論点1第143条民事執行法
動産売買の先取特権に基づく物上代位権を有する債権者が自ら目的債権を強制執行によつて差し押さえたときに競合する差押債権者等がある場合と優先弁済を受ける方法
裁判要旨動産売買の先取特権に基づく物上代位権を有する債権者は、自ら目的債権を強制執行によつて差し押さえても、他に競合する差押債権者等がある場合は、配当要求の終期までに、担保権を証する文書を提出して、先取特権に基づく配当要求又はこれに準ずる先取特権行使の申出をしなければ、優先弁済を受けることができない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和62年4月2日 昭和60(オ)232
- 登載
- 集民 第150号575頁
- 参照法条
- 民法304条,民事執行法143条,民事執行法154条,民事執行法165条,民事執行法193条
論点2第143条民事執行法
一 先取特権者による物上代位権行使の目的となる債権について一般債権者が差押又は仮差押の執行をしたのちの先取特権者による物上代位権の行使
二 優先権を有する債権者の得た転付命令が第三債務者に送達される時までに転付命令に係る金銭債権について他の債権者が差押、仮差押の執行又は配当要求をした場合における転付命令の効力
三 差押命令の送達と転付命令の送達とを競合して受けた第三債務者が民事執行法一五六条二項に基づいてした供託の効力
四 差押命令の送達と転付命令の送達とを競合して受けた第三債務者のした供託に基づき転付命令が効力を生じないとの解釈のもとに配当表が作成された場合と効力の生じた転付命令を得た債権者の不服申立方法
裁判要旨一 先取特権者による物上代位権行使の目的となる債権について一般債権者が差押又は仮差押の執行をしたにすぎないときは、そののちに先取特権者が右債権に対し物上代位権を行使することを妨げない。
二 転付命令が第三債務者に送達される時までに転付命令に係る金銭債権について他の債権者が差押、仮差押の執行又は配当要求をした場合でも、転付命令を得た債権者が優先権を有するときは、転付命令はその効力を生じる。
三 差押命令の送達と転付命令の送達とを競合して受けた第三債務者が民事執行法一五六条二項に基づいてした供託は、転付命令が効力を生じているため法律上差押の競合があるとはいえない場合であつても、第三債務者に転付命令の効力の有無についての的確な判断を期待しえない事情があるときは、同項の類推適用により有効である。
四 差押命令の送達と転付命令の送達とを競合して受けた第三債務者のした供託が民事執行法一五六条二項の類推適用により有効である場合において、右供託金について転付命令が効力を生じないとの解釈のもとに配当表が作成されたときは、効力の生じた転付命令を得た債権者は、配当期日における配当異議の申出さらには配当異議の訴えにより転付命令に係る債権につき優先配当を主張して配当表の変更を求めることができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和60年7月19日 昭和58(オ)1548
- 登載
- 民集 第39巻5号1326頁
- 参照法条
- 民法304条1項但書,民事執行法90条,民事執行法143条,民事執行法156条2項,民事執行法159条3項,民事執行法178条
論点3第143条民事執行法
普通預金債権のうち差押命令送達時後同送達の日から起算して1年が経過するまでの入金によって生ずることとなる部分を差押債権として表示した債権差押命令の申立てが,差押債権の特定を欠き不適法であるとされた事例
裁判要旨普通預金債権のうち差押命令送達時後同送達の日から起算して1年が経過するまでの入金によって生ずることとなる部分を差押債権として表示した債権差押命令の申立ては,第三債務者において,特定の普通預金口座への入出金を自動的に監視し,常に預金残高を一定の金額と比較して,これを上回る部分についてのみ払戻請求に応ずることを可能とするシステムは構築されていないなど判示の事情の下においては,差押債権の特定を欠き,不適法である。
(補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成24年7月24日 平成24(許)1
- 登載
- 集民 第241号29頁
- 参照法条
- 民事執行法143条,民事執行規則133条2項
論点4第143条民事執行法
1 債権差押命令の申立てにおける差押債権の特定の有無の判断基準
2 大規模な金融機関の全ての店舗又は貯金事務センターを対象として順位付けをする方式による預貯金債権の差押命令の申立ての適否
裁判要旨1 債権差押命令の申立てにおける差押債権の特定は,債権差押命令の送達を受けた第三債務者において,直ちにとはいえないまでも,差押えの効力が上記送達の時点で生ずることにそぐわない事態とならない程度に速やかに,かつ,確実に,差し押さえられた債権を識別することができるものであることを要する。
