民事再生法 / テーマ別まとめ

再生債務者の財産の調査及び確保/否認権

否認権の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

民事再生法127条から139条は、再生債務者が再生手続開始前にした財産減少行為を、開始後に取り戻すための否認権について定めています。詐害行為・偏頗行為(既存債務への担保供与や弁済)・無償行為・相当対価での財産処分など、行為の類型ごとに否認できる要件と期間が異なります。あわせて、否認権の行使方法(訴え・否認の請求)、相手方や転得者の権利、行使期間の制限や保全処分の手続も整理しています。

否認権
類型対象行為主観要件期間・時期の制限条文
故意否認(1号)害することを知った行為相手方も悪意なら否認可期間制限なし127条1項1号
危機否認(2号)支払停止等後の害する行為相手方が停止等を知る期間制限なし127条1項2号
過大な代物弁済等給付が債務額より過大1号要件のいずれか該当過大部分のみ否認127条2項
無償行為否認無償・同視される有償行為主観要件は問わない停止等の前後6月以内127条3項
相当対価処分行為否認相当対価を得た財産処分隠匿意思+相手方悪意期間制限なし127条の2
偏頗行為否認既存債務の担保供与等支払不能等を知っていた支払不能後等127条の3 1号
非義務行為の偏頗否認義務によらない担保供与等他害を知らなかった場合除く支払不能前30日以内127条の3 2号
対抗要件否認対抗要件具備行為悪意でした場合設定等から15日経過後129条
  • 表中の「詐害行為否認」「偏頗行為否認」等は講学上の呼び方であり、条文上の用語ではない
  • 127条1項の否認は担保の供与・債務の消滅に関する行為を除く
  • 131条により、開始申立て等の日から1年以上前の行為は支払停止を理由に否認できない
  • 127条の2第2項・127条の3第2項3項には悪意・支払不能の推定規定がある
  • 129条但書:他の仮登記等に基づく本登記等は否認の対象外
  • 128条により手形決済や罰金等の弁済には否認の例外がある
1

