会社法 / テーマ別まとめ

株主名簿と名義書換

株主名簿に何を書き、いつ書き換え、会社にどう対抗するか。閲覧を拒める場合まで。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

株主名簿は、会社が株主の氏名・住所や保有株式数などを管理するための帳簿で、本店(株主名簿管理人がいる場合はその営業所)に備え置かれる。株式を譲り受けた者は、株主名簿への記載・記録(名義書換)を済ませなければ、会社その他の第三者に対して自分が株主であることを対抗できない。株主・債権者は営業時間内いつでも株主名簿の閲覧謄写を請求できるが、会社は決められた事由に該当する場合に限り、これを拒むことができる。

株主名簿の記載事項・名義書換要件・閲覧謄写の拒否事由
区分内容
記載事項氏名・名称と住所
記載事項保有株式数(種類ごとの数)
記載事項株式取得日
記載事項株券番号(株券発行会社のみ)
名義書換要件取得者の氏名・住所を記載
名義書換要件原則、名簿上の株主等と共同請求
拒否事由権利の確保・行使の調査以外が目的
拒否事由業務妨害・共同利益を害する目的
拒否事由利益を得て第三者に通報する目的
拒否事由過去2年以内に通報歴がある
  • 閲覧謄写請求は、株主・債権者いずれも請求理由を明らかにする必要がある
  • 親会社社員も裁判所の許可を得て同様の請求ができるが、拒否事由があれば許可されない
  • 名義書換前は会社その他の第三者に対抗できない(株券発行会社では対抗の相手は会社のみ)
  • 名義書換の共同請求は、利害関係人の利益を害するおそれがない場合(法務省令で定める場合)は不要
  • 会社からの通知は名簿記載の住所(別途届出があればその場所・連絡先)宛てで足り、通常到達すべき時に到達したものとみなす
  • 株式が共有の場合、共有者は通知を受け取る者を1人定めて会社に通知する必要がある
1

名簿に何を書くか

記載事項と備置き

第121条株主名簿株主名簿に記載・記録すべき事項を定める1項・4号判例なし
  • 氏名(名称)・住所と保有株式数を記載する
  • 株式の取得日も記載事項に含まれる
  • 株券発行会社は株券番号も記載する
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第125条株主名簿の備置き及び閲覧等本店に備置き、閲覧謄写は原則拒めない5項・6号判例なし
  • 株主名簿管理人がいれば、その営業所に備え置く
  • 株主・債権者は営業時間内いつでも閲覧謄写を請求できる(理由明示要)
  • 拒否できるのは定められた事由がある場合のみ
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2

名義を書き換える

共同請求の原則と例外

第130条株式の譲渡の対抗要件名義書換をしないと会社等に対抗できない2項旧商法 6件
  • 取得者の氏名・住所を株主名簿に記載・記録して初めて対抗できる
  • 株券発行会社では対抗の相手は会社のみに限られる
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第133条株主の請求による株主名簿記載事項の記載又は記録株式取得者は名義書換を会社に請求できる2項旧商法 6件
  • 発行会社以外から株式を取得した者が対象
  • 原則、名簿上の株主等と共同で請求する必要がある
  • 利害関係人の利益を害しない場合(省令所定)は単独請求も可
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3

株主への通知

名簿上の住所への通知

第126条株主に対する通知等会社の通知は名簿記載の住所に送れば足りる5項判例なし
  • 通常到達すべき時に到達したものとみなされる
  • 別途届出があれば、その場所・連絡先に送付する
  • 株式共有の場合は受領者を1人定めて会社に通知する
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第130条旧商法下の裁判例

商法(昭和五六年法律第七四号による改正前のもの)三五〇条一項の株券提出期間の経過前に株式を譲り受けた者が右期間経過後にする名義書換請求

裁判要旨定款を変更して株式譲渡制限の定めを設けるとの決議があつた場合において、商法(昭和五六年法律第七四号による改正前のもの)三五〇条一項の株券提出期間の経過前に株式を譲り受けた者は、右期間の経過後であつても、会社に対し、旧株券を呈示し、右期間経過前に株式を譲り受けたことを証明して、名義書換を請求することができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和60年3月7日 昭和57(オ)1383
登載
民集 第39巻2号107頁
参照法条
商法206条1項,商法(昭和56年法律第74号による改正前のもの)350条1項
論点2第130条旧商法下の裁判例

親株の取戻権者の破産管財人に対する配当金および子株の返還請求の許否

裁判要旨株式の取戻権者が株券引渡の訴を提起した後に右株式につき生じた配当金および右株式につき株主に割り当てられた新株を破産管財人において取得した場合には、右取戻権者は、破産管財人に対し不当利得に基づく財団債権として右配当金および新株の返還を請求することができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年12月12日 昭和39(オ)496
登載
民集 第22巻13号2943頁
参照法条
破産法47条5号,民法704条,商法206条1項,商法280条ノ21項5号,商法280条ノ4,商法293条
論点3第130条旧商法下の裁判例

株券の占有のみからその占有者を株主と認定したことに違法があるとされた事例

裁判要旨株主総会決議無効確認の訴において、原告が自己の株主であることを立証するために同人名義の株券を書証として提出した場合であつても、その提出が二審においてはじめてされたものであるうえ、右株券には同人名義の白地式裏書があり、同人がこれを他に譲渡して一審当時はこれを所持していなかつたことを窺わせる判示の如き証拠があるときには、これらの証拠について何ら説示することなく、また株主名簿の記載についても何ら審理判断せずして、単に同人が右株券を所持することのみから、同人を株主であると認定したことには、審理不尽・理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年10月17日 昭和42(オ)1293
登載
集民 第92号593頁
参照法条
商法205条2項,商法206条1項
論点4第130条旧商法下の裁判例

