会社法 / テーマ別まとめ

自己株式の処分と消却

買い取った自社株をどう処分するか。消却するとどうなるか。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

自己株式を再び市場等に出す「処分」は、募集株式の発行と同じ手続(会社法199条・200条)で行い、原則として株主総会の決議で募集事項を定める。これに対し、自己株式を消滅させる「消却」は会社法178条に基づき、取締役会設置会社では取締役会の決議で消却する株式数を定める。同じ自己株式を対象としながら決議機関や資本金に関する定めの要否が異なるため、この違いを整理する。

処分と消却の対比
項目自己株式の処分(募集株式)消却
決議機関株主総会決議(委任可)取締役会設置会社は取締役会
発行済株式総数への影響新株発行でなく自己株式を交付消却した自己株式は消滅
資本金の変動株式発行時は資本金増加を決定条文上資本金の定めなし
  • 199条1項5号の資本金増加事項は「株式を発行するとき」に限る定め
  • 200条による委任は決議の日から1年以内の期日の募集についてのみ有効
  • 譲渡制限株式を募集株式とする場合は種類株主総会の決議も必要(定款の別段の定めがある場合等を除く)
  • 199条1項2号の払込金額が特に有利な金額のときは取締役の説明が必要
  • 自己株式には議決権がない(308条2項)
  • 剰余金の配当は自己株式(会社自身)には行われない(453条)
1

処分する

募集株式の発行等としての扱い

第199条募集事項の決定自己株式の処分も株主総会で決定5項・5号判例 2件
  • 自己株式を配る場合も募集株式の手続に従う
  • 原則、株主総会の決議で募集事項を定める
  • 有利な払込金額なら取締役が理由を説明する
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第200条募集事項の決定の委任決定を取締役(会)に委任できる4項判例なし
  • 株主総会の決議で数の上限と金額の下限を定め委任
  • 委任は決議の日から1年以内の期日の募集にのみ有効
  • 下限額が有利な金額なら取締役が理由を説明
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2

消却する

取締役会の決議と効果

第178条自己株式は消却でき、数を決める2項判例なし
  • 消却する自己株式の数(種類ごとの数)を定める
  • 取締役会設置会社は取締役会の決議が必要
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3

保有中の制限

議決権と剰余金配当

第308条議決権の数自己株式には議決権がない2項判例なし
  • 会社が持つ自己株式は総会で議決権を持たない
  • 通常は一株一個、単元株式なら一単元一個の議決権
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第453条株主に対する剰余金の配当自己株式には剰余金配当をしない1項判例なし
  • 配当は株主向けで、自己株式(会社自身)には行わない
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第199条会社法

非上場会社が株主以外の者に発行した新株の発行価額が商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)280条ノ2第2項にいう「特ニ有利ナル発行価額」に当たらない場合

裁判要旨非上場会社が株主以外の者に新株を発行するに際し,客観的資料に基づく一応合理的な算定方法によって発行価額が決定されていたといえる場合には,その発行価額は,特別の事情のない限り,商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)280条ノ2第2項にいう「特ニ有利ナル発行価額」に当たらない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成27年2月19日 平成25(受)1080
登載
民集 第69巻1号51頁
参照法条
商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)280条ノ2第2項,会社法199条3項
論点2第199条会社法

1 商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)280条ノ21第1項に基づく株主総会決議による委任を受けた取締役会が定めた新株予約権の行使条件をその発行後に変更する取締役会決議の効力
2 非公開会社において株主総会の特別決議を経ないまま株主割当て以外の方法によってされた募集株式発行の効力
3 非公開会社が株主割当て以外の方法により発行した新株予約権の行使条件に反した当該新株予約権の行使による株式発行に無効原因がある場合