否認権

否認権について、条文は何を定めているか。

第127条再生債権者を害する行為の否認財産を減らす行為は否認の対象になる3項・2号判例 1件
  • 再生債権者を害すると知ってした行為は否認できる(相手方が知らなければ除く)
  • 支払停止等の後にした害する行為も、相手方が悪意なら否認できる
  • 過大な代物弁済等は過大部分のみ、無償行為等は前後6月以内が対象
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第127_2条相当の対価を得てした財産の処分行為の否認相当な対価を得た処分でも否認できる場合がある2項・6号判例なし
  • 隠匿等のおそれを生じさせる処分で、隠匿意思と相手方の悪意がそろえば否認できる
  • 法人役員や支配株主等が相手方の場合、悪意があったものと推定される
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第127_3条特定の債権者に対する担保の供与等の否認特定の債権者への担保提供・弁済の否認3項・4号判例なし
  • 支払不能後や申立て等の後の担保供与・弁済は、相手方が悪意なら否認できる
  • 義務によらない行為は支払不能前30日以内なら、他害を知らなければ除き否認できる
  • 法人役員等が相手方なら悪意と推定、支払停止後は支払不能も推定される
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第128条手形債務支払の場合等の例外手形決済や罰金等には否認の例外がある3項判例なし
  • 手形上の権利を失う場合の支払は127条1項1号〈再生債権者を害する行為の否認 再生債務者が再生債権者を害することを知ってした行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、再生債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。〉による否認の対象外
  • 振出委託者等が悪意・過失なら監督委員等が償還させられる
  • 開始前の罰金等の徴収権者への担保供与・弁済は否認できない
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第129条権利変動の対抗要件の否認対抗要件を後から備える行為の否認2項判例なし
  • 支払停止等の後、権利変動から15日経過後に悪意で対抗要件を備えると否認できる
  • 他の仮登記等に基づく本登記等は否認の対象外
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第130条執行行為の否認強制執行に基づく行為も否認できる1項判例なし
  • 執行力ある債務名義や執行行為に基づく行為でも否認は妨げられない
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第131条支払の停止を要件とする否認の制限1年より前の行為は支払停止で否認できない1項判例なし
  • 開始申立て等の日から1年以上前の行為は、支払停止を理由に否認できない
  • 127条3項〈再生債権者を害する行為の否認〉の無償行為等にはこの制限は適用されない
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第132条否認権行使の効果否認の効果は原状回復2項判例なし
  • 否認権の行使で再生債務者財産は原状に復する
  • 無償行為等の否認では、相手方が善意なら現存利益の償還で足りる
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第132_2条再生債務者の受けた反対給付に関する相手方の権利等否認された相手方が持つ反対給付の権利4項・5号判例なし
  • 反対給付が現存すれば返還請求、現存しなければ共益債権として価額償還請求ができる
  • 相手方が隠匿意思を知っていたときは、現存利益は共益債権、差額は再生債権となる
  • 監督委員等は財産返還に代えて、共益債権額控除後の価額償還を請求できる
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第133条相手方の債権の回復担保供与等の否認で相手方の債権が復活1項判例なし
  • 受けた給付を返還・償還すれば、相手方の債権は原状に復する
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第134条転得者に対する否認権転得者にも否認権を行使できる2項・3号判例なし
  • 転得者が転得時に害することを知っていれば否認できる
  • 法人役員等に該当する転得者は、害することを知らなかった場合を除き否認できる
  • 無償・同視される有償行為で転得した者にも否認できる
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第134_2条再生債務者の受けた反対給付に関する転得者の権利等転得者に対する反対給付の権利5項判例なし
  • 転得者も相手方と同様の区分で反対給付の返還等を請求できる
  • 請求できる額は転得者が前者にした反対給付の価額が上限
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第134_3条相手方の債権に関する転得者の権利転得者への否認と相手方債権の復活1項判例なし
  • 転得者が給付を返還・償還すれば、相手方に生じるはずの復活債権を行使できる
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第134_4条否認権のための保全処分否認権を守るための保全処分7項判例なし
  • 開始申立てから決定までの間、裁判所は仮差押え等を命じられる
  • 保全処分の裁判には即時抗告ができる(執行停止の効力なし)
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第134_5条保全処分に係る手続の続行と担保の取扱い保全処分の続行と担保の取扱い4項判例なし
  • 開始決定後、監督委員等は保全処分の手続を続行できる
  • 開始決定から1月以内に続行しないと保全処分は効力を失う
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第135条否認権の行使否認権は監督委員か管財人が行使3項判例なし
  • 訴えまたは否認の請求により、否認権限を有する監督委員か管財人が行う
  • 管財人は抗弁によっても否認権を行使できる
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第136条否認の請求否認の請求の手続5項判例なし
  • 請求時は原因事実を疎明しなければならない
  • 認容・棄却の裁判は理由を付した決定で行い、相手方等を審尋する
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第137条否認の請求を認容する決定に対する異議の訴え否認の請求の決定に対する異議の訴え7項判例なし
  • 送達日から1月の不変期間内に異議の訴えを提起できる
  • 決定を認可する判決が確定すれば、確定判決と同一の効力を持つ
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第138条否認権限を有する監督委員の訴訟参加等否認権限ある監督委員の訴訟参加4項判例なし
  • 相手方と再生債務者間の訴訟に、監督委員は当事者として参加できる
  • 再生債務者や相手方も一定の要件で訴訟に参加・併合提起できる
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第139条否認権行使の期間否認権の行使期間の制限1項判例なし
  • 再生手続開始日から2年経過で否認権は行使できない
  • 行為の日から10年経過した場合も行使できない
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第127条民事再生法

再生債務者が無償行為若しくはこれと同視すべき有償行為の時に債務超過であること又はその無償行為等により債務超過になることは民事再生法127条3項〈再生債権者を害する行為の否認〉に基づく否認権行使の要件か

