論点1第601条民法
土地賃借権の時効取得が認められるとされた事例
裁判要旨甲所有の土地を買い受けてその所有権を取得したと称する乙から右土地を賃借した丙が、右賃貸借契約に基づいて平穏公然に目的土地の占有を継続し、乙に対し賃料を支払つているなど判示の事情のもとにおいては、丙は、民法
一六三条〈所有権以外の財産権の取得時効〉の時効期間の経過により、甲に対して右土地の賃借権を時効取得することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和62年6月5日 昭和60(オ)615
- 登載
- 集民 第151号135頁
- 参照法条
- 民法163条,民法601条
論点2第601条民法
建物転借の意思が客観的に表現されるに至つたとされた事例
裁判要旨甲が乙に賃貸している建物の一部につき、丙が、乙との間において転貸借契約を締結し、平穏公然に当該建物部分を占有使用して、乙に対し賃料の支払いを継続してきた場合において甲が丙の用益の事実を知つたなど判示の事実関係のもとにおいては、丙の用益が転借の意思に基づくものであることが甲に対しても客観的に表現されるに至つたというべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和62年12月15日 昭和61(オ)698
- 登載
- 集民 第152号263頁
- 参照法条
- 民法163条,民法601条,民法612条
論点3第601条民法
公営住宅の明渡請求と信頼関係の法理の適用
裁判要旨公営住宅の入居者が公営住宅法二二条一項所定の明渡請求事由に該当する行為をした場合であつても、賃貸人である事業主体との間の信頼関係を破壊するとは認め難い特段の事情があるときは、事業主体の長がした明渡請求は効力を生じない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和59年12月13日 昭和57(オ)1011
- 登載
- 民集 第38巻12号1411頁
- 参照法条
- 公営住宅法22条,民法541条,民法601条
論点4第601条民法
土地賃貸借契約における賃料不払につき賃貸借関係の基礎をなす信頼関係を破壊するものと認めるに足りない特段の事情を認める余地があるとされた事例
裁判要旨土地賃借人が当年度分年末払とされた賃料の支払を約四か月遅滞したとしても、土地賃貸借関係が長期間にわたるものであつて過去において相互の信頼関係を損うような事情もなく、右遅滞が当該土地の賃料が近隣の地代相場に較べて二倍以上になるためその減額交渉を求めていたことによるものであり、右交渉中に契約解除の意思表示を受けるに及んで直ちに土地賃貸人の要求する賃料額を供託したなど判示の事情があるときは、土地賃借人の賃料不払につき賃貸借関係の基礎をなす信頼関係を破壊するものとは認めるに足りない特段の事情を認める余地がある。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和57年11月19日 昭和57(オ)141
- 登載
- 集民 第137号495頁
- 参照法条
- 民法541条,民法601条
論点5第601条民法
一 いわゆるファイナンス・リース契約においてリース業者が利用者の債務不履行を原因としてリース期間の途中でリース物件の返還を受けた場合と返還によつて取得した利益の清算の必要
二 いわゆるファイナンス・リース契約においてリース期間の途中でリース物件の返還を受けたリース業者が返還によつて取得した利益を清算すべき場合と右利益の算定基準
裁判要旨一 いわゆるファイナンス・リース契約において、リース業者がリース期間の途中でリース物件の返還を受けた場合には、その原因が利用者の債務不履行にあるときでも、リース業者は、特段の事情のない限り、右返還によつて取得した利益を清算する必要がある。
二 いわゆるファイナンス・リース契約において、リース期間の途中でリース物件の返還を受けたリース業者が返還によつて取得した利益を清算すべき場合にその対象となるのは、リース物件が返還時において有した価値と本来のリース期間の満了時において有すべき残存価値との差額であつて、返還時からリース期間の満了時までの利用価値ではない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和57年10月19日 昭和55(オ)1061
- 登載
- 民集 第36巻10号2130頁
- 参照法条
- 民法601条
論点6第601条民法
一 日本住宅公団がその賃貸する住宅について賃借人との間に設定する使用関係の性質
二 日本住宅公団法施行規則一五条一項にいう特別の必要がある場合と日本住宅公団の賃借人に対する賃貸住宅を他に譲渡してはならない義務の有無
裁判要旨一 日本住宅公団がその賃貸する住宅について賃借人との間に設定する使用関係は、私法上の賃貸借関係である。
二 日本住宅公団法施行規則一五条一項にいう特別の必要がある場合においては、日本住宅公団は、その賃貸する住宅を他に譲渡しこれに伴つて賃貸人の地位をその譲受人に承継させてはならない義務を当該住宅の賃借人に対して負うものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和55年5月30日 昭和53(オ)1409
- 登載
- 集民 第129号651頁
- 参照法条
- 民法601条,日本住宅公団法施行規則15条1項,日本住宅公団法31条1項1号
論点7第601条民法
土地賃借権譲渡の承諾に附帯して譲受人が負担した債務の不履行を理由とする土地賃貸借契約の解除が認められた事例
裁判要旨賃貸人の承諾を得て甲地の賃借権を譲り受けた者が右承諾に附帯して自己の占有する乙地を明け渡す旨を約しながらその履行を怠つたときは、賃貸人は、右債務の不履行を理由に甲地の賃貸借契約を解除することができる(最高裁昭和四六年(オ)第五五五号同四八年三月六日第三小法廷判決・裁判集民事一〇八号三七一頁参照)。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和55年3月6日 昭和53(オ)893
- 登載
- 集民 第129号235頁
- 参照法条
- 民法541条,民法601条
論点8第601条民法
賃借権の無断譲渡を理由とする契約解除権が時効消滅した場合と賃貸人の譲受人に対する明渡請求の許否
裁判要旨債借権の譲渡を承諾しない賃貸人は、無断譲渡を理由とする契約解除権が時効消滅した場合であつても、所有権に基づき、賃借権の無断譲受人に対し、賃貸借の目的物の明渡を求めることができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和55年12月11日 昭和53(オ)1440
- 登載
- 集民 第131号285頁
- 参照法条
- 民法601条,民法612条
論点9第601条民法
土地の不特定の一部を目的とする賃貸借において賃借部分を特定して引き渡すべき賃貸人の債務と民法四〇六条以下の適用
