国税徴収法 / テーマ別まとめ

譲渡担保権

公的資料に現れる論点です。条文と判例から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

譲渡担保権とは、滞納者が担保目的で財産を譲渡した場合の、その譲渡先の財産(条文上「譲渡担保財産」)や譲渡先の権利者(条文上「譲渡担保権者」)に関する国税徴収法上の取扱いをまとめて呼ぶ言葉です。国税徴収法第24条は、滞納者本来の財産への滞納処分だけでは国税に不足するときに限り、税務署長の告知と一定期間の経過を経て、譲渡担保権者を第二次納税義務者とみなして譲渡担保財産に差押えを続行できる仕組みを定めています。あわせて、換価時に譲渡担保財産上の担保権がどうなるか(第124条)、差押財産を選ぶ際の第三者への配慮(第49条)も定められています。

譲渡担保権
場面要件効果
徴収の要件本来の財産で不足するとき譲渡担保財産から徴収可
告知書面で必要事項を通知納税者にも通知
履行期限告知から10日で完納なし第二次納税義務とみなす
適用除外法定納期限等以前に登記/証明本条の適用なし
換価時の担保権差押え後の質権等買受代金納付で消滅
担保権の引受け要件満たせば買受人へ質権等は消滅せず存続
  • 告知後の差押えの通知先は、動産・有価証券は占有する第三者、債権等は第三債務者等など財産の種類で異なる
  • 担保される債権が債務不履行等で消滅しても、譲渡担保財産として存続するものとみなして扱われる
  • 罰則の適用については、譲渡担保権者は納税者とみなされる
  • 第124条の担保権引受けは不動産・船舶・航空機・自動車・建設機械の換価の場合に限られる
  • 第49条にいう滞納者には譲渡担保権者を含むが、差押禁止財産の規定ではこれを含まない
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譲渡担保権

譲渡担保権について、条文は何を定めているか。

第24条譲渡担保権者の物的納税責任本来の財産で不足なら担保財産から徴収9項・2号判例 4件
  • 滞納者本来の財産で不足する場合に限り譲渡担保財産から徴収できる
  • 税務署長が書面で告知し、納税者にもその旨を通知する
  • 告知から10日を経過しても完納がなければ第二次納税義務とみなし差押え続行
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第124条担保権の消滅又は引受け差押え後の担保権は原則消滅、例外は引受け2項・3号判例 1件
  • 差押え後にできた質権・抵当権等は買受代金の納付で消滅する
  • 不動産等の換価では要件を満たせば質権等を買受人に引き受けさせられる
  • 引受けの要件の一つは弁済期限が売却決定期日から6月以内に来ないこと
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第49条差押財産の選択に当つての第三者の権利の尊重差押財産を選ぶ際は第三者の権利にも配慮1項判例なし
  • 滞納処分の執行に支障がない限り第三者の権利を害さないよう努める
  • ここでの滞納者には譲渡担保権者も含まれる
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第24条国税徴収法

滞納者の所有財産に対し右滞納者以外の者の滞納税金をも併せて徴収するために行なわれた滞納処分の適否

裁判要旨滞納者の所有財産に対する滞納処分が、その滞納者の滞納税金のみならず、誤つて他の者の滞納税金をも徴収するために行なわれた場合には、右処分の瑕疵は、他の滞納者の滞納税金に対するものとしてなされた部分についてのみ存し、その滞納処分全体を違法ならしめるものではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和43年7月16日 昭和40(行ツ)109
登載
集民 第91号729頁
参照法条
旧国税徴収法24条
論点2第24条国税徴収法

一 国税局長への異議申立書と題する書面の提出の国税徴収法第三一条の二の再調査請求としての適否
二 審査決定で却下の再調査決定を是認するとともに原処分の適否を判断した場合における裁判所の原処分の適否審理
三 公売処分取消訴訟における審査決定をした国税局長の被告適格
四 国税徴収法による不動産差押の効力発生時期
五 不動産差押効力発生前にした公売公告の適否

