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債権の消滅

民法の出題範囲にある論点です。条文と判例から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

民法は、弁済・代物弁済・更改など、債権を消滅させる複数の方法を定めています。弁済については、現実の提供をした場合の効果や充当の順序など、実務でつまずきやすい周辺ルールも規定されています。また、第三者が弁済した場合に債権者の権利を引き継ぐ「弁済による代位」や、過大な代物弁済に対する詐害行為取消の特則も、この分野の実務上の論点です。

債権の消滅
制度効果ポイント
弁済債権が消滅する現実に履行した時点で消滅(473条)
弁済の提供履行遅滞の責任を免れる提供だけでは債権は消滅しない(492条)
代物弁済債権が消滅する契約どおり他の給付をした時に効力(482条)
更改従前の債務が消滅する新たな債務の発生と引換え(513条)
弁済による代位代位者が債権者の権利を取得求償できる範囲内でのみ行使可(501条)
一部代位債権者とともに権利行使債権者の同意が必要(502条)
過大な代物弁済等超過部分のみ取消請求可消滅した債務額を超える部分に限る(424条の4)
  • 弁済の充当は、弁済者と受領者の間に順序の合意があればその合意が優先する(490条)
  • 一部代位の場合でも、債権者は単独で権利を行使できる(502条2項)
  • 一部代位で債権者が行使する権利は、代位者が行使する権利に優先する(502条3項)
  • 一部代位の場合、不履行による契約解除は債権者のみができ、代位者へ弁済した価額と利息を償還する(502条4項)
  • 代位の割合は、第三取得者・保証人・物上保証人の間で細かく定められている(501条3項)
  • 弁済の提供は原則現実にする必要があるが、債権者があらかじめ受領を拒む等の場合は口頭の提供で足りる(493条)
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債権の消滅

債権の消滅について、条文は何を定めているか。

第424_4条過大な代物弁済等の特則1項判例なし
第490条合意による弁済の充当弁済の充当順序は合意があればそれに従う1項判例 4件
  • 弁済者と受領者の間で充当順序の合意があれば、その順序で充当する
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第499条弁済による代位の要件第三者が弁済すると債権者に代位する1項判例なし
  • 債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する
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第501条弁済による代位の効果代位者は債権者が持っていた権利を行使できる3項・5号判例 22件
  • 債権の効力や担保に関する一切の権利を行使できる
  • 自己が求償できる範囲内に限り行使できる
  • 第三取得者・保証人・物上保証人の間で代位の割合が定められている
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第502条一部弁済による代位一部だけ代位弁済した場合のルール4項判例 3件
  • 一部代位者は債権者の同意を得て、弁済した価額に応じ債権者とともに権利行使できる
  • 債権者はこの場合でも単独で権利行使でき、その権利が代位者に優先する
  • 不履行による契約解除は債権者のみができ、代位者へ弁済額と利息を償還する
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第473条弁済弁済すれば債権は消滅する1項判例 2件
  • 債務者が債権者に弁済をしたときは、その債権は消滅する
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第492条弁済の提供の効果弁済の提供をすれば履行遅滞の責任を免れる1項判例 4件
  • 弁済の提供の時から、履行しないことによる責任を免れる
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第493条弁済の提供の方法弁済の提供は原則現実にする1項判例 20件
  • 債務の本旨に従い現実の提供をする必要がある
  • 債権者があらかじめ受領を拒む等の場合は口頭の提供で足りる
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第482条代物弁済代物弁済は契約と給付の実行で債権消滅1項判例 37件
  • 債権者との契約で本来の給付に代えて他の給付をする
  • 弁済者が実際にその給付をした時、弁済と同一の効力が生じる
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第513条更改更改で新しい債務に入れ替わり従前の債務は消滅する1項・3号判例 3件
  • 給付内容の重要な変更、債務者の交替、債権者の交替のいずれかで発生
  • この新たな債務の発生により、従前の債務は消滅する
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第490条民法

不動産競売手続における配当金が同一担保権者の有する数個の被担保債権のすべてを消滅させるに足りない場合と弁済充当の方法

裁判要旨不動産競売手続における配当金が同一担保権者の有する数個の被担保債権のすべてを消滅させるに足りない場合には、弁済充当の指定に関する特約があつても、その配当金は、民法四八九条〈元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当〉ないし四九一条〈数個の給付をすべき場合の充当〉の規定に従つて右数個の債権に充当される。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和62年12月18日 昭和62(オ)893
登載
民集 第41巻8号1592頁
参照法条
民法488条,民法489条,民法490条,民法491条,民事執行法85条,民事執行法188条
論点2第490条民法

融資契約に定められた限度をこえて貸付が行われたのち一部弁済があつた場合と保証人の責任。

裁判要旨融資契約で定められた貸付限度をこえる金額の貸付が行われ、のち一部弁済があつた場合は、該弁済が融資契約による限度内の元金に充当されたのか、それをこえる元金に充当されたのかを確定しないかぎり、融資契約についての保証人の責任の範囲を判定しえないと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年4月17日 昭和38(オ)671
登載
集民 第73号239頁
参照法条
民法448条,民法490条
論点3第490条民法

一 債務者複数の根抵当権についての配当金が被担保債権のすべてを消滅させるに足りない場合における被担保債権への充当方法
二 債務者複数の根抵当権についての配当金を各債務者に対する債権を担保するための部分に案分する場合において同一の目的を有する複数の被担保債権があるときの案分の基礎となる被担保債権額の算出方法

裁判要旨一 不動産競売手続における債務者複数の根抵当権についての配当金が被担保債権のすべてを消滅させるに足りない場合においては、配当金を各債務者に対する債権を担保するための部分に被担保債権額に応じて案分した上、右案分額を民法四八九条ないし四九一条〈数個の給付をすべき場合の充当〉の規定に従って各債務者に対する被担保債権に充当すべきである。
二 不動産競売手続における債務者複数の根抵当権についての配当金を各債務者に対する債権を担保するための部分に案分する場合には、ある債務者に対する債権の弁済によって他の債務者に対する債権も消滅するという関係にある複数の被担保債権があるときにおいても、いずれの債権もその全額を案分の基礎となる各債務者の被担保債権額に算入すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成9年1月20日 平成6(オ)2122
登載
民集 第51巻1号1頁
参照法条
民法398条ノ2,民法398条ノ14,民法489条,民法490条,民法491条,民事執行法85条
論点4第490条民法

配当表記載の根抵当権者の配当額に相当する金銭が供託され,その後,当該根抵当権者に対し上記配当表記載のとおりに配当がされる場合における,当該供託金の充当方法

裁判要旨担保不動産競売の手続における配当表記載の根抵当権者の配当額について配当異議の訴えが提起されたためにその配当額に相当する金銭が供託され,その後,当該根抵当権者が上記訴えに係る訴訟において勝訴したことにより,当該根抵当権者に対し上記配当表記載のとおりに配当がされる場合には,当該供託金は,その支払委託がされた時点における被担保債権に民法489条から491条までの規定に従った充当がされる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成27年10月27日 平成25(受)2415
登載
民集 第69巻7号1763頁
参照法条
民法489条,民法490条,民法491条,民事執行法85条1項,民事執行法85条6項,民事執行法90条,民事執行法91条1項7号,民事執行法92条1項,民事執行法188条,民事執行規則61条,民事執行規則173条1項,供託規則30条1項
論点5第501条民法

共同抵当の目的である物上保証人所有不動産と債務者所有不動産が同時に競売された場合における物上保証人と後順位抵当権者との優劣

裁判要旨物上保証人所有の甲不動産と債務者所有の乙不動産とを共同抵当の目的とする順位一番の抵当権が設定されているとともに乙不動産に後順位の抵当権が設定されている場合において、甲乙不動産が同時に競売され、共同抵当権者が甲不動産の売却代金の交付による弁済を受けたときは、物上保証人は、乙不動産につき、後順位抵当権者に優先して、順位一番の抵当権を代位により取得する。

(反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和61年4月18日 昭和60(オ)1084
登載
集民 第147号575頁
参照法条
民法392条,民法500条,民法501条
論点6第501条民法

代位弁済者の債権者から代位取得した原債権又はその連帯保証債権の給付請求を認容する場合と判決主文における求償権の表示

裁判要旨代位弁済者が債権者から代位取得した原債権又はその連帯保証債権の給付を求める訴訟において、裁判所が請求を認容する場合には、求償権の額が原債権の額を常に上回るものと認められる特段の事情のない限り、主文において、請求を認容する限度として求償権を表示すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和61年2月20日 昭和58(オ)881
登載
民集 第40巻1号43頁
参照法条
民法501条,民訴法191条
論点7第501条民法

保証人・物上保証人の両資格を兼ねる者と弁済による代位の割合

裁判要旨保証人又は物上保証人とその両資格を兼ねる者との間の弁済による代位の割合は、両資格を兼ねる者も一人として、全員の頭数に応じた平等の割合であると解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和61年11月27日 昭和57(オ)749
登載
民集 第40巻7号1205頁
参照法条
民法501条
論点8第501条民法

一 共同抵当の目的である債務者所有の甲不動産及び物上保証人所有の乙不動産に債権者を異にする後順位抵当権が設定され乙不動産が先に競売された場合に甲不動産から弁済を受けるときにおける甲不動産の後順位抵当権者と乙不動産の後順位抵当権者の優劣
二 物上保証人がその所有の不動産及び債務者所有の不動産につき共同抵当権を有する債権者との間で代位権不行使の特約をした場合と物上保証人所有の不動産の後順位抵当権者の優先弁済を受ける権利
三 債権の一部につき代位弁済がされた場合の競落代金の配当についての債権者と代位弁済者との優劣

