民事再生法 / テーマ別まとめ

再生債務者の財産の調査及び確保/法人の役員の責任の追及

法人の役員の責任の追及の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

再生手続では、法人である再生債務者の役員に対する損害賠償請求権について、通常の訴訟より簡易な手続で財産の保全と責任の追及ができるよう定められています。役員の財産に対する保全処分、損害賠償請求権の査定の申立てから、査定の裁判に対する異議の訴えとその効力までの流れを整理しています。

法人の役員の責任の追及
手続主な申立権者時期・期限効果
役員財産の保全処分再生債務者等/再生債権者/職権開始後、緊急時は開始前も可役員財産の処分等を制限
損害賠償請求権の査定再生債務者等/再生債権者/職権開始後簡易な手続で賠償額を確定
査定の裁判裁判所(職権)申立て後理由付き決定、役員を審尋
査定の裁判への異議の訴え役員又は申立人送達から1か月以内査定裁判を認可・変更・取消
異議の訴えの効力―訴え不提起・却下の場合査定裁判が確定判決と同一効力
  • 保全処分は開始決定前でも緊急の必要があれば申立てまたは職権でできる(142条2項)
  • 保全処分及びその変更・取消しの決定には即時抗告ができるが執行停止の効力はない(142条5・6項)
  • 管財人・保全管理人が未選任の場合は再生債権者も申立てができる(142条3項、143条2項)
  • 査定の申立てには原因となる事実の疎明が必要(143条3項)
  • 査定の申立てや職権による開始決定は時効の完成猶予・更新に関して裁判上の請求とみなされる(143条5項)
  • 査定の裁判を認可・変更した判決は給付判決と同一の効力を持ち、仮執行宣言もできる(146条4・5項)
1