裁判要旨再生債務者が無償行為若しくはこれと同視すべき有償行為の時に債務超過であること又はその無償行為等により債務超過になることは,民事再生法127条3項〈再生債権者を害する行為の否認〉に基づく否認権行使の要件ではない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成29年11月16日 平成29(受)761
登載
民集 第71巻9号1745頁
参照法条
民事再生法127条3項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民事再生法 第127条(再生債権者を害する行為の否認) 詳細ページ
(再生債権者を害する行為の否認)
第百二十七条次に掲げる行為(担保の供与又は債務の消滅に関する行為を除く。)は、再生手続開始後、再生債務者財産のために否認することができる。
一再生債務者が再生債権者を害することを知ってした行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、再生債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
二再生債務者が支払の停止又は再生手続開始、破産手続開始若しくは特別清算開始の申立て(以下この節において「支払の停止等」という。)があった後にした再生債権者を害する行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、支払の停止等があったこと及び再生債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
2再生債務者がした債務の消滅に関する行為であって、債権者の受けた給付の価額が当該行為によって消滅した債務の額より過大であるものは、前項各号に掲げる要件のいずれかに該当するときは、再生手続開始後、その消滅した債務の額に相当する部分以外の部分に限り、再生債務者財産のために否認することができる。
3再生債務者が支払の停止等があった後又はその前六月以内にした無償行為及びこれと同視すべき有償行為は、再生手続開始後、再生債務者財産のために否認することができる。
民事再生法 第127_2条(相当の対価を得てした財産の処分行為の否認) 詳細ページ
(相当の対価を得てした財産の処分行為の否認)
第百二十七条の二再生債務者が、その有する財産を処分する行為をした場合において、その行為の相手方から相当の対価を取得しているときは、その行為は、次に掲げる要件のいずれにも該当する場合に限り、再生手続開始後、再生債務者財産のために否認することができる。
一当該行為が、不動産の金銭への換価その他の当該処分による財産の種類の変更により、再生債務者において隠匿、無償の供与その他の再生債権者を害することとなる処分(以下「隠匿等の処分」という。)をするおそれを現に生じさせるものであること。
二再生債務者が、当該行為の当時、対価として取得した金銭その他の財産について、隠匿等の処分をする意思を有していたこと。
三相手方が、当該行為の当時、再生債務者が前号の隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたこと。
2前項の規定の適用については、当該行為の相手方が次に掲げる者のいずれかであるときは、その相手方は、当該行為の当時、再生債務者が同項第二号の隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたものと推定する。
一再生債務者が法人である場合のその理事、取締役、執行役、監事、監査役、清算人又はこれらに準ずる者
二再生債務者が法人である場合にその再生債務者について次のイからハまでに掲げる者のいずれかに該当する者
イ再生債務者である株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者
ロ再生債務者である株式会社の総株主の議決権の過半数を子株式会社又は親法人及び子株式会社が有する場合における当該親法人
ハ株式会社以外の法人が再生債務者である場合におけるイ又はロに掲げる者に準ずる者
三再生債務者の親族又は同居者
民事再生法 第127_3条(特定の債権者に対する担保の供与等の否認) 詳細ページ
(特定の債権者に対する担保の供与等の否認)
第百二十七条の三次に掲げる行為(既存の債務についてされた担保の供与又は債務の消滅に関する行為に限る。)は、再生手続開始後、再生債務者財産のために否認することができる。
一再生債務者が支払不能になった後又は再生手続開始、破産手続開始若しくは特別清算開始の申立て(以下この節において「再生手続開始の申立て等」という。)があった後にした行為。ただし、債権者が、その行為の当時、次のイ又はロに掲げる区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事実を知っていた場合に限る。
イ当該行為が支払不能になった後にされたものである場合支払不能であったこと又は支払の停止があったこと。
ロ当該行為が再生手続開始の申立て等があった後にされたものである場合再生手続開始の申立て等があったこと。
二再生債務者の義務に属せず、又はその時期が再生債務者の義務に属しない行為であって、支払不能になる前三十日以内にされたもの。ただし、債権者がその行為の当時他の再生債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
