民事執行法 / テーマ別まとめ

債権及びその他の財産権に対する強制執行/債権執行等

債権執行等の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

債権執行は、金銭の支払や船舶・動産の引渡しを目的とする債権に対する強制執行で、執行裁判所の差押命令によって開始します。差押命令は債務者に取立て等を禁止し、第三債務者に弁済を禁止するもので、差押え後は取立て・転付命令・譲渡命令等のいずれかの方法で債権者が回収(換価)します。あわせて配当要求、差押禁止債権の保護、第三債務者の供託といった周辺手続も定められています。

債権執行等
方法誰が使う効力発生時期内容
取立て差押債権者送達後1週間経過後第三債務者から直接回収
転付命令差押債権者の申立て確定した時券面額で弁済したものとみなす
譲渡命令等取立て困難な場合確定した時裁判所が価額を定め譲渡等
供託第三債務者供託した時債務履行地の供託所へ供託
  • 差押命令に対する裁判には執行抗告ができる
  • 転付命令・譲渡命令等は差押禁止債権に該当する場合、確定に加え送達から4週間経過も必要
  • 取立ては送達から1週間経過後だが、生計維持のための継続的給付等は4週間経過後
  • 配当要求ができるのは執行力ある債務名義正本保有者と先取特権を証明した債権者
  • 第三債務者は陳述催告に対し故意・過失で不陳述・虚偽陳述をすると損害賠償責任を負う
  • 差押えた債権の価額が請求債権と執行費用を超えるときは他の債権を差し押さえてはならない
1

債権執行等

債権執行等について、条文は何を定めているか。

第143条債権執行の開始差押命令で債権執行が始まる1項判例 8件
  • 金銭支払・船舶や動産引渡しを目的とする債権が対象
  • 動産執行の対象となる有価証券付き債権は除外される
  • 執行裁判所の差押命令により債権執行が開始する
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第144条執行裁判所管轄は債務者の住所地の地裁4項判例なし
  • 普通裁判籍がなければ差し押さえるべき債権の所在地の地裁
  • 差し押さえるべき債権は第三債務者の普通裁判籍の所在地にある
  • 船舶・動産引渡債権や物上担保付き債権はその物の所在地
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第145条差押命令取立てと弁済を禁止する命令8項判例 7件
  • 債務者に取立て等を禁止、第三債務者に弁済を禁止する
  • 債務者・第三債務者を審尋せずに発し、双方に送達する
  • 効力は第三債務者への送達時に生じ、抗告もできる
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第146条差押えの範囲請求額を超える差押えは禁止2項判例なし
  • 差し押さえるべき債権の全部について差押命令を発せられる
  • 差押債権額が請求債権・執行費用を超えたら他は差押不可
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第147条第三債務者の陳述の催告第三債務者に債権の有無を確認2項判例なし
  • 差押債権者の申立てで送達日から2週間以内に陳述させる
  • 故意・過失で不陳述や虚偽陳述をすれば損害賠償責任を負う
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第148条債権証書の引渡し証書があれば差押債権者へ引渡し2項判例なし
  • 債務者は差押えに係る債権の証書を引き渡す義務を負う
  • 動産引渡しの強制執行の方法で証書の引渡しを受けられる
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第149条差押えが一部競合した場合の効力一部競合でも効力は債権全部に及ぶ1項判例なし
  • 残部を超える差押命令が出ると効力は債権全部に及ぶ
  • 全部差押え後に一部差押命令が出ても同様に扱われる
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第150条先取特権等によつて担保される債権の差押えの登記等の嘱託担保付き債権の差押えは登記も嘱託1項判例なし
  • 登記済みの先取特権・質権・抵当権付き債権が対象
  • 申立てにより差押えの登記等を裁判所書記官が嘱託する
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第151条継続的給付の差押え給料等は将来分にも差押えが及ぶ1項判例 3件
  • 給料など継続的給付債権は差押え後の給付にも効力が及ぶ
  • 限度額は差押債権者の債権と執行費用の額まで
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第152条差押禁止債権給料等は4分の3が差押禁止3項・2号判例 2件
  • 生計維持のための継続的給付・給料等は4分の3を保護
  • 政令で定める額を超える場合は政令の額相当部分を保護
  • 退職手当等も4分の3、一定の請求では2分の1に縮小
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第153条差押禁止債権の範囲の変更事情に応じ差押範囲を裁判所が調整5項判例なし
  • 生活状況等を考慮し差押命令の取消しや差押えの追加が可能
  • 事情変更があれば再度の取消し・差押えの申立てができる
  • 裁判確定まで第三債務者へ支払禁止を命じられる
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第154条配当要求他の債権者も配当要求できる3項判例 3件
  • 執行力ある債務名義正本保有者・先取特権証明者が可能
  • 配当要求の旨を記載した文書は第三債務者に送達される
  • 却下する裁判には執行抗告ができる
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第155条差押債権者の金銭債権の取立て送達から1週間で取立て可能8項判例 4件
  • 原則送達日から1週間経過後に取立て可能(一部債権は4週間)
  • 支払を受けた額の限度で債権・執行費用が弁済されたとみなす
  • 取立て可能日から2年経過後の届出がなければ取消しもある
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第156条第三債務者の供託第三債務者は供託で債務を免れる4項判例 2件
  • 差押えに係る金銭債権の全額を履行地の供託所に供託できる
  • 差押えの競合や配当要求があると供託が義務になる場合がある
  • 供託したときは執行裁判所へ届出が必要
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第157条取立訴訟取立訴訟には他の差押債権者も参加可5項判例 2件
  • 第三債務者の申立てで他の差押債権者を共同訴訟人にできる
  • 参加を命じられ参加しなかった債権者にも判決効力が及ぶ
  • 供託義務ある第三債務者への認容判決は供託方法を明示する
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第158条債権者の損害賠償取立てを怠ると債務者へ賠償責任1項判例なし
  • 差し押さえた債権の行使を怠って生じた損害を賠償する責任
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第159条転付命令券面額で債権者に移す転付命令7項判例 10件
  • 支払に代えて券面額で差押債権者に転付する命令を発せられる
  • 送達までに他の差押え等があれば転付命令は効力を生じない
  • 確定しなければ効力を生じず、抗告もできる
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第160条転付命令の効力転付命令確定で券面額分弁済とみなす1項判例 7件
  • 転付命令に係る債権が存する限り券面額で弁済したとみなす
  • 弁済の効果は第三債務者への送達時に生じる
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第161条譲渡命令等取立て困難な債権は譲渡等で換価7項判例 1件
  • 条件付・反対給付付きなど取立てが困難な債権が対象
  • 譲渡命令・売却命令・管理命令等の方法を裁判所が選べる
  • 決定には債務者審尋が必要(外国居住等は除く)
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第162条船舶の引渡請求権の差押命令の執行船舶引渡請求権は保管人経由で執行3項判例なし
  • 送達から1週間経過後、保管人への引渡しを請求できる
  • 保管人が引渡しを受けた船舶は船舶執行の方法で執行する
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第143条民事執行法