2 大規模な金融機関の全ての店舗又は貯金事務センターを対象として順位付けをする方式による預貯金債権の差押命令の申立ては,差押債権の特定を欠き不適法である。
(1,2につき補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成23年9月20日 平成23(許)34
- 登載
- 民集 第65巻6号2710頁
- 参照法条
- (1,2につき)民事執行法143条,民事執行規則133条2項
論点5第143条民事執行法
一 貸金庫の内容物についての強制執行の可否及び方法
二 貸金庫契約上の内容物引渡請求権に係る取立訴訟における個々の動産の特定及び存在の立証の要否
裁判要旨一 貸金庫の内容物については、利用者の銀行に対する貸金庫契約上の内容物引渡請求権を差し押さえる方法により、強制執行をすることができる。
二 貸金庫契約上の内容物引渡請求権に係る取立訴訟においては、差押債権者は、貸金庫を特定し、それについて貸金庫契約が締結されていることを立証すれば足り、貸金庫内の個々の動産を特定してその存在を立証する必要はない。
(一、二につき補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成11年11月29日 平成8(オ)556
- 登載
- 民集 第53巻8号1926頁
- 参照法条
- 民法第3編第2章契約,銀行法10条2項10号,民事執行法143条,民事執行法163条,民事執行法157条
論点6第143条民事執行法
子ども・子育て支援法29条5項から7項までに定める制度の下において、同条1項に規定する特定地域型保育事業者が市町村に対して有する地域型保育給付費に相当する額の金員の支払を求める債権は、同法17条にいう「子どものための教育・保育給付を受ける権利」に当たるか
裁判要旨子ども・子育て支援法29条5項から7項までに定める制度の下において、同条1項に規定する特定地域型保育事業者が市町村に対して有する地域型保育給付費に相当する額の金員の支払を求める債権は、同法17条にいう「子どものための教育・保育給付を受ける権利」に当たらない。
(補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 令和7年3月19日 令和6(許)12
- 登載
- 民集 第79巻3号1322頁
- 参照法条
- 子ども・子育て支援法11条、子ども・子育て支援法17条、子ども・子育て支援法29条、民事執行法143条
論点7第143条民事執行法
文化功労者年金法に基づく年金の支給を受ける権利に対する強制執行の可否
裁判要旨文化功労者年金法に基づく年金の支給を受ける権利に対しては強制執行をすることができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 令和6年10月23日 令和6(許)1
- 登載
- 民集 第78巻5号1353頁
- 参照法条
- 文化功労者年金法1条、文化功労者年金法3条1項、文化功労者年金法3条2項、民事執行法143条、民事執行法152条
論点8第143条民事執行法
刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律98条〈収益等の分与〉の定める作業報奨金の支給を受ける権利に対する強制執行の可否
裁判要旨刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律
98条〈収益等の分与〉の定める作業報奨金の支給を受ける権利に対して強制執行をすることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 令和4年8月16日 令和4(許)6
- 登載
- 民集 第76巻6号1271頁
- 参照法条
- 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律98条、民事執行法143条
論点9第145条民事執行法
物上代位権の行使としての債権差押えと被差押債権の消滅時効中断の有無
裁判要旨抵当権者が物上代位権の行使として債務者の有する債権を差し押さえても、被差押債権の消滅時効は中断されない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和63年7月15日 昭和60(オ)977
- 登載
- 集民 第154号333頁
- 参照法条
- 民法147条2号,民法304条,民法372条,民事執行法145条,民事執行法193条
論点10第145条民事執行法
債権執行による差押えと物上代位権の行使としての差押えとが競合した場合において双方の差押債権者に対し二重に弁済をした第三債務者の不当利得返還請求権
