民事保全法 / テーマ別まとめ

仮処分の効力

仮処分の効力の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

民事保全法58条から65条は、裁判所が発した仮処分命令が、第三者や後から現れた権利者に対してどこまで効力を及ぼすかを定めています。不動産の処分禁止仮処分では登記の対抗力や抹消権、占有移転禁止仮処分では占有を引き継いだ者への強制執行、建物処分禁止仮処分では譲受人への収去明渡執行、詐害行為取消の仮処分では解放金の還付請求権の扱いが規定されています。

仮処分の効力
仮処分の種類条文効力の内容対象となる第三者
不動産処分禁止の仮処分58条抵触する限度で対抗不可・登記抹消可処分禁止登記後の取得者
保全仮登記(使用収益権)58条3項4項保全仮登記に基づく本登記で対抗後れる登記の抹消可
占有移転禁止の仮処分62条知って占有した者に強制執行可悪意の占有者・承継人
建物処分禁止の仮処分64条譲受人に収去明渡執行可登記後の建物譲受人
詐害行為取消の解放金65条供託金の還付請求権を取得詐害行為の受益者等
  • 58条2項の抹消権は、53条2項(保全仮登記)の債権者には適用されない
  • 登記抹消には事前に登記権利者への通知が必要(59条)。通知は発信主義で、発信後1週間で到達したとみなされる
  • 61条により、不動産以外の権利の登記・登録請求権を保全する処分禁止仮処分にも58~60条が準用される
  • 占有移転禁止仮処分の執行後に占有した者は、執行を知って占有したものと推定される(62条2項)
  • 執行文付与に対する異議では、対抗できる権原による占有や承継人でないことを理由にできる(63条)
  • 65条の還付請求権は、仮処分執行の取消と本案判決確定後、債務名義による強制執行のときに限り行使できる
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仮処分の効力