動産売買の先取特権に基づく物上代位権を有する債権者が自ら目的債権を強制執行によつて差し押さえたときに競合する差押債権者等がある場合と優先弁済を受ける方法

裁判要旨動産売買の先取特権に基づく物上代位権を有する債権者は、自ら目的債権を強制執行によつて差し押さえても、他に競合する差押債権者等がある場合は、配当要求の終期までに、担保権を証する文書を提出して、先取特権に基づく配当要求又はこれに準ずる先取特権行使の申出をしなければ、優先弁済を受けることができない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和62年4月2日 昭和60(オ)232
登載
集民 第150号575頁
参照法条
民法304条,民事執行法143条,民事執行法154条,民事執行法165条,民事執行法193条
論点2第143条民事執行法

一 先取特権者による物上代位権行使の目的となる債権について一般債権者が差押又は仮差押の執行をしたのちの先取特権者による物上代位権の行使
二 優先権を有する債権者の得た転付命令が第三債務者に送達される時までに転付命令に係る金銭債権について他の債権者が差押、仮差押の執行又は配当要求をした場合における転付命令の効力
三 差押命令の送達と転付命令の送達とを競合して受けた第三債務者が民事執行法一五六条二項に基づいてした供託の効力
四 差押命令の送達と転付命令の送達とを競合して受けた第三債務者のした供託に基づき転付命令が効力を生じないとの解釈のもとに配当表が作成された場合と効力の生じた転付命令を得た債権者の不服申立方法

裁判要旨一 先取特権者による物上代位権行使の目的となる債権について一般債権者が差押又は仮差押の執行をしたにすぎないときは、そののちに先取特権者が右債権に対し物上代位権を行使することを妨げない。
二 転付命令が第三債務者に送達される時までに転付命令に係る金銭債権について他の債権者が差押、仮差押の執行又は配当要求をした場合でも、転付命令を得た債権者が優先権を有するときは、転付命令はその効力を生じる。
三 差押命令の送達と転付命令の送達とを競合して受けた第三債務者が民事執行法一五六条二項に基づいてした供託は、転付命令が効力を生じているため法律上差押の競合があるとはいえない場合であつても、第三債務者に転付命令の効力の有無についての的確な判断を期待しえない事情があるときは、同項の類推適用により有効である。
四 差押命令の送達と転付命令の送達とを競合して受けた第三債務者のした供託が民事執行法一五六条二項の類推適用により有効である場合において、右供託金について転付命令が効力を生じないとの解釈のもとに配当表が作成されたときは、効力の生じた転付命令を得た債権者は、配当期日における配当異議の申出さらには配当異議の訴えにより転付命令に係る債権につき優先配当を主張して配当表の変更を求めることができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和60年7月19日 昭和58(オ)1548
登載
民集 第39巻5号1326頁
参照法条
民法304条1項但書,民事執行法90条,民事執行法143条,民事執行法156条2項,民事執行法159条3項,民事執行法178条
論点3第143条民事執行法

普通預金債権のうち差押命令送達時後同送達の日から起算して1年が経過するまでの入金によって生ずることとなる部分を差押債権として表示した債権差押命令の申立てが,差押債権の特定を欠き不適法であるとされた事例

裁判要旨普通預金債権のうち差押命令送達時後同送達の日から起算して1年が経過するまでの入金によって生ずることとなる部分を差押債権として表示した債権差押命令の申立ては,第三債務者において,特定の普通預金口座への入出金を自動的に監視し,常に預金残高を一定の金額と比較して,これを上回る部分についてのみ払戻請求に応ずることを可能とするシステムは構築されていないなど判示の事情の下においては,差押債権の特定を欠き,不適法である。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成24年7月24日 平成24(許)1
登載
集民 第241号29頁
参照法条
民事執行法143条,民事執行規則133条2項
論点4第143条民事執行法

1 債権差押命令の申立てにおける差押債権の特定の有無の判断基準
2 大規模な金融機関の全ての店舗又は貯金事務センターを対象として順位付けをする方式による預貯金債権の差押命令の申立ての適否

裁判要旨1 債権差押命令の申立てにおける差押債権の特定は,債権差押命令の送達を受けた第三債務者において,直ちにとはいえないまでも,差押えの効力が上記送達の時点で生ずることにそぐわない事態とならない程度に速やかに,かつ,確実に,差し押さえられた債権を識別することができるものであることを要する。
2 大規模な金融機関の全ての店舗又は貯金事務センターを対象として順位付けをする方式による預貯金債権の差押命令の申立ては,差押債権の特定を欠き不適法である。
(1,2につき補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成23年9月20日 平成23(許)34
登載
民集 第65巻6号2710頁
参照法条
(1,2につき)民事執行法143条,民事執行規則133条2項
論点5第143条民事執行法

一 貸金庫の内容物についての強制執行の可否及び方法
二 貸金庫契約上の内容物引渡請求権に係る取立訴訟における個々の動産の特定及び存在の立証の要否

裁判要旨一 貸金庫の内容物については、利用者の銀行に対する貸金庫契約上の内容物引渡請求権を差し押さえる方法により、強制執行をすることができる。
二 貸金庫契約上の内容物引渡請求権に係る取立訴訟においては、差押債権者は、貸金庫を特定し、それについて貸金庫契約が締結されていることを立証すれば足り、貸金庫内の個々の動産を特定してその存在を立証する必要はない。
(一、二につき補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成11年11月29日 平成8(オ)556
登載
民集 第53巻8号1926頁
参照法条
民法第3編第2章契約,銀行法10条2項10号,民事執行法143条,民事執行法163条,民事執行法157条
論点6第143条民事執行法

