論点1第43条手形法
約束手形の満期前に遡求の要件を満たすためにすべき呈示の場所
裁判要旨約束手形の満期前に遡求の要件を満たすためにすべき呈示の場所は、振出人の営業所又は住所である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和57年11月25日 昭和57(オ)755
- 登載
- 集民 第137号509頁
- 参照法条
- 手形法43条後段2号,手形法44条5項,手形法77条1項4号
論点2第43条手形法
手形割引依頼人に対する買戻請求権の行使と手形債務者に対する権利の行使との関係
裁判要旨割引手形の買戻請求権行使後の手形所持人は、割引依頼人の買戻債務が発生しても現実に履行されるまでは同時履行の抗弁権によりその手形を保有することができ、現実に支払を受けるまでは手形の正当な所持人として一切の権利を行使することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和53年3月28日 昭和49(オ)583
- 登載
- 集民 第123号289頁
- 参照法条
- 手形法43条,手形法77条
論点3第43条手形法
偽造手形の取得者の損害賠償請求権と手形法上の遡求権との関係
裁判要旨対価を支払つて偽造手形を取得した手形所持人は、その出捐と手形偽造行為との間に相当因果関係が認められるかぎり、その出捐額につき、ただちに損害賠償請求権を行使することができ、手形の所持人としてその前者に対し手形法上の遡求権を有することによつては、損害賠償の請求を妨げられることはない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和45年5月22日 昭和44(オ)260
- 登載
- 集民 第99号215頁
- 参照法条
- 民法709条,民法715条,手形法43条
論点4第43条手形法
振出日白地の確定日払手形による呈示の効力
裁判要旨確定日払の手形の所持人は、振出日白地のまま満期に支払のため呈示したとしても、裏書人に対する手形上の権利を行使することができない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和41年10月13日 昭和39(オ)960
- 登載
- 民集 第20巻8号1632頁
- 参照法条
- 手形法1条,手形法38条,手形法43条
論点5第43条手形法
一 約束手形の裏書人たる破産者が被裏書人から手形を受け戻すにつき手形金額の支払をした場合と破産法第七三条第一項の類推適用の有無
二 破産法第七三条第一項にいう「手形ノ支払」と「債務者ノ一人又ハ数人ニ対スル手形上ノ権利」の意義
裁判要旨一 約束手形の裏書人たる破産者が被裏書人から手形を受け戻すにつき手形金額の支払をした場合には破産法第七三条第一項は類推適用のされない。
二 破産法第七三条第一項にいう「手形ノ支払」とは、約束手形にあつては振出人の支払を指し、「債務者ノ一人又ハ数人ニ対スル手形上ノ権利」とは、手形所持人の前者に対する遡及権を指すにほかならない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和37年11月20日 昭和33(オ)689
- 登載
- 民集 第16巻11号2293頁
- 参照法条
- 破産法73条,破産法72条,手形法43条,手形法53条,手形法777条1項,手形法77条1項
論点6第43条手形法
白地裏書人が手形を受戻した後、さきの白地裏書に記載した裏書を利用して右手形を第三者に譲渡した場合と裏書人としての責任の有無
裁判要旨甲から白地裏書により乙に、乙から記名裏書により丙に、順次交付された手形が甲に返還され、かつ乙のなした裏書が適法に抹消された後において、甲がさきの白地裏書の記載をそのまま利用して、右手形を丁に譲渡したときは、甲は丁に対し、裏書人としての手形上の責任を負担する。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和31年7月12日 昭和30(オ)207
- 登載
- 民集 第10巻7号845頁
- 参照法条
- 手形法14条2項,手形法16条1項,手形法43条前段,手形法77条
論点7第43条手形法
約束手形の振出人に対する満期前の手形金請求訴訟の提起ないし訴状の送達と遡求権行使の要件である支払のための呈示としての効力の有無
裁判要旨約束手形の振出人に対する満期前の手形金請求訴訟の提起ないし訴状の送達は、裏書人に対する満期後の遡求権行使の要件である支払のための呈示としての効力を有しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成5年10月22日 平成3(オ)1476
- 登載
- 民集 第47巻8号5136頁
- 参照法条
- 手形法43条,手形法77条1項4号
論点8第44条手形法
約束手形の満期の変造と裏書人の遡及義務
裁判要旨約束手形の満期が裏書後裏書人の同意を得ないで変造された場合、所持人が右裏書人に対して遡及権を行使するためには変造前の満期にしたがつてその保全手続をとらなければならない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和50年8月29日 昭和50(オ)439
- 登載
- 集民 第115号643頁
- 参照法条
- 手形法44条,手形法46条,手形法69条,手形法77条1項4号,手形法77条1項7号
論点9第45条手形法