裁判要旨土地の一部を目的とする賃貸借において、その契約の趣旨に適した部分が相当数あるときは、その賃借部分を特定して引き渡すべき賃貸人の債務には、選択債務に関する民法四〇六条以下の規定の適用がある。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和54年4月17日 昭和53(オ)1047
- 登載
- 集民 第126号639頁
- 参照法条
- 民法406条,民法601条
論点10第601条民法
土地賃借権の無断譲受人による土地の使用が賃借意思に基づくものではないとして賃借権の時効取得が否定された事例
裁判要旨土地賃借権の無断譲受人が、土地の引渡を受けながら賃貸人に賃料を支払つたことがなく、また、賃貸人に賃借権譲渡の承諾を求めたが拒絶され、かえつて譲渡人との賃貸借契約は既に解除ずみであるとして土地の明渡を求められ、その後にいたつて賃料の弁済供託を開始したなど、判示の事実関係のもとにおいては、譲受人が賃借意思に基づいて土地の使用を継続したものということはできず、賃借権の時効取得を認めることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和53年12月14日 昭和53(オ)719
- 登載
- 民集 第32巻9号1658頁
- 参照法条
- 民法163条,民法601条,民法612条
論点11第601条民法
土地賃借権の時効取得が認められるとされた事
裁判要旨例甲所有の土地につきその管理をまかされ他に賃貸する権限をも与えられていると自称する乙から、これを信じて右土地を賃借した丙が、賃貸借契約に基づき平穏公然に目的土地の占有を継続し、乙及びその相続人らに対して賃料を支払つている、など判示の事情のもとにおいては、丙は、民法
一六三条〈所有権以外の財産権の取得時効〉所定の時効期間の経過により、甲に対する右土地の賃借権を時効取得することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和52年9月29日 昭和51(オ)996
- 登載
- 集民 第121号301頁
- 参照法条
- 民法163条,民法601条
論点12第601条民法
一、土地の賃借人が地上に所有する建物の抵当権を設定しその登記を経たのち第三者が賃貸人の承諾を得て土地賃借権のみを譲り受けた場合と抵当権実行後の右土地賃借権の帰すう
二、土地の賃貸人が抵当権の実行による地上建物の競落人の土地賃借権取得を承諾したことにより右抵当権の設定登記後に賃貸人の承諾を得て土地の賃借権のみを譲り受けた者が賃借人としての地位を失つた場合と賃貸人の責に帰すべき事由の有無
裁判要旨一、土地の賃借人が地上に所有する建物に抵当権を設定しその登記を経たのちに賃貸人の承諾を得て賃借人から土地の賃借権のみを譲り受けた者は、抵当権の実行により競落人が建物の所有権とともに土地の賃借権を取得したときに競落人との関係において賃借権を失い、競落人が右賃借権の取得につき賃貸人の承諾を得たときに賃貸人との関係においても賃借人の地位を失う。
二、土地の賃貸人が抵当権の実行による地上建物の競落人の土地賃借権取得を承諾したことにより、右抵当権の設定登記後に賃貸人の承諾を得て土地の賃借権のみを譲り受けた者が賃借人としての地位を失つても、これをもつて賃貸人の責に帰すべき事由によるものとすることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和52年3月11日 昭和48(オ)118
- 登載
- 民集 第31巻2号171頁
- 参照法条
- 民法87条2項,民法370条,民法415条,民法601条,民法612条1項
論点13第601条民法
競売手続が完結した場合と抵当権と同時に設定された抵当権者自身を権利者とする賃借権の帰すう
裁判要旨抵当不動産につき、抵当権者自身を権利者とする、賃借権又は抵当債務の不履行を停止条件とする条件付賃借権が設定され、その登記又は仮登記が抵当権設定登記と順位を前後して経由された場合において、競売申立までに対抗要件を具備した短期賃借権者が現われないまま、競落によつて第三者が当該不動産の所有権を取得したときには、特段の事情のない限り、抵当権者の賃借権は、それが短期賃借権であつても消滅する。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和52年2月17日 昭和51(オ)1028
- 登載
- 民集 第31巻1号67頁
- 参照法条
- 民法369条,民法395条,民法601条
論点14第601条民法
土地賃借権の喪失と損害賠償請求権に基づく留置権の成否
裁判要旨従前の土地の賃借人が、換地処分の結果借地権を喪失し、従前の土地の所有者(賃貸人)に対して借地権喪失に基づく損害賠償請求権を有することになつたとしても、右損害賠償請求権と従前の土地との間には、留置権発生の要件である牽連が認められない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和52年12月2日 昭和52(オ)617
- 登載
- 集民 第122号281頁
- 参照法条
- 民法295条,民法601条
論点15第601条民法
土地賃貸借契約につき無断増改築禁止の特約違反を理由とする解除権の行使が信義則上許されないとされた事例
裁判要旨(省略)(最高裁昭和三九年(オ)第一四五〇号同四一年四月二一日第一小法廷判決・民集二〇巻四号七二〇頁参照)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和51年6月3日 昭和47(オ)90
- 登載
- 集民 第118号1頁
- 参照法条
- 民法540条,民法594条,民法601条
論点16第601条民法
賃借物につき第三者から明渡を求められた賃借人の賃料支払拒絶権
裁判要旨土地又は建物の賃借人は、賃借物に対する権利に基づき自己に対して明渡を請求することができる第三者からその明渡を求められた場合には、それ以後、賃料の支払を拒絶することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和50年4月25日 昭和49(オ)161
- 登載
- 民集 第29巻4号556頁
- 参照法条
- 民法559条,民法576条,民法601条
論点17第601条民法
賃料不払を理由とする不動産賃貸借の解除に催告を要しないとされた事例
裁判要旨不動産の賃貸借において、賃借人が、約九年一〇か月の長期間賃料を支払わず、その間、当該不動産を自己の所有と主張して賃貸借関係の存在を否定し続けたなど原判示の事情(原判決理由参照)があるときは、賃貸人は、催告を要せず賃貸借を解除することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和49年4月26日 昭和45(オ)603
- 登載
- 民集 第28巻3号467頁
- 参照法条
- 民法540条,民法541条,民法601条,民法620条
論点18第601条民法
土地賃貸借の合意解除が地上建物の賃借人に対抗できるとされた事例