2前項第一号の規定の適用については、次に掲げる場合には、債権者は、同号に掲げる行為の当時、同号イ又はロに掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事実(同号イに掲げる場合にあっては、支払不能であったこと及び支払の停止があったこと)を知っていたものと推定する。
一債権者が前条第二項各号に掲げる者のいずれかである場合
二前項第一号に掲げる行為が再生債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が再生債務者の義務に属しないものである場合
3第一項各号の規定の適用については、支払の停止(再生手続開始の申立て等の前一年以内のものに限る。)があった後は、支払不能であったものと推定する。
民事再生法 第128条(手形債務支払の場合等の例外) 詳細ページ
(手形債務支払の場合等の例外)
第百二十八条前条第一項第一号の規定は、再生債務者から手形の支払を受けた者がその支払を受けなければ手形上の債務者の一人又は数人に対する手形上の権利を失う場合には、適用しない。
2前項の場合において、最終の償還義務者又は手形の振出しを委託した者が振出しの当時支払の停止等があったことを知り、又は過失によって知らなかったときは、第五十六条第一項の規定により否認権を行使する権限を付与された監督委員(以下「否認権限を有する監督委員」という。)又は管財人は、これらの者に再生債務者が支払った金額を償還させることができる。
3前条第一項の規定は、再生債務者が再生手続開始前の罰金等につき、その徴収の権限を有する者に対してした担保の供与又は債務の消滅に関する行為には、適用しない。
民事再生法 第129条(権利変動の対抗要件の否認) 詳細ページ
(権利変動の対抗要件の否認)
第百二十九条支払の停止等があった後権利の設定、移転又は変更をもって第三者に対抗するために必要な行為(仮登記又は仮登録を含む。)をした場合において、その行為が権利の設定、移転又は変更があった日から十五日を経過した後悪意でしたものであるときは、これを否認することができる。ただし、当該仮登記又は仮登録以外の仮登記又は仮登録があった後にこれらに基づいてされた本登記又は本登録は、この限りでない。
2前項の規定は、権利取得の効力を生ずる登録について準用する。
民事再生法 第130条(執行行為の否認) 詳細ページ
(執行行為の否認)
第百三十条否認権は、否認しようとする行為につき、執行力のある債務名義があるとき、又はその行為が執行行為に基づくものであるときでも、行うことを妨げない。
民事再生法 第131条(支払の停止を要件とする否認の制限) 詳細ページ
(支払の停止を要件とする否認の制限)
第百三十一条再生手続開始の申立て等の日から一年以上前にした行為(第百二十七条第三項に規定する行為を除く。)は、支払の停止があった後にされたものであること又は支払の停止の事実を知っていたことを理由として否認することができない。
民事再生法 第132条(否認権行使の効果) 詳細ページ
(否認権行使の効果)
第百三十二条否認権の行使は、再生債務者財産を原状に復させる。
2第百二十七条第三項に規定する行為が否認された場合において、相手方は、当該行為の当時、支払の停止等があったこと及び再生債権者を害することを知らなかったときは、その現に受けている利益を償還すれば足りる。
民事再生法 第132_2条(再生債務者の受けた反対給付に関する相手方の権利等) 詳細ページ
(再生債務者の受けた反対給付に関する相手方の権利等)
第百三十二条の二第百二十七条第一項若しくは第三項又は第百二十七条の二第一項に規定する行為が否認されたときは、相手方は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める権利を行使することができる。
一再生債務者の受けた反対給付が再生債務者財産中に現存する場合当該反対給付の返還を請求する権利
二再生債務者の受けた反対給付が再生債務者財産中に現存しない場合共益債権者として反対給付の価額の償還を請求する権利
2前項第二号の規定にかかわらず、同号に掲げる場合において、当該行為の当時、再生債務者が対価として取得した財産について隠匿等の処分をする意思を有し、かつ、相手方が再生債務者がその意思を有していたことを知っていたときは、相手方は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める権利を行使することができる。
一再生債務者の受けた反対給付によって生じた利益の全部が再生債務者財産中に現存する場合共益債権者としてその現存利益の返還を請求する権利
二再生債務者の受けた反対給付によって生じた利益が再生債務者財産中に現存しない場合再生債権者として反対給付の価額の償還を請求する権利
三再生債務者の受けた反対給付によって生じた利益の一部が再生債務者財産中に現存する場合共益債権者としてその現存利益の返還を請求する権利及び再生債権者として反対給付と現存利益との差額の償還を請求する権利
3前項の規定の適用については、当該行為の相手方が第百二十七条の二第二項各号に掲げる者のいずれかであるときは、その相手方は、当該行為の当時、再生債務者が前項の隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたものと推定する。
4否認権限を有する監督委員又は管財人は、第百二十七条第一項若しくは第三項又は第百二十七条の二第一項に規定する行為を否認しようとするときは、前条第一項の規定により再生債務者財産に復すべき財産の返還に代えて、相手方に対し、当該財産の価額から前三項の規定により共益債権となる額(第一項第一号に掲げる場合にあっては、再生債務者の受けた反対給付の価額)を控除した額の償還を請求することができる。