手形買戻請求権に関する事実たる慣習の存否について審理不尽の違法があるとされた事例
裁判要旨銀行と手形割引依頼人との間の取引約定書に、割引手形の振出人の信用悪化の場合には右割引依頼人において割引手形を買い戻す規定をおきながら、割引依頼人の関係においては、単に手形割引の都度右手形と同額の貸金債務を負担したものとする旨、および同人の信用悪化の場合に、同人の銀行に対する一切の債務について期限の利益を失う旨の規定をおくに止まり、手形の買戻しについては何の規定もおいていないとしても、右約款の趣旨、銀行の行なう手形割引の性格、および昭和三七年公表された銀行取引約定書ひな型の成立した経緯等からすれば、銀行が、割引依頼人の信用悪化の場合にも、同人に対して手形買戻請求権を有する旨の事実たる慣習が存在していなかつたものとは断じ難く、その点について審理をなさず、右の場合における手形買戻請求権を否定した原判には、審理不尽の違法があるものというべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和46年6月29日 昭和43(オ)934
- 登載
- 集民 第103号293頁
- 参照法条
- 手形法77条,手形法45条,民法92条
論点10第46条手形法
拒絶証書作成不要文句の記載方法。
裁判要旨約束手形の裏書欄に、拒絶証書作成不要の文句を記載する場合には、必ずしも特別の署名をする必要はなく、裏書自体に署名するをもつて足りると解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和34年2月6日 昭和32(オ)669
- 登載
- 民集 第13巻1号81頁
- 参照法条
- 手形法77条,手形法46条
論点11第47条手形法
約束手形の第一裏書人及び第二裏書人がいずれも保証の趣旨で裏書したものである場合に手形を受戻した第二裏書人に対し第一裏書人が負うべき遡求義務の範囲
裁判要旨約束手形の第一裏書人及び第二裏書人がいずれも振出人の手形債務を保証する趣旨で裏書したものである場合において、第二裏書人が所持人から手形を受戻したうえ第一裏書人に対し遡求したときは、第一裏書人は民法四六五条一項の規定の限度においてのみ遡求に応じれば足り、右の遡求義務の範囲の基準となる裏書人間の負担部分につき特約がないときは、負担部分は平等である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和57年9月7日 昭和56(オ)851
- 登載
- 民集 第36巻8号1607頁
- 参照法条
- 民法427条,民法442条,民法465条1項,手形法17条,手形法30条1項,手形法47条1項,手形法47条3項,手形法49条,手形法77条1項1号,手形法77条1項4号,手形法77条3項
論点12第47条手形法
約束手形の振出人の弁済と裏書人の償還義務の一部免除
裁判要旨約束手形の振出人が当該手形上の債務を弁済した場合において、強制和議により右弁済前の時点にさかのぼつて右手形の裏書人の償還義務のみが一部免除されたときは、右償還義務は、右振出人の弁済により、右弁済額から右免除された債務額を控除した残額について消滅する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和43年12月6日 昭和43(オ)451
- 登載
- 集民 第93号553頁
- 参照法条
- 手形法77条1項4号,手形法47条1項
論点13第47条手形法
組合の代表者名義で提出された約束手形に対する組合員の責任の有無。
裁判要旨民法上の組合の代表者が、組合のために、その組合代表者名義で約束手形を振出した場合には、同組合の組合員は、共同振出人として、同手形について合同してその責を負うものと解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和36年7月31日 昭和32(オ)693
- 登載
- 民集 第15巻7号1982頁
- 参照法条
- 手形法75条7号,手形法47条
論点14第48条手形法
約束手形の支払呈示期間内に適法な呈示がなかつた場合と手形法所定の利息
裁判要旨約束手形の支払呈示期間内に適法な呈示がなかつたときは、その後に呈示されても、振出人は、手形法所定の利息の支払義務を負わない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和55年3月27日 昭和54(オ)1375
- 登載
- 集民 第129号359頁
- 参照法条
- 手形法28条2項,手形法48条1項2号,手形法49条2号,手形法78条1項
論点15第48条手形法
手形法第四八条第一項第二号〈所持人ハ遡求ヲ受クル者ニ対シ左ノ金額ヲ請求スルコトヲ得 法定利率(国内ニ於テ振出シ且支払フベキ為替手形以外ノ為替手形ニ在リテハ年六分ノ率次条第二号ニ於テ同ジ)ニ依ル満期以後ノ利息〉の利息は満期当日の利息を含むか。
裁判要旨手形法
第四八条第一項第二号〈所持人ハ遡求ヲ受クル者ニ対シ左ノ金額ヲ請求スルコトヲ得 法定利率(国内ニ於テ振出シ且支払フベキ為替手形以外ノ為替手形ニ在リテハ年六分ノ率次条第二号ニ於テ同ジ)ニ依ル満期以後ノ利息〉の「満期以後の利息」は満期当日の利息を含む。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和35年10月25日 昭和33(オ)841
- 登載
- 民集 第14巻12号2775頁