裁判要旨土地賃貸借が合意解除された当時、地上建物につき土地賃借人と合資会社との間に賃貸借が締結されていた場合においても、右会社は土地賃借人が従前同建物で経営していた事業を自己が代表者となつて会社組織にしたものにすぎず、かつ、右解除の際、土地賃借人が会社設立について言及しなかつたため土地賃貸人が右の事実を全く知らなかつたなど判示のような特別の事情があるときは、土地賃貸人は当該合意解除をもつて右会社に対抗することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和49年4月26日 昭和48(オ)766
- 登載
- 民集 第28巻3号527頁
- 参照法条
- 民法545条1項,民法601条
論点19第601条民法
一、商法九一条二項にいう相当の担保を供したときの意味
二、所有権又は賃貸権限を有しない者から不動産を賃借した者が真の権利者から同一物をさらに賃借した場合とはじめの賃貸借の帰すう
裁判要旨一、商法九一条一項により合名会社の社員の持分を差し押えた債権者のした強制退社予告の効力を失わせる同条二項にいう相当の担保を供したときとは、差押債権者との間で、担保物権を設定し、又は保証契約を締結した場合をいい、差押債権者の承諾を伴わない担保物権設定又は保証契約締結の単なる申込みは、右担保の供与にはあたらない。
二、所有権又は賃貸権限を有しない者から不動産を賃借した者が同一物について真の権利者とさらに賃貸借契約を締結したときは、はじめの賃貸借は賃貸人の使用収益させる義務の履行不能によつて終了に帰する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和49年12月20日 昭和47(オ)496
- 登載
- 集民 第113号655頁
- 参照法条
- 商法91条,民法601条
論点20第601条民法
借地法一〇条の建物買取請求権と土地賃貸借の合意解除
裁判要旨建物とともにその敷地の賃借権を譲り受けた者の有する借地法一〇条の建物買取請求権は、賃貸人が賃借人である譲渡人との間で賃貸借契約を合意解除しても、特段の事情がないかぎり、消滅しないものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和48年9月7日 昭和46(オ)528
- 登載
- 民集 第27巻8号907頁
- 参照法条
- 民法545条1項,民法601条,借地法10条
論点21第601条民法
建物所有を目的とする土地賃貸借契約の借地人が無断増改築等を禁止する特約に反してなした建物改修工事が賃貸人に対する信頼関係を破壊するものと認められた事例
裁判要旨建物収去土地明渡請求事件につき成立した裁判上の和解において、新規に土地賃貸借の合意が成立したが、その際特に無断増改築を禁止する旨の条項が付せられたにもかかわらず、賃借人が右特約に反し賃貸人に無断で借地上の木造映画館を一階はスーパーマーケットに、二階はアパートに、それぞれ改造する等判示の改修工事を施したときは、右工事は土地賃貸借当事者間の信頼関係を破壊するものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和48年4月13日 昭和47(オ)1261
- 登載
- 集民 第109号97頁
- 参照法条
- 民法540条,民法601条
論点22第601条民法
不動産の賃借人が賃貸人から当該不動産を譲り受けたのち第三者が右賃貸人からこれを譲り受けてさきに所有権移転登記を経由した場合と民法五二〇条の規定の適用関係
裁判要旨不動産の賃借人が賃貸人から当該不動産を譲り受けながらその旨の所有権移転登記を経由していない間に、第三者が右賃貸人から右不動産を譲り受けてその旨の所有権移転登記を経由したため、前の譲受人である賃借人において右不動産の所有権取得を後の譲受人である第三者に対抗することができなくなつた場合には、いつたん混同によつて消滅した右賃借人の賃借権は、第三者が所有権を取得すると同時に、同人に対する関係では消滅しなかつたことになるものと解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和47年4月20日 昭和44(オ)211
- 登載
- 集民 第105号585頁
- 参照法条
- 民法177条,民法520条,民法601条
論点23第601条民法
賃借地上にある建物の売主と敷地賃借権譲渡の承諾取得義務
裁判要旨賃借地上にある建物の売買契約が締結された場合においては、特別の事情のないかぎり、売主は、買主に対し、その建物の敷地の賃借権をも譲渡したものであつて、それに伴い、その賃借権譲渡につき賃貸人の承諾を得る義務を負うものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和47年3月9日 昭和45(オ)803
- 登載
- 民集 第26巻2号213頁
- 参照法条
- 民法87条,民法555条,民法601条,民法612条
論点24第601条民法
土地の賃貸人がその賃貸借契約の合意解約をもつて地上建物の抵当権実行による競落人に対抗することができるとされた事例
裁判要旨土地の賃貸人と賃借人との間において土地賃貸借契約が合意解約されたが、一方、土地の賃借人が同地上に所有する建物に設定した根抵当権が実行され、右建物が競落された場合において、右合意解約の原因がもつぱら賃借人の賃料不払にあり、また、右競落は、合意解約により右土地の賃借権が消滅したのちであつて、競落人は右賃借権消滅の事実を知悉しながら競落取得したものである等判示の事実関係があるときは、土地の賃貸人は、右合意解約をもつて競落人に対抗することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和47年3月7日 昭和45(オ)631
- 登載
- 集民 第105号251頁
- 参照法条
- 民法545条1項,民法601条
論点25第601条民法
取立払の定めのある賃料を債権者が取立に赴かなくてもその不払を理由とする賃貸借契約の解除が許されるとされた事例
裁判要旨六箇月ごとの取立払の定めのある賃料につき、賃貸人が再三賃借人方に取立に赴きまた督促のため電話したのに対し、賃借人がその事実を知りながら支払の意思を示す態度がなかつたなどの判示の事実関係のもとにおいて、賃貸人が一年七箇月分の賃料を持参して支払うよう催告し、催告期間内に賃借人方に取立に赴かなかつたとしても、賃借人が弁済の準備をしその旨を賃貸人に通知して取立を促す等信義則上の措置に出ないで催告期間を徒過したときは、賃貸人は、右催告にかかる賃料の不払を理由に、賃貸借契約を解除することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和47年1月20日 昭和46(オ)882
- 登載
- 集民 第105号7頁
- 参照法条
- 民法484条,民法493条,民法541条,民法601条,民法1条2項
論点26第601条民法
一、賃貸借契約における信義則上の義務違反と契約解除
二、用方違反または信義則上の義務違反を理由とする賃貸借契約の解除が認められなかつた事例
裁判要旨一、賃貸借契約の当事者の一方が、右契約に基づき信義則上当事者に要求される義務に違反して、その信頼関係を破壊することにより、賃貸借関係の継続を著しく困離ならしめたときは、他方の当事者は、催告なくして賃貸借契約を解除することができる。
