実用新案法 / テーマ別まとめ

実用新案権/権利侵害

権利侵害の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

実用新案権の侵害では、差止請求(27条)に加え、専用品の生産や不可欠品の供給、譲渡目的での所持といった行為も侵害とみなされる(28条)。損害賠償を請求する場合は譲渡数量や利益額に基づく推定規定(29条)が用意されている一方、権利行使には実用新案技術評価書を提示した警告が前提となり(29条の2)、その後に実用新案登録が無効となったときは権利者側が賠償責任を負うことがある(29条の3)。手続面では特許法の侵害訴訟に関する規定を準用する(30条)。

権利侵害
場面内容条文
侵害の停止・予防差止めを請求できる27条1項
廃棄・除却請求侵害物品の廃棄等も請求可27条2項
間接侵害(専用品)製造専用品の生産等も侵害扱い28条1号
間接侵害(不可欠品)知りながらの不可欠品供給も侵害28条2号
所持譲渡等目的の所持も侵害扱い28条3号
損害額の推定譲渡数量×利益額等で算定可29条1項
利益額の推定侵害者の利益額を損害額と推定29条2項
実施料相当額請求実施料相当額を損害額とできる29条3項
権利行使の前提技術評価書提示の警告が必要29条の2
権利者側の責任無効審決確定なら賠償責任29条の3
特許法の準用侵害訴訟の各種規定を準用30条
  • 28条2号の不可欠品規制は、日本国内で広く一般に流通しているものを除く。
  • 29条3項の実施料相当額を超える損害賠償請求も妨げられない。ただし侵害者に故意・重過失がなければ裁判所はその点を賠償額の算定で考慮できる。
  • 29条4項により、裁判所は実施料相当額の認定にあたり侵害を前提とした合意があったとした場合の対価を考慮できる。
  • 29条の3の責任は、進歩性等(3条1項3号・2項、3条の2、7条1項〜3項・6項)を理由とする無効審決の場合を除く。
  • 29条の3の責任は、技術評価に基づく行使・警告や相当の注意をもった行使・警告であれば発生しない。
  • 29条の3は、訂正により権利設定登録時の範囲外となった考案について権利行使・警告した場合にも準用される。
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権利侵害

権利侵害について、条文は何を定めているか。

第27条差止請求権侵害の停止・予防を請求できる2項判例なし
  • 侵害者等に侵害の停止・予防を求められる
  • 廃棄・設備の除却など予防に必要な行為も請求可能
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第28条侵害とみなす行為専用品の製造・供給等も侵害とみなす1項・3号判例なし
  • 登録実用新案品の製造専用品の生産等は侵害とみなす
  • 不可欠品と知りながら供給する行為も侵害とみなす
  • 譲渡等目的の所持行為も侵害とみなす
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第29条損害の額の推定等損害額の算定方法を定める5項・2号判例なし
  • 譲渡数量に単位利益額を乗じて損害額を算定できる
  • 侵害者が得た利益額を損害額と推定できる
  • 実施料相当額を損害額として請求できる
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第29_2条実用新案技術評価書の提示警告には技術評価書の提示が必要1項判例なし
  • 技術評価書を提示した警告の後でなければ権利行使できない
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第29_3条実用新案権者等の責任無効確定時は権利者に賠償責任が生じうる2項判例なし
  • 無効審決確定なら権利行使・警告による損害を賠償する
  • 相当の注意をもった行使・警告なら責任を負わない
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第30条特許法の準用特許法の侵害訴訟規定を準用する1項判例なし
  • 具体的態様の明示義務や書類提出等の規定を準用
  • 秘密保持命令や信用回復の措置なども準用
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原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

