この条文が出てくる場面
原文整理テーマ別まとめ概要
原文解釈- 取締役の報酬等のうち額が確定しているものの額、確定していないものの算定方法、募集株式・募集新株予約権に関する事項、金銭でないものの内容等は、定款に定めがなければ株主総会の決議によって定める。
- 監査等委員会設置会社においては、これらの事項を監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とで区別して定めなければならない。
- 監査等委員である各取締役の報酬等について定款の定め又は株主総会の決議がないときは、当該報酬等は定められた報酬等の範囲内において監査等委員である取締役の協議によって定める。
- これらの事項を定め又は改定する議案を株主総会に提出した取締役は、当該株主総会において当該事項を相当とする理由を説明しなければならない。
- 有価証券報告書提出義務のある監査役会設置会社(公開会社かつ大会社)及び監査等委員会設置会社の取締役会は、定款又は株主総会決議による定めがある場合、個人別の報酬等の内容についての決定方針を決定しなければならない。
第1項各号:報酬等の区分ごとに定款又は株主総会決議で定めるべき事項
原文解釈横スクロールできます| 号 | 報酬等の区分 | 定款又は株主総会の決議で定める事項 |
|---|---|---|
| 一 | 額が確定しているもの | その額 |
| 二 | 額が確定していないもの | その具体的な算定方法 |
| 三 | 当該株式会社の募集株式 | 当該募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び種類ごとの数)の上限その他法務省令で定める事項 |
| 四 | 当該株式会社の募集新株予約権 | 当該募集新株予約権の数の上限その他法務省令で定める事項 |
| 五イ | 当該株式会社の募集株式と引換えにする払込みに充てるための金銭 | 取締役が引き受ける当該募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び種類ごとの数)の上限その他法務省令で定める事項 |
| 五ロ | 当該株式会社の募集新株予約権と引換えにする払込みに充てるための金銭 | 取締役が引き受ける当該募集新株予約権の数の上限その他法務省令で定める事項 |
| 六 | 金銭でないもの(当該株式会社の募集株式及び募集新株予約権を除く) | その具体的な内容 |
主要な判例
原文ママ裁判所が付した参照法条による機械照合で選定会社法退職慰労金等請求事件
- 位置づけ
- 最高裁 / 民集登載
- 事件番号
- 令和4(受)1780
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 令和6年7月8日 破棄自判
- 登載
- 民集 第78巻3号839頁
- 参照法条
- 会社法361条1項1号
- 判示事項
- 退任取締役の退職慰労金について内規に従って決定することを取締役会に一任する旨の株主総会決議がされた場合に、上記退任取締役に対し上記内規の定める基準額から減額した退職慰労金を支給する旨の取締役会決議に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえないとされた事例
裁判要旨退任取締役の退職慰労金につき、退任時の報酬月額等により一義的に定まる額を基準とするが、退任取締役のうち在任中特に重大な損害を与えたものに対しこの基準額を減額することができること等を定める内規が存在する株式会社の株主総会において、取締役を退任する者の退職慰労金について、上記内規に従って決定することを取締役会に一任する旨の決議がされた場合に、次の⑴~⑷など判示の事情の下では、上記会社の取締役会がした、上記の者に対し、同人の退職慰労金に係る基準額として算出した3億7720万円から減額した額である5700万円の退職慰労金を支給する旨の決議に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるということはできない。
⑴ 上記取締役会は、上記の者が、代表取締役在任中に、①長期間にわたって上記会社から社内規程所定の上限額を超過する額の宿泊費等を受領し、このことが発覚した後には、いったん負担した当該超過分に係る源泉徴収税相当額を上記会社に転嫁するとともに、社内規程に違反する宿泊費等の支給を実質的に永続化する目的で自らの報酬を増額したこと、②複数年度にわたり、交際費として従前の支出額を大幅に超過する額を上記会社に支出させるなどしたこと等を考慮して上記決議をした。
⑵ 上記の者と利害関係のない弁護士等で構成された調査委員会による調査等の結果をとりまとめた調査報告書では、上記①の行為は特別背任罪に該当する疑いがあり、上記②の行為も正当化することができず、上記の者はこれらの行為により上記会社に多大な損害を与えたとの指摘がされた。