裁判要旨一 共同抵当の目的である債務者所有の甲不動産及び物上保証人所有の乙不動産にそれぞれ債権者を異にする後順位抵当権が設定されている場合において、乙不動産が先に競売されて一番抵当権者が弁済を受けたときは、乙不動産の後順位抵当権者は、物上保証人に移転した甲不動産に対する一番抵当権から甲不動産の後順位抵当権者に優先して弁済を受けることができる。
二 物上保証人が、その所有の不動産及び債務者所有の不動産につき共同抵当権を有する債権者との間で、債権者の同意がない限り弁済等により取得する権利を行使しない旨の特約をしても、物上保証人所有の不動産の後順位抵当権者は、物上保証人が弁済等により代位取得する抵当権から優先弁済を受ける権利を失わない。
三 債権の一部につき代位弁済がされた場合、右債権を被担保債権とする抵当権の実行による競落代金の配当については、代位弁済者は債権者に劣後する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和60年5月23日 昭和56(オ)1175
登載
民集 第39巻4号940頁
参照法条
民法304条,民法351条,民法372条,民法392条2項,民法500条,民法501条,民法502条1項
論点9第501条民法

代位弁済をした保証人に対して債務者のした内入金の支払と求償権及び原債権に対する弁済関係

裁判要旨保証人が債権者に代位弁済をしたのちに、債務者から保証人に対して内入金の支払がされたときは、保証人が代位弁済によつて取得した求償権と債権者に代位した原債権とのそれぞれにつき内入弁済があつたものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和60年1月22日 昭和53(オ)883
登載
集民 第144号1頁
参照法条
民法501条
論点10第501条民法

一 保証人と債務者との間に成立した求償権につき約定利率による遅延損害金を支払う旨の特約と民法五〇一条所定の代位の範囲
二 保証人と物上保証人との間に成立した民法五〇一条但書五号所定の代位の割合と異なる特約の第三者に対する効力

裁判要旨一 保証人と債務者との間に求償権について法定利息と異なる約定利率による遅延損害金を支払う旨の特約がある場合には、代位弁済をした右保証人は、物上保証人及び当該物件の後順位担保権者等の利害関係人に対する関係において、債権者の有していた債権及び担保権につき、右特約に基づく遅延損害金を含む求償権の総額を上限として、これを行使することができる。
二 保証人と物上保証人との間に民法五〇一条但書五号所定の代位の割合と異なる特約がある場合には、代位弁済をした右保証人は、物上保証人の後順位担保権者等の利害関係人に対する関係において、右特約の割合に応じて債権者が物上保証人に対して有していた抵当権等の担保権を代位行使することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和59年5月29日 昭和55(オ)351
登載
民集 第38巻7号885頁
参照法条
民法442条2項,民法459条,民法501条
論点11第501条民法

一 保証人と債務者との間に成立した求償権につき約定利率による遅延損害金を支払う旨の特約と民法五〇一条所定の代位の範囲
二 保証人と物上保証人との間に成立した民法五〇一条但書五号所定の代位の割合と異なる特約の第三者に対する効力

裁判要旨一 保証人と債務者との間に求償権について法定利息と異なる約定利率による遅延損害金を支払う旨の特約がある場合には、代位弁済をした右保証人は、物上保証人及び当該物件の後順位担保権者等の利害関係人に対する関係において、債権者の有していた債権及び担保権につき、右特約に基づく遅延損害金を含む求償権の総額を上限として、これを行使することができる。
二 保証人と物上保証人との間に民法五〇一条但書五号所定の代位の割合と異なる特約がある場合には、代位弁済をした右保証人は、物上保証人の後順位担保権者等の利害関係人に対する関係において、右特約の割合に応じて債権者が物上保証人に対して有していた抵当権等の担保権を代位行使することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和59年11月16日 昭和54(オ)448
登載
集民 第143号165頁
参照法条
民法442条2項,民法459条,民法501条
論点12第501条民法

一 保証人と債務者との間に成立した求償権につき約定利率による遅延損害金を支払う旨の特約と民法五〇一条所定の代位の範囲
二 保証人と物上保証人との間に成立した民法五〇一条但書五号所定の代位の割合と異なる特約の第三者に対する効力

裁判要旨一 保証人と債務者との間に求償権について法定利息と異なる約定利率による遅延損害金を支払う旨の特約がある場合には、代位弁済をした右保証人は、物上保証人及び当該物件の後順位担保権者等の利害関係人に対する関係において、債権者の有していた債権及び担保権につき、右特約に基づく遅延損害金を含む求償権の総額を上限として、これを行使することができる。
二 保証人と物上保証人との間に民法五〇一条但書五号所定の代位の割合と異なる特約がある場合には、代位弁済をした右保証人は、物上保証人の後順位担保権者等の利害関係人に対する関係において、右特約の割合に応じて債権者が物上保証人に対して有していた抵当権等の担保権を代位行使することができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和59年10月4日 昭和55(オ)252
登載
集民 第143号1頁
参照法条
民法442条2項,民法459条,民法501条
論点13第501条民法

一、後順位仮登記担保権者の先順位仮登記担保権者に対する債務者のためにする弁済と法定代位
二、先順位仮登記担保権者に対する代位弁済により先順位仮登記担保権者の有する抵当権及び仮登記担保権を取得した後順位仮登記担保権者の右抵当権設定登記及び仮登記抹消登記手続請求の可否

裁判要旨一、同一不動産を目的とする後順位仮登記担保権者は、債務者のために先順位仮登記担保権者の被担保債権を弁済するにつき民法五〇〇条にいう「正当ノ利益」を有する。
二、先順位仮登記担保権者に対する代位弁済により先順位仮登記担保権者の有する抵当権及び仮登記担保権を取得した後順位仮登記担保権者は、自己の債権につき債務者に履行遅滞があつたことにより代物弁済予約完結の意思表示をし、又は停止条件が成就したときは、先順位仮登記担保権者に対し、右抵当権設定登記及び仮登記の抹消登記手続を請求することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和51年3月19日 昭和50(オ)1125
登載
集民 第117号223頁
参照法条
民法369条,民法482条,民法500条,民法501条,民法556条,不動産登記法2条,不動産登記法7条2項
論点14第501条民法

一、信用保証委託約定書六条〈未成年者の営業の許可〉一、二項の解釈
二、代位弁済による求償債権の損害金に関する特約と第三者

裁判要旨一、信用保証委託約定書六条〈未成年者の営業の許可〉一、二項の約定は、信用保証協会が債務を弁済した場合において、求償権及び代位の範囲を第三者との関係についても定めたものではなく、単に保証人との間において右協会に負担部分がないことを定めたものと解すべきである。
二、信用保証協会が債務者及び保証人と、右協会の代位弁済による求償債権の損害金につき法定利息と異なる約定をしても、右協会は右約定を第三者に対抗することはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和49年11月5日 昭和47(オ)897
登載
集民 第113号89頁
参照法条
民法442条,民法465条,民法501条
論点15第501条民法

不動産の後順位抵当権者が債務者のために先順位抵当権者に対してなした弁済に法定代位が認められないとされた事例

裁判要旨債務者が債権者のために不動産につき根抵当権を設定するとともに、担保として商品を提供している等判示のような事情がある場合に、第三者が債権者と右商品を債務者のために返還する約定のもとに債務者のために債権者に対し被担保債権を弁済したときは、特段の事情がない限り右抵当権は消滅するものと解すべきであつて、右第三者が右不動産に対する後順位抵当権者であつても法定代位は生じない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和37年3月15日 昭和33(オ)94
登載
集民 第59号185頁
参照法条
民法500条,民法501条
論点16第501条民法

物上保証人甲所有の不動産と物上保証人乙所有の不動産を共同抵当の目的として抵当権が設定され甲所有の不動産が先に競売された場合における甲所有不動産の後順位抵当権者の地位

裁判要旨物上保証人甲所有の不動産と物上保証人乙所有の不動産を共同抵当の目的として抵当権が設定された場合において、甲所有の不動産が先に競売されて先順位抵当権者が弁済を受けたときは、甲所有不動産の後順位抵当権者は、甲が乙に対する求償権の範囲内において代位取得する乙所有不動産の先順位抵当権から優先して弁済を受けることができ、右優先弁済権を主張するについては登記を要しない。
(反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成元年11月24日 昭和63(オ)1539
登載
集民 第158号225頁
参照法条
民法177条,民法304条1項,民法372条,民法392条2項,民法501条3号,民法501条4号
論点17第501条民法

一 主たる債務者の破産手続において債権全額を代位弁済した保証人が債権の届出名義の変更の申出をした場合における求償権の消滅時効の中断
二 主たる債務者の破産手続において債権全額を代位弁済した保証人が債権調査期日の後に債権の届出名義の変更の申出をした場合における求償権の消滅時効期間

裁判要旨一 債権者が主たる債務者の破産手続において債権全額の届出をした後、右債権全額を代位弁済した保証人が、破産裁判所に債権の届出をした者の地位を承継した旨の届出名義の変更の申出をしたときは、右代位弁済により保証人が取得した求償権の消滅時効は、右求償権の全部について右届出名義の変更の申出の時から破産手続の終了に至るまで中断する。
二 債権者が主たる債務者の破産手続において債権全額の届出をした後、右債権全額を代位弁済した保証人が、債権調査期日の後になって破産裁判所に債権の届出をした者の地位を承継した旨の届出名義の変更の申出をしたときは、債権調査期日において届出債権について破産管財人、破産債権者及び破産者に異議がなかったときであっても、求償権の消滅時効期間は、民法一七四条ノ二第一項により一〇年に変更されるものではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成9年9月9日 平成7(オ)740
登載
集民 第185号287頁
参照法条
民法147条,民法152条,民法174条ノ2第1項,民法501条,破産法26条2項,破産法240条1項,破産法287条1項
論点18第501条民法

