会社法 平成十七年法律第八十六号 現行施行 2026-08-12 条文取得 2026-09-05

第785条反対株主の株式買取請求

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この条文が出てくる場面

原文整理テーマ別まとめ
組織再編と反対株主の買取請求ステップ 1 / 3 誰が請求できるか反対の通知と議決権の行使吸収合併消滅会社、吸収分割会社及び株式交換完全子会社の手続/株式会社の手続ステップ 1 / 1 株式会社の手続株式会社の手続について、条文は何を定めているか。

概要

原文解釈
  • 吸収合併等をする場合(第783条第2項又は第784条第2項に規定する場合を除く)、反対株主は消滅株式会社等に対し自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
  • 反対株主とは、株主総会(種類株主総会を含む)の決議を要する場合は事前に反対通知をして総会で反対した株主(議決権行使可能な者)又は議決権を行使できない株主を、決議を要しない場合は全ての株主(特別支配会社を除く)をいう。
  • 消滅株式会社等は効力発生日の20日前までに吸収合併等をする旨並びに存続会社等の商号及び住所を通知しなければならないが、公開会社である場合等は公告に代えることができる。
  • 株式買取請求は効力発生日の20日前の日から前日までの間に株式の数(種類株式発行会社にあっては種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならず、株券発行株式については株券の提出を要する。
  • 株式買取請求は消滅株式会社等の承諾を得た場合に限り撤回でき、吸収合併等を中止したときはその効力を失い、第133条の規定は適用されない。

反対株主の株式買取請求 要件一覧

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区分内容根拠項号
反対株主(総会決議を要する場合)イ当該株主総会に先立って当該吸収合併等に反対する旨を消滅株式会社等に通知し、かつ当該株主総会において反対した株主(議決権を行使することができるものに限る)第2項第1号イ
反対株主(総会決議を要する場合)ロ当該株主総会において議決権を行使することができない株主第2項第1号ロ
反対株主(総会決議を要しない場合)全ての株主(第784条第1項本文に規定する場合における当該特別支配会社を除く)第2項第2号
買取請求の対象外第783条第2項に規定する場合、第784条第2項に規定する場合第1項各号
通知の期限・内容効力発生日の20日前までに、吸収合併等をする旨並びに存続会社等の商号及び住所を通知第3項
通知の公告代替消滅株式会社等が公開会社である場合、又は第783条第1項の株主総会決議によって承認を受けた場合第4項
買取請求の期間・明示事項効力発生日の20日前の日から効力発生日の前日までの間に、株式買取請求に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにして請求第5項
株券の提出株券が発行されている株式について請求するときは株券を提出(第223条の規定による請求をした者を除く)第6項
撤回消滅株式会社等の承諾を得た場合に限り撤回することができる第7項
中止の効果吸収合併等を中止したときは、株式買取請求はその効力を失う第8項
適用除外第133条の規定は、株式買取請求に係る株式については適用しない第9項

主要な判例

原文ママ裁判所が付した参照法条による機械照合で選定
会社法株式買取価格決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
位置づけ
最高裁 / 民集登載
事件番号
平成26(許)39
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成27年3月26日 破棄自判
登載
民集 第69巻2号365頁
参照法条
会社法785条1項,会社法786条2項
判示事項
非上場会社において会社法785条1項に基づく株式買取請求がされ,裁判所が収益還元法を用いて株式の買取価格を決定する場合に,非流動性ディスカウント(当該会社の株式には市場性がないことを理由とする減価)を行うことの可否
裁判要旨非上場会社において会社法785条1項に基づく株式買取請求がされ,裁判所が収益還元法を用いて株式の買取価格を決定する場合に,非流動性ディスカウント(当該会社の株式には市場性がないことを理由とする減価)を行うことはできない。
会社法株式買取価格決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
位置づけ
最高裁 / 民集登載
事件番号
平成22(許)30
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成23年4月19日 棄却
登載
民集 第65巻3号1311頁
参照法条
(1,2につき)会社法785条1項,会社法786条2項
判示事項
1 吸収合併等によりシナジーその他の企業価値の増加が生じない場合に消滅株式会社等の反対株主がした株式買取請求に係る「公正な価格」の意義 2 株式買取請求がされた日における吸収合併契約等を承認する旨の株主総会の決議がされることがなければその株式が有したであろう価格を算定するに当たって参照すべき市場株価として,同日における市場株価やこれに近接する一定期間の市場株価の平均値を用いることが,裁判所の裁量の範囲内にあるとされる場合
裁判要旨1 会社法782条1項所定の吸収合併等によりシナジー(組織再編による相乗効果)その他の企業価値の増加が生じない場合に,同項所定の消滅株式会社等の反対株主がした株式買取請求に係る「公正な価格」は,原則として,当該株式買取請求がされた日における,吸収合併契約等を承認する旨の株主総会の決議がされることがなければその株式が有したであろう価格をいう。
2 会社法782条1項所定の吸収合併等により企業価値が増加も毀損もしないため,当該吸収合併等が同項所定の消滅株式会社等の株式の価値に変動をもたらすものではなかった場合には,株式買取請求がされた日における吸収合併契約等を承認する旨の株主総会の決議がされることがなければその株式が有したであろう価格を算定するに当たって参照すべき市場株価として,同日における市場株価やこれに近接する一定期間の市場株価の平均値を用いることは,当該事案の事情を踏まえた裁判所の合理的な裁量の範囲内にある。
(1につき,補足意見及び意見がある。)
会社法株式買取価格決定申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
位置づけ
最高裁 / 民集登載
事件番号
令和4(許)11
裁判
最高裁判所第一小法廷 令和5年10月26日 破棄自判
登載
民集 第77巻7号1860頁
参照法条
会社法785条2項1号イ
判示事項
吸収合併消滅株式会社の株主が吸収合併をするための株主総会に先立って上記会社に対して委任状を送付したことが会社法785条2項1号イにいう吸収合併等に反対する旨の通知に当たるとされた事例
裁判要旨吸収合併消滅株式会社の株主が吸収合併をするための株主総会に先立って当該吸収合併に反対する旨の議決権の代理行使を第三者に委任することを内容とする委任状を上記会社に送付した場合において、次の⑴及び⑵の事実関係の下では、上記株主が上記会社に対して上記委任状を送付したことは、会社法785条2項1号イにいう、吸収合併等をするための株主総会に先立って消滅株式会社等に対してされる当該吸収合併等に反対する旨の通知に当たる。
⑴ 上記吸収合併消滅株式会社は、上記株主に対し、宛先を自社とし、「賛」又は「否」のいずれかに〇印を付けて吸収合併契約の承認に係る議案に対する賛否を記載する欄を設けた委任状用紙を送付して、議決権の代理行使を勧誘した。
⑵ 上記株主は、上記勧誘に応じて、上記欄の「否」に〇印を付けて上記委任状を作成し、これを上記吸収合併消滅株式会社に対して返送した。