⑶ 上記決議は上記調査報告書の内容を踏まえたものであったところ、上記調査委員会が調査等に当たって収集した情報に不足があったことはうかがわれない。
⑷ 上記取締役会は、上記①の行為につき告訴をして退職慰労金を支給しないとする上記調査委員会から提示された案も検討したが、審議の結果、告訴をせずに退職慰労金を大幅に減額する旨の判断に至った。
⑴ 上記取締役会は、上記の者が、代表取締役在任中に、①長期間にわたって上記会社から社内規程所定の上限額を超過する額の宿泊費等を受領し、このことが発覚した後には、いったん負担した当該超過分に係る源泉徴収税相当額を上記会社に転嫁するとともに、社内規程に違反する宿泊費等の支給を実質的に永続化する目的で自らの報酬を増額したこと、②複数年度にわたり、交際費として従前の支出額を大幅に超過する額を上記会社に支出させるなどしたこと等を考慮して上記決議をした。
⑵ 上記の者と利害関係のない弁護士等で構成された調査委員会による調査等の結果をとりまとめた調査報告書では、上記①の行為は特別背任罪に該当する疑いがあり、上記②の行為も正当化することができず、上記の者はこれらの行為により上記会社に多大な損害を与えたとの指摘がされた。
⑶ 上記決議は上記調査報告書の内容を踏まえたものであったところ、上記調査委員会が調査等に当たって収集した情報に不足があったことはうかがわれない。
⑷ 上記取締役会は、上記①の行為につき告訴をして退職慰労金を支給しないとする上記調査委員会から提示された案も検討したが、審議の結果、告訴をせずに退職慰労金を大幅に減額する旨の判断に至った。
会社法退職慰労金等請求事件
- 位置づけ
- 最高裁 / 裁判集登載
- 事件番号
- 平成21(受)1154
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成22年3月16日 破棄差戻
- 登載
- 集民 第233号217頁
- 参照法条
- 会社法361条1項
- 判示事項
- 株主総会の決議を経て内規に従い支給されることとなった会社法361条1項にいう取締役の報酬等に当たる退職慰労年金につき,集団的,画一的な処理が制度上要請されているという理由のみから,内規の廃止により未支給の退職慰労年金債権を失わせることの可否
裁判要旨株主総会の決議を経て,役員に対する退職慰労金の算定基準等を定める会社の内規に従い支給されることとなった会社法361条1項にいう取締役の報酬等に当たる退職慰労年金について,退任取締役相互間の公平を図るため集団的,画一的な処理が制度上要請されているという理由のみから,上記内規の廃止の効力を既に退任した取締役に及ぼし,その同意なく未支給の退職慰労年金債権を失わせることはできない。
会社法損害賠償等請求事件
- 位置づけ
- 最高裁 / 裁判集登載
- 事件番号
- 平成21(受)233
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成21年12月18日 破棄差戻
- 登載
- 集民 第232号803頁
- 参照法条
- 民法1条2項,民法1条3項,商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)269条,会社法361条
- 判示事項
- 株式会社が株主総会の決議等を経ることなく退任取締役に支給された退職慰労金相当額の金員につき不当利得返還請求をすることが信義則に反せず権利の濫用に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例
裁判要旨株式会社が退任取締役に対し株主総会の決議等を経ることなく支給された退職慰労金相当額の金員につき不当利得返還請求をする場合において,(1)当該会社では発行済株式総数の99%以上を保有する代表者が内規に基づく退職慰労金の支給を決裁することにより株主総会の決議に代えてきた,(2)退任取締役が上記内規に基づく退職慰労金の支給を催告したところその約10日後に上記金員の送金がされ,これにつき代表者の決裁はなかったものの,当該会社が退任取締役に対しその返還を明確に求めたのは送金後1年近く経過してからであったなど判示の事実関係の下においては,代表者が上記送金をその直後に認識していた事実や退任取締役が従前退職慰労金を支給された退任取締役と同等以上の業績を上げてきた事実の有無等につき審理判断することなく,当該会社による上記請求は信義則に反せず,権利の濫用に当たらないとした原審の判断には,違法がある。
(反対意見がある。)
(反対意見がある。)
実務注記
原文解釈- 定款の定めがないときのみ株主総会決議が必要第1項各号の事項は、定款に当該事項を定めていないときに株主総会の決議によって定める。定款に定めがある場合はこの限りでない。