子ども・子育て支援法29条5項から7項までに定める制度の下において、同条1項に規定する特定地域型保育事業者が市町村に対して有する地域型保育給付費に相当する額の金員の支払を求める債権は、同法17条にいう「子どものための教育・保育給付を受ける権利」に当たるか

裁判要旨子ども・子育て支援法29条5項から7項までに定める制度の下において、同条1項に規定する特定地域型保育事業者が市町村に対して有する地域型保育給付費に相当する額の金員の支払を求める債権は、同法17条にいう「子どものための教育・保育給付を受ける権利」に当たらない。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 令和7年3月19日 令和6(許)12
登載
民集 第79巻3号1322頁
参照法条
子ども・子育て支援法11条、子ども・子育て支援法17条、子ども・子育て支援法29条、民事執行法143条
論点7第143条民事執行法

文化功労者年金法に基づく年金の支給を受ける権利に対する強制執行の可否

裁判要旨文化功労者年金法に基づく年金の支給を受ける権利に対しては強制執行をすることができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 令和6年10月23日 令和6(許)1
登載
民集 第78巻5号1353頁
参照法条
文化功労者年金法1条、文化功労者年金法3条1項、文化功労者年金法3条2項、民事執行法143条、民事執行法152条
論点8第143条民事執行法

刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律98条〈収益等の分与〉の定める作業報奨金の支給を受ける権利に対する強制執行の可否

裁判要旨刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律98条〈収益等の分与〉の定める作業報奨金の支給を受ける権利に対して強制執行をすることはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 令和4年8月16日 令和4(許)6
登載
民集 第76巻6号1271頁
参照法条
刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律98条、民事執行法143条
論点9第145条民事執行法

物上代位権の行使としての債権差押えと被差押債権の消滅時効中断の有無

裁判要旨抵当権者が物上代位権の行使として債務者の有する債権を差し押さえても、被差押債権の消滅時効は中断されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和63年7月15日 昭和60(オ)977
登載
集民 第154号333頁
参照法条
民法147条2号,民法304条,民法372条,民事執行法145条,民事執行法193条
論点10第145条民事執行法

債権執行による差押えと物上代位権の行使としての差押えとが競合した場合において双方の差押債権者に対し二重に弁済をした第三債務者の不当利得返還請求権

裁判要旨同一の債権につき、甲の強制執行による差押えと乙の物上代位権の行使としての差押えとが競合した場合に、甲乙に対し二重に弁済をした第三債務者は、甲に対し不当利得として右弁済金の返還を請求することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成9年2月25日 平成5(オ)1612
登載
集民 第181号313頁
参照法条
民法481条,民法703条,民事執行法145条,民事執行法155条1項,民事執行法193条
論点11第145条民事執行法

賃料債権の差押えの効力発生後に賃貸借契約がその目的物の賃借人への譲渡により終了した場合において,その後に支払期の到来する賃料債権を取り立てることの可否

裁判要旨賃貸人が賃借人に賃貸借契約の目的である建物を譲渡したことにより賃貸借契約が終了した以上は,その終了が賃料債権の差押えの効力発生後であっても,賃貸人と賃借人との人的関係,当該建物を譲渡するに至った経緯及び態様その他の諸般の事情に照らして,賃借人において賃料債権が発生しないことを主張することが信義則上許されないなどの特段の事情がない限り,差押債権者は,第三債務者である賃借人から,当該譲渡後に支払期の到来する賃料債権を取り立てることができない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成24年9月4日 平成22(受)1280
登載
集民 第241号63頁
参照法条
民事執行法145条,民事執行法151条
論点12第145条民事執行法

第三債務者が仮差押命令の送達を受けた時点で仮差押えの対象となった債権の弁済のために取引銀行に対し先日付振込みの依頼をしていた場合において上記送達後にされた振込みによる弁済を仮差押債権者に対抗することの可否

裁判要旨債権者甲が債務者乙の第三債務者丙に対する金銭債権の仮差押えをした場合において,丙が,仮差押命令の送達を受けた時点で,既に当該仮差押えの対象となった債権の弁済のために取引銀行に対し他の金融機関の乙名義の預金口座に先日付振込みの依頼をしていたとしても,その振込入金が未了であったときは,丙は,人的又は時間的余裕がなく,振込依頼を撤回することが著しく困難であるなどの特段の事情がない限り,上記送達後にされた振込みによる弁済を甲に対抗することはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成18年7月20日 平成16(受)226
登載
民集 第60巻6号2475頁
参照法条
民法481条1項,民事保全法50条1項,民事保全法50条5項,民事執行法145条4項
論点13第145条民事執行法

抵当権に基づく物上代位権の行使としてされた債権差押命令に対する執行抗告において被差押債権の不存在又は消滅を理由とすることの可否

裁判要旨抵当権に基づく物上代位権の行使としてされた債権差押命令に対する執行抗告においては,被差押債権の不存在又は消滅を理由とすることはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成14年6月13日 平成13(許)30
登載
民集 第56巻5号1014頁
参照法条
民事執行法145条5項,民事執行法193条,民法304条1項,民法372条
論点14第145条民事執行法

債権について一般債権者の差押えと抵当権者の物上代位権に基づく差押えが競合した場合における両者の優劣の判断基準

裁判要旨債権について一般債権者の差押えと抵当権者の物上代位権に基づく差押えが競合した場合には、両者の優劣は、一般債権者の申立てによる差押命令の第三債務者への送達と抵当権設定登記の先後によって決すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成10年3月26日 平成6(オ)1408
登載
民集 第52巻2号483頁
参照法条
民法177条,民法304条,民法372条,民事執行法145条
論点15第145条民事執行法

建物の賃料債権の差押えの効力が発生した後に建物を譲り受けた者が賃貸人の地位の移転に伴う賃料債権の取得を差押債権者に対抗することの可否

裁判要旨建物の賃料債権の差押えの効力が発生した後に、建物が譲渡され賃貸人の地位が譲受人に移転したとしても、譲受人は、建物の賃料債権を取得したことを差押債権者に対抗することができない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成10年3月24日 平成7(オ)514
登載
民集 第52巻2号399頁
参照法条
民事執行法145条,民事執行法151条
論点16第151条民事執行法

