国税通則法 / テーマ別まとめ

国税の徴収/納税の請求

納税の請求の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

このページは、国税が期限までに納付されない場合に税務署長がとる徴収手続(納税の告知、督促、繰上請求、強制換価時の徴収特例)を整理したものです。いつ・どの国税に対して・どんな書面でその手続がとられるかを実務担当者向けにまとめています。

納税の請求
制度対象となる国税時期・要件方法
納税の告知(36条)賦課課税国税・未納の源泉徴収等など徴収しようとするとき納税告知書を送達
督促(37条)納期限に完納しない国税納期限から50日以内に発送督促状で督促
繰上請求(38条1・2項)納期限未到来の確定国税強制換価開始・相続人の限定承認など繰上請求書を送達
見込み額の決定・差押え(38条3項)確定前で徴収確保が必要な国税法定申告期限前見込み額を決定し直ちに差押え
強制換価時の特例(39条)消費税等課税物品強制換価で換価されたとき売却代金から徴収
  • 過少申告加算税・無申告加算税・重加算税は36条の告知の対象外
  • 予定納税に係る所得税の納期限は所得税法の規定による納期限
  • 督促状の50日以内発送は国税に関する法律に別段の定めがある場合を除く
  • 38条1項の繰上請求事由に該当しても、信託終了が信託法所定の事由による場合は対象外
  • 38条3項の見込み額決定の対象は消費税(課税資産の譲渡等に係るもの等)を含む一定の国税
  • 39条の消費税等は消費税を除いたもの
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納税の請求

納税の請求について、条文は何を定めているか。

第36条納税の告知賦課課税国税などは告知書で通知する2項・4号判例 4件
  • 賦課課税方式の国税(加算税等除く)を徴収するときは告知が必要
  • 源泉徴収等の国税・自動車重量税・登録免許税の未納分も告知の対象
  • 告知は税額・納期限・納付場所を記載した告知書の送達で行う
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第37条督促納期限までに未納なら督促状を出す3項・2号判例 1件
  • 納期限までに完納しないときは督促状で納付を督促(一部例外あり)
  • 督促状は納期限から50日以内に発送するのが原則
  • 延滞税・利子税があるときはあわせて督促する
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第38条繰上請求一定の事由があれば納期限を繰り上げ請求できる4項・9号判例なし
  • 強制換価手続の開始、相続人の限定承認、法人解散などで繰上げ可能
  • 納税管理人を定めず国外転出、脱税や不正還付の疑いも対象
  • 繰上請求書を送達、または確定前でも見込み額を決定し差押え可能
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第39条強制換価の場合の消費税等の徴収の特例換価時に売却代金から消費税等を徴収する3項判例なし
  • 課税物品が強制換価で換価されたら売却代金から消費税等を徴収可能
  • 徴収前に執行機関と納税者へ税額など必要事項を通知する
  • 通知後に換価されると税額は決定で確定、交付要求とみなす
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第36条国税通則法

一、源泉徴収による所得税についての納税の告知の法的性質
二、源泉徴収による所得税についての納税の告知を受けた支払者が右所得税の徴収・納付義務の存否または範囲を争う場合の訴訟の形式
三、源泉徴収による所得税を徴収されまたは期限後に納付した支払者のする求償権の行使と受給者の支払拒絶
四、源泉徴収による所得税を徴収されまたは期限後に納付した支払者が受給者に対して行使しうる求償権の範囲

裁判要旨一、源泉徴収による所得税についての納税の告知は、徴収処分であつて課税処分ではない。
二、支払者は、源泉徴収による所得税の徴収・納付義務の存否または範囲を争つて、納税の告知(徴収処分)に対する抗告訴訟を提起することができ、また、これにあわせてまたはこれと別個に、右徴収・納付義務の存否または範囲を訴訟上確定させるため、右義務の全部または一部の不存在確認の訴を提起することができる。
三、受給者は、源泉徴収による所得税を税務署長から徴収されまたは期限後に納付した支払者から、その税額に相当する金額につき求償権の行使を受けたときは、自己の負担すべき源泉納税義務の存否または範囲を争つて、支払者の請求を拒むことができる。
四、源泉徴収による所得税を税務署長から徴収されまたは期限後に納付した支払者の受給者に対する求償権は、右所得税の本税相当額についてのみ行使することができ、附帯税相当額には及ばない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和45年12月24日 昭和43(オ)258
登載
民集 第24巻13号2243頁
参照法条
旧所得税法(昭和22年法律第27号)43条1項,旧所得税法(昭和22年法律第27号)43条2項,所得税法221条,所得税法222条,国税通則法15条,国税通則法36条,行政事件訴訟法3条,民訴法225条
論点2第36条国税通則法

一 所得税法(昭和四七年法律第三一号による改正前のもの)中の給与所得に係る課税関係規定が給与所得者の「健康で文化的な最低限度の生活」を侵害するという主張が失当であるとされた事例
二 国税通則法及び所得税法(昭和四七年法律第三一号による改正前のもの)に定める給与所得に係る源泉徴収制度と憲法一四条一項〈公示送達〉