過失により株式譲受人の名義書換請求に応じない株式会社は当該株式の譲渡を否認することができるか。

裁判要旨株式譲受人から株式会社に対し株式名義の書換の請求をした場合において、会社の過失により書換が行なわれなかつたときは、会社は、株式名義の書換のないことを理由として、株式の譲渡を否認することができない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和41年7月28日 昭和39(オ)48
登載
民集 第20巻6号1251頁
参照法条
商法206条
論点5第130条旧商法下の裁判例

捺印のみの裏書により記名株式の譲渡と会社の株式名簿書換義務の存否

裁判要旨譲渡人の捺印のみで記名を欠く裏書により記名株式の譲渡をうけた者が、記名を補充せずに会社に対し株主名簿の名義書換請求しても、会社はこれに応ずる義務がないと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年10月1日 昭和36(オ)392
登載
民集 第17巻9号1091頁
参照法条
商法205条,商法206条,手形法13条
論点6第130条旧商法下の裁判例

一 特定の株主に対する株主総会の招集通知の欠如と他の株主との関係における取締役の職務上の義務違反の有無
二 定款上株式の譲渡には取締役会の承認を要することとされている会社において既に競売により株式を失っていたが株主名簿には株主として記載されていた者に対し株主総会の招集通知が行われないまま決議がされた場合に取締役に悪意又は重大な過失による職務上の義務違反がなかったとはいえないとされた事例

裁判要旨一 特定の株主に対する株主総会の招集通知の欠如は、すべての株主に対する関係において取締役の職務上の義務違反に当たる。
二 定款上株式の譲渡には取締役会の承認を要することとされている会社において、既に競売により株式を失っていたが株主名簿には株主として記載されていた者に対し株主総会の招集通知が行われないまま決議がされた場合に、右当時、右の者が会社を被告として株主としての地位の確認を請求する訴訟において請求を棄却すべきものとする判決が言い渡されていたものの、同判決は未確定であったなど判示の事実関係の下においては、右の者に対する株主総会の招集通知の欠如につき取締役に悪意又は重大な過失による職務上の義務違反がなかったとはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成9年9月9日 平成6(オ)362
登載
集民 第185号199頁
参照法条
商法204条1項,商法224条1項,商法231条,商法266条ノ3第1項,商法(平成2年法律第64号による改正前のもの)204条ノ2,商法(平成2年法律第64号による改正前のもの)204条ノ5,商法(平成2年法律第64号による改正前のもの)206条1項,商法(平成2年法律第64号による改正前のもの)232条,民訴法225条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

会社法 第121条(株主名簿) 詳細ページ
(株主名簿)
第百二十一条株式会社は、株主名簿を作成し、これに次に掲げる事項(以下「株主名簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。
一株主の氏名又は名称及び住所
二前号の株主の有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
三第一号の株主が株式を取得した日
四株式会社が株券発行会社である場合には、第二号の株式(株券が発行されているものに限る。)に係る株券の番号
会社法 第125条(株主名簿の備置き及び閲覧等) 詳細ページ
(株主名簿の備置き及び閲覧等)
第百二十五条株式会社は、株主名簿をその本店(株主名簿管理人がある場合にあっては、その営業所)に備え置かなければならない。
2株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
一株主名簿が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二株主名簿が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
3株式会社は、前項の請求があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、これを拒むことができない。
一当該請求を行う株主又は債権者(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
二請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
三請求者が株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。
四請求者が、過去二年以内において、株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
4株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該株式会社の株主名簿について第二項各号に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
5前項の親会社社員について第三項各号のいずれかに規定する事由があるときは、裁判所は、前項の許可をすることができない。
会社法 第130条(株式の譲渡の対抗要件) 詳細ページ
(株式の譲渡の対抗要件)
第百三十条株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。
2株券発行会社における前項の規定の適用については、同項中「株式会社その他の第三者」とあるのは、「株式会社」とする。
会社法 第133条(株主の請求による株主名簿記載事項の記載又は記録) 詳細ページ
(株主の請求による株主名簿記載事項の記載又は記録)
第百三十三条株式を当該株式を発行した株式会社以外の者から取得した者(当該株式会社を除く。以下この節において「株式取得者」という。)は、当該株式会社に対し、当該株式に係る株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
2前項の規定による請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した株式の株主として株主名簿に記載され、若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人と共同してしなければならない。
会社法 第126条(株主に対する通知等) 詳細ページ
(株主に対する通知等)
第百二十六条株式会社が株主に対してする通知又は催告は、株主名簿に記載し、又は記録した当該株主の住所(当該株主が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
2前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
3株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、株式会社が株主に対してする通知又は催告を受領する者一人を定め、当該株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければならない。この場合においては、その者を株主とみなして、前二項の規定を適用する。
4前項の規定による共有者の通知がない場合には、株式会社が株式の共有者に対してする通知又は催告は、そのうちの一人に対してすれば足りる。
5前各項の規定は、第二百九十九条第一項(第三百二十五条において準用する場合を含む。)の通知に際して株主に書面を交付し、又は当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供する場合について準用する。この場合において、第二項中「到達したもの」とあるのは、「当該書面の交付又は当該事項の電磁的方法による提供があったもの」と読み替えるものとする。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。