実務注記

原文解釈
  1. 買取請求の対象外事由の確認第783条第2項に規定する場合又は第784条第2項に規定する場合は、そもそも株式買取請求の対象とならない。
  2. 反対株主の該当性の確認株主総会(種類株主総会を含む)の決議を要する場合は、事前反対通知及び総会での反対(議決権行使可能な株主)、又は議決権を行使できない株主であることが必要。決議を要しない場合は特別支配会社を除く全株主が対象。
  3. 通知・公告の期限効力発生日の20日前までに吸収合併等をする旨並びに存続会社等の商号及び住所を通知する必要があり、消滅株式会社等が公開会社である場合又は第783条第1項の株主総会決議による承認を受けた場合は公告に代えることができる。
  4. 請求期間と明示事項の遵守株式買取請求は効力発生日の20日前の日から前日までの間に、株式の数(種類株式発行会社は種類及び種類ごとの数)を明らかにして行う必要がある。
  5. 株券提出・撤回・中止時の取扱い株券発行株式は株券の提出を要する(第223条の請求をした者を除く)。撤回は消滅株式会社等の承諾がある場合に限られ、吸収合併等を中止したときは請求は効力を失う。

条文原文

原文ママ
会社法 第785条(反対株主の株式買取請求)
(反対株主の株式買取請求)
第七百八十五条吸収合併等をする場合(次に掲げる場合を除く。)には、反対株主は、消滅株式会社等に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
一第七百八十三条第二項に規定する場合
二第七百八十四条第二項に規定する場合
2前項に規定する「反対株主」とは、次の各号に掲げる場合における当該各号に定める株主(第七百八十三条第四項に規定する場合における同項に規定する持分等の割当てを受ける株主を除く。)をいう。
一吸収合併等をするために株主総会(種類株主総会を含む。)の決議を要する場合次に掲げる株主
イ当該株主総会に先立って当該吸収合併等に反対する旨を当該消滅株式会社等に対し通知し、かつ、当該株主総会において当該吸収合併等に反対した株主(当該株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)
ロ当該株主総会において議決権を行使することができない株主
二前号に規定する場合以外の場合全ての株主(第七百八十四条第一項本文に規定する場合における当該特別支配会社を除く。)
3消滅株式会社等は、効力発生日の二十日前までに、その株主(第七百八十三条第四項に規定する場合における同項に規定する持分等の割当てを受ける株主及び第七百八十四条第一項本文に規定する場合における当該特別支配会社を除く。)に対し、吸収合併等をする旨並びに存続会社等の商号及び住所を通知しなければならない。ただし、第一項各号に掲げる場合は、この限りでない。
4次に掲げる場合には、前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
一消滅株式会社等が公開会社である場合
二消滅株式会社等が第七百八十三条第一項の株主総会の決議によって吸収合併契約等の承認を受けた場合
5第一項の規定による請求(以下この目において「株式買取請求」という。)は、効力発生日の二十日前の日から効力発生日の前日までの間に、その株式買取請求に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。
6株券が発行されている株式について株式買取請求をしようとするときは、当該株式の株主は、消滅株式会社等に対し、当該株式に係る株券を提出しなければならない。ただし、当該株券について第二百二十三条の規定による請求をした者については、この限りでない。
7株式買取請求をした株主は、消滅株式会社等の承諾を得た場合に限り、その株式買取請求を撤回することができる。
8吸収合併等を中止したときは、株式買取請求は、その効力を失う。
9第百三十三条の規定は、株式買取請求に係る株式については、適用しない。

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