担保権の設定された物件が弁済までの間に共同相続により共有となった場合における民法五〇一条五号にいう「頭数」の意義

裁判要旨民法五〇一条五号〈弁済による代位の効果〉にいう「頭数」は、単独所有であった物件に担保権が設定された後、これが弁済までの間に共同相続により共有となった場合には、弁済の時における物件の共有持分権者をそれぞれ一名として数えるべきである。

(反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成9年12月18日 平成5(オ)1128
登載
集民 第186号641頁
参照法条
民法501条
論点19第501条民法

一 主たる債務者の破産手続の債権調査期日終了後に債権全額を弁済した保証人が債権の届出名義の変更の申出をした場合における右保証人の求償権の消滅時効の中断
二 主たる債務者の破産手続の債権調査期日において債権者の届出債権につき異議がなく保証人がその後に債権全額を弁済した場合における求償権の消滅時効期間

裁判要旨一 債権者が主たる債務者の破産手続において債権全額の届出をし、保証人が、債権調査期日終了後に債権全額を弁済した上、破産裁判所に債権の届出をした者の地位を承継した旨の届出名義の変更の申出をしたときは、右弁済により保証人が取得した求償権の消滅時効は、右求償権の全部について右届出名義の変更の時から破産手続の終了に至るまで中断する。
二 主たる債務者の破産手続の債権調査期日において債権者の届出債権につき破産管財人、破産債権者及び破産者に異議がなく、保証人が、その後に債権全額を弁済した上、破産裁判所に債権の届出をした者の地位を承継した旨の届出名義の変更の申出をしたときであっても、右弁済により保証人が取得した求償権の消滅時効期間は、民法一七四条ノ二第一項により一〇年に変更されるものではない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成7年3月23日 平成3(オ)1493
登載
民集 第49巻3号984頁
参照法条
民法147条,民法152条,民法501条,民法174条ノ2第1項,破産法26条2項,破産法240条1項,破産法287条1項
論点20第501条民法

和議認可決定を受けた連帯保証人の一人に対し他の連帯保証人が和議開始決定後の弁済により取得した求償権の行使の要件とその限度

裁判要旨連帯保証人の一人について和議認可決定が確定した場合に、和議開始決定後の弁済により右連帯保証人に対して求償権を取得した他の連帯保証人は、債権者が債権全部の弁済を受けたときに限り、右弁済による代位によって取得する債権者の和議債権(和議条件により変更されたもの)の限度で右求償権を行使することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成7年1月20日 平成3(オ)491
登載
民集 第49巻1号1頁
参照法条
民法501条,和議法45条,和議法57条,破産法24条,破産法26条,破産法326条
論点21第501条民法

共同抵当権の目的不動産が同一の物上保証人の所有に属する場合と後順位抵当権者の代位

裁判要旨共同抵当権の目的たる甲・乙不動産が同一の物上保証人の所有に属する場合において、甲不動産の代価のみを配当するときは、甲不動産の後順位抵当権者は、民法三九二条二項〈共同抵当における代価の配当〉後段の規定に基づき、先順位の共同抵当権者に代位して乙不動産に対する抵当権を行使することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成4年11月6日 平成1(オ)1688
登載
民集 第46巻8号2625頁
参照法条
民法392条,民法500条,民法501条
論点22第501条民法

自動車の購入者と販売会社との間で当該自動車の所有権が売買代金債権を担保するため販売会社に留保される旨の合意がされ,売買代金債務の保証人が販売会社に対し保証債務の履行として売買代金残額を支払った後,購入者の破産手続が開始した場合において,保証人が留保所有権を別除権として行使することの可否

裁判要旨自動車の購入者と販売会社との間で当該自動車の所有権が売買代金債権を担保するため販売会社に留保される旨の合意がされ,売買代金債務の保証人が販売会社に対し保証債務の履行として売買代金残額を支払った後,購入者の破産手続が開始した場合において,その開始の時点で当該自動車につき販売会社を所有者とする登録がされているときは,保証人は,上記合意に基づき留保された所有権を別除権として行使することができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成29年12月7日 平成29(受)408
登載
民集 第71巻10号1925頁
参照法条
破産法49条,破産法65条1項,民法369条(所有権留保),民法500条,民法501条
論点23第501条民法

求償権が再生債権である場合において共益債権である原債権を再生手続によらないで行使することの可否

裁判要旨弁済による代位により民事再生法上の共益債権を取得した者は,同人が再生債務者に対して取得した求償権が再生債権にすぎない場合であっても,再生手続によらないで上記共益債権を行使することができる。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成23年11月24日 平成22(受)1587
登載
民集 第65巻8号3213頁
参照法条
民法501条,民事再生法85条1項,民事再生法121条1項,民事再生法121条2項
論点24第501条民法

求償権が破産債権である場合において財団債権である原債権を破産手続によらないで行使することの可否

裁判要旨弁済による代位により財団債権を取得した者は,同人が破産者に対して取得した求償権が破産債権にすぎない場合であっても,破産手続によらないで上記財団債権を行使することができる。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成23年11月22日 平成22(受)78
登載
民集 第65巻8号3165頁
参照法条
民法501条,破産法2条5項,破産法2条7項,破産法100条1項,破産法151条
論点25第501条民法

物上保証人に対する不動産競売の開始決定正本が主債務者に送達された後に保証人が代位弁済をした上で差押債権者の承継を執行裁判所に申し出たが承継の申出について民法155条所定の通知がされなかった場合における保証人の主債務者に対する求償権の消滅時効の中断の有無

裁判要旨債権者が物上保証人に対して申し立てた不動産競売の開始決定正本が主債務者に送達された後に,主債務者から保証の委託を受けていた保証人が,代位弁済をした上で,債権者から物上保証人に対する担保権の移転の付記登記を受け,差押債権者の承継を執行裁判所に申し出た場合には,上記承継の申出について主債務者に対して民法155条所定の通知がされなくても,上記代位弁済によって保証人が主債務者に対して取得する求償権の消滅時効は,上記承継の申出の時から上記不動産競売の手続の終了に至るまで中断する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成18年11月14日 平成17(受)1594
登載
民集 第60巻9号3402頁
参照法条
民法147条,民法155条,民法501条,民事執行規則171条
論点26第501条民法

一 構成員に会社を含む共同企業体の債務と各構成員の連帯債務関係
二 和議開始の申立てをした連帯債務者の一人に対し他の連帯債務者が右申立てを知って和議開始決定前の弁済により取得した求償権をもって相殺することの可否
三 和議認可決定を受けた連帯債務者の一人に対し他の連帯債務者が和議開始決定後の弁済により取得した求償権をもってする相殺の要件及び限度

裁判要旨一 構成員に会社を含む共同企業体の各構成員は、共同企業体がその事業のために第三者に対して負担した債務につき連帯債務を負う。
二 連帯債務関係が発生した後に連帯債務者の一人が和議開始の申立てをした場合において、右申立てを知って和議開始決定前の弁済により求償権を取得した他の連帯債務者は、右求償権をもって和議債務者の債権と相殺することができる。
三 連帯債務者の一人について和議認可決定が確定した場合において、和議開始決定後の弁済により求償権を取得した他の連帯債務者は、債権者が全額の弁済を受けたときに限り、右弁済によって取得する債権者の和議債権(和議条件により変更されたもの)の限度で右求償権をもって和議債務者の債権と相殺することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成10年4月14日 平成6(オ)2137
登載
民集 第52巻3号813頁
参照法条
民法442条,民法501条,民法675条,商法511条1項,和議法5条,和議法45条,和議法57条,破産法24条,破産法26条,破産法104条,破産法326条
論点27第502条民法

不動産を目的とする1個の抵当権が数個の債権を担保しそのうちの1個の債権のみについての保証人が当該債権に係る残債務全額につき代位弁済した場合において当該抵当不動産の換価による売却代金が被担保債権のすべてを消滅させるに足りないときの上記売却代金からの弁済受領額

裁判要旨不動産を目的とする1個の抵当権が数個の債権を担保し,そのうちの1個の債権のみについての保証人が当該債権に係る残債務全額につき代位弁済した場合において,当該抵当不動産の換価による売却代金が被担保債権のすべてを消滅させるに足りないときには,債権者と保証人は,両者間に上記売却代金からの弁済の受領についての特段の合意がない限り,上記売却代金につき,債権者が有する残債権額と保証人が代位によって取得した債権額に応じて案分して弁済を受ける。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成17年1月27日 平成16(受)1019
登載
民集 第59巻1号200頁
参照法条
民法249条,民法264条,民法502条1項
論点28第502条民法

債務者に対する破産宣告後に物上保証人から届出債権の一部の弁済を受けた破産債権者が権利を行使し得る範囲

裁判要旨債権の全額を破産債権として届け出た債権者は,債務者に対する破産宣告後に物上保証人から届出債権の弁済を受けても,その全部の満足を得ない限り,届出債権の全額について破産債権者としての権利を行使することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成14年9月24日 平成12(受)1584
登載
民集 第56巻7号1524頁
参照法条
破産法24条,破産法26条,民法351条,民法372条,民法502条1項
論点29第473条民法

いわゆる学校債券が無記名証券にあたるとされた事例

裁判要旨学校法人が設備拡充資金の借入れを目的とし、一般の起債の方法により作成、発行した左記の学園債券は、無記名証券にあたる。
(学園債権は末尾添付)
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和44年6月24日 昭和43(オ)1227
登載
民集 第23巻7号1143頁
参照法条
民法86条3項,民法473条,商法517条,商法519条
論点30第473条民法