二、建物所有を目的とする土地賃貸借契約の賃借人が、借地の約半分にあたる空地をトラツク置場とし、無免許で自動車運送事業を営み、また、そのトラツクが完全に格納できずに公道上に約一メートルはみ出し公衆の通行を妨害している場合においても、格納を完全にするための工事が比較的容易であり、近隣や歩行者から苦情が出たこともない等原判示の事情(原判決理由参照)のもとにおいては、賃貸人は、用法違反または信義則上の義務違反を理由として、賃貸借契約を解除することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和47年11月16日 昭和45(オ)942
- 登載
- 民集 第26巻9号1603頁
- 参照法条
- 民法541条,民法594条1項,民法601条,民法616条
論点27第601条民法
賃貸土地の所有者がその所有権とともにする賃貸人たる地位の譲渡と賃借人の承諾の要否
裁判要旨賃貸借の目的となつている土地の所有者が、その所有権とともに賃貸人たる地位を他に譲渡する場合には、賃貸人の義務の移転を伴うからといつて、特段の事情のないかぎり、賃借人の承諾を必要としない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和46年4月23日 昭和45(オ)46
- 登載
- 民集 第25巻3号388頁
- 参照法条
- 民法466条,民法601条
論点28第601条民法
一、競売期日の公告に記載されなかつた賃借権とその対抗力
二、執行裁判所の取調に対して申出のなかつた賃借権とその効力
三、土地の所有権と賃借権とが混同しても賃借権が消滅しない場合
裁判要旨一、建物保護に関する法律
一条〈基本原則〉による対抗要件を具備した土地の賃借権は、競売期日の公告に記載されなかつたとしても、その対抗力が消滅するものではない。
二、執行裁判所の取調に対して土地の賃借権者が賃借権の申出をしなかつたとしても、その賃借権の効力に影響を及ぼすものではない。
三、特定の土地につき所有権と賃借権とが同一人に帰属するに至つた場合であつても、その賃借権が対抗要件を具備したものであり、かつ、その対抗要件を具備したのちに右土地に抵当権が設定されていたときは、民法
一七九条一項〈混同〉但書の準用により、賃借権は消滅しないものと解すべきであり、このことは、賃借権の対抗要件が建物保護に関する法律
一条によるものであるときでも同様である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和46年10月14日 昭和46(オ)582
- 登載
- 民集 第25巻7号933頁
- 参照法条
- 民法179条1項,民法520条,民法601条,民法605条,建物保護に関する法律1条,民訴法643条1項,民訴法643条3項,民訴法658条
論点29第601条民法
土地賃借権の時効取得が認められるとされた事例
裁判要旨寺院境内地についての賃貸借契約が当時の法令に違反し無効とされる場合であつても、その賃借人が、右契約に基づき平穏公然に目的土地の占有と継続し、その間寺院に約定の賃料の支払を続けていたときは、賃借人は、有効な賃貸借契約に基づく場合と同様の賃借権を時効により取得することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和45年12月15日 昭和41(オ)1176
- 登載
- 民集 第24巻13号2051頁
- 参照法条
- 民法163条,民法601条
論点30第601条民法
一、控訴審判決の主文において物件を表示するにつき第一審判決に掲げる物件の表示を引用することの可否
二、賃借権存在確認の訴において、賃料額、存続期間または契約の成立年月日を主文に掲記することの要否
裁判要旨一、控訴審判決の主文において物件を表示するにつき第一審判決に掲げる物件の表示を引用することは許される。
二、賃借権存在確認の訴において、原告が確定を求めていない賃料額、存続期間または契約の成立年月日を主文に掲記することは必要でない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和44年9月11日 昭和44(オ)500
- 登載
- 集民 第96号539頁
- 参照法条
- 民訴法391条,民訴法186条,民法601条
論点31第601条民法
土地の無断転貸借と土地の賃借権ないし転借権の時効取得
裁判要旨他人の土地の用益がその他人の承諾のない転貸借に基づくものである場合において、土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、その用益が賃借の意思に基づくものであることが客観的に表現されているときは、その土地の賃借権ないし転借権を時効により取得することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和44年7月8日 昭和41(オ)991
- 登載
- 民集 第23巻8号1374頁
- 参照法条
- 民法163条,民法601条,民法612条
論点32第601条民法
家屋の賃借権の存否につき争いがある場合において家屋の所有者が家賃の弁済として供託された金員の還付を受けたときの効果
裁判要旨家屋の賃借権の存否につき争いがある場合において、家屋の所有者が家賃の弁済として家屋の占有者から供託された金員の還付を受けた事実があつても、右家屋の所有者が右占有者に対しその当時まで一度も右家屋を賃貸したことがなく、また、右家屋の所有者が、右供託金の還付を受けた日時の前後を通じ、右占有者が何らの権原もなく右家屋を占有していると主張して、その明渡等を求める訴訟を続けていたときには、右供託金の還付を受けた事実をもつて、右家屋を賃貸することを承認したものとはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和44年7月24日 昭和44(オ)497
- 登載
- 集民 第96号401頁
- 参照法条
- 民法494条,民法601条
論点33第601条民法
取立払の定のある債務について債権者が取立に赴かなくても解除権の行使が許されるとされた事例
裁判要旨取立払の定のある賃料について、増額請求を受けた賃借人が、賃貸人の一箇月分の賃料の取立にさいしてその全額の支払を拒絶し、その後引続き適正額の賃料の支払をも拒絶する態度を示している等判示事実関係のもとにおいては、賃貸人が客観的に適正とされる額によつて五年分の賃料を自己の住所へ持参して支払うよう催告し、催告期間内に賃借人の住所に取立のため赴かなかつたとしても、賃借人が弁済の準備をしその旨を賃貸人に通知して取立を促がす等の措置に出ないで催告期間を徒過したときには、賃貸人は、賃貸借契約を解除することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和43年8月2日 昭和42(オ)1066
- 登載
- 集民 第92号55頁
- 参照法条
- 民法484条,民法493条,民法541条,民法601条,民法1条2項
