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通行権

公的資料に現れる論点です。条文と判例から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

民法210条から212条は、他の土地に囲まれて公道に出られない土地の所有者が、隣接する土地を通行できる権利(いわゆる囲繞地通行権)について定めています。あわせて、通行できる場所・方法の制限、通路を開設できること、通行に伴い償金を支払う義務も定められています。

通行権
項目内容
要件(通常)他の土地に囲まれ公道に通じない土地
要件(特殊)池沼・河川・水路・海、崖による高低差
通行の場所・方法必要な範囲かつ損害最小の場所
通路の開設必要なら開設可能
償金通行による損害を支払う
  • 通行の場所・方法は、通行権者に必要な範囲で、かつ他の土地の損害が最も少ないものを選ぶ必要がある。
  • 通路の開設によって生じた損害については、一年ごとの分割払いにはできない。
  • 開設損害以外の償金は、一年ごとに支払うこともできる。
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通行権

通行権について、条文は何を定めているか。

第210条公道に至るための他の土地の通行権囲まれた土地から公道に出る権利2項判例 9件
  • 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、囲んでいる他の土地を通行できる
  • 池沼・河川・水路・海を通らないと公道に出られないときも同様に通行できる
  • 崖があり土地と公道に著しい高低差があるときも同様に通行できる
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第211条通行の場所・方法には制限がある2項判例 2件
  • 通行権者に必要で、かつ他の土地の損害が最も少ない場所・方法を選ぶ
  • 必要があるときは、通路を開設することができる
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第212条通行にあたり償金を支払う義務1項判例なし
  • 通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない
  • 通路の開設で生じた損害を除き、一年ごとに償金を支払うこともできる
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第210条民法

民法二一〇条〈公道に至るための他の土地の通行権〉の囲繞地通行権の対象となる通路の幅員と建築基準法四三条の規定基準

裁判要旨民法二一〇条〈公道に至るための他の土地の通行権〉の囲繞地通行権の対象となる通路の幅員を定めるにあたつて、建築基準法四三条所定の規定基準をその判断資料にすることができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和49年4月9日 昭和47(オ)264
登載
集民 第111号531頁
参照法条
民法210条,建築基準法43条
論点2第210条民法

袋地の未登記所有者と囲繞地通行権の主張

裁判要旨袋地の所有権を取得した者は、所有権取得登記を経由していなくても、囲繞地の所有者ないし利用権者に対して、囲繞地通行権を主張することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和47年4月14日 昭和46(オ)630
登載
民集 第26巻3号483頁
参照法条
民法210条,民法177条
論点3第210条民法

一、民法二一三条二項〈分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することが…〉が適用される場合であるとして他の土地につき囲繞地通行権が認められないとされた事例
二、公道に面する一筆の土地の所有者がその土地のうち公道に面しない部分を他に賃貸し残余地を自ら使用している場合と民法二一〇条一項の適用

裁判要旨一、(省略)
二、公道に面する一筆の土地の所有者が、その土地のうち公道に面しない部分を他に賃貸し、その残余地を自ら使用している場合には、所有者と賃借人との間において通行に関する別段の特約をしていなかつたときでも、所有者は賃借人に対し賃貸借契約に基づく賃貸義務の一内容として、右残余地を当該賃貸借契約の目的に応じて通行させる義務があり、したがつて、その賃借地につき民法二一〇条一項は適用されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年11月13日 昭和43(オ)1275
登載
集民 第97号259頁
参照法条
民法210条1項,民法213条2項
論点4第210条民法

土地明渡の請求権行使により袋地が生じても権利濫用とならない。

裁判要旨土地明渡により袋地を生ずることになつても、囲繞地通行権が民法上考えられているのであるから、右土地明渡請求権行使をもつて、権利濫用とはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年5月26日 昭和38(オ)490
登載
集民 第73号657頁
参照法条
民法1条,民法210条,民法211条
論点5第210条民法

既存通路が東京都建築安全条例第三条所定の幅員に欠ける場合と民法第二一〇条の囲繞地通行権の成否

裁判要旨土地が路地状部分で公路に通じており、既存建物所有により右土地の利用をするのになんらの支障がない場合、その路地状部分が東京都建築安全条例第三条所定の幅員に欠けるとの理由で増築につき建築基準適合の確認がして貰えないというだけでは、民法第二一〇条〈公道に至るための他の土地の通行権〉の囲繞地通行権は成立しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和37年3月15日 昭和34(オ)1132
登載
民集 第16巻3号556頁
参照法条
民法210条,建築基準法6条,建築基準法43条,東京都建築安全条例3条
論点6第210条民法

一筆の土地全部を同時に分筆譲渡した場合に生ずる袋地と民法第二一三条第二項の適用。

裁判要旨土地の所有者が一筆の土地全部を同時に分筆譲渡し、よつて袋地を生じた場合において、袋地の右譲渡人は、民法第二一三条第二項〈分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することが…〉の趣旨に徴し、右分筆前一筆であつた残余の土地についてのみ囲繞地通行権を有するに過ぎないと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年10月30日 昭和35(オ)1325
登載
民集 第16巻10号2182頁
参照法条
民法213条,民法210条
論点7第210条民法

民法二一三条〈分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することが…〉の囲繞地通行権の対象地の特定承継と当該通行権の帰すう

裁判要旨民法二一三条〈分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することが…〉の規定する囲繞地通行権は、通行の対象となる土地に特定承継が生じた場合にも消滅しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成2年11月20日 昭和61(オ)181
登載
民集 第44巻8号1037頁
参照法条
民法210条,民法213条
論点8第210条民法

自動車による通行を前提とする民法210条1項所定の通行権の成否及びその具体的内容を判断するために考慮すべき事情

裁判要旨自動車による通行を前提とする民法210条1項所定の通行権の成否及びその具体的内容は,公道に至るため他の土地について自動車による通行を認める必要性,周辺の土地の状況,上記通行権が認められることにより他の土地の所有者が被る不利益等の諸事情を総合考慮して判断すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成18年3月16日 平成17(受)1208
登載
民集 第60巻3号735頁
参照法条
民法210条1項,民法211条1項
論点9第210条民法

公道に一・四五メートル接する土地の上に建築基準法が施行されるよりも前から存在した建築物が取り壊された場合に同土地の所有者のためにいわゆる接道要件を満たすべき内容の囲繞地通行権が認められないとされた事例

裁判要旨公道に一・四五メートル接する甲土地の上に建築基準法が施行されるよりも前から存在した建築物が老朽化したために取り壊されたが、その当時、甲土地に隣接し右公道に接する乙土地は同法の規定が適用される建築物の敷地とされていたなど判示の事実関係の下においては、甲土地の所有者のために、乙土地について、同法四三条一項本文所定のいわゆる接道要件を満たすべき内容の囲繞地通行権は、認められない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成11年7月13日 平成8(オ)539
登載
集民 第193号427頁
参照法条
民法210条,建築基準法3条2項,建築基準法43条1項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民法 第210条(公道に至るための他の土地の通行権) 詳細ページ
(公道に至るための他の土地の通行権)
第二百十条他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。
2池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、又は崖があって土地と公道とに著しい高低差があるときも、前項と同様とする。
民法 第211条 詳細ページ
第二百十一条前条の場合には、通行の場所及び方法は、同条の規定による通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
2前条の規定による通行権を有する者は、必要があるときは、通路を開設することができる。
民法 第212条 詳細ページ
第二百十二条第二百十条の規定による通行権を有する者は、その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない。ただし、通路の開設のために生じた損害に対するものを除き、一年ごとにその償金を支払うことができる。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。