被害者の有する自賠法16条1項の規定による請求権の額と労災保険法12条の4第1項により国に移転した上記請求権の額の合計額が自動車損害賠償責任保険の保険金額を超える場合において、自動車損害賠償責任保険の保険会社が国の上記請求権の行使を受けて国に対してした支払の効力

裁判要旨被害者の有する自賠法16条1項の規定による請求権の額と労災保険法12条の4第1項により国に移転した上記請求権の額の合計額が自動車損害賠償責任保険の保険金額を超える場合であっても、自動車損害賠償責任保険の保険会社が国の上記請求権の行使を受けて国に対して上記保険金額の限度でした損害賠償額の支払は、有効な弁済に当たる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 令和4年7月14日 令和3(受)1473
登載
民集 第76巻5号1205頁
参照法条
自動車損害賠償保障法(自賠法)16条1項、労働者災害補償保険法(労災保険法)12条の4第1項、民法473条
論点31第492条民法

一、いわゆる仮登記担保者と仮登記に遅れて目的不動産を占有する第三者に対する右不動産の換価処分における損害賠償請求
二、目的不動産の換価処分前に被担保債権について弁済の提供を受けその受領を拒絶したいわゆる仮登記担保権者と仮登記に遅れて右不動産を賃借し占有する第三者に対する明渡請求

裁判要旨一、いわゆる仮登記担保権者は、目的不動産の換価処分前においては、自己が右不動産を使用収益することができる旨の約定がある等特段の事情のないかぎり、仮登記に遅れて右不動産を賃借し占有する第三者に対し、賃料相当の損害金の賠償を請求することができない。
二、いわゆる仮登記担保権者が、目的不動産の換価処分前に、被担保債権について適法な弁済の提供を受けその受領を拒絶しながら、換価手続の一環として、仮登記に遅れて右不動産を賃借し占有する第三者に対しその明渡を請求することは、許されない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和50年2月25日 昭和46(オ)653
登載
民集 第29巻2号112頁
参照法条
民法369条,民法413条,民法482条,民法492条,民法556条,民法709条,不動産登記法2条2号,不動産登記法7条2項
論点32第492条民法

賃貸人の賃借人に対する賃貸物を使用収益させる義務につき民法四九二条を適用し賃貸人が債務不履行の責を負わないとされた事例

裁判要旨賃貸建物に隣接する賃貸人所有建物が賃貸建物に倒れかかり危険なため、賃貸人において大工に依頼し補強工事をするにあたり、賃貸建物内にある賃借人所有の品物を一時搬出しなければ作業ができないため、賃借人にこれを告げて搬出方の協力を求めたが、賃借人においてこれに応じないため右補強工事をなしえなかつたとの判示事情があるときは、賃貸人はその負担する義務の履行につき準備をととのえて債権者である賃借人の協力を求めたもので、その債務の履行を提供したものとして、以後債務不履行の責を免れる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和45年10月13日 昭和45(オ)548
登載
集民 第101号71頁
参照法条
民法492条,民法493条
論点33第492条民法

賃料増額の請求がなされた場合と従前の額による賃料提供の適否。

裁判要旨賃料増額の請求がなされた場合には、従前の賃料額と適正増額賃料額との差が僅少である等信義則上従前の賃料額の提供をもつて債務の本旨に従つた履行の提供とみられるような特別の事情があるときのほか、債務者は、従前の賃料額をもつて相当であると考えたとしても、従前の賃料額を提供しただけでは、履行遅滞の責を免れない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年12月10日 昭和38(オ)1365
登載
民集 第19巻9号2117頁
参照法条
借家法7条,民法492条,民法541条
論点34第492条民法

一 供託金額の不足が弁済提供および供託の効力に影響を及ぼさない事例
二 売渡担保の目的物返還義務不履行による損害額算定の時期

裁判要旨一 消費貸借上の債務弁済のため提供供託された元利合計金一五万三一四〇円が、正当な元利合計額に金一、三〇〇余円不足するとしても、この一事により弁済提供および供託の効果を否定することはできない。
二 債権者が弁済期到来前売渡担保の目的物である山林の立木を伐採したため、弁済により右山林の所有権が債務者に復帰した場合立木の引渡不能によつて債務者の被るべき損害の額は、右不能が確定的となつた伐採時の価格を基準として算出すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和35年12月15日 昭和33(オ)483
登載
民集 第14巻14号3060頁
参照法条
民法492条,民法494条,民法415条
論点35第493条民法

出張・外勤命令に従わず内勤業務に従事した従業員らに対し使用者が賃金の支払義務を負わないとされた事例

裁判要旨使用者が、従業員らに対し、文書により個別に、就業すべき日、時間、場所及び業務内容を指定して出張・外勤を命ずる業務命令を発したが、従業員らが、いずれも所属労働組合の外勤・出張拒否闘争に従い、右指定された時間に会社に出勤し、内勤の場合における各人の分担に応じ内勤業務に従事し、右業務命令に対応する労務を提供しなかつた等、判示の事実関係の下においては、右従業員らは債務の本旨に従つた労務の提供をしたものとはいえず、使用者は、その時間に対応する賃金の支払義務を負わない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和60年3月7日 昭和55(オ)39
登載
集民 第144号141頁
参照法条
民法493条,労働基準法24条
論点36第493条民法

一、裁判上の和解において定められた債権債務が同時履行の関係にあるとされた事例
二、弁済のための銀行振出小切手の持参と現実の提供

裁判要旨一、裁判上の和解において甲が一定期日に乙に対し金員の支払をなすべき旨定められていても、他方、乙は甲から右金員の支払を受けると同時に甲に対し登記手続をすべき旨定められているときは、特別の事情の存しないかぎり、右両債務は同時履行の関係にある。
二、債務者が弁済のため銀行振出小切手を債権者方に持参してその受領を催告すれば、これを債権者の面前に提出しなくても、現実に弁済の提供をしたものとみるのが相当である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和48年12月11日 昭和47(オ)1174
登載
集民 第110号653頁
参照法条
民法493条,民法533条,民訴法203条
論点37第493条民法

取立払の定めのある賃料を債権者が取立に赴かなくてもその不払を理由とする賃貸借契約の解除が許されるとされた事例

裁判要旨六箇月ごとの取立払の定めのある賃料につき、賃貸人が再三賃借人方に取立に赴きまた督促のため電話したのに対し、賃借人がその事実を知りながら支払の意思を示す態度がなかつたなどの判示の事実関係のもとにおいて、賃貸人が一年七箇月分の賃料を持参して支払うよう催告し、催告期間内に賃借人方に取立に赴かなかつたとしても、賃借人が弁済の準備をしその旨を賃貸人に通知して取立を促す等信義則上の措置に出ないで催告期間を徒過したときは、賃貸人は、右催告にかかる賃料の不払を理由に、賃貸借契約を解除することができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年1月20日 昭和46(オ)882
登載
集民 第105号7頁
参照法条
民法484条,民法493条,民法541条,民法601条,民法1条2項
論点38第493条民法

建物の賃貸人が現実に提供された賃料の受領を拒絶した場合とその後における賃料不払を理由とする契約の解除

裁判要旨建物の賃貸人が現実に提供された賃料の受領を拒絶したときは、特段の事情がないかぎり、その後において提供されるべき賃料についても、受領拒絶の意思を明確にしたものと解すべきであり、右賃貸人が賃借人の賃料の不払を理由として契約を解除するためには、単に賃料の支払を催告するだけでは足りず、その前提として、受領拒絶の態度を改め、以後賃料を提供されれば確実にこれを受領すべき旨を表示する等、自己の受領遅滞を解消させるための措置を講じなければならない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和45年8月20日 昭和42(オ)803
登載
民集 第24巻9号1243頁
参照法条
民法413条,民法493条
論点39第493条民法

債権者において弁済を受領しない意思が明確な場合でも弁済の提供をしない債務者は債務不履行の責を免れないとされた事例

裁判要旨弁済の準備ができない経済状態にあるため言語上の提供もできない債務者は、債権者が弁済を受領しない意思が明確な場合であつても、弁済の提供をしないかぎり、債務不履行の責を免れない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年5月1日 昭和42(オ)1424
登載
民集 第23巻6号935頁
参照法条
民法493条
論点40第493条民法

取立払の定のある債務について債権者が取立に赴かなくても解除権の行使が許されるとされた事例

裁判要旨取立払の定のある賃料について、増額請求を受けた賃借人が、賃貸人の一箇月分の賃料の取立にさいしてその全額の支払を拒絶し、その後引続き適正額の賃料の支払をも拒絶する態度を示している等判示事実関係のもとにおいては、賃貸人が客観的に適正とされる額によつて五年分の賃料を自己の住所へ持参して支払うよう催告し、催告期間内に賃借人の住所に取立のため赴かなかつたとしても、賃借人が弁済の準備をしその旨を賃貸人に通知して取立を促がす等の措置に出ないで催告期間を徒過したときには、賃貸人は、賃貸借契約を解除することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年8月2日 昭和42(オ)1066
登載
集民 第92号55頁
参照法条
民法484条,民法493条,民法541条,民法601条,民法1条2項
論点41第493条民法

供託金につき一部弁済の効力が否定された事例

裁判要旨原判決認定の事実関係(原判決理由参照)のもとにおいて、土地の賃料として金員(一三三二万余円)が供託され、また、右供託金につき賃貸人(土地所有者)に対する税金滞納処分により強制的に還付手続が行なわれたとしても、一部弁済の効力を生ずるものとはいえない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年6月21日 昭和40(オ)1479
登載
集民 第91号387頁
参照法条
民法493条,民法494条
論点42第493条民法