論点34第601条民法
土地賃借権の時効取得
裁判要旨土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、それが賃借の意思に基づくことが客観的に表現されているときは、土地賃借権を時効により取得することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和43年10月8日 昭和42(オ)954
- 登載
- 民集 第22巻10号2154頁
- 参照法条
- 民法163条,民法601条
論点35第601条民法
土地使用関係が賃貸借ではなく使用貸借であると認められた事例
裁判要旨土地の借主が、約三年の間に礼金または賃料として三回にわたつて一万円ないし一万五〇〇〇円を支払い、貸主が特段の異議を留めることなく受領していた場合であつても、右金額が適正賃料額に比してかなり低額であり、かつ、その金額は借主において一方的に定めたものであつて、貸主との協議に基づくものでないうえに、必ずしも定期的に支払われたものでない等、原判示の事情(原判決理由参照)のもとにおいては、借主の土地使用関係は、賃貸借ではなく使用貸借と認めるのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和42年9月7日 昭和42(オ)498
- 登載
- 集民 第88号357頁
- 参照法条
- 民法593条,民法601条
論点36第601条民法
土地賃貸借の合意解約が地上建物の賃借人に対抗できるとされた事例
裁判要旨賃料不払による土地賃貸借契約解除に基づく建物収去土地明渡の訴の係属中成立した判示裁判上の和解において、賃貸借契約の合意解約がなされた等判示のような特別の事情があるときは、土地賃貸人は、当該合意解約をもつて同土地上の建物の賃借人に対抗することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和41年5月19日 昭和40(オ)1152
- 登載
- 民集 第20巻5号989頁
- 参照法条
- 民法545条1項,民法601条
論点37第601条民法
一 借地契約における増改築禁止の特約と解除権行使の許否
二 前項の特約がある場合において建物の増改築を理由とする解除権行使の効果が生じないとされた事例
裁判要旨一 建物所有を目的とする土地の賃貸借中に、賃借人が賃貸人の承諾をえないで借地内の建物の増改築をするときは、賃貸人は催告を要しないで賃貸借を解除することができる旨の特約があるにかかわらず、賃借人が賃貸人の承諾を得ないで増改築をした場合において、増改築が借地人の土地の通常の利用上相当であり、土地賃貸人に著しい影響を及ぼさないため、賃貸人に対する信頼関係を破壊するおそれがあると認めるに足りないときは、賃貸人は、前記特約に基づき、解除権を行使することは許されないものというべきである
二 前記の特約がある場合において、借地人がその居住用建物の一部の根太などを取りかえ、二階部分を拡張してアパート用居室として他人に賃貸するように改造をしたが住宅用普通建物として前後同一であるなど判示事実(判決理由参照)のもとでは、賃貸人が右特約に基づいてした解除権の行使はその効力を生じないと認めるのが相当である
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和41年4月21日 昭和39(オ)1450
- 登載
- 民集 第20巻4号720頁
- 参照法条
- 民法540条,民法601条,借地法11条
論点38第601条民法
建物の貸借関係が使用貸借であると認められた事例
裁判要旨建物の借主が該建物を含む貸主所有の不動産に賦課された固定資産税等の公租公課の支払を負担する等原判示事実(原判決理由参照)があるとしても、右負担が建物の使用収益に対する対価の意味をもつものと認めるに足りる特段の事情のないかぎり、当該貸借関係は使用貸借であると認めるのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和41年10月27日 昭和41(オ)527
- 登載
- 民集 第20巻8号1649頁
- 参照法条
- 民法593条,民法601条
論点39第601条民法
一 登記の欠缺を主張するにつきいわゆる背信的悪意者とはいえないとされた事例。
二 不動産の賃借人が賃貸人から該不動産を譲り受けた後に第三者がこれを二重に譲り受けて先に所有権移転登記をした場合と民法第五二〇条の規定の適用関係。
三 民法第七〇五条〈債務の不存在を知ってした弁済〉の適用がないとされた事例。
裁判要旨一 甲が地主丙から賃借中の土地上に所有する家屋を乙に贈与し、右事実を前提として、甲もみずから責任を持つ旨口添をして乙丙間に該土地の賃貸借契約が締結され、爾来その関係が九年余にわたつて継続してきた等判示のような事実があつたとしても、丙が右家屋を甲から買い受けてその旨の移転登記を経由するまでの経緯について判示の事情があるときは、丙は右家屋について乙の所有権取得登記の欠缺を主張するにつき正当な利益を有する第三者にあたらないような背信的悪意者とはいえない。
二 不動産の賃借人が賃貸人から該不動産を譲り受けてその旨の所有権移転登記をしないうちに、第三者が右不動産を二重に譲り受けてその旨の所有権移転登記をしたため、前の譲受人である賃借人において右不動産の取得を後の譲受人である第三者に対抗できなくなつたような場合には、いつたん混同によつて消滅した右賃借権は、右第三者の所有権取得によつて、同人に対する関係では消滅しなかつたことになると解するのが相当である。
三 居住家屋の賃料の支払義務のない者が、該家屋の所有者から賃料支払の催告を受けたため、これを支払うべき筋合はないが賃料不払等とこじつけて家屋明渡訴訟を提起された場合の防禦方法として支払う旨とくに留保の表示をしたうえ、請求額を支払つた等判示事実関係のように、債務の不存在を知つて弁済したことも無理からぬような客観的事情がある場合には、民法
第七〇五条〈債務の不存在を知ってした弁済〉の適用はないものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和40年12月21日 昭和37(オ)904
- 登載
- 民集 第19巻9号2221頁
- 参照法条
- 民法177条,民法520条,民法601条,民法705条
論点40第601条民法
賃貸借の成立が否定された事例。
裁判要旨地主が売却代金六万円を土地使用人との共同事業に出資するとともに土地の使用を認め、共同事業による利益分配金を受領することを約していた場合において、数年後に右合意の内容を明確にするための覚書の案について「賃貸」などの表現を訂正して「使用」などの用語を用いてはじめて覚書に捺印したような判示の事情のあるときには、地主において判示のような金員を受領していても、賃貸借の成立は認められない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和39年4月17日 昭和38(オ)91
- 登載
- 集民 第73号229頁
- 参照法条
- 民法601条,民法614条
論点41第601条民法