実用新案法 第27条(差止請求権) 詳細ページ
(差止請求権)
第二十七条実用新案権者又は専用実施権者は、自己の実用新案権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者(以下「侵害者等」という。)に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2実用新案権者又は専用実施権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(プログラム等(特許法第二条第四項に規定するプログラム等をいう。次条において同じ。)を含む。以下同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。
実用新案法 第28条(侵害とみなす行為) 詳細ページ
(侵害とみなす行為)
第二十八条次に掲げる行為は、当該実用新案権又は専用実施権を侵害するものとみなす。
一業として、登録実用新案に係る物品の製造にのみ用いる物の生産、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為
二登録実用新案に係る物品の製造に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であつてその考案による課題の解決に不可欠なものにつき、その考案が登録実用新案であること及びその物がその考案の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
三登録実用新案に係る物品を業としての譲渡、貸渡し又は輸出のために所持する行為
実用新案法 第29条(損害の額の推定等) 詳細ページ
(損害の額の推定等)
第二十九条実用新案権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の実用新案権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した物品を譲渡したときは、次の各号に掲げる額の合計額を、実用新案権者又は専用実施権者が受けた損害の額とすることができる。
一実用新案権者又は専用実施権者がその侵害の行為がなければ販売することができた物品の単位数量当たりの利益の額に、自己の実用新案権又は専用実施権を侵害した者が譲渡した物品の数量(次号において「譲渡数量」という。)のうち当該実用新案権者又は専用実施権者の実施の能力に応じた数量(同号において「実施相応数量」という。)を超えない部分(その全部又は一部に相当する数量を当該実用新案権者又は専用実施権者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量(同号において「特定数量」という。)を控除した数量)を乗じて得た額
二譲渡数量のうち実施相応数量を超える数量又は特定数量がある場合(実用新案権者又は専用実施権者が、当該実用新案権者の実用新案権についての専用実施権の設定若しくは通常実施権の許諾又は当該専用実施権者の専用実施権についての通常実施権の許諾をし得たと認められない場合を除く。)におけるこれらの数量に応じた当該実用新案権又は専用実施権に係る登録実用新案の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額
2実用新案権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の実用新案権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、実用新案権者又は専用実施権者が受けた損害の額と推定する。
3実用新案権者又は専用実施権者は、故意又は過失により自己の実用新案権又は専用実施権を侵害した者に対し、その登録実用新案の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。
4裁判所は、第一項第二号及び前項に規定する登録実用新案の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額を認定するに当たつては、実用新案権者又は専用実施権者が、自己の実用新案権又は専用実施権に係る登録実用新案の実施の対価について、当該実用新案権又は専用実施権の侵害があつたことを前提として当該実用新案権又は専用実施権を侵害した者との間で合意をするとしたならば、当該実用新案権者又は専用実施権者が得ることとなるその対価を考慮することができる。
5第三項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。この場合において、実用新案権又は専用実施権を侵害した者に故意又は重大な過失がなかつたときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。
実用新案法 第29_2条(実用新案技術評価書の提示) 詳細ページ
(実用新案技術評価書の提示)
第二十九条の二実用新案権者又は専用実施権者は、その登録実用新案に係る実用新案技術評価書を提示して警告をした後でなければ、自己の実用新案権又は専用実施権の侵害者等に対し、その権利を行使することができない。
実用新案法 第29_3条(実用新案権者等の責任) 詳細ページ
(実用新案権者等の責任)
第二十九条の三実用新案権者又は専用実施権者が侵害者等に対しその権利を行使し、又はその警告をした場合において、実用新案登録を無効にすべき旨の審決(第三十七条第一項第六号に掲げる理由によるものを除く。)が確定したときは、その者は、その権利の行使又はその警告により相手方に与えた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、実用新案技術評価書の実用新案技術評価(当該実用新案登録出願に係る考案又は登録実用新案が第三条第一項第三号及び第二項(同号に掲げる考案に係るものに限る。)、第三条の二並びに第七条第一項から第三項まで及び第六項の規定により実用新案登録をすることができない旨の評価を受けたものを除く。)に基づきその権利を行使し、又はその警告をしたとき、その他相当の注意をもつてその権利を行使し、又はその警告をしたときは、この限りでない。
2前項の規定は、実用新案登録出願の願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面についてした第十四条の二第一項又は第七項の訂正により実用新案権の設定の登録の際における実用新案登録請求の範囲に記載された考案の範囲に含まれないこととなつた考案についてその権利を行使し、又はその警告をした場合に準用する。
実用新案法 第30条(特許法の準用) 詳細ページ
(特許法の準用)
第三十条特許法第百四条の二から第百五条まで(具体的態様の明示義務、特許権者等の権利行使の制限、主張の制限及び書類の提出等)及び第百五条の二の十一から第百六条まで(第三者の意見、損害計算のための鑑定、相当な損害額の認定、秘密保持命令、秘密保持命令の取消し、訴訟記録の閲覧等の請求の通知等、当事者尋問等の公開停止及び信用回復の措置)の規定は、実用新案権又は専用実施権の侵害に準用する。この場合において、同法第百四条の四中「次に掲げる決定又は審決が確定した」とあるのは「第一号に掲げる審決が確定した又は第三号に掲げる訂正があつた」と、「当該決定又は審決が確定した」とあるのは「当該審決が確定した又は訂正があつた」と、同条第三号中「訂正をすべき旨の決定又は審決」とあるのは「実用新案法第十四条の二第一項又は第七項の訂正」と読み替えるものとする。
出

一次情報

原文ママ

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