民事再生法 第133条(相手方の債権の回復) 詳細ページ
(相手方の債権の回復)
第百三十三条第百二十七条の三第一項に規定する行為が否認された場合において、相手方がその受けた給付を返還し、又はその価額を償還したときは、相手方の債権は、これによって原状に復する。
民事再生法 第134条(転得者に対する否認権) 詳細ページ
(転得者に対する否認権)
第百三十四条次の各号に掲げる場合において、否認しようとする行為の相手方に対して否認の原因があるときは、否認権は、当該各号に規定する転得者に対しても、行使することができる。ただし、当該転得者が他の転得者から転得した者である場合においては、当該転得者の前に転得した全ての転得者に対しても否認の原因があるときに限る。
一転得者が転得の当時、再生債務者がした行為が再生債権者を害することを知っていたとき。
二転得者が第百二十七条の二第二項各号に掲げる者のいずれかであるとき。ただし、転得の当時、再生債務者がした行為が再生債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
三転得者が無償行為又はこれと同視すべき有償行為によって転得した者であるとき。
2第百三十二条第二項の規定は、前項第三号の規定により否認権の行使があった場合について準用する。
民事再生法 第134_2条(再生債務者の受けた反対給付に関する転得者の権利等) 詳細ページ
(再生債務者の受けた反対給付に関する転得者の権利等)
第百三十四条の二再生債務者がした第百二十七条第一項若しくは第三項又は第百二十七条の二第一項に規定する行為が転得者に対する否認権の行使によって否認されたときは、転得者は、第百三十二条の二第一項各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める権利を行使することができる。ただし、同項第一号に掲げる場合において、再生債務者の受けた反対給付の価額が、第四項に規定する転得者がした反対給付又は消滅した転得者の債権の価額を超えるときは、転得者は、共益債権者として再生債務者の受けた反対給付の価額の償還を請求する権利を行使することができる。
2前項の規定にかかわらず、第百三十二条の二第一項第二号に掲げる場合において、当該行為の当時、再生債務者が対価として取得した財産について隠匿等の処分をする意思を有し、かつ、当該行為の相手方が再生債務者がその意思を有していたことを知っていたときは、転得者は、同条第二項各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める権利を行使することができる。
3前項の規定の適用については、当該行為の相手方が第百二十七条の二第二項各号に掲げる者のいずれかであるときは、その相手方は、当該行為の当時、再生債務者が前項の隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたものと推定する。
4第一項及び第二項の規定による権利の行使は、転得者がその前者から財産を取得するためにした反対給付又はその前者から財産を取得することによって消滅した債権の価額を限度とする。
5否認権限を有する監督委員又は管財人は、第一項に規定する行為を転得者に対する否認権の行使によって否認しようとするときは、第百三十二条第一項の規定により再生債務者財産に復すべき財産の返還に代えて、転得者に対し、当該財産の価額から前各項の規定により共益債権となる額(第百三十二条の二第一項第一号に掲げる場合(第一項ただし書に該当するときを除く。)にあっては、再生債務者の受けた反対給付の価額)を控除した額の償還を請求することができる。
民事再生法 第134_3条(相手方の債権に関する転得者の権利) 詳細ページ
(相手方の債権に関する転得者の権利)
第百三十四条の三再生債務者がした第百二十七条の三第一項に規定する行為が転得者に対する否認権の行使によって否認された場合において、転得者がその受けた給付を返還し、又はその価額を償還したときは、転得者は、当該行為がその相手方に対する否認権の行使によって否認されたとすれば第百三十三条の規定により原状に復すべき当該行為の相手方の債権を行使することができる。この場合には、前条第四項の規定を準用する。
民事再生法 第134_4条(否認権のための保全処分) 詳細ページ
(否認権のための保全処分)
第百三十四条の四裁判所は、再生手続開始の申立てがあった時から当該申立てについての決定があるまでの間において、否認権を保全するため必要があると認めるときは、利害関係人(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人)の申立てにより又は職権で、仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。
2前項の規定による保全処分は、担保を立てさせて、又は立てさせないで命ずることができる。
3裁判所は、申立てにより又は職権で、第一項の規定による保全処分を変更し、又は取り消すことができる。
4第一項の規定による保全処分及び前項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
5前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
6第四項に規定する裁判及び同項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