裁判要旨同一の債権につき、甲の強制執行による差押えと乙の物上代位権の行使としての差押えとが競合した場合に、甲乙に対し二重に弁済をした第三債務者は、甲に対し不当利得として右弁済金の返還を請求することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成9年2月25日 平成5(オ)1612
- 登載
- 集民 第181号313頁
- 参照法条
- 民法481条,民法703条,民事執行法145条,民事執行法155条1項,民事執行法193条
論点11第145条民事執行法
賃料債権の差押えの効力発生後に賃貸借契約がその目的物の賃借人への譲渡により終了した場合において,その後に支払期の到来する賃料債権を取り立てることの可否
裁判要旨賃貸人が賃借人に賃貸借契約の目的である建物を譲渡したことにより賃貸借契約が終了した以上は,その終了が賃料債権の差押えの効力発生後であっても,賃貸人と賃借人との人的関係,当該建物を譲渡するに至った経緯及び態様その他の諸般の事情に照らして,賃借人において賃料債権が発生しないことを主張することが信義則上許されないなどの特段の事情がない限り,差押債権者は,第三債務者である賃借人から,当該譲渡後に支払期の到来する賃料債権を取り立てることができない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成24年9月4日 平成22(受)1280
- 登載
- 集民 第241号63頁
- 参照法条
- 民事執行法145条,民事執行法151条
論点12第145条民事執行法
第三債務者が仮差押命令の送達を受けた時点で仮差押えの対象となった債権の弁済のために取引銀行に対し先日付振込みの依頼をしていた場合において上記送達後にされた振込みによる弁済を仮差押債権者に対抗することの可否
裁判要旨債権者甲が債務者乙の第三債務者丙に対する金銭債権の仮差押えをした場合において,丙が,仮差押命令の送達を受けた時点で,既に当該仮差押えの対象となった債権の弁済のために取引銀行に対し他の金融機関の乙名義の預金口座に先日付振込みの依頼をしていたとしても,その振込入金が未了であったときは,丙は,人的又は時間的余裕がなく,振込依頼を撤回することが著しく困難であるなどの特段の事情がない限り,上記送達後にされた振込みによる弁済を甲に対抗することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成18年7月20日 平成16(受)226
- 登載
- 民集 第60巻6号2475頁
- 参照法条
- 民法481条1項,民事保全法50条1項,民事保全法50条5項,民事執行法145条4項
論点13第145条民事執行法
抵当権に基づく物上代位権の行使としてされた債権差押命令に対する執行抗告において被差押債権の不存在又は消滅を理由とすることの可否
裁判要旨抵当権に基づく物上代位権の行使としてされた債権差押命令に対する執行抗告においては,被差押債権の不存在又は消滅を理由とすることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成14年6月13日 平成13(許)30
- 登載
- 民集 第56巻5号1014頁
- 参照法条
- 民事執行法145条5項,民事執行法193条,民法304条1項,民法372条
論点14第145条民事執行法
債権について一般債権者の差押えと抵当権者の物上代位権に基づく差押えが競合した場合における両者の優劣の判断基準
裁判要旨債権について一般債権者の差押えと抵当権者の物上代位権に基づく差押えが競合した場合には、両者の優劣は、一般債権者の申立てによる差押命令の第三債務者への送達と抵当権設定登記の先後によって決すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成10年3月26日 平成6(オ)1408
- 登載
- 民集 第52巻2号483頁
- 参照法条
- 民法177条,民法304条,民法372条,民事執行法145条
論点15第145条民事執行法
建物の賃料債権の差押えの効力が発生した後に建物を譲り受けた者が賃貸人の地位の移転に伴う賃料債権の取得を差押債権者に対抗することの可否
裁判要旨建物の賃料債権の差押えの効力が発生した後に、建物が譲渡され賃貸人の地位が譲受人に移転したとしても、譲受人は、建物の賃料債権を取得したことを差押債権者に対抗することができない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成10年3月24日 平成7(オ)514
- 登載
- 民集 第52巻2号399頁
- 参照法条
- 民事執行法145条,民事執行法151条
論点16第151条民事執行法
保険医療機関,指定医療機関等の指定を受けた病院又は診療所が社会保険診療報酬支払基金に対して取得する診療報酬債権と民事執行法151条の2第2項に規定する「継続的給付に係る債権」
裁判要旨健康保険法上の保険医療機関,生活保護法上の指定医療機関等の指定を受けた病院又は診療所が社会保険診療報酬支払基金に対して取得する診療報酬債権は,民事執行法