旧民法第八八六条による親族会の同意を得ないでした親権者の法律行為の効力
裁判要旨旧民法第八八六条による親族会の同意を得なければならない法律行為を親権者が右同意なしに行つた場合、その行為は当然無効とならず、旧民法第八八七条による取消がなされていないかぎりは有効として取扱われる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和37年2月15日 昭和35(オ)557
- 登載
- 集民 第58号633頁
- 参照法条
- 民法601条,旧民法886条,旧民法887条
論点42第601条民法
賃貸人が賃貸物件を使用させない期間の賃料支払義務。
裁判要旨賃貸人が賃借人に対し賃貸物件を使用させない期間は、賃借人は賃料支払義務を負わない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和36年7月21日 昭和34(オ)848
- 登載
- 民集 第15巻7号1952頁
- 参照法条
- 民法601条,民法536条1項
論点43第601条民法
賃貸人の地位と転借人の地位との混同と転貸借。
裁判要旨賃貸人の地位と転借人の地位とが同一人に帰した場合であつても、転貸借は、当事者間にこれを消滅させる合意の成立しない限り、消滅しないものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和35年6月23日 昭和33(オ)890
- 登載
- 民集 第14巻8号1507頁
- 参照法条
- 民法601条,民法613条
論点44第601条民法
間借人の毎月一、〇〇〇円の支払いを賃料でなく謝礼であるとし、使用貸借の成立を認めた事例
裁判要旨一畳あたり月一、〇〇〇円で貸しうる六畳七畳二室を借り受け使用(ただし七畳の方は家主と共用)する間借人が毎月室代名義で一、〇〇〇円ずつを家主に支払つていても、間借人が家主の妻の伯父という関係にあるときは、右金員は室使用の対価というよりは右関係に基づく謝礼とみるのが相当で、右使用契約は賃貸借でなく使用貸借である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和35年4月12日 昭和33(オ)485
- 登載
- 民集 第14巻5号817頁
- 参照法条
- 民法593条,民法601条
論点45第601条民法
一 責問権喪失の事例
二 証拠申出の放棄と認められる事例
三 裁判所法第二六条第二項第一号の決定を変更する決定の適否
四 裁判所法第二六条第二項第一号の決定及びその変更決定の方式
五 合議体の審理が単独裁判官の審理に移行した場合と口頭弁論更新の要否
六 労務の提供と賃貸借契約の成否
裁判要旨一 甲証人尋問のため指定された期日に、別に期日外に申請されていた乙証人がたまたま在廷していたために、甲証人尋問に引き続いてその取調をした場合においても、当事者がその尋問について異議を述べなかつたときは、その証拠申請について特に意見を述べる機会が与えられていなくても、乙証人の証言を証拠とすることは差支えない。
二 本人尋問を申し出た当事者が、その尋問未済のまま口頭弁論終結に際して「他に主張立証はない」と述べたときは、その申出を放棄したものと認むべきである。
三 地方裁判所は、合議体で、裁判所法第二六条第二項一号の決定を変更して、一人の裁判官で事件を取り扱わしめる旨の決定をすることができる。
四 裁判所法第二六条第二項第一項の決定及びその変更決定は、口頭弁論調書若しくは合議体の裁判官全員の署名押印又は少くとも押印をもつて、記録上明白にして置くべきである。
五 合議体の審理が単独裁判官の審理に移行した場合において、その合議体の構成員が単独裁判官として引き続き審理をするときは、口頭弁論の更新を要しない。
六 家屋使用の対価としてその家屋の留守管理をする旨の契約は、賃貸借契約とはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和26年3月29日 昭和24(オ)63
- 登載
- 民集 第5巻5号177頁
- 参照法条
- 民訴法141条,民訴法258条,民訴法144条,民訴法207条,民訴法187条2項,裁判所法26条2項1号,民法601条
論点46第601条民法
賃借人の債務不履行による賃貸借の解除と賃貸人の承諾のある転貸借の帰すう
裁判要旨賃貸借が賃借人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合、賃貸人の承諾のある転貸借は、原則として、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に、転貸人の転借人に対する債務の履行不能により終了する。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成9年2月25日 平成6(オ)456
- 登載
- 民集 第51巻2号398頁
- 参照法条
- 民法601条,民法612条
論点47第601条民法
いわゆるフルペイアウト方式によるファイナンス・リース契約によりリース物件の引渡しを受けたユーザーにつき会社更生手続の開始決定があった場合における未払のリース料債権の性質
裁判要旨いわゆるフルペイアウト方式によるファイナンス・リース契約によりリース物件の引渡しを受けたユーザーにつき会社更生手続の開始決定があった場合、未払のリース料債権は、その全額が更生債権となる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成7年4月14日 平成3(オ)155
- 登載
- 民集 第49巻4号1063頁
- 参照法条
- 民法601条,会社更生法102条,会社更生法103条,会社更生法208条7号
論点48第601条民法
いわゆるファイナンス・リース契約において利用者がリース物件の使用ができなかったからといってリース料の支払義務を免れることができないとされた事例
裁判要旨いわゆるファイナンス・リース契約において、利用者がリース物件の引渡しを受けていないのにリース業者にこれを受領した旨の受領書を交付し、その後リース業者が販売店からその経営不振を理由にリース物件を引き揚げたなど判示の事実関係の下においては、利用者は、リース物件を使用することができなかったからといって、リース料の支払義務を免れることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成5年11月25日 平成3(オ)1495
- 登載
- 集民 第170号553頁
- 参照法条
- 民法601条
論点49第601条民法
土地賃貸借契約において賃借人が地上建物を賃貸して転居し所在を明らかにしないまま八年以上を経過したことなどが賃貸人に対する信頼関係を著しく破壊するとして無催告の解除が許容された事例
裁判要旨土地賃借人が第三者に地上建物を賃貸して地代の支払をゆだね、その旨を賃貸人に通知することなく転居し、以後自ら土地の管理をせず、所在を明らかにしないまま八年以上を経過するなど、判示の事実関係の下においては、賃借人の行為は賃貸借当事者間の信頼関係を著しく破壊するものであって、賃貸人は、契約上の義務違反を理由として賃貸借契約を無催告で解除することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成3年9月17日 平成2(オ)1735
