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清算株式会社の機関/清算人の職務等

清算人の職務等の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

清算株式会社の清算人が担う職務(現務の結了、債権の取立てと債務の弁済、残余財産の分配)、業務執行の決定方法、清算株式会社の代表、債務超過が判明した場合の破産手続開始の申立て、清算人の会社・第三者に対する損害賠償責任などを定めています。実務担当者は、誰が業務を決定・代表し、どのような場面で報告義務や賠償責任が生じるかを押さえる必要があります。

清算人の職務等
項目・場面内容
現務の結了未了の業務を終わらせる
債権の取立て会社の債権を回収する
債務の弁済会社の債務を返済する
残余財産の分配残った財産を株主に分配
業務執行の決定清算人の過半数で決定
重要事項の決定各清算人に委任不可
代表清算人がいない場合清算人が各自代表
代表清算人を定める方法定款・互選・株主総会決議
債務超過が判明したとき直ちに破産手続開始を申立て
会社に対する責任任務懈怠で損害賠償
第三者に対する責任悪意・重過失で損害賠償
複数人が責任を負う場合連帯債務者となる
  • 業務執行を清算人の過半数で決定するのは、定款に別段の定めがある場合を除く。
  • 清算人が2人以上のときの規定(482条)は、清算人会設置会社を除く清算株式会社が対象。
  • 代表清算人の定め方(定款・互選・株主総会決議)は、清算人会設置会社を除く清算株式会社が対象。
  • 破産手続開始決定後、既に債権者に支払い・株主に分配した財産があるときは、破産管財人がこれを取り戻せる。
  • 裁判所が清算人を選任した場合に限り、裁判所がその報酬額を定めることができる。
  • 清算人・監査役の連帯責任には、会社法第430条の規定は適用されない。
1

清算人の職務等

清算人の職務等について、条文は何を定めているか。

第481条清算人の職務清算人が行う3つの職務1項・3号判例 1件
  • 未了になっている業務を終わらせる(現務の結了)
  • 会社の債権を取り立て、債務を弁済する
  • 残った財産を株主に分配する
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第482条業務の執行業務執行は清算人の過半数で決定4項・4号判例なし
  • 清算人会を置かない会社では清算人が業務を執行する
  • 清算人が2人以上なら過半数で決定(定款で別段の定め可)
  • 支配人の選任・支店の設置などは各清算人に委任できない
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第483条清算株式会社の代表清算人が清算株式会社を代表する6項判例 1件
  • 代表清算人を定めていなければ、清算人が各自代表する
  • 代表清算人は定款・互選・株主総会決議で定められる
  • 取締役だった者が清算人になるとき、元の代表取締役が代表清算人になる
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第484条清算株式会社についての破産手続の開始債務超過が明らかになれば破産を申立て3項判例なし
  • 財産が債務を完済できないと明らかになれば直ちに破産手続開始を申立てる
  • 破産管財人に事務を引き継げば清算人の任務は終了する
  • 引継ぎ後、既に支払い・分配した分は破産管財人が取り戻せる
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第485条裁判所の選任する清算人の報酬裁判所選任の清算人は報酬額も裁判所が決定1項判例なし
  • 裁判所が清算人を選任した場合、その報酬額を裁判所が定められる
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第486条清算人の清算株式会社に対する損害賠償責任任務を怠った清算人は会社に賠償責任4項・3号判例なし
  • 任務を怠り会社に損害を生じさせたときは賠償責任を負う
  • 利益相反取引で清算人・第三者が得た利益額は損害額と推定される
  • 一定の取引で会社に損害が生じたときは任務懈怠が推定される
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第487条清算人の第三者に対する損害賠償責任悪意・重過失があれば第三者にも賠償責任2項・4号判例なし
  • 職務につき悪意または重大な過失があれば第三者に賠償責任を負う
  • 募集時の虚偽通知や財産目録等の虚偽記載も同様(注意を怠らなかった証明で免責)
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第488条清算人及び監査役の連帯責任複数の清算人・監査役は連帯責任2項判例なし
  • 清算人・監査役が複数で責任を負うときは連帯債務者となる
  • この場合、会社法第430条〈役員等の連帯責任〉の規定は適用されない
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第481条会社法