- 監査等委員会設置会社は取締役の区分ごとに事項を定める監査等委員会設置会社では、第1項各号に掲げる事項を、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別して定めなければならない。
- 監査等委員である取締役の個人別報酬は協議で決定監査等委員である各取締役の報酬等について定款の定め又は株主総会の決議がないときは、当該報酬等は第1項の報酬等の範囲内において監査等委員である取締役の協議によって定める。
- 議案提出取締役の説明義務第1項各号の事項を定め又は改定する議案を株主総会に提出した取締役は、当該株主総会において当該事項を相当とする理由を説明しなければならない。
- 個人別報酬等の決定方針の決定義務(該当会社のみ)有価証券報告書提出義務のある監査役会設置会社(公開会社かつ大会社)又は監査等委員会設置会社の取締役会は、定款又は株主総会決議による第1項各号の定めがある場合に決定方針を決定する義務を負うが、個人別の報酬等の内容が定款又は株主総会の決議により定められているときはこの限りでない。
条文原文
原文ママ会社法 第361条(取締役の報酬等)
(取締役の報酬等)
第三百六十一条取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(以下この章において「報酬等」という。)についての次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。
一報酬等のうち額が確定しているものについては、その額
二報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法
三報酬等のうち当該株式会社の募集株式(第百九十九条第一項に規定する募集株式をいう。以下この項及び第四百九条第三項において同じ。)については、当該募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び種類ごとの数)の上限その他法務省令で定める事項
四報酬等のうち当該株式会社の募集新株予約権(第二百三十八条第一項に規定する募集新株予約権をいう。以下この項及び第四百九条第三項において同じ。)については、当該募集新株予約権の数の上限その他法務省令で定める事項
五報酬等のうち次のイ又はロに掲げるものと引換えにする払込みに充てるための金銭については、当該イ又はロに定める事項
イ当該株式会社の募集株式取締役が引き受ける当該募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び種類ごとの数)の上限その他法務省令で定める事項
ロ当該株式会社の募集新株予約権取締役が引き受ける当該募集新株予約権の数の上限その他法務省令で定める事項
六報酬等のうち金銭でないもの(当該株式会社の募集株式及び募集新株予約権を除く。)については、その具体的な内容
2監査等委員会設置会社においては、前項各号に掲げる事項は、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別して定めなければならない。
3監査等委員である各取締役の報酬等について定款の定め又は株主総会の決議がないときは、当該報酬等は、第一項の報酬等の範囲内において、監査等委員である取締役の協議によって定める。
4第一項各号に掲げる事項を定め、又はこれを改定する議案を株主総会に提出した取締役は、当該株主総会において、当該事項を相当とする理由を説明しなければならない。
5監査等委員である取締役は、株主総会において、監査等委員である取締役の報酬等について意見を述べることができる。
6監査等委員会が選定する監査等委員は、株主総会において、監査等委員である取締役以外の取締役の報酬等について監査等委員会の意見を述べることができる。
7次に掲げる株式会社の取締役会は、取締役(監査等委員である取締役を除く。以下この項において同じ。)の報酬等の内容として定款又は株主総会の決議による第一項各号に掲げる事項についての定めがある場合には、当該定めに基づく取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針として法務省令で定める事項を決定しなければならない。ただし、取締役の個人別の報酬等の内容が定款又は株主総会の決議により定められているときは、この限りでない。
一監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって、金融商品取引法第二十四条第一項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないもの
二監査等委員会設置会社
一次情報
- 条文e-Gov法令検索 会社法 第361条
- 判例裁判所ウェブサイト 裁判例検索
- 注記法令は改正されます。実務判断の際は上記リンクで最新の条文を再確認してください。