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原文整理テーマ別まとめ概要
原文解釈- 吸収分割承継株式会社は、効力発生日に、吸収分割契約の定めに従い吸収分割会社の権利義務を承継する。
- 第七百八十九条第一項第二号の異議を述べることができる債権者であって各別の催告を受けなかったものは、吸収分割契約に別段の定めがあっても、吸収分割会社又は吸収分割承継株式会社に対し、それぞれ定められた財産の価額を限度として債務の履行を請求できる。
- 吸収分割会社が残存債権者を害することを知って吸収分割をした場合、残存債権者は吸収分割承継株式会社に対し承継した財産の価額を限度として履行を請求できるが、同会社が効力発生時に残存債権者を害することを知らなかったときはこの限りでない。
- 上記の残存債権者による請求権は、吸収分割会社が残存債権者を害することを知って吸収分割をしたことを知った時から二年、又は効力発生日から十年の経過により消滅する。
- 吸収分割会社について破産手続開始、再生手続開始又は更生手続開始の決定があったときは、残存債権者は吸収分割承継株式会社に対する当該請求権を行使できない。
残存債権者等の保護規定(第二項〜第七項)
原文解釈横スクロールできます| 項 | 対象 | 要件 | 効果 |
|---|---|---|---|
| 第二項 | 第七百八十九条第一項第二号の規定により異議を述べることができる吸収分割会社の債権者であって、同条第二項の各別の催告を受けなかったもの(同条第三項に規定する場合にあっては、不法行為によって生じた債務の債権者に限る。) | 吸収分割契約において吸収分割後に吸収分割会社に対して債務の履行を請求することができないものとされているとき | 吸収分割会社に対し、吸収分割会社が効力発生日に有していた財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる |
| 第三項 | 第七百八十九条第一項第二号の規定により異議を述べることができる吸収分割会社の債権者であって、同条第二項の各別の催告を受けなかったもの | 吸収分割契約において吸収分割後に吸収分割承継株式会社に対して債務の履行を請求することができないものとされているとき | 吸収分割承継株式会社に対し、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる |
| 第四項 | 残存債権者(吸収分割会社が吸収分割承継株式会社に承継されない債務の債権者) | 吸収分割会社が残存債権者を害することを知って吸収分割をした場合(吸収分割承継株式会社が効力発生時において残存債権者を害することを知らなかったときを除く。) | 吸収分割承継株式会社に対し、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる |
| 第五項 | 残存債権者 | 前条第八号に掲げる事項についての定めがある場合 | 第四項の規定は適用しない |
| 第六項 | 残存債権者 | 吸収分割会社が残存債権者を害することを知って吸収分割をしたことを知った時から二年以内に請求又は請求の予告をしないとき、又は効力発生日から十年を経過したとき | その期間を経過した時に第四項の責任は消滅する |
| 第七項 | 残存債権者 | 吸収分割会社について破産手続開始の決定、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定があったとき | 吸収分割承継株式会社に対して第四項の規定による請求をする権利を行使することができない |
主要な判例
原文ママ裁判所が付した参照法条による機械照合で選定会社法債権仮差押命令を取り消す決定に対する保全抗告審の債権仮差押命令一部認可決定に対する許可抗告事件
- 位置づけ
- 最高裁 / 民集登載
- 事件番号
- 平成29(許)10
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成29年12月19日 棄却
- 登載
- 民集 第71巻10号2592頁
- 参照法条
- 民法1条2項,会社法759条1項,会社法789条1項2号
- 判示事項
- 賃借人が契約当事者を実質的に変更したときは賃貸人は違約金を請求することができるなどの定めのある賃貸借契約において,当該賃借人が吸収分割の後は責任を負わないものとする吸収分割により契約当事者の地位を承継させた場合に,当該賃借人が上記吸収分割がされたことを理由に上記定めに基づく違約金債権に係る債務を負わないと主張することが信義則に反し許されないとされた事例
裁判要旨賃借人Yが契約当事者を実質的に変更したときは賃貸人Xは契約を解除し違約金を請求することができる旨の定めのある建物の賃貸借契約において,Yが吸収分割の後は責任を負わないものとする吸収分割により契約当事者の地位をAに承継させた場合に,次の(1)~(3)など判示の事情の下においては,Yが,上記賃貸借契約を解除したXに対し,上記吸収分割がされたことを理由に上記定めに基づく違約金債権に係る債務を負わないと主張することは,信義則に反して許されず,Xは,上記吸収分割の後も,Yに対して同債務の履行を請求することができる。
(1) Xは長期にわたってYに上記建物を賃貸しその賃料によって上記建物の建築費用を回収することを予定していたと解され,Xが上記定めを設けたのは賃借人の変更による不利益を回避することを意図していたものといえ,YもXの上記のような意図を理解した上で上記賃貸借契約を締結したものといえる。
(2) Aは,上記吸収分割の前の資本金が100万円であって,上記吸収分割によって上記違約金債権の額を大幅に下回る額の資産しかYから承継しておらず,同債権に係る債務の支払能力を欠くことが明らかである。
(3) Xは,上記違約金債権を有しているとして,Yに対し,上記吸収分割について会社法789条1項2号の規定による異議を述べることができたとは解されない。
(1) Xは長期にわたってYに上記建物を賃貸しその賃料によって上記建物の建築費用を回収することを予定していたと解され,Xが上記定めを設けたのは賃借人の変更による不利益を回避することを意図していたものといえ,YもXの上記のような意図を理解した上で上記賃貸借契約を締結したものといえる。