保険医療機関,指定医療機関等の指定を受けた病院又は診療所が社会保険診療報酬支払基金に対して取得する診療報酬債権と民事執行法151条の2第2項に規定する「継続的給付に係る債権」

裁判要旨健康保険法上の保険医療機関,生活保護法上の指定医療機関等の指定を受けた病院又は診療所が社会保険診療報酬支払基金に対して取得する診療報酬債権は,民事執行法151条の2第2項〈扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例〉に規定する「継続的給付に係る債権」に当たる
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成17年12月6日 平成17(許)19
登載
民集 第59巻10号2629頁
参照法条
民事執行法151条の2,民事執行法151条,社会保険診療報酬支払基金法1条,社会保険診療報酬支払基金法15条1項,2項,健康保険法63条3項1号,健康保険法76条,国民健康保険法36条3項,国民健康保険法45条,生活保護法49条,生活保護法53条,児童福祉法20条,児童福祉法21条の3
論点17第152条民事執行法

一 給与支給機関が地方公務員等共済組合法一一五条二項に基づき地方公務員共済組合の組合員である地方公務員の給与から貸付金残額を控除して右組合に払い込む行為と破産法七二条二号による否認
二 給与支給機関が地方公務員等共済組合法一一五条二項に基づき地方公務員共済組合の組合員である地方公務員の退職手当から貸付金残額を控除して右組合に払い込んだ場合と破産法七二条二号による否認の範囲

裁判要旨一 給与支給機関が、地方公務員等共済組合法一一五条二項に基づき、地方公務員共済組合の組合員である地方公務員の給与から未返済の貸付金に相当する金額を控除してこれを右組合に払い込む行為は、破産法七二条二号による否認の対象となる。
二 給与支給機関が、地方公務員等共済組合法一一五条二項に基づき、地方公務員共済組合の組合員である地方公務員の退職手当から未返済の貸付金に相当する金額を控除してこれを右組合に払い込んだ場合には、その全額について破産法七二条二号により否認することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成2年10月2日 昭和59(オ)454
登載
集民 第161号1頁
参照法条
地方公務員等共済組合法115条2項,破産法72条2号,民事執行法152条2項
論点18第154条民事執行法

動産売買の先取特権に基づく物上代位権の行使としての債権の差押命令の申立てと他の債権者による債権差押事件の配当手続における優先弁済

裁判要旨動産売買の先取特権に基づく物上代位権を有する債権者甲が、物上代位の目的たる債権につき仮差押えをした後、右債権につき債権者乙による差押えがあつたため第三債務者が民事執行法(平成元年法律第九一号による改正前のもの)一五六条二項、一七八条五項に基づく供託をした場合において、甲が右供託前に更に物上代位権の行使として右債権の差押命令の申立てをしたときであつても、その差押命令が右供託前に第三債務者に送達されない限り、甲は乙による債権差押事件の配当手続において優先弁済を受けることができない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成5年3月30日 昭和63(オ)1453
登載
民集 第47巻4号3300頁
参照法条
民事執行法154条1項1165条1号,民事執行法193条1項
論点19第154条民事執行法

抵当権に基づき物上代位権を行使する者が債権差押事件に配当要求することにより優先弁済を受けることの可否

裁判要旨抵当権に基づき物上代位権を行使する債権者は,他の債権者による債権差押事件に配当要求をすることによって優先弁済を受けることはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成13年10月25日 平成13(受)91
登載
民集 第55巻6号975頁
参照法条
民法304条,民法372条,民事執行法154条,民事執行法193条1項
論点20第155条民事執行法

債権差押命令の申立書に請求債権中の遅延損害金につき申立日までの確定金額を記載させる執行裁判所の取扱いに従って債権差押命令の申立てをした債権者が差押債権の取立てとして金員の支払を受けた場合,申立日の翌日以降の遅延損害金も上記金員の充当の対象となるか

裁判要旨債権差押命令の申立書に請求債権中の遅延損害金につき申立日までの確定金額を記載させる執行裁判所の取扱いに従って債権差押命令の申立てをした債権者が当該債権差押命令に基づく差押債権の取立てとして第三債務者から金員の支払を受けた場合,申立日の翌日以降の遅延損害金も上記金員の充当の対象となる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成29年10月10日 平成28(許)46
登載
民集 第71巻8号1482頁
参照法条
民事執行法155条1項,民事執行法155条2項,民法491条
論点21第155条民事執行法

1 証券投資信託であるMMF(マネー・マネージメント・ファンド)の受益者が解約実行請求をした場合と受益者の受益証券を販売した会社に対する一部解約金支払請求権
2 証券投資信託であるMMF(マネー・マネージメント・ファンド)の受益者が受益証券を販売した会社に対して有する一部解約金支払請求権を差し押さえた債権者が取立権の行使として上記会社に対し解約実行請求をして同請求権を取り立てることの可否
(1,2につき参考図参照)

裁判要旨1 証券投資信託であるMMF(マネー・マネージメント・ファンド)であって,(1)投資信託約款において,受益証券の換金は受益者が委託者に対して信託契約の解約の実行を請求する方法によること,この解約実行請求は委託者又は受益証券を販売した会社に対して行うこと,委託者は受益者から解約実行請求があったときは信託契約の一部を解約し,一部解約金は上記会社の営業所等において受益者に支払うことが定められ,(2)上記会社が,委託者から,受益証券の販売のほか,解約実行請求の受付及び一部解約金の支払等の業務の委託を受け,受益証券が上記会社に保護預りされており,(3)上記会社と受益者との間の投資信託総合取引規定において,受益証券等の購入及び解約の申込みは上記会社の店舗等において受け付けること,解約金は取扱商品ごとに定められた日に受益者の預金口座に入金することなどが定められているものについては,上記会社は,解約実行請求をした受益者に対し,委託者から一部解約金の交付を受けることを条件として一部解約金の支払義務を負い,受益者は,上記会社に対し,上記条件の付いた一部解約金支払請求権を有する。
2 証券投資信託であるMMF(マネー・マネージメント・ファンド)であって,(1)投資信託約款において,受益証券の換金は受益者が委託者に対して信託契約の解約の実行を請求する方法によること,この解約実行請求は委託者又は受益証券を販売した会社に対して行うこと,委託者は受益者から解約実行請求があったときは信託契約の一部を解約し,一部解約金は上記会社の営業所等において受益者に支払うことが定められ,(2)上記会社が,委託者から,受益証券の販売のほか,解約実行請求の受付及び一部解約金の支払等の業務の委託を受け,受益証券が上記会社に保護預りされているものについては,上記会社が委託者から一部解約金の交付を受けることを条件として効力を生ずる受益者の上記会社に対する一部解約金支払請求権を差し押さえた債権者は,取立権の行使として,上記会社に対して解約実行請求の意思表示をすることができ,委託者によって信託契約の一部解約が実行されて上記会社が一部解約金の交付を受けたときは,上記会社から同請求権を取り立てることができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成18年12月14日 平成17(受)1461
登載
民集 第60巻10号3914頁
参照法条
(1,2につき)投資信託及び投資法人に関する法律2条4項,民法127条,(2につき)民事執行法155条1項
論点22第155条民事執行法