裁判要旨一 国税局長に異議申立書と題する書面の提出があつても、右書面が、公売財産の所有者から提出され、不服のある処分が具体的に明示され、不服の理由も記載されている以上、国税徴収法第三一条の二による再調査請求があつたものと認めるべきである
二 審査決定で却下の再調査決定を是認するとともに、原処分の適否をも審理判断した場合に、裁判所は、右却下決定を違法と判断したときは、原処分の適否についても、審理裁判することができる
三 公売処分取消訴訟においては、審査決定をした国税局長も被告適格がある
四 国税徴収法による不動産差押の効力は差押調書謄本の滞納者に対する交付のあつたときに生ずる
五 不動産差押の効力発生前にした公売公告は違法である
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和33年5月24日 昭和31(オ)592
登載
民集 第12巻8号1115頁
参照法条
国税徴収法31条ノ2,国税徴収法31条ノ4,国税徴収法23条ノ3,国税徴収法24条1項,行政事件訴訟特例法3条,国宝施行規則16条,国宝施行規則19条,国宝施行規則22条
論点3第24条国税徴収法

国税の法定納期限等以前に将来発生すべき債権を目的として譲渡担保契約が締結され第三者に対する対抗要件が具備されていた場合における国税徴収法24条6項の適用

裁判要旨国税の法定納期限等以前に,将来発生すべき債権を目的として,債権譲渡の効果の発生を留保する特段の付款のない譲渡担保契約が締結され,その債権譲渡につき第三者に対する対抗要件が具備されていた場合には,譲渡担保の目的とされた債権が国税の法定納期限等の到来後に発生したとしても,当該債権は国税徴収法24条6項にいう「国税の法定納期限等以前に譲渡担保財産となっている」ものに該当する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成19年2月15日 平成16(行ヒ)310
登載
民集 第61巻1号243頁
参照法条
国税徴収法24条,民法369条(譲渡担保),民法467条2項
論点4第24条国税徴収法

いわゆる一括支払システムに関する契約においてされた国税徴収法24条2項による告知書の発出の時点で譲渡担保権を実行することを内容とする合意の効力

裁判要旨いわゆる一括支払システムに関する契約において譲渡担保権者と納税者との間でされた国税徴収法24条2項による告知書の発出の時点で譲渡担保権を実行することを内容とする合意は,同条5項の趣旨に反して無効である。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成15年12月19日 平成10(行ツ)149
登載
民集 第57巻11号2292頁
参照法条
国税徴収法24条,民法91条
論点5第124条国税徴収法

抵当権設定登記後に賃借権の時効取得に必要な期間不動産を用益した者が賃借権の時効取得を当該不動産の競売又は公売による買受人に対抗することの可否

裁判要旨不動産につき賃借権を有する者がその対抗要件を具備しない間に,当該不動産に抵当権が設定されてその旨の登記がされた場合,上記の者は,上記登記後,賃借権の時効取得に必要とされる期間,当該不動産を継続的に用益したとしても,競売又は公売により当該不動産を買い受けた者に対し,賃借権を時効により取得したと主張して,これを対抗することはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成23年1月21日 平成21(受)729
登載
集民 第236号27頁
参照法条
民法163条,民法601条,民法605条,民事執行法59条1項,民事執行法59条2項,国税徴収法124条1項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