(2) Aは,上記吸収分割の前の資本金が100万円であって,上記吸収分割によって上記違約金債権の額を大幅に下回る額の資産しかYから承継しておらず,同債権に係る債務の支払能力を欠くことが明らかである。
(3) Xは,上記違約金債権を有しているとして,Yに対し,上記吸収分割について会社法789条1項2号の規定による異議を述べることができたとは解されない。
実務注記
原文解釈- 残存債権者保護規定(第四項)の不適用前条第八号に掲げる事項についての定めがある場合には、第四項の規定は適用されない。
- 債権者異議手続の未了・吸収分割中止による不適用第七百八十九条(第一項第三号及び第二項第三号を除き、第七百九十三条第二項において準用する場合を含む。)若しくは第七百九十九条の規定による手続が終了していない場合、又は吸収分割を中止した場合には、前各項の規定は適用されない。
- 吸収分割承継株式会社の善意による免責残存債権者による請求(第四項)は、吸収分割承継株式会社が吸収分割の効力が生じた時において残存債権者を害することを知らなかったときは、適用されない。
- 残存債権者の請求権の期間制限第四項の責任は、吸収分割会社が残存債権者を害することを知って吸収分割をしたことを知った時から二年以内に請求又は請求の予告をしない残存債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅し、効力発生日から十年を経過したときも同様に消滅する。
- 倒産手続開始後の請求権行使制限吸収分割会社について破産手続開始の決定、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定があったときは、残存債権者は吸収分割承継株式会社に対して第四項の規定による請求をする権利を行使することができない。
条文原文
原文ママ会社法 第759条(株式会社に権利義務を承継させる吸収分割の効力の発生等)
(株式会社に権利義務を承継させる吸収分割の効力の発生等)
第七百五十九条吸収分割承継株式会社は、効力発生日に、吸収分割契約の定めに従い、吸収分割会社の権利義務を承継する。
2前項の規定にかかわらず、第七百八十九条第一項第二号(第七百九十三条第二項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定により異議を述べることができる吸収分割会社の債権者であって、第七百八十九条第二項(第三号を除き、第七百九十三条第二項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の各別の催告を受けなかったもの(第七百八十九条第三項(第七百九十三条第二項において準用する場合を含む。)に規定する場合にあっては、不法行為によって生じた債務の債権者であるものに限る。次項において同じ。)は、吸収分割契約において吸収分割後に吸収分割会社に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、吸収分割会社に対して、吸収分割会社が効力発生日に有していた財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。
3第一項の規定にかかわらず、第七百八十九条第一項第二号の規定により異議を述べることができる吸収分割会社の債権者であって、同条第二項の各別の催告を受けなかったものは、吸収分割契約において吸収分割後に吸収分割承継株式会社に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、吸収分割承継株式会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。
4第一項の規定にかかわらず、吸収分割会社が吸収分割承継株式会社に承継されない債務の債権者(以下この条において「残存債権者」という。)を害することを知って吸収分割をした場合には、残存債権者は、吸収分割承継株式会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。ただし、吸収分割承継株式会社が吸収分割の効力が生じた時において残存債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
5前項の規定は、前条第八号に掲げる事項についての定めがある場合には、適用しない。
6吸収分割承継株式会社が第四項の規定により同項の債務を履行する責任を負う場合には、当該責任は、吸収分割会社が残存債権者を害することを知って吸収分割をしたことを知った時から二年以内に請求又は請求の予告をしない残存債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。効力発生日から十年を経過したときも、同様とする。
7吸収分割会社について破産手続開始の決定、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定があったときは、残存債権者は、吸収分割承継株式会社に対して第四項の規定による請求をする権利を行使することができない。
8次の各号に掲げる場合には、吸収分割会社は、効力発生日に、吸収分割契約の定めに従い、当該各号に定める者となる。
一前条第四号イに掲げる事項についての定めがある場合同号イの株式の株主
二前条第四号ロに掲げる事項についての定めがある場合同号ロの社債の社債権者
三前条第四号ハに掲げる事項についての定めがある場合同号ハの新株予約権の新株予約権者
四前条第四号ニに掲げる事項についての定めがある場合同号ニの新株予約権付社債についての社債の社債権者及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権の新株予約権者
9前条第五号に規定する場合には、効力発生日に、吸収分割契約新株予約権は、消滅し、当該吸収分割契約新株予約権の新株予約権者は、同条第六号に掲げる事項についての定めに従い、同条第五号ロの吸収分割承継株式会社の新株予約権の新株予約権者となる。
10前各項の規定は、第七百八十九条(第一項第三号及び第二項第三号を除き、第七百九十三条第二項において準用する場合を含む。)若しくは第七百九十九条の規定による手続が終了していない場合又は吸収分割を中止した場合には、適用しない。
一次情報
- 条文e-Gov法令検索 会社法 第759条
- 判例裁判所ウェブサイト 裁判例検索
- 注記法令は改正されます。実務判断の際は上記リンクで最新の条文を再確認してください。