151条の2第2項〈扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例〉に規定する「継続的給付に係る債権」に当たる
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成17年12月6日 平成17(許)19
- 登載
- 民集 第59巻10号2629頁
- 参照法条
- 民事執行法151条の2,民事執行法151条,社会保険診療報酬支払基金法1条,社会保険診療報酬支払基金法15条1項,2項,健康保険法63条3項1号,健康保険法76条,国民健康保険法36条3項,国民健康保険法45条,生活保護法49条,生活保護法53条,児童福祉法20条,児童福祉法21条の3
論点17第152条民事執行法
一 給与支給機関が地方公務員等共済組合法一一五条二項に基づき地方公務員共済組合の組合員である地方公務員の給与から貸付金残額を控除して右組合に払い込む行為と破産法七二条二号による否認
二 給与支給機関が地方公務員等共済組合法一一五条二項に基づき地方公務員共済組合の組合員である地方公務員の退職手当から貸付金残額を控除して右組合に払い込んだ場合と破産法七二条二号による否認の範囲
裁判要旨一 給与支給機関が、地方公務員等共済組合法一一五条二項に基づき、地方公務員共済組合の組合員である地方公務員の給与から未返済の貸付金に相当する金額を控除してこれを右組合に払い込む行為は、破産法七二条二号による否認の対象となる。
二 給与支給機関が、地方公務員等共済組合法一一五条二項に基づき、地方公務員共済組合の組合員である地方公務員の退職手当から未返済の貸付金に相当する金額を控除してこれを右組合に払い込んだ場合には、その全額について破産法七二条二号により否認することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成2年10月2日 昭和59(オ)454
- 登載
- 集民 第161号1頁
- 参照法条
- 地方公務員等共済組合法115条2項,破産法72条2号,民事執行法152条2項
論点18第154条民事執行法
動産売買の先取特権に基づく物上代位権の行使としての債権の差押命令の申立てと他の債権者による債権差押事件の配当手続における優先弁済
裁判要旨動産売買の先取特権に基づく物上代位権を有する債権者甲が、物上代位の目的たる債権につき仮差押えをした後、右債権につき債権者乙による差押えがあつたため第三債務者が民事執行法(平成元年法律第九一号による改正前のもの)一五六条二項、一七八条五項に基づく供託をした場合において、甲が右供託前に更に物上代位権の行使として右債権の差押命令の申立てをしたときであつても、その差押命令が右供託前に第三債務者に送達されない限り、甲は乙による債権差押事件の配当手続において優先弁済を受けることができない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成5年3月30日 昭和63(オ)1453
- 登載
- 民集 第47巻4号3300頁
- 参照法条
- 民事執行法154条1項1165条1号,民事執行法193条1項
論点19第154条民事執行法
抵当権に基づき物上代位権を行使する者が債権差押事件に配当要求することにより優先弁済を受けることの可否
裁判要旨抵当権に基づき物上代位権を行使する債権者は,他の債権者による債権差押事件に配当要求をすることによって優先弁済を受けることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成13年10月25日 平成13(受)91
- 登載
- 民集 第55巻6号975頁
- 参照法条
- 民法304条,民法372条,民事執行法154条,民事執行法193条1項
論点20第155条民事執行法
債権差押命令の申立書に請求債権中の遅延損害金につき申立日までの確定金額を記載させる執行裁判所の取扱いに従って債権差押命令の申立てをした債権者が差押債権の取立てとして金員の支払を受けた場合,申立日の翌日以降の遅延損害金も上記金員の充当の対象となるか
裁判要旨債権差押命令の申立書に請求債権中の遅延損害金につき申立日までの確定金額を記載させる執行裁判所の取扱いに従って債権差押命令の申立てをした債権者が当該債権差押命令に基づく差押債権の取立てとして第三債務者から金員の支払を受けた場合,申立日の翌日以降の遅延損害金も上記金員の充当の対象となる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成29年10月10日 平成28(許)46
- 登載
- 民集 第71巻8号1482頁
- 参照法条
- 民事執行法155条1項,民事執行法155条2項,民法491条
論点21第155条民事執行法
1 証券投資信託であるMMF(マネー・マネージメント・ファンド)の受益者が解約実行請求をした場合と受益者の受益証券を販売した会社に対する一部解約金支払請求権
