会社法 / テーマ別まとめ

決議の省略と議事録

全員が書面で同意すれば総会を開かなくてよい。議事録には何を書き、誰が見られるか。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

取締役や株主の提案に、議決権を行使できる株主全員が書面や電磁的記録で同意すれば、実際に総会を開かなくても決議があったとみなされます(319条)。同様に、取締役が株主全員に報告事項を通知し全員が同意すれば、総会への報告も省略できます(320条)。決議省略の同意書面等は10年間本店に備え置き、実際に総会を開いた場合は議事録を10年間本店に、写しを5年間支店に備え置いて、株主・債権者等からの閲覧・謄写請求に応じる必要があります(318条)。

決議の省略・報告の省略・議事録備置きの比較
項目要件保存期間保存場所閲覧できる者
株主総会の決議の省略議決権株主全員が書面等で同意10年間本店株主・債権者、親会社社員(要許可)
株主総会への報告の省略株主全員が報告省略に同意規定なし規定なし規定なし
議事録(本店備置き)作成は必須(全社)10年間本店株主・債権者、親会社社員(要許可)
議事録の写し(支店備置き)電磁的記録なら支店対応で省略可5年間支店株主・債権者、親会社社員(要許可)
  • 決議の省略は、当該事項について議決権を行使できる株主全員の同意が必要です。
  • 定時株主総会の全議案が省略決議の対象になった場合、その時点で定時株主総会は終結したとみなされます。
  • 報告の省略は、取締役が株主全員に報告事項を通知していることが前提です。
  • 支店での議事録備置きは、電磁的記録であり支店でも謄写等請求に応じられる法務省令所定の措置がある場合は省略できます。
  • 親会社社員が閲覧・謄写を請求するには裁判所の許可が必要です。
  • 閲覧・謄写の請求方法は書面か電磁的記録かで異なり、電磁的記録は法務省令で定める方法により表示したものが対象です。
1

開かずに決める

全員の同意によるみなし決議

第319条株主総会の決議の省略全員が書面等で同意すれば決議省略5項・2号判例なし
  • 議決権を持つ株主全員が書面等で同意すれば総会決議があったとみなされる
  • 同意書面等は決議とみなされた日から10年間、本店に備え置く
  • 定時総会の全議案が対象なら、その時点で定時総会は終結したとみなされる
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2

報告も省く

報告があったものとみなす場合

第320条株主総会への報告の省略全員の同意で総会への報告を省略できる1項判例なし
  • 取締役が株主全員に報告事項を通知することが前提
  • 通知内容を総会で報告しなくてよいと全員が同意すれば報告があったとみなされる
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3

議事録を残す

記載事項・10年の備置き・閲覧

第318条議事録総会議事録の作成・備置き・閲覧の定め5項・2号判例 1件
  • 総会議事録は法務省令で定める方法により作成しなければならない
  • 議事録は総会の日から10年間本店に、写しは5年間支店に備え置く
  • 株主・債権者は閲覧・謄写を請求でき、親会社社員は裁判所許可で請求できる
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第318条会社法

会社法182条の4第1項〈反対株主の株式買取請求〉に基づき株式の買取請求をした者が同法182条の5第5項に基づく支払を受けた場合における上記の者の同法318条4項にいう「債権者」該当性

裁判要旨会社法182条の4第1項〈反対株主の株式買取請求〉に基づき株式の買取請求をした者は,同法182条の5第5項〈株式の価格の決定等〉に基づく支払を受けた場合であっても,上記株式の価格につき会社との協議が調い又はその決定に係る裁判が確定するまでは,同法318条4項〈議事録〉にいう「債権者」に当たる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 令和3年7月5日 令和1(受)2052
登載
民集 第75巻7号3392頁
参照法条
会社法182条の4第1項,会社法182条の5第5項,会社法318条4項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

会社法 第319条(株主総会の決議の省略) 詳細ページ
(株主総会の決議の省略)
第三百十九条取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主(当該事項について議決権を行使することができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。
2株式会社は、前項の規定により株主総会の決議があったものとみなされた日から十年間、同項の書面又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
3株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
一前項の書面の閲覧又は謄写の請求
二前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
4株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第二項の書面又は電磁的記録について前項各号に掲げる請求をすることができる。
5第一項の規定により定時株主総会の目的である事項のすべてについての提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなされた場合には、その時に当該定時株主総会が終結したものとみなす。
会社法 第320条(株主総会への報告の省略) 詳細ページ
(株主総会への報告の省略)
第三百二十条取締役が株主の全員に対して株主総会に報告すべき事項を通知した場合において、当該事項を株主総会に報告することを要しないことにつき株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該事項の株主総会への報告があったものとみなす。
会社法 第318条(議事録) 詳細ページ
(議事録)
第三百十八条株主総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。
2株式会社は、株主総会の日から十年間、前項の議事録をその本店に備え置かなければならない。
3株式会社は、株主総会の日から五年間、第一項の議事録の写しをその支店に備え置かなければならない。ただし、当該議事録が電磁的記録をもって作成されている場合であって、支店における次項第二号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっているときは、この限りでない。
4株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
一第一項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面又は当該書面の写しの閲覧又は謄写の請求
二第一項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
5株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第一項の議事録について前項各号に掲げる請求をすることができる。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。