- 参照法条
- 手形法48条1項2号
論点16第49条手形法
権利の承継人として民訴法七四条一項の第三者にあたる場合
裁判要旨約束手形の被裏書人丙が、適法な遡及条件を具備することなく、所持人として、振出人甲に対し手形金請求訴訟を提起し、その係属中に、前裏書人乙が丙から右約束手形の返還を受けたときは、乙は訴訟の目的たる手形金債権の承継人として民訴法七四条一項の第三者にあたる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和52年3月18日 昭和50(オ)1011
- 登載
- 集民 第120号295頁
- 参照法条
- 手形法14条,手形法16条,手形法49条,民訴法73条,民訴法74条
論点17第50条手形法
約束手形の裏書人が振出人の手形金支払義務の時効による消滅に伴い自己の所持人に対する償還義務も消滅したとしてその履行を免れようとすることが信義則に反し許されないとされた事例
裁判要旨約束手形の裏書人が、その所持人に対して、自己の償還義務について消滅時効の利益の放棄ないし債務の承認をしたうえ、専ら自己に対する信頼に基づいて右手形を取得した所持人本人及びその代理人である弁護士に対して、再三にわたり、しかも振出人の債務とは必ずしも関係なく自己固有の債務として手形金の支払義務があることを認めるような態度を示し、同人らに確実にその履行がされるものとの期待を抱かせながら、のちに右態度をひるがえし、その信頼を裏切つて償還義務を履行しようとせず、やむなく右所持人より提起された手形金請求訴訟においても当該手形の裏書自体を否認したりその他種々の主張を提出して引延しとみられる抗争をすることによりその審理に長期間を費やさせ、その間に所持人が専ら裏書人を信頼してその義務履行が確実にされるものと期待する余り振出人に対する手形金請求権についての消滅時効中断の措置を怠つたがために振出人の手形金支払義務が消滅したのに乗じ、これに伴い自己の償還義務も当然消滅するに至つたとしてその履行を免れようとする所為に出ることは、信義則に反し許されない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和57年7月15日 昭和53(オ)728
- 登載
- 民集 第36巻6号1113頁
- 参照法条
- 手形法50条1項,手形法70条1項,手形法77条1項4号,手形法77条1項8号,民法1条2項
論点18第50条手形法
金融機関が手形貸付債権又は手形買戻請求権をもつて転付された預金債権を相殺した場合と手形の返還先
裁判要旨金融機関が預金者から第三者に転付された預金債権を右預金者に対する手形貸付債権又は手形買戻請求権をもつて相殺した結果預金債権が転付前に遡つて消滅した場合には、金融機関は、手形貸付けについて振り出された手形又は買戻の対象となつた手形を右預金者に返還すべきであり、預金債権の転付を受けた第三者に返還すべきではない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和50年9月25日 昭和46(オ)1110
- 登載
- 民集 第29巻8号1287頁
- 参照法条
- 民法468条,民法511条,民訴法601条,手形法39条,手形法50条,手形法77条
論点19第53条手形法
約束手形の呈示期間の徒過と裏書人の遡求義務の消滅
裁判要旨約束手形が法定の呈示期間内に呈示されなかつたときは、裏書人の遡求義務は、右呈示期間の徒過によつて消滅する。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和47年2月22日 昭和44(オ)673
- 登載
- 集民 第105号165頁
- 参照法条
- 手形法53条,手形法77条
論点20第53条手形法
受取人欄白地の手形による支払のための呈示の効力
裁判要旨白地手形による支払のための呈示は無効であつてその呈示期間経過後の補充により右呈示が遡つて有効になるものでないことは当裁判所の判例であり(昭三三年三月七日第二小法廷判決、民集一二巻三号五一一頁)、右につき、受取人欄白地の手形を別異に解することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和43年10月8日 昭和43(オ)679
- 登載
- 集民 第92号501頁
- 参照法条
- 手形法38条,手形法53条,手形法10条,手形法77条
論点21第53条手形法
約束手形の振出人のための保証人に対する所持人の権利は遡求手続の懈怠によつて失われるか。
裁判要旨約束手形の振出人のための保証人に対する所持人の権利は、所持人が遡求手続を懈怠したからといつて、失われることはない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和40年5月28日 昭和39(オ)1283
- 登載
- 集民 第79号235頁
- 参照法条
- 手形法77条3項,手形法32条1項,手形法53条
論点22第53条手形法
白地手形による支払のための呈示の効力
裁判要旨白地手形による支払のための呈示は無効であり、その呈示期間経過後の補充により右呈示が遡つて有効になるものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和33年3月7日 昭和31(オ)529
- 登載
- 民集 第12巻3号511頁
- 参照法条
- 手形法38条,手形法53条,手形法10条