裁判要旨1 取締役会が商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)280条ノ21第1項に基づく株主総会決議による委任を受けて新株予約権の行使条件を定めた場合において,新株予約権の発行後に上記行使条件を変更することができる旨の明示の委任がないときは,当該新株予約権の発行後に上記行使条件を変更する取締役会決議は,上記行使条件の細目的な変更をするにとどまるものであるときを除き,無効である。
2 非公開会社において株主総会の特別決議を経ないまま株主割当て以外の方法による募集株式の発行がされた場合,当該特別決議を欠く瑕疵は上記株式発行の無効原因になる。
3 非公開会社が株主割当て以外の方法により発行した新株予約権に株主総会によって行使条件が付された場合に,この行使条件が当該新株予約権を発行した趣旨に照らして当該新株予約権の重要な内容を構成しているときは,上記行使条件に反した新株予約権の行使による株式の発行には,無効原因がある。
(1〜3につき補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成24年4月24日 平成22(受)1212
登載
民集 第66巻6号2908頁
参照法条
(1につき)商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)280条ノ20第2項6号,商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)280条ノ21第1項 (2,3につき)会社法828条1項2号 (2につき)会社法199条,会社法201条1項 (3につき)会社法238条,会社法240条1項

関連する会計・監査の基準

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原

条文原文

原文ママ

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会社法 第199条(募集事項の決定) 詳細ページ
(募集事項の決定)
第百九十九条株式会社は、その発行する株式又はその処分する自己株式を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集株式(当該募集に応じてこれらの株式の引受けの申込みをした者に対して割り当てる株式をいう。以下この節において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。
一募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び数。以下この節において同じ。)
二募集株式の払込金額(募集株式一株と引換えに払い込む金銭又は給付する金銭以外の財産の額をいう。以下この節において同じ。)又はその算定方法
三金銭以外の財産を出資の目的とするときは、その旨並びに当該財産の内容及び価額
四募集株式と引換えにする金銭の払込み又は前号の財産の給付の期日又はその期間
五株式を発行するときは、増加する資本金及び資本準備金に関する事項
2前項各号に掲げる事項(以下この節において「募集事項」という。)の決定は、株主総会の決議によらなければならない。
3第一項第二号の払込金額が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合には、取締役は、前項の株主総会において、当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。
4種類株式発行会社において、第一項第一号の募集株式の種類が譲渡制限株式であるときは、当該種類の株式に関する募集事項の決定は、当該種類の株式を引き受ける者の募集について当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定めがある場合を除き、当該種類株主総会の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。
5募集事項は、第一項の募集ごとに、均等に定めなければならない。
会社法 第200条(募集事項の決定の委任) 詳細ページ
(募集事項の決定の委任)
第二百条前条第二項及び第四項の規定にかかわらず、株主総会においては、その決議によって、募集事項の決定を取締役(取締役会設置会社にあっては、取締役会)に委任することができる。この場合においては、その委任に基づいて募集事項の決定をすることができる募集株式の数の上限及び払込金額の下限を定めなければならない。
2前項の払込金額の下限が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合には、取締役は、同項の株主総会において、当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。
3第一項の決議は、前条第一項第四号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、その期間の末日)が当該決議の日から一年以内の日である同項の募集についてのみその効力を有する。
4種類株式発行会社において、第一項の募集株式の種類が譲渡制限株式であるときは、当該種類の株式に関する募集事項の決定の委任は、当該種類の株式について前条第四項の定款の定めがある場合を除き、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。
会社法 第178条 詳細ページ
第百七十八条株式会社は、自己株式を消却することができる。この場合においては、消却する自己株式の数(種類株式発行会社にあっては、自己株式の種類及び種類ごとの数)を定めなければならない。
2取締役会設置会社においては、前項後段の規定による決定は、取締役会の決議によらなければならない。
会社法 第308条(議決権の数) 詳細ページ
(議決権の数)
第三百八条株主(株式会社がその総株主の議決権の四分の一以上を有することその他の事由を通じて株式会社がその経営を実質的に支配することが可能な関係にあるものとして法務省令で定める株主を除く。)は、株主総会において、その有する株式一株につき一個の議決権を有する。ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の株式につき一個の議決権を有する。
2前項の規定にかかわらず、株式会社は、自己株式については、議決権を有しない。
会社法 第453条(株主に対する剰余金の配当) 詳細ページ
(株主に対する剰余金の配当)
第四百五十三条株式会社は、その株主(当該株式会社を除く。)に対し、剰余金の配当をすることができる。
出

一次情報

原文ママ

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