1 破産手続開始の決定を受けた株式会社を被告人とする刑事事件が係属している場合における破産手続の終了と刑訴法339条1項4号にいう「被告人たる法人が存続しなくなつたとき」
2 破産手続開始当時の会社を代表する権限を有する取締役と当該会社を被告人とする刑事事件に係る訴訟手続についての代表権の有無
3 破産手続開始の決定を受けた株式会社を被告人とする刑事事件が係属している場合における破産手続の終了と当該刑事事件に係る訴訟手続についての取締役の代表権の消長
4 汚水を下水道に放流する行為が下水道法(令和3年法律第31号による改正前のもの)の罰則の対象となり得ることと廃棄物の処理及び清掃に関する法律(令和4年法律第68号による改正前のもの)16条〈通知義務〉違反の罪の成否

裁判要旨1 破産手続開始の決定を受けた株式会社を被告人とする刑事事件が係属している場合には、破産手続が終了したとしても、刑訴法339条1項4号にいう「被告人たる法人が存続しなくなつたとき」に当たらない。
2 破産手続開始当時の会社を代表する権限を有する取締役は、破産手続開始によりその地位を当然には失わず、破産手続が終了するまでの間、当該会社を被告人とする刑事事件に係る訴訟手続について当該会社を代表する。
3 破産手続開始の決定を受けた株式会社を被告人とする刑事事件に係る訴訟手続について当該会社を代表する取締役は、会社法478条1項2号〈清算人の就任 定款で定める者〉又は3号に掲げる者がある場合を除き、破産手続の終了後は、当該刑事事件に係る訴訟手続について清算人の立場で当該会社を代表する。
4 汚水を下水道に放流する行為は、下水道法(令和3年法律第31号による改正前のもの)によって基準に適合しない下水の排除として規制され、同法の罰則の対象となり得るとしても、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(令和4年法律第68号による改正前のもの)16条〈通知義務〉違反の罪が成立し得る。
裁判
最高裁判所第三小法廷 令和8年4月7日 令和6(あ)1479
登載
―
参照法条
(1、3につき)会社法475条1号、会社法476条、会社法481条1号 (1につき)刑訴法339条1項4号 (2、3につき)刑訴法27条1項 (2につき)会社法330条、会社法349条1項、民法653条2号、破産法78条1項 (3につき)会社法478条1項、会社法483条1項 (4につき)廃棄物の処理及び清掃に関する法律(令和4年法律第68号による改正前のもの)1条、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(令和4年法律第68号による改正前のもの)16条、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(令和4年法律第68号による改正前のもの)25条1項14号、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(令和4年法律第68号による改正前のもの)32条1項、下水道法(令和3年法律第31号による改正前のもの)1条、下水道法(令和3年法律第31号による改正前のもの)12条の2第1項、下水道法(令和3年法律第31号による改正前のもの)38条1項1号、下水道法(令和3年法律第31号による改正前のもの)45条、下水道法(令和3年法律第31号による改正前のもの)46条1項1号
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

