会社法 / テーマ別まとめ

計算書類の作成と監査

決算で何を作り、誰が監査するか。機関設計で監査の範囲が変わる。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

決算期には、貸借対照表・損益計算書などの計算書類、事業報告、およびそれぞれの附属明細書を作成する義務が株式会社にある。誰がこれを監査するかは、監査役設置会社か会計監査人設置会社かといった機関設計によって異なり、取締役会設置会社では監査を終えたあとに取締役会の承認も必要になる。作成した書類は本店・支店に備え置き、株主・債権者からの閲覧請求に応じなければならない。

計算書類等の監査主体は機関設計で異なる
機関設計作成義務計算書類・附属明細書の監査事業報告・附属明細書の監査
監査役設置会社(会計監査人なし)あり(共通)監査役監査役
会計監査人設置会社(監査役会型)あり(共通)監査役+会計監査人監査役のみ
監査等委員会設置会社あり(共通)監査等委員会+会計監査人監査等委員会のみ
指名委員会等設置会社あり(共通)監査委員会+会計監査人監査委員会のみ
  • 取締役会設置会社では、監査を終えた計算書類・事業報告等について取締役会の承認も必要(436条3項)。
  • 会計監査人が監査するのは計算書類とその附属明細書のみで、事業報告とその附属明細書は対象外(436条2項)。
  • 成立の日における貸借対照表の作成義務は、毎期の計算書類とは別に定められている(435条1項)。
  • 計算書類及びその附属明細書は作成時から10年間保存する義務がある(435条4項)。
  • 計算書類・事業報告・附属明細書は電磁的記録での作成も認められる(435条3項)。
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何を作るか

計算書類・事業報告・附属明細書

第435条計算書類等の作成及び保存計算書類等は毎年作成し10年保存する4項判例なし
  • 成立の日の貸借対照表も作成が必要
  • 計算書類・事業報告・附属明細書を毎事業年度作成
  • 電磁的記録での作成も可、作成時から10年間保存
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第436条計算書類等の監査等監査の主体は機関設計で変わる3項・2号判例 1件
  • 監査役設置会社(会計監査人なし)は監査役が監査
  • 会計監査人設置会社は計算書類等を監査役等と会計監査人が監査
  • 取締役会設置会社は監査後に取締役会の承認が必要
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2

誰が監査するか

監査役・会計監査人の分担

第436条計算書類等の監査等監査の主体は機関設計で変わる3項・2号判例 1件
  • 監査役設置会社(会計監査人なし)は監査役が監査
  • 会計監査人設置会社は計算書類等を監査役等と会計監査人が監査
  • 取締役会設置会社は監査後に取締役会の承認が必要
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第396条会計監査人の権限等会計監査人は計算書類と附属明細書を監査6項・5号判例なし
  • 会計帳簿の閲覧・謄写や会計に関する報告請求がいつでも可能
  • 子会社にも報告や調査を求められる(正当理由があれば拒否可)
  • 取締役等との兼任者や継続的報酬を受ける者は監査人にできない
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3

いつまで備え置くか

本店5年・支店3年

第442条計算書類等の備置き及び閲覧等計算書類等は本店・支店に備え置き閲覧に応じる4項・8号判例なし
  • 本店備置は総会1週間前(取締役会設置は2週間前)から5年間
  • 支店には写しを3年間備置(電磁的記録なら省略できる場合あり)
  • 株主・債権者は営業時間内いつでも閲覧等を請求できる
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第436条会社法

監査の範囲が会計に関するものに限定されている監査役は,計算書類及びその附属明細書の監査を行うに当たり,当該計算書類等に表示された情報が会計帳簿の内容に合致していることを確認しさえすれば,その任務を尽くしたといえるか

裁判要旨監査の範囲が会計に関するものに限定されている監査役は,計算書類及びその附属明細書の監査を行うに当たり,会計帳簿が信頼性を欠くものであることが明らかでない場合であっても,当該計算書類等に表示された情報が会計帳簿の内容に合致していることを確認しさえすれば,常にその任務を尽くしたといえるものではない。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 令和3年7月19日 令和1(受)1968
登載
集民 第266号157頁
参照法条
会社法389条1項,会社法389条2項,会社法423条1項,会社法436条1項,会社計算規則121条2項,会社計算規則122条1項2号,会社計算規則(平成21年法務省令第7号による改正前のもの)149条2項,会社計算規則(平成21年法務省令第7号による改正前のもの)150条1項2号
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