2 証券投資信託であるMMF(マネー・マネージメント・ファンド)の受益者が受益証券を販売した会社に対して有する一部解約金支払請求権を差し押さえた債権者が取立権の行使として上記会社に対し解約実行請求をして同請求権を取り立てることの可否
(1,2につき参考図参照)
裁判要旨1 証券投資信託であるMMF(マネー・マネージメント・ファンド)であって,(1)投資信託約款において,受益証券の換金は受益者が委託者に対して信託契約の解約の実行を請求する方法によること,この解約実行請求は委託者又は受益証券を販売した会社に対して行うこと,委託者は受益者から解約実行請求があったときは信託契約の一部を解約し,一部解約金は上記会社の営業所等において受益者に支払うことが定められ,(2)上記会社が,委託者から,受益証券の販売のほか,解約実行請求の受付及び一部解約金の支払等の業務の委託を受け,受益証券が上記会社に保護預りされており,(3)上記会社と受益者との間の投資信託総合取引規定において,受益証券等の購入及び解約の申込みは上記会社の店舗等において受け付けること,解約金は取扱商品ごとに定められた日に受益者の預金口座に入金することなどが定められているものについては,上記会社は,解約実行請求をした受益者に対し,委託者から一部解約金の交付を受けることを条件として一部解約金の支払義務を負い,受益者は,上記会社に対し,上記条件の付いた一部解約金支払請求権を有する。
2 証券投資信託であるMMF(マネー・マネージメント・ファンド)であって,(1)投資信託約款において,受益証券の換金は受益者が委託者に対して信託契約の解約の実行を請求する方法によること,この解約実行請求は委託者又は受益証券を販売した会社に対して行うこと,委託者は受益者から解約実行請求があったときは信託契約の一部を解約し,一部解約金は上記会社の営業所等において受益者に支払うことが定められ,(2)上記会社が,委託者から,受益証券の販売のほか,解約実行請求の受付及び一部解約金の支払等の業務の委託を受け,受益証券が上記会社に保護預りされているものについては,上記会社が委託者から一部解約金の交付を受けることを条件として効力を生ずる受益者の上記会社に対する一部解約金支払請求権を差し押さえた債権者は,取立権の行使として,上記会社に対して解約実行請求の意思表示をすることができ,委託者によって信託契約の一部解約が実行されて上記会社が一部解約金の交付を受けたときは,上記会社から同請求権を取り立てることができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成18年12月14日 平成17(受)1461
- 登載
- 民集 第60巻10号3914頁
- 参照法条
- (1,2につき)投資信託及び投資法人に関する法律2条4項,民法127条,(2につき)民事執行法155条1項
論点22第155条民事執行法
生命保険契約の解約返戻金請求権の差押債権者がこれを取り立てるために解約権を行使することの可否
裁判要旨生命保険契約の解約返戻金請求権を差し押さえた債権者は、これを取り立てるため、債務者の有する解約権を行使することができる。
(反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成11年9月9日 平成10(受)456
- 登載
- 民集 第53巻7号1173頁
- 参照法条
- 民事執行法155条1項,商法653条,商法673条,商法683条
論点23第156条民事執行法
マンション建替事業の施行者がマンションの建替え等の円滑化に関する法律76条3項〈買受けの申出後の強制競売の申立ての取下げ等〉に基づく補償金の供託義務を負う場合において、上記補償金の支払請求権に対して複数の差押命令が発せられて差押えの競合が生じたときに上記施行者がすべき供託
裁判要旨マンションの建替え等の円滑化に関する法律
2条1項4号〈執行機関〉のマンション建替事業の施行者が同法76条3項に基づく補償金の供託義務を負う場合において、上記補償金の支払請求権に対して複数の差押命令が発せられ、差押えの競合が生じたときは、上記施行者は、上記補償金について、同項及び民事執行法156条2項を根拠法条とするいわゆる混合供託をしなければならない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 令和4年10月6日 令和2(受)1462
- 登載
- 民集 第76巻6号1291頁
- 参照法条
- マンションの建替え等の円滑化に関する法律76条3項、マンションの建替え等の円滑化に関する法律77条、民事執行法156条2項、民事執行法157条4項、供託規則13条2項5号
論点24第159条民事執行法
自動車損害賠償保障法三条の規定による損害賠償請求権を執行債権とする転付命令と右損害賠償義務の履行によつて発生すべき同法一五条所定の自動車損害賠償責任保険金請求権の被転付適格