生命保険契約の解約返戻金請求権の差押債権者がこれを取り立てるために解約権を行使することの可否

裁判要旨生命保険契約の解約返戻金請求権を差し押さえた債権者は、これを取り立てるため、債務者の有する解約権を行使することができる。
(反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成11年9月9日 平成10(受)456
登載
民集 第53巻7号1173頁
参照法条
民事執行法155条1項,商法653条,商法673条,商法683条
論点23第156条民事執行法

マンション建替事業の施行者がマンションの建替え等の円滑化に関する法律76条3項〈買受けの申出後の強制競売の申立ての取下げ等〉に基づく補償金の供託義務を負う場合において、上記補償金の支払請求権に対して複数の差押命令が発せられて差押えの競合が生じたときに上記施行者がすべき供託

裁判要旨マンションの建替え等の円滑化に関する法律2条1項4号〈執行機関〉のマンション建替事業の施行者が同法76条3項に基づく補償金の供託義務を負う場合において、上記補償金の支払請求権に対して複数の差押命令が発せられ、差押えの競合が生じたときは、上記施行者は、上記補償金について、同項及び民事執行法156条2項を根拠法条とするいわゆる混合供託をしなければならない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 令和4年10月6日 令和2(受)1462
登載
民集 第76巻6号1291頁
参照法条
マンションの建替え等の円滑化に関する法律76条3項、マンションの建替え等の円滑化に関する法律77条、民事執行法156条2項、民事執行法157条4項、供託規則13条2項5号
論点24第159条民事執行法

自動車損害賠償保障法三条の規定による損害賠償請求権を執行債権とする転付命令と右損害賠償義務の履行によつて発生すべき同法一五条所定の自動車損害賠償責任保険金請求権の被転付適格

裁判要旨自動車損害賠償保障法三条の規定による損害賠償請求権を執行債権とし、右損害賠償義務の履行によつて発生すべき同法一五条所定の自動車損害賠償責任保険金請求権につき転付命令が申請された場合には、右保険金請求権は、券面額ある債権として被転付適格を有する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和56年3月24日 昭和53(オ)880
登載
民集 第35巻2号271頁
参照法条
民訴法(昭和54年法律第4号による改正前のもの)601条,自動車損害賠償保障法15条,民事執行法159条
論点25第159条民事執行法

一 生命保険契約の保険契約者兼保険金受取人である有限会社が意思表示の受領権限を有する者を欠く状態にある場合において保険金請求権の転付債権者に対して告知義務違反を理由とする解除の意思表示をすることの可否
二 保険会社が告知義務違反による生命保険契約の解除原因を知った時に解除の意思表示の受領権限を有する者がいない場合における解除原因を知った後一箇月を経過したときには契約を解除することができない旨の約款の解釈

裁判要旨一 有限会社を保険契約者兼保険金受取人とする生命保険契約における被保険者が死亡し、かつ、右有限会社が意思表示を受領する権限を有する者を欠く状態にある場合において、転付命令により保険金受取人の保険会社に対する生命保険金支払請求権を取得した者があるときには、保険会社は、右転付債権者に対しても告知義務違反を理由とする生命保険契約の解除の意思表示をすることができる。
二 有限会社を保険契約者とする生命保険契約に適用される約款に保険会社が告知義務違反による解除の原因を知った日からその日を含めて一箇月を経過したときには契約を解除することができない旨の定めがある場合において、保険会社が右の解除の原因を知った時に解除の意思表示の受領権限を有する者がいないときには、右の一箇月の期間は、保険会社が右受領権限を有する者が現れたことを知り、又は知り得べき時から進行するものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成9年6月17日 平成7(オ)949
登載
民集 第51巻5号2154頁
参照法条
民法91条,民法540条,商法644条2項,商法678条,民事執行法159条,民事執行法160条
論点26第159条民事執行法

連帯債務者の一部の者に対する債権の転付とその余の連帯債務者に対する債権の移転の有無

裁判要旨連帯債務者の一部の者に対する債権が転付命令によって第三者に移転したとしても、その余の連帯債務者に対する債権は移転しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成3年5月10日 平成2(オ)1330
登載
集民 第163号37頁
参照法条
民法432条,民法440条,民事執行法159条,民事執行法160条
論点27第159条民事執行法

委任事務終了前における委任者の受任者に対する前払費用についての返還請求権の被転付適格

裁判要旨委任者が委任事務の処理のために受任者に交付した前払費用についての返還請求権は,当該委任事務の終了前においては,券面額を有するものとはいえず,被転付適格を有しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成18年4月14日 平成17(許)33
登載
民集 第60巻4号1535頁
参照法条
民事執行法159条,民法649条
論点28第159条民事執行法

支払保証委託契約を締結する方法により強制執行停止の担保を立てた場合において同契約締結の際にされた定期預金の払戻請求権に対して転付命令を得た同契約の当事者以外の第三者が担保の取消しの申立てをすることの許否

裁判要旨支払保証委託契約を締結する方法により強制執行停止の担保を立てた場合において,委託者が同契約締結の際にした定期預金の払戻請求権に対して転付命令を得た同契約の当事者以外の第三者は,当該担保の取消しの申立てをすることができない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成15年3月14日 平成14(許)32
登載
集民 第209号247頁
参照法条
民訴法76条,民訴法79条,民訴法398条1項,民訴法400条2項,民訴規則29条,民事執行法159条
論点29第159条民事執行法

