会社更生法 / テーマ別まとめ

共益債権及び開始後債権/共益債権

共益債権の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

共益債権は、更生手続の遂行に必要な費用や開始前後の資金調達、税金、使用人の給料などを対象に、更生計画の内容にかかわらず随時弁済される債権です。会社更生法127条から131条が共益債権となる請求権の範囲を定め、132条・133条が弁済の順序や財産不足時の扱いを定めています。

共益債権
条文共益債権となるもの範囲・限度額
127条手続費用・経営管理費用等全額
128条1項保全管理人の借入れ等全額
128条2・4項許可を得た開始前の借入れ等全額
129条未納期限の源泉徴収税等全額
130条1項開始前6月の給料・身元保証金全額
130条2・3項認可前退職の退職手当6月分か1/3の多い方
130条5項開始前6月の預り金6月分給料総額か1/3の多い方
131条社債管理者等の費用・報酬裁判所許可の範囲
  • 127条3号の更生計画遂行費用は、更生手続終了後に生じたものを除く
  • 130条4項:127条で共益債権となる退職手当には130条2・3項は適用されない
  • 133条の按分弁済でも、留置権・特別の先取特権・質権・抵当権の効力は妨げない
  • 133条が適用される場合、132条1項(随時弁済)の規定は適用されない
  • 128条2項の許可に代わる承認を監督委員に行わせることができる(3項)
  • 132条3項・133条3項:共益債権に基づく強制執行等の中止・取消しを裁判所が命じられる
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共益債権

共益債権について、条文は何を定めているか。

第127条共益債権となる請求権手続に必要な費用は共益債権になる1項・7号判例 1件
  • 裁判上の費用、経営管理費用、更生計画遂行費用が対象
  • 管財人が権限内でした借入れ等で生じた請求権も含む
  • 事務管理・不当利得による開始後の請求権も対象
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第128条開始前の借入金等開始前後の借入れも共益債権にできる4項判例なし
  • 保全管理人が権限内でした借入れ等は共益債権
  • 開始申立て後開始前の借入れ等は裁判所の許可が必要
  • 監督委員が許可に代わる承認をすることもできる
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第129条源泉徴収所得税等未納期限の源泉徴収税等は共益債権1項判例なし
  • 開始前の原因で生じた源泉徴収所得税等が対象
  • 開始時点でまだ納期限が来ていないものに限る
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第130条使用人の給料等給料・退職金・預り金の扱いを定める5項判例なし
  • 開始前6月分の給料と身元保証金返還請求権は全額共益債権
  • 認可前退職の退職手当は6月分給料総額か1/3の多い方
  • 預り金は開始前6月分給料総額か1/3の多い方の多い額
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第131条社債管理者等の費用及び報酬社債管理者等の費用・報酬は許可で共益債権5項判例なし
  • 事務処理費用は裁判所の許可があれば共益債権
  • 無許可でも更生に貢献したと認められれば一部償還可
  • 開始後の報酬請求権も相当額を許可で共益債権にできる
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第132条共益債権の取扱い共益債権は随時弁済し他に優先する6項判例なし
  • 更生計画の定めによらず随時弁済される
  • 更生債権等より先に弁済される
  • 更生に著しい支障を及ぼす強制執行等は中止・取消し可
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第133条更生会社財産不足の場合の弁済方法等財産不足時は債権額の割合で弁済5項判例なし
  • 財産が共益債権総額に足りない場合は按分弁済
  • 留置権・先取特権・質権・抵当権の効力は妨げない
  • この場合、132条1項〈共益債権の取扱い〉の随時弁済の規定は適用されない
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第127条会社更生法

会社更生法一三八条一項〈更生債権等の届出〉後段の規定によつて調査することとなつた更生債権または更生担保権と届出期間の徒過を事由とする異議の許否

裁判要旨更生債権または更生担保権の届出が届出期間経過後になされ、しかも、会社更生法一二七条〈共益債権となる請求権〉所定の要件をそなえないものであつても、管財人、更生債権者、更生担保権者および株主に異議がなく、調査の一般期日においてその調査をすることとなつた以上、前記の期間の徒過を事由とする異議は許されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年12月4日 昭和43(オ)851
登載
民集 第23巻12号頁
参照法条
会社更生法127条,会社更生法138条1項,会社更生法143条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