法人の役員の責任の追及

法人の役員の責任の追及について、条文は何を定めているか。

第142条法人の役員の財産に対する保全処分役員の財産を保全する処分ができる7項判例なし
  • 開始決定後、必要があれば再生債務者等の申立てまたは職権で役員財産を保全できる
  • 緊急時は開始決定前でも申立てまたは職権で保全処分ができる
  • 管財人・保全管理人が未選任なら再生債権者も申立てできる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第143条損害賠償請求権の査定の申立て等役員の責任を査定で簡易に確定する6項判例なし
  • 開始決定後、必要があれば再生債務者等の申立てまたは職権で査定の裁判ができる
  • 申立てには原因となる事実の疎明が必要
  • 申立てや職権による開始決定は時効の完成猶予・更新の効果を持つ
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第144条損害賠償請求権の査定に関する裁判査定の裁判は理由を付し役員を審尋する3項判例なし
  • 査定の裁判・申立てを棄却する裁判は理由を付した決定で行う
  • 決定をする前に役員を審尋しなければならない
  • 査定の裁判があったときはその裁判書を当事者に送達する
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第145条査定の裁判に対する異議の訴え査定の裁判に不服なら異議の訴えを起こせる4項判例なし
  • 送達を受けた日から1か月の不変期間内に異議の訴えを提起できる
  • 訴えは再生裁判所が管轄する
  • 申立てによる査定なら申立人と役員が互いに被告となる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第146条異議の訴えの審理と判決の効力を定める6項判例なし
  • 口頭弁論は1か月の期間経過後でなければ開始できない
  • 判決では査定の裁判を認可・変更・取消しのいずれかとする
  • 認可・変更した判決は給付判決と同一の効力を持ち仮執行宣言もできる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第147条査定の裁判の効力異議の訴えがなければ査定裁判が確定する1項判例なし
  • 1か月以内に異議の訴えが提起されない、または却下されたとき
  • 査定の裁判は給付を命ずる確定判決と同一の効力を持つ
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民事再生法 第142条(法人の役員の財産に対する保全処分) 詳細ページ
(法人の役員の財産に対する保全処分)
第百四十二条裁判所は、法人である再生債務者について再生手続開始の決定があった場合において、必要があると認めるときは、再生債務者等の申立てにより又は職権で、再生債務者の理事、取締役、執行役、監事、監査役、清算人又はこれらに準ずる者(以下この条から第百四十五条までにおいて「役員」という。)の責任に基づく損害賠償請求権につき、役員の財産に対する保全処分をすることができる。
2裁判所は、緊急の必要があると認めるときは、再生手続開始の決定をする前でも、再生債務者(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人)の申立てにより又は職権で、前項の保全処分をすることができる。
3第一項に規定する場合において管財人が選任されていないとき、又は前項に規定する場合において保全管理人が選任されていないときは、再生債権者も、第一項又は前項の申立てをすることができる。
4裁判所は、第一項又は第二項の規定による保全処分を変更し、又は取り消すことができる。
5第一項若しくは第二項の規定による保全処分又は前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
6前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
7第五項に規定する裁判及び同項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
民事再生法 第143条(損害賠償請求権の査定の申立て等) 詳細ページ
(損害賠償請求権の査定の申立て等)
第百四十三条裁判所は、法人である再生債務者について再生手続開始の決定があった場合において、必要があると認めるときは、再生債務者等の申立てにより又は職権で、役員の責任に基づく損害賠償請求権の査定の裁判をすることができる。
2前項に規定する場合において、管財人が選任されていないときは、再生債権者も、同項の申立てをすることができる。
3第一項の申立てをするときは、その原因となる事実を疎明しなければならない。
4裁判所は、職権で査定の手続を開始する場合には、その旨の決定をしなければならない。
5第一項の申立てがあったとき、又は職権による査定の手続の開始決定があったときは、時効の完成猶予及び更新に関しては、裁判上の請求があったものとみなす。
6査定の手続(第一項の査定の裁判があった後のものを除く。)は、再生手続が終了したときは、終了する。
民事再生法 第144条(損害賠償請求権の査定に関する裁判) 詳細ページ
(損害賠償請求権の査定に関する裁判)
第百四十四条前条第一項の査定の裁判及び同項の申立てを棄却する裁判は、理由を付した決定でしなければならない。
2裁判所は、前項の決定をする場合には、役員を審尋しなければならない。
3前条第一項の査定の裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
民事再生法 第145条(査定の裁判に対する異議の訴え) 詳細ページ
(査定の裁判に対する異議の訴え)
第百四十五条第百四十三条第一項の査定の裁判に不服がある者は、その送達を受けた日から一月の不変期間内に、異議の訴えを提起することができる。
2前項の訴えは、再生裁判所が管轄する。
3第一項の訴え(次項の訴えを除く。)は、これを提起する者が、役員であるときは第百四十三条第一項の申立てをした者を、同項の申立てをした者であるときは役員を、それぞれ被告としなければならない。
4職権でされた査定の裁判に対する第一項の訴えは、これを提起する者が、役員であるときは再生債務者等を、再生債務者等であるときは役員を、それぞれ被告としなければならない。
民事再生法 第146条 詳細ページ
第百四十六条前条第一項の訴えの口頭弁論は、同項の期間を経過した後でなければ開始することができない。
2前条第一項の訴えが数個同時に係属するときは、弁論及び裁判は、併合してしなければならない。この場合においては、民事訴訟法第四十条第一項から第三項までの規定を準用する。
3前条第一項の訴えについての判決においては、訴えを不適法として却下する場合を除き、査定の裁判を認可し、変更し、又は取り消す。
4査定の裁判を認可し、又は変更した判決は、強制執行に関しては、給付を命ずる判決と同一の効力を有する。
5査定の裁判を認可し、又は変更した判決については、受訴裁判所は、民事訴訟法第二百五十九条第一項の定めるところにより、仮執行の宣言をすることができる。
6再生手続が終了したときは、前条第一項の訴えに係る訴訟手続であって再生債務者等が当事者でないものは、中断する。この場合においては、第六十八条第三項の規定を準用する。
民事再生法 第147条(査定の裁判の効力) 詳細ページ
(査定の裁判の効力)
第百四十七条第百四十五条第一項の訴えが、同項の期間内に提起されないとき、又は却下されたときは、査定の裁判は、給付を命ずる確定判決と同一の効力を有する。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。