会社法 第481条(清算人の職務) 詳細ページ
(清算人の職務)
第四百八十一条清算人は、次に掲げる職務を行う。
一現務の結了
二債権の取立て及び債務の弁済
三残余財産の分配
会社法 第482条(業務の執行) 詳細ページ
(業務の執行)
第四百八十二条清算人は、清算株式会社(清算人会設置会社を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する。
2清算人が二人以上ある場合には、清算株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、清算人の過半数をもって決定する。
3前項の場合には、清算人は、次に掲げる事項についての決定を各清算人に委任することができない。
一支配人の選任及び解任
二支店の設置、移転及び廃止
三第二百九十八条第一項各号(第三百二十五条において準用する場合を含む。)に掲げる事項
四清算人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他清算株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
4第三百五十三条から第三百五十七条(第三項を除く。)まで、第三百六十条並びに第三百六十一条第一項及び第四項の規定は、清算人(同条の規定については、第四百七十八条第二項から第四項までの規定により裁判所が選任したものを除く。)について準用する。この場合において、第三百五十三条中「第三百四十九条第四項」とあるのは「第四百八十三条第六項において準用する第三百四十九条第四項」と、第三百五十四条中「代表取締役」とあるのは「代表清算人(第四百八十三条第一項に規定する代表清算人をいう。)」と、第三百六十条第三項中「監査役設置会社、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社」とあるのは「監査役設置会社」と読み替えるものとする。
会社法 第483条(清算株式会社の代表) 詳細ページ
(清算株式会社の代表)
第四百八十三条清算人は、清算株式会社を代表する。ただし、他に代表清算人(清算株式会社を代表する清算人をいう。以下同じ。)その他清算株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
2前項本文の清算人が二人以上ある場合には、清算人は、各自、清算株式会社を代表する。
3清算株式会社(清算人会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく清算人(第四百七十八条第二項から第四項までの規定により裁判所が選任したものを除く。以下この項において同じ。)の互選又は株主総会の決議によって、清算人の中から代表清算人を定めることができる。
4第四百七十八条第一項第一号の規定により取締役が清算人となる場合において、代表取締役を定めていたときは、当該代表取締役が代表清算人となる。
5裁判所は、第四百七十八条第二項から第四項までの規定により清算人を選任する場合には、その清算人の中から代表清算人を定めることができる。
6第三百四十九条第四項及び第五項並びに第三百五十一条の規定は代表清算人について、第三百五十二条の規定は民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された清算人又は代表清算人の職務を代行する者について、それぞれ準用する。
会社法 第484条(清算株式会社についての破産手続の開始) 詳細ページ
(清算株式会社についての破産手続の開始)
第四百八十四条清算株式会社の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをしなければならない。
2清算人は、清算株式会社が破産手続開始の決定を受けた場合において、破産管財人にその事務を引き継いだときは、その任務を終了したものとする。
3前項に規定する場合において、清算株式会社が既に債権者に支払い、又は株主に分配したものがあるときは、破産管財人は、これを取り戻すことができる。
会社法 第485条(裁判所の選任する清算人の報酬) 詳細ページ
(裁判所の選任する清算人の報酬)
第四百八十五条裁判所は、第四百七十八条第二項から第四項までの規定により清算人を選任した場合には、清算株式会社が当該清算人に対して支払う報酬の額を定めることができる。
会社法 第486条(清算人の清算株式会社に対する損害賠償責任) 詳細ページ
(清算人の清算株式会社に対する損害賠償責任)
第四百八十六条清算人は、その任務を怠ったときは、清算株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
2清算人が第四百八十二条第四項において準用する第三百五十六条第一項の規定に違反して同項第一号の取引をしたときは、当該取引により清算人又は第三者が得た利益の額は、前項の損害の額と推定する。
3第四百八十二条第四項において準用する第三百五十六条第一項第二号又は第三号の取引によって清算株式会社に損害が生じたときは、次に掲げる清算人は、その任務を怠ったものと推定する。
二清算株式会社が当該取引をすることを決定した清算人
三当該取引に関する清算人会の承認の決議に賛成した清算人
4第四百二十四条及び第四百二十八条第一項の規定は、清算人の第一項の責任について準用する。この場合において、同条第一項中「第三百五十六条第一項第二号(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)」とあるのは、「第四百八十二条第四項において準用する第三百五十六条第一項第二号」と読み替えるものとする。
会社法 第487条(清算人の第三者に対する損害賠償責任) 詳細ページ
(清算人の第三者に対する損害賠償責任)
第四百八十七条清算人がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該清算人は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
2清算人が、次に掲げる行為をしたときも、前項と同様とする。ただし、当該清算人が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
一株式、新株予約権、社債若しくは新株予約権付社債を引き受ける者の募集をする際に通知しなければならない重要な事項についての虚偽の通知又は当該募集のための当該清算株式会社の事業その他の事項に関する説明に用いた資料についての虚偽の記載若しくは記録
二第四百九十二条第一項に規定する財産目録等並びに第四百九十四条第一項の貸借対照表及び事務報告並びにこれらの附属明細書に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
三虚偽の登記
四虚偽の公告
会社法 第488条(清算人及び監査役の連帯責任) 詳細ページ
(清算人及び監査役の連帯責任)
第四百八十八条清算人又は監査役が清算株式会社又は第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において、他の清算人又は監査役も当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。
2前項の場合には、第四百三十条の規定は、適用しない。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。