国税徴収法 / テーマ別まとめ

国税と他の債権との調整/一般的優先の原則

一般的優先の原則の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

国税は原則として納税者のすべての財産から、他の公課や債権より先に徴収されます。ただし強制換価手続の費用や滞納処分費、消費税等については、国税の中でもさらに細かい優先順位が定められています。ここでは国税徴収法第8条から第11条までの一般的優先の原則を整理しています。

一般的優先の原則
条文何が優先するか対象となる財産優先順位
第8条国税納税者の総財産公課・他の債権に先立つ
第9条交付要求した国税換価代金手続費用の次に優先
第10条滞納処分費滞納処分の換価代金他の国税・地方税等に優先
第11条消費税等(滞納処分費含む)物品の換価代金他の国税・地方税等に優先
  • 第8条の原則には「この章に別段の定めがある場合を除き」という留保がある
  • 第9条の優先は、国税の交付要求をした場合に限られる
  • 第10条の優先は第11条、第14条から第17条まで、第18条の2第1項、第19条から第21条まで及び第23条の規定には及ばない
  • 第11条の優先は移出又は公売若しくは売却に係る物品の換価代金に限られる
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一般的優先の原則

一般的優先の原則について、条文は何を定めているか。

第8条国税優先の原則国税は原則すべての債権に優先する1項判例 3件
  • 国税は納税者の総財産から他の公課・債権より先に徴収される
  • ただし国税徴収法に別段の定めがある場合は例外となる
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第9条強制換価手続の費用の優先配当時は手続費用の次に国税を徴収1項判例なし
  • 強制換価手続で国税の交付要求をした場合の優先順位を定める
  • 換価代金からはまず手続費用、次に国税の順で徴収される
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第10条直接の滞納処分費の優先滞納処分費は他の国税等より優先する1項判例 3件
  • 滞納処分による換価代金では、その滞納処分費が最優先で徴収される
  • 他の国税・地方税その他の債権より先に徴収を受ける
  • 第11条〈強制換価の場合の消費税等の優先〉など一部の規定が適用される場合は例外となる
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第11条強制換価の場合の消費税等の優先消費税等は換価代金から最優先で徴収1項判例なし
  • 強制換価に伴い徴収する消費税等(滞納処分費を含む)の優先順位を定める
  • 移出・公売・売却に係る物品の換価代金から他の国税・地方税等に先立ち徴収される
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第8条国税徴収法

同一金銭債権につき債権者代位権に基づく給付の訴の提起後に国税滞納処分に基づく取立の訴が提起された場合における両訴の関係

裁判要旨債権者が、債務者に属する金銭債権につき、債務者に代位して、第三債務者に対しその支払を求める訴を提起した後に、国が、右債務者に対する国税の滞納処分として同一債権を差し押え、第三債務者に対しその支払を求める訴を提起しても、債権者の代位権行使の権限が失われるものではなく、裁判所は、右二個の請求を併合して審理し、これをともに認容することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和45年6月2日 昭和44(オ)626
登載
民集 第24巻6号447頁
参照法条
民法423条,民訴法231条,民訴法598条,国税徴収法8条,国税徴収法67条
論点2第8条国税徴収法

所有者が土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後に建て替えた新建物に土地の抵当権と同順位の共同抵当権を設定した場合に右抵当権の被担保債権に優先する国税について執行裁判所に対し交付要求がされたときの法定地上権の成否

裁判要旨所有者が、土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後、建物を取り壊し、土地上に新たに建物を建築し、新建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権を設定した場合であっても、新建物についての抵当権の被担保債権に優先する国税について執行裁判所に対し交付要求がされたときには、新建物のために法定地上権は成立しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成9年6月5日 平成5(オ)2172
登載
民集 第51巻5号2116頁
参照法条
民法388条,国税徴収法8条,国税徴収法16条,国税徴収法82条
論点3第8条国税徴収法

同一の申立てに係る複数の不動産の競売における先行する配当手続で国税徴収法26条の規定による調整が行われた場合において配当を受けることができなかった国税,地方税等を後行の配当手続で私債権に優先するものとして取り扱うことの可否

裁判要旨同一の申立てに係る複数の不動産の競売で不動産が順次売却されて配当手続が数次に及び,先行する配当手続で国税徴収法26条の規定による調整が行われた場合において,私債権に優先するものとして国税及び地方税等に充てるべき金額の総額を決定するために用いられながら配当を受けることができなかった国税,地方税等は,後行の配当手続においても私債権に優先するものとして取り扱うことができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成11年4月22日 平成8(オ)999
登載
集民 第193号141頁
参照法条
民事執行法84条,民事執行法85条,国税徴収法8条,国税徴収法16条,国税徴収法26条
論点4第10条国税徴収法