- 登載
- 集民 第163号299頁
- 参照法条
- 民法541条,民法601条
論点50第601条民法
建物賃貸人の失火による火災で焼失した賃貸建物内の衣料品類の損害について賃貸人の債務不履行責任を認めた事例
裁判要旨木造二階建ての建物の一部を衣料品類販売店舗として賃貸し、建物の火気は主として賃貸人が住居として使用していたその余の部分にあり、賃貸人の使用部分からの失火によって賃貸部分に蔵置保管されていた衣料品類にも被害が及ぶことが当然に予測されていたなど、判示の事実関係の下において、賃貸人は、その使用部分の火気の取扱いの不注意による失火により賃貸部分に蔵置保管されていた衣料品類を焼失させたときは、衣料品類の損害について信義則上債務不履行による賠償義務を負担する。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成3年10月17日 昭和62(オ)1408
- 登載
- 集民 第163号365頁
- 参照法条
- 民法1条2項,民法415条,民法601条
論点51第601条民法
当事者が土地賃借権そのものを有することの確認を求め,地代額の確認まで求めたとはいえないにもかかわらず,判決の主文で地代額を確認することの適否
裁判要旨当事者が土地賃借権そのものを有することの確認を求め,地代額の
確認まで求めたとはいえないにもかかわらず,地代額の確認をも求
めているものとして主文で地代額を確認した判決には,当事者が申し立てていない事項について判決をした違法がある。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成24年1月31日 平成21(受)1766
- 登載
- 集民 第239号659頁
- 参照法条
- 民訴法134条,民訴法246条,民法601条
論点52第601条民法
抵当権設定登記後に賃借権の時効取得に必要な期間不動産を用益した者が賃借権の時効取得を当該不動産の競売又は公売による買受人に対抗することの可否
裁判要旨不動産につき賃借権を有する者がその対抗要件を具備しない間に,当該不動産に抵当権が設定されてその旨の登記がされた場合,上記の者は,上記登記後,賃借権の時効取得に必要とされる期間,当該不動産を継続的に用益したとしても,競売又は公売により当該不動産を買い受けた者に対し,賃借権を時効により取得したと主張して,これを対抗することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成23年1月21日 平成21(受)729
- 登載
- 集民 第236号27頁
- 参照法条
- 民法163条,民法601条,民法605条,民事執行法59条1項,民事執行法59条2項,国税徴収法124条1項
論点53第601条民法
いわゆるフルペイアウト方式によるファイナンス・リース契約中の,ユーザーについて民事再生手続開始の申立てがあったことを契約の解除事由とする旨の特約の効力
裁判要旨いわゆるフルペイアウト方式によるファイナンス・リース契約中の,ユーザーについて民事再生手続開始の申立てがあったことを契約の解除事由とする旨の特約は,無効である。
(補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成20年12月16日 平成19(受)1030
- 登載
- 民集 第62巻10号2561頁
- 参照法条
- 民法91条,民法540条1項,民法601条,民事再生法1条
論点54第601条民法
共同相続に係る不動産から生ずる賃料債権の帰属と後にされた遺産分割の効力
裁判要旨相続開始から遺産分割までの間に共同相続に係る不動産から生ずる金銭債権たる賃料債権は,各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し,その帰属は,後にされた遺産分割の影響を受けない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成17年9月8日 平成16(受)1222
- 登載
- 民集 第59巻7号1931頁
- 参照法条
- 民法88条2項,民法89条2項,民法427条,民法601条,民法896条,民法898条,民法899条,民法900条,民法907条,民法909条
論点55第601条民法
農地の賃借権の時効取得と農地法3条の適用の有無
裁判要旨時効による農地の賃借権の取得については,農地法3条の規定の適用はない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成16年7月13日 平成14(受)1459
- 登載
- 集民 第214号953頁
- 参照法条
- 農地法3条,民法163条,民法601条
論点56第602条民法
民法三九五条〈抵当建物使用者の引渡しの猶予〉の短期賃貸借と競売開始後の法定更新
裁判要旨民法
三九五条〈抵当建物使用者の引渡しの猶予〉により抵当権者に対抗しうる農地の短期賃貸借の期間が抵当権の実行による差押の効力の生じた後に満了した場合には、賃借人は、農地法一九条による法定更新をもつて抵当権者に対抗できない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和44年12月18日 昭和44(オ)893
- 登載
- 集民 第97号817頁
- 参照法条
- 民法395条,民法602条,農地法19条,農地法20条
論点57第602条民法
民法第三九五条〈抵当建物使用者の引渡しの猶予〉の適用のある期間の定のない建物賃貸借につき解約申入の正当事由が認められた事例
裁判要旨民法
第三九五条〈抵当建物使用者の引渡しの猶予〉の適用のある期間の定のない建物賃貸借において、その賃貸借が成立後競落人による解約申入に至るまで、−ほとんど七年に及ぶ長期間を経過したものであるときは、他に特段の事情がないかぎり、その解約申入は借家法第一条ノ二にいう「正当ノ事由」を具備するものというべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和43年9月27日 昭和42(オ)477
- 登載
- 民集 第22巻9号2074頁
- 参照法条
- 民法395条,民法602条,借家法1条ノ2
論点58第602条民法
一 処分の権限を有しない者のした期間の定めのない建物賃貸借と民法第六〇二条
二 いわゆる短期賃貸借と借家法第一条第一項の適用の有無
裁判要旨一 処分の権限を有しない者のした期間の定めのない建物賃貸借は、民法
第六〇二条〈短期賃貸借〉の期間を超えない、いわゆる短期賃貸借に該当すると解するのが相当である。
二 建物についてなされたいわゆる短期賃貸借において建物が競落されて他に所有権が帰属した場合、賃貸借は終了する旨の約定があるときには、該約定は借家法第一条第一項に反する賃借人に不利な特約として同法第六条により無効なものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和41年4月5日 昭和38(オ)174
