一 騒擾罪の成立には多衆の暴行脅迫が群集の暴動に発展し社会の治安を動揺せしめる危険または社会の治安に不安動揺を生ぜしめた事実を必要としない。
二 刑法
第一〇六条〈騒乱〉にいわゆる多衆は、互に意思連絡のない不特定多数人であることを必要としない。
三 騒擾罪にあたる殺傷行為が特定の一個人に対するものであつても騒擾罪の成立に影響をおよばさない。
四 騒擾罪の首魁とは主動者となり首唱劃策し、多衆をしてその合同力により暴行または脅迫を為すに至らしめる者を謂い、必ずしも暴行脅迫を共にし、もしくは現場に在つて総括指揮することを必要としない。
五 騒擾罪にあたる事実を判示するには、多衆が集合して暴行または脅迫の行為をしたことを明らかにすれば足り、特にその行為が地方の静謐を害し又は公共の平和を害する虞のあることを判示する必要はない。
六 第一審判決が被告人Aに対し懲役一年六月を言渡し第一審における未決勾留日数中一二〇日を右本刑に算入したこと、同被告人のみがこれに対し控訴したこと、しかるに原判決が同被告人に対し第一審判決と同一の懲役一年六月の刑を言渡しながら第一審における未決勾留日数を本刑に算入しなかつたときは、旧刑訴四〇三条に違反する。