債務の本旨にしたがつた賃料債務の履行の提供にあたらないとされた事例

裁判要旨原審認定の事実関係のもとでは、土地賃借人の賃料債務の履行の提供ないし供託は約定の範囲を越えた土地の賃貸を右履行の受領により招来させるためのものであり、債務の本旨に従つたものとなすを得ない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和42年7月13日 昭和42(オ)439
登載
集民 第88号27頁
参照法条
民法493条
論点43第493条民法

根抵当の被担保債権総額が極度額を越える場合と債務の本旨に従つた弁済の提供

裁判要旨根抵当の被担保債権総額が極度額を越える場合において、右極度額を提供したのみでは、当然に債務の本旨に従つた弁済の提供をなしたものということはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和41年6月23日 昭和39(オ)1478
登載
集民 第83号905頁
参照法条
民法493条
論点44第493条民法

賃借人のした延滞賃料の弁済提供・供託金額の不足が債務の本旨に従わないものでないとされた事例

裁判要旨賃料債務について履行遅滞にある賃借人が、賃貸人から賃貸借を解除される前に右延滞賃料額金一、六二〇円を弁済のため提供し、供託した場合において、右金額が正当な債務額より遅延損害金たる金一二円七〇銭ないし一四円が不足するとしても、右弁済提供および供託が、ただちに、債務の本旨に従わないものであるとはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和41年3月29日 昭和39(オ)1318
登載
集民 第82号785頁
参照法条
民法493条,民法494条
論点45第493条民法

小切手による弁済提供が債務の本旨に従うものといえないとされた事例

裁判要旨原判決が確定した事実関係(原判決理由参照)のもとにおいては、本件小切手の提供は、売買代金支払のための債務の本旨に従つた弁済の提供と認められない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和41年2月4日 昭和40(オ)1074
登載
集民 第82号317頁
参照法条
民法493条
論点46第493条民法

約束手形の交付により既存債務を消滅させる合意の成立を認めることが経験則に違反するとされた事例

裁判要旨既存債務のため手形を交付する場合、右手形の交付は弁済の方法としてなされたものと推認すべく、現実の弁済を得た事実の認められない以上は、特段の事情のない限り、既存の債務を終了せしめる効果を伴うものではない。原審の確定した事実関係(判決理由参照)の下では、原判決認定の合意(本件手形の交付により、上告人に対する被上告人の本件約定債務を終了させる旨の合意)の成立を認めるに足る特段の事情があるとは解せられない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和41年11月24日 昭和38(オ)912
登載
集民 第85号269頁
参照法条
民法493条,民法482条,民法513条
論点47第493条民法

売買契約に基づく当事者双方の債務の履行が完了しない間に売主が実力を行使して売渡物件を取り戻した場合と引渡債務の履行の効果。

裁判要旨売買契約に基づく当事者双方の債務の履行が完了しない間に、売主が実力を行使して売渡物件を取り戻した場合には、特段の事情の認められないかぎり、引渡債務の履行の効果は消滅し、右債務は未だ履行されない状態に復したものと解するのを相当とする。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年9月29日 昭和37(オ)239
登載
集民 第75号561頁
参照法条
民法493条
論点48第493条民法

小切手の提供が賃料債務の本旨に従つた履行の提供にあたるとされた事例。

裁判要旨賃借人が賃貸人のため賃料を受領する権限のある者に対して、賃料額と同額の額面金額の小切手を持参提供し、もし現金を必要とするなら今日は日曜日であるから明日小切手を現金化して持参するからと申し入れ、これが受領され、かつ、小切手による賃料の支払は従前も行われたことがあるような場合には、賃料債務の本旨に従つた履行の提供がなされたものと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年9月25日 昭和39(オ)205
登載
集民 第75号513頁
参照法条
民法493条
論点49第493条民法

約束手形を譲渡すべく提供しても金銭債務の本旨に従った弁済提供とはならないとされた事例。

裁判要旨原審確定の事実関係のもとでは、約束手形を延滞賃料の支払として譲渡すべく提供したことが、金銭債務の履行として債務の本旨に従った弁済の提供があったものとは解せられない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和39年7月16日 昭和38(オ)1396
登載
集民 第74号651頁
参照法条
民法493条
論点50第493条民法

受領の催告をしなくても弁済のための現実の提供があるとされた事例。

裁判要旨債務者が賃料を持参して債権者の代理人である弁護士の事務所に赴いたが、当該弁護士が不在のため、現金の呈示ができない場合には、特段の事情のないかぎり、右弁護士の事務員に対しその受領の催告をしなくても、弁済のための現実の提供があつたものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年10月23日 昭和37(オ)806
登載
民集 第18巻8号1773頁
参照法条
民法493条
論点51第493条民法

交通事故による損害賠償債務についての一部の弁済の提供及び供託が有効である場合

裁判要旨交通事故によって被った損害の賠償を求める訴訟の控訴審係属中に、加害者が被害者に対し、第一審判決によって支払を命じられた損害賠償金の全額を任意に弁済のため提供した場合には、その提供額が損害賠償債務の全額に満たないことが控訴審における審理判断の結果判明したときであっても、原則として、その弁済の提供はその範囲において有効であり、被害者においてその受領を拒絶したことを理由にされた弁済のための供託もまた有効である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成6年7月18日 平成3(オ)1311
登載
民集 第48巻5号1165頁
参照法条
民法493条,民法494条
論点52第493条民法

手付けの倍額の償還による売買契約の解除と現実の提供の要否

裁判要旨売主が手付けの倍額を償還して売買契約を解除するためには、買主に対して右額の現実の提供をすることを要する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成6年3月22日 平成4(オ)1929
登載
民集 第48巻3号859頁
参照法条
民法493条,民法557条1項
論点53第493条民法

労働者が疾病のためその命じられた義務のうち一部の労務の提供ができなくなったことから直ちに債務の本旨に従った労務の提供をしなかったものと断定することはできないとされた事例

裁判要旨建設会社に雇用されて以来二一年以上にわたり建築工事現場における現場監督業務に従事してきた労働者が、疾病のため右業務のうち現場作業に係る労務の提供ができなくなった場合であっても、労働契約上その職種や業務内容が右業務に限定されていたとはいえず、事務作業に係る労務の提供は可能であり、かつ、その提供を申し出ていたときには、同人の能力、経験、地位、右会社の規模、業種、右会社における労働者の配置・異動の実情及び難易等に照らして同人が配置される現実的可能性があると認められる業務が他にあったかどうかを検討した上でなければ、同人が債務の本旨に従った労務の提供をしなかったものと断定することはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成10年4月9日 平成7(オ)1230
登載
集民 第188号1頁
参照法条
民法493条,民法623条,労働基準法第2章労働契約
論点54第482条民法

債務者が代物弁済に供した不動産をその登記未了の間に第三者に譲渡したがその後代物弁済契約が遡つて失効した場合と債権者に対する不法行為責任の有無

裁判要旨債務者が、債権者に対し賃借権譲受代金債務の支払に代えて不動産を譲渡した後その登記未了の間に、これを第三者に二重に譲渡し登記を経由した場合であつても、右賃借権譲渡契約が解除されて右債務が遡つて消滅し、代物弁済契約による所有権移転の効果も遡つて失われたときは、債務者は債権者に対し、右不動産の所有権侵害による不法行為責任を負わない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和60年12月20日 昭和58(オ)706
登載
集民 第146号355頁
参照法条
民法176条,民法482条,民法545条,民法709条
論点55第482条民法

仮登記担保権の設定された不動産の第三取得者と当該仮登記担保権の被担保債権の消滅時効の援用

裁判要旨仮登記担保権の設定された不動産の第三取得者は、当該仮登記担保権の被担保債権の消滅時効を援用することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和60年11月26日 昭和57(オ)578
登載
民集 第39巻7号1701頁
参照法条
民法145条,民法369条,民法482条
論点56第482条民法

清算金の支払のないまま仮登記担保権者から目的不動産の所有権を取得した第三者の債務者に対する右不動産の明渡請求と債務者の留置権の抗弁

裁判要旨清算金の支払のないまま仮登記担保権者から第三者が目的不動産の所有権を取得した場合には、債務者は、右第三者からの右不動産の明渡請求に対し、仮登記担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権の抗弁権を主張することができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和58年3月31日 昭和55(オ)211
登載
民集 第37巻2号152頁
参照法条
民法295条,民法482条,仮登記担保契約に関する法律3条1項
論点57第482条民法

不動産を目的とする代物弁済と該不動産所有権移転の時期

裁判要旨不動産を目的とする代物弁済契約の意思表示がされたときは、これにより該不動産の所有権移転の効果が生ずる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和57年6月4日 昭和57(オ)111
登載
集民 第136号39頁
参照法条
民法176条,民法482条
論点58第482条民法

債権担保の目的でされた代物弁済予約を原因とする所有権移転請求権保全の仮登記と民法三九五条

裁判要旨債権担保の目的でされた代物弁済予約を原因とする所有権移転請求権保全の仮登記のある不動産につき設定された短期賃借権には、民法三九五条〈抵当建物使用者の引渡しの猶予〉の規定は類推適用されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和56年7月17日 昭和54(オ)225
登載
民集 第35巻5号950頁
参照法条
民法395条,民法482条
論点59第482条民法

仮登記担保関係において債権者が履行遅滞を理由に目的不動産につき予め交付を受けていた登記手続に必要な書類を利用して所有権移転登記を経由した場合と目的不動産の取戻

裁判要旨仮登記担保関係において、債権者が履行遅滞を理由に代物弁済予約の完結の意思表示をし、目的不動産につき予め交付を受けていた登記に必要な書類を利用して仮登記に基づく所有権移転登記を経由した場合でも、清算義務を負うときは、債務者は、清算金の提供を受けるまでは債務を弁済して目的不動産を取り戻すことができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和54年2月22日 昭和52(オ)1057
登載
集民 第126号139頁
参照法条
民法369条,民法482条,不動産登記法2条,不動産登記法7条
論点60第482条民法

