国税徴収法 / テーマ別まとめ

財産の差押/債権の差押

債権の差押の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

国税徴収法上の債権の差押えは、第三債務者に対する債権差押通知書の送達によって行い、通常の債権と電子記録債権とでは通知先や効力発生の時期が異なります。差し押える範囲は原則全額で、差し押えた債権は徴収職員が自ら取り立てることができ、担保付き債権や継続収入の債権については登記や効力の及ぶ範囲について別途の定めがあります。

債権の差押
項目通常の債権(62条)電子記録債権(62条の2)
差押の通知先第三債務者のみ第三債務者と電子債権記録機関
効力発生時点第三債務者への送達時電子債権記録機関への送達時
滞納者への禁止事項取立てその他の処分取立てその他の処分・電子記録の請求
第三債務者への禁止事項履行の禁止履行の禁止
  • 62条の2:第三債務者に対する差押えの効力は、その第三債務者への送達時に生じる
  • 62条4項:移転に登録を要する債権は、差押の登録を関係機関に嘱託する
  • 63条:全額差押えが原則だが、必要がなければ一部差押えも可能
  • 64条:担保付き債権の差押登記をした場合、担保財産の権利者(第三債務者を除く)に通知する
  • 67条4項:第三債務者からの弁済委託には納付委託の規定を準用し、証券の取立期限が弁済期後なら滞納者の承認が必要
  • 66条:継続収入への差押えの効力は、徴収すべき国税の額を限度とする
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債権の差押

債権の差押について、条文は何を定めているか。

第62条差押えの手続及び効力発生時期第三債務者に通知書を送って差し押さえる4項判例 2件
  • 差押えは第三債務者への債権差押通知書の送達で行う
  • 債務者には履行を、滞納者には取立て等を禁止する
  • 効力は通知書が第三債務者に届いた時に生じる
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第62_2条電子記録債権の差押えの手続及び効力発生時期電子記録債権は記録機関にも通知が要る3項判例なし
  • 第三債務者と電子債権記録機関の両方に通知書を送る
  • 滞納者には取立てや電子記録の請求も禁止する
  • 効力は記録機関への送達時に生じる(第三債務者分は別)
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第63条差し押える債権の範囲原則全額、必要なければ一部でも可1項判例 1件
  • 債権は全額差し押さえるのが原則
  • 全額差押えの必要がなければ一部差押えも可能
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第64条抵当権等により担保される債権の差押担保付き債権は差押の登記もできる1項判例なし
  • 抵当権等付きの債権を差し押えたら登記を嘱託できる
  • 登記した場合は担保財産の権利者に差押えを通知する
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第65条債権証書の取上げ必要なら債権証書を取り上げられる1項判例なし
  • 差押えに必要なら債権に関する証書を取り上げ可能
  • 動産等の差押手続の規定を準用する
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第66条継続的な収入に対する差押の効力給料等の差押えは将来分にも及ぶ1項判例なし
  • 給料・年金等の継続収入は差押後の受取分にも効力が及ぶ
  • 及ぶ範囲は徴収すべき国税の額が上限
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第67条差し押えた債権の取立差し押えた債権は徴収職員が取り立てる4項判例 2件
  • 徴収職員は差押えた債権を取り立てられる
  • 金銭以外を取り立てたらそれを差し押える
  • 取り立てた金銭はその額だけ国税を徴収したとみなす
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第62条国税徴収法

一 同一の債権について差押通知と確定日付のある譲渡通知との第三債務者への到達の先後関係が不明である場合における差押債権者と債権譲受人との間の優劣
二 同一の債権について差押通知と確定日付のある譲渡通知との第三債務者への到達の先後関係が不明である場合と当該債権に係る供託金の還付請求権の帰属

裁判要旨一 同一の債権について、差押通知と確定日付のある譲渡通知との第三債務者への到達の先後関係が不明である場合、差押債権者と債権譲受人とは、互いに自己が優先的地位にある債権者であると主張することができない。
二 同一の債権について、差押通知と確定日付のある譲渡通知との第三債務者への到達の先後関係が不明であるため、第三債務者が債権額に相当する金員を供託した場合において、被差押債権額と譲受債権額との合計額が右供託金額を超過するときは、差押債権者と債権譲受人は、被差押債権額と譲受債権額に応じて供託金額を案分した額の供託金還付請求権をそれぞれ分割取得する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成5年3月30日 昭和63(オ)1526
登載
民集 第47巻4号3334頁
参照法条
民法467条,国税徴収法62条,国税徴収法67条
論点2第62条国税徴収法

信託契約の受託者が所有する複数の不動産の固定資産税に係る滞納処分としてされた,上記不動産のうちの信託財産である土地とその上にある固有財産である家屋に係る賃料債権の差押えが,適法であるとされた事例