会社更生法 第127条(共益債権となる請求権) 詳細ページ
(共益債権となる請求権)
第百二十七条次に掲げる請求権は、共益債権とする。
一更生債権者等及び株主の共同の利益のためにする裁判上の費用の請求権
二更生手続開始後の更生会社の事業の経営並びに財産の管理及び処分に関する費用の請求権
三更生計画の遂行に関する費用の請求権(更生手続終了後に生じたものを除く。)
四第八十一条第一項(第三十四条第一項、第三十八条、第八十一条第五項及び前条において準用する場合を含む。)、第百十七条第四項(同条第六項及び第七項において準用する場合を含む。)、第百二十三条第五項、第百二十四条第一項及び第百六十二条の規定により支払うべき費用、報酬及び報償金の請求権
五更生会社の業務及び財産に関し管財人又は更生会社(第七十二条第四項前段の規定により更生会社の機関がその権限を回復した場合に限る。)が権限に基づいてした資金の借入れその他の行為によって生じた請求権
六事務管理又は不当利得により更生手続開始後に更生会社に対して生じた請求権
七更生会社のために支出すべきやむを得ない費用の請求権で、更生手続開始後に生じたもの(前各号に掲げるものを除く。)
会社更生法 第128条(開始前の借入金等) 詳細ページ
(開始前の借入金等)
第百二十八条保全管理人が開始前会社の業務及び財産に関し権限に基づいてした資金の借入れその他の行為によって生じた請求権は、共益債権とする。
2開始前会社(保全管理人が選任されているものを除く。以下この項及び第四項において同じ。)が、更生手続開始の申立て後更生手続開始前に、資金の借入れ、原材料の購入その他開始前会社の事業の継続に欠くことができない行為をする場合には、裁判所は、その行為によって生ずべき相手方の請求権を共益債権とする旨の許可をすることができる。
3裁判所は、監督委員に対し、前項の許可に代わる承認をする権限を付与することができる。
4開始前会社が第二項の許可又は前項の承認を得て第二項に規定する行為をしたときは、その行為によって生じた相手方の請求権は、共益債権とする。
会社更生法 第129条(源泉徴収所得税等) 詳細ページ
(源泉徴収所得税等)
第百二十九条更生会社に対して更生手続開始前の原因に基づいて生じた源泉徴収に係る所得税、消費税、酒税、たばこ税、揮発油税、地方揮発油税、石油ガス税、石油石炭税、特別徴収に係る国際観光旅客税、地方消費税、申告納付の方法により徴収する道府県たばこ税(都たばこ税を含む。)及び市町村たばこ税(特別区たばこ税を含む。)並びに特別徴収義務者が徴収して納入すべき地方税及び森林環境税の請求権で、更生手続開始当時まだ納期限の到来していないものは、共益債権とする。
会社更生法 第130条(使用人の給料等) 詳細ページ
(使用人の給料等)
第百三十条株式会社について更生手続開始の決定があった場合において、更生手続開始前六月間の当該株式会社の使用人の給料の請求権及び更生手続開始前の原因に基づいて生じた当該株式会社の使用人の身元保証金の返還請求権は、共益債権とする。
2前項に規定する場合において、更生計画認可の決定前に退職した当該株式会社の使用人の退職手当の請求権は、退職前六月間の給料の総額に相当する額又はその退職手当の額の三分の一に相当する額のいずれか多い額を共益債権とする。
3前項の退職手当の請求権で定期金債権であるものは、同項の規定にかかわらず、各期における定期金につき、その額の三分の一に相当する額を共益債権とする。
4前二項の規定は、第百二十七条の規定により共益債権とされる退職手当の請求権については、適用しない。
5第一項に規定する場合において、更生手続開始前の原因に基づいて生じた当該株式会社の使用人の預り金の返還請求権は、更生手続開始前六月間の給料の総額に相当する額又はその預り金の額の三分の一に相当する額のいずれか多い額を共益債権とする。
会社更生法 第131条(社債管理者等の費用及び報酬) 詳細ページ
(社債管理者等の費用及び報酬)
第百三十一条社債管理者、社債管理補助者又は担保付社債信託法第二条第一項に規定する信託契約の受託会社(以下この項から第三項までにおいて「社債管理者等」という。)が更生債権等である社債の管理に関する事務を行おうとする場合には、裁判所は、更生手続の目的を達成するために必要があると認めるときは、社債管理者等の更生会社に対する当該事務の処理に要する費用の請求権を共益債権とする旨の許可をすることができる。
2社債管理者等が前項の許可を得ないで更生債権等である社債の管理に関する事務を行った場合であっても、裁判所は、社債管理者等が更生会社の事業の更生に貢献したと認められるときは、当該事務の処理に要した費用の償還請求権のうちその貢献の程度を考慮して相当と認める額を共益債権とする旨の許可をすることができる。
3裁判所は、更生手続開始後の原因に基づいて生じた社債管理者等の報酬の請求権のうち相当と認める額を共益債権とする旨の許可をすることができる。
4前三項の規定による許可を得た請求権は、共益債権とする。
5第一項から第三項までの規定による許可の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
会社更生法 第132条(共益債権の取扱い) 詳細ページ
(共益債権の取扱い)
第百三十二条共益債権は、更生計画の定めるところによらないで、随時弁済する。
2共益債権は、更生債権等に先立って、弁済する。
3共益債権に基づき更生会社の財産に対し強制執行又は仮差押えがされている場合において、その強制執行又は仮差押えが更生会社の事業の更生に著しい支障を及ぼし、かつ、更生会社が他に換価の容易な財産を十分に有するときは、裁判所は、更生手続開始後において、管財人(第七十二条第四項前段の規定により更生会社の機関がその権限を回復したときは、更生会社。次条第三項において同じ。)の申立てにより又は職権で、担保を立てさせて、又は立てさせないで、その強制執行又は仮差押えの手続の中止又は取消しを命ずることができる。共益債権である共助対象外国租税の請求権に基づき更生会社の財産に対し国税滞納処分の例によってする処分がされている場合におけるその処分の中止又は取消しについても、同様とする。
4裁判所は、前項の規定による中止の命令を変更し、又は取り消すことができる。
5第三項の規定による中止又は取消しの命令及び前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
6前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
会社更生法 第133条(更生会社財産不足の場合の弁済方法等) 詳細ページ
(更生会社財産不足の場合の弁済方法等)
第百三十三条更生会社財産が共益債権の総額を弁済するのに足りないことが明らかになった場合における共益債権の弁済は、法令に定める優先権にかかわらず、債権額の割合による。ただし、共益債権について存する留置権、特別の先取特権、質権及び抵当権の効力を妨げない。
2前項本文に規定する場合には、前条第一項の規定は、適用しない。
3第一項本文に規定する場合には、裁判所は、管財人の申立てにより又は職権で、共益債権に基づき更生会社の財産に対してされている強制執行又は仮差押えの手続の取消しを命ずることができる。共益債権である共助対象外国租税の請求権に基づき更生会社の財産に対してされている国税滞納処分の例によってする処分の取消しについても、同様とする。
4前項の規定による取消しの命令に対しては、即時抗告をすることができる。
5前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。