仮登記担保権の実行においていわゆる過剰競売禁止の趣旨が類推された事例

裁判要旨共同仮登記担保の目的物のうち債務者所有の一箇の物件のみで被担保債権全額の優先弁済を受けられるなど原判決判示の事情があるときは、民訴法六七五条、民法一条三項〈基本原則〉の趣旨に従い、右物件以外の目的物について仮登記担保権を実行することは許されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和52年9月22日 昭和52(オ)340
登載
集民 第121号261頁
参照法条
民法1条3項,民法369条,民法482条,民訴法675条,競売法32条
論点61第482条民法

いわゆる根仮登記担保権の極度額

裁判要旨一定の継続的取引から発生する不特定の債権を担保するためのいわゆる根仮登記担保権の極度額は、設定契約上、特段の定めがない場合には、目的不動産の適正な評価額をその額とした趣旨であると解すべきであり、このことは、特段の事情がない限り、根仮登記担保権が根抵当権と併用された場合でも異ならない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和52年3月25日 昭和48(オ)403
登載
民集 第31巻2号320頁
参照法条
民法398条ノ2,民法482条,不動産登記法2条
論点62第482条民法

仮登記担保権者が担保権実行のため代物弁済予約を完結した当時担保不動産の価格が被担保債権額を超過していない場合における担保不動産の所有権の帰すう

裁判要旨仮登記担保権者が担保権実行のため代物弁済予約を完結した当時において担保不動産の価格が被担保債権額を超過していない場合は、担保権者は予約完結によつて担保不動産の所有権を取得する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和52年11月10日 昭和52(オ)567
登載
集民 第122号217頁
参照法条
民法369条,民法482条,不動産登記法2条
論点63第482条民法

仮登記担保の目的不動産につき後順位権利者がある場合と被担保債権以外の債権を自働債権とする清算金支払債務との相殺の許否

裁判要旨仮登記担保権者は、目的不動産につき後順位権利者があるときは、債務者に対する被担保債権以外の金銭債権をもつて自己の負担する清算金支払債務と相殺することができない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和50年9月9日 昭和45(オ)1156
登載
民集 第29巻8号1249頁
参照法条
民法369条,民法482条,民法505条,民法556条,不動産登記法2条,不動産登記法7条2項,不動産登記法105条,不動産登記法146条
論点64第482条民法

所有権移転予約形式の仮登記担保関係における予約完結権の行使と目的不動産の所有権の移転

裁判要旨所有権移転予約形式の仮登記担保権を有する債権者が債務者の履行遅滞を理由として予約完結権を行使した場合でも、債権者において清算金を支払う必要があり債務者においてその支払があるまで目的不動産についての本登記手続義務の履行を拒みうるときは、目的不動産の所有権は、右予約完結権の行使により直ちに債権者に移転するものではない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和50年7月17日 昭和45(オ)310
登載
民集 第29巻6号1080頁
参照法条
民法176条,民法482条,民法556条,不動産登記法2条,不動産登記法7条2項,不動産登記法105条1項
論点65第482条民法

代物弁済として不動産を譲渡した場合における民法一一〇条の正当の理由

裁判要旨債務者が代理人として本人の所有不動産を自己の債務の弁済に代え債権者に譲渡した場合において、民法一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉にいわゆる第三者としての債権者が債務者に代理権があると信ずべき正当の理由の存否は、債務者がその所有権移転登記手続をした時又は右登記に必要な書類を債権者に交付してその義務の履行を終了した時に存在する諸般の事情を考慮して判断すべきものである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和50年6月24日 昭和50(オ)170
登載
集民 第115号99頁
参照法条
民法110条,民法482条
論点66第482条民法

いわゆる仮登記担保契約と民法九〇条

裁判要旨いわゆる仮登記担保契約は、被担保債権額と目的不動産の価額との間に著しい較差がある場合であつても、特段の事情のないかぎり、暴利行為として公序良俗に反するものということはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和50年4月10日 昭和48(オ)889
登載
集民 第114号497頁
参照法条
民法90条,民法482条,民法556条
論点67第482条民法

仮登記担保権者から清算未了のまま目的不動産の譲渡を受けた第三者が債務者の意思に基づかないで所有権移転登記を経由した場合と債務者の右登記抹消手続請求権

裁判要旨仮登記担保権者が目的不動産を自己の所有に帰属させるとの意思表示をしただけで清算をしないで仮登記のまま目的不動産を第三者に譲渡し、第三者が本登記を経た場合において、本登記が債務者の意思に基づかずにされたときは、債務者は第三者に対して右本登記の抹消手続を請求することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和50年11月28日 昭和49(オ)1087
登載
集民 第116号675頁
参照法条
民法177条,民法369条,民法482条
論点68第482条民法

一、金銭債権担保のため不動産について代物弁済予約又は売買予約等の形式をとる契約が締結され所有権移転請求権保全等の仮登記がされた場合における右契約の性質及び内容
二、いわゆる仮登記担保権者が清算義務を負う相手方
三、いわゆる仮登記担保権と競売手続との関係
四、いわゆる仮登記担保権の目的不動産に対し競売手続が開始されている場合における仮登記担保権者の仮登記の本登記手続又はその承諾請求の許否

裁判要旨一、債権者が、金銭債権の満足を確保するために、債務者との間にその所有の不動産につき、代物弁済の予約、停止条件付代物弁済契約又は売買予約により、債務の不履行があつたときは債権者において右不動産の所有権を取得して自己の債権の満足をはかることができる旨を約し、かつ、停止条件付所有権移転又は所有権移転請求権保全の仮登記をしたときは、その権利(いわゆる仮登記担保権)の内容は、当事者が別段の意思を表示し、かつ、それが諸般の事情に照らして合理的と認められる特別の場合を除いては、債務者に履行遅滞があつた場合に権利者が予約完結の意思を表示し、又は停止条件が成就したときは、権利者において目的不動産を処分する権能を取得し、これに基づいて、当該不動産を適正に評価された価額で確定的に自己の所有に帰せしめること又は相当の価格で第三者に売却等をすることによつて、これを換価処分し、その評価額又は売却代金等から自己の債権の弁済を得ることにあり、右評価額又は売却代金等の額が権利者の債権額を超えるときは、権利者は、右超過額を清算金として債務者に交付すべきものであると解するのが粗当である。
二、いわゆる仮登記担保権者が目的不動産の換価金につき清算義務を負うのは、債務者又は仮登記後に目的不動産の所有権を取得してその登記を経由した第三者に対してのみであつて、仮登記後に目的不動産を差し押えた債権者、これにつき抵当権の設定を受けた第三者等に対しては、仮登記担保権者は、直接の清算義務を負わない。
三、いわゆる仮登記担保権者は、民訴法六四八条四号又は競売法二七条四項四号に基づき、当該権利が仮登記担保権であること及び被担保債権とその金額を明らかにして競売裁判所に届け出る方法により、目的不動産の競売手続に参加して配当を受けることができる。
四、いわゆる仮登記担保権者がその権利の実行として訴訟により仮登記の本登記手続又はその承諾を請求する前に既に第三者の申立により目的不動産につき競売手続が開始されている場合には、右の請求をすることは、原則として許されない。
(二につき補足意見がある。)
裁判
最高裁判所大法廷 昭和49年10月23日 昭和46(オ)503
登載
民集 第28巻7号1473頁
参照法条
民法369条,民法482条,民法556条,不動産登記法2条,不動産登記法7条2項,不動産登記法105条,不動産登記法146条,民訴法648条,競売法27条
論点69第482条民法

一、代物弁済予約形式の債権担保契約につき予約完結後清算前になされた債務弁済の効カ

二、代物弁済予約形式の債権担保契約における債権者の清算義務と債務者の本登記手続義務ないし引渡義務との関係

裁判要旨一、債権担保のため債務者所有の不動産につき代物弁済予約形式の契約を締結し、これを原因とする所有権移転請求権保全の仮登記を経由した債権者は、債務者が弁済期に債務の弁済をしないため予約完結権を行使した場合であつても、目的不動産の換価処分または評価清算前に債務の弁済があつたときは、債務者に対し、右仮登記の抹消登記手続をしなければならない。

二、代物弁済予約形式の債権担保契約においては、債権者は、予約完結後目的不動産を換価処分または評価清算して優先弁済をうるため、債務者に対し、その所有権移転登記ないし引渡を請求することができるが、右請求に対し、債務者が、右不動産の価額から債権額を控除した残額を清算金としてその支払と引換えに履行をなすべき旨を主張したときは、債権者の右請求は、原則として、債務者への清算金の支払と引換えにのみ認容されるべきものと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和48年1月26日 昭和43(オ)343
登載
民集 第27巻1号51頁
参照法条
民法482条,不動産登記法7条,不動産登記法105条
論点70第482条民法

登記簿上後順位の債権者(抵当権者またはいわゆる仮登記担保権者)であつたがすでにその登記につき他に附記登記による権利移転の登記を経由した者といわゆる仮登記担保権者による本登記承諾請求訴訟における引換給付の抗弁権提出の可否

裁判要旨登記簿上後順位の抵当権者またはいわゆる仮登記担保権者であつた者でも、先順位の仮登記担保権者から不動産登記法一〇五条に基づく本登記手続承諾請求を受けた当時、すでに他にその登記につき附記登記による権利移転の登記を経由した者は、特段の事情のない限り、登記原因たる実体上の権利に基づき、仮登記担保権者に対して清算金を受けるべき地位にあることを主張することはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年7月6日 昭和44(オ)486
登載
集民 第106号397頁
参照法条
民法369条,民法482条,不動産登記法7条,不動産登記法105条
論点71第482条民法

