地方税法 / テーマ別まとめ

不服審査及び訴訟/不服審査

不服審査の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

地方団体の徴収金に関する更正・決定・賦課決定や督促・滞納処分などへの審査請求は、地方税法に特別の定めがある部分を除き行政不服審査法による。地方税法はこれに加えて、徴税吏員がした処分の扱い、滞納処分についての審査請求期間の特例、審査請求中の換価・徴収の制限や差押えの回避・解除、売却決定等の取消し制限といった独自の手続を定めている。

不服審査
場面取扱いの要点期限・数値
審査請求の根拠法行政不服審査法による特別の定めがある場合を除く
徴税吏員がした処分所属長の処分とみなす―
滞納処分の審査請求期間期限後は請求不可差押は通知翌日から3月
差押財産の換価裁決まで原則できない価額減少のおそれ等は除く
差押えの回避・解除担保提供で認められる場合あり相当と認めるとき
賦課・徴収の続行原則、続行を妨げない―
搬出の制限審査請求中は搬出不可係属する間
売却決定等の棄却裁決違法でも棄却できる場合あり軽微な違法・公益上の理由
  • 19条各号の対象処分(更正・決定・賦課決定、分割基準の修正・決定等)の具体的な列挙は原文を参照
  • 19条の4の期間の起算点は号ごとに異なる(差押の通知/公売期日等/売却決定/配当の交付期日)
  • 19条の5は19条3~8号の処分に基づく更正・決定・賦課決定への審査請求が対象
  • 19条の6の関係地方団体への通知は官報登載でも代替できる
  • 19条の7の担保提供による差押えの回避・解除は第16条第1項各号の担保に限る
  • 19条の10の棄却裁決には違法である旨と棄却理由の明示が必要で、損害賠償請求は妨げられない
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不服審査

不服審査について、条文は何を定めているか。

第19条行政不服審査法との関係不服申立ては行政不服審査法による1項・9号判例 2件
  • 更正・決定・賦課決定や督促・滞納処分などが対象処分になる
  • 分割基準の修正・決定、課税標準額の決定なども対象に含まれる
  • 地方税法に特別の定めがなければ行政不服審査法どおりに扱う
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第19_2条徴税吏員がした処分徴税吏員の処分は所属長の処分とみなす1項判例なし
  • 支庁・地方事務所・市の区や総合区の事務所等所属の徴税吏員の処分はその長の処分とみなす
  • それ以外の徴税吏員の処分は所属する地方団体の長の処分とみなす
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第19_3条1項判例なし
第19_4条審査請求期間の特例滞納処分の審査請求には期限がある1項・4号判例なし
  • 差押の欠陥は通知翌日(通知がなければ知った日)から3月経過後は主張不可
  • 不動産等の差押の欠陥は公売期日等までに審査請求が必要
  • 売却決定は買受代金の納付期限まで、配当は交付期日までに審査請求が必要
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第19_5条審査請求の理由の制限元の処分への不服は理由にできない1項判例なし
  • 19条〈行政不服審査法との関係〉3~8号の処分に基づく更正・決定・賦課決定への審査請求が対象
  • その元となった3~8号の処分自体への不服を理由にすることはできない
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第19_6条審査請求があつた場合等の通知審査請求があれば関係地方団体へ通知する2項判例なし
  • 19条〈行政不服審査法との関係〉3~8号の処分への審査請求は関係地方団体の長へ通知が必要
  • 官報への登載で通知に代えることができる
  • 裁決をしたときも同様に通知しなければならない
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第19_7条審査請求と地方団体の徴収金の賦課徴収との関係審査請求中も原則、賦課徴収は止まらない3項判例なし
  • 審査請求は賦課・徴収の続行を妨げない
  • 差押財産の換価は裁決まで原則できない(価額減少のおそれ等は除く)
  • 担保提供により差押えをしないこと・差押えの解除を求められる
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第19_8条差押動産等の搬出の制限引渡命令への審査請求中は財産を搬出できない1項判例なし
  • 引渡命令を受けた第三者が所有権を理由に審査請求した場合が対象
  • 審査請求が係属する間は当該財産の搬出ができない
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第19_9条1項判例なし
第19_10条不動産等の売却決定等の取消しの制限軽微な違法なら棄却できる場合がある3項・2号判例なし
  • 差押等の欠陥を理由とする審査請求でも、違法が軽微で後行処分に影響しない場合は棄却できる
  • 換価財産が公共用に供される等、取消しが公共の福祉に適合しない場合も棄却できる
  • 棄却裁決には違法である旨と理由を明示し、損害賠償請求は妨げられない
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第19条地方税法