会社法 第435条(計算書類等の作成及び保存) 詳細ページ
(計算書類等の作成及び保存)
第四百三十五条株式会社は、法務省令で定めるところにより、その成立の日における貸借対照表を作成しなければならない。
2株式会社は、法務省令で定めるところにより、各事業年度に係る計算書類(貸借対照表、損益計算書その他株式会社の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして法務省令で定めるものをいう。以下この章において同じ。)及び事業報告並びにこれらの附属明細書を作成しなければならない。
3計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書は、電磁的記録をもって作成することができる。
4株式会社は、計算書類を作成した時から十年間、当該計算書類及びその附属明細書を保存しなければならない。
会社法 第436条(計算書類等の監査等) 詳細ページ
(計算書類等の監査等)
第四百三十六条監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含み、会計監査人設置会社を除く。)においては、前条第二項の計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書は、法務省令で定めるところにより、監査役の監査を受けなければならない。
2会計監査人設置会社においては、次の各号に掲げるものは、法務省令で定めるところにより、当該各号に定める者の監査を受けなければならない。
一前条第二項の計算書類及びその附属明細書監査役(監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)及び会計監査人
二前条第二項の事業報告及びその附属明細書監査役(監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)
3取締役会設置会社においては、前条第二項の計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書(第一項又は前項の規定の適用がある場合にあっては、第一項又は前項の監査を受けたもの)は、取締役会の承認を受けなければならない。
会社法 第396条(会計監査人の権限等) 詳細ページ
(会計監査人の権限等)
第三百九十六条会計監査人は、次章の定めるところにより、株式会社の計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに連結計算書類を監査する。この場合において、会計監査人は、法務省令で定めるところにより、会計監査報告を作成しなければならない。
2会計監査人は、いつでも、次に掲げるものの閲覧及び謄写をし、又は取締役及び会計参与並びに支配人その他の使用人に対し、会計に関する報告を求めることができる。
一会計帳簿又はこれに関する資料が書面をもって作成されているときは、当該書面
二会計帳簿又はこれに関する資料が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したもの
3会計監査人は、その職務を行うため必要があるときは、会計監査人設置会社の子会社に対して会計に関する報告を求め、又は会計監査人設置会社若しくはその子会社の業務及び財産の状況の調査をすることができる。
4前項の子会社は、正当な理由があるときは、同項の報告又は調査を拒むことができる。
5会計監査人は、その職務を行うに当たっては、次のいずれかに該当する者を使用してはならない。
一第三百三十七条第三項第一号又は第二号に掲げる者
二会計監査人設置会社又はその子会社の取締役、会計参与、監査役若しくは執行役又は支配人その他の使用人である者
三会計監査人設置会社又はその子会社から公認会計士又は監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者
6指名委員会等設置会社における第二項の規定の適用については、同項中「取締役」とあるのは、「執行役、取締役」とする。
会社法 第442条(計算書類等の備置き及び閲覧等) 詳細ページ
(計算書類等の備置き及び閲覧等)
第四百四十二条株式会社は、次の各号に掲げるもの(以下この条において「計算書類等」という。)を、当該各号に定める期間、その本店に備え置かなければならない。
一各事業年度に係る計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書(第四百三十六条第一項又は第二項の規定の適用がある場合にあっては、監査報告又は会計監査報告を含む。)定時株主総会の日の一週間(取締役会設置会社にあっては、二週間)前の日(第三百十九条第一項の場合にあっては、同項の提案があった日)から五年間
二臨時計算書類(前条第二項の規定の適用がある場合にあっては、監査報告又は会計監査報告を含む。)臨時計算書類を作成した日から五年間
2株式会社は、次の各号に掲げる計算書類等の写しを、当該各号に定める期間、その支店に備え置かなければならない。ただし、計算書類等が電磁的記録で作成されている場合であって、支店における次項第三号及び第四号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっているときは、この限りでない。
一前項第一号に掲げる計算書類等定時株主総会の日の一週間(取締役会設置会社にあっては、二週間)前の日(第三百十九条第一項の場合にあっては、同項の提案があった日)から三年間
二前項第二号に掲げる計算書類等同号の臨時計算書類を作成した日から三年間
3株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
一計算書類等が書面をもって作成されているときは、当該書面又は当該書面の写しの閲覧の請求
二前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求
三計算書類等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
四前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
4株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該株式会社の計算書類等について前項各号に掲げる請求をすることができる。ただし、同項第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
出

一次情報

原文ママ

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