代物弁済予約形式の債権担保契約と民法三七四条の準用の有無

裁判要旨代物弁済予約形式の債権担保契約を締結した債権者が、その担保目的を実現するにあたって、後順位債権者に優先して弁済を受けうる利息・損害金については、民法三七四条〈抵当権の順位の変更〉の規定は準用されないと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年10月26日 昭和46(オ)467
登載
民集 第26巻8号1465頁
参照法条
民法482条,民法374条
論点72第482条民法

債権担保のための清算型代物弁済予約について釈明権不行使の違法があるとされた事例

裁判要旨当事者が代物弁済予約の存在を前提に、その予約完結に基づく本登記義務の存否を争つている場合において、裁判所が審理の結果、右予約の実質は、債権担保のための清算型代物弁済予約であり、しかも、後順位抵当権が実行中であつて、右請求がそのまま認容しえないことが判明したときは、裁判所は、当事者に対し、その法律関係について釈明を求めるべきであり、これをしないで、右理由により直ちに原告の請求を排斥することは、釈明権の行使を誤つたものというべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和46年6月18日 昭和44(オ)431
登載
集民 第103号159頁
参照法条
民法482条,民訴法127条,民訴法186条
論点73第482条民法

一、数個の不動産上に代物弁済予約形式の債権担保契約を締結した場合の債権者の清算義務
二、代物弁済予約形式の債権担保契約における債権者の清算義務と所有権移転請求権保全の仮登記、根抵当権設定登記、賃借権設定の仮登記を了している後順位債権者の地位
三、代物弁済予約形式の債権担保契約における債権者の清算義務と債務者の本登記手続義務ないし引渡義務との関係

裁判要旨一、数個の不動産上に代物弁済予約形式の債権担保契約を締結し、これを原因とする所有権移転請求権保全の仮登記を経由した債権者は、債務者が弁済期に債務の弁済をしないため予約完結権を行使して担保目的の実現をはかるため同一訴訟手続で本登記手続を求めた場合に、債務者が清算金の支払と引換えに履行する旨の主張をしたときは、特段の事情のないかぎり、各不動産の価額に準じて債権者の有する債権額を按分したうえで、債務者への清算金の額を算定して、その清算金の支払と引換えに右請求を認容すべきである。
二、代物弁済予約形式の債権担保契約を締結し、これを原因とする所有権移転請求権保全の仮登記を経由した債権者が、担保目的実現の手段として、後順位債権者に対し本登記手続承諾の請求をしたときは、後順位債権者は、清算金の支払と引換えにその履行をなすべき旨の主張をなしうるが、その場合、後順位債権者が、根抵当権設定登記とともに所有権移転請求権保全の仮登記および賃借権設定の仮登記をも有するとしても、その各仮登記が、根抵当権の設定と併用してなされた同一債権担保の目的を有する債権担保契約に基づく仮登記にすぎないときは、右各仮登記は、右引換履行の主張をするにあたつては、根抵当権設定登記と一体として取扱われるべきものである。
三、貸金債権担保のため債務者所有の不動産につき代物弁済予約形式の契約を締結し、これを原因とする所有権移転請求権保全の仮登記を経由した債権者は、債務者が弁済期に債務の弁済をしないため、予約完結権を行使した場合において、目的不動産を換価処分し、またはこれを適正に評価することによつて具体化する右物件の価額から、自己の債権額および優先弁済を受くべき後順位債権者の債権額を差し引き、なお残額があるときは、これに相当する金銭を清算金として債務者に支払うことを要するのであつて、この担保目的実現の手段として債務者に対し右物件につき本登記手続ないしその引渡を求める訴を提起した場合に、債務者が右清算金の支払と引換えにその履行をなすべき旨を主張したときは、債権者が第三者への換価処分による売却代金を取得したのちに清算金を支払えば足りると認められる客観的な合理的理由がある場合を除き、債権者の右請求は、債務者への清算金の支払と引換えにのみ認容されるべきものと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和45年9月24日 昭和43(オ)371
登載
民集 第24巻10号1450頁
参照法条
民法482条,民法392条1項,不動産登記法1条,不動産登記法7条,不動産登記法105条
論点74第482条民法

代物弁済形式の担保権の実行に伴う法律関係につき民法三八八条の類推適用による法定地上権の成立が認められなかつた事例

裁判要旨土地に対する抵当権の設定当時において地上に建物が存在しなかつた場合には、右抵当権と同一債権の担保を目的として重ねて右土地につき停止条件付代物弁済契約が結ばれた当時には地上に債務者所有の建物が存在したときでも、右代物弁済契約の条件成就後の法律関係につき、民法三八八条〈法定地上権〉の類推適用による法定地上権の成立を認めることはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和45年7月16日 昭和41(オ)647
登載
民集 第24巻7号982頁
参照法条
民法388条,民法482条
論点75第482条民法

不動産を買い受けた者が抵当権および停止条件付代物弁済契約上の権利を有するものとして抵当権設定登記および所有権移転請求権保全の仮登記を経由した場合と第三者

裁判要旨甲が、乙からその所有不動産を買い受けたものであるにもかかわらず、乙に対する貸金を被担保債権とする抵当権と、右貸金を弁済期に弁済しないことを停止条件とする代物弁済契約上の権利とを有するものとして、抵当権設定登記および所有権移転請求権保全の仮登記を経由した場合において、丙が乙から右不動産を買い受けて所有権取得登記を経由したときは、丙が善意無過失であるかぎり、甲は、丙に対し、自己の経由した登記が実体上の権利関係と相違し、自己が仮登記を経由した所有権者であると主張することはできないと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和45年11月19日 昭和43(オ)732
登載
民集 第24巻12号1916頁
参照法条
民法94条2項,民法369条,民法482条,不動産登記法2条2号
論点76第482条民法

一、代物弁済の予約につき請求権保全の仮登記が経由されている不動産の所有権が第三者に移転したときと予約完結権行使の相手方
二、債権担保のため同一不動産に代物弁済の予約とともに設定された抵当権が転抵当に供されている場合と予約完結権行使の許否

裁判要旨一、不動産に関する代物弁済の予約につき請求権保全の仮登記が経由されている場合においては、該不動産の所有権が第三者に移転したときであつても、代物弁済予約権者は、予約の相手方に対して予約完結の意思表示をすべきである。
二、貸金債権担保のため同一不動産につき代物弁済の予約とともに抵当権の設定があり、その抵当権が転抵当に供されている場合において、転抵当権の被担保債権額が原抵当権の被担保債権額以上であるときは、右代物弁済の予約が清算を要しないものでないかぎり、代物弁済予約権者は、予約完結権を行使することができない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年10月16日 昭和43(オ)489
登載
民集 第23巻10号1759頁
参照法条
民法482条,民法556条1項,民法369条,民法375条1項,不動産登記法2条2号,不動産登記法7条2項,不動産登記法105条1項
論点77第482条民法

代物弁済に関する合意が停止条件付代物弁済契約でなく代物弁済の予約と解された事例

裁判要旨貸金債務を負担するに際し、抵当権を設定するとともに、またはこれに付加して代物弁済に関する契約を締結した場合において、右貸金債務について利息の約定のほかに、右利息の不支払を条件として期限の利益を失い、爾後約定利率に従つた遅延損害金を支払う旨の約定が存在するときは、右代物弁済に関する合意は停止条件付代物弁済契約ではなく、債権者において期限の到来後予約完結権の行使を必要とする代物弁済の予約と解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和43年12月24日 昭和42(オ)1423
登載
集民 第93号967頁
参照法条
民法482条,民法369条,民法420条
論点78第482条民法

一、債権者の代物弁済予約完結の行為が破産法第七二条第二号により否認されうる場合
二、右予約完結に際し代物弁済予約による所有権移転請求権保全の仮登記が存する場合およびその後右仮登記が権利放棄を理由に債権者により抹消された場合と破産法第七二条第二号による否認

裁判要旨一、債務の弁済期が未到来のため債権者が代物弁済一方の予約に基づく予約完結権を行使できない間に、債権者および債務者が債務者に対し破産の申立がされたことを知つて、両者が相通じ、債務者は期限の利−益を放棄して予約完結権の行使を誘致し、債権者は債務者に対し一方的予約完結の意思表示をし代物弁済の効力を生ぜしめた場合には、債権者の右予約完結の行為は破産法第七二条第二号により否認することができる。
二、右の場合において、債権者の代物弁済の予約による所有権移転請求権保全の仮登記がされているときは、特別の事情のないかぎり、破産管財人は、債権者の右行為を破産法第七二条第二号により否認することはできないが、右仮登記が、その後、権利放棄を理由に債権者により抹消されて右仮登記に基づく本登記がありえなくなつた場合には、債権者の右行為の当時に右仮登記が存したことをもつて否認権の行使をさまたげられるものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年11月15日 昭和40(オ)1107
登載
民集 第22巻12号2629頁
参照法条
破産法72条2号,民法482条,不動産登記法2条2号,不動産登記法7条2項
論点79第482条民法

譲渡担保契約において目的物の所有権が債務者に復帰する時期を債務完済の時と異なる時期と約定することの可否

裁判要旨譲渡担保契約において目的の所有権が債務者に復帰する時期を債務完済の時と異なる時期と約定することは差し支えない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和41年1月14日 昭和40(オ)211
登載
集民 第82号25頁
参照法条
民法176条,民法482条
論点80第482条民法