仮処分の効力について、条文は何を定めているか。

第58条不動産の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の効力処分禁止登記後の権利変動への対抗力を定める4項判例なし
  • 処分禁止登記後の権利取得等は、保全登記と抵触する限度で対抗できない
  • 53条2項〈不動産の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行〉の債権者は、保全仮登記に基づく本登記の方法で登記する
  • 後れる登記は抹消可能(使用収益権保全なら該当登記も抹消可、所有権除く)
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第59条登記の抹消の通知登記抹消前に登記権利者への通知を義務付け2項判例なし
  • 登記を抹消する前に、あらかじめその登記の権利者へ通知しなければならない
  • 通知は権利者の登記簿上の住所・事務所にあてて発信すればよい
  • 発信から遅くとも1週間経過した時に到達したものとみなす
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第60条仮処分命令の更正等保全仮登記の権利表示と本案が食い違う場合の更正3項判例なし
  • 表示が本案の債務名義と符合しないとき、裁判所は債権者の申立てにより命令を更正する
  • 更正決定に対しては即時抗告ができる
  • 更正決定が確定すると、裁判所書記官が保全仮登記の更正を嘱託する
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第61条不動産に関する権利以外の権利についての登記又は登録請求権を保全するための処分禁止の仮処分の効力登記以外の登録請求権にも同様の規定を準用1項判例なし
  • 54条〈不動産に関する権利以外の権利についての登記又は登録請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行〉の処分禁止仮処分(登記以外の登録請求権の保全)にも58~60条〈仮処分命令の更正等〉を準用する
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第62条占有移転禁止の仮処分命令の効力占有移転禁止仮処分の効力が及ぶ相手を定める2項・2号判例なし
  • 執行を知って占有した者には、本案の債務名義で引渡し・明渡しの強制執行ができる
  • 執行後に知らずに債務者の占有を承継した者にも強制執行ができる
  • 執行後に占有した者は、執行を知って占有したと推定される
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第63条執行文の付与に対する異議の申立ての理由占有者が執行文の付与に異議を申し立てる理由1項判例なし
  • 債務者以外の者に執行文が付与されたとき、異議申立てができる
  • 債権者に対抗できる権原による占有を理由にできる
  • 執行を知らず、かつ債務者の占有の承継人でないことも理由にできる
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第64条建物収去土地明渡請求権を保全するための建物の処分禁止の仮処分の効力建物処分禁止仮処分後の譲受人への強制執行1項判例なし
  • 建物の処分禁止登記がされた後、その建物を譲り受けた者にも本案の債務名義で強制執行ができる
  • 対象は建物の収去及び敷地の明渡しの強制執行
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第65条詐害行為取消権を保全するための仮処分における解放金に対する権利の行使詐害行為取消の仮処分で供託された解放金の扱い1項判例なし
  • 解放金相当額が供託されると、債務者は供託金の還付請求権を取得する
  • 還付請求権は、仮処分執行が取り消され本案判決が確定した後に限り行使できる
  • 行使は、債権者が債務者に対する債務名義で還付請求権に強制執行するときに限る
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原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民事保全法 第58条(不動産の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の効力) 詳細ページ
(不動産の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の効力)
第五十八条第五十三条第一項の処分禁止の登記の後にされた登記に係る権利の取得又は処分の制限は、同項の仮処分の債権者が保全すべき登記請求権に係る登記をする場合には、その登記に係る権利の取得又は消滅と抵触する限度において、その債権者に対抗することができない。
2前項の場合においては、第五十三条第一項の仮処分の債権者(同条第二項の仮処分の債権者を除く。)は、同条第一項の処分禁止の登記に後れる登記を抹消することができる。
3第五十三条第二項の仮処分の債権者が保全すべき登記請求権に係る登記をするには、保全仮登記に基づく本登記をする方法による。
4第五十三条第二項の仮処分の債権者は、前項の規定により登記をする場合において、その仮処分により保全すべき登記請求権に係る権利が不動産の使用又は収益をするものであるときは、不動産の使用若しくは収益をする権利(所有権を除く。)又はその権利を目的とする権利の取得に関する登記で、同条第一項の処分禁止の登記に後れるものを抹消することができる。
民事保全法 第59条(登記の抹消の通知) 詳細ページ
(登記の抹消の通知)
第五十九条仮処分の債権者が前条第二項又は第四項の規定により登記を抹消するには、あらかじめ、その登記の権利者に対し、その旨を通知しなければならない。
2前項の規定による通知は、これを発する時の同項の権利者の登記簿上の住所又は事務所にあてて発することができる。この場合には、その通知は、遅くとも、これを発した日から一週間を経過した時に到達したものとみなす。
民事保全法 第60条(仮処分命令の更正等) 詳細ページ
(仮処分命令の更正等)
第六十条保全仮登記に係る権利の表示がその保全仮登記に基づく本登記をすべき旨の本案の債務名義における権利の表示と符合しないときは、第五十三条第二項の処分禁止の仮処分の命令を発した裁判所は、債権者の申立てにより、その命令を更正しなければならない。
2前項の規定による更正決定に対しては、即時抗告をすることができる。
3第一項の規定による更正決定が確定したときは、裁判所書記官は、保全仮登記の更正を嘱託しなければならない。
民事保全法 第61条(不動産に関する権利以外の権利についての登記又は登録請求権を保全するための処分禁止の仮処分の効力) 詳細ページ
(不動産に関する権利以外の権利についての登記又は登録請求権を保全するための処分禁止の仮処分の効力)
第六十一条前三条の規定は、第五十四条に規定する処分禁止の仮処分の効力について準用する。
民事保全法 第62条(占有移転禁止の仮処分命令の効力) 詳細ページ
(占有移転禁止の仮処分命令の効力)
第六十二条占有移転禁止の仮処分命令の執行がされたときは、債権者は、本案の債務名義に基づき、次に掲げる者に対し、係争物の引渡し又は明渡しの強制執行をすることができる。
一当該占有移転禁止の仮処分命令の執行がされたことを知って当該係争物を占有した者
二当該占有移転禁止の仮処分命令の執行後にその執行がされたことを知らないで当該係争物について債務者の占有を承継した者
2占有移転禁止の仮処分命令の執行後に当該係争物を占有した者は、その執行がされたことを知って占有したものと推定する。
民事保全法 第63条(執行文の付与に対する異議の申立ての理由) 詳細ページ
(執行文の付与に対する異議の申立ての理由)
第六十三条前条第一項の本案の債務名義につき同項の債務者以外の者に対する執行文が付与されたときは、その者は、執行文の付与に対する異議の申立てにおいて、債権者に対抗することができる権原により当該物を占有していること、又はその仮処分の執行がされたことを知らず、かつ、債務者の占有の承継人でないことを理由とすることができる。
民事保全法 第64条(建物収去土地明渡請求権を保全するための建物の処分禁止の仮処分の効力) 詳細ページ
(建物収去土地明渡請求権を保全するための建物の処分禁止の仮処分の効力)
第六十四条第五十五条第一項の処分禁止の登記がされたときは、債権者は、本案の債務名義に基づき、その登記がされた後に建物を譲り受けた者に対し、建物の収去及びその敷地の明渡しの強制執行をすることができる。
民事保全法 第65条(詐害行為取消権を保全するための仮処分における解放金に対する権利の行使) 詳細ページ
(詐害行為取消権を保全するための仮処分における解放金に対する権利の行使)
第六十五条民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百二十四条第一項の規定による詐害行為取消権を保全するための仮処分命令において定められた第二十五条第一項の金銭の額に相当する金銭が供託されたときは、同法第四百二十四条第一項の債務者は、供託金の還付を請求する権利(以下「還付請求権」という。)を取得する。この場合において、その還付請求権は、その仮処分の執行が第五十七条第一項の規定により取り消され、かつ、保全すべき権利についての本案の判決が確定した後に、その仮処分の債権者が同法第四百二十四条第一項の債務者に対する債務名義によりその還付請求権に対し強制執行をするときに限り、これを行使することができる。
出

一次情報

原文ママ

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