国税徴収権の消滅時効の中断と民法第一五三条の準用の有無

裁判要旨徴税機関が、未納国税額につき納付を催告し、その後六箇月内に差押等の手段をとつたときは、民法第一五三条の準用により、国税徴収権の消滅時効は中断されるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年6月27日 昭和39(行ツ)91
登載
民集 第22巻6号1379頁
参照法条
旧国税徴収法(明治30年法律第21号)1条,旧国税徴収法(明治30年法律第21号)10条,会計法31条,民法147条,民法153条
論点5第10条国税徴収法

一 裁判上の和解に基づく抹消登記が滞納処分の差押の効力に抵触し、国の代位によつて回復登記ができるとされた事例
二 債権者代位権行使後に債務者としても訴を提起できるか

裁判要旨一 裁判上の和解が滞納処分の差押に抵触する場合、右和解調書正本に基づいてなされた所有権取得登記の抹消登記に対し、国は所有権を代位行使して右回復登記を求める権利を有する。
二 債権者が債権者代位の訴を提起した代位権を行使した後は、債務者は代位の目的となつた権利について訴を提起できない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和37年2月15日 昭和35(オ)706
登載
集民 第58号645頁
参照法条
国税徴収法(昭和34年改正前)10条,民訴法203条,民法423条,不動産登記法67条
論点6第10条国税徴収法

一 国税滞納処分による差押と民法第一七七条
二 登記の欠缺を主張するにつき正当の利益を有しない第三者の範囲
三 国税滞納処分による不動産差し押えの場合における国の登記欠缺の主張が正当の利益がないとはいえないとされた一事例

裁判要旨一 国税滞納処分による差押については、民法第一七七条の適用があるものと解すべきである。
二 登記の欠缺を主張する第三者がこれを主張するにつき正当の利益を有しない場合とは、当該第三者に、不動産登記法第四条第五条により登記の欠缺を主張することの許されない事由がある場合、その他これに類するような、登記の欠缺を主張することが信義に反すると認められる事由がある場合に限るものと解すべきである。
三 国が国税滞納者に対する滞納処分として登記簿上滞納者名義の不動産を差し押えた場合において、差押の約三年六箇月前に右不動産の譲受人から移転登記の未経由にかかわらず該不動産がその所有に属する旨の財産申告を受け、これを前提として財産税を徴収した事実があつても、それだけでは、国は、登記の欠缺を主張するにつき正当の利益を有する第三者にあたらないとはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和31年4月24日 昭和29(オ)79
登載
民集 第10巻4号417頁
参照法条
民法177条,国税徴収法10条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

国税徴収法 第8条(国税優先の原則) 詳細ページ
(国税優先の原則)
第八条国税は、納税者の総財産について、この章に別段の定がある場合を除き、すべての公課その他の債権に先だつて徴収する。
国税徴収法 第9条(強制換価手続の費用の優先) 詳細ページ
(強制換価手続の費用の優先)
第九条納税者の財産につき強制換価手続が行われた場合において、国税の交付要求をしたときは、その国税は、その手続により配当すべき金銭(以下この章において「換価代金」という。)につき、その手続に係る費用に次いで徴収する。
国税徴収法 第10条(直接の滞納処分費の優先) 詳細ページ
(直接の滞納処分費の優先)
第十条納税者の財産を国税の滞納処分により換価したときは、その滞納処分に係る滞納処分費は、次条、第十四条から第十七条まで(担保を徴した国税の優先等)、第十八条の二第一項(法定納期限等以前に設定された企業価値担保権の優先等)、第十九条から第二十一条まで(先取特権等の優先)及び第二十三条(法定納期限等以前にされた仮登記により担保される債権の優先等)の規定にかかわらず、その換価代金につき、他の国税、地方税その他の債権に先立つて徴収する。
国税徴収法 第11条(強制換価の場合の消費税等の優先) 詳細ページ
(強制換価の場合の消費税等の優先)
第十一条国税通則法第三十九条(強制換価の場合の消費税等の徴収の特例)又は輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律(昭和三十年法律第三十七号)第八条第一項第三号若しくは第七号(公売又は売却等の場合における内国消費税の徴収)の規定により徴収する消費税等(その滞納処分費を含む。)は、次条から第十七条まで(差押先着手による国税の優先等)、第十八条の二第一項(法定納期限等以前に設定された企業価値担保権の優先等)及び第十九条から第二十一条まで(先取特権等の優先)の規定にかかわらず、その徴収の基因となつた移出又は公売若しくは売却に係る物品の換価代金につき、他の国税、地方税その他の債権に先立つて徴収する。
出

一次情報

原文ママ

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