- 登載
- 集民 第83号27頁
- 参照法条
- 民法602条,借家法1条,借家法6条
論点59第602条民法
民法第三九五条〈抵当建物使用者の引渡しの猶予〉の短期賃貸借と競売開始後の法定更新。
裁判要旨民法
第三九五条〈抵当建物使用者の引渡しの猶予〉により抵当権者に対抗しうる土地、建物の短期賃貸借の期間が抵当権実行による差押の効力の生じた後に満了した場合には、賃借人は、借地法第六条、借家法第二条による法定更新をもって抵当権者に対抗できない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和39年7月29日 昭和38(オ)1166
- 登載
- 集民 第74号813頁
- 参照法条
- 民法395条,民法602条,借地法6条,借家法2条
論点60第602条民法
期間の定めのない建物賃貸借と民法第三九五条。
裁判要旨期間の定めのない建物賃貸借は、民法
第三九五条〈抵当建物使用者の引渡しの猶予〉の短期賃貸借に該当すると解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和39年6月19日 昭和36(オ)28
- 登載
- 民集 第18巻5号795頁
- 参照法条
- 民法395条,民法602条,借家法1条
論点61第602条民法
民法第六〇二条〈短期賃貸借〉の期間をこえる土地賃貸借の抵当権者及び競落人に対する効力。
裁判要旨民法
第六〇二条〈短期賃貸借〉所定の期間をこえる土地賃貸借は、その登記が抵当権設定登記後になされたものである以上、同条所定期間内においても、抵当権者及び競落人に対抗できない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和38年9月17日 昭和36(オ)759
- 登載
- 民集 第17巻8号955頁
- 参照法条
- 民法395条,民法602条
論点62第602条民法
民法第三九五条〈抵当建物使用者の引渡しの猶予〉の短期賃貸借と競売開始後の法定更新。
裁判要旨民法
第三九五条〈抵当建物使用者の引渡しの猶予〉により抵当権者に対抗しうる土地建物の短期賃貸借の期間が抵当権実行による差押の効力の生じた後に満了した場合には、賃借人は借地法第六条、借家法第二条による法定更新をもつて抵当権者に対抗できない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和38年8月27日 昭和37(オ)222
- 登載
- 民集 第17巻6号871頁
- 参照法条
- 民法395条,民法602条,借地法6条,借家法2条
論点63第602条民法
根抵当権設定後になされた賃貸期間を少くとも一〇年とする建物賃貸借の対抗力。
裁判要旨建物に対し根抵当権が設定かつ登記された後になされ賃貸期間を少くとも一〇年とする当該建物の賃貸借は、右建物の競落人に対抗できない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和38年3月14日 昭和37(オ)958
- 登載
- 集民 第65号139頁
- 参照法条
- 民法395条,民法602条
論点64第602条民法
一 いわゆる連合国財産返還命令による財産権の喪失につき直接憲法第二九条第三項の規程を根拠として国に対し補償を求めることの当否
二 宗教法人令第一一条の不動産処分にあたるとされた事例
三 宗教法人令による法人が宗教法人法による法人に組織変更した場合と宗教法人令当時なした同令第一一条所定の主管者の承認をえない不動産長期賃貸借契約の効力
裁判要旨一 昭和二一年勅令第二九四号「連合国財産の返還に関する件」
第二条〈解釈の基準〉に基く大蔵大臣の命令によつて生じた財産権の喪失につき、直接憲法第二九条第三項の規程を根拠として国に対し補償を求めることはできない。
二 建物所有を目的とし、民法
第六〇二条〈短期賃貸借〉所定の存在期間をこえる土地の賃借契約は、宗教法人令第一一条にいう不動産の処分にあたる。
三 宗教法人令による法人のなした同令第一一条第一項所定の主管者の承認をえない不動産長期賃貸借契約は、その後右法人が宗教法人法による法人に組織変更され、宗教法人法上は右処分につき制限がない場合でも、そのことにより当然に有効となるものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和37年7月20日 昭和36(オ)186
- 登載
- 民集 第16巻8号1632頁
- 参照法条
- 連合国財産の返還等の件(昭和21年勅令294号)2条,憲法29条3項,宗教法人11条,宗教法人法23条,宗教法人法24条,宗教法人法附則5項,宗教法人法18項,民法602条
論点65第602条民法
抵当権と併用して賃借権設定仮登記を経由した者の後順位短期賃借権者に対する明渡請求の可否
裁判要旨抵当権と併用して抵当不動産につき賃借権設定の予約をしその仮登記を経由した者が、予約完結権を行使して賃借権の本登記を経由しても、後順位の短期賃借権者に対し右不動産の明渡を求めることは、右短期賃貸借の解除請求とともにする場合であつてもできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成元年6月5日 昭和61(オ)1454
- 登載
- 民集 第43巻6号355頁
- 参照法条
- 民法395条,民法602条,民法605条
論点66第604条民法
調停成立当時その調書に記載されない(家屋明渡に関する)合意が成立したことを理由とする家屋明渡請求の許否
裁判要旨借地借家調停調書に単に家屋を「昭和二三年九月一〇日まで賃貸する」と記載されただけであつても、右調停期日に当事者間において、右家屋を右約定の日かぎり明け渡す旨の合意が成立した以上、賃貸人はこれを理由として家屋明渡の請求をすることができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和27年12月25日 昭和24(オ)299
- 登載
- 民集 第6巻12号1271頁
- 参照法条
- 民訴法203条,民訴法199条,民法604条
論点67第604条民法
一 建物賃貸借契約書に用いられた「永久貸与」という文言の解釈
二 借家法第一条ノ二にいわゆる正当の事由がある一事例
裁判要旨一 建物賃貸借契約書に用いられた「永久貸与」という文言を、他の証拠等に照らし、単に「長く貸しましよう。長く借りましよう。」という合意をあらわすもので、賃貸借の存続期間を定めたものでないと解釈しても、経験則に違背しない。
二 他人の賃借居住している家屋を譲り受けた者がなした賃貸借契約申入も、後記事実関係(原判決理由参照)のもとでは、借家法第一条ノ二にいわゆる正当の事由がある。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和27年12月11日 昭和26(オ)485
- 登載
- 民集 第6巻11号1139頁
- 参照法条
- 民法617条,民法604条,借家法第1条ノ2