抵当権の物上代位の目的となる債権に対する転付命令の効力

裁判要旨抵当権の物上代位の目的となる債権に対する転付命令は,これが第三債務者に送達される時までに抵当権者により当該債権の差押えがなされなかったときは,その効力を妨げられない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成14年3月12日 平成12(受)890
登載
民集 第56巻3号555頁
参照法条
民法304条1項,民法372条,民事執行法159条,民事執行法160条,民事執行法193条
論点30第159条民事執行法

質権が設定されている金銭債権の被転付適格

裁判要旨質権が設定されている金銭債権は,券面額ある債権として被転付適格を有する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成12年4月7日 平成11(許)42
登載
民集 第54巻4号1355頁
参照法条
民事執行法159条,民法362条
論点31第159条民事執行法

交通事故の被害者の保有者に対する損害賠償請求権が第三者に転付された場合と自動車損害賠償保障法一六条一項に基づく被害者の保険会社に対する損害賠償額支払請求権の帰すう

裁判要旨交通事故の被害者の保有者に対する損害賠償請求権が第三者に転付された場合には、被害者は、転付された債権額の限度において自動車損害賠償保障法一六条一項に基づく損害賠償額の支払請求権を失う。
(補足意見及び反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成12年3月9日 平成9(オ)992
登載
民集 第54巻3号960頁
参照法条
自動車損害賠償保障法16条1項,自動車損害賠償保障法23条の2第1項,民事執行法159条,民事執行法160条
論点32第159条民事執行法

第三債務者が差押命令の送達を受ける前に債務者との間で差押えに係る金銭債権の支払のために電子記録債権を発生させた場合において、上記差押えに係る金銭債権について発せられた転付命令が第三債務者に送達された後に上記電子記録債権の支払がされたときの上記転付命令の効力

裁判要旨第三債務者が差押命令の送達を受ける前に債務者との間で差押えに係る金銭債権の支払のために電子記録債権を発生させた場合において、上記差押えに係る金銭債権について発せられた転付命令が第三債務者に送達された後に上記電子記録債権の支払がされたときは、上記支払によって民事執行法160条による上記転付命令の執行債権及び執行費用の弁済の効果が妨げられることはない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 令和5年3月29日 令和4(許)13
登載
民集 第77巻3号819頁
参照法条
民事執行法159条、民事執行法160条
論点33第160条民事執行法

供託官が供託金取戻請求権についてされた無効な転付命令を有効なものと誤信して右転付命令取得者に供託元利金の払渡をした場合と民法七〇七条一項の類推適用の有無

裁判要旨供託官が供託金取戻請求権についてされた無効な転付命令を有効なものと誤信して転付命令取得者に供託元利金の払渡しをした場合において、右転付命令取得者が当該転付命令の執行債権につき証書の毀滅、担保の放棄等の事由を生じさせたとしても、右払渡しに係る供託元利金の不当利得返還請求権について民法七〇七条一項を類推適用すべきものではない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和62年4月16日 昭和61(オ)625
登載
集民 第150号705頁
参照法条
民法707条1項,民事執行法160条
論点34第160条民事執行法

抵当権が設定されている宅地についての土地区画整理法上の換地処分に伴う清算金債権に対し差押・転付命令を得た者と施行者に対する右清算金支払請求の可否

裁判要旨抵当権が設定されている宅地についての土地区画整理法上の換地処分に伴う清算金債権に対し差押・転付命令を得た者は、抵当権者が物上代位のための差押をする前に右命令を得たとしても、抵当権者から供託しなくてもよい旨の申出がない限り、施行者に対し右清算金の支払を請求することができない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和58年12月8日 昭和56(オ)283
登載
民集 第37巻10号1517頁
参照法条
民法304条,民法371条,民訴法(昭和54年法律第4号による改正前のもの)601条,民事執行法160条,土地区画整理法112条1項
論点35第161条民事執行法

不動産,船舶,動産及び債権以外の財産権に対する強制執行において財産権の価額を0円と定めた譲渡命令を発することの許否

裁判要旨不動産,船舶,動産及び債権以外の財産権に対する強制執行において財産権の価額を0円と定めた譲渡命令を発することは許されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成13年2月23日 平成12(許)39
登載
集民 第201号217頁
参照法条
民事執行法161条1項,民事執行法167条1項