第三者甲が地方税法一九条に規定する処分につき審査請求手続を経た場合と乙の提起した当該処分の取消訴訟についての審査請求手続経由の有無

裁判要旨第三者甲が、地方税法一九条〈行政不服審査法との関係〉に規定する処分につき、当該処分の取消訴訟において原告乙の主張する事由と同一の事由に基づいて審査請求手続を経ていたとしても、甲と乙とが当該処分に対し一体的な利害関係を有し、実質的にみれば甲のした審査請求は同時に乙のための審査請求でもあるといえるような特段の事情がない限り、右甲による審査請求手続の経由をもつて原告乙の訴えにつき審査請求手続の経由があつたものということはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和61年6月10日 昭和58(行ツ)75
登載
集民 第148号159頁
参照法条
行政事件訴訟法8条1項ただし書,地方税法19条の12
論点2第19条地方税法

法人の所得額の算定および逋脱責任額に関し、未払事業税、諸未払金、交際費を犯則事業年度の損金に計上することが容認されなかつた事例。

裁判要旨一 原判決の確定した事実関係の下においては、原審が所論未払事業税、諸未払金、交際費を被告会社の本件犯則事業年度の損金に計上することを認めなかつたのは正当である。

二 (原判示の要旨)
(イ)未払事業税について
所論昭和二十二、二十三両年度の法人所得に対する事業税については、当時賦課徴収制が採られ、納税義務者に対する徴収令書の交付により賦課税額が確定する建前になつていたため、当該事業年度において、未だ賦課税額が確定しないときは、その事業年度の所得金額に標準税率を乗じて計算した額をもつて、その事業年度の損金とすべきであつて、右事業年度経過後に至つて確定する賦課税額による不足額を遡つて右事業年度の損金として総益金よりこれを控除すべき理由がない。

三 (ロ)諸未払金について
所論の諸経費(固定資産税、失業保険料等)は、当該事業年度にのみ限定された経費ではなく、毎事業年度繰り返えし継続して支払わるべき経費であるところ、記録によれば、被告会社においては、従来これ等の諸経費を、現実に支払つた日の属する事業年度の経費として計上し、法人税の申告納税をしたものであることが認められる。このような経理慣行の存在する場合は、この経理慣行に従つて、これ等諸経費は、現実に支払われた日の属する事業年度の損金として計上すべきであつて、本件犯則事業年度に限り、発生主義に基づいて、所論未払諸経費をその債務発生の事業年度の損失として算入すべきではない。

四 (ハ)交際費について
所論の交際費は、被告会社の年間売上高金額を基礎として算出された単なる計数上の金額に過ぎず、それが現実の経費として支出されたことを認むべき何等の基礎資料も存在しない。
と各判示している。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年10月22日 昭和35(あ)560
登載
集刑 第148号829頁
参照法条
旧法人税法(昭和32年法律28号)附則16項,旧法人税法(昭和29年法律38号)附則9項,旧法人税法(昭和22年法律28号―昭和25年法律72号による改正後のもの)48条1項,旧法人税法(昭和22年法律28号―昭和25年法律72号による改正後のもの)21条1項,旧法人税法(昭和22年法律28号―昭和25年法律72号による改正後のもの)19条,旧法人税法(昭和22年法律28号―昭和25年法律72号による改正後のもの)9条,旧法人税法(昭和22年法律28号―昭和25年法律72号による改正後のもの)51条,旧法人税法(昭和22年法律28号―昭和25年法律72号による改正後のもの)53条,旧地方税法(昭和23年法律110号)18条,旧地方税法(昭和23年法律110号)19条,旧地方税法(昭和23年法律110号)12条,国税庁、事業税の取扱について通達(昭和26年3月29日直法1―42),国税庁、法人税基本通達(昭和25年9月25日直法1―100)269号,所得税法20条1項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