代物弁済の予約成立の要件

裁判要旨代物弁済の予約が成立するためには、代物弁済によつて消滅すべき債権の数額が当初より一定していることを要しないが、少くとも一定しうべき基礎が定められていることを要する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和41年12月6日 昭和39(オ)255
登載
集民 第85号531頁
参照法条
民法482条,民法556条
論点81第482条民法

不動産を目的とする代物弁済と該不動産所有権移転の時期。

裁判要旨不動産を目的とする代物弁済の予約完結の意思表示がなされたときは、これにより、該不動産の所有権移転の効果が生ずるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和40年3月11日 昭和39(オ)919
登載
集民 第78号259頁
参照法条
民法482条,民法176条
論点82第482条民法

債権担保の機能を営む代物弁済の予約において一部弁済があつた場合と予約完結権の行使

裁判要旨債権担保の機能を営む代物弁済の予約において、一部弁済があつた場合でも、反対の特約もしくは権利の濫用と認められるような特段の事情がないかぎり、予約完結権の行使を妨げない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年12月17日 昭和39(オ)254
登載
集民 第81号589頁
参照法条
民法482条,民法556条
論点83第482条民法

一 訴状の送達の時に代物弁済の予約完結権の行使があつたものと認められた事例
二 被担保債務の一部の内入弁済と代物弁済の予約完結権

裁判要旨一 訴状において停止条件附代物弁済契約の条件成就による所有権取得の効果の主張のみが記載されている場合においても、原告がその後の弁論において、代物弁済の予約の主張を追加してその予約の完結権行使が訴状の送達をもつてされた旨主張したときには、その訴状送達の時に右予約完結権の行使があつたものと認めることができる。
二 貸金担保のための代物弁済の予約において、被担保債務に対し一割に満たない一部の内入弁済があつても、特別の事情のないかぎり、その予約完結権は消滅しないものと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和39年2月20日 昭和36(オ)708
登載
集民 第72号215頁
参照法条
民法482条(556条),民訴法229条1項
論点84第482条民法

建物を目的とする代物弁済予約の効力が及ぶ範囲を判断するにつき審理不尽理由不備の違法があるとされた事例。

裁判要旨建物を目的とする代物弁済予約の効力が、右予約後右建物に加えられた築造部分に及ぶかどうかを判断するにつき、建物の物理的構造のみに依拠し、取引または利用の対象として観察した建物の状況を勘案しなかつたのは、審理不尽理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和39年1月30日 昭和35(オ)856
登載
民集 第18巻1号196頁
参照法条
民法482条,民法370条,民訴法395条6号
論点85第482条民法

一 停止条件付代物弁材契約が公序良俗に違反しないとされた事例
二 同一審級における裁判官の過半数の更迭と民訴法第一八七条第三項後段の適用の有無

裁判要旨適用なし。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年12月21日 昭和37(オ)616
登載
集民 第63号831頁
参照法条
民法90条,民法482条,民訴法187条
論点86第482条民法

一 証拠方法を放棄したものと認むべき一事例
二 代物弁済の予約が公序良俗に反すると認められる一事例

裁判要旨一 証拠申請につき許否を決定しないで口頭弁論を終結した場合、当事者が異議を述べないときは、その証拠方法を放棄したものと認むべきである。
二 代物弁済の予約につき、後記事由(第二審判決理由参照)があるときは、公序良俗に反し無効である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和27年11月20日 昭和24(オ)138
登載
民集 第6巻10号1015頁
参照法条
民訴法258条,民法482条,民法90条
論点87第482条民法

一 手形の授受と既存債務の担保の推定。
二 既存債務の担保の手形と請求順序。
三 既存債務の担保の手形につき臨時財産調査令による財産申告を怠つた場合と既存債務の行使。

裁判要旨一 手形が既存債務の支払確保のため振り出された場合、当事者間に別段の意思表示がなく、且つ、債務者自身が手形上の唯一の義務者であるときは、右手形の授受は、既存債務の担保のためになされたものと推定するのが相当である。
二 手形が既存債務の担保のため授受せられた場合には、債権者は、既存の債権と手形上の権利とのいずれをも任意に選択して行使することができる。
三 手形が既存の貸金債務の担保のため授受せられた場合、その手形につき臨時財産調査令による財産申告を怠つたため、手形上の権利の行使ができなくなつても、既存の貸金債権を行使することは妨げない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和23年10月14日 昭和23(オ)12
登載
民集 第2巻11号376頁
参照法条
民法482条,手形法9条,臨時財産調査令(昭和21年勅令85号)2条1項3号,臨時財産調査令(昭和21年勅令85号)9条1項
論点88第513条民法

認可された更生計画において債務の一部免除及び弁済期の猶予が定められ複数の更生債権について一括して免除額等が表示されている場合と更改の成否

裁判要旨認可された更生計画において、更生債権についてその一部の免除及びその残額につき弁済期の猶予が定められ、特定の債権者の届け出た複数の更生債権について一括して債権額、免除額及び分割弁済額が表示されていても、右更生計画は、特段の事情のない限り、債務の要素を変更する更改にあたらず、右届出にかかる複数の更生債権は消滅しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和58年1月25日 昭和55(オ)435
登載
集民 第138号51頁
参照法条
会社更生法211条1項,会社更生法212条1項,会社更生法242条1項,民法513条1項
論点89第513条民法

準消費貸借と更改。

裁判要旨貸金を目的とする準消費貸借契約がなされた場合に、利息弁済期の変更、新保証人、新担保の設定があつたからといつて直ちにこれを更改であるといわねばならない理はない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年1月22日 昭和36(オ)857
登載
集民 第64号107頁
参照法条
民法513条,民法588条
原

条文原文

原文ママ

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民法 第424_4条(過大な代物弁済等の特則) 詳細ページ
(過大な代物弁済等の特則)
第四百二十四条の四債務者がした債務の消滅に関する行為であって、受益者の受けた給付の価額がその行為によって消滅した債務の額より過大であるものについて、第四百二十四条に規定する要件に該当するときは、債権者は、前条第一項の規定にかかわらず、その消滅した債務の額に相当する部分以外の部分については、詐害行為取消請求をすることができる。
民法 第490条(合意による弁済の充当) 詳細ページ
(合意による弁済の充当)
第四百九十条前二条の規定にかかわらず、弁済をする者と弁済を受領する者との間に弁済の充当の順序に関する合意があるときは、その順序に従い、その弁済を充当する。
民法 第499条(弁済による代位の要件) 詳細ページ
(弁済による代位の要件)
第四百九十九条債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する。
民法 第501条(弁済による代位の効果) 詳細ページ
(弁済による代位の効果)
第五百一条前二条の規定により債権者に代位した者は、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。
2前項の規定による権利の行使は、債権者に代位した者が自己の権利に基づいて債務者に対して求償をすることができる範囲内(保証人の一人が他の保証人に対して債権者に代位する場合には、自己の権利に基づいて当該他の保証人に対して求償をすることができる範囲内)に限り、することができる。
3第一項の場合には、前項の規定によるほか、次に掲げるところによる。
一第三取得者(債務者から担保の目的となっている財産を譲り受けた者をいう。以下この項において同じ。)は、保証人及び物上保証人に対して債権者に代位しない。
二第三取得者の一人は、各財産の価格に応じて、他の第三取得者に対して債権者に代位する。
三前号の規定は、物上保証人の一人が他の物上保証人に対して債権者に代位する場合について準用する。
四保証人と物上保証人との間においては、その数に応じて、債権者に代位する。ただし、物上保証人が数人あるときは、保証人の負担部分を除いた残額について、各財産の価格に応じて、債権者に代位する。
五第三取得者から担保の目的となっている財産を譲り受けた者は、第三取得者とみなして第一号及び第二号の規定を適用し、物上保証人から担保の目的となっている財産を譲り受けた者は、物上保証人とみなして第一号、第三号及び前号の規定を適用する。
民法 第502条(一部弁済による代位) 詳細ページ
(一部弁済による代位)
第五百二条債権の一部について代位弁済があったときは、代位者は、債権者の同意を得て、その弁済をした価額に応じて、債権者とともにその権利を行使することができる。
2前項の場合であっても、債権者は、単独でその権利を行使することができる。
3前二項の場合に債権者が行使する権利は、その債権の担保の目的となっている財産の売却代金その他の当該権利の行使によって得られる金銭について、代位者が行使する権利に優先する。
4第一項の場合において、債務の不履行による契約の解除は、債権者のみがすることができる。この場合においては、代位者に対し、その弁済をした価額及びその利息を償還しなければならない。
民法 第473条(弁済) 詳細ページ
(弁済)
第四百七十三条債務者が債権者に対して債務の弁済をしたときは、その債権は、消滅する。
民法 第492条(弁済の提供の効果) 詳細ページ
(弁済の提供の効果)
第四百九十二条債務者は、弁済の提供の時から、債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れる。
民法 第493条(弁済の提供の方法) 詳細ページ
(弁済の提供の方法)
第四百九十三条弁済の提供は、債務の本旨に従って現実にしなければならない。ただし、債権者があらかじめその受領を拒み、又は債務の履行について債権者の行為を要するときは、弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をすれば足りる。
民法 第482条(代物弁済) 詳細ページ
(代物弁済)
第四百八十二条弁済をすることができる者(以下「弁済者」という。)が、債権者との間で、債務者の負担した給付に代えて他の給付をすることにより債務を消滅させる旨の契約をした場合において、その弁済者が当該他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する。
民法 第513条(更改) 詳細ページ
(更改)
第五百十三条当事者が従前の債務に代えて、新たな債務であって次に掲げるものを発生させる契約をしたときは、従前の債務は、更改によって消滅する。
一従前の給付の内容について重要な変更をするもの
二従前の債務者が第三者と交替するもの
三従前の債権者が第三者と交替するもの
出

一次情報

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