裁判要旨信託契約の受託者が所有する複数の不動産の固定資産税に係る滞納処分としてされた,上記不動産のうちの信託財産である土地とその上にある固有財産である家屋に係る賃料債権の差押えは,滞納に係る上記固定資産税等のうち上記土地以外の不動産の固定資産税相当額部分に基づき,上記賃料債権のうち上記土地の賃料相当額を差し押さえる点において旧信託法(平成18年法律第109号による改正前のもの)16条1項との関係で問題があるものの,その問題となる部分は上記の限度にとどまり,差押えを全体として違法とするような特段の事情もうかがわれないなど判示の事情の下においては,適法である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成28年3月29日 平成26(行ヒ)228
登載
集民 第252号109頁
参照法条
旧信託法(平成18年法律第109号による改正前のもの)16条1項,地方税法373条,国税徴収法62条,国税徴収法63条
論点3第67条国税徴収法

同一金銭債権につき債権者代位権に基づく給付の訴の提起後に国税滞納処分に基づく取立の訴が提起された場合における両訴の関係

裁判要旨債権者が、債務者に属する金銭債権につき、債務者に代位して、第三債務者に対しその支払を求める訴を提起した後に、国が、右債務者に対する国税の滞納処分として同一債権を差し押え、第三債務者に対しその支払を求める訴を提起しても、債権者の代位権行使の権限が失われるものではなく、裁判所は、右二個の請求を併合して審理し、これをともに認容することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和45年6月2日 昭和44(オ)626
登載
民集 第24巻6号447頁
参照法条
民法423条,民訴法231条,民訴法598条,国税徴収法8条,国税徴収法67条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

国税徴収法 第62条(差押えの手続及び効力発生時期) 詳細ページ
(差押えの手続及び効力発生時期)
第六十二条債権(電子記録債権法第二条第一項(定義)に規定する電子記録債権(次条において「電子記録債権」という。)を除く。以下この条において同じ。)の差押えは、第三債務者に対する債権差押通知書の送達により行う。
2徴収職員は、債権を差し押えるときは、債務者に対しその履行を、滞納者に対し債権の取立その他の処分を禁じなければならない。
3第一項の差押の効力は、債権差押通知書が第三債務者に送達された時に生ずる。
4税務署長は、債権でその移転につき登録を要するものを差し押えたときは、差押の登録を関係機関に嘱託しなければならない。
国税徴収法 第62_2条(電子記録債権の差押えの手続及び効力発生時期) 詳細ページ
(電子記録債権の差押えの手続及び効力発生時期)
第六十二条の二電子記録債権の差押えは、第三債務者及び当該電子記録債権の電子記録をしている電子債権記録機関(電子記録債権法第二条第二項(定義)に規定する電子債権記録機関をいう。以下この条において同じ。)に対する債権差押通知書の送達により行う。
2徴収職員は、電子記録債権を差し押さえるときは、第三債務者に対しその履行を、電子債権記録機関に対し電子記録債権に係る電子記録を、滞納者に対し電子記録債権の取立てその他の処分又は電子記録の請求を禁じなければならない。
3第一項の差押えの効力は、債権差押通知書が電子債権記録機関に送達された時に生ずる。ただし、第三債務者に対する同項の差押えの効力は、債権差押通知書が第三債務者に送達された時に生ずる。
国税徴収法 第63条(差し押える債権の範囲) 詳細ページ
(差し押える債権の範囲)
第六十三条徴収職員は、債権を差し押えるときは、その全額を差し押えなければならない。ただし、その全額を差し押える必要がないと認めるときは、その一部を差し押えることができる。
国税徴収法 第64条(抵当権等により担保される債権の差押) 詳細ページ
(抵当権等により担保される債権の差押)
第六十四条抵当権又は登記することができる質権若しくは先取特権によつて担保される債権を差し押えたときは、税務署長は、その債権の差押の登記を関係機関に嘱託することができる。この場合において、その嘱託をした税務署長は、その抵当権若しくは質権が設定されている財産又は先取特権がある財産の権利者(第三債務者を除く。)に差し押えた旨を通知しなければならない。
国税徴収法 第65条(債権証書の取上げ) 詳細ページ
(債権証書の取上げ)
第六十五条徴収職員は、債権の差押のため必要があるときは、その債権に関する証書を取り上げることができる。この場合においては、第五十六条第一項(動産等の差押手続)及び第五十八条(第三者が占有する動産等の差押手続)の規定を準用する。
国税徴収法 第66条(継続的な収入に対する差押の効力) 詳細ページ
(継続的な収入に対する差押の効力)
第六十六条給料若しくは年金又はこれらに類する継続収入の債権の差押の効力は、徴収すべき国税の額を限度として、差押後に収入すべき金額に及ぶ。
国税徴収法 第67条(差し押えた債権の取立) 詳細ページ
(差し押えた債権の取立)
第六十七条徴収職員は、差し押えた債権の取立をすることができる。
2徴収職員は、前項の規定により取り立てたものが金銭以外のものであるときは、これを差し押えなければならない。
3徴収職員が第一項の規定により金銭を取り立てたときは、その限度において、滞納者から差押に係る国税を徴収したものとみなす。
4国税通則法第五十五条第一項から第三項まで(納付委託)の規定は、第一項の取立をする場合において、第三債務者が徴収職員に対し、その債権の弁済の委託をしようとするときに準用する。ただし、その証券の取り立てるべき期限が差し押えた債権の弁済期後となるときは、第三債務者は、滞納者の承認を受けなければならない。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。