裁判要旨一 所得税法(昭和四七年法律第三一号による改正前のもの)中の給与所得に係る課税関係規定につき、その課税最低限がいわゆる総評理論生計費を下まわることを根拠に給与所得者の「健康で文化的な最低限度の生活」を侵害するという主張は、立法府の裁量の逸脱・濫用と見ざるをえないゆえんを具体的に主張しているものではなく、失当である。
二 国税通則法及び所得税法(昭和四七年法律第三一号による改正前のもの)に定める給与所得に係る源泉徴収制度は、憲法一四条一項に違反しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成元年2月7日 昭和58(オ)300
登載
集民 第156号87頁
参照法条
所得税法(昭和47年法律第31号による改正前のもの)2編2章,所得税法(昭和47年法律第31号による改正前のもの)4編2章,憲法14条1項,憲法25条,国税通則法15条,国税通則法36条
論点3第36条国税通則法

給与所得に係る源泉所得税の納税告知処分について,法定納期限の経過後に当該源泉所得税の納付義務を成立させる支払の原因となる行為の錯誤無効を主張してその適否を争うことの可否

裁判要旨給与所得に係る源泉所得税の納税告知処分について,法定納期限が経過したという一事をもって,当該源泉所得税の納付義務を成立させる支払の原因となる行為の錯誤無効を主張してその適否を争うことが許されないとはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成30年9月25日 平成29(行ヒ)209
登載
民集 第72巻4号317頁
参照法条
所得税法183条1項,国税通則法36条1項,民法95条
論点4第36条国税通則法

源泉徴収による所得税につき自動的に確定していた税額に包含される金額でされた納税の告知が適法とされた事例

裁判要旨会社がその代表者に代わって同人の借入金の利息を支払ったことにより,その経済的利益に相当する同人に対する給与等(賞与)の支払があったことになって会社に源泉徴収による所得税の納税義務が客観的に成立したが,実際にされた納税の告知は,会社が同人に上記利息相当額を無利息で貸し付け,この貸付けに係る得べかりし利息相当額の経済的利益に相当する同人に対する給与等(役員報酬)の支払があったものとしてされたという場合につき,客観的に成立した納税義務及び自動的に確定していた税額の内容は会社に自明であったこと,強制調査に際して会社から要請があったため,上記賞与に当たる経済的利益のうち上記得べかりし利息相当額の限度で納税義務の履行を請求するものとして上記納税の告知がされたものであること,上記納税の告知により請求された金額は,納税義務が客観的に成立し自動的に確定していた税額に包含されるものであり,納税告知書に記載された所得の種類に食い違いがみられないことなど判示の事実関係の下においては,上記納税の告知は,適法である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成16年9月7日 平成10(行ツ)77
登載
集民 第215号13頁
参照法条
所得税法28条1項,183条1項,国税通則法(平成9年法律第89号による改正前のもの)36条1項,国税通則法36条2項,国税通則法施行令(平成12年政令第307号による改正前のもの)43条,国税通則法施行規則(平成14年財務省令第20号による改正前のもの)5条1項,国税通則法施行規則(平成14年財務省令第20号による改正前のもの)別紙第2号書式
論点5第37条国税通則法

一 国税通則法五七条〈充当〉による充当と同法七五条一項にいう「国税に関する法律に基づく処分」
二 国税通則法三七条〈督促〉による督促と同法七五条一項にいう「国税に関する法律に基づく処分」

裁判要旨一 国税通則法五七条〈充当〉による充当は、同法七五条一項〈国税に関する処分についての不服申立て〉にいう「国税に関する法律に基づぐ処分」に当たる。
二 国税通則法三七条〈督促〉による督促は、同法七五条一項にいう「国税に関する法律に基づく処分」に当たる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成5年10月8日 平成4(行ツ)183
登載
集民 第170号1頁
参照法条
国税通則法37条,国税通則法57条,国税通則法75条1項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