地方税法 第19条(行政不服審査法との関係) 詳細ページ
(行政不服審査法との関係)
第十九条地方団体の徴収金に関する次の各号に掲げる処分についての審査請求については、この款その他この法律に特別の定めがあるものを除くほか、行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)の定めるところによる。
一更正若しくは決定(第五号に掲げるものを除く。)又は賦課決定
二督促又は滞納処分
三第五十八条第一項、第二項、第三項若しくは第五項又は第三百二十一条の十四第一項、第二項、第三項若しくは第五項の規定による分割の基準となる従業者数の修正又は決定
四第五十九条第二項又は第三百二十一条の十五第二項若しくは第七項の規定による分割の基準となる従業者数についての決定又は裁決
五第七十二条の四十八の二第一項の規定による課税標準額の総額の更正若しくは決定又は同条第三項の規定による分割基準の修正若しくは決定
六第七十二条の五十四第一項の規定による課税標準とすべき所得の総額の決定又は同条第三項前段の規定による課税標準とすべき所得の決定
七第七十二条の五十四第五項の規定による課税標準とすべき所得についての決定
八第三百八十九条第一項、第四百十七条第二項又は第七百四十三条第一項若しくは第二項の規定による価格等の決定若しくは配分又はこれらの修正
九前各号に掲げるもののほか、地方団体の徴収金の賦課徴収又は還付に関する処分で総務省令で定めるもの
地方税法 第19_2条(徴税吏員がした処分) 詳細ページ
(徴税吏員がした処分)
第十九条の二審査請求に関しては、第三条の二に規定する支庁、地方事務所、市の区の事務所、市の総合区の事務所又は税務に関する事務所に所属する徴税吏員がした処分はその者の所属する支庁等の長がした処分と、その他の徴税吏員がした処分はその者の所属する地方団体の長がした処分とみなす。
地方税法 第19_3条 詳細ページ
第十九条の三削除
地方税法 第19_4条(審査請求期間の特例) 詳細ページ
(審査請求期間の特例)
第十九条の四滞納処分について、次の各号に掲げる処分に関し欠陥があること(第一号に掲げる処分については、これに関する通知が到達しないことを含む。)を理由としてする審査請求は、当該各号に規定する日又は期限後は、することができない。
一督促差押えに係る通知を受けた日(その通知がないときは、その差押えがあつたことを知つた日)の翌日から起算して三月を経過した日
二不動産等(国税徴収法第百四条の二第一項に規定する不動産等をいう。次号において同じ。)についての差押えその公売期日等(国税徴収法第百十一条に規定する公売期日等をいう。)
三不動産等についての公告(国税徴収法第百七十一条第一項第三号に掲げる公告をいう。)から売却決定までの処分換価財産の買受代金の納付の期限
四換価代金等の配当換価代金等の交付期日
地方税法 第19_5条(審査請求の理由の制限) 詳細ページ
(審査請求の理由の制限)
第十九条の五第十九条第三号から第八号までに掲げる処分に基づいてされた更正、決定又は賦課決定についての審査請求においては、同条第三号から第八号までに掲げる処分についての不服を当該更正、決定又は賦課決定についての不服の理由とすることができない。
地方税法 第19_6条(審査請求があつた場合等の通知) 詳細ページ
(審査請求があつた場合等の通知)
第十九条の六第十九条第三号から第八号までに掲げる処分についての審査請求があつた場合においては、その審査請求に対する裁決の権限を有する者は、関係地方団体の長に対し、審査請求があつた旨その他必要な事項を通知しなければならない。この場合においては、審査請求があつた旨その他必要な事項を官報に登載することによつて、当該通知に代えることができる。
2前項の規定は、同項に規定する審査請求に対する裁決の権限を有する者が当該審査請求に対する裁決をした場合に準用する。
地方税法 第19_7条(審査請求と地方団体の徴収金の賦課徴収との関係) 詳細ページ
(審査請求と地方団体の徴収金の賦課徴収との関係)
第十九条の七審査請求は、その目的となつた処分に係る地方団体の徴収金の賦課又は徴収の続行を妨げない。ただし、その地方団体の徴収金の徴収のために差し押さえた財産(国税徴収法第八十九条の二第四項に規定する特定参加差押不動産を含む。)の滞納処分(その例による処分を含む。次項において同じ。)による換価は、その財産の価額が著しく減少するおそれがあるとき、又は審査請求をした者から別段の申出があるときを除き、その審査請求に対する裁決があるまで、することができない。
2審査請求の目的となつた処分に係る地方団体の徴収金について徴収の権限を有する地方団体の長は、審査請求をした者が第十六条第一項各号に掲げる担保を提供して、その地方団体の徴収金につき、滞納処分による差押えをしないこと又は既にされている滞納処分による差押えを解除することを求めた場合において、相当と認めるときは、その差押えをせず、又はその差押えを解除することができる。
3第十一条、第十六条第三項及び第四項並びに第十六条の五第一項及び第二項の規定は、前項の規定による担保について準用する。
地方税法 第19_8条(差押動産等の搬出の制限) 詳細ページ
(差押動産等の搬出の制限)
第十九条の八国税徴収法第五十八条第二項の規定の例による引渡しの命令を受けた第三者が、その命令に係る財産が滞納者の所有に属していないことを理由として、その命令につき審査請求をしたときは、その審査請求の係属する間は、当該財産の搬出をすることができない。
地方税法 第19_9条 詳細ページ
第十九条の九削除
地方税法 第19_10条(不動産等の売却決定等の取消しの制限) 詳細ページ
(不動産等の売却決定等の取消しの制限)
第十九条の十第十九条の四第三号に掲げる処分に欠陥があることを理由として滞納処分についての審査請求があつた場合において、その処分は違法ではあるが、次に掲げる場合に該当するときは、地方団体の長は、その審査請求を棄却することができる。
一その審査請求に係る処分に続いて行われるべき処分(以下この号において「後行処分」という。)が既に行われている場合において、その審査請求に係る処分の違法が軽微なものであり、その後行処分に影響を及ぼさせることが適当でないと認められるとき。
二換価した財産が公共の用に供されている場合その他審査請求に係る処分を取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合で、その審査請求をした者の受ける損害の程度、その損害の賠償の程度及び方法その他一切の事情を考慮してもなおその処分を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認められるとき。
2前項の規定による審査請求の棄却の裁決には、処分が違法であること及び審査請求を棄却する理由を明示しなければならない。
3第一項の規定は、地方団体に対する損害賠償の請求を妨げない。
出

一次情報

原文ママ

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