国税徴収法 第24条(譲渡担保権者の物的納税責任) 詳細ページ
(譲渡担保権者の物的納税責任)
第二十四条納税者が国税を滞納した場合において、その者が譲渡した財産でその譲渡により担保の目的となつているもの(以下「譲渡担保財産」という。)があるときは、その者の財産につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき国税に不足すると認められるときに限り、譲渡担保財産から納税者の国税を徴収することができる。
2税務署長は、前項の規定により徴収しようとするときは、譲渡担保財産の権利者(以下「譲渡担保権者」という。)に対し、徴収しようとする金額その他必要な事項を記載した書面により告知しなければならない。この場合においては、その者の住所又は居所(事務所及び事業所を含む。以下同じ。)の所在地を所轄する税務署長及び納税者に対しその旨を通知しなければならない。
3前項の告知書を発した日から十日を経過した日までにその徴収しようとする金額が完納されていないときは、徴収職員は、譲渡担保権者を第二次納税義務者とみなして、その譲渡担保財産につき滞納処分を執行することができる。この場合においては、第三十二条第三項から第五項まで(第二次納税義務の通則)及び第九十条第三項(換価の制限)の規定を準用する。
4譲渡担保財産を第一項の納税者の財産としてした差押えは、同項の要件に該当する場合に限り、前項の規定による差押えとして滞納処分を続行することができる。この場合において、税務署長は、遅滞なく、第二項の告知及び通知をしなければならない。
5税務署長は、前項の規定により滞納処分を続行する場合において、譲渡担保財産が次の各号に掲げる財産であるときは、当該各号に定める者に対し、納税者の財産としてした差押えを第三項の規定による差押えとして滞納処分を続行する旨を通知しなければならない。
一第三者が占有する動産(第七十条(船舶又は航空機の差押え)又は第七十一条(自動車、建設機械又は小型船舶の差押え)の規定の適用を受ける財産を除く。以下同じ。)又は有価証券動産又は有価証券を占有する第三者
二第六十二条(差押えの手続及び効力発生時期)又は第七十三条(電話加入権等の差押えの手続及び効力発生時期)の規定の適用を受ける財産(これらの財産の権利の移転につき登記を要するものを除く。)第三債務者又はこれに準ずる者(以下「第三債務者等」という。)
6税務署長は、第四項の規定により滞納処分を続行する場合において、第五十五条第一号又は第三号(質権者等に対する差押えの通知)に掲げる者のうち知れている者があるときは、これらの者に対し、納税者の財産としてした差押えを第三項の規定による差押えとして滞納処分を続行する旨を通知しなければならない。
7第二項の規定による告知又は第四項の規定の適用を受ける差押えをした後、納税者の財産の譲渡により担保される債権が債務不履行その他弁済以外の理由により消滅した場合(譲渡担保財産につき買戻し、再売買の予約その他これらに類する契約を締結している場合において、期限の経過その他その契約の履行以外の理由によりその契約が効力を失つたときを含む。)においても、なお譲渡担保財産として存続するものとみなして、第三項の規定を適用する。
8第一項の規定は、国税の法定納期限等以前に、担保の目的でされた譲渡に係る権利の移転の登記がある場合又は譲渡担保権者が国税の法定納期限等以前に譲渡担保財産となつている事実を、その財産の売却決定の前日までに、証明した場合には、適用しない。この場合においては、第十五条第二項後段及び第三項(優先質権の証明)の規定を準用する。
9第一項の規定の適用を受ける譲渡担保権者は、第十章(罰則)の規定の適用については、納税者とみなす。
国税徴収法 第124条(担保権の消滅又は引受け) 詳細ページ
(担保権の消滅又は引受け)
第百二十四条換価財産上の質権、抵当権、先取特権、留置権、担保のための仮登記に係る権利及び担保のための仮登記に基づく本登記(本登録を含む。)でその財産の差押え後にされたものに係る権利は、その買受人が買受代金を納付した時に消滅する。第二十四条(譲渡担保権者の物的納税責任)の規定により譲渡担保財産に対し滞納処分を執行した場合において、滞納者がした再売買の予約の仮登記があるときは、その仮登記により保全される請求権についても、同様とする。
2税務署長は、不動産、船舶、航空機、自動車又は建設機械を換価する場合において、次の各号のいずれにも該当するときは、その財産上の質権、抵当権又は先取特権(登記がされているものに限る。以下この条において同じ。)に関する負担を買受人に引き受けさせることができる。この場合において、その引受けがあつた質権、抵当権又は先取特権については、前項の規定は、適用しない。
一差押えに係る国税(特定参加差押不動産を換価する場合にあつては、換価同意行政機関等の滞納処分による差押えに係る地方税又は公課を含む。)がその質権、抵当権又は先取特権により担保される債権に次いで徴収するものであるとき。
二その質権、抵当権又は先取特権により担保される債権の弁済期限がその財産の売却決定期日から六月以内に到来しないとき。
三その質権、抵当権又は先取特権を有する者から申出があつたとき。
国税徴収法 第49条(差押財産の選択に当つての第三者の権利の尊重) 詳細ページ
(差押財産の選択に当つての第三者の権利の尊重)
第四十九条徴収職員は、滞納者(譲渡担保権者を含む。第七十五条、第七十六条及び第七十八条(差押禁止財産)を除き、以下同じ。)の財産を差し押えるに当つては、滞納処分の執行に支障がない限り、その財産につき第三者が有する権利を害さないように努めなければならない。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。