名者ニ対シ其ノ効力ヲ生ズ裏書人又ハ保証人ガ之ヲ記載シタルトキハ其ノ裏書人又ハ保証人ニ対シテノミ其ノ効力ヲ生ズ振出人ガ此ノ文言ヲ記載シタルニ拘ラズ所持人ガ拒絶証書ヲ作ラシメタルトキハ其ノ費用ハ所持人之ヲ負担ス裏書人又ハ保証人ガ此ノ文言ヲ記載シタル場合ニ於テ拒絶証書ノ作成アリタルトキハ一切ノ署名者ヲシテ其ノ費用ヲ償還セシムルコトヲ得
手形法 第47条 詳細ページ
第四十七条為替手形ノ振出、引受、裏書又ハ保証ヲ為シタル者ハ所持人ニ対シ合同シテ其ノ責ニ任ズ
2所持人ハ前項ノ債務者ニ対シ其ノ債務ヲ負ヒタル順序ニ拘ラズ各別又ハ共同ニ請求ヲ為スコトヲ得
3為替手形ノ署名者ニシテ之ヲ受戻シタルモノモ同一ノ権利ヲ有ス
4債務者ノ一人ニ対スル請求ハ他ノ債務者ニ対スル請求ヲ妨ゲズ既ニ請求ヲ受ケタル者ノ後者ニ対シテモ亦同ジ
手形法 第48条 詳細ページ
第四十八条所持人ハ遡求ヲ受クル者ニ対シ左ノ金額ヲ請求スルコトヲ得
一引受又ハ支払アラザリシ為替手形ノ金額及利息ノ記載アルトキハ其ノ利息
二法定利率(国内ニ於テ振出シ且支払フベキ為替手形以外ノ為替手形ニ在リテハ年六分ノ率次条第二号ニ於テ同ジ)ニ依ル満期以後ノ利息
三拒絶証書ノ費用、通知ノ費用及其ノ他ノ費用
2満期前ニ遡求権ヲ行フトキハ割引ニ依リ手形金額ヲ減ズ其ノ割引ハ所持人ノ住所地ニ於ケル遡求ノ日ノ公定割引率(銀行率)ニ依リ之ヲ計算ス
手形法 第49条 詳細ページ
第四十九条為替手形ヲ受戻シタル者ハ其ノ前者ニ対シ左ノ金額ヲ請求スルコトヲ得
一其ノ支払ヒタル総金額
二前号ノ金額ニ対シ法定利率ニ依リ計算シタル支払ノ日以後ノ利息
三其ノ支出シタル費用
手形法 第50条 詳細ページ
第五十条遡求ヲ受ケタル又ハ受クベキ債務者ハ支払ト引換ニ拒絶証書、受取ヲ証スル記載ヲ為シタル計算書及為替手形ノ交付ヲ請求スルコトヲ得
2為替手形ヲ受戻シタル裏書人ハ自己及後者ノ裏書ヲ抹消スルコトヲ得
手形法 第51条 詳細ページ
第五十一条一部引受ノ後ニ遡求権ヲ行フ場合ニ於テ引受アラザリシ手形金額ノ支払ヲ為ス者ハ其ノ支払ノ旨ヲ手形ニ記載スルコト及受取証書ヲ交付スルコトヲ請求スルコトヲ得又所持人ハ爾後ノ遡求ヲ為スコトヲ得シムル為手形ノ証明謄本及拒絶証書ヲ交付スルコトヲ要ス
手形法 第52条 詳細ページ
第五十二条遡求権ヲ有スル者ハ反対ノ記載ナキ限リ其ノ前者ノ一人ニ宛テ一覧払トシテ振出シ且其ノ者ノ住所ニ於テ支払フベキ新手形(戻手形)ニ依リ遡求ヲ為スコトヲ得
2戻手形ハ第四十八条及第四十九条ニ規定スル金額ノ外其ノ戻手形ノ仲立料及印紙税ヲ含ム
3所持人ガ戻手形ヲ振出ス場合ニ於テハ其ノ金額ハ本手形ノ支払地ヨリ前者ノ住所地ニ宛テ振出ス一覧払ノ為替手形ノ相場ニ依リ之ヲ定ム裏書人ガ戻手形ヲ振出ス場合ニ於テハ其ノ金額ハ戻手形ノ振出人ガ其ノ住所地ヨリ前者ノ住所地ニ宛テ振出ス一覧払手形ノ相場ニ依リ之ヲ定ム
手形法 第53条 詳細ページ
第五十三条左ノ期間ガ経過シタルトキハ所持人ハ裏書人、振出人其ノ他ノ債務者ニ対シ其ノ権利ヲ失フ但シ引受人ニ対シテハ此ノ限ニ在ラズ
一一覧払又ハ一覧後定期払ノ為替手形ノ呈示期間
二引受拒絶証書又ハ支払拒絶証書ノ作成期間
三無費用償還文句アル場合ニ於ケル支払ノ為ノ呈示期間
2振出人ノ記載シタル期間内ニ引受ノ為ノ呈示ヲ為サザルトキハ所持人ハ支払拒絶及引受拒絶ニ因ル遡求権ヲ失フ但シ其ノ記載ノ文言ニ依リ振出人ガ引受ノ担保義務ノミヲ免レントスル意思ヲ有シタルコトヲ知リ得ベキトキハ此ノ限ニ在ラズ
3裏書ニ呈示期間ノ記載アルトキハ其ノ裏書人ニ限リ之ヲ援用スルコトヲ得
手形法 第54条 詳細ページ
第五十四条法定ノ期間内ニ於ケル為替手形ノ呈示又ハ拒絶証書ノ作成ガ避クベカラザル障碍(国ノ法令ニ依ル禁制其ノ他ノ不可抗力)ニ因リテ妨ゲラレタルトキハ其ノ期間ヲ伸長ス
2所持人ハ自己ノ裏書人ニ対シ遅滞ナク其ノ不可抗力ヲ通知シ且為替手形又ハ補箋ニ其ノ通知ヲ記載シ日附ヲ附シテ之ニ署名スルコトヲ要ス其ノ他ニ付テハ第四十五条ノ規定ヲ準用ス
3不可抗力ガ止ミタルトキハ所持人ハ遅滞ナク引受又ハ支払ノ為手形ヲ呈示シ且必要アルトキハ拒絶証書ヲ作ラシムルコトヲ要ス
4不可抗力ガ満期ヨリ三十日ヲ超エテ継続スルトキハ呈示又ハ拒絶証書ノ作成ヲ要セズシテ遡求権ヲ行フコトヲ得
5一覧払又ハ一覧後定期払ノ為替手形ニ付テハ三十日ノ期間ハ呈示期間ノ経過前ト雖モ所持人ガ其ノ裏書人ニ不可抗力ノ通知ヲ為シタル日ヨリ進行ス一覧後定期払ノ為替手形ニ付テハ三十日ノ期間ニ為替手形ニ記載シタル一覧後ノ期間ヲ加フ
6所持人又ハ所持人ガ手形ノ呈示若ハ拒絶証書ノ作成ヲ委任シタル者ニ付テノ単純ナル人的事由ハ不可抗力ヲ構成スルモノト認メズ
出

一次情報

原文ママ

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