7前各項の規定は、再生手続開始の申立てを棄却する決定に対して第三十六条第一項の即時抗告があった場合について準用する。
民事再生法 第134_5条(保全処分に係る手続の続行と担保の取扱い) 詳細ページ
(保全処分に係る手続の続行と担保の取扱い)
第百三十四条の五前条第一項(同条第七項において準用する場合を含む。)の規定による保全処分が命じられた場合において、再生手続開始の決定があったときは、否認権限を有する監督委員又は管財人は、当該保全処分に係る手続を続行することができる。
2再生手続開始の決定後一月以内に前項の規定により同項の保全処分に係る手続が続行されないときは、当該保全処分は、その効力を失う。
3否認権限を有する監督委員又は管財人は、第一項の規定により同項の保全処分に係る手続を続行しようとする場合において、前条第二項(同条第七項において準用する場合を含む。)に規定する担保の全部又は一部が再生債務者財産に属する財産でないときは、その担保の全部又は一部を再生債務者財産に属する財産による担保に変換しなければならない。
4民事保全法(平成元年法律第九十一号)第十八条並びに第二章第四節(第三十七条第五項から第七項までを除く。)及び第五節の規定は、第一項の規定により否認権限を有する監督委員又は管財人が続行する手続に係る保全処分について準用する。
民事再生法 第135条(否認権の行使) 詳細ページ
(否認権の行使)
第百三十五条否認権は、訴え又は否認の請求によって、否認権限を有する監督委員又は管財人が行う。
2前項の訴え及び否認の請求事件は、再生裁判所が管轄する。
3第一項に規定する方法によるほか、管財人は、抗弁によっても、否認権を行うことができる。
民事再生法 第136条(否認の請求) 詳細ページ
(否認の請求)
第百三十六条否認の請求をするときは、その原因となる事実を疎明しなければならない。
2否認の請求を認容し、又はこれを棄却する裁判は、理由を付した決定でしなければならない。
3裁判所は、前項の決定をする場合には、相手方又は転得者を審尋しなければならない。
4否認の請求を認容する決定があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
5否認の請求の手続は、再生手続が終了したときは、終了する。
民事再生法 第137条(否認の請求を認容する決定に対する異議の訴え) 詳細ページ
(否認の請求を認容する決定に対する異議の訴え)
第百三十七条否認の請求を認容する決定に不服がある者は、その送達を受けた日から一月の不変期間内に、異議の訴えを提起することができる。
2前項の訴えは、再生裁判所が管轄する。
3第一項の訴えについての判決においては、訴えを不適法として却下する場合を除き、同項の決定を認可し、変更し、又は取り消す。
4第一項の決定を認可する判決が確定したときは、その決定は、確定判決と同一の効力を有する。同項の訴えが、同項に規定する期間内に提起されなかったとき、又は却下されたときも、同様とする。
5第一項の決定を認可し、又は変更する判決については、受訴裁判所は、民事訴訟法第二百五十九条第一項の定めるところにより、仮執行の宣言をすることができる。
6第一項の訴えに係る訴訟手続で否認権限を有する監督委員が当事者であるものは、再生手続開始の決定の取消しの決定の確定又は再生手続終結の決定により再生手続が終了したときは終了するものとし、再生計画不認可、再生手続廃止又は再生計画取消しの決定の確定により再生手続が終了したときは中断するものとする。
7第一項の訴えに係る訴訟手続で管財人が当事者であるものは、再生手続開始の決定の取消しの決定の確定又は再生手続終結の決定により再生手続が終了したときは、第六十八条第二項の規定にかかわらず、終了するものとする。
民事再生法 第138条(否認権限を有する監督委員の訴訟参加等) 詳細ページ
(否認権限を有する監督委員の訴訟参加等)
第百三十八条否認権限を有する監督委員は、第百三十五条第一項の規定にかかわらず、否認権の行使に係る相手方(以下この条において「相手方」という。)及び再生債務者間の訴訟が係属する場合には、否認権を行使するため、相手方を被告として、当事者としてその訴訟に参加することができる。ただし、当該訴訟の目的である権利又は義務に係る請求をする場合に限る。
2否認権限を有する監督委員が当事者である否認の訴え(前条第一項の訴え及び第百四十条第一項の規定により受継された訴訟手続を含む。)が係属する場合には、再生債務者は、当該訴えの目的である権利又は義務に係る請求をするため、相手方を被告として、当事者としてその訴訟に参加することができる。
3前項に規定する場合には、相手方は、当該訴訟の口頭弁論の終結に至るまで、再生債務者を被告として、当該訴訟の目的である権利又は義務に係る訴えをこれに併合して提起することができる。
4民事訴訟法第四十条第一項から第三項までの規定は前三項の場合について、同法第四十三条並びに第四十七条第二項及び第三項の規定は第一項及び第二項の規定による参加の申出について準用する。
民事再生法 第139条(否認権行使の期間) 詳細ページ
(否認権行使の期間)
第百三十九条否認権は、再生手続開始の日(再生手続開始の日より前に破産手続が開始されている場合にあっては、破産手続開始の日)から二年を経過したときは、行使することができない。否認しようとする行為の日から十年を経過したときも、同様とする。
出

一次情報

原文ママ

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