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民事執行法 第143条(債権執行の開始) 詳細ページ
(債権執行の開始)
第百四十三条金銭の支払又は船舶若しくは動産の引渡しを目的とする債権(動産執行の目的となる有価証券が発行されている債権を除く。以下この節において「債権」という。)に対する強制執行(第百六十七条の二第二項に規定する少額訴訟債権執行を除く。以下この節において「債権執行」という。)は、執行裁判所の差押命令により開始する。
民事執行法 第144条(執行裁判所) 詳細ページ
(執行裁判所)
第百四十四条債権執行については、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が、この普通裁判籍がないときは差し押さえるべき債権の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。
2差し押さえるべき債権は、その債権の債務者(以下「第三債務者」という。)の普通裁判籍の所在地にあるものとする。ただし、船舶又は動産の引渡しを目的とする債権及び物上の担保権により担保される債権は、その物の所在地にあるものとする。
3差押えに係る債権(差押命令により差し押さえられた債権に限る。以下この目において同じ。)について更に差押命令が発せられた場合において、差押命令を発した執行裁判所が異なるときは、執行裁判所は、事件を他の執行裁判所に移送することができる。
4前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
民事執行法 第145条(差押命令) 詳細ページ
(差押命令)
第百四十五条執行裁判所は、差押命令において、債務者に対し債権の取立てその他の処分を禁止し、かつ、第三債務者に対し債務者への弁済を禁止しなければならない。
2差押命令は、債務者及び第三債務者を審尋しないで発する。
3差押命令は、債務者及び第三債務者に送達しなければならない。
4裁判所書記官は、差押命令を送達するに際し、債務者に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、第百五十三条第一項又は第二項の規定による当該差押命令の取消しの申立てをすることができる旨その他最高裁判所規則で定める事項を教示しなければならない。
5差押えの効力は、差押命令が第三債務者に送達された時に生ずる。
6差押命令の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
7執行裁判所は、債務者に対する差押命令の送達をすることができない場合には、差押債権者に対し、相当の期間を定め、その期間内に債務者の住所、居所その他差押命令の送達をすべき場所の申出(第二十条において準用する民事訴訟法第百十条第一項各号に掲げる場合にあつては、公示送達の申立て。次項において同じ。)をすべきことを命ずることができる。
8執行裁判所は、前項の申出を命じた場合において、差押債権者が同項の申出をしないときは、差押命令を取り消すことができる。
民事執行法 第146条(差押えの範囲) 詳細ページ
(差押えの範囲)
第百四十六条執行裁判所は、差し押さえるべき債権の全部について差押命令を発することができる。
2差し押さえた債権の価額が差押債権者の債権及び執行費用の額を超えるときは、執行裁判所は、他の債権を差し押さえてはならない。
民事執行法 第147条(第三債務者の陳述の催告) 詳細ページ
(第三債務者の陳述の催告)
第百四十七条差押債権者の申立てがあるときは、裁判所書記官は、差押命令を送達するに際し、第三債務者に対し、差押命令の送達の日から二週間以内に差押えに係る債権の存否その他の最高裁判所規則で定める事項について陳述すべき旨を催告しなければならない。
2第三債務者は、前項の規定による催告に対して、故意又は過失により、陳述をしなかつたとき、又は不実の陳述をしたときは、これによつて生じた損害を賠償する責めに任ずる。
民事執行法 第148条(債権証書の引渡し) 詳細ページ
(債権証書の引渡し)
第百四十八条差押えに係る債権について証書があるときは、債務者は、差押債権者に対し、その証書を引き渡さなければならない。
2差押債権者は、差押命令に基づいて、第百六十九条に規定する動産の引渡しの強制執行の方法により前項の証書の引渡しを受けることができる。
民事執行法 第149条(差押えが一部競合した場合の効力) 詳細ページ
(差押えが一部競合した場合の効力)
第百四十九条債権の一部が差し押さえられ、又は仮差押えの執行を受けた場合において、その残余の部分を超えて差押命令が発せられたときは、各差押え又は仮差押えの執行の効力は、その債権の全部に及ぶ。債権の全部が差し押さえられ、又は仮差押えの執行を受けた場合において、その債権の一部について差押命令が発せられたときのその差押えの効力も、同様とする。
民事執行法 第150条(先取特権等によつて担保される債権の差押えの登記等の嘱託) 詳細ページ
(先取特権等によつて担保される債権の差押えの登記等の嘱託)
第百五十条登記又は登録(以下「登記等」という。)のされた先取特権、質権又は抵当権によつて担保される債権に対する差押命令が効力を生じたときは、裁判所書記官は、申立てにより、その債権について差押えがされた旨の登記等を嘱託しなければならない。
民事執行法 第151条(継続的給付の差押え) 詳細ページ
(継続的給付の差押え)
第百五十一条給料その他継続的給付に係る債権に対する差押えの効力は、差押債権者の債権及び執行費用の額を限度として、差押えの後に受けるべき給付に及ぶ。
民事執行法 第152条(差押禁止債権) 詳細ページ
(差押禁止債権)
第百五十二条次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。
一債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権
二給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権
2退職手当及びその性質を有する給与に係る債権については、その給付の四分の三に相当する部分は、差し押さえてはならない。
3債権者が前条第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権(金銭の支払を目的とする債権をいう。以下同じ。)を請求する場合における前二項の規定の適用については、前二項中「四分の三」とあるのは、「二分の一」とする。
民事執行法 第153条(差押禁止債権の範囲の変更) 詳細ページ
(差押禁止債権の範囲の変更)
第百五十三条執行裁判所は、申立てにより、債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮して、差押命令の全部若しくは一部を取り消し、又は前条の規定により差し押さえてはならない債権の部分について差押命令を発することができる。
2事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前項の規定により差押命令が取り消された債権を差し押さえ、又は同項の規定による差押命令の全部若しくは一部を取り消すことができる。
3前二項の申立てがあつたときは、執行裁判所は、その裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせ、又は立てさせないで、第三債務者に対し、支払その他の給付の禁止を命ずることができる。
4第一項又は第二項の規定による差押命令の取消しの申立てを却下する決定に対しては、執行抗告をすることができる。
5第三項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
民事執行法 第154条(配当要求) 詳細ページ
(配当要求)
第百五十四条執行力のある債務名義の正本を有する債権者及び文書により先取特権を有することを証明した債権者は、配当要求をすることができる。
2前項の配当要求があつたときは、その旨を記載した文書は、第三債務者に送達しなければならない。
3配当要求を却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
民事執行法 第155条(差押債権者の金銭債権の取立て) 詳細ページ
(差押債権者の金銭債権の取立て)
第百五十五条金銭債権を差し押さえた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から一週間を経過したときは、その債権を取り立てることができる。ただし、差押債権者の債権及び執行費用の額を超えて支払を受けることができない。
2差し押さえられた金銭債権が第百五十二条第一項各号に掲げる債権又は同条第二項に規定する債権である場合(差押債権者の債権に第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権が含まれているときを除く。)における前項の規定の適用については、同項中「一週間」とあるのは、「四週間」とする。
3差押債権者が第三債務者から支払を受けたときは、その債権及び執行費用は、支払を受けた額の限度で、弁済されたものとみなす。