裁判要旨自動車損害賠償保障法三条の規定による損害賠償請求権を執行債権とし、右損害賠償義務の履行によつて発生すべき同法一五条所定の自動車損害賠償責任保険金請求権につき転付命令が申請された場合には、右保険金請求権は、券面額ある債権として被転付適格を有する。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和56年3月24日 昭和53(オ)880
- 登載
- 民集 第35巻2号271頁
- 参照法条
- 民訴法(昭和54年法律第4号による改正前のもの)601条,自動車損害賠償保障法15条,民事執行法159条
論点25第159条民事執行法
一 生命保険契約の保険契約者兼保険金受取人である有限会社が意思表示の受領権限を有する者を欠く状態にある場合において保険金請求権の転付債権者に対して告知義務違反を理由とする解除の意思表示をすることの可否
二 保険会社が告知義務違反による生命保険契約の解除原因を知った時に解除の意思表示の受領権限を有する者がいない場合における解除原因を知った後一箇月を経過したときには契約を解除することができない旨の約款の解釈
裁判要旨一 有限会社を保険契約者兼保険金受取人とする生命保険契約における被保険者が死亡し、かつ、右有限会社が意思表示を受領する権限を有する者を欠く状態にある場合において、転付命令により保険金受取人の保険会社に対する生命保険金支払請求権を取得した者があるときには、保険会社は、右転付債権者に対しても告知義務違反を理由とする生命保険契約の解除の意思表示をすることができる。
二 有限会社を保険契約者とする生命保険契約に適用される約款に保険会社が告知義務違反による解除の原因を知った日からその日を含めて一箇月を経過したときには契約を解除することができない旨の定めがある場合において、保険会社が右の解除の原因を知った時に解除の意思表示の受領権限を有する者がいないときには、右の一箇月の期間は、保険会社が右受領権限を有する者が現れたことを知り、又は知り得べき時から進行するものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成9年6月17日 平成7(オ)949
- 登載
- 民集 第51巻5号2154頁
- 参照法条
- 民法91条,民法540条,商法644条2項,商法678条,民事執行法159条,民事執行法160条
論点26第159条民事執行法
連帯債務者の一部の者に対する債権の転付とその余の連帯債務者に対する債権の移転の有無
裁判要旨連帯債務者の一部の者に対する債権が転付命令によって第三者に移転したとしても、その余の連帯債務者に対する債権は移転しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成3年5月10日 平成2(オ)1330
- 登載
- 集民 第163号37頁
- 参照法条
- 民法432条,民法440条,民事執行法159条,民事執行法160条
論点27第159条民事執行法
委任事務終了前における委任者の受任者に対する前払費用についての返還請求権の被転付適格
裁判要旨委任者が委任事務の処理のために受任者に交付した前払費用についての返還請求権は,当該委任事務の終了前においては,券面額を有するものとはいえず,被転付適格を有しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成18年4月14日 平成17(許)33
- 登載
- 民集 第60巻4号1535頁
- 参照法条
- 民事執行法159条,民法649条
論点28第159条民事執行法
支払保証委託契約を締結する方法により強制執行停止の担保を立てた場合において同契約締結の際にされた定期預金の払戻請求権に対して転付命令を得た同契約の当事者以外の第三者が担保の取消しの申立てをすることの許否
裁判要旨支払保証委託契約を締結する方法により強制執行停止の担保を立てた場合において,委託者が同契約締結の際にした定期預金の払戻請求権に対して転付命令を得た同契約の当事者以外の第三者は,当該担保の取消しの申立てをすることができない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成15年3月14日 平成14(許)32
- 登載
- 集民 第209号247頁
- 参照法条
- 民訴法76条,民訴法79条,民訴法398条1項,民訴法400条2項,民訴規則29条,民事執行法159条
論点29第159条民事執行法
抵当権の物上代位の目的となる債権に対する転付命令の効力
裁判要旨抵当権の物上代位の目的となる債権に対する転付命令は,これが第三債務者に送達される時までに抵当権者により当該債権の差押えがなされなかったときは,その効力を妨げられない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成14年3月12日 平成12(受)890