国税通則法 第36条(納税の告知) 詳細ページ
(納税の告知)
第三十六条税務署長は、国税に関する法律の規定により次に掲げる国税(その滞納処分費を除く。次条において同じ。)を徴収しようとするときは、納税の告知をしなければならない。
一賦課課税方式による国税(過少申告加算税、無申告加算税及び前条第三項に規定する重加算税を除く。)
二源泉徴収等による国税でその法定納期限までに納付されなかつたもの
三自動車重量税でその法定納期限までに納付されなかつたもの
四登録免許税でその法定納期限までに納付されなかつたもの
2前項の規定による納税の告知は、税務署長が、政令で定めるところにより、納付すべき税額、納期限及び納付場所を記載した納税告知書を送達して行う。ただし、担保として提供された金銭をもつて消費税等を納付させる場合その他政令で定める場合には、納税告知書の送達に代え、当該職員に口頭で当該告知をさせることができる。
国税通則法 第37条(督促) 詳細ページ
(督促)
第三十七条納税者がその国税を第三十五条(申告納税方式による国税の納付)又は前条第二項の納期限(予定納税に係る所得税については、所得税法第百四条第一項、第百七条第一項又は第百十五条(予定納税額の納付)(これらの規定を同法第百六十六条(非居住者に対する準用)において準用する場合を含む。)の納期限とし、延滞税及び利子税については、その計算の基礎となる国税のこれらの納期限とする。以下「納期限」という。)までに完納しない場合には、税務署長は、その国税が次に掲げる国税である場合を除き、その納税者に対し、督促状によりその納付を督促しなければならない。
一次条第一項若しくは第三項又は国税徴収法第百五十九条(保全差押)の規定の適用を受けた国税
二国税に関する法律の規定により一定の事実が生じた場合に直ちに徴収するものとされている国税
2前項の督促状は、国税に関する法律に別段の定めがあるものを除き、その国税の納期限から五十日以内に発するものとする。
3第一項の督促をする場合において、その督促に係る国税についての延滞税又は利子税があるときは、その延滞税又は利子税につき、あわせて督促しなければならない。
国税通則法 第38条(繰上請求) 詳細ページ
(繰上請求)
第三十八条税務署長は、次の各号のいずれかに該当する場合において、納付すべき税額の確定した国税(第三号に該当する場合においては、その納める義務が信託財産責任負担債務であるものを除く。)でその納期限までに完納されないと認められるものがあるときは、その納期限を繰り上げ、その納付を請求することができる。
一納税者の財産につき強制換価手続が開始されたとき(仮登記担保契約に関する法律(昭和五十三年法律第七十八号)第二条第一項(所有権移転の効力の制限等)(同法第二十条(土地等の所有権以外の権利を目的とする契約への準用)において準用する場合を含む。)の規定による通知がされたときを含む。)。
二納税者が死亡した場合において、その相続人が限定承認をしたとき。
三法人である納税者が解散したとき。
四その納める義務が信託財産責任負担債務である国税に係る信託が終了したとき(信託法第百六十三条第五号(信託の終了事由)に掲げる事由によつて終了したときを除く。)。
五納税者が納税管理人を定めないでこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるとき。
六納税者が偽りその他不正の行為により国税を免れ、若しくは免れようとし、若しくは国税の還付を受け、若しくは受けようとしたと認められるとき、又は納税者が国税の滞納処分の執行を免れ、若しくは免れようとしたと認められるとき。
2前項の規定による請求は、税務署長が、納付すべき税額、その繰上げに係る期限及び納付場所を記載した繰上請求書(源泉徴収等による国税で納税の告知がされていないものについて同項の規定による請求をする場合には、当該請求をする旨を付記した納税告知書)を送達して行う。
3第一項各号のいずれかに該当する場合において、次に掲げる国税(納付すべき税額が確定したものを除く。)でその確定後においては当該国税の徴収を確保することができないと認められるものがあるときは、税務署長は、その国税の法定申告期限(課税標準申告書の提出期限を含む。)前に、その確定すると見込まれる国税の金額のうちその徴収を確保するため、あらかじめ、滞納処分を執行することを要すると認める金額を決定することができる。この場合においては、その税務署の当該職員は、その金額を限度として、直ちにその者の財産を差し押さえることができる。
一納税義務の成立した国税(課税資産の譲渡等に係る消費税を除く。)
二課税期間が経過した課税資産の譲渡等に係る消費税
三納税義務の成立した消費税法第四十二条第一項、第四項又は第六項(課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての中間申告)の規定による申告書に係る消費税
4国税徴収法第百五十九条第二項から第十一項まで(保全差押え)の規定は、前項の決定があつた場合について準用する。この場合において、同条第五項中「一年」とあるのは、「十月」と読み替えるものとする。
国税通則法 第39条(強制換価の場合の消費税等の徴収の特例) 詳細ページ
(強制換価の場合の消費税等の徴収の特例)
第三十九条税務署長は、消費税等(消費税を除く。以下この条において同じ。)の課される物品が強制換価手続により換価された場合において、国税に関する法律の規定によりその物品につき消費税等(その滞納処分費を含む。以下この項、次項及び第四十三条第一項(国税の徴収の所轄庁)において同じ。)の納税義務が成立するときは、その売却代金のうちからその消費税等を徴収することができる。
2税務署長は、前項の規定により消費税等を徴収するときは、あらかじめその執行機関(国税徴収法第二条(用語の定義)に規定する執行機関をいう。以下同じ。)及び納税者に対し、同項の規定により徴収すべき税額その他必要な事項を通知しなければならない。
3前項の通知があつた場合において、第一項の換価がされたときは、その納税者につきその通知に係る税額に相当する消費税等が第二十五条(決定)の規定による決定により確定されたものとみなし、その執行機関に対する通知は、国税徴収法に規定する交付要求(以下「交付要求」という。)とみなす。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。