4差押債権者は、前項の支払を受けたときは、直ちに、その旨を執行裁判所に届け出なければならない。
5差押債権者は、第一項の規定により金銭債権を取り立てることができることとなつた日(前項又はこの項の規定による届出をした場合にあつては、最後に当該届出をした日。次項において同じ。)から第三項の支払を受けることなく二年を経過したときは、同項の支払を受けていない旨を執行裁判所に届け出なければならない。
6第一項の規定により金銭債権を取り立てることができることとなつた日から二年を経過した後四週間以内に差押債権者が前二項の規定による届出をしないときは、執行裁判所は、差押命令を取り消すことができる。
7差押債権者が前項の規定により差押命令を取り消す旨の決定の告知を受けてから一週間の不変期間内に第四項の規定による届出(差し押さえられた金銭債権の全部の支払を受けた旨の届出を除く。)又は第五項の規定による届出をしたときは、当該決定は、その効力を失う。
8差押債権者が第五項に規定する期間を経過する前に執行裁判所に第三項の支払を受けていない旨の届出をしたときは、第五項及び第六項の規定の適用については、第五項の規定による届出があつたものとみなす。
民事執行法 第156条(第三債務者の供託) 詳細ページ
(第三債務者の供託)
第百五十六条第三債務者は、差押えに係る金銭債権(差押命令により差し押さえられた金銭債権に限る。以下この条及び第百六十一条の二において同じ。)の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託することができる。
2第三債務者は、次条第一項に規定する訴えの訴状の送達を受ける時までに、差押えに係る金銭債権のうち差し押さえられていない部分を超えて発せられた差押命令、差押処分又は仮差押命令の送達を受けたときはその債権の全額に相当する金銭を、配当要求があつた旨を記載した文書の送達を受けたときは差し押さえられた部分に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託しなければならない。
3第三債務者は、第百六十一条の二第一項に規定する供託命令の送達を受けたときは、差押えに係る金銭債権の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託しなければならない。
4第三債務者は、前三項の規定による供託をしたときは、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。
民事執行法 第157条(取立訴訟) 詳細ページ
(取立訴訟)
第百五十七条差押債権者が第三債務者に対し差し押さえた債権に係る給付を求める訴え(以下「取立訴訟」という。)を提起したときは、受訴裁判所は、第三債務者の申立てにより、他の債権者で訴状の送達の時までにその債権を差し押さえたものに対し、共同訴訟人として原告に参加すべきことを命ずることができる。
2前項の裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
3取立訴訟の判決の効力は、第一項の規定により参加すべきことを命じられた差押債権者で参加しなかつたものにも及ぶ。
4前条第二項又は第三項の規定により供託の義務を負う第三債務者に対する取立訴訟において、原告の請求を認容するときは、受訴裁判所は、請求に係る金銭の支払は供託の方法によりすべき旨を判決の主文に掲げなければならない。
5強制執行又は競売において、前項に規定する判決の原告が配当等を受けるべきときは、その配当等の額に相当する金銭は、供託しなければならない。
民事執行法 第158条(債権者の損害賠償) 詳細ページ
(債権者の損害賠償)
第百五十八条差押債権者は、債務者に対し、差し押さえた債権の行使を怠つたことによつて生じた損害を賠償する責めに任ずる。
民事執行法 第159条(転付命令) 詳細ページ
(転付命令)
第百五十九条執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、支払に代えて券面額で差し押さえられた金銭債権を差押債権者に転付する命令(以下「転付命令」という。)を発することができる。
2転付命令は、債務者及び第三債務者に送達しなければならない。
3転付命令が第三債務者に送達される時までに、転付命令に係る金銭債権について、他の債権者が差押え、仮差押えの執行又は配当要求をしたときは、転付命令は、その効力を生じない。
4第一項の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
5転付命令は、確定しなければその効力を生じない。
6差し押さえられた金銭債権が第百五十二条第一項各号に掲げる債権又は同条第二項に規定する債権である場合(差押債権者の債権に第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権が含まれているときを除く。)における前項の規定の適用については、同項中「確定しなければ」とあるのは、「確定し、かつ、債務者に対して差押命令が送達された日から四週間を経過するまでは、」とする。
7転付命令が発せられた後に第三十九条第一項第七号又は第八号に掲げる文書を提出したことを理由として執行抗告がされたときは、抗告裁判所は、他の理由により転付命令を取り消す場合を除き、執行抗告についての裁判を留保しなければならない。
民事執行法 第160条(転付命令の効力) 詳細ページ
(転付命令の効力)
第百六十条転付命令が効力を生じた場合においては、差押債権者の債権及び執行費用は、転付命令に係る金銭債権が存する限り、その券面額で、転付命令が第三債務者に送達された時に弁済されたものとみなす。
民事執行法 第161条(譲渡命令等) 詳細ページ
(譲渡命令等)
第百六十一条差し押さえられた債権が、条件付若しくは期限付であるとき、又は反対給付に係ることその他の事由によりその取立てが困難であるときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、その債権を執行裁判所が定めた価額で支払に代えて差押債権者に譲渡する命令(以下「譲渡命令」という。)、取立てに代えて、執行裁判所の定める方法によりその債権の売却を執行官に命ずる命令(以下「売却命令」という。)又は管理人を選任してその債権の管理を命ずる命令(以下「管理命令」という。)その他相当な方法による換価を命ずる命令(第百六十七条の十第一項において「譲渡命令等」と総称する。)を発することができる。
2執行裁判所は、前項の規定による決定をする場合には、債務者を審尋しなければならない。ただし、債務者が外国にあるとき、又はその住所が知れないときは、この限りでない。
3第一項の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
4第一項の規定による決定は、確定しなければその効力を生じない。
5差し押さえられた債権が第百五十二条第一項各号に掲げる債権又は同条第二項に規定する債権である場合(差押債権者の債権に第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権が含まれているときを除く。)における前項の規定の適用については、同項中「確定しなければ」とあるのは、「確定し、かつ、債務者に対して差押命令が送達された日から四週間を経過するまでは、」とする。
6執行官は、差し押さえられた債権を売却したときは、債務者に代わり、第三債務者に対し、確定日付のある証書によりその譲渡の通知をしなければならない。
7第百五十九条第二項及び第三項並びに前条の規定は譲渡命令について、第百五十九条第七項の規定は譲渡命令に対する執行抗告について、第六十五条及び第六十八条の規定は売却命令に基づく執行官の売却について、第百五十九条第二項の規定は管理命令について、第八十四条第三項及び第四項、第八十八条、第九十四条第二項、第九十五条第一項、第三項及び第四項、第九十八条から第百四条まで並びに第百六条から第百十条までの規定は管理命令に基づく管理について、それぞれ準用する。この場合において、第八十四条第三項及び第四項中「代金の納付後」とあるのは、「第百六十一条第七項において準用する第百七条第一項の期間の経過後」と読み替えるものとする。
民事執行法 第162条(船舶の引渡請求権の差押命令の執行) 詳細ページ
(船舶の引渡請求権の差押命令の執行)
第百六十二条船舶の引渡請求権を差し押さえた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から一週間を経過したときは、第三債務者に対し、船舶の所在地を管轄する地方裁判所の選任する保管人にその船舶を引き渡すべきことを請求することができる。
2前項の規定により保管人が引渡しを受けた船舶の強制執行は、船舶執行の方法により行う。
3第一項に規定する保管人が船舶の引渡しを受けた場合において、その船舶について強制競売の開始決定がされたときは、その保管人は、第百十六条第一項の規定により選任された保管人とみなす。
出

一次情報

原文ママ

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