- 登載
- 民集 第56巻3号555頁
- 参照法条
- 民法304条1項,民法372条,民事執行法159条,民事執行法160条,民事執行法193条
論点30第159条民事執行法
質権が設定されている金銭債権の被転付適格
裁判要旨質権が設定されている金銭債権は,券面額ある債権として被転付適格を有する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成12年4月7日 平成11(許)42
- 登載
- 民集 第54巻4号1355頁
- 参照法条
- 民事執行法159条,民法362条
論点31第159条民事執行法
交通事故の被害者の保有者に対する損害賠償請求権が第三者に転付された場合と自動車損害賠償保障法一六条一項に基づく被害者の保険会社に対する損害賠償額支払請求権の帰すう
裁判要旨交通事故の被害者の保有者に対する損害賠償請求権が第三者に転付された場合には、被害者は、転付された債権額の限度において自動車損害賠償保障法一六条一項に基づく損害賠償額の支払請求権を失う。
(補足意見及び反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成12年3月9日 平成9(オ)992
- 登載
- 民集 第54巻3号960頁
- 参照法条
- 自動車損害賠償保障法16条1項,自動車損害賠償保障法23条の2第1項,民事執行法159条,民事執行法160条
論点32第159条民事執行法
第三債務者が差押命令の送達を受ける前に債務者との間で差押えに係る金銭債権の支払のために電子記録債権を発生させた場合において、上記差押えに係る金銭債権について発せられた転付命令が第三債務者に送達された後に上記電子記録債権の支払がされたときの上記転付命令の効力
裁判要旨第三債務者が差押命令の送達を受ける前に債務者との間で差押えに係る金銭債権の支払のために電子記録債権を発生させた場合において、上記差押えに係る金銭債権について発せられた転付命令が第三債務者に送達された後に上記電子記録債権の支払がされたときは、上記支払によって民事執行法160条による上記転付命令の執行債権及び執行費用の弁済の効果が妨げられることはない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 令和5年3月29日 令和4(許)13
- 登載
- 民集 第77巻3号819頁
- 参照法条
- 民事執行法159条、民事執行法160条
論点33第160条民事執行法
供託官が供託金取戻請求権についてされた無効な転付命令を有効なものと誤信して右転付命令取得者に供託元利金の払渡をした場合と民法七〇七条一項の類推適用の有無
裁判要旨供託官が供託金取戻請求権についてされた無効な転付命令を有効なものと誤信して転付命令取得者に供託元利金の払渡しをした場合において、右転付命令取得者が当該転付命令の執行債権につき証書の毀滅、担保の放棄等の事由を生じさせたとしても、右払渡しに係る供託元利金の不当利得返還請求権について民法七〇七条一項を類推適用すべきものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和62年4月16日 昭和61(オ)625
- 登載
- 集民 第150号705頁
- 参照法条
- 民法707条1項,民事執行法160条
論点34第160条民事執行法
抵当権が設定されている宅地についての土地区画整理法上の換地処分に伴う清算金債権に対し差押・転付命令を得た者と施行者に対する右清算金支払請求の可否
裁判要旨抵当権が設定されている宅地についての土地区画整理法上の換地処分に伴う清算金債権に対し差押・転付命令を得た者は、抵当権者が物上代位のための差押をする前に右命令を得たとしても、抵当権者から供託しなくてもよい旨の申出がない限り、施行者に対し右清算金の支払を請求することができない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和58年12月8日 昭和56(オ)283
- 登載
- 民集 第37巻10号1517頁
- 参照法条
- 民法304条,民法371条,民訴法(昭和54年法律第4号による改正前のもの)601条,民事執行法160条,土地区画整理法112条1項
論点35第161条民事執行法
不動産,船舶,動産及び債権以外の財産権に対する強制執行において財産権の価額を0円と定めた譲渡命令を発することの許否
裁判要旨不動産,船舶,動産及び債権以外の財産権に対する強制執行において財産権の価額を0円と定めた譲渡命令を発することは許されない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成13年2月23日 平成12(許)39
- 登載
- 集民 第201号217頁
- 参照法条
- 民事執行法161条1項,民事執行法167条1項